JP2019011440A - シリカエアロゲル及びその製造方法 - Google Patents
シリカエアロゲル及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019011440A JP2019011440A JP2017129666A JP2017129666A JP2019011440A JP 2019011440 A JP2019011440 A JP 2019011440A JP 2017129666 A JP2017129666 A JP 2017129666A JP 2017129666 A JP2017129666 A JP 2017129666A JP 2019011440 A JP2019011440 A JP 2019011440A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- formula
- same
- group
- alkyl group
- integer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Silicon Polymers (AREA)
Abstract
【課題】透明性が高く、強度が優れる上に高い疎水性を有するシリカエアロゲル及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する。本発明のシリカエアロゲルの製造方法は、フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物と、該第1の加水分解性シラン化合物以外である第2の加水分解性シラン化合物とを含む原料を加水分解反応する工程を備える。【選択図】なし
Description
本発明は、シリカエアロゲル及びその製造方法に関する。
シリカエアロゲルは、透明性が高く、軽量でありながら優れた性能を有する多機能材料である。このようなシリカエアロゲルは、断熱材、防音材、触媒担持体、吸着材、分離材等の各種用途に適用できることから、次世代材料として特に注目されている。
近年では、シリカエアロゲルの性能をより高めるべく、種々のシリカエアロゲルが提案されている。例えば、特許文献1には、バインダーと複合化させることにより、シリカエアロゲル粒子の硬度を向上させる技術が提案されている。特許文献2には、強靭な樹脂材料であるスチレンポリマーフォーム(PSフォーム)と複合化させることにより、エアロゲル粒子の圧縮応力を向上させる技術が提案されている。また、特許文献3には、シリカエアロゲル粒子の表面を修飾することで疎水化処理し、シリカエアロゲル粒子の吸湿性を抑えることで劣化を防止する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術のように、バインダー成分又はPSフォームが含まれることで、エアロゲルの透明性が損なわれる問題があり、用途上の制約を受けやすかった。また、特許文献3に記載の技術では、別途の表面処理が行われるために製造に時間がかかり、また、表面修飾によってエアロゲルの他の機能が損なわれる問題を有していた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、透明性が高く、強度が優れる上に高い疎水性を有するシリカエアロゲル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、フルオレン骨格を導入することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の発明を包含する。
項1.フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する、シリカエアロゲル。
項2.前記フルオレン部位を有する骨格は、下記一般式(1)
項1.フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する、シリカエアロゲル。
項2.前記フルオレン部位を有する骨格は、下記一般式(1)
(式(1)中、a,b,c及びdは1〜10の整数、eは0〜4の整数、fは0〜2の整数、m及びnは1〜100の整数、R1及びR2は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R3は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、R4はアルキル基を示し、a,b,c及びdは同一又は異なっていてもよく、m及びnは同一又は異なっていてもよく、R1及びR2は同一又は異なっていてもよい)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(2)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(2)
(式(2)中、g及びhは1〜10の整数、iは0〜4の整数、jは0〜2の整数、R5は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、R6はアルキル基を示し、g及びhは同一又は異なっていてもよい)
で表される構造を有する、項1に記載のシリカエアロゲル。
項3.フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物と、該第1の加水分解性シラン化合物以外である第2の加水分解性シラン化合物とを含む原料を加水分解反応する工程を備える、フルオレン部位を有するシリカエアロゲルの製造方法。
項4.前記第1の加水分解性シラン化合物は、下記一般式(3)
で表される構造を有する、項1に記載のシリカエアロゲル。
項3.フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物と、該第1の加水分解性シラン化合物以外である第2の加水分解性シラン化合物とを含む原料を加水分解反応する工程を備える、フルオレン部位を有するシリカエアロゲルの製造方法。
項4.前記第1の加水分解性シラン化合物は、下記一般式(3)
