JP5281251B2 - 電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア及び該樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア及び該樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア及び該樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関し、詳しくは、トナーと共に現像剤としたときに帯電立ち上がり性が良好な高い球形度を有する電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア及び該樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このような樹脂被覆キャリアでは、樹脂被覆キャリア又はキャリア芯材の表面性等を特定して、キャリア特性や現像剤特性を改善する試みが種々なされている。特許文献1(特開2006−91439号公報)には、形状係数(SF−1)を特定した静電荷像現像剤用キャリアが記載され、形状係数(SF−1)を特定することによって、流動性に優れ、かつ短時間でトナーとキャリアを均一な混合状態にできるとされている。この特許文献1では、広い範囲の形状係数(SF−1)を規定していることからキャリアの球形度も広範にわたり、またバラツキも大きい。また、特許文献1には、キャリアのBET比表面積や見掛け密度については何ら記載されていない。しかも、特許文献1では、キャリアの平均粒径も30〜100μmと記載されているが、実施例等では85〜90μmの比較的大粒径のものを対象としており、小粒径を対象とするものではない。
また、特許文献2(特開2006−38961号公報)には、球形度を一定値以下で、表面粗さを特定範囲とした芯材を樹脂で被覆した静電荷像現像用キャリアが記載されている。この特許文献2では、上記キャリアを現像剤に用いることによって、高品質の画像を形成すると共に、経時劣化と環境変動に対する画像形成の安定させるとされている。しかし、特許文献2は、球形度や表面粗さのみを規定するのみで、球形度のバラツキについては規定されておらず、異形粒子の存在量が明らかではなく、また芯材のBET比表面積や見掛け密度については何ら規定されていない。
特許文献3(特開平9−305026号公報)には、形状係数(SF−1)及び形状係数(SF−2)が特定範囲にある静電潜像現像用キャリアを用いた画像形成方法が記載されており、現像剤への機械的圧力を低減して現像剤へのダメージが小さく、現像剤の繰り返しの使用に際しても、現像剤への初期特性を安定して保持できるとされている。また、特許文献4(特開平9−319161号公報)には、形状係数(SF−1)及び形状係数(SF−2)が特定範囲にある芯材上に、マトリックス樹脂中に特定の臨界表面張力を有する熱硬化性樹脂微粒子を分散含有させた被覆樹脂層を有する静電潜像現像剤用キャリアが記載されており(請求項1及び8)、非常に長寿命であって、キャリア表面のトナーによるスペントが長期的に防止可能であると記載されている。この特許文献3及び4では、キャリアの形状係数(SF−1)及び形状係数(SF−2)については規定されているものの、キャリアの表面の微細構造については何ら規定されていない。この特許文献3及び4のキャリアのように形状係数を規定しただけでは、現像剤に用いたときに帯電立ち上がり性の改善は期待できない。また、特許文献3及び4には、芯材のBET比表面積や見掛け密度については何ら記載されていない。
特許文献5(特開平10−39549号公報)には、比抵抗が一定範囲以上のキャリアコア粒子の表面をストレートシリコーン樹脂及びカップリング剤を少なくとも含有している樹脂組成物を使用して被覆した磁性コートキャリアが記載され、トナーに対して良好に摩擦電荷を付与し、キャリア付着が生じにくいとされている。この特許文献5は、キャリアコア粒子の比抵抗を規定するのみで、BET比表面積や見掛け密度については何ら記載されていない。特許文献5のように、比抵抗を規定するのみでは、現像剤に用いたときに帯電立ち上がり性の改善はなされない。
特許文献6(特開2000−172019号公報)には、50%粒径(D50)、22μmより小さい粒子及び62μm以上のキャリア粒子の個数%、樹脂除去後キャリアコア材のBET比表面積と樹脂コートキャリアのBET比表面積の差が一定範囲にあり、また形状係数(SF−1)及び形状係数(SF−2)が特定範囲にある二成分現像剤用樹脂コートキャリアが記載されており、現像剤に用いたときに、長時間連続的に使用しても、安定した帯電量を維持し、画像濃度の低下及びカスレの生じない安定した画質のコピーを得ることができるとされている。しかし、この特許文献6に記載のBET比表面積は、樹脂除去後のキャリアコア材のBET比表面積であり、キャリアコア材そのもののBET比表面積ではなく、また見掛け密度については何ら記載されていない。そして、特許文献6に記載されているような樹脂コートキャリアでは、現像剤としたときに帯電立ち上がり性の改善は期待できない。
特開2006−91439号公報 特開2006−38961号公報 特開平9−305026号公報 特開平9−319161号公報 特開平10−39549号公報 特開2000−172019号公報
上述したように、良好な球形度及び平均粒径を有し、現像剤としたときに帯電立ち上がり性を改善する電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは見出されていない。
