JP5248899B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、2成分電子写真現像剤に含まれる電子写真現像剤用キャリア粒子、および当該電子写真現像剤用キャリア粒子を構成する電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、電子写真現像剤用キャリア、並びに電子写真現像剤、に関する。
電子写真に使用される2成分系現像剤は、トナーと電子写真現像剤用キャリア(以下、単に「キャリア」と記載する場合がある。)とを含んでいる。キャリアは、現像剤ボックス内でトナーと攪拌混合されてトナーに所定の電荷を与え、当該電荷を帯びたトナーを感光体上の静電潜像に運び、ここにトナー像を形成させる担体物質である。感光体上にトナー像を形成した後、キャリアは、マグネットに保持されて再び現像ボックスに戻り、新たなトナー粒子と再び攪拌混合されるサイクルを繰り返し、一定期間使用される。
従来から、トナーの粒径を小さくして高画質化を達成しようとする試み(例えば、特許文献1)がなされ、当該観点から、キャリアの粒径を小さくすることが望まれている。しかしキャリアの粒径を小さくすると、キャリア1粒子あたりの磁化が低下してしまい、キャリアの飛散量が増大してしまう問題がある。
上記キャリアの飛散量増大の対策として、キャリア粒子を構成する電子写真現像剤用キャリア芯材(以下、単に「キャリア芯材」と記載する場合がある。)の磁化を上げることがある。そこで、キャリア芯材の磁化を上げるために、当該キャリア芯材に含まれるマグネタイトの割合を増やしたり、キャリア芯材製造の際の焼成条件を調整したりすることが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開平9−197721号公報 特開2001−27828号公報
しかし、本発明者等の検討によると、キャリア芯材の磁化を上げるために、当該キャリア芯材に含まれるマグネタイトの割合を増やしたり、キャリア芯材製造の際の焼成条件を調整しても、十分な磁化を得られない問題があった。また製造工程中や、電子写真現像剤となってからも電子写真現像中に、当該キャリア芯材が、割れや欠けを発生するという問題もあった。特に、電子写真現像中のキャリア芯材の割れや欠けは、キャリア飛散の原因となっていた。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、その解決しようとする課題は、粒径を小さくしても、キャリア1粒子あたりの磁化が確保出来、電子写真現像の際、キャリアの飛散が起き難いキャリアを得ることが出来るキャリア芯材の製造方法を提供し、さらにキャリア芯材、キャリア、並びに電子写真現像剤を提供することである。
本発明者等は上述の課題を解決するため研究を重ねた結果、キャリア芯材に含まれるマグネタイトの割合を増やしたり、キャリア芯材製造の際の焼成条件を調整しても十分な磁化を得られない原因が、キャリア芯材内部の結晶成長が不十分な為であることに想到した。そして、当該不十分な結晶成長の原因を追求した結果、キャリア芯材製造工程における
焼成工程(造粒物を焼成してキャリア芯材を製造する工程)前に、当該造粒物中の、残留水分量を低減することが重要であることに想到した。このようにして残留水分量を低減した造粒物を焼成したところ、真密度が高く、磁気特性、電気特性が向上したキャリア芯材を得ることが出来た。さらに、当該キャリア芯材に樹脂を被覆して得られたキャリアも、真密度が高く、磁気特性、電気特性に優れていることを知見し本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
所定の原料粉を含むスラリーを造粒物とした後、焼結する前に、当該造粒物の残留水分を低減する乾燥処理を行うことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
第2の発明は、
所定の原料粉を含むスラリーを造粒物とした後、焼結する前に、当該造粒物の残留水分を1000ppm以下とすることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
第3の発明は、
