JP2023059321A - ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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敬介 片山
Keisuke Katayama
文康 石黒
Fumiyasu Ishiguro
明 菊澤
Akira Kikusawa
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Abstract

【課題】従来のポリイミド樹脂は、光劣化により黄変等の光学特性の低下、または機械強度が低下する傾向にある。本発明の目的は、光学特性と耐光性に優れ、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解し、低温で残存溶媒を乾燥でき、優れた機械強度を有し、かつ厚みムラの小さいポリイミドフィルムを提供することにある。【解決手段】紫外線吸収剤を含む第一のポリイミド樹脂を主成分とする第一樹脂層と、紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド樹脂を主成分とする第二樹脂層を有し、前記第一および第二樹脂層を構成するポリイミド樹脂が、酸二無水物として特定のエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とするポリイミドフィルムにより上記課題を解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムおよびその製造方法に関する。
携帯端末機器の薄型軽量化が進み、スマートフォンに代表される端末機器が広く普及している。近年、画面の大型化と携帯性を両立させる方法として、フレキシブルディスプレイを搭載した携帯端末が提案されている。これらの要求に対して、ディスプレイ基板や表面保護フィルム等に用いられているガラス材料をプラスチック材料へ置き換えることが検討され、候補材料として透明性、表面硬度、屈曲耐久性に優れた透明ポリイミドフィルムが挙げられる。
携帯端末機器の表面保護フィルムは最外層に位置し、外光に曝された状態で使用されることが想定される。しかしながら長期間使用した場合には保護フィルムに用いたポリイミド樹脂が光劣化により黄変等の光学特性の低下、または機械強度が低下する傾向にある。そこで、光学特性の低下等を抑制するため、例えば、紫外線吸収剤を含むポリイミドフィルムが提案されている(特許文献1)。
また、ポリイミドフィルムの作製は、通常、ポリイミド樹脂を有機溶剤に溶解させ基板上に塗布した後、乾燥させることにより行うが、ポリイミドフィルムの残存溶媒を低減するため、低沸点溶媒であるジクロロメタンに可溶なポリイミドフィルムが開発されている(特許文献2)。
国際公開第2017/014279号 特開2016-132686号公報
しかしながら、特許文献1のようにγ-ブチロラクトンなどの沸点の高い溶媒を用いると、フィルムの残存溶媒を低減するために高温で乾燥させる必要があり、フィルムの着色や紫外線吸収剤の変性などのおそれがあった。
一方で、特許文献2のポリイミドフィルムは、低温で乾燥してもフィルムへの残存溶媒を低減できるものの、フィルム自体の厚みムラが生じるという課題があった。このように、光学特性に優れ、低沸点溶媒に可溶であり、かつ厚みムラの少ないポリイミド樹脂を得ることが困難であった。
本発明者らは鋭意検討の結果、下記構造で上記課題を解決できることを見出した。
本発明は以下の構成をなす。
1).紫外線吸収剤を含む第一のポリイミド樹脂を主成分とする第一樹脂層と、
紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド樹脂を主成分とする第二樹脂層を有し、
前記第一および第二のポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とするポリイミドフィルム。
(但し、式(1)中、n=1またはn=2、R~Rは各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、R~Rのうち少なくとも一つは水素原子である。)
Figure 2023059321000001
2).前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール化合物、またはトリアジン化合物であることを特徴とする1)に記載のポリイミドフィルム。
3).第一樹脂層を表、第二樹脂層を裏とした場合、表面から紫外線を照射した時と、裏面から照射した時の黄変度合い(ΔYI)の差が9以上であることを特徴とする1)または2)に記載のポリイミドフィルム。
4).前記ポリイミドフィルムの厚みが、5~100μmであることを特徴とする1)~3)のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
5).引張弾性率が3.5GPa以上である、1)~4)のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
6).黄色度が2.5以下である、1)~5)のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
7).鉛筆硬度がH以上である、1)~6)のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
8).第一のポリイミド樹脂と紫外線吸収剤を溶媒中に溶解した第一のポリイミド溶液を基材上に塗布して第一樹脂層を形成する工程と、
第二のポリイミド樹脂を溶媒中に溶解した、紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド溶液を耐紫外線層上に塗布して第二樹脂層を形成する工程を有し、
前記第一および第二のポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
Figure 2023059321000002
