JPH0138459B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、動物の飼料に混入するのに適当な新
規なリジン含有組成物に関する。

リジンは単一胃の動物に対する必須アミノ酸で
あり、特に動物の飼料に用いられる。

リジンは化学的な方法又は生化学的な方法によ
り製造することができる。生化学的方法は化学的
方法よりも経済的であるけれど、リジンの抽出は
比較的低収量でしか得られず、特別な装置及び高
価な反応物の使用を必要とする。

リジンを動物の飼育に対して意図する場合、こ
れを穀類の如き種々の飼料に混合する。この組成
物はむしろ貧弱なものとして言及される。これら
の条件下において、精製されたリジンの使用は必
ずしも必要ないように見える。

リジンを生成する発酵からの濃縮されたブロス
（broth）は精製されたリジンと同一の栄養的性質
を有することが示された。リジンを製造するため
に必要とされる発酵媒体の種々の成分及びバイオ
マス又はその分解生成物は処置する動物に対して
悪影響を及ぼさない。しかしながらこれらのブロ
スは動物の飼料と混合することが困難な粘稠液体
である。全体を乾燥した発酵ブロスは、取り扱い
の難しいペースト状の、ねばねばした及び非常に
吸湿性の固体である。

特にソ連国特許第480397号（Institut
Mickrobiologil Imeni Avgusta
Kirkhenshteina Akademii Nauk Latviiskoi
SSR）及び仏国の第2217347号で公開された特許
願第73／40738号（Spofa Usines
Pharmaceutique Reunies）において、粉末シリ
カ、膨張パーライト、骨粉、ヌカ、炭酸カルシウ
ム又は無弗素燐酸塩のような脱水剤生成物を添加
することによつて濃縮されたリジン生成発酵ブロ
スから固体組成物を製造することが提案された。
これらの組成物は、必ずしも必要とされる安定性
を有していない；しばしば吸湿性であつたり、或
いは他に最終組成物のリジン含量が低すぎるよう
な量で脱水剤添加物を使用することを必要とす
る。

多くの無機充填剤が試験されている。特に、あ
る種のシリケート例えばタルク、天然又は沈降性
炭酸カルシウム、マグネシウム（即ち、酸化マグ
ネシウム）、燐酸二カルシウム、塩化カルシウム、
焼き石膏、又はマグネサイトのような天然炭酸マ
グネシウムは、50％に等しい又はそれより多い割
合（この割合は最終生成物の重量に対する添加剤
の重量比）でリジン濃縮物に添加した場合、望ま
しい物理特性を有する生成物を製造することを可
能としない。

本発明によれば、大気中の水分の存在下で粒子
が凝集しないか又は実質的に凝集せず、且つ動物
の飼料への添加に適当である安定なリジン含有の
固体粒状組成物を製造する際に、60〜85重量％の
固体及び15〜40重量％の水を含有し、リジン含量
が10〜40重量％である濃縮されたリジン発酵ブロ
スを、(i)最終組成物中に８〜30重量％の炭酸カル
シウムを生成するのに十分な二酸化炭素の存在下
の石灰、(ii)沈降性炭酸マグネシウム或いは(iii)それ
等の混合物から選択される無機物質で、混合物か
ら水が蒸発するような条件下で、処理し、次いで
得られる混合物から固体粒子を形成されて、(i)の
場合には20〜35重量％のリジン、40〜50重量％の
ブロス固体（リジン以外の）、８〜20重量％の二
酸化炭素（炭酸カルシウムで表示）、７〜14重量
％の全カルシウム及び１〜５重量％の水を含有
し；(ii)又は(iii)の場合には10〜35重量％のリジン、
10〜50重量％の沈降性炭酸マグネシウム（もしく
は10〜50重量％の沈降性炭酸マグネシウム並びに
消石灰及び炭酸カルシウムの形のカルシウム）及
び１〜15重量％の水を含有し、その残りがリジン
生成発酵からのブロス中に含まれる固体よりな
る；固体粒状組成物を製造する方法が提供され
る。