所定の原料粉を含むスラリーを造粒物とした後、焼結する前に、当該造粒物の残留水分を低減する乾燥処理を行い、当該造粒物の残留水分を1000ppm以下とすることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
第4の発明は、
第1〜第3の発明のいずれかにより製造され、真密度が5.0g/cm以上であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材である。
第5の発明は、
第4の発明に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材が、樹脂被覆されたものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリアである。
第6の発明は、
第4の発明に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材、または、
第5の発明に記載の電子写真現像剤用キャリアと、
所定のトナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤である。
本発明に係る製造方法で製造したキャリア芯材は真密度が高い為、粒径を小さくしても、キャリア1粒子あたりの磁化が低下せず、電子写真現像の際、キャリアの飛散が起き難いキャリア芯材を得ることが出来た。
本発明は、キャリア芯材製造のための焼成工程初期において、キャリア芯材結晶が成長する際、造粒物中に存在する残留水分が、成長するキャリア芯材結晶内部の蒸気圧を上昇させて、焼結進行の阻害要因となることに想到してなされたものである。
つまり、焼成工程の前段階において造粒物を乾燥させることで、当該造粒物中に存在する残留水分を低減させるのである。この造粒物中の残留水分低減により、焼成工程におけるキャリア芯材の内部焼結を促進させることが出来る。この結果、キャリア芯材の真密度(空隙部分を除いた、焼結結晶自体の密度)が上がり、磁気特性、電気特性が向上するのであると考えられる。
そこで、本発明者等は、造粒物中に存在する残留水分量と、当該造粒物を用いて製造し
たキャリア芯材試料の磁気特性および電気特性との関係を検討した。当該検討結果を図4、5を用いて説明する。
図4は、横軸に造粒物中に存在する残留水分量をとり、縦軸にキャリア芯材試料の磁気特性としてσ1000(1000Oeにおける磁化の強さ)をとったグラフである。図4に示す結果から明らかなように、横軸に造粒物中に存在する残留水分量の減少と伴に、σ1000は高くなるが、残留水分量が1000ppmを下回ると大きく上昇し、好ましいことが判明した。
次に、図5は、横軸に造粒物中に存在する残留水分量をとり、縦軸にキャリア芯材試料の電気特性として体積抵抗値をとったグラフである。残留水分量が1400〜3000ppmにおいて、体積抵抗値は殆ど変化しないが、1200ppmを下回ると大きく上昇し、好ましいことが判明した。
以上、キャリア芯材試料のσ1000や体積抵抗値から判断する限り、造粒物中に存在する残留水分量が1000ppm以下となることが、キャリア芯材の磁気特性、電気特性に好影響を与えることが確認できた。
以下、本発明に係るキャリア芯材の製造方法について、詳細に説明する。
1.原料
本発明に係るキャリア芯材の原料として、Feで表記されるマグネタイト、または、一般式(MFe3−x)O(但し、Mは、Mg、Mn、Ca、Ti、Cu、Zn、Sr、Niからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、0<x<3)で表記されるソフトフェライトのFe供給源としては、Feが好適に使用できる。
ソフトフェライトにおけるM元素の原料として、2価の金属であるFe、Mg、Mn、Ca、Ti、Cu、Zn、Sr、Niを上げることが出来る。そして、これら2価の金属を任意に組み合わせたものが好適に使用できる。例えば、MnであればMnCO、Mn等が使用でき、MgであればMgO、Mg(OH)、MgCOが好適に使用できる。
本発明に係るキャリア芯材の組成としては、対象となる電子写真現像装置の特性に合った磁気特性を有する物質を選択する。例えば、画像特性を考慮した場合、マグネタイトであるFeや、ソフトフェライトであるMnFe3−x等が好適に用いられる。これらの磁性物質は、十分高い磁化率と低い残留磁化とをもつためである。