9).紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド溶液を基材上に塗布して第二樹脂層を形成する工程と、
第一のポリイミド樹脂と紫外線吸収剤を溶媒中に溶解した第一のポリイミド溶液を第二樹脂層上に塗布して第一樹脂層を形成する工程を有し、
前記第一および第二のポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
Figure 2023059321000003
本発明のポリイミド樹脂は、光学特性、耐光性に優れる。また、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解し、低温で残存溶媒を乾燥できるにもかかわらず、フィルムの厚みムラが生じにくい。このため、ディスプレイ用の基板材料や、カバーウインドウ材料等として好適に使用できる。
本件発明は、紫外線吸収剤を含む第一のポリイミド樹脂を主成分とする第一樹脂層と、紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド樹脂を主成分とする第二樹脂層を有する、ポリイミドフィルムに関する。以下順に説明する。
[ポリイミド樹脂]
ポリイミドは、一般に、テトラカルボン酸二無水物(以下、単に「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの反応により得られるポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドは酸二無水物由来構造とジアミン由来構造とを有する。
本発明の第一のポリイミド樹脂と第二のポリイミド樹脂は、同一であっても、異なっていてもよい。第一及び第二のポリイミド樹脂は、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含む。(但し、式(1)中、n=1またはn=2、R~Rは各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、R~Rのうち少なくとも一つは水素原子である。)
Figure 2023059321000004
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。フルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
中でも、式(1)中、好ましくは、n=2かつR~Rは各々水素原子、メチル基である式(2)で表されるTAHMBPを用いることが好ましい。
Figure 2023059321000005
(エステル構造を有する酸二無水物)
第一および第二のポリイミド樹脂において、酸二無水物成分の合計100モル%のうち式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物の含有量は、好ましくは40モル%以上85モル%、より好ましく45モル%以上80モル%、更に好ましくは50モル%以上70モル%である。この範囲とすることで、着色の抑制または鉛筆硬度や弾性率の低下を抑制することができる。
本発明のポリイミド樹脂は、酸二無水物成分として、さらにシクロブタン構造を有する酸二無水物を含むことが望ましく、ジアミン成分として、フルオロアルキル置換ベンジジンを含むことが望ましい。
(シクロブタン構造を有する酸二無水物)
酸二無水物成分の合計100モル%のうちシクロブタン構造を有する酸二無水物の含有量は、15モル%以上60モル%以下であることが好ましく、20モル%以上55モル%以下であることがより好ましく、25モル%以上50モル%以下であることが更に好ましい。15モル%以上60モル%以下とすることで、着色の抑制または鉛筆硬度や弾性率の低下を抑制することができる。
(フルオロアルキル置換ベンジジン)
ジアミン成分の合計100モル%のうちフルオロアルキル置換ベンジジンの含有量は、40モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、更に好ましくは70モル%以上である。40モル%以上とすることで、着色の抑制または鉛筆硬度や弾性率の低下を抑制することができる。
フルオロアルキル置換ベンジジンの例としては、2-フルオロベンジジン、3-フルオロベンジジン、2,3-ジフルオロベンジジン、2,5-ジフルオロベンジジン、2、6-ジフルオロベンジジン、2,3,5-トリフルオロベンジジン、2,3,6-トリフルオロベンジジン、2,3,5,6-テトラフルオロベンジジン、2,2’-ジフルオロベンジジン、3,3’-ジフルオロベンジジン、2,3’-ジフルオロベンジジン、2,2’,3-トリフルオロベンジジン、2,3,3’-トリフルオロベンジジン、2,2’,5-トリフルオロベンジジン、2,2’,6-トリフルオロベンジジン、2,3’,5-トリフルオロベンジジン、2,3’,6,-トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’-オクタフルオロベンジジン、2-(トリフルオロメチル)ベンジジン、3-(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどが挙げられる。
中でも、ビフェニル骨格の2位にフルオロアルキル基を有するフルオロアルキル置換ベンジジンが好ましく、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンがより好ましい。ビフェニル骨格の2位にフルオロアルキル基を有することにより、フルオロアルキル基の立体障害によりビフェニル骨格の芳香族環がねじれることとフルオロアルキル基の電子吸引性により、着色を低減することができる。
(その他のモノマー)
ジクロロメタン等の低沸点溶媒への溶解性を損なわず、黄色度や機械強度、表面硬度の特性を損なわない範囲で、上記酸二水物成分及びジアミン成分以外の酸二水物成分及びジアミン成分を併用することも可能である。