(式(3)中、a,b,c及びdは1〜10の整数、eは0〜4の整数、fは0〜2の整数、m及びnは1〜100の整数、R1及びR2は、炭素数1〜10のアルキレンを示し、R3は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、R4はアルキル基を示す。X1及びX2は、−Si(ORa)p(Rb)3−p(ここで、Raはアルキル基又は−(RcO)q−Rd(Rcはアルキレン基、Rdはアルキル基を示し、qは1以上の整数を示す)で表される基を示し、Rbは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、pは1〜3の整数を示す)で表される基を示す。a,b,c及びdは同一又は異なっていてもよく、m及びnは同一又は異なっていてもよく、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく、X1及びX2は同一又は異なっていてもよい)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(4)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(4)
(式(4)中、g及びhは1〜10の整数、iは0〜4の整数、jは0〜2の整数、R5は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を示し、R6はアルキル基を示し、X3及びX4は、前記X1及びX2と同義であり、g及びhは同一又は異なっていてもよく、X3及びX4は同一又は異なっていてもよい)
で表される構造を有する、項3に記載の製造方法。
項5.前記原料は、前記第2の加水分解性シラン化合物1モルに対して前記第1の加水分解性シラン化合物が0.001〜1モル含まれる、項3又は4に記載の製造方法。
で表される構造を有する、項3に記載の製造方法。
項5.前記原料は、前記第2の加水分解性シラン化合物1モルに対して前記第1の加水分解性シラン化合物が0.001〜1モル含まれる、項3又は4に記載の製造方法。
本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン骨格を有することから、透明性が高く、強度が優れる上に高い疎水性を有する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.シリカエアロゲル
本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する。なお、以下の説明において、フルオレン部位を有する骨格を「フルオレン骨格」と表記することがある。
本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する。なお、以下の説明において、フルオレン部位を有する骨格を「フルオレン骨格」と表記することがある。
本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン骨格を有することから、透明性が高く、強度が優れる上に高い疎水性を有する。
エアロゲル(aerogel)とは、ゲル中に含まれる溶媒を乾燥により気体に置換した多孔性の物質(多孔質体)であり、特に、シリカを構成要素として有するエアロゲルをシリカエアロゲルという。なお、ゲル中の溶媒が失われて、空隙を有する網目構造となった状態をキセロゲル(xerogel)という。本発明におけるシリカエアロゲルは、キセロゲルも包含する。
フルオレン骨格は、フルオレン部位を必須の構成要素として有する。フルオレン骨格は、一又は二以上の置換基を有するフルオレンであって、さらにシリカエアロゲルのケイ素原子に結合することができる構造を有する。
フルオレン骨格の構造は、フルオレン部位を必須の構成要素として有する限りは特に限定されない。
例えば、前記フルオレン骨格は、前記式(1)で表される構造を有することができる。この構造のフルオレン骨格では、両末端がシリカエアロゲルに含まれるケイ素原子に結合し得る。
式(1)中、a,b,c及びdは1〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることが特に好ましい。
式(1)中、R1及びR2は、炭素数1〜10のアルキレン基であり、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、また、シリカエアロゲルの強度がより優れてより高い疎水性を有しやすいという観点から、R1及びR2は、炭素数1〜4のアルキレン基であることが特に好ましい。
式(1)中、R3は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基である。R3がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、R3がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基(より具体的には炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはメチル基)等が挙げられる。なお、eが2以上である場合、複数のR3は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン部位の2つの芳香環に結合するR3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン部位の2つの芳香環に対するR3の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。
式(1)中、R4のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基)である。異なる芳香環に結合したR4は互いに同一又は異なっていてもよい。また、fが2である場合、同一の芳香環においてR4は互いに同一又は異なっていてもよい。
式(1)中、eは、0〜4の整数であり、0〜1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。なお、フルオレン部位の2つの芳香環において、eは、互いに同一又は異なっていてもよい。
式(1)中、fは0〜2の整数であり、fは0又は1とすることができる。
式(1)中、m及びnは1〜100の整数であり、シリカエアロゲルが高い透明性を保持しつつ疎水性を有しやすいという観点から、3〜30であることが好ましい。m+nは2〜200であることが好ましく、6〜60であることがより好ましく、6〜20であることが特に好ましい。
前記フルオレン骨格は、前記式(2)で表される構造を有することもできる。この構造のフルオレン骨格では、両末端がシリカエアロゲルに含まれるケイ素原子に結合し得る。
式(2)中、g及びhは1〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることが特に好ましい。
