JP2020189918A - ポリイミド樹脂、ポリイミド溶液およびポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミド樹脂、ポリイミド溶液およびポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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紘平 小川
Kohei Ogawa
紘平 小川
裕之 後
Hiroyuki Ushiro
裕之 後
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Abstract

【課題】造粒性に優れ、低沸点溶媒に溶解し、高透過率、低黄色度、かつ機械強度に優れたポリイミドフィルムの製造方法の提供。【解決手段】ジアミン中、フルオロアルキル置換ベンジジンを50〜100モル%、酸二無水物中、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、特定の二つのエステル基を有する酸二無水物、およびフッ素含有芳香族酸二無水物を合わせて80モル%以上含み、ジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびエステル基含有酸二無水物によるアミノ基末端のポリアミド酸合成後、酸二無水物とジアミン成分を等モル添加するポリアミド酸製造工程を含むポリイミド樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂、ポリイミド溶液およびポリイミドフィルムの製造方法に関する。
近年、エレクトロニクスデバイスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、更にはフレキシブル化が要求されている。特に、高い耐熱性や、高温での寸法安定性、高機械強度が求められる用途では、基板やカバーウインドウ等に用いられているガラスの代替材料としてポリイミドフィルムの適用が検討されている。
一般的にポリイミド樹脂は、酸二無水物とジアミンとの縮合反応により得られたポリアミド酸を脱水閉環して得られる高耐熱性の樹脂である。しかしながら、一般にポリイミド樹脂は黄色または褐色に着色していることから、無色透明性が要求される分野に用いることは困難であった。例えば、特許文献1では、エステル基含有モノマーを用いることにより、優れた透明性、高い耐熱性、低い線膨張係数、更に溶媒加工性に優れたポリイミド樹脂が開示されている。
WO2014/046180国際公開パンフレット
しかしながら、特許文献1のポリイミド樹脂をジクロロメタンのような低沸点溶媒を用いてポリイミドフィルムを作製したところ、特に厚みが40μm以上と厚い場合は、透過率が低く黄色度が高いため透明性が不十分であった。このように、透過率、黄色度、かつ機械強度に優れたポリイミド樹脂を得ることが困難であった。
本発明の目的は、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解し、高透過率、低黄色度、かつ機械強度に優れたポリイミドフィルムが得られるポリイミド樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、下記構成で上記課題を解決することを見出した。
本発明は以下の構成をなす。
1).ポリアミド酸をイミド化してポリイミド樹脂を製造する製造方法であって、
前記ポリアミド酸は、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを50モル%以上100モル%以下、かつ酸二無水物100モル%に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物、およびフッ素含有芳香族酸二無水物を合わせて80モル%以上含み、
ジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびエステル基含有酸二無水物を反応させてアミノ基末端のポリアミド酸を合成した後、酸二無水物とジアミン成分が実質的に等モルとなるように添加して、ポリアミド酸を合成することを特徴とする、ポリイミド樹脂の製造方法。
Figure 2020189918
(nは1以上の整数、R〜Rは各々水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基である)
2).前記エステル基含有酸二無水物は、式(1)において、nが1、R〜Rが水素原子である式(2)で表される化合物である、1)に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
Figure 2020189918
3).前記フッ素含有芳香族酸二無水物が、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物である1)または2)のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
4).前記フルオロアルキル置換ベンジジンが、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである1)〜3)のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
5).前記ジアミンとして、ジアミン全量100モル%に対して20〜50モル%の3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを含む1)〜4)のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
6).前記ポリアミド酸は、有機溶媒を含み、
前記ポリアミド酸に化学イミド化剤を加えイミド化率80%以上のポリイミド溶液を作製する工程、アルコールをポリイミド溶液へ加えることによりポリイミド粉末を沈殿させる工程、濾過によりポリイミド粉末を取得する工程を含むことを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
7).1)〜6)のいずれかに記載のポリイミド樹脂をジクロロメタンに溶解させること特徴とするポリイミド溶液の製造方法。