併用可能な酸二無水物成分の例としては、ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3‘,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、1,1’‐ビシクロヘキサン‐3,3’,4,4’‐テトラカルボン酸‐3,4:3’,4’‐二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,3-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’-ビス[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’-ビス[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-プロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独又は複数併用することができる。
中でも、機械強度や溶媒溶解性の観点から、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物や4,4’-オキシジフタル酸二無水物が好ましく用いられる。
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物や4,4’-オキシジフタル酸二無水物を併用する場合、酸二無水物成分全量100モル%中45モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
併用可能なジアミンモノマーの例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、trans-1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,3-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4-ジアミノ-2-フルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジフルオロベンゼン、1、4-ジアミノ-2,6-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリフルオロベンゼン、1、4-ジアミノ、2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(トリフルオロメチル)ヘンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1、4-ジアミノ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、イソホロンジアミン、1、4-ジアミノ、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。中でも、透明性および溶媒への溶解性の観点から、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンや4,4’-ジアミノジフェニルスルホンが好ましく用いられる。
併用するジアミン成分はジアミン成分全量100モル%中40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。中でも、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンなど溶解性の高いジアミンを併用する場合、溶解性向上の観点から、ジアミン成分全量100モル%中5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、3,3’-ジアミノジフェニルスルホンや4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを用いる場合、機械強度の観点から40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
[ポリイミド樹脂の作製]
本発明のポリイミド樹脂の作製方法の一例について、以下に記載する。まず、有機溶媒中で、酸二水物成分とジアミン成分を重合させ、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液を得る。次にイミド化触媒と脱水剤を添加し脱水閉環させることによりポリイミド溶液を得る。ポリイミド溶液にポリイミドの貧溶媒を加えることで、ポリイミド樹脂を析出させ、固液分離することによりポリイミド樹脂が得られる。
[ポリアミド酸の合成工程]
本発明に用いられるポリアミド酸は、ジアミンとして、ジアミン全量100モル%に対して、フルオロアルキル置換ベンジジンを40モル%以上100モル%以下含み、
前記酸二無水物として、酸二無水物全量100モル%に対して、式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を40モル%以上85モル%以下含み、シクロブタン構造を有する酸二無水物を15モル%以上60モル%以下含むポリアミド酸であることが好ましい。但し、式(1)中のn=1またはn=2、R~Rは各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、R~Rのうち少なくとも一つは水素原子である。
(ポリアミド酸の合成)
酸二無水物成分とジアミン成分の重合において、酸二無水物成分とジアミン成分は実質的等モル量使用することが好ましい。すなわち、全酸二無水物成分と全ジアミン成分のモル比は95:105~105:95の範囲であることが好ましい。どちらかの成分が過剰になると高分子量体が得られず、ポリイミドフィルムの機械強度が低下する。