従って、本発明の目的は、良好な球形度及び平均粒径を有し、かつそれらの標準偏差が小さく、トナーと共に現像剤としたときに帯電立ち上がり性を大幅に改善した電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア及び該樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定条件下の溶射焼成法により得られ、一定の組成を有し、特定範囲のBET比表面積及び見掛け密度を有し、球形度が高く、その標準偏差の小さいフェライトキャリア芯材を用いることによって、上記目的を満足する特性を有することを知見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆した電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアであって、該フェライトキャリア芯材が、溶射の可燃性燃焼火炎として、燃焼ガスと酸素の混合ガスが用いられ、該燃焼ガスと該酸素の混合比が1:3.5〜6.0である溶射焼成法によって得られ、組成がマンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライトであり、BET比表面積が900〜5000cm/g、見掛け密度が2.30〜2.80g/cmであり、かつ長軸/短軸比の平均値が1.00〜1.20、長軸/短軸比の標準偏差が0.3以下、長軸/短軸比1.10以上の粒子が15個数%以下、個数平均粒径が20〜50μm、標準偏差が8.0以下、19.3μm以下の粒子が15個数%以下であることを特徴とする電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアを提供するものである
本発明に係る上記電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアにおいて、上記フェライトキャリア芯材は磁化が30〜95Am/kgであることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアにおいて、上記フェライトキャリア芯材の体積固有抵抗は10〜10Ω・cmであることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材に対して、樹脂を0.1〜10重量%を被覆してなることが望ましい。
また、本発明は、上記電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、良好な球形度及び平均粒径を有し、かつそれらの標準偏差が小さく、バラツキが少ない。このため、トナーと共に現像剤としたときに帯電立ち上がり性が極めて良好である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)のBET比表面積及び見掛け密度が特定範囲にある。このように、BET比表面積及び見掛け密度が特定範囲にあるフェライトキャリア芯材を用いることによって、樹脂コートフェライトキャリアを現像剤に用いたときに、良好な帯電立ち上がり性を有する。
すなわち、本発明に用いられるフェライトキャリア芯材のBET比表面積は、900〜5000cm/g、好ましくは1000〜4900cm/gである。フェライトキャリア芯材のBET比表面積が900cm/g未満では、樹脂コート時のアンカー効果が期待できず、樹脂とフェライトキャリア芯材の密着性に劣り、現像剤に用いたときに帯電立ち上がり性が低下する。また、フェライトキャリア芯材のBET比表面積が5000cm/gを超えると、樹脂コート被膜の膜厚均一性の制御が難しくなる。
また、本発明に用いられるフェライトキャリア芯材の見掛け密度は、2.30〜2.80g/cm、好ましくは2.40〜2.70g/cmである。フェライトキャリア芯材の見掛け密度が2.30g/cm未満では、樹脂コートフェライトキャリアを小粒径化した際、トナーとの混合時のストレスが弱くなるため、帯電立ち上がり性が低下する。また、見掛け密度が2.80g/cmを超えるようなフェライトキャリア芯材は製造上、困難である。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材は、その長軸/短軸比の平均値は1.00〜1.20、長軸/短軸比の標準偏差は0.3以下、長軸/短軸比1.10以上の粒子は15個数%以下である。フェライトキャリア芯材の長軸/短軸比の平均値が1.20を超えると、球形度に劣り、流動性が悪く、帯電立ち上がり性に低下する。フェライトキャリア芯材の長軸/短軸比の標準偏差が0.3を超えると、異形粒子の比率が多くなるため、帯電立ち上がり性が低下する。フェライトキャリア芯材の長軸/短軸比1.10以上の粒子が15個数%を超えると、上記と同様に、異形粒子の比率が多くなるため、帯電立ち上がり性が低下する。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材は、円相当径であるその個数平均粒径は20〜50μm、標準偏差は8.0以下、19.3μm以下の粒子は15個数%以下である。フェライトキャリア芯材の個数平均粒径が、20μm未満では、キャリア飛散が多くなり、50μmを超えると、現像剤に用いたときに高画像が得られがたい。フェライトキャリア芯材の個数平均粒径の標準偏差が8.0を超えると、分布が広がることにより、現像剤に用いたときに画像品質への影響がでてくる。フェライトキャリア芯材の個数粒径が19.3μm以下の粒子が15個数%を超えると、微粉の比率が多くなるため、キャリア引きが発生しやすくなる。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材は、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である溶射法により製造される。従来より用いられている湿式法又は乾式法での製造方法では、図1に示すようにBET比表面積及び見掛け密度が上記の範囲にあるフェライトキャリア芯材は、得られがたい。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材は、その磁化が30〜95Am/kgであることが望ましい。フェライトキャリア芯材の磁化が30Am/kg未満では、キャリア飛散が多くなり、95Am/kgを超えると、磁気ブラシの穂が硬くなり過ぎ、高画質を得にくく好ましくない。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材は、その組成が、Mn−Mg−Srフェライトである。