本発明に係るキャリア芯材の飽和磁化は20〜90emu/gが好ましく、さらに30〜80emu/gが好ましいことから、当該観点も併せてキャリア芯材の組成を検討する。
飽和磁化が20emu/g以上あれば磁力が確保でき、磁気ブラシからのキャリア粒子の飛散が抑制され、キャリア付着が発生しない。飽和磁化が80emu/g以下であれば、磁気ブラシが柔軟性を保つため、ハキ線などが生じず、高画質な画像を得る事が出来る。
尚、本発明における飽和磁化測定は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて行った。
2.混合・攪拌工程
上述した各種の原料の配合比を、所望のマグネタイトまたはソフトフェライトの目的組成と一致するよう秤量し、混合して原料粉を得る。
当該混合の際、原料粉を媒体液中で混合撹拌することによってスラリー化する(スラリー化工程)。尚、当該スラリー化工程前、必要に応じて、原料粉へ乾式で粉砕処理を加えてもよい。原料粉と媒体液の混合比は、スラリーの固形分濃度が50〜90質量%になるようにすることが望ましい。媒体液は、水に、バインダー、分散剤等を添加したものを用
意する。バインダーとしては、例えばポリビニルアルコールが好適に使用でき、その媒体液中濃度は0.5〜2質量%程度とすればよい。分散剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム系のものが好適に使用でき、その媒体液中濃度も0.5〜2質量%程度とすればよい。その他、潤滑剤や、焼結促進剤として、リンやホウ酸等を添加しておくことも好ましい。原料粉と媒体液とを混合攪拌して得られたスラリーに対し、さらに湿式粉砕を施すことも好ましい。
3.造粒工程
上述したスラリーを、噴霧乾燥機を用いて、100℃〜300℃の雰囲気中に噴霧して乾燥させる。そして、粒子の粒径が1〜150μmの造粒粉が得られる。得られた造粒粉は、製品最終粒径を考慮して、粗粒および微粒を振動ふるいで除外して粒度調整すると良い。
4.乾燥工程
得られた造粒物を、乾燥機を用いて乾燥させる。乾燥機は、造粒物にダメージを与えないものであれば、バッチ式でも連続式でも良く、加熱方法は、オーブン式でもマイクロ波式でも良い。
上述したように、造粒物中に存在する残留水分は、焼成段階初期において、結晶が成長する際、内部の蒸気圧を上昇させ、また、初期の粒子接点の結合を遅らせるため、焼結進行の阻害要因となる。よって、焼成工程の前段階で造粒物を乾燥させて造粒物に存在する残留水分を低減させることは、焼成工程において、造粒物内部の焼結を促進させることとなり、焼結体の真密度が上がる。この結果、キャリア芯材の磁気特性、電気特性が向上する。
尚、真密度の測定はウルトラピクノメーター(ユアサアイオ二クス株式会社製)を用いた。測定原理としては、アルキメデスの原理に基づいている。置換媒体としてヘリウムなどの原子の小さいガスを用いる。これは、当該ガスが、微細孔へも浸透していくことによる。
具体的には、同一体積を持った空の試料室と比較室との間に遮断弁を設け、試料室を1
気圧まで加圧後、遮断弁を開けて比較室へガスを解放すると、試料室の圧力は1/2気圧に低下する。キャリア芯材試料を入れて試料室の体積が1/2になった場合は、同様の操作によって得られる圧力は1/3気圧になる。圧力と体積の関係は、気体の状態方程式
PV=nRT(nRT:一定値)に従うため、圧力Pの測定からキャリア芯材試料の真の体積Vを計算することができる。
一方、造粒工程において、スプレードライヤーで造粒された造粒物中の残留水分は2000ppm〜5000ppmであった。これは、通常の乾燥条件で残留水分を2000ppm以下にしようとすると、スプレードライヤーの乾燥条件が過酷となり、噴霧途中にスラリーが詰まるなどの問題があるためである。一方、残留水分が5000ppm以上になると、造粒物同士が癒着して1粒子毎に独立しなくなるからである。
本発明者等は、造粒物中の2000ppm〜5000ppmの残留水分に注目し、乾燥機を用いて当該残留水分を1000ppm以下に低減することとした。
造粒物を、150℃に設定したオーブン式の乾燥機により処理した際の、残留水分の時間推移を図3に示す。図3は、横軸に処理時間をとり、縦軸に残留水分量をとったグラフである。図3から、造粒物中の残留水分は、20時間後に1000ppm以下となり、48時間後でもほぼ同じ値であった。尚、造粒物中の残留水分の測定はカールフィッシャー水分計(京都電子工業社製 型番:MKA−520)で測定した。尚、試料の質量は5gとし、1試料あたり3回測定し、その測定値の平均値をもって水分量とした。
