JP4697002B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の衝突が予測された場合に乗員を保護するための車両用乗員保護装置に関するものである。
近年、車両においては、衝突時の被害を軽減すべく、ミリ波レーダ等により前走車、路上障害物、対向車等の対象物を検出して衝突を予測した場合、衝突に先立ち、運転者に警報を行ったり、ブレーキを作動させて衝突速度を低下させたり、シートベルトを緊張させて乗員を拘束したりするシステム(プリクラッシュセーフティシステム)が開発されている。
これに関連する技術として、例えば特許文献1では、フットレストの使用時に衝突のおそれのある場合に、フットレストの角度を変えて、フットレストを使用位置から収納位置に戻すことが提案されている。
特開2006−6547号公報(図1)
ところで、一般的な車両には、室内の装備品として、コンソールボックス、グラブボックス等の収納具や、空調用レジスタが設けられている。こうした車両では、衝突直前の制動による急減速時に、収納具が開放状態となっていると、その収納具内の収納物が慣性により飛散するおそれがある。また、空調用レジスタに設けられた板状のフィンが、上記急減速時に開放状態になっていると、その急減速に伴い乗員が姿勢を崩した場合、フィンの尖った端縁等に接触するおそれがある。しかしながら、上記システムや、特許文献1に記載された技術では、こうした問題についての対策が講じられていない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両の衝突が予測される場合に、収納具内の収納物又は空調用レジスタから乗員を保護することのできる車両用乗員保護装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた収納具の開口部を開閉する蓋体を作動させるためのアクチュエータと、前記蓋体により前記開口部を閉じる退避位置で前記蓋体を保持するロック手段と、前記アクチュエータ及び前記ロック手段の各作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号に応じて前記アクチュエータを作動させて前記蓋体前記退避位置へ退避させるとともに、前記蓋体の前記退避位置への退避が完了したときに前記ロック手段を作動させて前記退避位置で前記蓋体を保持させることを要旨とする。
上記の構成によれば、収納具は、その蓋体の位置により異なる態様となる。この収納具についての車両用乗員保護装置では、制御手段は、車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号に応じてアクチュエータを作動させる。この作動により、衝突に備え蓋体が退避位置に退避させられる。従って、退避位置として、収納具内の収納物から乗員を保護し得る位置を設定することで、収納具は上記蓋体の退避位置への退避により、退避させられない場合に比べ乗員にとってより好ましい態様となる。
また蓋体の退避位置への退避が完了すると、その状態が保持される。そのため、一旦退避位置に退避させられた蓋体が、何らかの原因によりその退避位置とは異なる位置に移動する現象を防止することができる。
さらに、プリクラッシュ信号に応じ車両が制動により急減速された場合には、収納具内の収納物が慣性により移動しようとするが、その移動が蓋体によって規制され、収納物が収納具の開口部から飛散する現象が抑制される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段には、作動スイッチが接続され、前記作動スイッチは、前記プリクラッシュ信号を受信しない場合に前記アクチュエータ及び前記ロック手段の各作動を制御するようにしたことを要旨とする。
本発明によれば、車両の衝突が予測される場合に、収納具内の収納物から乗員を保護することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1を参照して説明する。
車室内の運転席と助手席との間には、収納具としてコンソールボックス11が設けられている。コンソールボックス11は、上端に開口部12を有するボックス本体13と、この開口部12を開閉する可動部材としての蓋体14とを備えている。この蓋体14の開閉動作をアクチュエータによって行うために、蓋体14の下面の一部にラック15が取り付けられている。
また、ボックス本体13にはアクチュエータとして電動モータ18が取り付けられている。電動モータ18は、その出力軸18aが紙面と直交する方向に延びるように配置されているが、ここでは説明の便宜上、出力軸18aが紙面に沿う方向へ延びるように向きを変えて図示されている。電動モータ18の出力軸18aには歯車17が一体回転可能に取り付けられている。この歯車17とラック15とには歯車16が噛み合わされている。