更に、他の無機充填剤例えばシリカ〔例えば商
品名チクソレツクス（Tixolex）、チクソシル
（Tixosil）もしくはゼオシル（Zeosil）で市販さ
れているもの、又は商品名エーロシル（Aerosil）
で公知のもの〕、シリケート〔例えばカルシル
（Calsil）〕、又はアルミノシリケート（例えば膨
張パーライト）も上記無機添加剤に添加しうるこ
とも発見された。

濃縮されたブロスは、随時減圧下での加熱によ
つてリジン発酵ブロスから水を除去して上記の組
成を有するブロスを製造することによつて得るこ
とができる。この加熱中、リジンを生成する微生
物は失活する。工業的には、多目的濃縮機を用い
ることが特に有利である。この濃縮されたブロス
は、時間の経過に対して安定であり、濃縮された
ブロス中に存在するリジンは貯蔵中に分解しな
い。

リジン発酵ブロスは、糖蜜に基づく基質
（substrate）を、適当なリジン生成微生物の存在
下に30〜100時間発酵させることによつて製造す
ることができる。製造されるリジンの量は一般に
50〜100ｇ／である。

本発明による、濃縮されたブロスの添加剤によ
る処理は、種々の方法に従つて行なうことができ
る。更に特に、生石灰及び消石灰を用いる場合、
次の技法を用いることが可能である沈降性炭酸マ
グネシウムも同様に用いることができるが、二酸
化炭素を必要としない。酸化マグネシウムも天然
の炭酸マグネシウムも本発明の製法で用いるのに
は十分な程反応性ではない。

最も簡単な方法は、生石灰を、約60〜85重量％
の固体を含有する濃縮されたリジンブロスと、煉
和機（malaxator）中で混合することからなる。
これはリジン含量10〜40重量％に相当する。この
方法は、最終生成物が続く乾燥を行なわずに直接
製造できるという利点を示す。好ましくは、用い
る濃縮されたリジン−ブロスの含水量は、できる
だけ低量、即ち15〜40重量％、特に15〜30％であ
る。

操作期間中に実質的な減少を達成し及び適当な
らば、連続運転を可能にするために、最終生成物
の一部を循環させることができる。

濃縮されたリジン−ブロスは消石灰と混合しう
るが、この場合には望ましい特性を有する最終生
成物を得るために最終生成物を乾燥することが必
要である。

他の具体例は、濃縮されたリジン−ブロス及び
石灰からなる水性スラリーを流動床中へ噴霧する
ことからなる。これは乾燥しなければならない粒
状物を生成する。この技法を行なうためには、含
水量が噴霧ノズルを容易に通過しうるスラリーに
対して十分に濃縮されたリジン−ブロスを用いる
ことが必要である。

濃縮されたリジン−ブロス及び石灰からなる水
性スラリーを噴霧装置から噴霧することも可能で
ある。この場合、スラリーは容易に輸送しうるよ
うに十分稀釈されていなければならない。

本発明のこれらの種々の具体例は工業的に使用
でき、及び特に最後の２つの方法は連続運転で使
用することができる。

満足しうる結果を得ることを可能とするCaOで
表示される石灰の量は、一般に10〜50重量％であ
る。かなり細かい粒径の石灰を用いることが有利
である。100μ以下の粒径は特に満足しうる結果
を与える。

種々の具体例において、必要とされる品質の最
終生成物を得るためには、混合操作後又は混合操
作中のいずれかに、石灰及び濃縮されたリジン−
ブロスの混合物を最終組成物中に８〜20重量％の
炭酸カルシウムを生成するのに十分な二酸化炭素
の作用に供することが必須である。例えば、密閉
式混練／煉和機中又は窒素雰囲気下に、濃縮され
たリジン−ブロスを石灰と混合しても満足しうる
生成物を与えない。一方、用いる石灰量、濃縮さ
れたリジン−ブロスの含水量及び循環する生成物
の割合に依存して、数分間から１時間まで変化さ
せることのできる期間、二酸化炭素雰囲気下に運
転することにより満足できる生成物が製造され
る。二酸化炭素は空気中に存在するものであつて
もよいが、それは随時加圧下に外部源から供給し
てもよい。後者の方法は好適である。外部からの
二酸化炭素の供給は、より迅速な吸収及び非常に
少量の石灰の使用を可能にする。この方法で生成
せしめられる炭酸カルシウムは望ましい品質の生
成物を製造することを可能にし、一方天然の炭酸
カルシウムと濃縮されたリジン−ブロスとの混合
は満足しうる結果とならない。

