JP7356895B2 - 透明ポリイミド樹脂を含む光学フィルム並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
前記透明ポリイミド樹脂はジアミン由来構造と酸二無水物由来構造とを有するポリイミド樹脂であり、前記ジアミンとして、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを40モル%以上100モル%以下含み、前記酸二無水物として、酸二無水物全量100モル%に対して、式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を10モル%以上65モル%以下含む構造を有し、
(d)残溶媒量が、5~15%である透明ポリイミド樹脂シート(グリーンシート)を透明ポリイミド樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたときに、延伸温度が(Tg-140)[℃]~(Tg-50)[℃]となる範囲内で、延伸倍率R[%]が下記計算式(1)を上限とする範囲内で延伸して、延伸フィルムを得る工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。(式(1)中、n=1またはn=2、R1~R4は各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、必ず一つは水素原子である。計算式(1)中、Tsは延伸温度である。)
(a)溶解させた前記透明ポリイミド樹脂溶液を基材に塗布し、前記基材上に塗布膜を形成する工程 (塗工工程)、
(b)塗布膜の残溶媒が5~15重量%となるように前記塗布膜を乾燥させる工程(乾燥工程1)、
(c)前記基材を剥離してグリーンシートを得る工程 (剥離工程)
(e)前記延伸フィルム中の残溶媒が前記延伸フィルムの重量に対して900ppm未満となるように前記延伸フィルムを乾燥する工程 (乾燥工程2)。
(1)MD方向あるいはTD方向の弾性率が4.0GPa以上
(2)ヘイズが2.0%未満
(3)YIが3.0未満
(4)フィルムの延伸方向の弾性率をEx、前記フィルムの面内で延伸方向と垂直な方向の弾性率をEyとしたときにEx/Eyが1.1以上
ポリイミドは、一般に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物(以下、単に「酸二無水物」と記載する場合がある)との反応により得られるポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドはジアミン由来構造と酸二無水物由来構造とを有する 。
ジアミン成分の合計100モル%のうちフルオロアルキル置換ベンジジンの含有量は、40モル%以上100モル%以下である。中でも50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。40モル%以上とすることで、弾性率や降伏応力などの機械強度の低下を抑制することができる。
ジクロロメタン等の低沸点溶媒への溶解性を損なわず、かつ透明性や機械強度等の特性を損なわない範囲で、上記以外のジアミンを併用してもよい。フルオロアルキル置換ベンジジン以外のジアミンの例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、trans-1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,3-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4-ジアミノ-2-フルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジフルオロベンゼン、1、4-ジアミノ-2,6-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリフルオロベンゼン、1、4-ジアミノ、2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(トリフルオロメチル)ヘンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1、4-ジアミノ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1、4-ジアミノ、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。中でも、溶媒への溶解性の観点から、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンが好ましく用いられる。例えば、ジアミンとして、フルオロアルキル置換ベンジジンに加えて、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(以下「3,3’-DDS」と記載)を用いることにより、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性や透明性が向上する場合がある。ジアミン全量100モル%に対する3,3’-DDSの含有量は、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。3,3’-DDSの含有量は、15モル%以上、20モル%以上または25モル%以上であってもよい。ポリイミド樹脂の機械強度の観点から、ジアミン全量100モル%に対する3,3’-DDSの含有量は、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましい。
