JP5288759B2 - 電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法 - Google Patents

電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法に関するものである。
二成分系電子写真現像法における電子写真現像剤用のキャリアの役割は、現像器装置内でトナーと共に混合攪拌されることにより当該トナーへ電荷を付与することと、担持体として当該トナーを感光体上に搬送することである。トナー搬送後のキャリアは、マグネットロール上に残留し、現像器装置内で再びトナーと混合される。このため、キャリアには、所望の電荷をトナーに付与する帯電特性と、繰り返し使用に耐える耐久性とが要求される。
一般的に、二成分系電子写真現像剤用のキャリア(本発明において、単に「キャリア」と記載する場合がある。)は、上述した帯電特性や耐久性を確保するために、マグネタイトなどの磁性粒子の芯材(本発明において、「キャリア芯材」と記載する場合がある。)を樹脂でコートした形態で使用される。しかしながら、電子写真現像剤の長期間の使用において、現像器装置内でキャリア同士の接触が繰り返し起こるため、当該キャリアにコートされた樹脂の磨耗や剥離が発生する。この磨耗や剥離の結果、キャリアの帯電付与能力が低下するため、現像された電子写真の画質が悪化したり、長期間にわたり安定した現像特性を得ることが困難であるという問題があった。
この問題に対し、表面に適度な凹凸を有する粒子をキャリア芯材として用い、コートされた樹脂をキャリア芯材の凹部に染み込ませることで、当該キャリア芯材と樹脂との密着性を向上し、耐久性が向上することが提案されている。たとえば、特許文献1には、芯材の比表面積と芯材の真球相当比表面積の比が1.6から4.0であるキャリア芯材が記載されている。
特開2002−207323号公報
しかしながら本発明者らの検討の結果によれば、特許文献1をはじめとする、従来の技術に係る樹脂がコートされたキャリアの耐久性は不十分であり、長期間の使用により帯電特性が悪化することが確認された。そこで、本発明者らは当該耐久性の向上の為、キャリア芯材の表面積をさらに大きくすることを考えた。ここで、キャリア芯材となる磁性粒子は、一般的に焼成法により製造されている為、当該キャリア芯材の表面積を大きくする為には、焼成温度を低下させることが考えられる。ところが、キャリア芯材の表面積を大きくする為に焼成温度を低下させると、今度は、焼結の進行が不十分となり、キャリア芯材の粒子内部や表面に多数の空孔が残留してしまう。そして、このような内部や表面に多数の空孔が残留した多孔質のキャリア芯材では、衝撃により発生したクラックが空孔を伝播することを見出した。即ち、現像器装置内でのキャリア攪拌中に、割れ、欠けが発生し、機械的強度に問題がある。
本発明は、上述の状況の下でなされたものであり、粒子強度の低下を招く空孔が存在しないにも拘わらず、樹脂との密着性が高いキャリア芯材、当該キャリア芯材を用いたキャリア、電子写真現像剤を提供することである。
本発明者らは上述の課題を解決する為、研究を行った結果、焼結の進行を十分に行って見掛密度を上げながらも、キャリア芯材の表面に極めて微細な構造を形成する手法を知見し、本発明を完成した。
すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
電子写真現像剤用のキャリア芯材であって、
マグネタイトまたはマンガンフェライトからなり、
BET法により測定された当該キャリア芯材の比表面積をBET比表面積とし、当該キャリア芯材を真球と仮定したときの比表面積を真球相当比表面積としたとき、[BET比表面積]/[真球相当比表面積]の値が、8.0以上、30.0以下であり、
走査電子顕微鏡での反射電子像解析により測定した表面粗さRaの値が、0.050μm以下であり、
見掛密度が、2.40g/cc以上である電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法であって、
磁性粉末を造粒して前駆体粒子を得、当該前駆体粒子を1000℃から1300℃の温度範囲で焼成して磁性相を有する粒子を得、当該磁性相を有する粒子を、
一酸化炭素および/または水素という還元性ガス雰囲気下、または、当該還元性ガスと窒素および/またはアルゴンという不活性ガスとの混合ガス雰囲気下、または、当該不活性ガス雰囲気とカーボンとの存在下、
