JPH0230244B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、水平軸のまわりを後方に傾斜位置へ
と回動しうる座席と、この座席に取付けられ、座
席が回動すると該座席に取付けられた軸のまわり
をやはり傾斜位置へと回転し、その際傾き調節機
構が機能するので座席の回転角よりも大きな回転
角を進む背もたれと、を有するいすに関する。

この種のいす、殊に事務用いすは、以前から知
られている。この種のいすは、出発位置又は作業
位置では背もたれが事実上垂直であるので利用者
の背を十分に支持する一方、後方に傾いた位置で
はくつろいだ姿勢（いわゆるリラツクス位置）を
とることができ、快適な坐り心地が得られる。

しかし、これらのいすは欠点を有する。つまり
座席と背もたれとの間の角度が前述のように開い
た場合、利用者の上半身は簡単に回転運動を行う
ことがきず、各種の運動から帰結する複合運動を
行う。その結果、背もたれを傾ける場合利用者の
背はその個々の個所がいずれもかなり急激に下降
した曲線を描く運動を行う。しかし、背もたれは
この運動に追述できない。背もたれは、座席の後
端に取付けてあるので、そして傾頭時この後端が
下方に回転するので、やはり下方に移動するので
あるが、同時に回転運動を行う。だが背もたれの
運動曲線は勾配が緩やかであり、背と背もたれと
の間に相対運動が生じる。

本発明は、この相対運動を防止又は少なくとも
知覚できない程度に低減するのを目的とする。

本発明のいすは、背もたれが旋回軸に支承され
た案内部材の傾斜を調節する傾き調節装置を備え
るいすであつて、 さらに背もたれは案内部材の上端部に設けた案
内手段に沿つて摺動自在となる背面板と、関節点
１６で連結されて互いに対して延び一端が前記傾
き調節装置と案内部材との連結軸に支承され他端
が背面板に連結された一対の調節手段を備え、 端部が連結軸に伸びた一方の調節手段は、前記
座席支持体における固定軸の回りを回動する一組
の伝動てこで構成され前記背面板を前記案内手段
に対して相対移動させるため前記旋回軸よりも関
節点の移動量を大きくしたことを特徴としてい
る。

本発明を添付図面に基づいて詳しく例示説明す
る。

いすの運動と作用の理解を助けるため、まず従
来周知の種類のいすがどのように機能するかを第
１図に基づいて説明する。この図はこの種の周知
のいすの一例を示す。１はいすの直立管を示す。
直立管は目板３付きの座席支持体２を有し（目板
は、一方のみ図示）、該目板は座席５用のピン等
から成る回転軸４を含む。直立管１、座席支持体
２、目板３、従つて回転軸４も、以下の説明では
固定したものとして考察する。それゆえこの図で
もそれらは単一部品を形成するかのように図示し
てある。座席５は固定軸４のまわりを回転できる
ので、第一可動部品である。実線は標準位置にあ
る座席を示し、符号５′の付いた破線は傾頭又は
傾斜位置にある座席を示す。利用者が後方に寄り
かかると座席はこの位置に移動し得る。αは出発
位置５と傾斜位置５′との間の回転角度である。
座席はその後端に回転軸６を有する。この回転軸
に第２の可動部品、つまり全体に参照符７を付し
た背もたれが回動可能に取付けてある。背もたれ
は回転軸６の下で２個の平行な支持体（第１図で
は１方の支持体のみ見られる）から成る案内部材
８に継続している。すなわち案内部材は背もたれ
７と固定結合されている。ちなみに座席５は固定
軸４のまわりを回動し得るのみならず、以下の実
施態様で示すように長手方向に移動可能に支承さ
れている。すなわち案内部材８は固定座席支持体
２に取付けられた回転軸９ａのまわりを回動可能
であり、またこの回転軸は固定されているので全
可動部品、すなわち座席５、背もたれ７及び回転
軸６を含む案内部品８の揺動運動の中心を成す。
その結果、特に第１図を考察すれば、座席は固定
軸４のまわりを揺動するだけでなく該軸に沿つて
移動も行わねばならないことが判る。これは好適
な手段、多くの場合溝孔によつて実現される。

シリンダ・ピストン集成装置、通常は市販構造
のガス封入ばね１１、のピストン棒１０がやはり
回転軸６で軸支されている。回転軸６が運動する
のでピストン棒は直立管１の上端でやはり回動可
能に支承されていなければならない。ガス封入ば
ねの転回点１１ａと回転軸６との距離は回転軸９
と６との間の距離よりも小さく、しかもこの転回
点１１ａは前記両回転軸を結ぶ線の横にあるの
で、回転軸が後方に運動又は位置を変更する時転
回点１１ａと回転軸６との距離は短縮する。すな
わちガス封入ばね１１が圧縮されるが、その際該
ばねはピストンのどの位置でも固定可能であり、
これによつて後方に寄りかかつた場合ばね作用も
得られる。