そのため、通電により電動モータ18の出力軸18aが回転させられると、その回転が歯車17,16及びラック15を介して蓋体14に伝達される。この伝達によりラック15及び蓋体14が略水平方向(図1の略左右方向)へ移動して、ボックス本体13の開口部12が開閉される。
ここで、本実施形態では、蓋体14の可動範囲について、蓋体14が開口部12を閉じる位置が「退避位置」とされている。図1中、蓋体14について実線で示されている位置が退避位置である。なお、同図1中の二点鎖線は、開口部12が開放される途中段階の蓋体14を示している。
ボックス本体13には、蓋体14の開閉作動に際し乗員により操作される作動スイッチ19が設けられている。作動スイッチ19には、蓋体14が開口部12を閉鎖する閉位置と、同開口部12を開放する開位置とを含む複数の操作位置が設定されており、乗員が作動スイッチ19の操作によりいずれかの操作位置を選択することが可能となっている。
コンソールボックス11には、蓋体14が上記退避位置へ移動(退避)したときに、蓋体14をその位置に保持するためのロック装置が設けられている。このロック装置について説明すると、蓋体14の所定の箇所(図1では下面)にはロック穴20があけられている。また、ボックス本体13には電磁ソレノイド21が取り付けられている。この取り付け位置は、退避位置に移動した蓋体14のロック穴20に対向する箇所である。電磁ソレノイド21は、コイル(図示略)を有する本体部22と、コイルの励磁状態に応じて往復動して本体部22から出没するプランジャ(可動鉄心)23とを備えて構成されている。この電磁ソレノイド21では、コイルが励磁されるとプランジャ23が本体部22から突出し、ロック穴20に入り込む。これに対し、コイルが消磁されるとプランジャ23が後退してロック穴20から抜け出す。
車両には、電動モータ18及び電磁ソレノイド21の各作動を制御する手段(制御手段)として制御装置24が設けられている。制御装置24には、上記電動モータ18及び電磁ソレノイド21が接続されているほか、上記作動スイッチ19が接続されている。
また、車両にはプリクラッシュ制御装置25が設けられており、これが上記制御装置24に接続されている。プリクラッシュ制御装置25は、ミリ波レーダ等の検出信号に基づき、進路上にある前走車や対向車、路上障害物等を認知すると、それらと自車との相対速度や距離等を演算する。プリクラッシュ制御装置25は、この演算結果に基づき衝突が不可避であると判断すると、すなわち衝突を予測すると、その情報をプリクラッシュ信号として出力する。
そして、このプリクラッシュ信号に応じ、ランプ、ブザー等の作動を通じて運転者に衝突の不可避を知らせる制御、ブレーキ操作を促すとともにブレーキペダルの踏み込みに応じて早期に制動力を補助する制御、モータによってシートベルトを巻き取る制御等が別途の制御装置等によって行われる。こうした制御により車両の安全装備が早期に作動させられる。また、上記プリクラッシュ制御装置25からのプリクラッシュ信号は制御装置24にも入力される。
上記のようにしてコンソールボックス11についての車両用乗員保護装置が構成されている。この車両用乗員保護装置では、プリクラッシュ信号の受信状況に応じて制御装置24が電動モータ18及び電磁ソレノイド21を次のように制御する。
<プリクラッシュ信号を受信しない場合>
この場合、制御装置24は電磁ソレノイド21に対しては通電しない。この状態では、コイルが消磁され、プランジャ23がロック穴20から抜け出している。そのため、プランジャ23が蓋体14の移動の障害となることはない。また、制御装置24は、作動スイッチ19の操作位置に応じて電動モータ18への通電を制御する。作動スイッチ19が開位置に操作されると、制御装置24は、蓋体14が開口部12を開放する位置へ移動するように電動モータ18への通電を制御する。これとは逆に、作動スイッチ19が閉位置に操作されると、制御装置24は蓋体14が開口部12を閉鎖する位置へ移動するように電動モータ18への通電を制御する。
<プリクラッシュ信号を受信した場合>
この場合、制御装置24は電動モータ18への通電を制御することにより同電動モータ18を作動させて、蓋体14を退避位置まで移動(退避)させる。この退避位置は、上述したように蓋体14がボックス本体13の開口部12を閉じる位置(閉鎖位置)である。
従って、プリクラッシュ信号に応じて車両が制動により急減速された場合には、ボックス本体13内の収納物が慣性により移動しようとするが、その移動が蓋体14によって規制され、収納物がボックス本体13の開口部12から飛散する現象が起こりにくくなる。この退避位置では、ロック穴20が電磁ソレノイド21のプランジャ23に対向する。
