JP2019040174A - 電子写真現像剤用磁性芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用磁性芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】電気抵抗の環境依存性が小さく且つキャリア飛散を抑制することができ、良好な画像を安定して得ることができる電子写真現像剤用磁性芯材及び電子写真現像剤用キャリア、並びに該キャリアを含む現像剤を提供する。【解決手段】燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定されるフッ素イオン量をa(ppm)、塩素イオン量をb(ppm)、臭素イオン量をc(ppm)、亜硝酸イオン量をd(ppm)、硝酸イオン量をe(ppm)、硫酸イオン量をf(ppm)としたとき、式(1):a+b×10+c+d+e+fの値が20〜150である、電子写真現像剤用磁性芯材。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真現像剤用磁性芯材、電子写真現像剤用キャリア及び現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤と、トナー粒子のみを用いる一成分系現像剤とに分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に撹拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合及び撹拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合及び撹拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。したがって、二成分系現像剤は、高画質が要求されるフルカラー現像装置や、画像維持の信頼性及び耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。そして、これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との撹拌及び混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により、有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出して、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくくなる。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって、真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトキャリアや、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼及び粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、オフィスのネットワーク化が進み、単機能の複写機から複合機への時代に進化している。また、サービス体制も、契約した保守作業員が定期的にメンテナンスを行って現像剤等を交換するようなシステムから、メンテナンスフリーシステムの時代へシフトしてきており、市場からは、現像剤の更なる長寿命化に対する要求が一層高まってきている。
このような中で、キャリア特性の向上を図るため、キャリア芯材の形状や不純物量を制御することが提案されている。例えば、特許文献1(特開2005−106999号公報)には、磁性を有するキャリア芯材の表面に特定の樹脂被覆層を形成した静電潜像現像剤用キャリアにおいて、式(1):A=[(L−L)/L]×100(式中、Lはキャリア芯材投影像の外周長を表し、Lはキャリア芯材投影像の包絡線の長さを表す)で示される前記磁性を有するキャリア芯材の包絡係数Aが、A<4.5の関係を満たすことを特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが提案され、該キャリアによれば、長期に亘り安定した帯電付与能力を有し、かつキャリア付着が発生しにくい等の効果があるとされている。特に、包絡係数Aを低くすることによって、芯材表面における樹脂偏在が低減されて樹脂層が均一となり、経時磨耗による芯材の露出が少なくなり、キャリアからの電荷注入による非画像部へのキャリア付着が起きにくくなるとされている。
また、特許文献2(特開2012−181398号公報)には、1K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が50〜65Am/kg、BET比表面積が0.12〜0.30m/g、かつ平均粒径が20〜35μmであり、周囲長/包絡長が、個数分布において、1.02以上1.04未満:75個数%〜90個数%、1.04以上1.06未満:20個数%以下の範囲を満たすことを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材が提案され、該キャリア芯材によれば、帯電性に優れ、キャリア飛散が発生しにくい効果があるとされている。特に、周囲長/包絡長を特定の範囲内とすることによって、キャリア凸部に被覆された樹脂が、現像機での撹拌によって優先的に剥離し、その結果、キャリアが低抵抗となって飛散することが抑制されるとされている。また、塩素量を低減することが述べられており、キャリア芯材が塩素を含有すると、この塩素が使用環境中の水分を吸着して、帯電量をはじめとする電気特性の環境変動に影響を及ぼすとされている。