つまりこの後方移動に際して座席が５から５′
へと回動すると前述の如く回転軸６もその位置を
変える。この新しい位置が符号６′で示されてい
る。回転軸６は符号ａで示した距離を進む。案内
部材８もこの回転軸６を担持しているのでこの運
動によつてその位置を変える。案内部材８の新し
い位置８′が元の位置８と成す角度は、角度αよ
りも大きい。背もたれ７も案内部材８と固定結合
されているので、同じ寸法だけその位置を変え
る。背もたれも、７から７′へと符号βで示した
角度だけ回転する。故に、この位置では背もたれ
は座席に対して出発位置にある時より大きい角度
を成す。

第２図に幾つかの構造細部を略示する。座席５
はその下の部材を示すため一部切欠いて図示して
ある。座席支持体２は、各１個の目板３を担持す
るためその前端が広くしてあり、つまりＴ形であ
ることがわかる。回転軸４は図示した如く２本の
短い回転軸で構成でき、そのまわりを座席５は回
動することができる。それに反し回転軸６はピス
トン棒１０を支承せねばならないので連続してお
り、周知のそれ故概略図示しただけの方法で座席
５の下面に固着してある。前述の２個の支持体か
ら成る案内部材８と背もたれ７とが互いに固定結
合されていることを示すためこれらの部品は単一
部品として図示してある。

第１図により、背もたれ７は円形回転運動を行
うだけでなく更には距離ａだけ降下することがわ
かる。背もたれの１点、例えば上端Ｅを考察する
と、背もたれは矢印１２の方向に位置E′へと移動
することが判る。

ところで、人間の背が同じ運動を行わないこと
は明白である。むしろ人間の背は、例えば前記Ｅ
点上の個所がいすの後方傾斜時E′点よりも相当に
低いE″点へと移動するような運動を行う。つま
り背もたれ７は、背中に対して相対的に見るな
ら、上昇することになる。男の利用者に対する作
用のゆえ業界で「シヤツ脱がせ効果」と呼ばれて
いるこの相対移特動は本発明によるいすによつて
防止される。この点を第３図と第４図に基づいて
説明する。

まず第３図では第１図と同じ部品が認められ
る。背もたれ７は後に説明するように異なる態様
を有する。ガス封入ばね１１の位置も異なる。ガ
ス封入ばねはここでは回転可能に座席支持体２に
固着してある。座席５の後端部は旋回軸となる回
転軸６を介して案内部材８に連結され、この案内
部材８の一端には連結軸９が取付けられている。
この連結軸９は略Ｌ字形の伝動てこ対１３，１３
の一端をガス封入ばね１１のピストン棒１０と連
結する。

第３図においては一方のみ示す伝動てこ対１３
は、従動曲板１４に関節点１６で連結されて互い
に対向して延び一対の調節手段を構成する。

また案内部材８の傾斜は傾き調節装置としての
ガス封入ばね１１のピストン棒１１によつて調節
される。伝導てこ対１３は３個所で軸支されてい
る。てこ対は、各Ｌ形てこの短脚１３ａにおいて
案内部材８の連結軸９とガス封入ばねのピストン
棒１０とに軸支されている。別の軸支個所は固定
軸１５で示してある。これは不動の座席支持体２
に固定式に取付けられた本来の回転軸であり、そ
のまわりを伝動てこ対１３が回動する。最後の軸
支個所１６は各てこの長脚１３ｂに存在し、従動
曲板１４を伝動てこ対１３に軸支している軸で形
成されている（第４図）。

湾曲した剛性の長板である従動曲板１４はその
他端において背面板７０で軸支されれており、そ
の詳細は特になお説明する第５図から知ることが
できる。この背面板７０は、その裏面に左右対称
に配置された一対の滑り子７１，７１を備え、こ
の滑り子７１を介して背もたれ板７０がそれぞれ
案内部材８の上端部に設けた２つの案内レール７
２からなる案内手段に摺動自在に取付けられる。
第５図に示す如く滑り子７１は凹部７３を有し、
該凹部に各案内レール７２の突起部７４が係合す
る。特にこの図から、従動曲板１４は背面板７０
に対して回動可能となるように回転軸１７を介し
て背面板７０と結合され、この回転軸が背面板に
固設された２つの目板７５に挿通されていること
もわかる。