8).1)〜5)のいずれかに記載のポリイミド樹脂を有機溶剤に溶解させ、基材に塗工後、乾燥させることにより得られるポリイミドフィルムの製造方法。
9).8)に記載のポリイミド樹脂の厚みが30〜80μmであることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
10).黄色度が3.0以下である、9)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
11).引張弾性率が3.0GPa以上である、9)または10)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
12).鉛筆硬度がH以上である9)〜11)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
13).波長400nmの光透過率が40%以上である、9)〜12)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
ィルムを用いることが好ましい。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法によれば造粒性に優れたポリイミド樹脂を製造することができる。また得られるポリイミド樹脂は、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解させることができ、低沸点溶媒からフィルム化することができる。このため、乾燥後の残存溶媒低減に高温を必要とせず、容易に残存溶媒を低減でき、透明性の高いポリイミドフィルムが得られる。さらに、本発明のポリイミドフィルムは機械強度と表面硬度が高く、膜厚が厚い場合であっても透明性が高いため、ディスプレイ用の基板材料や、カバーウインドウ材料等として使用できる。
[ポリイミド樹脂]
ポリイミドは、一般に、テトラカルボン酸二無水物(以下、単に「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの反応により得られるポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドは酸二無水物由来構造とジアミン由来構造とを有する。
本発明のポリイミド樹脂は、酸二無水物成分として、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物とフッ素含有芳香族酸二無水物を含み、ジアミン成分として、フルオロアルキル置換ベンジジンを含む。また、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを50モル%以上100モル%以下、かつ酸二無水物100モル%に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物、およびフッ素含有芳香族酸二無水物を合わせて80モル%以上含む。
Figure 2020189918
(nは1以上の整数、R〜Rは各々水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基である)
(エステル基含有酸二無水物)
酸二無水物成分の合計100モル%のうちエステル基含有酸二無水物の含有量は、15モル%以上50モル%以下である。中でも、20モル%以上40モル%以下が好ましく、22モル%以上35%以下がより好ましい。15モル%以上の場合、鉛筆硬度や弾性率が高くなるため好ましい。また50モル%以下の場合、黄色度が高くなることを抑制できる。
エステル基含有酸二無水物は、前記式(1)中R〜Rが水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。式(1)中、nは1以上の整数である。好ましくは、R1〜R4は水素原子またはメチル基であり、nが1かつR〜Rのいずれも水素原子の式(2)で表されるエステル基含有酸二無水物であることが好ましい。
Figure 2020189918
(フッ素含有芳香族酸二無水物)
酸二無水物成分の合計100モル%のうちフッ素含有芳香族酸二無水物の含有量は、30モル%以上80モル%以下である。中でも35モル%以上75モル%以下が好ましく、45モル%以上75モル%以下がより好ましい。30モル%以上の場合、黄色度が高くなることを抑制でき、また80モル%以下の場合、鉛筆硬度や弾性率の低下を抑制できる。
フッ素含有芳香族酸二無水物の例としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられ、これらを単独又は複数併用することができる。中でも2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物が好ましい。
(フルオロアルキル置換ベンジジン)
ジアミン成分の合計100モル%のうちフルオロアルキル置換ベンジジンの含有量は、50モル%以上100モル%以下である。中でも55モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。50モル%以上とすることで、鉛筆硬度や弾性率の低下を抑制することができる。
フルオロアルキル置換ベンジジンの例としては、2,2’−ジメチルベンジジン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2、6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどが挙げられる。
中でも、ビフェニル骨格の2位にフルオロアルキル基を有するフルオロアルキル置換ベンジジンが好ましく、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンがより好ましい。ビフェニル骨格の2位にフルオロアルキル基を有することにより、フルオロアルキル基の立体障害によりビフェニル骨格の芳香族環がねじれることとフルオロアルキル基の電子吸引性により、着色を低減することができる。
(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)
酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、15モル%以上50モル%以下含み、好ましくは20モル%以上45モル%以下含む。15モル%以上含むことで機械強度の低下を抑制できるため好ましい。また50モル%以下とすることで溶媒への溶解性を向上および着色を抑制することができる。
(その他のモノマー)
ジクロロメタン等の低沸点溶媒への溶解性を損なわず、黄色度や機械強度、表面硬度の特性を損なわない範囲で、上記酸二水物成分及びジアミン成分以外の酸二水物成分及びジアミン成分を併用することも可能である。
併用可能な酸二無水物成分の例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’‐ビシクロヘキサン‐3,3’,4,4’‐テトラカルボン酸‐3,4:3’,4’‐二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,3−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’−ビス[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独又は複数併用することができる。
併用可能なジアミンモノマーの例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1、4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1、4−ジアミノ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ヘンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1、4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1、4−ジアミノ、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。中でも、溶媒への溶解性の観点から、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが好ましく用いられる。
併用するジアミン成分はジアミン成分全量100モル%中60モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましい。中でも、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなど溶解性の高いジアミンを併用する場合、溶解性向上の観点から、ジアミン成分全量100モル%に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%が更に好ましく、20〜40モル%が最も好ましい。
(ポリイミド樹脂の構成)
本発明におけるポリイミド樹脂としては、酸二無水物成分として、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物[BPDAともいう]および2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物[6FDAともいう]を含み、ジアミン成分として、フルオロアルキル置換ベンジジン[TFMBともいう]を含むポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
さらに、ジアミンとして3,3’−ジアミノジフェニルスルホン[3,3’−DDSともいう]を用いることがより好ましい。
本発明におけるポリイミド樹脂としては、酸二無水物成分として、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物を15モル%以上50モル%以下、BPDAを15モル%以上50モル%以下、6FDAを30モル%以上80モル%以下含み、ジアミン成分として、TFMBを50モル%以上100モル%以下含むことが好ましい。さらに、ジアミン成分として、溶媒への溶解性や、フィルムの透明性を向上させる観点から、3,3’−DDSを50モル%以下含むことが好ましい。
上記の材料の組合せを用い、各々の酸二無水物成分とジアミン成分を上記範囲とすることにより、低沸点溶媒に溶解するため容易に残存溶媒量を低減でき、透過率、黄色度、および機械強度に優れたポリイミド樹脂を得ることができる。
[ポリイミドフィルム]
(ポリアミド酸合成)
本発明のポリイミド樹脂の製造方法の一例について、以下に記載する。まず、有機溶媒中で、TAHQおよびBPDAを含む酸二無水物成分とジアミン成分を重合させてアミノ基末端のポリアミド酸を合成した後、酸二無水物とジアミン成分が実質的に等モルとなるようにモノマーを添加してポリアミド酸を合成する。実質的に等モルとは、全ての酸二無水物のモル数と全てのジアミン成分のモル数が、97:100〜100:103の範囲である。
また、酸二無水物とジアミン成分が実質的に等モルとなるように添加するモノマーは、1種または複数の酸二無水物成分のみでもいいし、酸二無水物成分とジアミン成分であってもよい。
次にイミド化触媒と脱水剤を添加し脱水閉環させることによりポリイミド溶液を得る。ポリイミド溶液にポリイミドの貧溶媒を加えることで、ポリイミド樹脂を析出させ、固液分離することによりポリイミド樹脂が得られる。
酸二無水物成分とジアミン成分は90:100〜99.5:100の範囲で使用することが好ましい。酸二無水物末端となった場合には、造粒性が悪化して樹脂を単離することが困難になる。
酸二水物成分とジアミン成分の重合において、使用可能な有機溶媒は特に限定されず、酸二無水物成分、ジアミン成分ならびに重合生成物であるポリイミド酸が溶解すればよい。有機溶媒の具体例としては、メチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホン系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒を単独で用いるか必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。これらの中でも、重合反応性およびポリアミド酸の溶解性に優れることから、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはN−メチルピロリドンが好ましく用いられる。
