JPH0127967Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両のインストルメントパネルに設
けられる小物類の収納ボツクスに関するもので、
特に、車両の進行方向に向かつて移動させること
によつて開口が形成されるリツドを備えた収納ボ
ツクスに関するものである。

自動車等の車両には、運転席の前方にインスト
ルメントパネルが設けられ、このインストルメン
トパネルに、計器類や、時計、ラジオ等の装備品
のほか、小物を収納するグローブボツクスが取り
付けられるようになつている。このグローブボツ
クスは、通常、助手席側の端部に設けられてい
る。したがつて、運転席からは遠く離れており、
運転者が運転中にそのグローブボツクスから物を
取り出すようなことはできない。そこで、運転席
から手の届く範囲に、運転者用の小物入れを別途
設けることが望まれている。このような運転者用
の小物入れ、すなわち、小物類の収納ボツクスを
設ける場所としては、インストルメントパネルの
中央部上面などが適している。

ところで、このような小物類の収納ボツクス
は、運転者が運転中であつても容易に物を取り出
したり収納したりすることができるようにするた
めに、その蓋、すなわち、リツドは片手で簡単に
開閉操作できるものでなければならない。したが
つて、その操作性からみて、そのリツドは前方、
すなわち車両の進行方向に向かつて開くようにす
ることが望ましい。また、その開閉操作は、ほと
んど抵抗もなく軽く行うことができるようにする
ことが望ましい。

しかしながら、そのように、リツドが前方に向
かつて軽く開くものとすると、車両の急制動時な
どのように車両に強い減速度が加えられたとき
に、そのリツドが慣性力によつて開いてしまい、
収納ボツクス内に収納されていて小物類が外部に
飛散してしまう恐れがある。

このような車両の急制動時におけるリツドの開
放を防止するためには、グローブボツクス等に用
いられているロツク機構と同様のものを設けるこ
とが考えられるが、そのようにすると、リツドの
開閉のたびにそのロツク機構の操作をしなければ
ならず、運転中の運転者にとつては煩わしいもの
となる。また、そのようなロツク機構は、一般に
ボツクスの内側に設けられるものであるから、イ
ンストルメントパネルの上面に設けられるような
収納スペースの小さいボツクスに、そのようなロ
ツク機構を設けようとすると、その収納スペース
が圧迫されて一層小さくなつてしまう。しかも、
そのようなロツク機構は複雑なものが多く、その
組み付けに手間取り、コストが高くなる。

本考案は、このような問題を解決しようとする
ものであつて、車両のインストルメントパネルに
収納ボツクスを設け、そのリツドを車両の前方に
向かつて軽く開くことができるようにして、運転
者が容易にその開閉操作をすることができるよう
にするとともに、車両の急制動時などにおいて強
い減速度が加えられたときには、そのリツドが自
動的にロツクされ、その開放が確実に防止される
ようにすることを、主な目的とするものである。

また、本考案は、そのロツク機構によつて収納
ボツクスの収納スペースが圧迫されるようなこと
がなく、しかもその組み付け作業も容易なものと
することを、他の目的としている。

これらの目的を達成するために、本考案による
収納ボツクスは、固定部に、一端に錘を有するフ
ツクを揺動自在に軸支するとともに、車両の前方
に向かつて開くリツドに一体に、そのフツクと係
合し得る係合部を設け、車両の急制動時に、錘の
慣性力によつてフツクがリツドの運動方向と反対
の方向に揺動してその係合部と係合し、リツドの
開放を規制するようにしたことを特徴としてい
る。

以下、図面により本考案の一実施例を説明す
る。

第１図に示すように、車両の室内の運転席S₁及
び助手席S₂の前方には、インストルメントパネル
Ｐが設けられている。このインストルメントパネ
ルＰは、上面にほぼ水平な面Ｕを有しており、そ
の中央部に、小物類の収納ボツクスＢが設けられ
ている。この収納ボツクスＢは、運転者が運転席
S₁に座つたままで手の届く範囲に位置している。

第２図に示すように、この収納ボツクスＢは、
小物を収納する収納部が形成されたセンターポケ
ツト１と、その収納部の蓋をなすリツド２とを備
えている。このセンターポケツト１は、その上部
の収納部開口の外周に設けられたフランジ部３に
よつて、インストルメントパネルＰに支持される
ようになつている。