酸二無水物成分の合計100モル%のうちエステル基含有酸二無水物の含有量は、10モル%以上65モル%以下である。中でも、15モル%以上60モル%以下が好ましく、20モル%以上50%以下がより好ましい。10モル%以上の場合、弾性率や降伏応力などの機械強度が高くなるため好ましい。また65モル%以下の場合、黄色度が高くなることを抑制でき、重合反応中に著しく増粘し固化しゲル化する問題等を抑制することができる。
溶媒への溶解性を損なわず、ヘイズや黄色度、機械強度の特性を損なわない範囲で、上記酸二水物成分及びジアミン成分以外の酸二水物成分及びジアミン成分を併用することも可能である。
本発明における透明ポリイミド樹脂としては、酸二無水物成分として、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物および2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物[6FDAともいう]を含み、ジアミン成分として、フルオロアルキル置換ベンジジン[TFMBともいう]を含むポリイミド樹脂を含む。
中でも、エステル基含有酸二無水物として、式(2)で表されるビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-1,4-フェニレンエステル[TMHQともいう]または式(3)で表されるビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステル[TAHMBPともいう]を用いることが好ましい。さらに、酸二無水物成分として、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物[BPDAともいう]を用いることができる。さらに、ジアミンとして3,3’-ジアミノジフェニルスルホン[3,3’-DDSともいう]を用いることがより好ましい。
また、(b)透明ポリイミド樹脂は、酸二無水物成分として、TMHQを20モル%以上65モル%以下、6FDAを30モル%以上80モル%以下含み、ジアミン成分として、TFMBを40モル%以上100モル%以下、3,3’-DDSを60モル%以下含むことが好ましく、TMHQを20モル%以上50モル%以下、6FDAを40モル%以上60モル%以下、BPDAを10モル%以上40モル%以下含み、ジアミン成分として、TFMBを60モル%以上80モル%以下、3,3’-DDSを20モル%以上40モル%以下含むことがより好ましい。
本発明の光学フィルムを構成する透明ポリイミド樹脂の製造方法の一例について、以下に記載する。
(a)溶媒に溶解させた前記透明ポリイミド樹脂溶液を基材に塗布し、前記基材上に塗布膜を形成する工程 (塗工工程)、
(b)塗布膜の残溶媒が5~15重量%となるように前記塗布膜を乾燥させる工程(乾燥工程1)、
(c)前記基材を剥離してグリーンシートを得る工程 (剥離工程)
供することができる。
(e)前記延伸フィルム中の残溶媒が前記延伸フィルムの重量に対して900ppm未満
となるように前記延伸フィルムを乾燥する工程 (乾燥工程2)。
(塗工工程)
ポリイミド樹脂を溶解させる有機溶媒としては、上記のポリイミド樹脂を溶解可溶なものであれば特に限定されず、例えば、ポリアミド酸の重合に用いる有機溶媒として先に例示したウレア系溶媒、スルホン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの他に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒も、ポリイミド樹脂組成物の溶媒として好適に用いられる。これらを単独もしくは混合し用いても良い。
透明ポリイミド樹脂溶液を基材に塗布したのち、溶媒を乾燥させることにより透明ポリイミド樹脂の塗布膜を作製することができる。乾燥温度・乾燥時間は特に限定されないが、前記塗布膜の残溶媒が5重量%以上20重量%以下となるように乾燥するのが好ましく、10重量%以上15重量%以下となるように乾燥することがより好ましい。残存溶媒量を上記範囲とすることにより、自己支持性があり、続く延伸工程にて容易に延伸ができる。但し、塗布膜の残溶媒とは、塗布膜中に含まれる溶媒量を示し、塗布膜を溶媒に溶解して、ガスクロマトグラフ装置等の分析機器で定量してもよいし、塗布膜を加熱溶媒除去して、その前後の重量変化により求めてもよい。