さらに、特許文献3(特開2016−025288号公報)には、主成分がFeと、Mn等の添加元素であるフェライト磁性材において、平均粒径が1〜100μmであり、当該フェライト磁性材におけるFeと、添加元素と酸素とを除いた不純物の総量が、0.5質量%以下であり、前記不純物がSi、Al、Cr、Cu、P、Cl、Ni、Mo、Zn、Ti、硫黄、Ca,Mn、Srのいずれかの少なくとも2種以上を含むフェライト磁性材が提案され、電子写真現像剤用の磁性キャリア芯材として用いた磁性キャリアは、原料中の不純物の影響が抑制されたフェライト磁性材であり、且つ、磁力が高く、キャリア飛散が抑制される効果があるとされている。
特開2005−106999号公報 特開2012−181398号公報 特開2016−025288号公報
このように、キャリア芯材の形状や不純物量を制御することによって、キャリア特性の向上を図る試みが知られているが、近年の高画質化及び高速印刷化の更なる要求に対しては、キャリア特性が十分ではないという問題がある。特に、電気抵抗の環境依存性を低減することと、キャリア飛散をより一層低減することが強く求められている。これは電気抵抗の環境依存性が大きいと、画像濃度やかぶりといった画像特性が使用環境に応じて大きく変化してしまい、安定した画像特性を得ることができないからである。また、キャリア飛散が多いと、画像上に白斑を生じたり、飛散したキャリアが感光体を傷つけたりするからである。そして、キャリア特性を向上させる上で、キャリア芯材の特性が重要である。これは、キャリアを長期使用すると、樹脂被覆層が経時磨耗によって剥離し、露出した芯材がキャリアの特性に大きく影響するからである。
本発明者らは、今般、電子写真現像剤用磁性芯材において、燃焼イオンクロマトグラフィー法にて測定される陰イオン量が、電気抵抗の環境依存性を低減させ且つキャリア飛散を抑制する上で重要であるとの知見を得た。具体的には、陰イオン量を適切に制御することにより、電気抵抗の環境依存性が小さく且つキャリア飛散を有効に抑制することができるキャリア芯材とすることができ、その結果、キャリアや現像剤としたときに良好な画像が安定して得られるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、電気抵抗の環境依存性が小さく且つキャリア飛散を抑制することができる、電子写真現像剤用磁性芯材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような磁性芯材を備えた電子写真現像剤用キャリアや現像剤を提供することにある。
本発明の一態様によれば、燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定されるフッ素イオン量をa(ppm)、塩素イオン量をb(ppm)、臭素イオン量をc(ppm)、亜硝酸イオン量をd(ppm)、硝酸イオン量をe(ppm)、硫酸イオン量をf(ppm)としたとき、式(1):a+b×10+c+d+e+fの値が20〜150である、電子写真現像剤用磁性芯材が提供される。
本発明の他の一態様によれば、包絡周囲長に対する周囲長の比Aの個数分布において、前記比Aが1.08以上である粒子の割合が10%以下である、前記電子写真現像剤用磁性芯材が提供される。
本発明の別の一態様によれば、前記電子写真現像剤用磁性芯材と、前記磁性芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えた、電子写真現像剤用キャリアが提供される。
本発明の更に別の一態様によれば、前記キャリアと、トナーとを含む、現像剤が提供される。
磁性芯材における式(1)の値と電気抵抗環境変動比(A/B)の関係を示す。 磁性芯材における式(1)の値と、包絡周囲長に対する周囲長の比Aの個数分布において、前記比Aが1.08以上である粒子の割合(凹凸粒子割合)の関係を示す。
電子写真現像剤用磁性芯材
本発明の電子写真用現像剤用磁性芯材(キャリア芯材)は、燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定される陰イオン量が、特定の範囲内に制御されているという特徴を有している。具体的には、フッ素イオン量をa(ppm)、塩素イオン量をb(ppm)、臭素イオン量をc(ppm)、亜硝酸イオン量をd(ppm)、硝酸イオン量をe(ppm)、硫酸イオン量をf(ppm)としたとき、式(1):a+b×10+c+d+e+fの値が20〜150である。このような磁性芯材によれば、電気抵抗の環境依存性が低く、キャリア飛散の少ないキャリアとすることが可能となる。式(1)の値が150を超えると、電気抵抗の環境依存性が高くなる。これは、陰イオン成分が多いほど、環境が変化したときの芯材の電気抵抗が大きく変化するためであり、その理由として、陰イオン成分は環境中の水分を吸湿しやすいため、特に高温高湿下では磁性芯材の含水量が増えてイオン導電性が高くなり、その結果、芯材抵抗が低くなるためであると考えられる。