本発明に用いられるフェライトキャリア芯材の体積固有抵抗は、10〜10Ω・cmが望ましい。フェライトキャリア芯材の体積固有抵抗が10Ω・cm未満では、リーク現象が発生し易くなり、高画質画像が得られず、好ましくなく、10Ω・cmを超えると、画像濃度が出にくくなり、やはり好ましくない。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる。樹脂被覆量は、フェライトキャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被覆量が0.1重量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被覆樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被覆樹脂中に導電性剤を添加することができる。導電性剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは樹脂の被覆形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアの好ましい製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアに用いられるフェライトキャリア芯材の製造方法は、フェライトキャリア原料を調製して得られた造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷凝固する溶射法である。
フェライトキャリア原料を用いて造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。
造粒物の調製方法の一例を挙げると、フェライト用原材料を適量秤量した後、水を加えて粉砕しスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。造粒物の粒径は、得られる樹脂コートフェライトキャリアの粒径を考慮すると20〜50μm程度が好ましい。また、他の例としては、フェライト用原材料を適量秤量した後、混合し、乾式粉砕を行い、各原材料を粉砕分散させ、その混合物をグラニュレーターで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。
このようにして調製された造粒物を大気中で溶射してフェライト化する。溶射には、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である。可燃性ガス燃焼炎の酸素の割合が燃焼ガスに対して3.5未満では、溶融が充分ではなく、酸素の割合が燃焼ガスに対して6.0を超えると、フェライト化が困難となる。例えば燃焼ガス10Nm/hrに対して酸素35〜60Nm/hrの割合で用いられる。
上記溶射に用いられる燃焼ガスとしては、プロパンガス、プロピレンガス、アセチレンガス等が用いられるが、特にプロパンガスが好適に用いられる。また、造粒物搬送ガスは、窒素、酸素又は空気が用いられる。造粒物流速は、20〜60m/secが好ましい。
このようにして溶射してフェライト化されたフェライト粒子は、空中で急冷凝固されるか、水中に投入されて急冷凝固される。
その後、回収し、乾燥、分級を行う。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜700℃で熱処理を行う。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生しや易くなる。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、上記のようにして得られたフェライトキャリア芯材の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。
UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上記電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアとトナーとからなる。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色剤)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加する。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15%に設定することが好ましい。3%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
上記のように混合された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
実機での評価に変えて、本発明に樹脂コートキャリアを用いた現像剤特性で最も重要な特性である帯電量について評価を行った。
[実施例1]
酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び酸化マグネシウム(MgO)をモル比で50:40:10の割合で計量し、さらにこれらの合計100モルに対して酸化ストロンチウム(SrO)を0.8モル加えて併せて混合した。水を加えて粉砕し固形分50重量%のスラリーを作製した。作製したスラリーをスプレードラヤーで造粒し、分級して平均粒径30μmの造粒物を得た。
次に、得られた造粒物をプロパン:酸素=8Nm/hr:32Nm/hrの可燃性ガス燃焼炎中に流速約40m/secの条件で投入し水中へ溶射を行い、急冷し、水中から回収、乾燥した後、分級を行ってフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を作製した。
得られたフェライトキャリア芯材のBET比表面積、見掛け密度、長軸/短軸比(平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%)、円相当径(個数平均径、標準偏差、19.3μm以下の個数%)、磁化及び体積固有抵抗を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。また、BET比表面積と見掛け密度の関係をプロットし、その関係を図1に示す。また、得られたフェライトキャリア芯材のSEM写真を図2に示す。
(BET比表面積)