また、制御装置24は、蓋体14の退避位置への退避が完了すると、電磁ソレノイド21に通電し、コイルを励磁させる。この励磁によりプランジャ23が本体部22から突出して、蓋体14のロック穴20に入り込む。このプランジャ23とロック穴20との係合関係により、蓋体14が退避位置に保持される。そのため、一旦退避位置に退避させられた蓋体14が、何らかの原因によりその退避位置とは異なる位置に移動する現象を防止することができる。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)開口部12を閉じる位置を退避位置とし、車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号に応じて電動モータ18を作動させて、蓋体14を退避位置に退避させるようにしている。そのため、衝突に備え車両が制動により急減速されても、ボックス本体13内の収納物が慣性により開口部12から飛散する現象を、退避位置に退避した蓋体14によって抑制することができる。このようにして、衝突直前の制動による急減速時に、コンソールボックス11内の収納物から乗員を保護することができる。
(2)蓋体14の退避位置への退避が完了すると、電磁ソレノイド21への通電によりプランジャ23を突出させて蓋体14のロック穴20に入り込ませるようにしている。そのため、一旦退避位置に退避させられた蓋体14が退避位置とは異なる位置へ移動する現象を防止し、収納物の飛散を抑制する効果を良好に維持することができる。
参考例
次に、参考例について、図2及び図3を参照して説明する。
車室内に配置されたインストルメントパネルについて、運転席の前方又は助手席の前方に相当する箇所には、空調用レジスタ26が設けられている。空調用レジスタ26では、略四角筒状をなす送風ダクト27の開口部27aに、略四角板状をなす複数枚のフィン28,29がそれぞれ可動部材として配置されている。各フィン28,29は、送風ダクト27内において車幅方向(紙面と直交する方向)へ延びるように配置されており、それぞれ軸30により送風ダクト27の側壁31に回動可能に支持されている。なお、複数のフィン28,29は鉛直方向に延びるように配置されたものであってもよい。
各フィン28,29では、その表面のうち相対向し、かつ最も大きな面積を有する一対の面が風向き変更面32とされている。上記のように各フィン28,29が車幅方向に延びるように配置された本参考例では、各フィン28,29の上下両面が風向き変更面32とされている。
これらのフィン28,29は、上記軸30とは異なる箇所(図2ではフィン28,29の左端部)において、略鉛直方向に延びるように配置された連結ロッド33に連結されている。そのため、所定のフィン28についてその軸30を支点として回動させると、その回動が連結ロッド33を介して他のフィン29にも伝達され、全てのフィン28,29が同期して同一方向へ回動される。送風ダクト27内を流れる風は、上記のように回動により角度の調整されたフィン28,29間等を通過する際、それらのフィン28,29の風向き変更面32に沿って向きを変えられ、開口部27aから乗員側へ吹き出す。例えば、図2に示すように、風向き変更面32が開口部27aの天井面又は底面に対し略平行になると(フィン29のこの位置を、以下「中立位置」という)、風は車両前側(図2の左側)から車両後側である乗員側(図2の右側)へ向けて真っ直ぐに吹き出す。この中立位置から、軸30を支点としてフィン28,29が時計回り方向へ回動されると、風は車両後側(乗員側)の斜め下方へ吹き出す。これとは逆に、中立位置から、軸30を支点としてフィン28,29が反時計回り方向へ回動されると、風は車両後側(乗員側)の斜め上方へ吹き出す。
軸30を支点として、所定のフィン28を回動させるために、その軸30は側壁31から送風ダクト27の外部へ突出しており、その先端に歯車34が一体回転可能に取り付けられている。送風ダクト27の外部にはアクチュエータとして電動モータ35が配置されている。電動モータ35は、その出力軸35aが紙面と直交する方向に延びるように配置されているが、ここでは説明の便宜上、出力軸35aが紙面に沿う方向へ延びるように向きを変えて図示されている。電動モータ35の出力軸35aには歯車36が一体回転可能に取り付けられており、この歯車36が上記歯車34に噛み合わされている。そして、通電により電動モータ35の出力軸35aが回転させられると、その回転が歯車36,34を介して所定の軸30に伝達され、その軸30とともにフィン28が回動させられる。
ここで、本参考例では、各フィン28,29の可動範囲(回動範囲)について、同フィン28,29の風向き変更面32により開口部27aを閉じる位置が「退避位置」とされている。この退避位置では、図3に示すように、各風向き変更面32の水平面Lに対しなす角度θが大きく(直角に近い角度に)なる。