酸二無水物成分とジアミン成分の重合において、使用可能な有機溶媒は特に限定されず、酸二無水物成分、ジアミン成分ならびに重合生成物であるポリアミド酸が溶解すればよい。有機溶媒の具体例としては、メチル尿素、N,N-ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホン系溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒を単独で用いるか必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。これらの中でも、重合反応性およびポリアミド酸の溶解性に優れることから、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、またはN-メチルピロリドンが好ましく用いられる。
酸二無水物成分とジアミン成分の重合において、反応温度は特に限定されないが、0℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上45℃以下がより好ましい。0℃以上とすることで反応速度の低下を抑制でき、比較的短時間で重合反応を実施することができる。また80℃以下とすることで、酸二無水物成分の開環による重合度の低下等を抑制することができる。
(イミド化反応)
イミド化反応におけるイミド化触媒としては、3級アミン化合物が用いられる。3級アミンとしては複素環式の3級アミンが好ましい。複素環式の3級アミンの好ましい具体例としてはピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどを挙げることができる。脱水剤としてはカルボン酸無水物が用いられ、具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n-酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等が好ましい具体例として挙げることができる。
イミド化剤や脱水触媒の添加量としては、ポリアミド酸のアミド基に対して、イミド化触媒は0.5倍モル当量~5.0倍モル当量であり、さらにはより好ましくは0.7倍モル当量~2.5倍モル当量、特には0.8倍モル当量~2.0倍モル当量が好ましい。
また、脱水剤は0.5倍モル当量~10.0倍モル当量、さらには0.7倍モル当量~5.0倍モル当量、特には0.8倍モル当量~3.0倍モル当量が好ましい。
(造粒)
ポリイミド溶液からポリイミド樹脂を析出させる貧溶媒としては、ポリイミド樹脂の貧溶媒であって、ポリイミド樹脂を溶解している溶媒と混和するものが好ましく、水、アルコール類等が挙げられる。アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2-ブチルアルコール、2-ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。ポリイミドの開環等が生じ難いことから、イソプロピルアルコール、2-ブチルアルコール、2-ペンチルアルコール、フェノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
[ポリイミドフィルム]
本発明のポリイミドフィルムは、第一のポリイミド樹脂と紫外線吸収剤を溶媒中に溶解した第一のポリイミド溶液を基材上に塗布して第一樹脂層を形成する工程と、第二のポリイミド樹脂を溶媒中に溶解した、紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド溶液を耐紫外線層上に塗布して第二樹脂層を形成する工程により製造できる。上記二つの工程は、順番を逆にしてもよい。また、三層以上の構成としてもよい。
第一および第二のポリイミド樹脂を溶解させる有機溶媒としては、上記のポリイミド樹脂を溶解可溶なものであればよく、ポリイミド樹脂の用途に応じて適宜選択すればよいが、ジクロロメタン、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、アセトン、及び1,3-ジオキソラン等の低沸点溶媒が好ましく、沸点が低く、溶媒の乾燥除去が容易であることからジクロロメタンがより好ましい。前述のように酸二無水物成分及びジアミン成分の組成比を所定範囲とすることにより、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に対しても高い溶解性を示すポリイミドが得られる。
第一および第二のポリイミド溶液の固形分濃度は、ポリイミドの分子量、フィルムの厚みや製膜環境等に応じて適宜設定すればよい。固形分濃度は、5~30wt%が好ましく、6~20wt%がより好ましい。
第一および第二のポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂以外に、樹脂成分や添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、架橋剤、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等が挙げられる。
ポリイミド樹脂に含有させることができる染料としては、アントラキノン系の化合物、フタロシアニン系の化合物、インディゴ系の化合物、メチン系の化合物などを挙げることができる。これらの中でもアントラキノン系やメチン系が耐熱性の観点から好ましい。その使用量は、樹脂成分を基準に、0.1~100ppm程度とすることができる。染料の含有量は、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上であり、また好ましくは90ppm以下、より好ましくは80ppm以下、特に好ましくは70ppm以下である。ブルーイング剤は、公知のものを適宜使用することができ、例えば、それぞれ商品名でマクロレックスブルーRR、Sumiplast Violet B、Sumiplast Violet OR、Plast Blue8580、Plast Blue8590、Plast Violet8840、Disperse Blue 354、Disperse Blue 365が挙げられる。
ポリイミド溶液を基材に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、バーコーターやコンマコーターにより塗布することができる。ポリイミド溶液を塗布する基材としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。
