JPS6223479Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば歯科用椅子の如く治療時に患者
の上半身を後方へ傾倒した状態で支持するように
した治療用椅子に関する。

従来この種の治療用椅子は患者の上半身を支持
するバツクレストのみを後方へ傾倒できるように
構成されていたので患者が着座状態でバツクレス
トを傾倒させると腰の部分とバツクレストの下半
部との間に間隙が生じ座り心地が悪く安定した着
座姿勢を維持することが困難となり、そのため患
者は腰の部分を後方へずらすように座り直さなけ
ればならない不都合があつた。

そこで本考案はかかる点に鑑みてなされたもの
で、バツクレストの傾倒に伴い座部を前方へ高く
所要角度まで傾斜させると共に、バツクレストを
倒伏させた状態でも座部を所要傾斜角度に保持す
るようにした治療椅子を提供するものである。

以下図面について本考案の一実施例を説明す
る。図において１は歯科用椅子の全体を示し、こ
の椅子１は昇降調整可能な基台２と、バツクレス
ト３と、チルト４及びフツトレスト５から構成さ
れ、バツクレスト３は下部に一体的に設けられた
略Ｌ字状のアーム１１を介して軸ピン１２により
基台２に前後方向に起伏自在に枢着され、また座
部を構成するチルト４は後部下面に固定したブラ
ケツト１３を介して軸ピン１４により基台２に上
下方向に傾動自在に枢着され、さらにフツトレス
ト５はチルト４の前縁部に蝶番１５によりチルト
４に対して上下方向に傾動自在に取付けられてい
る。

そしてバツクレスト３の下部即ちアーム１１と
の連結元部近傍にブラケツト１６を取付けて略へ
字状の第１リンク１７の一端を軸ピン１８により
枢着し、またチルト４の下面略中央部にブラケツ
ト１９を取り付けて略二等辺三角形状の第２リン
ク２０の一方の大角隅部を軸ピン２１により枢着
して上記第１リンク１７の他端と上記第２リンク
２０の小角端部とを、基台２に前後方向に水平に
装着されたシリンダー装置２２のピストンロツド
２３の先端に軸ピン２４により同軸的に枢着して
バツクレスト３とチルト４とはシリンダー装置２
２の作動により回動されるように構成してあり、
さらにフツトレスト５の後部下面にブラケツト２
５を取付けてこれにより略へ字状の第３リンク２
６の一端を軸ピン２７により枢着し、他端をチル
ト４に枢着されたリンク２０の他方の大角隅部即
ちチルト４に対する枢着部に近接する位置に軸ピ
ン２８により枢着し、フツトレスト５はチルト４
に対して常時所要の傾斜角範囲内で支持されてい
る。なお図中２９はピストンロツド２３の先端に
固定した摺動体で、この摺動体２３にリンク１
７，２０が枢着され、また摺動体２３は平行ガイ
ドロツド３０，３０′により支持されている。

次に以上のように構成される歯科用椅子１の動
作について説明する。

先ず、通常の着座状態ではバツクレスト３は起
立（実際には約12度後方へ傾斜）され、チルト４
は略水平（実際には約５度上方へ傾斜）され、ま
たフツトレスト５はチルト４に対して下方へ傾斜
されており、この状態ではバツクレスト３に枢着
される第１リンク１７とチルト４に枢着される第
２リンク２０とをシリンダー装置２２が後向に装
着されているためそのピストンロツド２３が最長
に突出した位置で係止保持されバツクレスト３、
チルト４及びフツトレスト５は夫々の状態で支持
されている（第１図の状態）。

この着座状態即ち第１作動位置からシリンダー
装置２２を作動させてピストンロツド２３を引込
み摺動させると、リンク１７及び２０は前方（矢
印ａ方向）へ移動され、このためバツクレスト３
は、第１リンク１７によりアーム１１との連結部
が前方へ引かれることになるので、アーム１１の
基台２に対する枢着部を回転中心として後方へ回
動され、一方チルト４は第２リンク２０の小角端
部の前方への移動即ち起立回動によりこのリンク
２０の枢着部である中央部が押し上げられ、後部
の基台２に対する枢着部を回転中心として上方へ
傾動させることになり、またフツトレスト５は第
２リンク２０の回動に伴い第３リンク２６がやや
前方へ移動されるため蝶番１５を回転中心として
チルト４に対してやや上方に回動される。