かつ、酸素分圧10−10MPa以下の雰囲気下において、
600℃から1000℃の温度範囲で転動させながら熱処理することでキャリア芯材を得る、ことを特徴とする電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法である。
本発明に係るキャリア芯材を用いた電子写真現像剤用のキャリアは、キャリア芯材と樹脂との密着性が高く、さらにキャリア芯材の粒子強度が高い為、長期間にわたる電子写真現像の繰り返しにおいて耐久性を発揮する。
本発明に係るキャリア芯材は、BET法により測定された当該キャリア芯材の比表面積をBET比表面積とし、当該キャリア芯材を真球と仮定したときの比表面積を真球相当比表面積としたとき、[BET比表面積]/[真球相当比表面積]の値が、8.0以上、30.0以下である。即ち、本発明に係るキャリア芯材は、その真球相当表面積の8倍〜30倍に相当する極めて広い比表面積を有している。つまり、本発明に係るキャリア芯材は、表面に多数の凹凸構造が存在する。
本発明に係るキャリア芯材は、その真球相当表面積の8倍〜30倍に相当する極めて広い比表面積を有しているにもかかわらず、走査電子顕微鏡での反射電子像解析により測定した表面粗さRaの値は、0.050μm以下である。即ち、本発明に係るキャリア芯材の表面には、大きな凹凸がない。尚、走査電子顕微鏡の反射電子像解析による表面粗さRaの測定方法は、後述する。
BET法の測定結果から得られた、表面に多数の凹凸構造が存在するという評価結果と、走査電子顕微鏡の測定結果から得られた、表面には大きな凹凸がないという評価結果とから、本発明に係るキャリア芯材の表面には、ミクロ的に見れば極めて微細な凹凸構造が、キャリア芯材全体として、マクロ的に見れば平坦な形状を有しているのだと考えられる。
そして、本発明に係るキャリア芯材は、当該極めて微細な凹凸構造により樹脂との密着性を向上させる為、本発明に係るキャリアや電子写真現像剤は高い耐久性を発揮することが出来るのだと考えられる。一方、本発明に係るキャリア芯材は、全体として見れば平坦な構造を有しているため、現像器装置内でのキャリア同士の衝突の際、粒子の割れ、欠けの発生原因となり易い部分が存在せず、高い画像特性を維持出来るのだと考えられる。
さらに、本発明に係るキャリア芯材の見掛密度は、2.40g/cc以上である。つまり、当該キャリア芯材は、粒子内部および表面にほとんど空孔が存在しない。従って、当該観点からも機械的強度が強く、現像器装置内でのキャリア同士の衝突の際、粒子の割れ、欠けが発生し難く、高い画像特性を維持出来るのだと考えられる。
本発明に係るキャリア芯材となる磁性粒子は、外部磁場1000Oeにおける磁化率であるσ1000の値が、20emu/g以上、75emu/g以下である。磁化率が20emu/g以上あることで、磁気ブラシを形成する磁気的引力が確保出来るのでキャリアの飛散現象が発生しない。
一方、磁化率が75mu/g以下であることにより、マグネットロール上に形成される磁気ブラシが、感光体を傷つける危険性を招くことを回避できる。
磁性粒子の組成としては、上記の磁化率を満足するものであれば良いが、マグネタイトまたはマンガンフェライトが特に好適である。これらの物質は適度な磁化率をもち、残留磁化も小さいため好ましい。
本発明に係るキャリア芯材の粒径は、15μm以上、80μm以下が好ましい。粒径が15μm以上あれば一粒子あたりの磁化がキャリア飛散を抑止することが出来、粒径が80μm以下であれば画像特性の低下を回避出来るからである。
本発明に係るキャリア芯材は、24時間攪拌後の帯電量の低下率が初期帯電量の10%以下である。一般的にキャリアは現像機内で長時間の攪拌を受けることにより、後述の樹脂コートの剥離が生じ、帯電量の低下が生じる。このような帯電量の劣化は、現像画質の変化を引き起こすため、長期間にわたり安定した画質を得ることが困難となる。この点に関し、本発明に係るキャリア芯材は、上述のように表面に極めて微細な凹凸を多数有するため、芯材と樹脂との密着性を向上させることが可能である。この芯材と樹脂との密着性
を向上の為、24時間攪拌後の帯電量の低下率が、初期帯電量の10%以下に抑制できたものと考えられる。
また、本発明に係るキャリア芯材は、帯電性の付与および耐久性の向上のためシリコーン系樹脂等を被覆し、電子写真現像用のキャリアとして使用することが好ましい。被覆方法に関しては、公知の手法により行えば良い。