酸二水物成分とジアミン成分の重合において、反応温度は特に限定されないが、0℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上45℃以下がより好ましい。0℃以上とすることで反応速度の低下を抑制でき、比較的短時間で重合反応を実施することができる。また80℃以下とすることで、酸二無水物成分の開環による重合度の低下等を抑制することができる。
(イミド化工程)
本工程は、ポリアミド酸に下記に示す化学イミド化剤を加えイミド化率80%以上のポリイミド溶液を作製する工程である。化学イミド化剤は、3級アミンと脱水剤の混合物である。3級アミンとしては複素環式の3級アミンが好ましい。複素環式の3級アミンの好ましい具体例としてはピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどを挙げることができる。脱水剤としてはカルボン酸無水物が用いれられ、具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等が好ましい具体例として挙げることができる。3級アミンや脱水剤の添加量としては、ポリアミド酸のアミド基に対して、イミド化触媒は0.5倍モル当量〜5.0倍モル当量であり、さらにはより好ましくは0.7倍モル当量〜2.5倍モル当量、特には0.8倍モル当量〜2.0倍モル当量が好ましい。また、脱水剤は0.5倍モル当量〜10.0倍モル当量、さらには0.7倍モル当量〜5.0倍モル当量、特には0.8倍モル当量〜3.0倍モル当量が好ましい。
(造粒工程)
造粒工程とは、アルコールをポリイミド溶液へ加えることによりポリイミド粉末を沈殿させる工程、濾過によりポリイミド粉末を取得する工程をあわせた工程である。
前記アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチルアルコール、2−ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。ポリイミドの開環等が生じ難いことから、イソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、フェノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
アルコールをポリイミド溶液へ加えて沈殿させたポリイミド粉末を、濾過、必要に応じて洗浄し、乾燥してポリイミド粉末を取得することができる。
(フィルム化)
本発明のポリイミドフィルムは、前記ポリイミド樹脂を有機溶媒に溶解させて得られるポリイミド溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥除去させることにより製造できる。ポリイミド樹脂を溶解させる有機溶媒としては、上記のポリイミド樹脂を溶解可溶なものであればよく、ポリイミド樹脂の用途に応じて適宜選択すればよいが、ジクロロメタン、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、アセトン、及び1,3−ジオキソラン等の低沸点溶媒が好ましく、沸点が低く、溶媒の乾燥除去が容易であることからジクロロメタンがより好ましい。前述のように酸二無水物成分及びジアミン成分の組成比を所定範囲とすることにより、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に対しても高い溶解性を示すポリイミドが得られる。
ポリイミド溶液の固形分濃度は、ポリイミドの分子量、フィルムの厚みや製膜環境等に応じて適宜設定すればよい。固形分濃度は、5〜30wt%が好ましく、8〜20wt%がより好ましい。
ポリイミド溶液は、ポリイミド以外の樹脂成分や添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、紫外線吸収剤、架橋剤、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等が挙げられる。ポリイミド樹脂組成物の固形分100重量部に対するポリイミド樹脂の含有量は60重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上がさらに好ましい。
ポリイミド溶液を基材に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、バーコーターやコンマコーターにより塗布することができる。ポリイミド溶液を塗布する基材としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。
ポリイミド溶液から溶媒を乾燥させることによりポリイミドフィルムを作製することができる。この際、ポリイミドフィルムに含まれる残存溶媒量は、
ポリイミドフィルムに含まれる残存溶媒量(%)=[ポリイミドに含まれる溶媒の量(g)/溶媒を含むポリイミドフィルムの量(g)]×100(%)
としたとき、1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。残存溶媒量を上記範囲とすることにより、機械強度を向上させることが出来る。
溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は、特に限定されないが、着色を抑えるという観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。通常、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解しないポリイミド樹脂を用いた場合、残存溶媒量を所望の範囲にするためには、200℃以上の高温加熱や、長時間加熱を行うことが必要となり、生産性の観点から課題が残る。一方、上述のように、本明細書におけるポリイミド樹脂は、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に可溶であるため、加熱温度を低くすることが出来る。従って、残存溶媒を容易に低減でき、着色を抑えることが出来る。乾燥は、段階的に加熱温度を上昇させてもよい。さらに減圧下で乾燥させても良い。