一方、式(1)の値が20未満であると、焼成時に粒子同士の焼結が生じやすくなり、表面凹凸の大きい粒子の割合が増え、その結果、キャリア飛散抑制の効果を十分なものとすることができない。その上、式(1)の値が20未満の磁性芯材を製造するためには、品位が極端に高い原料を用いる、もしくは品位を高めるための特別な工程を経なければならず、生産性に劣るという問題もある。式(1)の値は好ましくは25〜130、特に好ましくは30〜100である。また、磁性芯材は、式(2):b×10+fの値が、好ましくは15〜130、より好ましくは20〜110、さらに好ましくは25〜90である。
燃焼イオンクロマトグラフィー法は、試料を酸素含有ガス気流中で燃焼させて、発生したガスを吸収液に吸収させ、その後、吸収液に吸収したハロゲンや硫酸イオンを、イオンクロマトグラフィー法により定量分析する手法であり、従来困難であったハロゲンや硫黄成分のppmオーダーでの分析を容易に行なうことが可能となる。なお、陰イオン量は燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定される値であるが、陰イオンが検出されることは、必ずしも上記陰イオンの形態で磁性芯材中に含有されることを意味する訳ではない。例えば、燃焼イオンクロマトグラフィー法によって硫酸イオンが検出されたとしても、磁性芯材が硫黄成分を硫酸イオンの形態で含むものに限定される訳ではなく、硫黄単体、硫化金属、硫酸イオン、或いはその他の硫化物等の形態で含むものであってもよい。
また、磁性芯材は、包絡周囲長に対する周囲長の比Aの個数分布において、前記比Aが1.08以上である粒子の割合(以下、凹凸粒子割合)が、好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下である。凹凸粒子割合は、その下限が特に限定されるものではないが、典型的には0.1%以上である。また、磁性芯材は、その比Aの平均値が、好ましくは1.01〜1.07、より好ましくは1.02〜1.06、さらに好ましくは1.03〜1.05である。ここで比Aは下記式から求められる。
[数1]
比A = 周囲長/包絡周囲長
周囲長は磁性芯材を構成する個々の粒子における投影像の凹凸を含んだ周囲の長さであり、包絡周囲長は投影像の凹部を無視して個々の凸部を結ぶことによって得られる長さである。包絡周囲長は粒子の凹部を無視した長さであるため、周囲長と包絡周囲長の比から、磁性芯材を構成する粒子ごとの凹凸の度合いを評価することができる。すなわち、比Aが1に近いほど表面凹凸の小さい粒子であることを意味し、比Aが大きいほど表面凹凸の大きい粒子であることを意味する。したがって、比Aの個数分布において、前記比Aが1.08以上である粒子の割合(凹凸粒子割合)が小さいほど、磁性芯材中の表面凹凸の大きい粒子の割合が小さくなる。
磁性芯材の凹凸粒子割合を小さくすることで、キャリア飛散がより一層抑制されると期待される。これは、磁性芯材に樹脂被覆を施してキャリアとした際に、表面凹凸の大きい粒子は、その凸部から樹脂被覆が容易に剥がれてしまうからである。すなわち、キャリアには、その使用時にトナーと混合及び撹拌されるなどして機械的ストレスが加わるが、表面凹凸の大きい粒子の割合が高いと、この機械的ストレスによりキャリアの樹脂被覆が剥離し易くなる。キャリアの樹脂被覆が剥離すると、キャリア抵抗が低くなり過ぎてしまい、これがキャリア飛散の原因になる。したがって、凹凸粒子割合を10%以下と小さくすることで、キャリア飛散抑制の効果をより顕著なものとすることが可能となる。
ところで、磁性芯材は、キャリア芯材として機能するものであれば、その組成は特に限定されるものではなく、従来公知の組成を用いることができる。磁性芯材は、典型的にはフェライト組成を有するもの(フェライト芯材)であり、好ましくはMn、Mg、Li、Sr、Si、Ca、Ti及びZrから選ばれる少なくとも一種の元素を含むフェライト組成を有するものである。一方、近年の廃棄物規制を始めとする環境負荷低減の流れを考慮すると、Cu、Zn、Ni等の重金属を、不可避不純物(随伴不純物)の範囲を超えて含まないことが望ましい。
磁性芯材の体積平均粒径(D50)は、好ましくは25〜50μm、より好ましくは30〜45μm、さらに好ましくは36〜45μmである。体積平均粒径を25μm以上とすることで、キャリア付着を十分に抑制することができる一方、50μm以下とすることで、帯電付与能力低下による画質劣化をより抑制することができる。
磁性芯材の見かけ密度(AD)は、好ましくは2.0〜2.7g/cm、より好ましくは2.1〜2.6g/cmである。見かけ密度を2.0g/cm以上とすることで、キャリアの過度な軽量化が抑制されて帯電付与能力がより向上する一方、2.7g/cm以下とすることで、キャリア軽量化の効果を十分なものとすることができ、耐久性がより向上する。