フェライトキャリア芯材のBET比表面積を「自動比表面積測定装置GEMINI2360」(島津製作所社製)を用いて測定した。測定管は、直管部外径9.5mm、試料収容部外径19mm、長さ38mm、サンプル容量約6.0cmのものを用いた。測定前に、窒素雰囲気下にて200℃で1時間の空焼きを行った。この測定管にキャリア粒子を約10〜15gを入れ精密天秤で正確に秤量した試料の入った測定管を装置に設置し、Nガスを吸着させてその吸着量を測定した。測定は10点法で行い、測定終了時に試料の重量を入力すると、BET比表面積が自動的に算出される。測定環境:温度;10〜30℃、湿度;相対湿度で20〜80%、結露なし
(見掛け密度)
JIS−Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に準拠して行った。
(長軸/短軸比、円相当径)
フェライトキャリア芯材の長軸/短軸比、円相当径は、粒度・形状分布測定器PITA−1(株式会社セイシン企業製)を使用した。グリセリン溶液にキャリア粉末をホモジナイザーで分散させ、供給タンクに供給する。この分散液を、一定量でレンズ粒径検出部に流し、CCDカメラ観察倍率10倍レンズにて、粒子3000個の測定を行った。個数粒度分布、長軸/短軸比は、自動的に計算される。
(磁化)
積分型B−HトレーサーBHU−60型(株式会社理研電子製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
(体積固有抵抗)
本発明による体積固有抵抗の測定は、23℃/60%RHの環境下にて行った。下部に電極を備えた円筒容器(内径25mm×高さ55mm×厚さ3mmのフッ素樹脂製)からなるセルにキャリアを45mmの高さになるまで充填し、高さ10mm重さ65gの上部電極をのせる。両極に1000Vの直流電圧を印可し、タケダ理研工業株式会社製TR−8601を用いて、抵抗を測定した。上記セルの断面積、高さから体積固有抵抗(Ω・cm)を算出した。
フェライトキャリア芯材に対してシリコーン樹脂SR−2411(東レダウコーニングシリコーン株式会社製)を2重量%とカーボンブラックを樹脂固形分に対して3重量%を分散し、流動床コート装置により樹脂コートした。樹脂コート後、温度240℃で3時間加熱し樹脂の焼き付けを行った。焼き付け終了後、網通しを行い、磁気選別を行って樹脂コートフェライトキャリアを作製した。
温度23%/湿度60%RHの環境下で、この樹脂コートフェライトキャリア88g、市販の負帯電性トナー12gを計量し、100ccポリ瓶に入れ、縦方向に100回転でボールミルにて混合し、所定時間(1分、3分、5分、10分及び30分)における帯電量を下記の方法により測定し、これを現像剤特性の代用特性とした。測定結果を表2に示す。また、帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を指数表示し、その結果を表3及び図3に示す。
(帯電量)
温度23%/湿度60%RHの環境下で、吸引式帯電量測定装置(Epping q/m−meter、PES−Laboratoriumu社製)を用い、セルに795Mesh(目開き16μm)をセットして、現像剤を約1cc秤取り、セルに投入した。その後、105±5hPaの吸引圧で1分間トナーを吸引分離し、帯電量測定をした。
参考例1
フェライト原料を酸化鉄(Fe)とした以外は、実施例1と同様にして造粒物を得、さらにフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を作製した。得られたフェライトキャリア芯材のBET比表面積、見掛け密度、長軸/短軸比(平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%)、円相当径(個数平均径、標準偏差、19.3μm以下の個数%)、磁化及び抵抗を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。また、BET比表面積と見掛け密度の関係をプロットし、その関係を図1に示す。
フェライトキャリア芯材に対して、実施例1と同様のシリコーン樹脂を用いて樹脂コート、焼き付け、磁気選別を行って樹脂コートフェライトキャリアを作製した。実施例1と同様の方法によって帯電量を測定した。測定結果を表2に示すと共に、帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を表3及び図3に示す。
参考例2
フェライト原料として、酸化鉄(Fe)及び酸化マンガン(MnO)をモル比で80:20とした以外は、実施例1と同様にして造粒物を得、さらにフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を作製した。得られたフェライトキャリア芯材のBET比表面積、見掛け密度、長軸/短軸比(平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%)、円相当径(個数平均径、標準偏差、19.3μm以下の個数%)、磁化及び抵抗を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。また、BET比表面積と見掛け密度の関係をプロットし、その関係を図1に示す。
フェライトキャリア芯材に対して、シリコーン樹脂をアクリル樹脂(三菱レーヨン社製BR−52)に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂コート、焼き付け、磁気選別を行って樹脂コートフェライトキャリアを作製した。実施例1と同様の方法によって帯電量を測定した。測定結果を表2に示すと共に、帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を表3及び図3に示す。
[比較例1]
参考例2と同様のフェライト原料を用い、実施例1と同様にして造粒物を得た。
次に、得られた造粒物を電気炉にて温度1250℃、酸素濃度0.1%で焼成した。解砕、分級を行ってフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を作製した。得られたフェライトキャリア芯材のBET比表面積、見掛け密度、長軸/短軸比(平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%)、円相当径(個数平均径、標準偏差、19.3μm以下の個数%)、磁化及び抵抗を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。また、BET比表面積と見掛け密度の関係をプロットし、その関係を図1に示す。