式(2)中、R5は、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基である。R5がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、R5がアルキル基である場合、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基(より具体的には炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基)等が挙げられる。なお、iが2以上である場合、複数のR5は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン部位の2つの芳香環に結合するR5は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン部位の2つの芳香環に対するR5の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。
式(2)中、R6はアルキル基である。R6のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基)である。異なる芳香環に結合したR6は互いに同一又は異なっていてもよい。また、jが2である場合、同一の芳香環においてR6は互いに同一又は異なっていてもよい。
式(2)中、iは0〜4の整数であり、0〜1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。なお、フルオレン部位の2つの芳香環において、iは、互いに同一又は異なっていてもよい。
式(2)中、jは0〜2の整数であり、0又は1とすることができる。
本発明のシリカエアロゲルは、前記式(1)及び(2)で表されるフルオレン骨格の一方又は両方を含むことができる。また、本発明の効果が阻害されない限りは、前記式(1)及び(2)で表されるフルオレン骨格以外の構造を有するフルオレン骨格も含むことができる。
シリカエアロゲルは、−O−Si−O−の繰り返し単位を基本構造として有する。特に、本発明のシリカエアロゲルでは、一部のケイ素原子(Si)には、前記フルオレン骨格が結合した構造を有することが特徴である。これにより、シリカエアロゲルは、強度が優れ、疎水性も高く、しかも、透明性も高い材料となる。
強度がさらに向上し、疎水性もより高くなりやすいという観点から、シリカエアロゲルは、ケイ素1モルに対してフルオレン部位が、例えば0.0005〜0.4モル含まれ、0.001〜1/3モル含まれることが好ましく、0.005〜1/7モル含まれることがより好ましく、0.01〜1/12モル含まれることが特に好ましい。さらなる具体例として、ケイ素1モルに対して前記式(1)及び(2)で表されるフルオレン骨格が、例えば0.0005〜0.4モル含まれ、0.001〜1/3モル含まれることが好ましく、0.005〜1/7モル含まれることがより好ましく、0.01〜1/12モル含まれることが特に好ましい。
本発明のシリカエアロゲルは、フルオレン骨格を有する限りは、フルオレン骨格以外の他の骨格を有することができる。他の骨格の構造は特に限定されず、例えば、公知のシリカエアロゲルに含まれる骨格を挙げることができる。他の骨格としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の炭化水素基とすることができる。炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、あるいは、不飽和炭化水素基であってもよい。具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基等である。さらに具体的な炭化水素基は、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、フェニル基等を挙げることができる。
シリカエアロゲルの形状は特に限定されず、例えば、球状粒子、楕円粒子、不定形粒子、繊維状、棒状、針状等の種々の形状を形成することができる。シリカエアロゲルが粒子状である場合は、例えば、多数の粒子の集合体とすることができ、このような集合体としては、多孔質状の集合体、繊維状の集合体、網目構造を有する集合体等が挙げられる。
シリカエアロゲルの形態は特に限定されず、例えば、粉末状、バルク状、板状、スライム状、膜状、シート状等である。
本発明のシリカエアロゲルは、透明性が高く、強度が優れる上に高い疎水性を有する。一般にエアロゲルは親水性が強いため、空気中の水蒸気を吸着しやすく、これにより、水の表面張力による細孔構造が破壊され、シリカエアロゲルが劣化しやすい。これに対し、本発明のシリカエアロゲルは、強い疎水性が発揮されることから、劣化が起こりにくい材料である。また、本発明のシリカエアロゲルは、別途の疎水処理等の工程を不要とすることができ、全体的な工程の短縮及びコストダウンが可能である。
本発明のシリカエアロゲルは、各種の用途に適用することができる。例えば、本発明のシリカエアロゲルは、断熱材、防音材、触媒担持体、吸着材、分離材等を形成するための材料として好適に使用することができる。
2.シリカエアロゲルの製造方法
本発明のシリカエアロゲルの製造方法では、フルオレン部位を有するシリカエアロゲルを製造する。さらに詳しくは、本発明のシリカエアロゲルの製造方法では、フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有するシリカエアロゲルを得ることができる。本発明の製造方法で得られるフルオレン部位を有する骨格(すなわち、前記フルオレン骨格)を含むシリカエアロゲルは、例えば、前述の「1.シリカエアロゲル」の項で説明したシリカエアロゲルである。
本発明のシリカエアロゲルの製造方法では、フルオレン部位を有するシリカエアロゲルを製造する。さらに詳しくは、本発明のシリカエアロゲルの製造方法では、フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有するシリカエアロゲルを得ることができる。本発明の製造方法で得られるフルオレン部位を有する骨格(すなわち、前記フルオレン骨格)を含むシリカエアロゲルは、例えば、前述の「1.シリカエアロゲル」の項で説明したシリカエアロゲルである。
例えば、本発明の製造方法は、フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物と、該第1の加水分解性シラン化合物以外である第2の加水分解性シラン化合物とを含む原料を加水分解反応する工程を備えることができる。以下、この工程を「工程A」と表記する。
フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物の種類は特に限定されず、例えば、前記フルオレン骨格を有する加水分解性シラン化合物を挙げることができる。なお、加水分解性シラン化合物とは、ケイ素原子を有し、加水分解反応が可能な化合物であることを意味し、例えば、加水分解性シラン化合物としては、アルコキシシランを挙げることができる。
フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物(以下、「第1の加水分解性シラン化合物」と略記する)は、前記フルオレン骨格を有する限り、その構造は特に限定されない。
工程Aで使用できる第1の加水分解性シラン化合物は、例えば、前記式(3)で表される化合物を使用することができる。
式(3)中、a,b,c,d,e,f,m及びnがとり得る値及び好ましい値はそれぞれ、前記式(1)におけるa,b,c,d,e,f,m及びnと同様である。また、式(3)中、R1、R2、R3及びR4の種類及び好ましい態様はそれぞれ、前記式(1)におけるR1、R2、R3及びR4と同様である。つまり、式(3)中、X1及びX2以外は、式(1)と同様の構成とすることができる。
式(3)中、X1及びX2は、−Si(ORa)p(Rb)3−pで表される基を示す。ここで、Raはアルキル基又は−(RcO)q−Rdで表される基である。Rcはアルキレン基、Rdはアルキル基を示す。qは1以上の整数を示す。また、Rbは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。pは1〜3の整数を示す。
前記式(3)中、Raがアルキル基である場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜10のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
前記式(3)中、Raが−(RcO)q−Rdで表される基である場合、Rcのアルキレン基としては、例えば、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4)とすることができ、具体的には、エチレン基、プロピレン基等を挙げることができる。Rdのアルキル基としては、Raと同様のアルキル基を挙げることができる。Rdのアルキル基としては、メチル基、エチル基を例示することができる。qは、例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4(例えば、1〜2)とすることができ、特に1とすることができる。
X1及びX2において、Rbがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。Rbが炭化水素基である場合、炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。具体的には、炭化水素基は、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)、炭素数1〜20のアルケニル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)、炭素数6〜20のアリール基等であり、さらに具体的には、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、フェニル基等を挙げることができる。
X1及びX2において、pの値は、加水分解反応性を調節しやすい観点から、好ましくは2又は3、特に好ましくは3である。
工程Aで使用できる第1の加水分解性シラン化合物は、例えば、前記式(4)で表される化合物も使用することができる。
式(4)中、g,h,i及びjがとり得る値及び好ましい値はそれぞれ、前記式(2)におけるg,h,i及びjと同様である。また、式(4)中、R5及びR6の種類及び好ましい態様はそれぞれ、前記式(2)におけるR5及びR6と同様である。つまり、式(4)中、X3及びX4以外は、式(2)と同様の構成とすることができる。
式(4)中、X3及びX4は、前記X1及びX2と同義であり、好ましい態様も前記X1及びX2と同じである。
工程Aで使用できる第1の加水分解性シラン化合物は、前記式(3)及び(4)で表される化合物の一方又は両方を使用することができる。工程Aで使用できる第1の加水分解性シラン化合物は、前記式(3)で表される化合物又は前記式(4)で表される化合物のみとすることができるし、両者の混合物のみとすることもできる。また、工程Aで使用できる第1の加水分解性シラン化合物は、前記式(3)で表される化合物及び前記式(4)で表される化合物以外のフルオレン部位を有する加水分解性シラン化合物を含むこともできる。
前記式(3)で表される化合物は、公知の方法で製造することができる。例えば、特許第5571979号公報に開示のフルオレン化合物の製造方法と同様の方法を採用することができる。あるいは、公知の(例えば、市販されている)式(3)で表される化合物を工程Aで使用することもできる。
前記式(3)で表される化合物は、例えば、フルオレン化合物のエンチオール反応によって得ることができる。式(3)で表される化合物を得るためのフルオレン化合物としては、例えば、下記式(3−1)
(式(3−1)中、b,c,e,f,m,n,R1,R2,R3及びR4はそれぞれ、式(3)中のb,c,d,m,n,R1,R2,R3と同義である)
で表される化合物が例示される。なお、式(3−1)中、b,c,e,f,m,n,R1,R2,R3及びR4の好ましい態様は、式(3)と同様である。式(3−1)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
で表される化合物が例示される。なお、式(3−1)中、b,c,e,f,m,n,R1,R2,R3及びR4の好ましい態様は、式(3)と同様である。式(3−1)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
式(3)で表される化合物を得るためのエンチオール反応では、下記式(3−2)
(式(3−2)中、p,Ra及びRbはそれぞれ、式(3)中、X1及びX2におけるp,Ra及びRbと同義であり、tは式(3)中のa又はdと同義である)
で表される化合物を使用できる。なお、式(3−2)中、p,t,Ra及びRbの好ましい態様は、式(3)と同様である。式(3−2)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