また、磁性芯材は、その電気抵抗環境変動比(A/B)が、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.23以下、さらに好ましくは1.20以下である。また、電気抵抗環境変動比(A/B)は、その下限が特に限定されるものではないが、典型的には1.05以上である。ここで、電気抵抗環境変動比(A/B)は、環境差による電気抵抗変化を表す指標となるものであり、下記式に示すように、磁性芯材の低温/低湿(L/L)環境下での電気抵抗RL/L(単位:Ω)の対数値(LogRL/L)の、高温/高湿(H/H)環境下での電気抵抗RH/H(単位:Ω)の対数値(LogRH/H)に対する比として求められる。
[数2]
A/B = LogRL/L/LogRH/H
電気抵抗環境変動比(A/B)を1.25以下とすることで、芯材抵抗の環境依存性を小さくすることができ、使用環境の変化に起因する画像欠陥の抑制を十分なものとすることができる。なお、H/H環境とは温度30〜35℃、相対湿度80〜85%の環境のことであり、L/L環境とは温度10〜15℃、相対湿度10〜15%の環境のことである。また、対数値は常用対数の値である。
このように、本発明の電子写真用現像剤用磁性芯材(キャリア芯材)は、燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定される陰イオン量を制御することで、電気抵抗の環境依存性が小さく且つキャリア飛散を抑制することができ、良好な画像を安定して得ることができるキャリアとすることが可能となる。本発明者らの知る限り、このように陰イオン量を制御する技術は従来知られていない。例えば、特許文献2にはキャリア芯材のCl溶出量に関する記載があるが、Cl以外の陰イオンの影響については言及が無い。また、溶出法は粒子表面に存在する成分の濃度を測定する手法であり、イオンクロマトグラフィー法とは測定原理が全く異なる。さらに、特許文献3はフェライト磁性材における不純物の総量を規定したものであるが、この文献は単に不純物の総量をなるべく少なくすることに主眼が置かれたものであり、陰イオン量を特定の範囲内に制御することを教示するものでなく、また、電気抵抗の環境依存性に関する記載は一切存在しない。
電子写真現像剤用キャリア
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、上記磁性芯材(キャリア芯材)と、前記磁性芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えたものである。キャリア特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることがある。したがって、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を、精度良く調整することができる。
被覆樹脂は特に制限されない。例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂又はフッ素樹脂等の各樹脂で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂などが挙げられる。樹脂の被覆量は、磁性芯材(樹脂被覆前)100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましい。
また、キャリア特性のコントロールを目的に、被覆樹脂中に、導電剤や帯電制御剤を含有させることができる。導電剤としては、導電性カーボン、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物又は各種の有機系導電剤などが挙げられる。添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。一方、帯電制御剤としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し、好ましくは1.0〜50.0重量%、より好ましくは2.0〜40.0重量%、特に好ましくは3.0〜30.0重量%である。
キャリアは、その電気抵抗環境変動比(C/D)が、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.20以下である。電気抵抗環境変動比(C/D)は、下記式に示すように、キャリアの低温/低湿(L/L)環境下での電気抵抗RL/L(単位:Ω)の対数値(LogRL/L)の、高温/高湿(H/H)環境下での電気抵抗RH/H(単位:Ω)の対数値(LogRH/H)に対する比として求められる。
[数3]
C/D = LogRL/L/LogRH/H
電気抵抗環境変動比(C/D)を1.25以下とすることで、キャリア抵抗の環境依存性を小さくすることができ、使用環境の変化に起因する画像欠陥の抑制を十分なものとすることができる。電気抵抗環境変動比(C/D)の下限は特に限定されるものではないが、典型的には1.05以上である。
電子写真現像剤用磁性芯材及びキャリアの製造方法
本発明の電子写真現像剤用キャリアを製造するにあたり、まず磁性芯材を作製する。磁性芯材を作製するには、原材料を適量秤量した後、ボールミル又は振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1〜20時間粉砕混合する。原料は特に制限されない。このようにして得られた粉砕物は加圧成型機等を用いてペレット化した後、700〜1200℃の温度で仮焼成する。