また、空調用レジスタ26には、フィン28,29が上記退避位置へ回動(退避)させられたときに、フィン28,29をその位置に保持するためのロック装置が設けられている。このロック装置について説明すると、送風ダクト27における一方の側壁31には孔37があけられている。側壁31における孔37の位置は、フィン28が退避位置へ回動させられたときに、その車両前側(図3の左側)の風向き変更面32に対応する位置である。送風ダクト27の外部であって上記孔37の近傍には、電磁ソレノイド38が取り付けられている。電磁ソレノイド38は、第1実施形態における電磁ソレノイド21と同様、コイル(図示略)を有する本体部39と、コイルの励磁状態に応じて往復動して本体部39から出没するプランジャ(可動鉄心)40とを備えて構成されている。電磁ソレノイド38は、そのプランジャ40が紙面と直交する方向へ延びるように配置されているが、ここでは説明の便宜上、プランジャ40が紙面に沿う方向へ延びるように向きを変えて図示されている。この電磁ソレノイド38では、コイルが励磁されるとプランジャ40が本体部39から突出し、孔37を貫通して送風ダクト27内であってフィン28の可動(回動)領域に入り込む。これに対し、コイルが消磁されるとプランジャ40がフィン28の可動(回動)領域から後退して本体部39内へ没入する。
車両には、上記電動モータ35及び電磁ソレノイド38の各作動を制御する手段(制御手段)として制御装置41が設けられている。制御装置41には、これらの電動モータ35及び電磁ソレノイド38がそれぞれ接続されているほか、上記第1実施形態と同様のプリクラッシュ制御装置25が接続されている。
上記のようにして、空調用レジスタ26についての車両用乗員保護装置が構成されている。この車両用乗員保護装置では、プリクラッシュ信号の受信状況に応じて制御装置41が電動モータ35及び電磁ソレノイド38を次のように制御する。
<プリクラッシュ信号を受信しない場合>
この場合、制御装置41は電磁ソレノイド38に対しては通電しない。この状態では、コイルが消磁され、図2に示すようにプランジャ40が本体部39に没入しており、送風ダクト27内、より詳しくはフィン28の可動(回動)領域に入り込んでいない。そのため、プランジャ40がフィン28の回動の障害となることはない。従って、電動モータ35の制御によって各フィン29を所定の角度に調整して、風向きを上下方向に任意に変えることが可能である。
<プリクラッシュ信号を受信した場合>
この場合、制御装置41は電動モータ35に対する通電を制御することにより同電動モータ35を作動させ、歯車36,34を介してフィン28を、図3に示すように、軸30を支点として上述した退避位置まで回動(退避)させる。この回動は、連結ロッド33を介して他のフィン29にも伝達され、全てのフィン28,29が一体的に退避位置まで回動(退避)させられる。この退避位置では、上述したように各フィン28,29の風向き変更面32の水平面Lに対しなす角度θが大きくなり、開口部27aが風向き変更面32によって実質的に閉じられた状態になる。このとき、フィン28,29において乗員に対向する面の多くは一方(車両後側)の風向き変更面32である。風向き変更面32は、板状のフィン28,29の表面において、相対向する面の組み合わせのうち最も大きな面積を有している組み合わせの面である。
従って、プリクラッシュ信号に応じて車両が制動により急減速され、乗員が姿勢を崩して空調用レジスタ26のフィン28,29に接触したとしても、フィン28,29の最も広い面である風向き変更面32に専ら接触することとなる。このときの接触面積は、風向き変更面32とは異なる狭い面に接触する場合よりも大きくなる。例えば、図2に示す中立位置にあるフィン28,29に接触する場合には、それらのフィン28,29の右側の狭い端面28a,29aに接触することになるが、参考例ではこれよりも広い風向き変更面32に接触する。
また、制御装置41は、フィン29の退避位置への退避が完了すると、電磁ソレノイド38に通電し、コイルを励磁させる。この励磁によりプランジャ40が本体部39から突出して、孔37を通じて送風ダクト27内、より詳しくはフィン28の可動(回動)領域に入り込む。そのため、フィン28,29が開口部27aを開く側へ回動する現象がプランジャ40との接触によって規制される。フィン28に対し連結ロッド33によって連結された他のフィン29についても同様に規制される。この規制により、フィン28,29が退避位置に保持される。そのため、一旦退避位置に退避させられたフィン28,29が、何らかの原因によりその退避位置とは異なる位置に移動する現象が防止される。