第３図に基づいて作用機能を説明する。座席５
が傾くと案内部材８はすでに説明した如く８′へ
とその位置を変える。しかし、伝動てこ対１３が
連結軸９を介して案内部材８と結合されているの
で、連結軸９，９′への移動は各短脚１３ａを共
に移動させる。固定軸１５は固定されているの
で、てこ対１３はそのまわりを回転する。従つ
て、短脚１３ａの端部は円運動を行う。それゆえ
このいすにおいてもガス封入ばねねを回動自在に
支承する必要がある。だが第３図から明らかな如
くガス封入ばね１１の回転運動はピストン棒１０
と短脚１３ａとの相対的位置のゆえにきわめて小
さく、案内部品８の運動には事実上影響しない。

だが伝動てこ１３の回転運動は、各てこの脚１
３ａ，１３ｂの長さが異なるので脚１３ｂの端部
が異なる大きさの運動、つまり変成された運動を
行う結果を生じる。従つて軸支個所１６は軸支個
所１５を中心とした円形運動を行い、第３図にお
いて符号ｂで示した距離を進む。この距離ｂが距
離ａ（６から６′への移動、第１図）よりもかり大
きいことは明白である。すなわち従動曲板１４は
より著しく引き下ろされ、案内レール自身距離ａ
だけ下降するにもかかわらず背面板７０を案内レ
ール７２に沿つてひき下げる。これれによつて所
期の目的は達成される。再び背面板上のＥ点を考
察するなら、この点は傾斜運動中E″に向かつて、
つまりすでに述べた如く利用者の背中の当該個所
到達することになる点へと、移動する。従つて背
もたれと背中との間で相対移動は生じず、坐り心
地の向上していることが明らかである。背面板７
０のこ運動の程度は調節機構の形状寸法、特に伝
動てこ対１３の形状寸法によつて決まる。

図示実施例は機械的調節装置を示している。別
の調節装置、例えば油圧又は電気調節装置を用い
て同じ効果を達成することも当然考えられる。同
様に、特にこの種の調節装置を用いた場合背もた
れと座席との間の相対運動を逆転させ、傾斜座席
が持ち上げられ、背もたれ又は背面板が簡単に傾
くだけにすることも可能であることを指摘してお
く。この場合でも座席の上昇によつて座席と背も
たれとの間に図示例の場合と同じ相対移動が生じ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来周知の種類のいす及びその作用機
能を示す概略図、第２図は座席の１部を切欠いた
上記いすの平面図、第３図は本発明によるいすの
第１図と同様の概略図、第４図は第３図のいすの
第２図と同様の平面図、第５図は可動背面板用案
内手段の斜視図である。 ４……軸、５……座席、６……軸、７……背も
たれ、７′……傾斜位置、８，９，１０……傾き
機構、１３，１４……調節手段、Ｅ……出発位
置、E″……端位置、α，β……回動角度。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 座席支持体２の前端に位置する固定軸４のま
   わりを該軸より後方に傾いた位置へと回動しうる
   座席５と、この座席に取付けられ、座席が傾くと
   座席の後縁と共に下方に移動し、同時に座席に取
   付けられた旋回軸６のまわりを回動する背もたれ
   ７と、この背もたれが座席５の回転角よりも大き
   な回転角βを進むように前記旋回軸６に支承され
   た案内部材８の傾斜を調節する傾き調節装置１
   ０，１１とを備えたいすにおいて、 前記背もたれ７が前記案内部材８の上端部に設
   けた案内手段７２に沿つて摺動自在となる背面板
   ７０と、 関節点１６で連結されて互いに対向して延び一
   端が前記傾き調節装置と案内部材との連結軸９に
   支承され、他端が背面板７０に連結された一対の
   調節手段１３，１４を備え、 端部が連結軸９に伸びた一方の調節手段は、前
   記座席支持体２における固定軸１５の回りを回動
   する一組の伝動てこ１３で構成され前記背面板７
   ０を前記案内手段７２に対して相対移動させるた
   め前記旋回軸６よりも関節点１６の移動量を大き
   くしたことを特徴とするいす。 ２ 一組の伝動てこ１３は、長さの異なる脚部を
   有する２つの略Ｌ字形部材で形成され、一対の調
   整手段の他方が、一端を関節点の回転軸１６を介
   して各々の伝動てこの長脚に軸支するとともに他
   端をもう１つの回転軸１７を介して前記背面板７
   ０に回動可能に接続する従動曲板１４からなるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のい
   す。 ３ 傾き調節装置と案内部材との連結軸９が各伝
   動てこ１３の短脚１３ａに取付けられていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項
   記載のいす。 ４ 背面板７０の案内手段７２は２つのレール７
   ２から成り、前記レールの各々はその一端部で案
   内部材８に固定されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載のいす。