以降より、本発明に係るキャリア芯材の製造方法について説明する。本発明に係るキャリア芯材の製造方法を、1.前駆体となる粒子の造粒工程、2.磁性相を得る焼成工程、3.表面に微細な凹凸発生させる表面処理工程、4.本発明に係るキャリア芯材の調製、5.本発明に係るキャリア、電子写真現像剤の調製、各工程に分けて説明する。
1.前駆体となる粒子の造粒工程
本発明に係るキャリア芯材の前駆体となる粒子を得るには、公知の造粒方法を用いればよいが、特に噴霧乾燥法が好適に用いられる。噴霧乾燥により造粒を行う場合には、水中に原料粉末を混合、分散させスラリーとした後、乾燥風中に噴霧することにより、所望の粒度分布を持った前駆体粒子を得ることができる。
具体的には、スラリーの固形分濃度を50%〜90%の間で調整することが好ましい。造粒物の粒子形状を維持するためには、媒体液である水に、適宜なバインダーを添加することが有効である。当該バインダーとしては、例えばポリビニルアルコールが好適に使用でき、その媒体液中濃度は0.5〜2.0質量%程度とすればよい。さらに、スラリーには、分散剤が添加されるのが一般的である。当該分散剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム系のものが好適に使用でき、その媒体液中濃度は0.5〜2.0質量%程度とすればよい。さらに、潤滑剤や、当該スラリーへ、焼結促進剤としてリンやホウ酸等を添加することが出来る。
原料粉末としては、例えば、マグネタイトの製造の場合には金属Fe、Fe、Feなどが好適に用いられる。マンガンフェライトの場合には、Fe源である金属Fe、Fe、Feと、Mn源である金属Mn、MnO、Mn、MnやMnCOとを所定の割合になるよう計量し、混合するのが良い。
2.磁性相を得る焼成工程
次に、造粒により得られた前駆体粒子を、焼成することで磁性相とする。焼成は、造粒粉を加熱した炉に投入し、所定の時間加熱することで行われる。焼成温度は目的となる磁性相が生成する温度範囲に設定すれば良いが、たとえばマグネタイトやソフトフェライトを製造する場合には1000〜1300℃の温度範囲で焼成することが一般的である。当該焼成炉は電気炉などの一般的な加熱炉を用いれば良い。
3.表面に微細な凹凸発生させる表面処理工程
本発明に関するキャリア粒子の表面形状を得るためには、上述の焼成工程に続けて、得られた焼成物を強い還元雰囲気、好ましくは酸素分圧10−10atm以下に調整した炉内で600℃〜1000℃の温度範囲にて転動させることで熱処理を行う。
従って、加熱炉としては、得られた焼成物を転動出来る回転炉等を用いる。これによって、後述するキャリア粒子の表面に微細な凹凸発生させる表面処理を実施することが出来る。具体的には、0.5rpm〜10rpm程度の回転が可能で、焼成時の雰囲気を制御できるロータリーキルンが好ましい。
当該強い還元雰囲気の調製は、一酸化炭素や水素などの還元性ガス、またはそれらの還元性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガスを炉内にフローすることにより実施される。または、カーボンなどの還元剤を、表面処理工程実施時に炉内へ投入しても
良い。
本発明者らの検討の結果、表面処理工程実施時の炉内温度が600℃以上あれば、本発明の特徴である微細な構造を持つ表面形状が得られ、炉内温度が1000℃以下であれば粒子同士の焼結や炉壁への付着が起こらない。
また、加熱炉を転動させながら熱処理を行うことで、粒子の微細な表面構造を均一に形成させることが可能となり、処理ばらつきを低減出来る。
4.本発明に係るキャリア芯材の調製
表面処理工程を終えた粒子を篩により分級することにより、所望の粒度分布を持った本発明に係るキャリア芯材を得ることができる。
5.本発明に係るキャリア、電子写真現像剤の調製
本発明に係るキャリア芯材へ樹脂をコートすることにより、帯電性の付与および耐久性の向上を行う。コートの樹脂としては、シリコーン系樹脂などが用いられる。被覆方法に関しては、公知の手法により行えば良い。この結果、本発明に係るキャリアを得ることができる。
さらに、本発明に係るキャリアと、適宜なトナーとを混合することで本発明に係る電子写真現像剤を得ることができる。
《測定方法》
以下、本実施例および比較例において行った各特性値の測定方法を示す。
<粒度分布>
キャリア芯材の粒度分布は、マイクロトラック(日機装(株)製、Model:9320−X100)を用いて測定した。尚、本発明においては、体積率50%までの積算粒径であるD50の値を粉末の平均粒径として記載した。
<磁気特性>