当該試験結果から、例えば、得られた造粒物をオーブン式の乾燥機に装填し、温度10
0℃〜200℃で、24時間〜48時間乾燥させることが良いことが判明した。
5.焼成工程
得られた乾燥後の造粒物を1000℃〜1300℃の温度で1〜24時間保持して本焼
成を行い本発明に係るキャリア芯材を得る。この時の焼成雰囲気としては、酸素濃度が0.1容量%未満、好ましくは0.01%以下の不活性ガス中の雰囲気下で行うのが良い。この焼成雰囲気の酸素濃度が0.1%容量未満であれば、還元時にヘマタイトの相が残存せず、目的とする磁化が得られるからである。またフェライトの組成によっては、乾燥工程と焼成工程との間に、適宜、仮焼成工程を設けても良い。仮焼成工程の雰囲気としては、上記本焼成の条件でも良いし、加熱温度が500℃以下であれば空気中でも良い。
6.分級工程
得られたキャリア芯材に対し、篩などにより分級処理を行う。
当該分級処理を行うにあたり、本発明のキャリア芯材の平均粒径を、20〜100μmとするのが好ましく、さらに好ましくは30〜60μmである。平均粒径が20μm以上あれば、キャリア1粒子当たりの磁化が確保でき、感光体上へのキャリア付着が抑制される。また、平均粒径が100μm以下であれば、キャリアの自重が過大ならず、キャリア飛散が抑制される。
尚、本発明に係るキャリア芯材の平均粒径の測定は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model:9320−X100)を用いて測定した。
7.キャリアの製造
こうして得られたキャリア芯材は、それ自体でキャリアとして使用する事も出来る。さらに、当該キャリア芯材に樹脂被覆を行ってキャリアとすることも好ましい。
得られたキャリア芯材に対して樹脂被覆を施しキャリア粉を製造する。被覆樹脂としてはシリコーン系樹脂が好ましい。樹脂被覆を行うには、前記樹脂を溶剤に希釈してキャリア芯材の表面に被覆するのが一般的である。溶剤としては、前記樹脂が可溶なものであればよい。前記樹脂として有機溶媒に可溶なものを用いるのであればトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール等を溶剤に使用することができる。所定樹脂が水溶性樹脂またはエマルジョンタイプの樹脂であれば、水を用いることができる。
溶剤で希釈した所定樹脂をキャリア芯材の表面へ被覆するには、浸漬法、スプレー法、刷毛塗り法等が適用できる。所定樹脂が被覆されたキャリア芯材を乾燥させるとキャリア粉を得ることができる。このような湿式法による樹脂被覆の他、キャリア芯材表面に所定樹脂粉体を付着させる乾式法によってもキャリア粉を得ることができる。
上記、湿式法、乾式法のいずれにしても、キャリア芯材の表面に被覆した所定樹脂を焼きつけるのが好ましい。例えば固定式または流動式の電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉などを使用して、外部加熱方式または内部加熱方式で、キャリア芯材の表面に被覆された所定樹脂を焼きつけることが好ましい。マイクロウェーブによる焼きつけも可能である。焼きつけ温度は所定樹脂によって異なるが、融点以上またはガラス転移点以上の温度が必要である。所定樹脂が、熱硬化性樹脂または縮合型樹脂である場合は、硬化が十分に進む温度にまで上げる必要がある。
8.電子写真現像剤の製造
得られたキャリア粉と、所定のトナーとを混合することで、2成分系の電子写真現像剤を得ることが出来る。
以下に、本発明に係る電子写真用キャリア芯材の製造方法について、実施例を参照しながら具体的に説明する。
〔実施例1〕
原料として、平均粒子径D50が約1μmに微粉砕されたFe粉を用意した。
一方、水に、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を1.0質量%、湿潤剤としてサンノプコ(株)製「SNウェット980」を0.05質量%、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.02質量%添加した液(媒体液)を準備した。