で表される化合物を使用できる。なお、式(3−2)中、p,t,Ra及びRbの好ましい態様は、式(3)と同様である。式(3−2)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
前記エンチオール反応は、例えば、公知と同様の反応条件を採用することができる。
前記式(4)で表される化合物は、公知の方法で製造することができる。例えば、特許第5577149号公報に開示のフルオレン化合物の製造方法と同様の方法を採用することができる。あるいは、公知の(例えば、市販されている)式(4)で表される化合物を工程Aで使用することもできる。
前記式(4)で表される化合物は、例えば、フルオレン化合物のヒドロシリル化反応によって得ることができる。式(4)で表される化合物を得るためのフルオレン化合物としては、例えば、下記式(4−1)
(式(4−1)中、g,h,i,j,R5及びR6はそれぞれ、式(4)中のg,h,i,j,R5及びR6と同義である)
で表される化合物が例示される。なお、式(4−1)中g,h,i,j,R5及びR6の好ましい態様は、式(4)と同様である。式(4−1)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
で表される化合物が例示される。なお、式(4−1)中g,h,i,j,R5及びR6の好ましい態様は、式(4)と同様である。式(4−1)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
式(4)で表される化合物を得るためのヒドロシリル化反応では、下記式(4−2)
[化8]
H−Si(ORa)p(Rb)3−p (4−2)
(式(4−2)中、p,Ra及びRbはそれぞれ、式(3)中、X1及びX2におけるp,Ra及びRbと同義である)
で表される化合物を使用できる。なお、式(4−2)中、p,Ra及びRbの好ましい態様は、式(4)と同様である。式(4−2)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
[化8]
H−Si(ORa)p(Rb)3−p (4−2)
(式(4−2)中、p,Ra及びRbはそれぞれ、式(3)中、X1及びX2におけるp,Ra及びRbと同義である)
で表される化合物を使用できる。なお、式(4−2)中、p,Ra及びRbの好ましい態様は、式(4)と同様である。式(4−2)で表される化合物は公知の方法で製造することができる。
前記ヒドロシリル化反応は、例えば、公知と同様の反応条件を採用することができる。
前記第2の加水分解性シラン化合物は、前記第1の加水分解性シラン化合物以外のシラン化合物である。
第2の加水分解性シラン化合物は、例えば、公知のアルコキシシランを使用することができる。アルコキシシランは、二官能、三官能及び四官能のいずれであってもよく、これら二以上の混合物であってもよい。二官能アルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン等が挙げられる。三官能アルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。四官能アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。また、アルコシシシランとして、ビストリメチルシリルメタン、ビストリメチルシリルエタン、ビストリメチルシリルヘキサン、ビニルトリメトキシシランなどを用いることもできる。また、アルコキシシランの部分加水分解物を第2の加水分解性シラン化合物として使用することもできる。
第2の加水分解性シラン化合物は、三官能のアルコキシシランであることが特に好ましい。
なお、工程Aで使用する原料には、異なる二種以上の第1の加水分解性シラン化合物が含まれていてもよい。また、工程Aで使用する原料には、異なる二種以上の第2の加水分解性シラン化合物が含まれていてもよい。
得られるシリカエアロゲルの強度がさらに向上し、疎水性もより高くなりやすいという観点から、工程Aで使用する原料は、第2の加水分解性シラン化合物1モルに対して、第1の加水分解性シラン化合物が、例えば、0.0005〜2モルであり、0.001〜1モルであることが好ましく、0.005〜0.2モルであることがより好ましく、0.01〜0.1モルであることが特に好ましい。
なお、工程Aで使用する原料は、第1の加水分解性シラン化合物及び第2の加水分解性シラン化合物以外に他の材料を含むこともできる。
工程Aの加水分解反応の条件は特に限定されず、例えば、公知のアルコキシシランを加水分解反応させる条件と同様の条件を採用することができる。より具体的には、加水分解反応として、ゾル−ゲル法等を採用することができる。
ゾル−ゲル法では、第1の加水分解性シラン化合物及び第2の加水分解性シラン化合物を含む原料を溶媒の存在下で加水分解及び縮重合させ、これにより、シリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を得る方法である。
ゾル−ゲル法で使用する溶媒は、特に限定されず、公知のゾル−ゲル法で使用される溶媒を選択することができる。この溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。溶媒は二種以上の混合物であってもよく、また、水と有機溶媒の混合物であってもよい。
ゾル−ゲル法は、酸の存在下で行うこともできる。酸としては、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
ゾル−ゲル法は、塩基の存在下で行うこともできる。塩基としては、例えば、アンモニア、アミン化合物、ピペリジン、尿素等が挙げられる。
ゾル−ゲル法は、酸及び塩基の両方の存在下で行うこともできる。酸及び塩基は、例えば、水溶液で使用することができる。
ゾル−ゲル法は、その他、適宜の成分の存在下で行うことができる。例えば、公知の界面活性剤、分散安定剤、粘度調整剤、pH調整剤等を挙げることができる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれを使用することもできる。
ゾル−ゲル法における反応温度、反応時間も限定されず、例えば、公知と同様の条件等することができる。また、ゾル−ゲル法における原料と溶媒の使用割合、任意の成分の使用量等も限定されず、公知のシリカエアロゲル粒子を得るための反応と同様の条件を選択することができる。
ゾル−ゲル法で得られたゲルは、必要に応じて熟成及び溶媒置換を行うことができる。熟成条件は限定されず、公知と同様とすることができる。