本発明によるリジン及び石灰に基づく組成物
は、容易に取り扱うことができそして次の種種の
成分含量（重量％）を有する粒状形（特に顆粒
形）の固体の形態を呈する： リジン 20〜35％ ブロス固体（リジン以外） 40〜50％ 二酸化炭素（炭酸カルシウムで表示） ８〜20％ 全カルシウム ７〜14％ 水 １〜５％ そのような組成物は、優秀な安定性が特色であ
る。約20℃の温度で６ケ月間貯蔵した後、最終生
成物のリジン含量は変わらない。

更にカルシウムの存在は、動物の栄養の必要条
件と適合し、不利な点とならない。

沈降性炭酸マグネシウムもしくは石灰及び沈降
性炭酸マグネシウムの混合物、又は他に石灰及
び／又は沈降性炭酸マグネシウムと無機充填剤例
えばシリカ、シリケートもしくはアルミノシリケ
ートとの混合物を用いる場合にも、同一の方法を
使用することができる。添加される無機充填剤の
全量は、一般に最終組成物の重量の10〜50％であ
る。

リジン及び炭酸マグネシウムに基づく本発明の
組成物は、リジン10〜35重量％、沈降性炭酸マグ
ネシウム10〜50重量％（又は沈降性炭酸マグネシ
ウム及び消石灰及び炭酸カルシウム形のカルシウ
ム10〜50重量％）及び水１〜15重量％を含有し、
その残りはリジンを生成する発酵からのブロスに
含まれる固体及び随時シリカ、シリケート及びア
ルミノシリケートから選択される少くとも一種の
充填剤からなる。

本発明による組成物は、動物の飼育に特に有用
である。これらの組成物は固体でありそして湿気
の存在下に凝集しないので、動物に与えられる飼
料と完全に混合される。これらの組成物の安定性
のために、完全な動物の飼料を使用時に調製する
ことは必ずしも必要でない。

次の実施例は本発明を説明している。

実施例 １ 容量1.6の容器を有し、ら線輪郭の二重Ｚ形
煉和用プロペラ２枚を含んでなり及び冷水を循環
するジヤケツトを備えている、クストナー
（Kustner）形の混練／煉和機中に、粉砕生石灰
（CaO；270ｇ）を導入した。遅いローターの回転
速度は30rpmに設定され及び速いローターの回転
速度は60rpmに設定した。次いで濃縮されたリジ
ン−ブロス（固体70重量％を含有し及び21重量％
のリジン含量を有する；630ｇ）を注ぎ入れた。
５分間混合した後、固体の二酸化炭素の昇華によ
つて得られる二酸化炭素流を通流させた。この工
程で、幾らかの水が蒸発した。ペースト状の混合
物は徐々に硬化し、撹拌が困難になつた。約30分
後、混合物を破砕して種々の大きさの塊にした。
この結果、色が明とび色であり、そして粉末と高
又は低程度の硬度を有する小塊からなり、そして
取り扱いが簡便である生成物（850ｇ）が得られ
た。この生成物はリジン15重量％を含有した。そ
れ故、最初のリジンの中の極めて小割合のみしか
製造中に失われなかつた。

水で飽和した雰囲気中約20℃の温度で８日後、
６〜７％の水蒸気を吸収していたが、生成物はそ
の最初の外観を呈し及び取り扱いが容易のままで
あつた。

実施例 ２ 実施例１の条件下に製造され、35％程度の石灰
（CaO）含量を有し、及び粉砕し且つ500μメツシ
ユのふるいを通過させた生成物（100ｇ）を、ソ
シエテ・アエロマチツク社（Socie´te´
Aeromatic、Mettenz、Switzerland）からのス
トレア（Strea）１型の流動床型顆粒製造及び乾
燥装置中に入れた。

