JP5491720B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤に係り、更に詳細には、プリンター等で使用される電子写真現像剤に用いられる電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤に関する。
従来、複写機、プリンター等で使用される電子写真現像方法としては、カスケード法、磁気ブラシ現像法、その他の方法が用いられている。近年は、感光体ドラム上に形成された静電潜像に、磁気ブラシを介してトナー像を顕像化させた後、熱定着させて画像を得る磁気ブラシ現像法が一般的な手段である。さらに最近では、当該磁気ブラシをトナーのみで形成する一成分系現像剤より、トナーを電子写真現像剤用キャリア(本発明において、「キャリア」と記載する場合がある。)の粒子上に電気的に配向させて磁気ブラシを形成する二成分系現像剤が多用されている。
二成分系現像剤ではキャリアとして、当該キャリア粒子を構成する芯材(本発明において、「キャリア芯材」と記載する場合がある。)の表面にトナーと逆帯電性の樹脂を適度に被覆させたものが用いられる。キャリアの粒子が、磁気スリーブ上に形成する磁気ブラシは、磁気特性や表面形状により、ブラシチェーンの粒子同士の保持力を変化させることが知られている。画像現像時の条件により、現像スリーブの回転によって得られる遠心力が保持力に勝る結果、磁気ブラシからキャリアが飛散し感光体上に付着する現象(キャリア付着)が発生する。当該感光体上に付着したキャリアは、そのまま転写部に至ることがあるが、当該感光体上にキャリアが付着した状態では、当該キャリア周辺のトナー像が転写紙に転写されない為、画像異常となるものである。
また、市場においては、当該電子写真に関して高画質化、電子写真用現像剤に関しては長寿命化の要求が高まっている。それに伴い、使用されているトナーの粒子は小粒径化され、当該トナーと混合されて用いられているキャリア粒子を小粒径化し、高画質を得ることが試みられている。
しかし、当該小粒径化されたキャリア粒子は、ますます、キャリア付着やキャリア飛散を発生し易いという問題があった。磁気ブラシを形成した小粒径キャリアの粒子間の保持力は、一個一個の粒子の持つ磁力と、粒子同士が結合している部分の面積に比例して強くなるため、小粒径化は保持力を阻害していると推測できる。
一方、現像機の高速化に伴い、現像機内での撹拌負荷が増加し、撹拌ストレスによる磁性キャリア表面の樹脂の剥離が発生するという問題もある。その結果、キャリア芯材が露出することになり、電荷のリークが生じる。このような電荷のリークは画質劣化の原因の一つであるため、従来の磁性キャリアでは、被覆樹脂の膜厚を厚くすることで樹脂の剥離を防いでいる。
しかし、キャリア芯材と樹脂との間の結合力(接着力)が不十分であると、使用時間が増すにつれて、粒子同士の衝突により、樹脂皮膜の摩耗や破損が起こり、当該皮膜が脱離する。その際、キャリア芯材が表面露出し、帯電性が不均一となることから、画像劣化を引き起こす。
ここで、例えば特許文献1は、キャリア芯材にAlを1〜50質量%の範囲内で意図的に添加させ、樹脂の耐久性を向上させることを提案している。
特開平9−190016号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、多量のAlの存在による磁気特性の低下と、当該磁気特性の低下に伴う現像画質の劣化が懸念される。
また、現像剤の中で、摩耗によって生じるコート樹脂の剥離やキャリア粒子割れ等によるキャリア付着やキャリア飛散を抑制するためには、キャリア粉の表面の形状が重要であることは知られているが、表面形状を制御することは困難であった。
本発明の目的は、画像異常の原因であるキャリア飛散を抑制し、且つコート芯材に被覆される樹脂の剥離を防止する効果の高いキャリア芯材およびその製造方法、キャリア、並びに、電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らが、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来技術において省みられることのなかった濃度で分散させ、キャリア粉となるスラリーを作る際に添加するAl粒子の平均粒径を、0.5μm以下とすることによって表面の形状を制御することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するための手段は、Feで表記されるマグネタイトを有し、