このようにしてバツクレスト３を治療状態まで
後方へ回動傾斜（約47度後方へ傾斜）させるとチ
ルト４は上方へ傾動されこの場合好ましくは後述
する如く約20度上方へ回転傾斜させこの傾斜角度
はチルト４のリンク２０の長さ及びその枢着部位
置を選択することにより定められる。

このようにしてバツクレスト３を治療状態の角
度（通常起立位置から約47度）に傾斜させると、
チルト４は上方に所要角度（通常着座位置から約
20度）で傾斜され、これに伴いフツトレスト５は
やや上方に傾動されて略水平状態に位置される
（第２図実線）。

この形態により着座者（患者）はバツクレスト
３にもたれ掛かり、この状態においてチルト４即
ち座部の傾斜により臀部は後方へ滑るように移動
され、大腿部が持ち上げられて胸部と略同等の高
さになり、また脚部は水平に位置されて歯の治療
に最も適した姿勢に保持されることになる。

この状態即ち第２作動位置からシリンダー装置
２２を作動してピストンロツド２３をさらに前方
へ摺動させると、バツクレスト側リンク１７は前
方へ牽引されてバツクレスト３がさらに後方へ傾
斜され、ピストンロツド２３の最短長さの突出に
より、バツクレスト３はリンク１７を介して後側
水平状態まで回動即ち倒伏される。一方チルト側
リンク２０は垂直状態で、チルト４に対する枢着
部を回転中心として前方へ回動されバツクレスト
３がほゞ水平状態に倒伏された状態ではチルト４
に対する枢着部を通る垂直線を挾んで対称位置に
僅か回動されることになり、チルト４の押上げ作
動は殆ど行われず、従つてチルト４は上述の傾斜
位置と同位置に保持される。またフツトレスト５
は、チルト側リンク２０の回動によりリンク２６
が前方に押されてチルト４に対して蝶番１５を回
転中心として上方に傾動されるが、リンク２０の
移動が微少であるため、第２図二点鎖線で示すよ
うに同図実線の状態とほとんど変わらない状態に
保持される。そしてこの形態即ち第３作動位置に
おいて着座者（患者）は上半身のみがバツクレス
ト３の倒伏方向へ移動して水平状態に倒伏され、
下半身が持ち上げられた安楽姿勢に保持される。
この場合脚部はフツトレスト５によりほゞ水平状
態に支持されるので、着座者（患者）に後転感を
与えることはない。

以上のように本例の治療椅子、例えば歯科用椅
子はバツクレスト３の後方への傾動に伴い座部を
構成するチルト４が前部を高く傾斜するので、着
座者（患者）は、バツクレスト３を傾動しても前
ずり状態とはならず、またフツトレスト５はほゞ
水平状態となるので、脚体は略水平に持ち上げら
れて座り心地が良好となる。

なお、本例においては、基台２には昇降装置が
内蔵され座部の高さを調整できるように構成され
るが、この昇降調整機構は本考案とは直接関係が
ないので図示及び説明は省略する。また本例にお
けるシリンダー装置としてはエアーシリンダー或
いは油圧シリンダーを用いることができ、またシ
リンダー装置に代えて電動モーターによりリンク
１７，２０の移動或いは回動を行うようにしても
よい。