ポリイミドフィルムの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。ポリイミドフィルムの厚みは、例えば5〜100μm程度である。耐衝撃性と透明性を両立する観点から、ポリイミドフィルムの厚みは30μm以上が好ましく、35μm以上がより好ましく、40μm以上が特に好ましい。特に、ディスプレイのカバーウィンドウ等、強度が求められる用途に用いる場合、40μm以上が好ましい。ポリイミドフィルムの厚みは、90μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。本明細書におけるポリイミドフィルムは、膜厚が40μm以上と厚い場合であっても優れた透明性を有する。
[ポリイミドフィルムの特性]
ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、3.0以下が好ましく2.5以下がより好ましい。黄色度が3.0以下の場合、フィルムが黄色に着色することなく、ディスプレイ用等のフィルムとして好適に使用できる。
ポリイミドフィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。またポリイミドフィルムの波長400nmにおける光透過率は、35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。
ポリイミドフィルムの引張弾性率は、3.0GPa以上が好ましく、3.5GPa以上がより好ましい。ロールトゥーロール搬送時のロールとの接触や、巻取時のフィルム同士の接触によるフィルムの傷付きを防止する観点から、ポリイミドフィルムの鉛筆硬度はHB以上が好ましく、F以上がより好ましい。ポリイミドフィルムがディスプレイのカバーウインドウ等に用いられる場合は、外部からの接触に対する耐擦傷性が求められるため、ポリイミドフィルムの鉛筆硬度はH以上が好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、黄色度が小さく、透明性が高くディスプレイ材料として好適に用いられる。さらに、表面硬度が高いため、ディスプレイのカバーウインドウ等の表面部材への適用が可能である。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(引張弾性率の測定)
測定には島津製作所製のAUTOGRAPH AGS−Xを用いて、次の条件で測定した。サンプル測定範囲;幅10mm、つかみ具間距離100mm、引張速度;20.0mm/min、測定温度;23℃。サンプルは23℃/55%RHで1日静置して調湿したものを測定した。
(黄色度(YI)の測定)
スガ試験機株式会社製分光測色計SC−Pを用い測定した。測定は3cm角サイズのサンプルについて測定し、その値をフィルムの測定値とした。
(鉛筆硬度の測定)
JIS K−5600−5−4鉛筆引っかき試験により、フィルムの鉛筆硬度を測定し、表面硬度の指標とした。
(400nmにおける透過率の測定)
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−560)を用いて、フィルムの300−800nmにおける光透過率を測定し、400nmの波長における光透過率を指標として用いた。
(全光線透過率およびヘイズの測定)
スガ試験機株式会社製ヘイズメーターHZ−V3により、JIS K7361−1およびJIS K7136に記載の方法により測定した。
(残存溶媒量の測定)
1,3−ジオキソラン約8.9gを溶媒として、ポリイミドフィルム約0.1gと内部標準物質DEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)約1gを溶解させ測定試料を調製した。この溶液をガスクロマトグラフ装置(GC,島津製作所社製)を用いて測定し、GCピーク面積と調製濃度からポリイミドフィルム中に含まれる残存溶媒量
(ジクロロメタン、メチルエチルケトン等)を求めた。ポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂を製膜用溶媒に溶解させた溶液を無アルカリガラス板状に塗布し、40℃で60分、80℃で30分、150℃で30分、170℃で30分間、大気雰囲気下で乾燥したものを用いた。
(粒子径の測定)
乾燥後のポリイミド粉末50個をランダムに選択、定規を用いて粒子サイズを測定した。1つでも10,000μm以上があればNG判定とした。
(ポリアミド酸粘度の測定)
東機産業製E型粘度計TV−25により固形分濃度18%ポリアミド酸溶液の粘度を測定した。
(ジクロロメタンへの溶解性確認)
ポリイミド樹脂にジクロロメタンを固形分濃度10wt%になるように加え、室温で12時間攪拌して目視で固形分が残っているか確認した。固形分が確認できる場合は不溶とした。
(イミド化率の測定)
ポリイミド樹脂をジメチルスルホキシドに溶解させ、H NMRを測定してアミド基のプロトン積分値からイミド化率を算出した。
(ポリアミド酸の合成)
セパラブルフラスコに合成溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを投入し、窒素雰囲気下で撹拌した。セパラブルフラスコ内に、表1の1stセグメント欄に示す比率でジアミンならびに酸二無水物を順次投入し、窒素雰囲気下にて10時間撹拌することにより反応させた後、2ndセグメント欄に記載のジアミンならびに酸二無水物を添加して窒素雰囲気下にて5時間攪拌して、固形分濃度18%のポリアミド酸溶液を得た。表1に示す原料モノマーの略称は下記の通りである。
TAHQ:1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
(イミド化およびポリイミド樹脂の分離)
ポリアミド酸溶液100gに、イミド化触媒としてピリジン6gを添加し、完全に分散させた。分散された溶液中に無水酢酸8gを添加し、90℃で3時間攪拌したのち、室温まで冷却した。冷却した溶液を攪拌しながら、2−プロピルアルコール(以下、IPAと記載)100gを2〜3滴/秒となる速度で投入し、ポリイミドを析出させた。さらにIPA150gを添加し、30分程度撹拌後、桐山ロートを使用して吸引ろ過を行った。得られた固体をIPAで洗浄を行った。洗浄作業を6回繰り返した後、120℃に設定した真空オーブンで8時間乾燥させることでポリイミド樹脂を得た。
