JP7335579B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材とその製造方法、並びに該キャリア芯材を備えた電子写真現像剤用キャリアと現像剤 - Google Patents
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Description
前記キャリア芯材の原料を混合及び粉砕して原料混合物とする工程、
前記原料混合物を仮焼成して仮焼成物とする工程、
前記仮焼成物を粉砕及び造粒して造粒物とする工程、
前記造粒物を本焼成して焼成物とする工程、及び
前記焼成物から超微粉を除去する工程、を含む、方法。
本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材(キャリア芯材と称する場合がある)は、フェライト組成を有し、上澄み透過率が85.0%以上である。ここで、キャリア芯材は、キャリアのコアとなる材料であり、この芯材に樹脂を被覆又は充填することで、樹脂被覆キャリアや樹脂充填キャリアとすることができる。あるいは、樹脂の被覆及び充填を行わず、キャリア芯材自体をキャリアとすることも可能である。
本発明の上記キャリア芯材の製造方法は、少なくとも、以下の工程;キャリア芯材の原料を混合及び粉砕して原料混合物とする工程、原料混合物を仮焼成して仮焼成物とする工程、仮焼成物を粉砕及び造粒して造粒物とする工程、造粒物を本焼成して焼成物とする工程、及び焼成物から超微粉を除去する工程を含む。この製造方法は、特に焼成物から超微粉を除去する工程(超微粉除去工程)を特徴としており、この工程により、トナー色汚れにつながるフェライト超微粉が効果的に除去される。以下において、各工程の詳細について説明する。
原料の混合粉砕工程では、キャリア芯材の原料を混合及び粉砕して、原料混合物とする。原料は、所望のフェライト組成が得られる限り限定されず、酸化物、炭酸塩、水酸化物及び/又は塩化物などを用いることができる。このような原料として、例えば、Fe2O3、Fe3O4、MnO2、Mn2O3、Mn3O4、MnCO3、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、SrCO3、CaCO3、TiO2、Li2CO3、Al2O3、SiO2、ZrO2、Bi2O3などが挙げられる。
仮焼成工程では、得られた原料混合物を仮焼成して、仮焼成物とする。仮焼成の条件は、特に限定されず、公知の条件とすればよい。例えば、大気雰囲気下、700~1300℃の温度で0.5~10時間行う。また、必要に応じて、仮焼成前に原料混合物を造粒してもよい。造粒方法は、例えば、ローラーコンパクター等の加圧成型機を用いてペレット化する手法、あるいは原料混合物に水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化する手法が挙げられる。
粉砕及び造粒工程では、仮焼成物を粉砕及び造粒して造粒物とする。粉砕方法は、特に限定されず、公知の手法でよい。例えば、振動ミル、ボールミル又はビーズミルなどの粉砕機を用い、乾式及び湿式のいずれか一方又は両方で行う。造粒方法も、特に限定されず、公知の手法でよい。例えば、粉砕後の仮焼成物に、水及び必要に応じて分散剤やポリビニルアルコール(PVA)等のバインダーを加えて粘度を調整し、その後、スプレードライヤー等の造粒機を用いて行う。また、造粒時にバインダー等の有機物を加えた場合には、造粒後に熱処理して有機物を除去してもよい。熱処理温度は、有機物の種類に応じて決めればよいが、例えば500~900℃である。
本焼成工程では、造粒物を焼成して焼成物とする。焼成の条件は、特に限定されず、公知の条件でよい。例えば、酸素濃度0.1~5.0容量%の雰囲気下で、800~1500℃の温度で1~24時間保持する条件で行う。焼成には、ロータリー式電気炉、バッチ式電気炉及びトンネル式電気炉などの公知の炉を用いる。また、焼成の際に、窒素等の不活性ガスや水素や一酸化炭素などの還元性ガスを導入して、炉中の酸素濃度を制御してもよい。
本発明の製造方法は、超微粉の除去工程を有する点を特徴とする。超微粉の除去工程では、得られた焼成物(本焼成後に解砕及び/又は分級した焼成物を含む)からフェライト超微粉を除去して、キャリア芯材とする。超微粉の除去は、得られたキャリア芯材の上澄み透過率が85.0%以上である限り、その手法は限定されない。超微粉の除去は、乾式及び湿式のいずれで行ってもよい。しかしながら、湿式で行うのが好ましい。湿式で行うと、電気二重層の反発力により、キャリア芯材から脱離した超微粉の再付着を効果的に妨ぐことができるからである。なお、超微粉(フェライト超微粉)は、その粒径が、サブミクロン~数μmレベルに分布しており、典型的には10nm~10μmの範囲内に分布している。