以上のように本考案によれば、バツクレストの
下部及び座部を構成するチルトの後部を夫々基台
に枢着すると共に、上記チルトの先端にフツトレ
ストを蝶着し、上記バツクレストの下部に第１リ
ンクの一端を枢着してこのリンクの他端を基台に
備えたシリンダーなどの作動装置に枢着し、この
作動装置の前後動作によりバツクレストを前記第
１リンクを介して起伏回動させるようになし、上
記チルトの下部と上記第１リンクの他端とを、上
記バツクレストがほゞ起立状態にある第１作動位
置で大きく傾斜し、該バツクレストが所要角度に
倒伏した第２作動位置でほゞ垂直状に垂下して上
記作動装置の作動に伴いチルトを上方に傾斜回転
させる第２リンクにより連結し、またこの第２リ
ンクの上記チルトに対する枢着部の近傍位置と上
記フツトレストとの下部とを、上記第１作動位置
においてフツトレストを下向き傾斜状態に保持
し、上記第２作動位置に至つたときフツトレスト
をほゞ水平状態に傾動させる第３リンクにより連
結して、バツクレストが上記第２作動位置から
ほゞ水平状態となる第３作動位置に倒伏したと
き、上記チルト及びフツトレストにほゞ傾動作用
が生じないように構成したので、この治療椅子に
着座者（患者）が着座した状態でバツクレストを
傾斜させると、この傾斜に伴いチルトにより構成
される座部が前方へ高く傾斜され、この座部の傾
斜により着座者（患者）は着座状態のまま自然に
後方へずれて腰の部分はバツクレストの下部に近
接し、着座者の上半身は全体にわたつてバツクレ
ストの表面に沿うことになり、バツクレストを傾
斜した状態でも安定した着座姿勢をとることがで
きると共に、バツクレストを治療最適姿勢の角度
まで傾斜させると座部も所要角度に傾斜して着座
者（患者）の大腿部が持ち上げられて血液循環の
点でも最適となり、またバツクレストをさらに倒
伏させた状態では座部は所要角度の傾斜状態にま
たフツトレストもほゞ同一の水平状態に保持され
たまゝとなつて着座者は安楽姿勢をとることがで
きる等歯科用に限ることなく他の治療にも適用で
き治療椅子としてその効果が大である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し第１図は治療椅子
の要部の側面図、第２図は同動作状態における側
面図である。 図中１は椅子、２は基台、３はバツクレスト、
４は座部を構成するチルト、５はフツトレスト、
１７は第１リンク、２０は第２リンク、２６は第
３リンク、２２はシリンダー装置、２３はピスト
ンロツドである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) バツクレストの下部及び座部を構成するチル
   トの後部を夫々基台に枢着すると共に、上記チ
   ルトの先端にフツトレストを蝶着し、上記バツ
   クレストの下部に第１リンクの一端を枢着して
   このリンクの他端を基台に備えたシリンダーな
   どの作動装置に枢着し、この作動装置の前後動
   作によりバツクレストを前記第１リンクを介し
   て起伏回動させるようになし、上記チルトの下
   部と上記第１リンクの他端とを、上記バツクレ
   ストがほぼ起立状態にある第１作動位置で大き
   く傾斜し、該バツクレストが所要角度に倒伏し
   た第２作動位置でほぼ垂直状に垂下して上記作
   動装置の作動に伴いチルトを上方に傾斜回転さ
   せる第２リンクにより連結し、またこの第２リ
   ンクの上記チルトに対する枢着部の近傍位置と
   上記フツトレストとの下部とを、上記第１作動
   位置においてフツトレストを下向き傾斜状態に
   保持し、上記第２作動位置に至つたときフツト
   レストをほゞ水平状態に傾動させる第３リンク
   により連結して、バツクレストが上記第２作動
   位置からほゞ水平状態となる第３作動位置に倒
   伏したとき、上記チルト及びフツトレストに
   ほゞ傾動作用が生じないように構成したことを
   特徴とする治療用椅子。 (2) 第１作動位置におけるバツクレストの起立角
   度を、約12度に設定して成る実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の治療用椅子。 (3) 第１作動位置におけるチルトの水平角度を約
   ５度に設定して成る実用新案登録請求の範囲第
   １項または第２項記載の治療用椅子。 (4) 第２作動位置におけるバツクレストの倒伏角
   度を約47度に、かつチルトの傾斜角度を約20度
   に夫々設定して成る実用新案登録請求の範囲第
   １項、第２項または第３項記載の治療用椅子。 (5) バツクレストの下部を、略Ｌ字状に屈曲して
   成る実用新案登録請求の範囲第１項、第２項、
   第３項または第４項記載の治療用椅子。