JP2511678B2 - 織機のよこ入れ制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、流体噴射織機のよこ入れ装置に関し、特に
開口運動の変化に応じて、よこ入れ条件を自動的に変更
するための制御装置に関する。

発明の背景 よこ入れ運動や開口運動などの織機の主運動は、織機
の主軸の１回転中で、その回転角との関連で設定されて
いる。したがって、織機が定常状態で運転されている限
り、それらの主運動は、常に主軸の１回転中で、所定の
角度ごとに行われることになる。

ところで、製織中に、織物組織によって、たて糸の開
口状態が変化すると、それにともない各開口運動によっ
て織機におよぼす負荷が変動するため、織機の主軸の回
転速度は、開口運動の変化に応じて変動することにな
る。このように、主軸の回転速度が変動したときにも、
定常時と同じ角度でよこ入れが行われるならば、よこ入
れ運動は、それらの変動の影響を受けて、不安定な状態
となる。

先行技術 そこで、特許出願人は、特願昭62−2443号「よこ入れ
制御装置」の発明で、製織条件の変更時に、過渡的な期
間に渡って、よこ入れ条件を一時的に変更することを既
に提案している。その発明では、製織条件の変更後に、
過渡的な期間に渡ってのみ、よこ入れ条件が一時的に変
更されるにすぎないため、その過渡的な期間の経過後、
すなわち定常状態でも、織機の主軸の回転速度が継続的
に変化した値にあると、よこ入れ運動は、適切な状態に
設定されないことになる。発明者の実験によると、主軸
の回転速度は、開口状態の変化と関連して、周期的に変
動していた。

発明の目的 したがって、本発明の目的は、開口運動の変化に応じ
て、各開口状態に固有なよこ入れ条件を設定し、よこ入
れ運動を開口運動の変化に対応して、適切な状態に制御
することである。

発明の解決手段 そこで、本発明は、開口運動の変化に応じて、変更指
令器によって、各開口状態に固有なよこ入れ条件信号を
発生し、このよこ入れ条件信号によって、よこ入れ装置
のよこ入れ条件をよこ入れ制御器によって、適切な状態
に設定するようにしている。

ここで、よこ入れ装置のよこ入れ条件は、よこ糸係止
部材のよこ糸係止・解舒の動作タイミング、よこ入れノ
ズルからの流体の噴射タイミング、および流体の圧力の
うちいずれか１つ、またはそれらの組み合わせである。
よこ入れノズルは、いわゆるメインノズルのほか、必要
に応じてサブノズルも含む。また、よこ糸係止部材は、
ドラム式測長貯留装置の係止ピン、あるいは空気貯留式
よこ糸測長貯留装置のクランパなどである。

発明の構成 まず、第１図は、本発明の前提部分、すなわち織機の
よこ入れ装置１、およびこれとの関係で、本発明の特徴
的なよこ入れ制御装置２の構成を示している。

よこ入れ装置１は、給糸体３からよこ糸４を引き出
し、回転ヤーンガイド５の回転運動によって、静止状態
の測長貯留用のドラム６の外周面に、よこ糸４を係止ピ
ン７によって係止しながら巻き付けて測長していく。そ
して、この係止ピン７が電磁ソレノイド８によって、よ
こ入れ開始タイミングで後退したとき、よこ糸４は、ド
ラム６の外周面で解舒され、よこ入れノズル９からの流
体10の噴射とともに、たて糸11の開口12中に挿入され、
必要に応じ、複数の補助的なよこ入れノズル13によって
加勢され、織り幅に渡ってよこ入れされる。なお、上記
流体10は、圧力源14から配管路19によって供給され、圧
力調整器15および電磁式の開閉弁16を経て、よこ入れノ
ズル９に供給され、また分岐して、圧力調整器17および
電磁式の開閉弁18を経て、補助的なよこ入れノズル13に
供給される。

次に、本発明のよこ入れ制御装置２は、よこ入れ装置
１の制御系として、変更指令器20およびよこ入れ制御器
21を備えている。前者の変更指令器20は、たて糸11の開
口運動の変化に応じて、例えば３通りの開口状態Ａ、
Ｂ、Ｃに固有なよこ入れ条件信号Sa、Sb、Scを発生し、
これをよこ入れ制御器21に送り込む。ここで、よこ入れ
制御器21は、主軸28の回転と同期し、よこ入れ条件信号
Sa、Sb、Scの内容に応じて、例えばよこ入れノズル９の
よこ入れ条件として、噴射タイミングすなわち噴射開始
から終了までのタイミングあるいは流体10の圧力、また
はそれらの両者を現在の開口状態Ａ、Ｂ、Ｃに対応した
織機の主軸28の回転速度に適切な値に設定するために、
制御信号Oa、Ob、Ocを発生する。

発明の作用 織機のよこ入れ装置１は、織機の主運動と同期し、主
軸28の１回転中のよこ入れタイミングで、よこ入れノズ
ル９、13から流体10を噴射することによって１ピック分
のよこ糸４をたて糸11の開口12中によこ入れしていく。