以上詳述した参考例によれば、次の効果が得られる。
(3)フィン28,29が風向き変更面32により開口部27aを閉じる位置を退避位置とし、車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号に応じて電動モータ35を作動させ、空調用レジスタ26のフィン28,29を退避位置に退避させるようにしている。そのため、衝突に備え車両が制動により急減速され、慣性により乗員が姿勢を崩した場合には、フィン29における面積の大きな風向き変更面32に専ら接触することになる。風向き変更面32よりも面積の小さな面(端面28a,29a)に接触する場合よりも接触面積を大きくすることができる。
(4)フィン28,29の退避位置への退避が完了すると、電磁ソレノイド38への通電によりプランジャ40を突出させてフィン28の可動(回動)領域に入り込ませるようにしている。そのため、一旦退避位置に退避させられたフィン28,29が退避位置とは異なる位置へ移動する現象を起こりにくくすることができる。フィン28,29との接触面を広い風向き変更面32とする効果を良好に維持することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態又は参考例に具体化することができる。
・コンソールボックス11は、第1実施形態とは異なる態様で蓋体14が作動してボックス本体13の開口部12を開閉するものであってもよい。例えば、蓋体14が軸によりボックス本体13に回動可能に支持され、この蓋体14の回動により開口部12が開閉されるタイプであってもよい。
・本発明の第1実施形態及び参考例の車両用乗員保護装置の適用対象となる収納具又は空調用レジスタは、可動部材が手動で作動されるものであってもよい。この場合には、緊急時専用のアクチュエータを設け、制御装置が車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号を受信したときのみ上記緊急時専用のアクチュエータを作動させる。
緊急時専用のアクチュエータとしては、上記第1実施形態及び参考例におけるアクチュエータ(電動モータ)とは異なるタイプを用いてもよい。
・本発明の車両用乗員保護装置の適用対象となる収納具としては、第1実施形態で説明したコンソールボックス11のほかにも、カップホルダ、灰皿、グラブボックス等が挙げられる。
ここでのカップホルダは、飲み物用容器を保持するための凹部が、小物を入れるための空間を兼ねているものである。カップホルダ又は灰皿は、可動部材として蓋体を備えるものであってもよい。この場合にも、第1実施形態と同様、蓋体がカップホルダ又は灰皿の開口部を閉じる位置が「退避位置」となる。また、カップホルダ自体又は灰皿自体を可動部材とし、これをインストルメントパネルに設けた凹所に出し入れ可能に装着したものであってもよい。この場合、カップホルダ自体又は灰皿自体が凹所に格納される位置が「退避位置」となる。
グラブボックスは、インストルメントパネルに設けられた凹所に軸により支持され、凹所から助手席側へ倒れた開放位置と、凹所内に格納された閉塞位置との間で回動するものであってもよい。この場合には、グラブボックス自体が可動部材を構成することとなり、上記閉塞位置が退避位置となる。
また、グラブボックスは、インストルメントパネルに組み込まれ、小物等を収納するためのボックス本体と、このボックス本体の開口部を開閉する蓋体とを備えるものであってもよい。この場合には、第1実施形態と同様、蓋体が可動部材に相当し、蓋体がボックス本体を閉塞する位置が「退避位置」となる。
なお、上記のように例示された収納具が乗員の座席の前方に配置される場合には、可動部材が退避位置に退避されることにより、収納物の飛散を抑制する効果に加え、次の効果も得られる。それは、衝突に備え車両が制動により急減速され、慣性により乗員が姿勢を崩した場合に、退避位置に退避した蓋体等の可動部材に接触することとなる。乗員は、退避位置とは異なる箇所に位置する可動部材の角部等に接触する場合よりも広い面で接触する。こうした効果は、一般に助手席の前方に設けられるグラブボックスについて特に期待できる。
・本発明の車両用乗員保護装置の適用対象となる収納具としては、次に示すものも挙げられる。
例えば、インストルメントパネルに設けられ、かつ空調用レジスタが組み込まれた収納凹部と、この収納凹部の開口部を開閉する可動部材としての蓋体とを備えたものである。この場合、空調用レジスタとしては、第1実施形態で説明したものと同様の構成を有するものを用いてもよいし、これとは異なる構成を有するものを用いてもよい。