次に、仮焼成物をボールミル又は振動ミル等で粉砕する。その際、仮焼成物に水を加えてスラリー化する湿式粉砕を行なってもよく、必要に応じて分散剤、バインダー等を添加して、このスラリーの粘度調整を行なってもよい。また、粉砕時に使用するメディアの径、組成、粉砕時間などを調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。その後、粉砕した仮焼成物をスプレードライヤーにて粒状化して、造粒を行なう。
さらに、得られた造粒物を、400〜800℃で加熱し、添加した分散剤やバインダーといった有機成分の除去を行った後、酸素濃度の制御された雰囲気下で800〜1500℃の温度で1〜24時間保持して、本焼成を行う。その際、ロータリー式電気炉やバッチ式電気炉または連続式電気炉等を使用し、焼成時の雰囲気に窒素等の不活性ガスや水素や一酸化炭素等の還元性ガスを導入して、酸素濃度の制御を行ってもよい。次いで、このようにして得られた焼成物を解砕及び分級する。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法などを用いて所望の粒径に粒度調整すればよい。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300〜700℃で熱処理することで行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm以上とすることで、酸化被膜層の効果が十分なものとなる一方、5μm以下とすることで、磁化の低下や過度な高抵抗となるのを抑制することができる。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。
磁性芯材において、燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定される陰イオン量を調整する方法としては、様々な手法が挙げられる。その例としては、陰イオン量の少ない原材料を使用することや、造粒するスラリーの段階で洗浄操作を行なうことが挙げられる。また、仮焼成若しくは本焼成の際に、炉内に導入する雰囲気ガスの流量を増やして陰イオンを系外へ排出しやすくすることも有効である。特に、スラリーの洗浄操作を行なうことが好ましく、これはスラリーを脱水した後に再度水を加えて湿式粉砕する手法などにより行なうことができる。陰イオン量を低減させるため、脱水及び再粉砕を繰り返してもよい。
上述のように、磁性芯材を作製した後に、樹脂により表面を被覆してキャリアとすることが望ましい。被覆する方法として、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能撹拌機による液浸乾燥法等を採用することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。樹脂被覆後に焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度とすることが望ましく、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げることが望ましい。
現像剤
本発明の現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含むものである。現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。このように調製された本発明の現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機などに使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機などにも適用可能である。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)磁性芯材の作製
焼成後の組成比がMnO:20mol%、Fe:80mol%となるように原料を秤量し、水を加え、湿式ボールミルで5時間粉砕及び混合し、乾燥させた後、950℃で1時間保持して仮焼成を行なった。こうして得られた仮焼成物に水を加え、湿式ボールミルで4時間粉砕し、得られたスラリーをベルトプレス機にて圧搾脱水した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで4時間粉砕した。得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒及び乾燥して造粒物を得た。得られた造粒物を、650℃にて大気中で脱バイ後、電気炉にて、温度1310℃、酸素濃度0.1%で4時間保持して、本焼成を行なった。その後、解砕及び分級してキャリア芯材(磁性芯材)を得た。
(2)キャリアの作製