必要に応じて、超微粉を除去した焼成物(キャリア芯材)を低温加熱して、表面に酸化被膜を形成してもよい。酸化被膜を形成することで、キャリア芯材の電気抵抗を調整することができる。酸化被膜の形成方法は、特に限定されず、公知の手法でよい。例えば、ロータリー式電気炉やバッチ式電気炉などの炉を用い、300~700℃の温度で焼成物を熱処理する。酸化被膜の厚さは、熱処理温度や保持時間を制御することで調整できる。
本発明の電子写真現像剤用キャリア(キャリアと称する場合がある)は、上記キャリア芯材を備えたものであれば、特に限定されない。例えば、キャリア芯材(フェライト粒子)の表面に樹脂被覆層を備えたキャリア(樹脂被覆キャリア)であってもよく、あるいは、キャリア芯材が細孔(空隙)を有する多孔質フェライト粒子からなり、この細孔に充填してなる樹脂(充填樹脂)を備えたキャリア(樹脂充填キャリア)であってもよい。または、樹脂を用いず、キャリア芯材自体をキャリアとしてもよい。
本発明の現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーを含む。現像剤を構成するトナーには、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。いずれのトナー粒子を使用してもよい。トナー粒子の平均粒径は、2~15μmが好ましく、3~10μmがより好ましい。平均粒径を2μm以上とすることで、帯電能力が向上しカブリやトナー飛散がより抑制される。また、15μm以下とすることで、画質がさらに向上する。キャリアとトナーの混合比、すなわちトナー濃度は、3~15重量%に設定することが好ましい。トナー濃度を3重量%以上とすることで、所望の画像濃度が得やすくなり、15重量%以下とすることで、トナー飛散やかぶりがより抑制される。一方で、現像剤を補給用現像剤として用いる場合には、キャリアとトナーの混合比を、キャリア1重量部に対してトナー2~50重量部とすることができる。
(1)キャリア芯材の作製
<原料の混合粉砕>
焼成後の組成比が、MnO:38.0mol%、MgO:11.0mol%、Fe2O3:50.3mol%及びSrO:0.7mol%となるように、原料を秤量した。その際、原料として、酸化鉄(Fe2O3):80.5kg、四酸化三マンガン(Mn3O4):29.0kg、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2):6.4kg及び炭酸ストロンチウム(SrCO3):1.0kgを用いた。次に、秤量した原料を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて5時間混合及び粉砕して、原料混合物とした。
得られた原料混合物を仮焼成した。まず、原料混合物を、ローラーコンパクターを用いて約1mm角のペレットにした。得られたペレットから、目開き3mmの振動篩を用いて粗粒子を除去し、さらに、目開き0.5mmの振動篩を用いて微粒子を除去した。粗粒子及び微粒子を除去したペレットを、ロータリー式電気炉を用いて1100℃で3時間加熱して、仮焼成物とした。
得られた仮焼成物を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて粉砕した後、水を加え、さらに湿式メディアミル(縦型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて5時間粉砕してスラリーとした。得られたスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA、20重量%溶液)を仮焼成物に対して0.2重量%添加し、さらにポリカルボン酸系分散剤を添加して、スラリー粘度を2ポイズに調整した。
有機成分を除去した造粒物を、トンネル式電気炉を用いて焼成し、焼成物とした。焼成は、造粒物を焼成温度1260℃、酸素濃度2.0容量%の雰囲気下で5時間保持することにより行った。昇温速度は150℃/時、降温速度は110℃/時とした。また、窒素ガスを電気炉の出口側から導入し、電気炉の内部圧力を0~10Pa(正圧)にした。得られた焼成物をハンマークラッシャーを用いて解砕した後、350メッシュの篩網を取り付けたジャイロシフターを用いて粗粒子を除去した。粗粒子を除去した焼成物を、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いて1200rpmの条件で微粒子を分級する粒度調整を行った。その後、磁力選鉱により、粒度調整後の焼成物から低磁力品を分別して、フェライト粒子を得た。
低磁力品を分別したフェライト粒子(焼成物)から、さらに超微粉を除去した。まず、フェライト粒子とプロピレングリコールを用いて、固形分濃度30重量%のフェライト粒子スラリーを準備した。次に、得られたスラリーに分散処理を施した。分散処理は、薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス株式会社、フィルミックス)を用いて、50m/秒の条件で1分間行った。分散処理後のスラリーを1分間静置して、沈殿物と上澄み液に分離させた。上澄み液を除去した後、得られた沈殿物を150℃で乾燥した。これにより、超微粉が除去されたフェライト粒子からなるキャリア芯材を得た。