溶媒置換の方法も特に限定されず、例えば、公知の方法で溶媒置換を行うことができる。溶媒置換では、例えば、ゾル−ゲル法で得られたゲル中の溶媒を、後記する超臨界乾燥が可能である溶媒に置換することが好ましい。後記の超臨界乾燥が可能である溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、その他、炭化水素溶媒、アミド溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒を挙げることができる。
ゾル−ゲル法で得られたゲルを溶媒置換した後は、溶媒を乾燥させ、これにより、目的のシリカエアロゲルが得られる。溶媒を乾燥させる方法は特に限定されず、例えば、超臨界乾燥法を採用できる。
超臨界乾燥法の条件は特に限定されず、公知の超臨界乾燥法を採用することができる。例えば、公知の超臨界二酸化炭素を使用した超臨界乾燥法を採用することができる。
超臨界乾燥を行う前に、粉砕処理等を行うことができる。あるいは、超臨界乾燥を行った前に、粉砕処理等を行うことができる。
以上のように、工程Aを備える製造方法によってシリカエアロゲルを得ることができる。本発明の製造方法は、必要に応じて、前記溶媒置換を行う工程及び前記超臨界乾燥法等による溶媒の乾燥を行う工程を備えることができる。
本発明の製造方法で得られるシリカエアロゲルは、フルオレン骨格(フルオレン部位を有する骨格)がケイ素原子に結合した構造を有し得る。また、工程Aで使用する第1の加水分解性シラン化合物が式(3)で表される化合物である場合は、前記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するシリカエアロゲルが得られる。工程Aで使用する第1の加水分解性シラン化合物が式(4)で表される化合物である場合は、前記式(2)で表されるフルオレン骨格を有するシリカエアロゲルが得られる。工程Aで使用する第1の加水分解性シラン化合物が式(3)で表される化合物及び式(4)で表される化合の混合物である場合は、前記式(1)及び(2)で表されるフルオレン骨格を有するシリカエアロゲルが得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
第1の加水分解性シラン化合物として、フルオレンを有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製「SC003」)を、第2の加水分解性シラン化合物として、トリメトキシメチルシラン(MTMS、関東化学製試薬)を準備した。フルオレンを有するシランカップリング剤は、下記式(5)で表される。
第1の加水分解性シラン化合物として、フルオレンを有するシランカップリング剤(大阪ガスケミカル社製「SC003」)を、第2の加水分解性シラン化合物として、トリメトキシメチルシラン(MTMS、関東化学製試薬)を準備した。フルオレンを有するシランカップリング剤は、下記式(5)で表される。
フルオレンを有するシランカップリング剤の分子量は、1335.76であり、式(5)中、n+m=11である。
まず、MTMS4.66gが溶解したテトラヒドロフラン(THF)溶液16mlを10分間撹拌続けた後、前記シランカップリング剤0.67gを加え、さらに10分間撹拌を続けて混合溶液Aを得た。MTMS1モルあたり、フルオレンを有するシランカップリング剤を0.015モルとした。
一方、界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)0.8gを、0.05mol/L酢酸水溶液20gに溶解させ、30分間撹拌をすることで、混合溶液Bを得た。
容器中の前記混合溶液Aを撹拌しながら、前記混合溶液Bを1.6ml滴下した後30分間撹拌を続け、次いで、1mol/Lのアンモニア水0.8mlを加え、加水分解反応を行った。その後、容器内を60℃に保持し、静置することでゲル化させ、続けて96時間静置することによりゲルを熟成させた。このゲルを5倍体積量のTHFに移し、6時間保持した後、THFを除去し、さらに新しいTHFを加えて溶媒交換を行った。この溶媒交換を全3回繰り返した後、ゲルをトルエンに移し、同様にトルエンでの溶媒交換を6時間ごとに行った。これにより、ゲル中の溶媒がトルエンで溶媒置換されたゲル化物を得た。このゲル化物を耐圧容器に収容し、二酸化炭素を供給して、耐圧容器を40℃、9MPaとして30分保持することで、ゲル化物内のトルエンを二酸化炭素に置換した。その後、耐圧容器内を二酸化炭素の超臨界条件である80℃、14MPaにし、超臨界乾燥を約24時間行って、目的のシリカエアロゲルを得た。
(実施例2)
フルオレンを有するシランカップリング剤を1.67g、MTMSを4.00gに変更することで、MTMS1モルあたり、フルオレンを有するシランカップリング剤を0.042モルとしたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
フルオレンを有するシランカップリング剤を1.67g、MTMSを4.00gに変更することで、MTMS1モルあたり、フルオレンを有するシランカップリング剤を0.042モルとしたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
(実施例3)
フルオレンを有するシランカップリング剤を2.33g、MTMSを2.33gに変更することで、MTMS1モルあたり、フルオレンを有するシランカップリング剤を0.101モルとしたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
フルオレンを有するシランカップリング剤を2.33g、MTMSを2.33gに変更することで、MTMS1モルあたり、フルオレンを有するシランカップリング剤を0.101モルとしたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
(比較例1)
フルオレンを有するシランカップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
フルオレンを有するシランカップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲルを得た。
(比較例2)