アクリル樹脂(BR−52、三菱レイヨン社製)をトルエンに溶解させ、樹脂濃度10%のアクリル樹脂溶液を作製した。得られたフェライト粒子(磁性芯材)100重量部と、アクリル樹脂溶液2.5重量部(樹脂濃度10%のため固形分としては0.25重量部)を、万能混合撹拌機にて混合撹拌し、トルエンを揮発させながら樹脂をフェライト粒子表面に被覆した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、装置内から取り出して容器に入れ、熱風加熱式のオーブンにて150℃で2時間加熱処理を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂が硬化されたフェライト粒子を取り出し、200Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が被覆されたフェライトキャリアを得た。
(3)評価
得られた磁性芯材及びキャリアについて、各種特性の評価を以下のとおり行った。
<体積平均粒径>
磁性芯材の体積平均粒径(D50)は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製Model9320−X100)を用いて測定した。分散媒には水を用いた。まず、試料10gと水80mlを100mlのビーカーに入れ、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を2〜3滴添加した。次いで超音波ホモジナイザー(SMT.Co.LTD.製UH−150型)を用い、出力レベル4に設定し、20秒間分散を行った。その後、ビーカー表面にできた泡を取り除き、試料を装置へ投入した。
<見かけ密度>
磁性芯材の見かけ密度(AD)は、JIS−Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に従って測定した。
<イオン含有量>
磁性芯材における陰イオン量の測定は、燃焼法イオンクロマトグラフィーにて、フェライト粒子中に含まれる陰イオン成分を下記条件で定量分析することにより行った。
‐ 燃焼装置:株式会社三菱化学アナリテック製AQF−2100H
‐ 試料量:50mg
‐ 燃焼温度:1100℃
‐ 燃焼時間:10分
‐ Ar流量:400ml/min
‐ O流量:200ml/min
‐ 加湿Air流量:100ml/min
‐ 吸収液:過酸化水素を1%含む溶離液
‐ 分析装置:東ソー株式会社製IC−2010
‐ カラム:TSKgel SuperIC−Anion HS(4.6mmI.D.×1cm+4.6mmI.D.×10cm)
‐ 溶離液:NaHCO(3.8mmol/L)+NaCO(3.0mmol/L)
‐ 流速:1.5mL/min
‐ カラム温度:40℃
‐ 注入量:30μL
‐ 測定モード:サプレッサ方式
‐ 検出器:CM検出器
‐ 標準試料:関東化学社製陰イオン混合標準液
一方、磁性芯材における陽イオン量の測定は、次のようにして行った。まず、フェライト粒子に酸溶液を加えて加熱し、フェライト粒子を完全溶解させた。つぎに、ICP発光分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いて、溶解させた溶液の定量分析を行い、分析結果をフェライト粒子の含有量に換算した。
<電気抵抗>
磁性芯材及びキャリアの常温常湿(N/N)環境下、高温高湿(H/H)環境下及び低温低湿(L/L)環境下での電気抵抗特性を、それぞれ以下のようにして求めた。
まず、磁性芯材のN/N環境下での電気抵抗(RN/N)を次のようにして測定した。すなわち、電極間間隔6.5mmにて非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対向させ、その間に試料200mgを秤量して充填した。次に、磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、100Vの電圧を印加し、絶縁抵抗計(東亜ディケーケー(株)製SM−8210)にて電気抵抗RN/N(単位:Ω)を測定し、その対数値(LogRN/N)を求めた。なお、ここで言う常温常湿下とは、室温20〜25℃、湿度50〜60%の環境下であり、上記測定は、上記の室温及び湿度に制御された恒温恒湿室内に試料を12時間以上暴露したのち行ったものである。
磁性芯材のH/H環境下での電気抵抗(RH/H)は次のようにして測定した。すなわち、H/H環境として温度30〜35℃、相対湿度80〜85%になるように室温及び湿度が制御された室内に試料を12時間以上暴露した後、上述の常温常湿下での電気抵抗と同じ方法で電気抵抗RH/H(単位:Ω)を測定し、その対数値(LogRH/H)を求めた。この際、電極間間隔を6.5mmとし、印加電圧を100Vとした。
磁性芯材のL/L環境下での電気抵抗(RL/L)は次のようにして測定した。すなわち、L/L環境として温度10〜15℃、相対湿度10〜15%になるように室温及び湿度が制御された室内に試料を12時間以上暴露した後、上述の常温常湿下での電気抵抗と同じ方法で電気抵抗RL/L(単位:Ω)を測定し、その対数値(LogRL/L)を求めた。この際、電極間間隔を6.5mmとし、印加電圧を100Vとした。
そして、上記LogRH/H及びLogRL/Lを用いて、磁性芯材の電気抵抗環境変動比(A/B)を、下記式から求めた。
[数2]
A/B = LogRL/L/LogRH/H
また、キャリアのN/N環境下、H/H環境下及びL/L環境下での電気抵抗(RN/N、RH/H及びRL/L)を磁性芯材の場合と同様に測定し、キャリアの電気抵抗環境変動比(C/D)を、下記式から求めた。
[数3]
C/D = LogRL/L/LogRH/H
<画像解析>