透明ポリイミド樹脂の塗布膜から基材を剥離除去することにより、残溶媒量が、5~15%である透明ポリイミド樹脂シート(以下、グリーンシートと記載する)を作製することができる。基材の剥離除去には剥離ロールを用いてもよい。
透明ポリイミド樹脂のグリーンシートを前記透明ポリイミド樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたときに、延伸温度が(Tg-140)[℃]~(Tg-50)[℃]となる範囲内で延伸倍率R[%]が下記計算式(1)を上限とする範囲内で延伸して、透明ポリイミドの延伸フィルムを作製することができる。(但し、計算式(1)中、Tsは延伸温度である。)
透明ポリイミド樹脂のグリーンシートを延伸したのち、溶媒を乾燥させることにより透明ポリイミドフィルム(光学フィルム)を作製することができる。乾燥温度・乾燥時間は特に限定されないが、前記透明ポリイミド樹脂フィルム中の残溶媒が前記透明ポリイミド樹脂フィルムの重量に対して900ppm未満となるように乾燥することが好ましい。残溶媒を上記範囲とすることにより、機械強度を向上させることができる。また、乾燥温度は、特に限定されないが、着色を抑えるという観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。塩化メチレン等の低沸点溶媒に溶解しないポリイミド樹脂を用いた場合、残存溶媒量を所望の範囲にするためには、200℃以上の高温加熱や、長時間加熱を行うことが必要となり、生産性の観点から課題が残るが、本明細書におけるポリイミド樹脂は塩化メチレン等の低沸点溶媒に可溶であるため、加熱温度を低くすることが出来る。従って、残存溶媒を容易に低減でき、着色を抑えることが出来る。
本明細書における透明ポリイミドフィルム(光学フィルム)は、膜厚が40μm以上と厚い場合であっても優れた透明性を有する。
透明ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、3.0以下が好ましく2.5以下がより好ましい。黄色度が3.0以下の場合、フィルムが黄色に着色することなく、ディスプレイ用等のフィルムとして好適に使用できる。
透明ポリイミドフィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。また透明ポリイミドフィルムのヘイズは2.0以下が好ましく、1.0%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。本件発明の製造方法によれば、延伸しても低いヘイズのフィルムを得ることができる。
ポリイミドフィルムの引張弾性率は、4.0GPa以上が好ましく、4.5GPa以上がより好ましく、5.0GPa以上が更に好ましい。
測定には(株)島津製作所製オートグラフ試験機「AUTOGRAPHAGS-X」を用いて、次の条件で測定した。サンプル測定範囲;幅10mm、つかみ具間距離100mm、引張速度;12.5mm/min、測定温度;23℃。サンプルは23℃/55%RHで1日静置して調湿したものを測定した。
スガ試験機(株)製分光測色計「SC-P」を用い測定した。測定は3cm角サイズのサンプルについて測定し、その値をフィルムの測定値とした。
スガ試験機(株)製ヘイズメーター「HZ-V3」により、JIS K7361-1およびJIS K7136に記載の方法により測定した。
1,3-ジオキソラン約8.9gを溶媒として、透明ポリイミドフィルム約0.1gを溶解させ測定試料を調製した。この溶液を(株)島津製作所製ガスクロマトグラフ装置「GC―2025」を用いて測定し、ピーク面積と調製濃度から透明ポリイミドフィルム中に含まれる残存溶媒量の重量比(以降、単に残揮と称する)を求めた。
セイコー電子工業(株)製DMS-200を用い、測定治具間隔20mm、周波数5Hzで動的粘弾性測定を行い、損失正接(tanδ)が極大となる温度をガラス転移温度とした。
セパラブルフラスコに、TFMBを5.976g(18.7mmol)、3,3’-DDSを1.880g(8.00mmol)、DMFを72.3g投入し、窒素雰囲気下で攪拌しジアミン溶液を得た。そこに、TMHQを2.995g(6.54mmol)、6FDAを5.922g(13.3mmol)、BPDAを1.961g(6.67mmol)加え窒素雰囲気下で12時間撹拌し、固形分濃度18%、23℃での粘度が50ポイズのポリアミド酸溶液を得た。
この透明ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は290℃であった。
得られた透明ポリイミド樹脂を固形分濃度10%となるように塩化メチレンに溶解させ塗布液とし、基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムにドライ厚みが45~55μmとなるように塗布液を塗工し、塗布膜を形成した。
得られた前記塗布膜を30℃以上60℃以下で4分間乾燥させた後、基材である前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離させ、グリーンシートを得た。得られた前記グリーンシートはMD方向が240~250mm、TD方向が170mmとなるようにカットし、グリーンシートフィルム0とした。また、前記グリーンシートの残揮は10~11%であった。