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化率の測定を行い、外部磁場1000Oeにおける磁化率σ1000(emu/g)を測定した。
<見掛密度>
キャリア芯材の見掛密度は、JIS−Z2504:2000により測定した。
<比表面積>
キャリア芯材の比表面積は、マウンテック社製 Macsorb(model−1201)を用い、200℃で15分間脱気した試料に対して測定をおこなった。吸着ガスとし
ては窒素を使用した。
<表面粗さ>
粒子の表面凹凸の測定は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM:日立製S−4700)と、それに付属する三次元形状測定装置(日立株式会社製、RD−500w)とを用い、反射電子検出器により観測された反射電子像を解析することにより、算術表面粗さRaの値を算出した。
尚、表面粗さRaの値は、50個のキャリア芯材粒子表面粗さの平均値である。
表面状態を反映する特性値は、粗度パラメータにより構成されたsurface factorとした。但し、W60とした。
測定条件は、加速電圧3kV、電流20μA、W.D.12mm、対物絞り2、Cond Lens1:5、測定倍率5000倍とした。
<帯電量測定>
帯電量の測定は、ガラス瓶中にキャリアとトナーとを入れ、これを振とう器により30分間攪拌した。当該攪拌後、400メッシュの篩網上において、吸引圧8.0kPaで1分間吸引することによりトナーを除去し、残ったキャリアの電荷量(Q)を測定し、重量あたりの帯電量
帯電量(μC/g)=Q(μC)/M(g)
を算出した。但し、Mはキャリアの重量である。
<耐久性評価>
キャリアの耐久性は、振とう器による攪拌を24時間実施し対外は、上記帯電量測定と同様の操作を行い、攪拌後のキャリアの帯電量を測定し、初期の帯電量との比較を行うことにより評価した。
《実施例1》
Fe(平均粒径:0.6μm)7.2kg、Mn(平均粒径:0.9μm)2.8kgを純水3.0kg中に分散し、湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理を行い、FeとMnの混合スラリーを得た。尚、純水には分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加した。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。
この乾燥造粒物を電気炉に投入し、1150℃で3時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕後に篩を用いて分級し、平均粒径36μmとなるフェライト粉末を得た。
さらに、このフェライト粉末にカーボン粉末を1.0wt.%加え、ロータリーキルンに投入して、窒素ガスフロー雰囲気下で転動させながら800℃で1時間熱処理を行い、実施例1に係るキャリア芯材を得た。
次に、キャリア芯材の樹脂との密着性を評価するため、実施例1に係るキャリア芯材に対して樹脂コートを行い、実施例1に係るキャリアを製造した。
前記キャリア芯材と樹脂溶液とを質量比でキャリア芯材:樹脂溶液=95:5の割合で撹拌機に導入し、樹脂溶液にキャリア芯材を3時間浸漬しながら150〜250℃の範囲で加熱撹拌した。樹脂溶液はシリコーン系樹脂(信越化学製、KR251)をトルエンに溶解させた。これにより、キャリア芯材100質量部に対し樹脂が0.5質量部の割合でコーティングを行った。この樹脂被覆されたキャリア芯材を熱風循環式加熱装置にて250℃で5時間加熱することにより、樹脂被覆層を硬化させて、実施例1に係る磁性キャリアを得た。
実施例1に係るキャリア芯材の平均粒径は27.2μm、見掛け密度は2.44g/cc、BET比表面積は1.03m/g、真球相当比表面積0.044m/g、従って[BET比表面積]/[真球相当比表面積]は23.4、Raは0.042μm、σ1000は61.0emu/gであった。
さらに、実施例1に係るキャリアの初期の帯電量は28.3μC/g、24時間後の帯電量は26.9μC/g、24時間後での帯電量低下率は4.9%であった。
《実施例2》
焼成後のフェライト粉末に対し、900℃で熱処理を行うこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係るキャリア芯材とキャリアとを得た。