当該マグネタイト中に0.1質量%以上、1質量%以下のAlが含有され、且つ、Siが含有されず、平均表面粗さが0.1μm以上、0.4μm以下であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材である。
また、媒体液中へ、平均粒径が0.5μm以下のAl粒子を粉末状態またはコロイド状態で分散させる工程と、前記Al粒子を分散させた媒体液中へ、Fe粉末を分散させ、攪拌することによってスラリーを得る工程を備えた製造方法である。
本発明によれば、キャリア芯材中にAl粒子を、従来技術において省みられることのなかった濃度で分散させ、キャリア粉となるスラリーを作る際に添加するAl粒子の平均粒径を、0.5μm以下とすることによって表面の形状を制御することとしたため、画像異常の原因であるキャリア飛散を抑制し、且つコート芯材に被覆される樹脂の剥離を防止する効果の高いキャリア芯材およびその製造方法、キャリア、並びに、電子写真現像剤を提供できる。
以下、本発明について、1.キャリア芯材、2.キャリア、3.キャリア芯材およびキャリアの製造方法、4.電子写真現像剤、の順で説明する。
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
1.キャリア芯材
上述の如く、本発明に係るキャリア芯材は、Feで表記されるマグネタイトを有しており、当該マグネタイト中には平均粒径0.5μm以下のAl粒子が固溶している。即ち、当該マグネタイト中には、当該平均粒径0.5μm以下のAl粒子の添加することによりAlが固溶し、0.1質量%以上、1質量%以下のAlが含有している。具体的には、キャリア芯材がマグネタイトである場合、逆スピネル構造を持つ格子結晶中のFe原子をAl原子が置換して、FeAl3−xの置換型固溶体を形成している。
[キャリア芯材を構成する粒子の表面性]
本発明者らの検討によれば、キャリア芯材への非磁性成分の添加(存在)の有無、添加粒径、および添加量により、当該キャリア芯材を構成する粒子表面の凹凸の度合いやグレイン(表面に見られる凹状の筋に囲まれた隆起した凸部分)の成長性に大きな差異が見られることがわかった。
具体的には、平均粒径0.5μm以下のAl粒子を添加したキャリア芯材では、グレインが表面より外側に向けて成長しにくく、凹凸性が小さくなる方向にある。また、係るキャリア芯材では、BET値で、0.1m/g〜0.2m/g、平均表面粗さが、0.1μm以上、0.4μm以下の範囲の表面性を有する。
このように、キャリア芯材へ0.5μm以下のAl粒子を添加することで、BET値および表面粗さの小さいキャリア芯材を得ることが出来る。そして、キャリア芯材のBET値および表面粗さを小さくすることにより、キャリア飛散が抑制される。これは、キャリア芯材のBET値および表面粗さを小さくすることで、現像器内の攪拌において、粒子同士の割れや摩耗、また樹脂コートのはがれを減少させることができる。現像剤の中で、摩耗によって生じるコート樹脂の剥離やキャリア粒子割れといった問題を解消できるためと考えられる。
[キャリア芯材の組成]
本発明に係るキャリア芯材を構成する磁性成分物質は、対象となる電子写真現像装置の特性に合った磁気特性を有する物質を選択すればよい。例えば、画像特性を考慮した場合、マグネタイトであるFeや、ソフトフェライトであるMnFe3−x等が好適に用いられる。これらの磁性物質は、十分高い磁化と低い残留磁化をもつためである。
一方、本発明のキャリア芯材では、上述のように、表面性を変化させるため非磁性成分を存在させる。なお、キャリアの磁気特性は、当該非磁性成分の存在比率に応じて低下するが、表面性と、キャリア芯材に必要とされる磁力や抵抗値とのバランスを考慮し、非磁性成分であるAl粒子の粒径、添加量を調整することで、非常に再現性良くキャリアの特性を調整できる。