磁性芯材を、次のように画像解析して、凹凸粒子割合及び比Aの平均値を求めた。まず、粒度・形状分布測定器(セイシン企業社製PITA−1)を用いて芯材粒子3000個を観察し、装置付属のソフトウエア(ImageAnalysis)を用いて、周囲長及び包絡周囲長を求めた。この際、分散媒として粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を調製し、このキサンタンガム水溶液30ccに芯材粒子0.1gを分散させたものをサンプル液として用いた。このように分散媒の粘度を適正に調整することで芯材粒子が分散媒中で分散したままの状態を保つことができ、測定をスムーズに行なうことができる。さらに測定条件として、(対物)レンズの倍率を10倍、フィルタとしてND4×2、キャリア液1及びキャリア液2として粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を使用し、その流量はいずれも10μl/sec、サンプル液流量0.08μl/secとした。
次に、このようにして求めた芯材粒子の周囲長及び包絡周囲長から、包絡周囲長に対する周囲長の比Aの個数分布を求め、さらに、この分布から、前記比Aが1.08以上である粒子の割合(凹凸粒子割合)及び比Aの平均値を算出した。ここで比Aは下記式から求めた。
[数1]
比A = 周囲長/包絡周囲長
磁性芯材の評価において、比Aの平均値を定義するだけでは表面形状のバラツキ度合いを表現できない。また、表面のグレインサイズや粒界の平均の大きさを平均粒径に対して定義するだけも不十分である。さらに、数十〜300個程度の限られたサンプリング数で上記のバラツキ度合いを表現しても信頼性が高いとはいえない。従ってこれらの問題を解決するため、上記のようにして、周囲長及び包絡周囲長の測定を行なった。
例2
磁性芯材及びキャリアの作製を次のようにして行なった。すなわち、焼成後の組成比がMnO:40.0モル%、MgO:10.0モル%、Fe:50.0モル%になるように原料を秤量し、さらにこれら金属酸化物100重量部に対して、1.5重量部のZrOを秤量し添加した。この混合物を湿式ボールミルで5時間粉砕及び混合し、乾燥させた後、950℃で1時間保持して仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物に水を加え、湿式ボールミルで4時間粉砕し、得られたスラリーをスクリュープレス機にて脱水した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで4時間粉砕した。得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒及び乾燥した後、得られた造粒物を650℃にて大気中で脱バイ後、、電気炉にて、温度1240℃、酸素濃度0.3%の条件で6時間保持して、本焼成を行った。得られた焼成物を解砕後、分級して粒度調整を行なってフェライト粒子を得た。こうして得られたフェライト粒子を500℃に保持されたロータリー式大気炉で1時間保持して、フェライト粒子表面に酸化被膜処理を施した。このようにして酸化被膜処理を施したフェライト粒子を磁力選鉱及び混合して、キャリア芯材(磁性芯材)を得た。その後、得られた磁性芯材について、例1と同様にキャリア作製及び評価を行なった。
例3
磁性芯材及びキャリアの作製は次のようにして行なった。すなわち、焼成後の組成比がMnO:10.0モル%、LiO:13.3モル%、Fe:76.7モル%になるように原料を秤量し、固形分50%となるように水を加え、さらに、Siが固形分に対して10000ppmになるようにSiO換算20%の珪酸リチウム水溶液を添加し、湿式ボールミルで5時間粉砕及び混合し、乾燥させた後、1000℃にて大気中で仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物に水を加え、湿式ボールミルで4時間粉砕し、得られたスラリーをフィルタープレス機にて脱水した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで4時間粉砕した。得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加し、次いでスプレードライヤーで造粒した。得られた造粒物を650℃にて大気中で脱バイ後、温度1175℃、酸素濃度1容量%の条件で6時間焼成して焼成物を得た。得られた焼成物をハンマークラッシャーで解砕、分級及び磁力選鉱してキャリア芯材(磁性芯材)を得た。その後、得られた磁性芯材について、例1と同様にキャリア作製及び評価を行なった。
例4(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例1と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで7時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
例5(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例2と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで7時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