ポリイミド溶液から溶媒を乾燥させることによりポリイミドフィルムを作製することができる。この際、ポリイミドフィルムに含まれる残存溶媒量は、
ポリイミドフィルムに含まれる残存溶媒量(%)=[ポリイミドフィルムに含まれる溶媒の量(g)/溶媒を含むポリイミドフィルムの量(g)]×100
としたとき、1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。残存溶媒量を上記範囲とすることにより、機械強度を向上させることが出来る。
溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は、特に限定されないが、着色を抑えるという観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。通常、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に溶解しないポリイミド樹脂を用いた場合、残存溶媒量を所望の範囲にするためには、200℃以上の高温加熱や、長時間加熱を行うことが必要となり、フィルムの着色や、生産性の観点から課題が残る。一方、上述のように、本明細書におけるポリイミド樹脂は、ジクロロメタン等の低沸点溶媒に可溶であるため、加熱温度を低くすることが出来る。従って、残存溶媒を容易に低減でき、着色を抑えることが出来る。乾燥は、段階的に加熱温度を上昇させてもよい。さらに減圧下で乾燥させても良い。
(第一樹脂層)
本発明の第一樹脂層は、耐光性改善のために第一のポリイミド樹脂以外に紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。ポリイミド樹脂組成物の固形分100重量部に対するポリイミド樹脂の含有量は60重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上がさらに好ましい。
ポリイミド樹脂に含有させることができる紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の中でも、良好な耐光性が得られると言う観点から、トリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、特にトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販のトリアジン系紫外線吸収剤を使用できる。市販のトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、商品名「Tinuvin477」、「Tinuvin460」、「Tinuvin1600」(以上、BASF製)、「アデカスタブLA-46」「アデカスタブLA-F70」(以上、ADEKA製)、「Kemisorb102」(ケミプロ化成製)、等が挙げられる 。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用できる。市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、商品名「Tinuvin326」「Tinuvin360」(以上、BASF製)、「Kemisorb279」(ケミプロ化成製)、「アデカスタブLA-24」、「アデカスタブLA-29」、「アデカスタブLA-31RG」、「アデカスタブLA-32」、「アデカスタブLA-36」(以上、ADEKA製)等が挙げられる 。
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、市販のベンゾフェノン系紫外線吸収剤を使用できる。市販のベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、商品名「seesorb151」(シプロ化成製)、「アデカスタブ1413」(ADEKA製)等が挙げられる 。
ポリイミド樹脂のベンゼン環に炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基を有している場合、特にポリイミド樹脂のベンゼン環に炭素原子数1~20のアルキル基を有している場合、トリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との組み合わせが、良好な耐光性が得られるためより好ましい。
また、ポリイミド樹脂の骨格にシクロブタン構造のようにひずみを持つような骨格を有する場合、トリアジン系紫外線吸収剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との組み合わせが、良好な耐光性が得られるためより好ましい。
紫外線照射時、第一樹脂層側から照射した方が第二樹脂層側から照射するよりも変色の度合いは小さく、耐光性に優れている。
紫外線照射の方法については公知の方法を用いることができ、例えば、紫外線カーボンアーク灯、放射照度0.5W/m2、ブラックパネル温度63℃、照射時間50時間または100時間、連続または間欠的に照射することができる。
ポリイミドフィルムの総厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。ポリイミドフィルムの厚みは、例えば5~100μm程度である。耐衝撃性と透明性を両立する観点から、ポリイミドフィルムの厚みは30μm以上が好ましく、35μm以上がより好ましく、40μm以上が特に好ましい。特に、フレキシブルディスプレイのカバーウィンドウ等、強度が求められる用途に用いる場合、40μm以上が好ましい。ポリイミドフィルムの厚みは、90μm以下が好ましく、85μm以下がより好ましい。本明細書におけるポリイミドフィルムは、膜厚が40μm以上と厚い場合であっても優れた透明性を有する。
ポリイミドフィルムの第一樹脂層、第二樹脂層の厚みはそれぞれ15~35μmの範囲であることが好ましい。第一樹脂層の厚みは15~25μmの範囲であることがより好ましい。