具体的には、Al粒子の場合は、例えば、キャリア芯材のメイン原料のFeの総量に対して、当該Al粒子に由来するAl量が0.1質量%以上、1質量%以下となるよう原料混合時に添加すれば良い。当該Al量が0.1質量%以上であればキャリア芯材を構成するグレインの凹凸を確保でき、また1質量%以下であれば、キャリア形状が球状を大きく外れることがなく、現像機内での流動性を保ち、且つ、実用上必要な磁力を維持できる。更に望ましくは0.3質量%以上、1質量%以下の割合で添加するのがよい。Al粒子を添加する形態は、粉末状であっても、コロイド溶液状であっても良い。
[粒径]
本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材の粒度分布は、平均粒径が15μm以上、80μm以下であることが好ましい。平均粒径が15μm以上であればキャリア粒子ひとつひとつの磁化が確保され、キャリア付着現象が効果的に抑制できる。20μm以上であることがより効果的である。また80μm以下であれば比表面積の低下によるトナーの飛散を防ぐことができ、鮮鋭な画質を得る上で有利となる。
そのため、この範囲内にあると、画像特性が良好で、且つ、キャリア飛散が抑制出来き、上記の粒度分布となるよう、製造工程中あるいは工程後に篩などにより分級処理を行うことが好ましい。
2.キャリア
本発明の電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアは、上述の電子写真現像剤用キャリア芯材に、必要な帯電性に応じた熱硬化性樹脂類またはこれらの任意の組合せに係る樹脂を被覆してなる。
このような構成をとることにより、非磁性酸化物を添加しないキャリアと比較して、キャリア飛散が抑制され、破砕特性が大幅に改善される。樹脂被覆後のキャリアの破砕試験強度が良好になるのは、キャリア粒子の表面凹凸部と樹脂被覆面の接触面積に応じて、結合力が上がり、剥離を抑制できるからである。
3.キャリア芯材・キャリアの製造方法
本発明に係るキャリア芯材の製造においては、磁性粉となる原料の他にAl粒子等の非磁性成分を併せて用いる。その際、非磁性成分の粒径が大きいと、粒子内で均一な分散性が悪くなったり、グレインの成長が不均一になったりすることがある。このため、非磁性成分は、5μm以下であることが好ましい。
[原料]
Feで表記されるマグネタイトのFe供給源としては、Feが好適に使用できる。そして、これらの原料の配合比を、当該マグネタイトの目的組成と一致させて秤量し混合して、金属原料混合物を得ることができる。
原料に配合するAl(アルミニウム)の形態としては、酸化物であるAl粒子が好適に使用される。Al粒子は、粉体状であっても、粒子を水分中に均一分散させたコロイド状液であっても良い。Al粒子の粒径は、平均粒径(D50)で0.5μm以下であれば、キャリア芯材を構成するグレインの凹凸を小さくしやすい。好ましくは、平均粒径(D50)で0.3μm以下である。
媒体液は、水にバインダー、分散剤等を添加したものを用意する。バインダーとしては、例えばポリビニルアルコールが好適に使用でき、その媒体液中濃度は0.5〜2質量%程度とすればよい。分散剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム系のものが好適に使用でき、その媒体液中濃度も0.5〜2質量%程度とすればよい。その他、潤滑剤や、焼結促進剤として、リンやホウ酸等を添加することができる。混合攪拌して得られたスラリーに対し、さらに湿式粉砕を施すことが好ましい。
必要に応じて、原料混合物へ乾式で粉砕処理を加えてもよい。原料粉と媒体液の混合比は、スラリーの固形分濃度が50〜90質量%になるようにすることが望ましい。
また、上記の媒体液中へ、Fe原料、M原料の添加前に、Al粒子を先に分散させることが好ましい。Al粒子の添加量は、上述したように、Al換算で0.1質量%以上、1質量%以下とする。
当該Al粒子の添加量が、Fe原料、M原料の量に対し非常に微量であるため、先に媒体液中に分散させることで、均一な分散状態を得られる。また、湿式粉砕等の処理を行ったりすることで、Al粒子の分散性を上げてもよい。
〔造粒〕