<樹脂溶液の準備>
得られたキャリア芯材を用いてキャリアを作製した。まず、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)とポリアミドイミド樹脂(PAI)を、混合重量比(FEP/PAI)が8/2となるように、水に分散させて樹脂溶液を得た。固形分換算で100gの原液を、水500mlで希釈し、ポリカルボン酸アンモニウム塩系分散剤を適量添加した。分散剤を添加した希釈原液を、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散し、さらに、ビーズミル(メディア径:2mm)を用いて10分間分散して、樹脂溶液を準備した。
次に、キャリア芯材と樹脂溶液を用いて、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成した。キャリア芯材の量は10kgとした。また、樹脂被覆層の形成には、流動床被覆装置を用いた。その後、得られた被覆物を250℃で1時間焼き付けて、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を設けたキャリアを得た。樹脂被覆量は、キャリア芯材に対して1重量%であった。
得られたキャリア芯材及びキャリアについて、各種特性の評価を以下のとおり行った。
キャリア芯材の粒度分布をレーザー回折・散乱法により求めた。まず、試料(キャリア芯材)10gを、分散媒たる水80mlとともに、100mlのビーカーに入れ、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを2~3滴添加した。次いで、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムティー、UH-150型)を用い、出力レベルを4に設定して、20秒間の分散を行った。その後、ビーカー表面にできた泡を取り除き、試料をマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社、Model9320-X100)に投入して分析を行った。得られた分析結果から、体積平均粒子径(D50)、体積分布における20μm未満の粒子割合(Pv(d<20))、体積分布における16μm未満の粒子割合(Pv(d<16))、及び個数分布における16μm未満の粒子割合(Pn(d<16))を、それぞれ求めた。
キャリア芯材のメッシュ通過量(Pw(d<16))を、メッシュ通過前後の重量から算出した。まず、目開き16μmのステンレスメッシュ(アサダメッシュ株式会社、SV-Sieve SV-16/16tw)を張った専用セルを準備し、試料(キャリア芯材)を2.5000±0.0005g秤量して当該専用セルに投入し(これを投入重量Aとする)、試料の入った専用セルの重量Bを測定した。続いて、試料の入った専用セルを、吸引式帯電量測定装置(Epping社、q/mメーター)にセットし、吸引圧:105±5mbarで90秒間吸引した。その後、当該専用セルを取り外し、吸引後の試料の入った専用セルの重量Cを測定した。そして、メッシュ通過量(Pw(d<16))を、式(2):メッシュ通過量(重量%)=(吸引前重量B-吸引後重量C)/投入重量A×100に基づき求めた。
キャリア芯材の粒度・形状分布を、画像解析により求めた。まず、分散媒として粘度0.5Pa・秒のキサンタンガム水溶液を調製し、このキサンタンガム水溶液30mlに試料(キャリア芯材)0.1gを分散させたものをサンプル液とした。このように分散媒の粘度を適正に調整することで、試料が分散媒中で分散したままの状態を保つことができ、測定をスムーズに行なうことができる。
キャリア芯材の形状係数SF-1を、走査型電子顕微鏡(SEM)画像の解析により求めた。まず、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ、SU8020)を用いて、試料(キャリア芯材)中の粒子を450倍の視野にて撮影した。得られた画像情報を、インターフェースを介して画像解析ソフト(メディアサイバネティクス社、Image-Pro PLUS)に導入して解析を行い、投影面積(S)及びフィレ径(R)を求めた。
キャリア芯材の見掛け密度(AD)を、JIS-Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に従って測定した。