また、蓋体は、開口部を開放する位置(開放位置)と、同開口部を閉塞する位置(閉塞位置)との間で移動可能である。蓋体が開放位置にあるときには、空調用レジスタを通過して風向きを調整された風が開口部から吹き出される。これに対し、蓋体が閉塞位置にあるときには、風は開口部からは吹き出されない。
上記収納具では、蓋体を作動(開閉)させるためのアクチュエータ、及びプリクラッシュ信号に応じてアクチュエータを作動させて蓋体を退避位置に退避させる制御装置が用いられる。この場合、蓋体が開口部を閉塞する閉塞位置が「退避位置」に該当する。さらに、蓋体を退避位置に退避した状態に保持するロック装置が用いられることが望ましい。
この収納具では、制御装置はプリクラッシュ信号を受信すると、アクチュエータを作動させて、蓋体を退避位置まで退避させる。この退避位置は、上述したように蓋体が開口部を閉じる位置である。
従って、プリクラッシュ信号に応じて車両が制動により急減速され、乗員が姿勢を崩した場合には、空調用レジスタのフィンに接触することが蓋体により妨げられる。乗員はフィンに接触する場合よりも蓋体の広い面に接触することとなる。
また、空調用レジスタの構成部品が折損しても、開口部から飛散する現象を、退避位置に退避した蓋体によって抑制することができる。
なお、同様の効果は、上記空調用レジスタに代え、収納凹部にディスプレイやカーオーディオを組み込んで構成した収納具でも得られる。この場合、ディスプレイ自体、カーオーディオに用いられる各種記録媒体(コンパクトディスク、ミニディスク、メモリカード)等も飛散の対象となるが、この飛散についても退避位置に退避した蓋体によって抑制することができる。
・第1実施形態における歯車17としてウォームを用い、歯車16としてウォームホイールを用い、これらのウォーム及びウォームホイールによってウォームギヤを構成してもよい。同様に、参考例における歯車36としてウォームを用い、歯車34としてウォームホイールを用い、これらのウォーム及びウォームホイールによってウォームギヤを構成してもよい。ウォームギヤは一般に、互いに直角で交わらない2軸間に大きな減速比の回転を伝達する場合に用いられる。ウォームギヤには、ウォームホイール側からウォームを回転させるために大きな荷重が必要になるという特徴がある。従って、上記のようにウォームギヤを構成することで、蓋体14又はフィン28,29の退避位置への待避が完了した後に、電動モータ18,35に対する通電を停止させても、それらの蓋体14又はフィン28,29を退避位置に保持することが可能となる。
・蓋体14及びフィン29を退避位置に退避させた後も電動モータ18,35に通電し続けることにより、上述した第1実施形態及び参考例でのロック装置ほど強力ではないものの、蓋体14及びフィン29を退避位置に保持する効果が期待できる。
参考例は、単一のフィン29を可動部材として有する空調用レジスタ26についての車両用乗員保護装置にも適用可能である。
・車両の通常運転時(プリクラッシュ信号の非受信時)における可動部材の作動領域から外れた位置を、可動部材の退避位置としてもよい。
本発明をコンソールボックスについての車両用乗員保護装置に具体化した第1実施形態において、その構成を示す略図。 本発明を空調用レジスタについての車両用乗員保護装置に具体化した参考例において、その構成を示す略図。 参考例においてフィンを退避位置に退避させた状態を示す略図。
符号の説明
11…コンソールボックス(収納具)、12,27a…開口部、14…蓋体(可動部材)、18,35…電動モータ(アクチュエータ)、24,41…制御装置(制御手段)、26…空調用レジスタ、27…送風ダクト、28,29…フィン(可動部材)、32…風向き変更面。

Claims (2)

  1. 車両に設けられた収納具の開口部を開閉する蓋体を作動させるためのアクチュエータと、
    前記蓋体により前記開口部を閉じる退避位置で前記蓋体を保持するロック手段と、
    前記アクチュエータ及び前記ロック手段の各作動を制御する制御手段とを備え
    前記制御手段は、前記車両の衝突を予測するプリクラッシュ信号に応じて前記アクチュエータを作動させて前記蓋体前記退避位置へ退避させるとともに、前記蓋体の前記退避位置への退避が完了したときに前記ロック手段を作動させて前記退避位置で前記蓋体を保持させることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  2. 前記制御手段には、作動スイッチが接続され、
    前記作動スイッチは、前記プリクラッシュ信号を受信しない場合に前記アクチュエータ及び前記ロック手段の各作動を制御するようにした請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
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