(ポリイミドフィルムの製膜)
得られたポリイミド樹脂をジクロロメタン(以下、DCMと記載)に溶解し、固形分濃度10%のポリイミド溶液を得た。バーコーターを用いて、前記ポリイミド溶液を無アルカリガラス板状に塗布し、40℃で60分、80℃で30分、150℃で30分、170℃で30分間、大気雰囲気下で乾燥し、ポリイミドフィルムを得た。
Figure 2020189918
表1に示される通り、エステル基含有酸二無水物としてTAHQと、BPDAを1stセグメントとして使用した実施例1〜3では、ポリイミド溶液へイソプロパノールを添加して造粒した時、取り扱いが容易な10,000μm以下の樹脂粉末が得られ、透明ポリイミドフィルムを作製することができた。
一方、比較例1〜3に着目すると、TAHQとBPDAを2ndセグメントで使用した場合、ポリイミド溶液にイソプロパノールを滴下した時にゲル化して、ポリイミド樹脂を単離することができなかった。
また、酸二無水物末端のポリアミド酸溶液を作製、イミド化した比較例4においても造粒時にゲル化した。これは酸無水物基が系中の水と反応してテトラカルボン酸になり、貧溶媒と接触時に分子間で水素結合を形成することで凝集したためと考えられる。
また実施例1〜3では製膜時に使用する溶媒としてDCMを用いており、フィルム中の残存溶媒量(残揮)は1.0%以下となった。一方、比較例5のポリイミド樹脂はDCMに不溶であり、高沸点溶媒であるメチルエチルケトンを用いて作製した。同乾燥条件にてフィルムを作製した場合の残存溶媒量(残揮)が4.0%と高くなった。このため、比較例5では、所望の残存溶媒量とするためには、更なる乾燥が必要となると考えられる。
以上から、エステル基含有酸二無水物であるTAHQとBPDAを1stセグメント中に含み、かつフッ素含有芳香族酸二無水物と、フルオロアルキル置換ベンジジンと、を本発明の構成比率で含有するポリアミド酸合成を経由することで造粒性に優れ、DCM可溶性(低い残存溶媒量)、透明性、機械強度、表面硬度の特性をバランスよく発揮することが分かる。

Claims (13)

  1. ポリアミド酸をイミド化してポリイミド樹脂を製造する製造方法であって、
    前記ポリアミド酸は、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを50モル%以上100モル%以下、かつ酸二無水物100モル%に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物、およびフッ素含有芳香族酸二無水物を合わせて80モル%以上含み、
    ジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびエステル基含有酸二無水物を反応させてアミノ基末端のポリアミド酸を合成した後、酸二無水物とジアミン成分が実質的に等モルとなるように添加して、ポリアミド酸を合成することを特徴とする、ポリイミド樹脂の製造方法。
    Figure 2020189918
    (nは1以上の整数、R〜Rは各々水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基である)
  2. 前記エステル基含有酸二無水物は、式(1)において、nが1、R〜Rが水素原子である式(2)で表される化合物である、請求項1に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
    Figure 2020189918
  3. 前記フッ素含有芳香族酸二無水物が、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物である請求項1または2のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  4. 前記フルオロアルキル置換ベンジジンが、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  5. 前記ジアミンとして、ジアミン全量100モル%に対して20〜50モル%の3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  6. 前記ポリアミド酸は、有機溶媒を含み、
    前記ポリアミド酸に化学イミド化剤を加えイミド化率80%以上のポリイミド溶液を作製する工程、アルコールをポリイミド溶液へ加えることによりポリイミド粉末を沈殿させる工程、濾過によりポリイミド粉末を取得する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド樹脂をジクロロメタンに溶解させること特徴とするポリイミド溶液の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド樹脂を有機溶剤に溶解させ、基材に塗工後、乾燥させることにより得られるポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 請求項8に記載のポリイミド樹脂の厚みが30〜80μmであることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 黄色度が3.0以下である、請求項9に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  11. 引張弾性率が3.0GPa以上である、請求項9または10に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  12. 鉛筆硬度がH以上である請求項9〜11のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  13. 波長400nmの光透過率が40%以上である、請求項9〜12のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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