実施例1では前記グリーンシートフィルム0をMD方向につかみ具間距離200mmとなるよう把持し、150℃オーブン中で前記つかみ具間距離が210mmとなるように(すなわち延伸倍率は5%)4秒間かけて延伸したのち、前記オーブン中で56秒間保持し、延伸フィルムを作製した。得られた前記延伸フィルムは弛まないように金属枠でMD方向に固定し90℃以上200℃以下で90分間乾燥させ、透明ポリイミドフィルム1を作製し、MD方向(x方向)、TD方向(y方向)それぞれの弾性率・降伏応力・伸びとヘイズ、黄色度(YI)を測定した。また、前記透明ポリイミドフィルム1の残揮は900ppm未満であった(下記の表1参照)。
実施例2~9では延伸温度、延伸倍率、延伸時間、保持時間を表1に記載のように変化させた以外は、実施例1と同様の方法で透明ポリイミドフィルム2~9を作製し、MD方向(x方向)、TD方向(y方向)それぞれの弾性率・降伏応力・伸びとヘイズ、黄色度(YI)を測定した。また、前記透明ポリイミドフィルム2~9の残揮はいずれも900ppm未満であった(下記の表1参照)。
比較例1~6では延伸温度、延伸倍率、延伸時間、保持時間を表1に記載のように変化させた以外は、実施例1と同様の方法で透明ポリイミドフィルムA~Fを作製し、MD方向(x方向)、TD方向(y方向)それぞれの弾性率・降伏応力・伸びとヘイズ、黄色度(YI)を測定した。また、前記透明ポリイミドフィルムA~Fの残揮はいずれも900ppm未満であった。(下記の表1参照)
比較例7では前記グリーンシートフィルム0を延伸を実施せずに弛まないように金属枠でMD方向に固定し90℃以上200℃以下で90分間乾燥させ、透明ポリイミドフィルムGとし、MD方向(x方向)、TD方向(y方向)それぞれの弾性率・降伏応力・伸びとヘイズ、黄色度(YI)を測定した。また、前記透明ポリイミドフィルムGの残揮は900ppm未満であった(下記の表1参照)。
比較例7では前記グリーンシートフィルム0を弛まないように金属枠でMD方向に固定し90℃以上200℃以下で90分間乾燥させ、グリーンシートHを作製した後、MD方向につかみ具間距離200mmとなるよう把持し、240℃オーブン中で延伸を試みたが、延伸を実施することはできなかった。
また、前記グリーンシートHの残揮は900ppm未満であった(下記の表1参照)。
Claims (4)
- 透明ポリイミド樹脂を含む光学フィルムの製造方法であって、
前記透明ポリイミド樹脂はジアミン由来構造と酸二無水物由来構造とを有するポリイミド樹脂であり、前記ジアミンとして、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを40モル%以上100モル%以下含み、前記酸二無水物として、酸二無水物全量100モル%に対して、式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を10モル%以上65モル%以下含む構造を有し、
(d)残溶媒量が、5~15%である透明ポリイミド樹脂シート(グリーンシート)を透明ポリイミド樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたときに、延伸温度が(Tg-140)[℃]~(Tg-50)[℃]となる範囲内で、延伸倍率R[%]が下記計算式(1)を上限とする範囲内で延伸して、延伸フィルムを得る工程を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。(式(1)中、n=1またはn=2、R1~R4は各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、必ず一つは水素原子である。計算式(1)中、Tsは延伸温度である。)
- 前記(d)工程の前に、下記(a)~(c)の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(a)溶媒に溶解させた前記透明ポリイミド樹脂溶液を基材に塗布し、前記基材上に塗布膜を形成する工程 (塗工工程)、
(b)塗布膜の残溶媒が5~15重量%となるように前記塗布膜を乾燥させる工程(乾燥工程1)、
(c)前記基材を剥離してグリーンシートを得る工程 (剥離工程) - 前記(d)工程の後に、下記(e)工程を有することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
(e)前記延伸フィルム中の残溶媒が前記延伸フィルムの重量に対して900ppm未満となるように前記延伸フィルムを乾燥する工程 (乾燥工程2)。 - 前記溶媒が、塩化メチレンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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