実施例2に係るキャリア芯材の平均粒径は28.4μm、見掛け密度は2.42g/cc、BET比表面積は0.68m/g、真球相当比表面積0.042m/g、従って[BET比表面積]/[真球相当比表面積]は16.2、Raは0.027μm、σ1000は52.7emu/g、であった。
さらに、実施例2に係るキャリアの初期の帯電量は27.6μC/g、24時間後の帯電量は25.9μC/g、従って24時間後での帯電量低下率は6.2%であった。
《比較例1》
焼成後のフェライト粉末に対し、熱処理を行わないこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係るキャリア芯材とキャリアとを得た。
比較例1に係るキャリア芯材の平均粒径は27.4μm、見掛け密度は2.32g/cc、BET比表面積は0.06m/g、真球相当比表面積0.044m/g、従って[BET比表面積]/[真球相当比表面積]は1.36、Raは0.017μm、σ1000は71.3emu/gであった。
さらに、比較例1に係るキャリアの初期の帯電量は27.9μC/g、24時間後の帯電量は22.4μC/g、従って24時間後での帯電量低下率は19.7%であった。
《比較例2》
焼成時の温度を950℃で行うこと以外は比較例1と同様の操作を行い、比較例2に係るキャリア芯材とキャリアとを得た。
比較例2に係るキャリア芯材の平均粒径は27.4μm、見掛け密度は2.18g/cc、BET比表面積は0.58m/g、真球相当比表面積0.044m/g、従って[BET比表面積]/[真球相当比表面積]は13.2、Raは0.025μm、σ1000は55.0emu/gであった。
さらに、比較例2に係るキャリアの初期の帯電量は27.8μC/g、24時間後の帯電量は14.5μC/g、従って24時間後での帯電量低下率は47.8%であった。
《実施例3》
Fe(平均粒径:0.6μm)10.0kgを純水3.0kg中に分散し、湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理を行い、Feのスラリーを得た。尚、純水には分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加した。このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。
この乾燥造粒物を、電気炉に投入し1180℃で3時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物を粉砕後に篩を用いて分級し、平均粒径35μmとなるマグネタイト粉末を得た。
さらに、このマグネタイト粉末にカーボン粉末を1.0wt.%加え、ロータリーキルンに投入して、窒素ガスフロー雰囲気下で転動させながら800℃で1時間熱処理を行うことにより、実施例3に係るキャリア芯材とキャリアとを得た。
実施例3に係るキャリア芯材の平均粒径は30.2μm、見掛け密度は2.45g/cc、BET比表面積は0.98m/g、真球相当比表面積0.038m/g、従って[BET比表面積]/[真球相当比表面積]は25.8、Raは0.044μm、σ1000は55.2emu/gであった。
さらに、実施例3に係るキャリアの初期の帯電量は29.0μC/g、24時間後の帯
電量は27.4μC/g、従って24時間後での帯電量低下率は5.5%であった。
《まとめ》
図1に実施例1、図2に実施例2、図3に実施例3、図4に比較例1、そして、図5に比較例2に係るキャリア芯材のSEM写真(倍率1000倍)をそれぞれ示し、図6に実施例1に係るキャリア芯材のFE―SEM写真(倍率5000倍)を示す。
従来の技術に係る一般的なキャリア芯材は、図4に示されるような、いくつかのグレインが集合した粒子形状となっており、グレイン部分は比較的平滑となっている。これに対し、本発明に関するキャリア芯材は、図1から3、6に見られるように、粒子表面に微細な析出物を有し、表面凹凸が非常に大きい形状となり、後述するように比表面積が大きく
なっている。
一方、図5に示す比較例2に係るキャリア芯材は、従来技術に係る製造方法である「焼成温度の低下」によって、本発明に係るキャリア芯材と同等の比表面積を持つキャリア芯材を製造したものである。しかし、比較例2に係るキャリア芯材は、焼結が十分進行しておらず、多孔質形状の粒子となっていることが解る。
尚、本発明者は、図6等から実施例1のRa値を測定した。以降の実施例、比較例でも同様である。
表1は、実施例1から3、および、比較例1、2に係るキャリア芯材の各特性値の一覧表である。