製織中に、たて糸11の開口運動が織り組織の変化によ
って、周期的に変えられると、開口装置の運動によって
織機に対する負荷が各織り組織に対応して変化するた
め、織機の主軸28の回転運動は、第２図に示すように、
開口運動の変化と対応して、３つの回転速度Va、Vb、Vc
を周期的に変化することになる。

この間に、変更指令器20は、その開口運動の変化に応
じて、各開口状態Ａ、Ｂ、Ｃに固有なよこ入れ条件信号
Sa、Sb、Scを発生し、よこ入れ制御器21に送り込む。そ
こで、よこ入れ制御器21は、よこ入れ条件信号Sa、Sb、
Scの変化に応じて、制御信号Oa、Ob、Ocにより、よこ入
れノズル９、13のよこ入れ条件として、噴射タイミング
Ta、Tb、Tcあるいは、流体10の圧力Pa、Pb、Pc、または
噴射タイミングTa、Tb、Tcおよび流体10の圧力Pa、Pb、
Pcの両方を最も適切な値に設定していく。このため、開
口運動の変化によって、織機の主軸28の単位時間当りの
回転数が変化したとしても、よこ入れ装置１は、最も適
切なよこ入れ条件でよこ入れを継続していくことにな
る。

なお、この噴射タイミングTa、Tb、Tcの変更は、開始
タイミングまたは終了タイミングのいずれか一方のみ、
またはその双方を同時に変更することによって調節され
る。もちろん、この噴射タイミングTa、Tb、Tcの変更に
ともない、係止ピン７のよこ糸係止あるいは解舒タイミ
ングが変化するため、よこ入れ制御器21からの制御信号
Oa、Ob、Ocは、同時に電磁ソレノイド８を駆動するため
の信号として利用される。なお、空気貯留型式のもので
は、例えば実開昭59−88486号のように、貯留状態のよ
こ糸４が、一対のクランパによって保持され、かつ解舒
されるため、上記制御信号Oa、Ob、Ocは、そのクランパ
を開放状態とするための信号として利用することにな
る。

実施例１ この実施例は、第３図に示すように、電子ドビー式開
口装置の信号を利用して、開口状態Ａ、Ｂ、Ｃを識別す
る例である。

すなわち、変更指令器20は、電子ドビー式開口装置の
開口パターン設定器22を構成要素の一部としており、そ
の開口パターン設定器22の開口パターン信号を選択切換
器23に送り込んでいる。そこで、選択切換器23は、開口
パターン信号、つまり開口状態Ａ、Ｂ、Ｃに応じて、よ
こ入れ条件として複数の噴射タイミングTa、Tb、Tcの設
定器24、25、26から予め設定された噴射タイミングTa、
Tb、Tcの角度信号を選択し、よこ入れ制御器21の内部の
比較器27に送り込む。ここで、比較器27は、噴射タイミ
ングTa、Tb、Tcの角度信号と、織機の回転角θとを比較
し、噴射タイミングTa、Tb、Tcによって指定された回転
角の範囲で、制御信号Oa、Ob、Ocを発生し、この制御信
号Oa、Ob、Ocの時間幅にわたり、駆動回路30により電磁
式の開閉弁16、18を駆動し、その回転角の範囲でよこ入
れノズル９、13から流体10を噴射する。

なお、織機の回転角θは、織機の主軸28に連結された
回転角度検出器29によって検出される。

このようにして、よこ入れノズル９、13は、開口運動
に変化、すなわち開口パターンの変化に応じて、適切な
噴射タイミングTa、Tb、Tcでよこ入れ運動を実行してい
くことになる。

もちろん、実際の噴射タイミングTa、Tb、Tcは、試織
の段階でそれぞれの開口状態Ａ、Ｂ、Ｃのときの開口装
置の負荷の変動にともない、織機の主軸28の速度変化を
実測することにより、同一のよこ糸到達タイミングとな
るように、予め適切な値に設定される。

実施例２ この実施例は、第４図に示すように、例えば通常のド
ビータペットあるいはジヤカード式開口装置の開口状態
Ａ、Ｂ、Ｃを検出することによって、流体10の圧力を適
切な値に切り換える例である。

すなわち、開口状態Ａ、Ｂ、Ｃは、開口状態検出器31
によって、各ヘルドフレームの位置、タペットの回転位
相、あるいは紋紙の針位置の組み合わせ信号として検出
され、開口パターン信号として、噴射圧力の切換設定器
３に送り込まれる。そこで、この切換設定器32は、開口
パターン信号の変化に応じて、圧力調整器15、17を駆動
し、開口状態Ａ、Ｂ、Ｃに固有な圧力Pa、Pb、Pcを設定
していく。

なお、流体10の圧力切り換えは、圧力調整器15、17を
調整することに代えて、第５図に示すように、圧力調節
器33によって複数の圧力の流体10を予め発生させてお
き、その出力側の電磁弁34、35、36を選択的に切り換え
ることによっても対応できる。