リツド２には、前部、すなわち車両に取り付け
られたときその進行方向側に位置する部分の両側
端に、アーム４，４が一体成形されている。一
方、センターポケツト１の前部壁５及びこれに隣
接する両側壁６，６の前方部分には、長い切り込
み溝７及び８，８が設けられていて、リツド２及
びそのアーム４，４がこの溝７及び８，８を貫通
するようになつている。そして、センターポケツ
ト１の両側壁６，６には、その中央部に、外側方
に突出する軸９，９が設けられており、この軸
９，９によつてリツド２のアーム４，４が軸支さ
れている。このようにして、リツド２は前後方向
に回動できるようにされ、前方に回動したときセ
ンターポケツト１の収納部を開き、後方に回動し
たときそれを閉じるようにされている。センター
ポケツト１の側壁６下部にはストツパ１０が設け
られ、リツド２を開いたときそのアーム４がスト
ツパ１０に当接して、リツド２の前方への過度の
回動を防止するようになつている。このストツパ
１０の当接面にはゴム等の弾性材が取り付けられ
ており、アーム４が当接したとき異音が生じるこ
とのないようにされている。センターポケツト１
のリツド２との当接面にもゴムクツシヨンを設
け、リツド２を閉じたとき異音が発生することの
ないようにする。

第２図及び第３図から明らかなように、センタ
ーポケツト１の一方の側壁６には、アーム４を軸
支する軸９より後方に、他の軸１１が設けられて
おり、この軸１１に、フツク１２がその中央部に
おいて揺動自在に軸支されている。このフツク１
２の下端部には錘１３が設けられており、通常は
その重力によつてフツク１２が前方に傾斜した状
態を保つようにされている。この錘１３は加速度
センサの役割を果たすもので、車両の急制動時な
どに強い減速度が加えられたときには、その錘１
３が慣性力によつて前方に移動し、フツク１２が
軸１１を中心として第３図で時計方向に回動する
ようになつている。一方、リツド２のアーム４に
は、その後方に、軸９を中心とする円弧状部１４
が一体に設けられ、切り込み１４ａによつて、そ
の後端部に係合部１５が形成されている。この係
合部１５は、フツク１２の先端の鉤状部１２ａと
係合し得るようになつている。

フツク１２が時計方向に回動したときその先端
の鉤状部１２ａがセンターポケツト１に当接する
位置には、ゴム等のクツシヨン１６が設けられて
いる。このクツシヨン１６は、フツク１２がセン
ターポケツト１に当接して異音が発生するのを防
止するとともに、車両の急制動時におけるフツク
１２の回動範囲を制限し、その鉤状部１２ａのア
ーム４に一体の係合部１５とが確実に係合するよ
うに、フツク１２を位置決めする役割を果たすも
のである。また、フツク１２の反時計方向の回動
を制限するために、センターポケツト１には、フ
ツク１２の下端部後方に対応する位置に、ゴム等
のクツシヨンストツパ１７が設けられている。こ
のようにして、フツク１２はクツシヨン１６とス
トツパ１７との間でのみ揺動するようにされ、車
両の走行中にフツク１２が揺動したときも騒音が
生じることのないようにされる。

前述のように、リツド２は軸９によつてセンタ
ーポケツト１に軸支されているだけであるから、
その開閉操作は容易である。ところで、この実施
例では、その開閉がよりスムーズに行われるよう
にするために、センターポケツト１とリツド２の
アーム４との間にトグル式スプリング１８を設け
ている。このトグル式スプリング１８は、リツド
２をある程度開くとそのアーム４を開放方向に付
勢し、ある程度まで閉じると閉鎖方向に付勢する
ものである。したがつて、リツド２を少し開く
と、そのまま手を離しても、リツド２はスプリン
グ１８の力によつて全開する。また、開いた状態
からリツド２を少し閉じると、スプリング１８の
力によつてリツド２は完全に閉じられる。そし
て、リツド２を閉じた状態では、そのスプリング
１８によつてリツド２を開く力に対抗する力が加
えられるので、車両を減速しただけでリツド２が
開いてしまうようなことは防止される。しかしな
がら、そのトグル式スプリング１８の力を強くし
ようとすると、リツド２の開閉操作に大きな力を
要するようになり、運転者が操作しにくくなる。
そのために、スプリング１８を強いものとするこ
とはできず、そのスプリング１８によつて車両の
急制動時におけるリツド２の開放を防止するよう
にすることはできない。

なお、このようなアーム４の係合部１５、フツ
ク１２、トグル式スプリング１８等は、センター
ポケツト１の両方の側壁６，６に設けるようにす
ることもできる。また、トグル式スプリング１８
のみを他方の側壁６に設けるようにすることもで
きる。