ここで、実施例1、2および比較例1に係るキャリア芯材は、磁性相であるマンガンフェライトを得る焼成工程までは同一であるが、その後の熱処理による表面改質の条件、有無の点で異なっている。熱処理による表面改質処理を実施しなかった比較例1に係るキャリア芯材と比較して、当該処理を行った実施例1、2に係るキャリア芯材は、10〜15倍の比表面積を有しており、SEM像に見られる粒子形状の差を反映したものとなっている。
また、実施例3は、磁性相がマグネタイトであるキャリア芯材の結果である。当該結果より、本発明に係る熱処理を行うことにより、磁性相がマグネタイトであっても、実施例1、2と同様に粒子表面に微細な析出物を発生させ表面凹凸が非常に大きい形状とし、比表面積を大きく出来ることを示している。
一方、比較例2に係るキャリア芯材は、本発明に係る熱処理を行うことなく、本発明に係るキャリア芯材と同程度の比表面積を有してはいるものの、見掛密度が低い。このことは、比較例2に係るキャリア芯材の粒子内には、多数の空孔が存在していることを示している。
実施例1から3および比較例1、2のキャリア芯材に係るキャリアに対して、初期の帯電量測定、および24時間攪拌後の帯電量測定の結果を、キャリア芯材特性と併せて表1に記載した。
表1の結果から明らかなように、実施例1から3に係るキャリア粒子は、24時間攪拌後の帯電量の低下は小さく、形状観察の結果粒子の割れ、欠けもほとんど見られなかった。
この結果から、実施例1から3に係るキャリア粒子は、キャリア芯材が表面に微細な構造を持つため樹脂との密着性が極めて大きく、加えて見掛密度が高く空孔がほとんど存在しないため機械的高度にも優れていることを裏付けていると考えられる。
上記の実施例の結果に対し、比較例1に係るキャリアは、24時間攪拌後の帯電量が初期と比べて大きく低下している。また、攪拌後のキャリアの表面観察から、コート樹脂の磨耗、剥離が原因と考えられる芯材部分の露出が見られた。このことから比較例1に係るキャリアは、キャリア芯材の表面積が小さく表面凹凸が少ない為、樹脂とキャリア芯材との密着性が低いのだと考えられる。
また、焼成温度を下げることにより表面凹凸を大きくした比較例2に係るキャリアでは、24時間攪拌後の帯電量の低下が著しく、耐久性が悪化したことを示している。このようなキャリアの耐久性悪化は、画像特性の著しい毀損原因になると考えられるため、好ましくない状態である。
実施例1に係るキャリア芯材のSEM写真である。 実施例2に係るキャリア芯材のSEM写真である。 実施例3に係るキャリア芯材のSEM写真である。 比較例1に係るキャリア芯材のSEM写真である。 比較例2に係るキャリア芯材のSEM写真である。 実施例1に係るキャリア芯材のFE−SEM写真である。

Claims (1)

  1. 電子写真現像剤用のキャリア芯材であって、
    マグネタイトまたはマンガンフェライトからなり、
    BET法により測定された当該キャリア芯材の比表面積をBET比表面積とし、当該キャリア芯材を真球と仮定したときの比表面積を真球相当比表面積としたとき、[BET比表面積]/[真球相当比表面積]の値が、8.0以上、30.0以下であり、
    走査電子顕微鏡での反射電子像解析により測定した表面粗さRaの値が、0.050μm以下であり、
    見掛密度が、2.40g/cc以上である電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法であって、
    磁性粉末を造粒して前駆体粒子を得、当該前駆体粒子を1000℃から1300℃の温度範囲で焼成して磁性相を有する粒子を得、当該磁性相を有する粒子を、
    一酸化炭素および/または水素という還元性ガス雰囲気下、または、当該還元性ガスと窒素および/またはアルゴンという不活性ガスとの混合ガス雰囲気下、または、当該不活性ガス雰囲気とカーボンとの存在下、
    かつ、酸素分圧10−10MPa以下の雰囲気下において、
    600℃から1000℃の温度範囲で転動させながら熱処理することでキャリア芯材を得る、ことを特徴とする電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法。
JP2007256670A 2007-09-28 2007-09-28 電子写真現像剤用のキャリア芯材の製造方法 Active JP5288759B2 (ja)

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