上記ポリイミド基材の一方、または両方の表面にハードコート層が形成されたハードコートフィルムとしてもよい。ハードコート層の厚みは、0.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、5μm以上が最も好ましい。ハードコート層の厚みは、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。ハードコート層の厚みが0.5μmより小さいと、表面硬度等の機械特性を十分に向上できない場合がある。一方ハードコート層の厚みが100μmより大きいと、透明性や耐屈曲性が低下する場合がある。
本発明のポリイミドフィルムを用いたハードコートフィルムの総厚みは、1~1000μmの範囲から適宜選択することができ、好ましくは5~500μmであり、より好ましくは8~250μmであり、さらに好ましくは10~200μmである。
上記ハードコート層を形成する樹脂組成物は、シロキサン化合物を含む樹脂組成物や、多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む樹脂組成物であることが好ましい。
[ポリイミドフィルムの特性]
ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、3.0以下が好ましく2.5以下がより好ましい。黄色度が3.0以下の場合、フィルムが黄色に着色することなく、ディスプレイ用等のフィルムとして好適に使用できる。
耐紫外線層を表、ポリイミド層を裏とした場合、表面から紫外線を照射した時と、裏面から照射した時の黄変度合い(ΔYI)の差が9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることがさらに好ましい。
ポリイミドフィルムの全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。またポリイミドフィルムの波長400nmにおける光透過率は、35%以上が好ましく、40%以上が更に好ましい。
ポリイミドフィルムの引張弾性率は、3.5GPa以上が好ましく、4.0GPa以上がより好ましく、更に好ましくは5.0GPa以上である。
ロールトゥーロール搬送時のロールとの接触や、巻取時のフィルム同士の接触によるフィルムの傷付きを防止する観点から、ポリイミドフィルムの鉛筆硬度はHB以上が好ましく、F以上がより好ましい。ポリイミドフィルムがディスプレイのカバーウインドウ等に用いられる場合は、外部からの接触に対する耐擦傷性が求められるため、ポリイミドフィルムの鉛筆硬度はH以上が好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの厚みは、1mm間隔で測定した際の厚みの最大値と最小値の差は5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2.5μm以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、黄色度が小さく、透明性が高くディスプレイ材料として好適に用いられる。さらに、表面硬度が高いため、ディスプレイのカバーウインドウ等の表面部材への適用が可能である。
[ハードコートフィルムの応用]
本発明のポリイミドフィルムを用いたハードコートフィルムは、ハードコート層上、または樹脂基材のハードコート層非形成面には、各種の機能層を設けてもよい。機能層としては、反射防止層、防眩層、帯電防止層、透明電極等が挙げられる。また、ハードコートフィルムには、透明粘着剤層が付設されてもよい。
本発明のポリイミドフィルムや本発明のポリイミドフィルムを用いたハードコートフィルムは、透明性が高く、機械強度に優れるため、画像表示パネルの表面に設けられるカバーウインドウや、ディスプレイ用透明基板、タッチパネル用透明基板、太陽電池用基板等に好適に用いることができる。本発明のハードコートフィルムは、透明性および機械強度に加えて、耐屈曲性および耐屈曲性にも優れることから、特に、曲面ディスプレイやフレキシブルディスプレイ等のカバーウインドウや基板フィルムとして好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[ポリイミドフィルムの作製]
(ポリアミド酸溶液の調製)
(実施例1)
セパラブルフラスコに、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3.8g;15.3mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(44.2g;138.1mmol)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(9.5g;30.7mmol)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(9.0g;46.0mmol)、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)-2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’ジイル(47.4g;76.7mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド800gを投入して、窒素雰囲気下で12時間攪拌して攪拌してポリアミド酸溶液を得た。上記のポリアミド酸溶液に、イミド化触媒としてピリジン(36.4g;460mmol)と無水酢酸(47.0g;460mmol)を添加し、90℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した溶液を攪拌しながら、2-プロピルアルコール(IPA)を2000g添加し、桐山ロートを使用して吸引ろ過を行った。得られた固体を1000gのIPAで洗浄した。洗浄作業を6回繰り返した後、120℃に設定した真空オーブンで8時間乾燥させて、ポリイミド樹脂1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