造粒は、上記スラリーを噴霧乾燥機に導入することによって好適に実施できる。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃程度とすればよい。これにより、概ね、粒子径が10〜200μmの造粒粉を得ることができる(造粒工程)。得られた造粒粉は製品最終粒径を考慮し、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去することにより粒度調整することが望ましい。
〔焼成〕
次に、造粒粉を700〜1500℃程度に加熱した炉に投入して、マグネタイトを合成するための一般的な手法で焼成することにより、マグネタイトを生成させる(焼成工程)。焼成温度が700℃以上であれば、焼結がある程度進み、形状を維持でき、また、生成したマグネタイトの磁気特性が保たれるので、キャリア飛散が抑制される。1500℃超であると、粒子同士の過剰焼結が起こらず、異形粒子が生じることがない。当該観点からは、700〜1500℃程度で焼成することが好ましい。焼成温度の制御により、キャリア芯材へ所望のBET比表面積を付与することができる。具体的には、焼成温度を上げることでBET比表面積の値は低下し、焼成温度を下げることでBET比表面積の値を増加させることができる。
また、焼成雰囲気は、焼成品の磁力、電気抵抗等のキャリア粉体特性に関わっており、焼成炉内の酸素濃度を1%以下の還元性の強い雰囲気とすることが望ましい。
得られた焼成物は、この段階で粒度調整することが望ましい。例えば、焼成物をハンマーミル等で粗解粒し、次に気流分級機で1次分級し、さらに、振動ふるいまたは超音波ふるいで粒度を揃える処理を行うことにより、粒度調整された焼成物を得ることができる。当該粒度調整後、さらに磁場選鉱機にかけ、非磁性粒子を除去することが望ましい。
〔高抵抗化処理〕
上記焼成物を酸化性雰囲気中にて加熱することにより、高抵抗層を形成し、高抵抗化してもよい(高抵抗化処理工程)。加熱雰囲気は、大気、または、酸素と窒素の混合雰囲気とすればよい。加熱温度は200〜800℃、好ましくは250〜600℃とし、処理時間は30分〜5時間程度とすればよい。
このようにして本発明に係るキャリア芯材を得ることが出来る。
〔キャリアの製造〕
得られたキャリア芯材に、樹脂被覆を施す。被覆の方式としては乾式法、流動床、浸漬法等により被覆することができる。より好ましくはキャリア内部に樹脂を充填することから浸漬法や乾式法がより好ましい。ここでは浸漬法を例に挙げ説明する。被覆樹脂としては、シリコーン系樹脂やアクリル樹脂が好ましい。被覆樹脂を溶剤(トルエン等)に20〜40質量%程度溶解させ、樹脂溶液を調製する。被覆操作は、キャリア芯材に対して固形分で0.7〜10%の範囲となるように容器中で混合した後、150〜250℃にて加熱撹拌することにより実施できる。上記の樹脂溶液の濃度、および、樹脂溶液とキャリア芯材との混合比によって、樹脂の被覆量をコントロールすることができる。被覆後に、さらに加熱処理を施して樹脂被覆層を硬化させることによって、本発明に係る電子写真現像剤用キャリアが得られる。
4.電子写真現像剤
得られた本発明に係るキャリアを、適切な粒径を有するトナーと混合することによって、電子写真現像剤を得ることができる。
以下に、本発明に係る電子写真用現像剤キャリア芯材の製造方法について、実施例を参照しながら具体的に説明する。
本発明の実施例を示すにあたり、まず、各物性値の測定方法について記述する。
<平均表面粗さ測定>
本発明では、レーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS30−LSU)を用い、粒子表面をスキャンすることで溝深さ、および、平均表面粗さの値を算出した。
粒子表面に存在する溝深さは、キャリア芯材の粒子において10μm四方の範囲を設定し、当該範囲において高さ測定および深さ測定を行って平均線を求め、当該平均線より最も深い位置の深さを溝深さとした。
平均表面粗さは、キャリア芯材の粒子において10μm四方の範囲を設定し、当該範囲において高さ測定を行って平均線を求め、この範囲での平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合成し、平均化することで算出した。
<比表面積>
キャリア芯材の比表面積(BET)は、JISZ8830−2001に基づいて測定を行った。
<粒度分布>