フェライトキャリア芯材に対して、参考例2と同様のアクリル樹脂を用いて樹脂コート、焼き付け、磁気選別を行って樹脂コートフェライトキャリアを作製した。実施例1と同様の方法によって帯電量を測定した。測定結果を表2に示すと共に、帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を表3及び図3に示す。
[比較例2]
実施例1と同様のフェライト原料を用い、実施例1と同様にして造粒物を得た。
次に、得られた造粒物を電気炉にて温度1150℃、酸素濃度0.1%で焼成した。解砕、分級を行ってフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を作製した。得られたフェライトキャリア芯材のBET比表面積、見掛け密度、長軸/短軸比(平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%)、円相当径(個数平均径、標準偏差、19.3μm以下の個数%)、磁化及び抵抗を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。また、BET比表面積と見掛け密度の関係をプロットし、その関係を図1に示す。
フェライトキャリア芯材に対して、実施例1と同様のシリコーン樹脂を用いて樹脂コート、焼き付け、磁気選別を行って樹脂コートフェライトキャリアを作製した。実施例1と同様の方法によって帯電量を測定した。測定結果を表2に示すと共に、帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を表3及び図3に示す。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1及び参考例1〜2に示されるフェライトキャリア芯材は、良好な球形度及び平均粒径を有し、かつそれらの標準偏差も小さい。また、表2、表3及び図3の結果に示されるように、実施例1及び参考例1〜2は、帯電立ち上がり性が良好である。
実施例1及び参考例1〜2の対比では、表1の結果から、実施例1が最も高い球形度を有し(長軸/短軸比の平均値、標準偏差及び1.10以上の個数%の数値参照)、BET比表面積が大きく、低磁化、高抵抗である。また、表3及び図3の結果から、帯電立ち上がり性能の相対値も実施例1が最も優れている。
これに対して、表1の結果から明らかなように、比較例1〜2に示されるフェライトキャリア芯材は、長軸/短軸比の平均値が大きく、球形度に劣り、またバラツキも大きい。しかも、比較例1は、円相当径の標準偏差に劣り、比較例2は円相当径の19.3μm以下の個数%に劣る。また、表2及び表3の結果に示されるように、比較例1〜2は、帯電立ち上がり性が劣ったものである。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアは、良好な球形度及び平均粒径を有し、かつそれらの標準偏差が小さいことからバラツキも小さい。そして、トナーと共に現像剤としたときに帯電立ち上がり性を大幅に改善することができる。
従って、本発明に係る電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアを用いた電子写真現像剤は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。
図1は、実施例1、参考例1〜2及び比較例1〜2のフェライトキャリア芯材のBET比表面積と見掛け密度の関係を示すグラフである。 図2は、実施例1のフェライトキャリア芯材のSEM写真(×450)である。 図3は、実施例1、参考例1〜2及び比較例1〜2の帯電量の飽和値を100としたときの所定時間の各帯電量値を示すグラフである。

Claims (5)

  1. フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆した電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアであって、該フェライトキャリア芯材が、溶射の可燃性燃焼火炎として、燃焼ガスと酸素の混合ガスが用いられ、該燃焼ガスと該酸素の混合比が1:3.5〜6.0である溶射焼成法によって得られ、組成がマンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライトであり、BET比表面積が900〜5000cm/g、見掛け密度が2.30〜2.80g/cmであり、かつ長軸/短軸比の平均値が1.00〜1.20、長軸/短軸比の標準偏差が0.3以下、長軸/短軸比1.10以上の粒子が15個数%以下、個数平均粒径が20〜50μm、標準偏差が8.0以下、19.3μm以下の粒子が15個数%以下であることを特徴とする電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア。
  2. 上記フェライトキャリア芯材の磁化が30〜95Am/kgである請求項1に記載の電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア。
  3. 上記フェライトキャリア芯材の体積固有抵抗が10〜10Ω・cmである請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア。
  4. 上記フェライトキャリア芯材に対して、樹脂を0.1〜10重量%を被覆してなる請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリア。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真現像剤用樹脂コートフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
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