キャリア芯材のBET比表面積を、次のようにして測定した。まず、試料(キャリア芯材)を真空乾燥機に入れ、200℃で2時間の処理を行い、80℃以下になるまで乾燥機内で保持した。乾燥機から取り出した後、密になるように試料をセルに充填し、BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製Macsorb HM model 1210)にセットした。脱気温度200℃にて60分間の前処理を行った後に、測定を行った。
キャリア芯材の上澄み透過率を、次のようにして測定した。まず、試料(キャリア芯材)15gとメタノール25gを内容量50mlのガラス瓶に入れた。次に、振とう機(株式会社ヤヨイ、Model-YS-LD)を用いて、試料を入れたガラス瓶を200回/分の振とう強度で20分間撹拌した後、1分間静置してから上澄み液を回収した。回収した上澄み液の吸収スペクトルを、分光光度計(島津製作所、UV-1800)を用いて求め、400nmにおける透過率を上澄み透過率とした。
キャリア芯材及びキャリアの超微粉移行量を、次のようにして測定した。まず、試料(キャリア芯材又はキャリア)とフルカラープリンターに使用されている負極性トナーたるシアントナー(富士ゼロックス株式会社、DoCuPrintC3530用)を、トナー濃度1.0重量%、総重量30gとなるように秤量した。秤量した試料とトナーとを50mlのポリ瓶に入れ、撹拌機(ターブラー社、ターブラーミキサーT2C型)を用いて、撹拌速度96rpmで1時間の撹拌を行って現像剤とした。
(1)キャリア芯材の作製
<原料の混合粉砕>
焼成後の組成比が、MnO:39.6mol%、MgO:9.6mol%、Fe2O3:50.0mol%及びSrO:0.8mol%となるように、原料を秤量した。その際、原料として、酸化鉄(Fe2O3):34.2kg、四酸化三マンガン(Mn3O4):12.9kg、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2):2.4kg及び炭酸ストロンチウム(SrCO3):0.5kgを用いた。秤量した原料を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて5時間混合及び粉砕して、原料混合物とした。
得られた原料混合物を仮焼成した。まず、原料混合物を、ローラーコンパクターを用いて約1mm角のペレットにした。得られたペレットから、目開き3mmの振動篩を用いて粗粒子を除去し、さらに、目開き0.5mmの振動篩を用いて微粒子を除去した。粗粒子及び微粒子を除去したペレットを、連続式電気炉を用いて1200℃で3時間加熱して、仮焼成物とした。
得られた仮焼成物を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて6時間粉砕した後、水を加え、さらに湿式メディアミル(横型ビーズミル、1mm径のジルコニアビーズ)を用いて8時間粉砕してスラリーとした。得られたスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA、10重量%溶液)を仮焼成物に対して0.4重量%添加し、さらにポリカルボン酸系分散剤を添加して、スラリー粘度を2ポイズに調整した。
有機成分を除去した造粒物を、トンネル式電気炉を用いて焼成し、焼成物とした。焼成は、造粒物を焼成温度1190℃、酸素濃度0.7容量%の雰囲気下で5時間保持することにより行った。昇温速度は150℃/時、降温速度は110℃/時とした。また、窒素ガスを電気炉の出口側から導入し、電気炉の内部圧力を0~10Pa(正圧)にした。得られた焼成物をハンマークラッシャーで解砕した後、400メッシュの篩網を取り付けたジャイロシフターを用いて粗粒子を除去し、さらに、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いて1500rpmの条件で微粒子を分級する粒度調整を行った。磁力選鉱により、粒度調整後の焼成物から低磁力品を分別して、フェライト粒子を得た。
低磁力品を分別したフェライト粒子から、さらに超微粉を除去した。まず、フェライト粒子とプロピレングリコールから、固形分濃度30重量%のフェライト粒子スラリーを準備した。次に、得られたスラリーに、薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス株式会社、フィルミックス)を用いて30m/秒の条件で1分間の分散処理を施した。分散処理後のスラリーを1分間静置して沈殿物と上澄み液に分離させた。上澄み液を除去した後、得られた沈殿物を150℃で乾燥した。これにより、超微粉が除去されたフェライト粒子からなるキャリア芯材を得た。
<樹脂溶液の準備>