実施例３ 以上の各実施例は、いずれも１色のよこ入れを対象と
しているが、この実施例のよこ入れ制御装置２は、第６
図に示すように、多色のよこ入れ装置１の多色数に応
じ、専用のよこ入れ制御装置２を付設することによっ
て、多色のよこ入れにも対応できる。この場合、複数の
よこ入れ制御装置２は、よこ糸選択装置37の制御下に置
かれ、複数のよこ糸４の選択順序に応じて、択一的に切
り換えられる。

他の実施例 また、上記実施例１は、少なくともよこ入れノズル９
の噴射タイミングTa、Tb、Tcを変更する例であり、ま
た、実施例２は、流体10の圧力Pa、Pb、Pcを制御する例
である。しかし、本発明のよこ入れ制御装置２は、噴射
タイミングTa、Tb、Tcおよび圧力Pa、Pb、Pcの一方のみ
ならず、その双方を同時に制御対象としてもよい。ま
た、実施例１の開口パターン設定器22と、実施例２の開
口状態検出器31とは、機能的に同一の要素であるから、
それらは、取り替えて他の実施例に組み込むこともでき
る。

もちろん、既に明らかなように、上記した実施例は、
よこ入れノズル９を制御対象としているが、これとの関
連で、あるいは独立に電磁ソレノイド８や補助的なよこ
入れノズル13、さらに空気貯留式のクランパなども制御
対象となり得る。

発明の効果 本発明では、織り組織の変化によって、開口状態が換
わったとき、これに対応し、よこ入れ装置のよこ入れ条
件としてよこ入れノズルの噴射タイミングあるいは流体
の圧力、噴射タイミングおよび流体の圧力または係止ピ
ン、クランパなどのよこ糸係止部材のよこ糸係止・解舒
のタイミングが自動的に適切な値に設定されるため、開
口状態の変化によって、織機の主軸の回転速度が周期的
に変化したとしても、よこ入れが常に理想的な状態で行
われるため、よこ入れミスが減少し、またよこ糸の反給
糸側への到達タイミングが正確に規制できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明のよこ入れ制御装置のブロック線図、第
２図はよこ入れ動作特性の説明図、第３図ないし第６図
は、それぞれ各実施例のブロック線図である。 １……織機のよこ入れ装置、２……よこ入れ制御装置、
４……よこ糸、９、13……よこ入れノズル、10……流
体、11……たて糸、12……開口、14……圧力源、15、17
……圧力調整器、16、18……電磁式の開閉弁、20……変
更指令器、21……よこ入れ制御器、22……開口パターン
設定器、23……選択切換器、24、25、26……噴射タイミ
ング設定器、27……比較器、28……主軸、29……回転角
度検出器、31……開口状態検出器、32……切換設定器、
33……圧力調節器、34、35、36……電磁弁、37……よこ
糸選択装置。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】よこ入れノズル（９）からの流体（10）の
   噴射によって１ピック分のよこ糸（４）をたて糸（11）
   の開口（12）中によこ入れする織機のよこ入れ装置
   （１）において、このよこ入れ装置（１）の制御系とし
   て、開口運動の変化に応じて、各開口状態に固有なよこ
   入れ条件信号を発生する変更指令器（20）と、上記よこ
   入れ条件信号に応じて上記よこ入れ装置（１）のよこ入
   れ条件を定めるよこ入れ制御器（21）とからなることを
   特徴とする織機のよこ入れ制御装置（２）。
2. 【請求項２】よこ入れ装置（１）のよこ入れ条件をよこ
   糸係止・解舒の動作タイミング、噴射タイミングおよび
   流体（10）の圧力のうち少なくともいずれか１つである
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の織機のよ
   こ入れ制御装置（２）。
3. 【請求項３】上記変更指令器（20）を、織り組織に応じ
   て予め開口パターンを設定する開口パターン設定器（2
   2）と、各開口状態ごとに固有なよこ入れ条件を設定す
   る複数の設定器（24、25、26）と、開口パターン設定器
   （22）の出力に応じて複数の設定器（24、25、26）のう
   ちいずれかを選択的に出力する選択切換器（23）とで構
   成することを特徴とする特許請求の範囲第１項または第
   ２項記載の織機のよこ入れ制御装置（２）。
4. 【請求項４】上記変更指令器（20）を、開口運動の状態
   を検出する開口状態検出器（31）により構成することを
   特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項記載の織
   機のよこ入れ制御装置（２）。
5. 【請求項５】上記よこ入れ制御器（21）を、織機の主軸
   （28）の回転角を検出する回転角度検出器（29）と、変
   更指令器（20）の出力と回転角度検出器（29）の出力と
   を比較し、変更指令器（20）の出力で指定される回転角
   にわたって制御信号を発生する比較器（27）とで構成す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項、第２項、第
   ３項または第４項記載の織機のよこ入れ制御装置
   （２）。
6. 【請求項６】上記よこ入れ制御器（21）を、変更指令器
   （20）からの出力に応じて流体（10）の圧力を選択的に
   切り換える切換設定器（32）によって構成することを特
   徴とする特許請求の範囲第１項、第２項、第３項または
   第４項記載の織機のよこ入れ制御装置（２）。