反応容器中のテトラメトキシシラン(関東化学(株)製)に、エタノール(関東化学(株)製特級試薬)及び0.01mol/lのアンモニア水溶液の混合物を、室温で滴下した。ここで、テトラメトキシシラン:エタノール:アンモニア=1:5:4(モル比)となるようにした。滴下後、2時間攪拌してから静置させ、次いで、エタノールを加え、容器内を60℃に保持し、静置することでゲル化させ、続けて96時間静置することによりゲルを熟成させた。このゲルを5倍体積量の2−プロパノール(IPA)に移し、6時間保持した後、IPAを除去し、さらに新しいIPAを加えて溶媒交換を行った。この溶媒交換を全6回繰り返し、ゲル中の溶媒がIPAで溶媒置換されたゲル化物を得た。このゲル化物を耐圧容器に収容し、二酸化炭素を供給して、耐圧容器を40℃、9MPaとして30分保持することで、ゲル化物内のトルエンを二酸化炭素に置換した。その後、耐圧容器内を二酸化炭素の超臨界条件である80℃、14MPaにし、超臨界乾燥を約24時間行って、シリカエアロゲルを得た。
反応容器中のテトラメトキシシラン(関東化学(株)製)に、エタノール(関東化学(株)製特級試薬)及び0.01mol/lのアンモニア水溶液の混合物を、室温で滴下した。ここで、テトラメトキシシラン:エタノール:アンモニア=1:5:4(モル比)となるようにした。滴下後、2時間攪拌してから静置させ、次いで、エタノールを加え、容器内を60℃に保持し、静置することでゲル化させ、続けて96時間静置することによりゲルを熟成させた。このゲルを5倍体積量の2−プロパノール(IPA)に移し、6時間保持した後、IPAを除去し、さらに新しいIPAを加えて溶媒交換を行った。この溶媒交換を全6回繰り返し、ゲル中の溶媒がIPAで溶媒置換されたゲル化物を得た。このゲル化物を耐圧容器に収容し、二酸化炭素を供給して、耐圧容器を40℃、9MPaとして30分保持することで、ゲル化物内のトルエンを二酸化炭素に置換した。その後、耐圧容器内を二酸化炭素の超臨界条件である80℃、14MPaにし、超臨界乾燥を約24時間行って、シリカエアロゲルを得た。
<評価方法>
各実施例及び比較例で得られたシリカエアロゲルについて、下記に示す方法で硬度、平均弾性率、接触角及び光透過率の評価を行った。
各実施例及び比較例で得られたシリカエアロゲルについて、下記に示す方法で硬度、平均弾性率、接触角及び光透過率の評価を行った。
(硬度及び平均弾性率)
ダイナミック超微小硬度計「DUH−201S」(島津製作所製)を使用し、下記の条件で試料表面(各実施例及び比較例で得た厚み2mmのシリカエアロゲル基板)に専用圧子を一定の速度で荷重負荷し、その際の荷重と押し込み深さからダイナミック硬度値(単位なし)を測定した。
・測定モード:負荷除荷モード
・測定荷重:1mN
・荷重保持時間:5sec
・測定数:5回
・圧子:三角すい圧子115°
さらに、負荷荷重の除荷工程より試料の弾性率(MPa)を求めた。
ダイナミック超微小硬度計「DUH−201S」(島津製作所製)を使用し、下記の条件で試料表面(各実施例及び比較例で得た厚み2mmのシリカエアロゲル基板)に専用圧子を一定の速度で荷重負荷し、その際の荷重と押し込み深さからダイナミック硬度値(単位なし)を測定した。
・測定モード:負荷除荷モード
・測定荷重:1mN
・荷重保持時間:5sec
・測定数:5回
・圧子:三角すい圧子115°
さらに、負荷荷重の除荷工程より試料の弾性率(MPa)を求めた。
(接触角)
平面上に各実施例及び比較例で得たシリカエアロゲルで形成された基板を置き、この基板表面に蒸留水をマイクロシリンジで1滴落とし、水滴が落とされた基板の真横からカメラで撮影して画像を取得した。得られた画像から液滴の輪郭形状を解析し、接触角を計測した。接触角の計測は、25℃、22%RHの環境下で行った。
平面上に各実施例及び比較例で得たシリカエアロゲルで形成された基板を置き、この基板表面に蒸留水をマイクロシリンジで1滴落とし、水滴が落とされた基板の真横からカメラで撮影して画像を取得した。得られた画像から液滴の輪郭形状を解析し、接触角を計測した。接触角の計測は、25℃、22%RHの環境下で行った。
(光透過率)
実施例及び比較例で得られた試料(厚み2mmのシリカエアロゲル基板)を装置に設置し、試料に当てる光の強さをI0と、試料を通過した後の光の強さをIとして、下記式
T%=(I/I0)×100
により、光透過率T(%)測定した。測定には、UV−Vis吸光度計(JASCO V−650)を用いた。
実施例及び比較例で得られた試料(厚み2mmのシリカエアロゲル基板)を装置に設置し、試料に当てる光の強さをI0と、試料を通過した後の光の強さをIとして、下記式
T%=(I/I0)×100
により、光透過率T(%)測定した。測定には、UV−Vis吸光度計(JASCO V−650)を用いた。
図1、2はそれぞれ、実施例1〜3及び比較例1で得られたシリカエアロゲルの硬度値、平均弾性率の測定結果を示すグラフである。いずれの測定値も5回測定した平均値で示している。
フルオレン骨格を有していない比較例1のシリカエアロゲルに比べると、フルオレン骨格を有する実施例のシリカエアロゲルは、硬度が高く、特に実施例1,2では比較例1に比べて200倍以上向上し、弾性率も最大500倍以上向上することがわかった。
図3(a)は、実施例2で得られたシリカエアロゲルの接触角、図3(b)は、比較例2で得られたシリカエアロゲルの接触角の測定結果を示す画像である。一般的に接触角が90°より小さい場合は親水性と判断でき、接触角が90°以上である大きい場合は疎水性と判断することができる。
フルオレン骨格を有する実施例2のシリカエアロゲルは、接触角135°であり、高い疎水性を有した材料であることがわかった。
図4は、実施例2で得られたシリカエアロゲルの光透過率の測定結果を示すグラフである。450〜800nmの波長を80%以上で透過させる性質を有することがわかり、高い透明性を有する材料であることがわかった。
Claims (5)
- フルオレン部位を有する骨格がケイ素原子に結合した構造を有する、シリカエアロゲル。
- 前記フルオレン部位を有する骨格は、下記一般式(1)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(2)
で表される構造を有する、請求項1に記載のシリカエアロゲル。 - フルオレン部位を有する第1の加水分解性シラン化合物と、該第1の加水分解性シラン化合物以外である第2の加水分解性シラン化合物とを含む原料を加水分解反応する工程を備える、フルオレン部位を有するシリカエアロゲルの製造方法。
- 前記第1の加水分解性シラン化合物は、下記一般式(3)
で表される構造、及び/又は、
下記一般式(4)