得られたキャリア芯材を用いてキャリアを作製した。まず、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)とポリアミドイミド樹脂(PAI)を、混合重量比(FEP/PAI)が8/2となるように、水に分散させて樹脂溶液を作製した。固形分換算で200gの原液を、水500mlで希釈し、カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社、EC600JD)を20g(樹脂固形分に対して10重量%)と、適量のポリカルボン酸アンモニウム塩系分散剤を添加した。カーボンブラック及び分散剤を添加した希釈原液を、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散し、さらにビーズミル(メディア径:2mm)を用いて10分間分散して、樹脂溶液を準備した。
次に、キャリア芯材と樹脂溶液を用いて、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成した。キャリア芯材の量は10kgとした。また、樹脂被覆層の形成には、流動床被覆装置を用いた。その後、得られた被覆物を250℃で1時間焼き付けて、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を設けたキャリアを得た。樹脂被覆量は、キャリア芯材に対して2重量%であった。
得られたキャリア芯材及びキャリアについて、例1と同様にして評価を行った。
(1)キャリア芯材の作製
<原料の混合粉砕>
焼成後の組成比が、MnO:38.0mol%、MgO:11.0mol%、Fe2O3:50.3mol%及びSrO:0.7mol%となるように、原料を秤量した。その際、原料として、酸化鉄(Fe2O3):17.2kg、四酸化三マンガン(Mn3O4):6.2kg、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2):1.4kg及び炭酸ストロンチウム(SrCO3):0.2kgを用いた。次に、秤量した原料を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて4.5時間混合及び粉砕して、原料混合物とした。
得られた粉砕物を仮焼成した。まず、原料混合物を、ローラーコンパクターを用いて約1mm角のペレットにした。得られたペレットから、目開き3mmの振動篩を用いて粗粒子を除去し、さらに、目開き0.5mmの振動篩を用いて微粒子を除去した。粗粒子及び微粒子を除去したペレットを、ロータリー式電気炉を用いて1080℃で3時間加熱して、仮焼成物とした。
得られた仮焼成物を、乾式メディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて粉砕した後、水を加え、さらに湿式メディアミル(横型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて10時間粉砕してスラリーとした。得られたスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA、20重量%溶液)を仮焼成物に対して0.2重量%添加し、さらにポリカルボン酸系分散剤を添加して、スラリー粘度を2ポイズに調整した。
有機成分を除去した造粒物を、トンネル式電気炉を用いて焼成し、焼成物とした。焼成は、造粒物を焼成温度1098℃、酸素濃度0.8容量%の雰囲気下で5時間保持することにより行った。昇温速度は150℃/時、降温速度は110℃/時とした。また、窒素ガスをトンネル式電気炉の出口側から導入し、電気炉の内部圧力を0~10Pa(正圧)にした。得られた焼成物をハンマークラッシャーで解砕した後、300メッシュの篩網を取り付けたジャイロシフターを用いて粗粒子を除去し、さらに、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いて1400rpmの条件で微粒子を分級する粒度調整を行った。磁力選鉱により、粒度調整後の焼成物から低磁力品を分別して、フェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子は多孔質であった。
低磁力品を分別したフェライト粒子から、さらに超微粉を除去した。超微粉の除去は、フェライト粒子に、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いた分級処理を施すことにより行った。分級機の回転速度は4000rpmとした。これにより、超微粉が除去された多孔質フェライト粒子からなるキャリア芯材を得た。
<充填樹脂溶液の準備>
得られたキャリア芯材(多孔質フェライト粒子)の細孔に樹脂を充填して、キャリアを作製した。まず、メチルシリコーン樹脂溶液30重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分として6重量部)に、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)を樹脂固形分に対して25重量%(チタン原子換算で3重量%)を加えた後、アミノシランカップリング剤として3-アミノプロピルトリエトキシシランを樹脂固形分に対して5重量%添加して、充填樹脂溶液を得た。