キャリア芯材の粒度分布は、マイクロトラック(日機装株式会社製、Model:9320−X100)を用いて測定した。得られた粒度分布より、体積率50%までの積算粒径(本発明においてD50と記載する場合がある。)を算出した。尚、本発明においては、当該D50の値を芯材の平均粒径として記述した。
<磁気特性>
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化の測定を行い、外部磁場1000Oeにおける磁化σ1000(emu/g)を得た。
<キャリア飛散の評価試験>
キャリア芯材のキャリア飛散は、直径50mm、表面磁力1000Gaussの磁気ドラムに実施例および比較例で得られたキャリア芯材を充填し、270rpmで30分間回転させた後、飛散した粒子を回収し、その重量を測定することで行った。尚、キャリア飛散量は、比較例1に係るキャリア飛散量を「1」と規格化しており、この値が大きいほどキャリア飛散量が多いことを示している。
当該評価試験結果を表1に示す。
<画像評価試験>
さらに、各実施例および比較例にかかる磁性キャリアと、粒径1μm程度の市販トナーとを混合して電子写真現像剤を作成し、該電子写真現像剤を用いて画像評価試験を行った。その結果を表2に記載する。尚、評価において、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は使用可能なレベル、×は使用不可なレベルとした。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
原料として、平均粒径D50が0.289μmに微粉砕されたAl粒子粉、Fe粉を用意した。Al粒子粉は、Fe粉量に対して、Al換算で、1質量%となるように秤量した。
一方、水に、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散材を1.0質量%、添加した液(媒体液)を準備した。この媒体液にAl粒子粉を投入し、十分に分散した後、前記秤量されたFe原料粉を投入して、攪拌することにより、これら投入した物質の濃度が76質量%のスラリーを得た。スラリーの分散は、40℃程度の温度をかけながら行ってもよく、また、湿式ボールミル等の装置を用いて湿式粉砕を行ってもよい。
このスラリーを湿式ボールミルにて湿式粉砕し、しばらく攪拌した後、スプレードライヤーにて該スラリーを約125℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜200μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物から、網目45μmの篩網を用いて粗粒を分離し、網目25μmの篩網を用いて微粒を分離した後、窒素雰囲気下1000℃で5時間焼成し、フェライト化させた。このフェライト化した焼成物をハンマーミルで解粒し、風力分級機を用いて微粉を除去し、網目45μmの振動ふるいで粗粒を分離し粒度調整した。
45μm以下に粒度調整された焼成物を、350℃の大気下で3時間保持することにより高抵抗化処理を施し、実施例1に係るキャリア芯材を得た。
〔実施例2〕
添加するAl粒子粉は平均粒径D50が0.239μmのものをFe粉量に対して、Al換算で、0.5質量%となるように秤量し、実施例1における焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して本例のキャリア芯材を得た。
このキャリア芯材の添加剤の添加量と粉体特性、磁気特性、および後述する評価試験結果を表1に示す。
〔比較例1〕
添加するAl粒子粉は平均粒径D50が4.607μmのものをFe粉量に対して、Al換算で、1.0質量%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して本例のキャリア芯材を得た。
このキャリア芯材の添加剤の添加量と粉体特性、磁気特性、および後述する評価試験結果を表1に示す。
〔比較例2〕
添加するAl粒子粉は平均粒径D50が1.41μmのものをFe粉量に対して、Al換算で、6.0質量%となるように秤量し、実施例1における焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して本例のキャリア芯材を得た。