次に、このような収納ボツクスＢの作用につい
て説明する。

車両が通常の走行をしているときには、大きな
加速度あるいは減速度は生じないので、フツク１
２は、その錘１３の重力によつて第３図の実線で
示す状態に保持される。この状態では、フツク１
２の鉤状部１２ａは、アーム４の係合部１５の回
動軌跡、すなわち軸９を中心として係合部１５が
描く円弧より下方に位置しているので、これらが
係合することはない。したがつて、リツド２の開
閉には何の支障もなく、運転中であつても運転者
はその収納ボツクスから物を取り出したり、また
それを収納したりすることができる。

車両が急制動されたときには、大きな減速度が
生じる。それによつて、錘１３には強い慣性力が
働き、フツク１２は第３図で時計方向に回動し
て、その先端の鉤状部１２ａが仮想線で示すよう
にクツシヨン１６に当接する。一方、リツド２に
も慣性力が働き、当方に向けて移動する。したが
つて、これと一体のアーム４は、軸９を中心とし
て反時計方向に回動する。そして、このときは、
フツク１２の鉤状部１２ａがアーム４の係合部１
５の回動軌跡上に位置しているので、これらが係
合する。このようにフツク１２とアーム４とが係
合すると、これらの回動中心がそれぞれ軸１１、
軸９と異なつているために、互いにロツクされ
る。このようにして、アーム４の回動が阻止さ
れ、リツド２の開放が防止される。

このような急減速後、車両が平常走行に戻つた
場合には、リツド２を一旦全閉状態にする。する
と、フツク１２と係合部１５との係合が外れ、フ
ツク１２は錘１３の重力によつて再び第３図実線
の状態に戻る。

このようなリツド２のロツク機構においては、
クツシヨンストツパ１７の位置、厚さ等を適宜選
定して、フツク１２が自由状態より所定角度だけ
時計方向に回動した位置で保持されるようにする
ことができる。そのようにすることによつて、通
常の減速時にはフツク１２が揺動することはな
く、所定の減速度が加わつたときに始めて揺動す
るようにすることができる。このようなストツパ
１７は、フツク１２の上端側のアーム４との間に
設けるようにすることもできる。

なお、上記実施例では、リツド２を軸９のまわ
りに前方に回動することによつて、収納時の開口
が形成されるものとしているが、リツド２は前方
に摺動して開くものであつてもよい。また、リツ
ド２がセンターポケツト１と一体とされ、全体が
前方に揺動されることによつて収納時の開口が形
成されるような収納ボツクスにも、上記のような
リツド開放防止機構を適用することができる。そ
の場合、フツク１２は、インストルメントパネル
Ｐ等の固定部に軸支するようにするようにする。

以上のように、本考案によれば、車両のインス
トルメントパネルに、車両の進行方向に向かつて
前方に移動させることによつて開口が形成される
リツドを備えた収納ボツクスを設けるとともに、
車両の急制動時等における大きな減速度を検知し
て揺動するフツクを設け、その揺動によつてリツ
ドを係止するようにしているので、急制動時等に
は自動的にリツドがロツクされ、リツドが開いて
収納ボツクス内の収納物が飛び出すようなことは
なくなる。したがつて、そのリツドは軽く開閉操
作できるものとすることができ、運転中であつて
も扱いやすく、運転者用に適した小物類の収納ボ
ツクスとすることができる。また、そのリツドの
開放を防止するフツク等のロツク機構は、収納ボ
ツクスの収納部の外側に設けることができるの
で、その収納スペースが圧迫されることもなく、
組み付け作業も容易なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による収納ボツクスを設けた
状態を示す、自動車の車室内前部の概略斜視図、
第２図は、本考案による収納ボツクスの一実施例
を示す分解斜視図、第３図は、第２図の収納ボツ
クスの側面図である。 １……センターポケツト、２……リツド、４…
…アーム、９……軸、１１……軸、１２……フツ
ク、１３……錘、１５……係合部、１６……クツ
シヨン、Ｂ……収納ボツクス、Ｐ……インストル
メントパネル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車両の進行方向に向かつて移動させることによ
   り物品収納時の開口が形成されるリツド２と、 中央部が固定部に軸支され、一端に錘１３を有
   していて、車両の減速を検知して揺動するフツク
   １２と、 前記リツド２に一体的に設けられ、前記揺動し
   たフツク１２と係合する係合部１５と、 を備えてなる、車両のインストルメントパネルに
   設けられる小物収納ボツクス。