次に、キャリア芯材(多孔質フェライト粒子)と充填樹脂溶液(希釈溶媒:トルエン)を充填装置に入れ、60℃、6.7kPa(約50mmHg)の減圧下で混合及び撹拌し、トルエンを揮発させながら、樹脂溶液をキャリア芯材の細孔に浸透及び充填させた。このとき、キャリア芯材100重量部に対して、メチルシリコーン樹脂溶液量30重量部(固形分換算で6重量部)とした。充填装置内の圧力を常圧に戻し、常圧下で撹拌を続けながら、トルエンをほぼ完全に除去し、キャリア芯材を充填装置から取り出した。取り出したキャリア芯材を容器に入れ、熱風式オーブンを用いて、220℃で1.5時間の加熱処理を施した。室温まで冷却した後、樹脂が充填及び硬化されたキャリア芯材を取り出した。取り出したキャリア粒子の凝集を、200メッシュ目開きの振動篩を用いて解した。その後、磁力選鉱機を用いて非磁性物を取り除いた。これにより、キャリア芯材(多孔質フェライト粒子)の細孔に樹脂が充填されたキャリアを得た。樹脂充填量は、キャリア芯材に対して6重量%であった。
得られたキャリア芯材及びキャリアについて、例1と同様にして評価を行った。
(1)キャリア芯材の作製
<原料の混合粉砕>
焼成後の組成比が、MnO:40.0mol%、MgO:10.0mol%及びFe2O3:50.0mol%となるように原料を秤量し、さらにこれら金属酸化物100重量部に対して、ZrO2を1.5重量部添加した。その際、原料として、酸化鉄(Fe2O3):16.9kg、四酸化三マンガン(Mn3O4):6.5kg、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2):1.2kg及び酸化ジルコニウム(ZrO2):0.4kgをそれぞれ用いた。秤量した原料を、湿式ボールミルを用いて5時間粉砕及び混合し、さらにスプレードライヤーにて乾燥して、原料混合物とした。
得られた混合物を仮焼成した。仮焼成は、混合物を950℃で1時間保持することにより行い、仮焼成物を得た。
得られた仮焼成物に水を加え、湿式ボールミルで6時間粉砕してスラリーとした。得られたスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA、20重量%溶液)を仮焼成物に対して0.2重量%添加し、さらにポリカルボン酸系分散剤を添加して、スラリー粘度を2ポイズに調整した。
有機成分を除去した造粒物を、トンネル式電気炉を用いて焼成し、焼成物とした。焼成は、造粒物を、焼成温度1250℃、酸素濃度0.3容量%の雰囲気下で6時間保持することにより行った。昇温速度は150℃/時、降温速度は110℃/時とした。また、窒素ガスを電気炉の出口側から導入し、電気炉の内部圧力を0~10Pa(正圧)にした。得られた焼成物をハンマークラッシャーで解砕した後、350メッシュの篩網を取り付けたジャイロシフターを用いて粗粒子を除去し、さらに、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いて1200rpmの条件で微粒子を分級する粒度調整を行った。磁力選鉱機により、粒度調整後の焼成物から低磁力品を分別して、フェライト粒子を得た。
低磁力品を分別したフェライト粒子から、さらに超微粉を除去した。超微粉の除去は、フェライト粒子に、精密空気分級機(日清エンジニアリング株式会社、ターボクラシファイアTC-15)を用いた分級処理を施すことにより行った。分級機の回転速度は8000rpmとした。これにより、超微粉が除去されたフェライト粒子を得た。
ロータリー式大気炉を用いて、超微粉が除去されたフェライト粒子に500℃で1時間保持する酸化被膜処理を施した。酸化被膜処理を施したフェライト粒子を、磁力選鉱及び混合して、キャリア芯材を得た。
<樹脂溶液の準備>
得られたキャリア芯材を用いてキャリアを作製した。まず、メチルシリコーン樹脂溶液5重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分として1重量部)に、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(メチルアセトアセテート)を樹脂固形分に対して25重量%(チタン原子換算で3重量%)を加えた後、アミノシランカップリング剤として3-アミノプロピルトリエトキシシランを樹脂固形分に対して5重量%添加し、さらに、導電剤としてカーボンブラック(Cabot社、Mogul L)を樹脂に対して3重量%添加して、樹脂溶液を得た。