空気流を調節して良好な流動状態を作り出し
た。拡散空気は、固体二酸化炭素の昇華に起因す
る二酸化炭素を含有した。

予じめ500μメツシユのふるいを通した消石灰
（189ｇ）及び水63％を含有する濃縮されたリジン
発酵ブロス（438ｇ）からなるスラリーを調製し、
これを２／時の速度で流動化生成物上に噴霧し
た。噴霧時間は18分であつた。最初の９分間中、
流動化空気の温度は35℃であり、次いで48℃まで
上昇した。噴霧が完了したとき、乾燥を完結させ
るために空気を10分間80℃に加熱した。

この結果、１mm以下の粒径を有し及び次の組成
を有する顆粒形の生成物（494ｇ）を得た： リジン 15％ 乾燥した肉汁ブロス（リジン以外） 30％ 石灰（Ca（OH）₂） 35％ 炭酸カルシウム 15％ 水 ５％ 相対湿度100％の雰囲気中において115時間約20
℃の温度に保つた後、生成物は水15％を吸収した
が、その外観を変えなかつた。特に生成物は粘着
性がなかつた。

実施例 ３ 実施例１の条件に従い、プロラボ（Prolabo
Paris、France）からの軽質炭酸マグネシウム
（160ｇ）に、濃縮されたリジン−ブロス（固体80
重量％を含有し及びリジン含量22重量％を有す
る；374ｇ）を添加した。２分後、ただしこの間
に少量の水が蒸発するが、撹拌を停止することが
できた。この結果色が明とび色であり及び自由に
流動する粉末（530ｇ）を得た。

実施例 ４ 炭酸マグネシウムの50重量％を生石灰で置換し
且つ実施例４の方法に従うことにより、自由に流
動する粉末形の生成物を得た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大気中の水分の存在下で粒子が凝集しないか
   又は実質的に凝集せず、且つ動物の飼料への添加
   に適当である安定なリジン含有の固体粒状組成物
   を製造する際に、60〜85重量％の固体及び15〜40
   重量％の水を含有し、リジン含量が10〜40重量％
   である濃縮されたリジン発酵ブロスを、(i)最終組
   成物中に８〜30重量％の炭酸カルシウムを生成す
   るのに十分な二酸化炭素の存在下の石灰、(ii)沈降
   性炭酸マグネシウム或いは(iii)それ等の混合物から
   選択される無機物質で、混合物から水が蒸発する
   ような条件下で、処理し、次いで得られる混合物
   から固体粒子を形成されて、(i)の場合には20〜35
   重量％のリジン、40〜50重量％のブロス固体（リ
   ジン以外の）、８〜20重量％の二酸化炭素（炭酸
   カルシウムで表示）、７〜14重量％の全カルシウ
   ム及び１〜５重量％の水を含有し；(ii)又は(iii)の場
   合には10〜35重量％のリジン、10〜50重量％の沈
   降性炭酸マグネシウム（もしくは10〜50重量％の
   沈降性炭酸マグネシウム並びに消石灰及び炭酸カ
   ルシウムの形のカルシウム）及び１〜15重量％の
   水を含有し、その残りがリジン生成発酵からのブ
   ロス中に含まれる固体よりなる；固体粒状組成物
   を製造する方法。 ２ 濃縮されたリジン−ブロスを煉和機中で無機
   物質と混合する、特許請求の範囲第１項記載の方
   法。 ３ 濃縮されたリジン−ブロスと無機物質のスラ
   リーを流動床中に噴霧し、得られる粒状生成物を
   乾燥する特許請求の範囲第１項記載の方法。 ４ 濃縮されたリジン−ブロスと無機物質のスラ
   リーを噴霧装置から噴霧し、得られる粒状生成物
   を乾燥する特許請求の範囲第１項記載の方法。 ５ シリカ、シリケート及びアルミノシリケート
   から選択される少くとも一種の無機充填剤が該無
   機物質に添加される特許請求の範囲第１項記載の
   方法。