表1の第一樹脂層の記載に従い、上記のポリイミドと紫外線吸収剤、ブルーイング剤をジクロロメタン(以下、DCMと記載)に溶解し、固形分濃度6.5重量%のポリイミド溶液を得た。ポリイミド溶液を、バーコーターを用いてPETフィルムに塗布し、30~60℃で合計6分間、大気雰囲気下で加熱して溶媒を除去して、厚み15μmのポリイミドフィルムを得た。続いて表1の第二樹脂層の記載に従い、上記のポリイミドと紫外線吸収剤、ブルーイング剤をDCMと記載に溶解し、固形分濃度6.5重量%のポリイミド溶液を得た。前記ポリイミドフィルム上に、このポリイミド溶液を、バーコーターを用いて塗布し、30~60℃で合計6分間、大気雰囲気下で加熱して溶媒を除去した。その後PETフィルムを剥離して、90~200℃で合計90分間乾燥して、合計厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例2,3)
紫外線吸収剤の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムの作製を行った。
(比較例1)
紫外線吸収剤の添加量を表1に示すように変更し、第一樹脂層のみからなる厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。
(黄色度(YI)の測定)
スガ試験機株式会社製分光測色計SC-Pを用い測定した。測定は3cm角サイズのサンプルについて測定し、その値をフィルムの測定値とした。
(鉛筆硬度の測定)
JIS K-5600-5-4鉛筆引っかき試験により、フィルムの鉛筆硬度を測定し、表面硬度の指標とした。
(フェード試験)
スガ試験機製メタリングウェザーメーターM6Tを用いて、放射照度530W/m2、
ブラックパネル温度63℃、積算放射照度40MJ/m2の条件で照射した。照射前後のYIを測定し、次の式に従い黄変の度合いを示すΔYIを算出した。
ΔYI=(照射後フィルムのYI)―(照射前フィルムのYI)
(厚みムラ)
連続厚み計(山文電気製TOF-5R)を用いて、フィルムの厚みを1mm刻みで計測した。厚みの最大値と最小値の差が3μmより小さいときを〇、3μm以上の時を×とした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2023059321000006
表1に示す通り、紫外線吸収剤を含む第一樹脂層と、紫外線吸収剤を含まない第二樹脂層から構成される実施例1~3は、ΔYIの差が大きく、第一樹脂層側から照射することで効果的に黄変を抑制することができた。また、厚みムラも小さく、良好であった。
これに対し、紫外線吸収剤を含む第一樹脂層のみから構成される比較例1は、Hazeが大きく光学特性が不十分であった。また、ΔYIの差が小さく、厚みムラの大きいフィルムとなった。

Claims (9)

  1. 紫外線吸収剤を含む第一のポリイミド樹脂を主成分とする第一樹脂層と、
    紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド樹脂を主成分とする第二樹脂層を有し、
    前記第一および第二樹脂層を構成するポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とするポリイミドフィルム。
    (但し、式(1)中、n=1またはn=2、R~Rは各々水素原子、フッ素原子、炭素原子数1~20のアルキル基またはフルオロアルキル基であり、R~Rのうち少なくとも一つは水素原子である。)
    Figure 2023059321000007
  2. 前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール化合物、またはトリアジン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
  3. 第一樹脂層を表、第二樹脂層を裏とした場合、表面から紫外線を照射した時と、裏面から照射した時の黄変度合い(ΔYI)の差が9以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記ポリイミドフィルムの厚みが、5~100μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  5. 引張弾性率が3.5GPa以上である、請求項1~4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  6. 黄色度が2.5以下である、請求項1~5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  7. 鉛筆硬度がH以上である、請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  8. 第一のポリイミド樹脂と紫外線吸収剤を溶媒中に溶解した第一のポリイミド溶液を基材上に塗布して第一樹脂層を形成する工程と、
    第二のポリイミド樹脂を溶媒中に溶解した、紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド溶液を耐紫外線層上に塗布して第二樹脂層を形成する工程を有し、
    前記第一および第二のポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
    Figure 2023059321000008
  9. 紫外線吸収剤を含まない第二のポリイミド溶液を基材上に塗布して第二樹脂層を形成する工程と、
    第一のポリイミド樹脂と紫外線吸収剤を溶媒中に溶解した第一のポリイミド溶液を第二樹脂層上に塗布して第一樹脂層を形成する工程を有し、
    前記第一および第二のポリイミド樹脂が、酸二無水物として式(1)で表されるエステル構造を有する酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
    Figure 2023059321000009

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