次に、キャリア芯材と樹脂溶液(希釈溶媒:トルエン)を用いて、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成した。樹脂被覆層の形成は、次のようにして行った。キャリア芯材と樹脂溶液を、万能混合機を用いて混合及び撹拌し、トルエンを揮発しながら、シリコーン樹脂をキャリア芯材の表面に被覆させた。このとき、キャリア芯材100重量部に対して、メチルシリコーン樹脂溶液5重量部(固形分換算で1重量部)とした。トルエンが充分に揮発したことを確認した後、被覆したキャリア芯材を装置から取り出した。取り出したキャリア芯材を容器に入れ、熱風式オーブンを用いて、220℃で2時間の加熱処理を施した。室温まで冷却した後、樹脂が被覆及び硬化されたキャリア芯材を取り出した。取り出したキャリア芯材を250メッシュ目開きの振動篩を用いて粒子の凝集を解した。その後、磁力選鉱機を用いて非磁性物を取り除き、再度250メッシュ目開きの振動篩を用いて粗大粒子を取り除いた。これにより、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を設けたキャリアを得た。樹脂被覆量は、キャリア芯材に対して1重量%であった。
得られたキャリア芯材及びキャリアについて、例1と同様にして評価を行った。
キャリア芯材作製の際に、超微粉の除去を行わなかった以外は、例1と同様にして、キャリア芯材とキャリアの作製及び評価を行った。
キャリア芯材作製の際に、超微粉の除去を行わなかった以外は、例2と同様にして、キャリア芯材とキャリアの作製及び評価を行った。
キャリア芯材作製の際に、超微粉の除去を行わなかった以外は、例3と同様にして、キャリア芯材とキャリアの作製及び評価を行った。
キャリア芯材作製の際に、超微粉の除去を行わなかった以外は、例4と同様にして、キャリア芯材とキャリアの作製及び評価を行った。
例1~8において、得られる評価結果は、表1に示されるとおりであった。実施例たる例1~例4は、キャリア芯材の上澄み透過率が91.6%以上と高かった。また、これらのキャリア芯材から作製したキャリアは、その超微粉移行量が412ppm以下と低かった。このことから、これらのキャリア芯材は、その表面に付着するフェライト超微粉の量が少なく、そのため、キャリアとしたときにも、トナーへの超微粉の移行が抑制されることが分かった。特に、湿式による超微粉の除去を行った例1及び例2は、キャリア芯材の上澄み透過率が96.7%以上であり、キャリアの超微粉移行量が135ppm以下と極めて低かった。したがって、湿式による超微粉の除去は、トナーへの超微粉移行防止の効果に非常に優れることが分かる。
Claims (8)
- フェライト組成を有し、上澄み透過率が85.0%以上である、電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、以下の工程;
前記キャリア芯材の原料を混合及び粉砕して原料混合物とする工程、
前記原料混合物を仮焼成して仮焼成物とする工程、
前記仮焼成物を粉砕及び造粒して造粒物とする工程、
前記造粒物を本焼成して焼成物とする工程、
前記焼成物を解砕し、その後、分級して粗粒子や微粒子を取り除く工程、及び
前記解砕及び分級した焼成物から超微粉を除去する工程、を含み、
前記超微粉を除去する工程で、前記焼成物とグリコール類からなる溶媒とを、高速ミキサーを用いて10~100m/秒の速度で0.1~10分の条件で混合及び分散してスラリーとし、前記スラリーを10秒~60分静置して沈殿物と上澄み液に分け、前記上澄み液を除去した後に、前記沈殿物を回収して乾燥する、あるいは精密空気分級機を用いて回転速度2000rpm以上の条件で前記焼成物に分級操作を行う、方法。 - 前記キャリア心材の上澄み透過率が90.0%以上である、請求項1に記載の方法。
- 前記キャリア芯材の見掛け密度が1.5~2.5g/cm3である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記キャリア芯材の体積平均粒子径D50が20~50μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記キャリア芯材の形状係数SF-1が105~150である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記キャリア芯材のBET比表面積が0.05~0.55m2/gである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記キャリ芯材の平均円相当径が20~50μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記キャリア芯材は、一般式(1):(MO)x(Fe2O3)y(ただし、x+y=100mol%、y=30~95mol%、MはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Li、Al、Si、Zr及びBiからなる群から選択される1種又は2種以上)で表されるフェライト組成を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
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