例6(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例3と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで7時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
例7(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例1と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーをベルトプレス機にて圧搾脱水した。水を加えて2時間粉砕して脱水する同様の操作を更に2回繰り返した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
例8(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例2と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーをスクリュープレス機にて脱水した。水を加えて2時間粉砕して脱水する同様の操作を更に2回繰り返した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
例9(比較例)
仮焼成物の粉砕条件を次のように変えた以外は、例3と同様にして、磁性芯材及びキャリアの作製と評価を行なった。すなわち、仮焼成物の粉砕の際、仮焼成物に水を加えて、湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーをフィルタープレス機にて脱水した。水を加えて2時間粉砕して脱水する同様の操作を更に2回繰り返した後、ケーキに水を加え、再び湿式ボールミルで2時間粉砕し、得られたスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加した。
結果
例1〜9において、得られた評価結果は表1及び2に示されるとおりであった。実施例である例1〜3において、陰イオン成分の含有量が少ないため、磁性芯材の電気抵抗環境変動比(A/B)が低く、キャリア抵抗の環境依存性(C/D)も低くなった。また、凹凸粒子割合が少ないことから、キャリアとしたときの樹脂層が均一になり、耐刷による樹脂剥がれに起因するキャリア飛散が抑制されることが期待される。一方、比較例である例4〜6において、陰イオン成分の含有量が多いため、磁性芯材の電気抵抗環境変動比(A/B)が高く、キャリア抵抗の環境依存性(C/D)も高くなった。また、比較例である例7〜9において、陰イオン成分の含有量が過度に少なすぎるため、凹凸粒子割合が高く、キャリアとしたときの樹脂層が不均一となる箇所が増え、耐刷による樹脂剥がれに起因したキャリア飛散が懸念される。これらの結果から、本発明によれば、電気抵抗の環境依存性が小さく且つキャリア飛散を抑制することができ、良好な画像を安定して得ることができる電子写真現像剤用磁性芯材及び電子写真現像剤用キャリア、並びに該キャリアを含む現像剤を提供できることが分かる。
Figure 2019040174
Figure 2019040174

Claims (8)

  1. 燃焼イオンクロマトグラフィー法によって測定されるフッ素イオン量をa(ppm)、塩素イオン量をb(ppm)、臭素イオン量をc(ppm)、亜硝酸イオン量をd(ppm)、硝酸イオン量をe(ppm)、硫酸イオン量をf(ppm)としたとき、式(1):a+b×10+c+d+e+fの値が20〜150である、電子写真現像剤用磁性芯材。
  2. 包絡周囲長に対する周囲長の比Aの個数分布において、前記比Aが1.08以上である粒子の割合が10%以下である、請求項1に記載の電子写真現像剤用磁性芯材。
  3. 前記式(1)の値が30〜100である、請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用磁性芯材。
  4. 前記比Aが1.08以上である粒子の割合が8%以下である、請求項2に記載の電子写真用磁性芯材。
  5. 前記磁性芯材の体積平均粒径(D50)が25〜50μm、見かけ密度(AD)が2.0〜2.7g/cmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真現像剤用磁性芯材。
  6. 前記磁性芯材が、Mn、Mg、Li、Sr、Si、Ca、Ti及びZrから選ばれる少なくとも一種の元素を含むフェライト組成を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真現像剤用磁性芯材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真現像剤用磁性芯材と、前記磁性芯材の表面に設けられた樹脂からなる被覆層とを備えた、電子写真現像剤用キャリア。
  8. 請求項7に記載のキャリアと、トナーとを含む、現像剤。
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