で表される構造を有する、請求項3に記載の製造方法。 - 前記原料は、前記第2の加水分解性シラン化合物1モルに対して前記第1の加水分解性シラン化合物が0.001〜1モル含まれる、請求項3又は4に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017129666A JP2019011440A (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | シリカエアロゲル及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017129666A JP2019011440A (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | シリカエアロゲル及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019011440A true JP2019011440A (ja) | 2019-01-24 |
Family
ID=65226704
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017129666A Pending JP2019011440A (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | シリカエアロゲル及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019011440A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3686677A1 (en) | 2019-01-25 | 2020-07-29 | Powdertech Co., Ltd. | Carrier core material for electrophotographic developer and method for producing the same, and carrier for electrophotographic developer and developer containing said carrier core material |
WO2022057629A1 (zh) * | 2020-09-18 | 2022-03-24 | 山东大学 | 一种超疏水、疏油有机硅海绵的制备方法 |
-
2017
- 2017-06-30 JP JP2017129666A patent/JP2019011440A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3686677A1 (en) | 2019-01-25 | 2020-07-29 | Powdertech Co., Ltd. | Carrier core material for electrophotographic developer and method for producing the same, and carrier for electrophotographic developer and developer containing said carrier core material |
WO2022057629A1 (zh) * | 2020-09-18 | 2022-03-24 | 山东大学 | 一种超疏水、疏油有机硅海绵的制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200148543A1 (en) | Aerogel composite, and supporting member and heat insulation material provided with aerogel composite | |
JP5275562B2 (ja) | 粉末状のシリカコンポジット粒子及びその製造方法、シリカコンポジット粒子分散液、並びに樹脂組成物 | |
JP6507838B2 (ja) | エアロゲル、エアロゲルの製造方法及びエアロゲルフィルム | |
US6815519B2 (en) | Acidic fluorine-containing poly (siloxane amideimide) silica hybrids | |
JP2013060309A (ja) | 疎水性に優れるナノ構造多孔質体 | |
EP3674356A1 (en) | Low-density gel and production method therefor | |
WO2019069407A1 (ja) | 塗液、塗膜の製造方法及び塗膜 | |
WO2019069404A1 (ja) | 塗液、塗膜の製造方法及び塗膜 | |
JP2019011440A (ja) | シリカエアロゲル及びその製造方法 | |
TWI805569B (zh) | 撥水結構體及其製造方法 | |
JP2022105584A (ja) | エアロゲルブロック | |
JP5147095B2 (ja) | シリカ系フィラーおよびそれを含む透明樹脂組成物 | |
EP3375807B1 (en) | Method for synthesis of pre-hydrolyzed alkyl polysilicate | |
CN112063012B (zh) | 一种超疏水、疏油有机硅海绵的制备方法 | |
JP6373148B2 (ja) | シリコーン多孔質体及びシリコーン多孔質体の製造方法 | |
WO2018097106A1 (ja) | ポリシロキサンゲル、その製造方法、断熱材および合わせガラス | |
WO2019070035A1 (ja) | エアロゲル複合体パウダー及び撥水材 | |
TW201806862A (zh) | 氣凝膠複合體、帶氣凝膠複合體的支撐構件及絕熱材料 | |
JP5600718B2 (ja) | 中空シリカナノ粒子の製造方法 | |
Sawada et al. | Preparation of novel fluoroalkyl end-capped trimethoxyvinylsilane oligomeric nanoparticle-encapsulated binaphthol: Encapsulated binaphthol remaining thermally stable even at 800 C | |
KR20170045137A (ko) | 투습 경로를 갖는 발수 필름 및 이를 포함하는 제습 장치 | |
JP6991527B2 (ja) | シリカ含有微粒子の製造方法、基材の表面に対するコーティング施工方法、及びゾルゲル反応用触媒 | |
JP2019171446A (ja) | エアロゲルの加工方法 | |
WO2018097103A1 (ja) | ポリシロキサンゲル、その製造方法、断熱材および合わせガラス | |
JP4612138B2 (ja) | 傾斜複合粒子およびその製造方法 |