このキャリア芯材の添加剤の添加量と粉体特性、磁気特性、および後述する評価試験結果を表1に示す。












[まとめ]
実施例および比較例の磁気特性、電気抵抗の値をみると、同じAl粒子添加量にもかかわらず、Al粒子の粒径が小さいものの方が高い磁気特性、電気抵抗値を示している。このことから、磁気特性、電気抵抗の値はアルミナの粒径に依存していることが分かる。
実施例および比較例のキャリア飛散評価を見ると、Al粒子の平均粒径が小さい実施例1、2、のキャリア芯材は、比較例1のキャリア飛散量を「1」と規格化した時、0.31〜0.56となった。これに対し、Al粒子の平均粒径が大きい比較例1、2のキャリアは、1〜3.98となった。このことから添加時のAl粒子の平均粒径が小さい芯材の表面は凹凸が小さくなり、キャリア飛散量を減少させることがわかった。
実施例2と比較例2とでは同じ温度で焼成したにもかかわらず、BETの値を見ると実施例2が一番低い値を示している。実施例2のキャリア芯材は表面の凹凸が少ないからであると考えられる。
また温度を変えて焼成を行った、実施例1と比較例1とを比較しても、添加するAl粒子粉の平均粒径が小さいほうが、表面の凹凸が少ないことがわかった。
この結果から、キャリア飛散に対するAl粒子の添加、粒径の効果が確認された。
以上、実施例1、2、比較例1、2のキャリアに対する、磁気特性、キャリア飛散、破砕試験の評価試験結果から判断すると、実施例1、2に係るキャリアは各評価において良好な結果を示した。従って、実施例1、2に係るキャリアは、電子写真現像剤用のキャリアとして優れたものであると考えられる。
さらに添加時のAl粒子の平均粒径を変化させることによって、表面の形状を変えることができ、粒径の小さいものを添加した場合にはキャリア飛散を抑制でいることがわかった。
次に、表1で示した画像評価試験結果より、次のことが判明した。
まず、初期画像特性においては、比較例2の画質を除き、実施例・比較例ともに非常に良好または良好なレベルであった。しかし、100K枚においては、実施例にも一部レベルの低下が見られたが、比較例では、全ての例において、いずれかの項目において使用不可レベルとなり、交換時期を超過していることが判明した。
現像画質を保ちながら、当該機器の現像機内における樹脂被覆の剥がれや脱離が低減され、且つキャリア飛散が著しく低減された電子写真現像剤用キャリアとして、複写機、プリンター等の現像機等に適用できる。

Claims (5)

  1. Feで表記されるマグネタイトを有し、
    当該マグネタイト中に0.1質量以上、1質量%以下のAlが含有され、且つ、Siが含有されず、平均表面粗さが0.1μm以上、0.4μm以下であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
  2. 媒体液中へ、平均粒径が0.5μm以下のAl粒子を粉末状態またはコロイド状態で分散させる工程と
    前記Al粒子を分散させた媒体液中へ、Fe粉末を分散させ、攪拌することによってスラリーを得る工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  3. 請求項に記載のスラリーを得る工程と、
    得られたスラリーを乾燥し造粒して造粒粉を得る工程と、
    得られた造粒粉を、酸素濃度が1%以下の雰囲気下において焼成し、磁性相を有する焼成物を得る工程と、
    得られた焼成物を粉砕処理して粉末化し、その後に、所定の粒度分布を持たせる工程とを順次行うことを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  4. 請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材が、熱硬化性樹脂によって被覆されていることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
  5. 請求項に記載の電子写真現像剤用キャリアと、適宜なトナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤。
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