前記秤量されたFe原料粉を、媒体液に投入して攪拌することにより、これら投入した物質の濃度が76質量%となるスラリーを得た。このスラリーを湿式ボールミルにて湿式粉砕し、しばらく攪拌した後、スプレードライヤーにて該スラリーを約180℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜200μmの造粒物を得た。
当該造粒物から、網目61μmの篩網を用いて粗粒を分離し、網目25μmの篩網を用いて微粒を分離した。
粗粉と微粉とを除去した造粒物の残留水分は3000ppmであった。
当該粗粉と微粉とを除去した造粒物を、オーブン式の乾燥機に設置し、温度150℃、24時間乾燥させた。乾燥後の残留水分は、試料サンプルを3点分取して各水分値を測定し、当該測定値を平均したところ950ppmであった。
乾燥した造粒物を、後窒素雰囲気下1000℃で5hr焼成し、フェライト化させて焼成物を得た。この焼成物をハンマーミルで解粒し、風力分級機を用いて微粉を除去し、網目54μmの振動ふるいで粒度調整し、実施例1に係るキャリア芯材を得た。
この実施例1に係るキャリア芯材の粉体特性、磁気特性、電気特性を表1に示し、当該キャリア芯材の断面の1000倍のSEM写真像を図1に示す。
〔実施例2〕
粗粉と微粉とを除去した造粒物を、オーブン式の乾燥機に設置し、温度150℃、48時間乾燥させた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係るキャリア芯材を得た。
実施例2において、乾燥後の残留水分は平均値で930ppmであった。
実施例2に係るキャリア芯材の粉体特性、磁気特性、電気特性を表1に示す。
〔実施例3〕
粗粉と微粉とを除去した造粒物を、オーブン式の乾燥機に設置し、温度200℃、24時間乾燥させた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3に係るキャリア芯材を得た。
実施例3において、乾燥後の残留水分は平均値で964ppmであった。
実施例3に係るキャリア芯材の粉体特性、磁気特性、電気特性を表1に示す。
〔実施例4〕
粗粉と微粉とを除去した造粒物を、オーブン式の乾燥機に設置し、温度200℃、48時間乾燥させた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4に係るキャリア芯材を得た。
実施例4において、乾燥後の残留水分は平均値で905ppmであった。
実施例4に係るキャリア芯材の粉体特性、磁気特性、電気特性を表1に示す。
〔比較例1〕
粗粉と微粉とを除去した造粒物を乾燥しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係るキャリア芯材を得た。
比較例1に係るキャリア芯材の粉体特性、磁気特性、電気特性を表1に示し、当該キャ
リア芯材の断面の1000倍のSEM写真像を図2に示す。
[実施例1〜4および比較例1のまとめ]
焼結工程の前に乾燥工程を設け、造粒物の乾燥処理を行うことで造粒物の残留水分を低減させることは、キャリア芯材内部の結晶成長を促進させた。このことは、図1に示す実施例1に係るキャリア芯材断面のSEM写真像と、図2に示す比較例1に係るキャリア芯材断面のSEM写真像とを、比較すれば明らかである。実施例1に係るキャリア芯材断面は、結晶が大きく成長し且つ空隙が少ないのに対し、比較例1に係るキャリア芯材断面では、結晶の成長が小さく空隙も多い。
この結果、真密度を比較してみると、実施例1に係るキャリアは、比較例1に係るキャリア芯材より2%高いことが判明した。真密度が高いことで、機械的強度が高くなり、実機において比較例1のキャリア芯材よりも耐久性が良好である効果がある。
さらに、磁気特性において実施例1に係るキャリア芯材のσ1000が70.8emu/gを示すのに対し、比較例1では65.5emu/gに留まる。そして、保磁力においてもて実施例1に係るキャリア芯材のHcが10Oeを示すのに対し、比較例1では15.5Oeに留まる。さらに電気特性として体積抵抗値をみると、実施例1に係るキャリア芯材が1.2E+07Ω・cmを示すのに対し、比較例1では5.2E+05Ω・cmに留まる。電気特性が良くなることによって、実機においては、キャリアの電荷保持の安定性が良好となり、画像を安定化させる効果がある。
以上の測定結果において、実施例1に係るキャリア芯材は、磁気特性においても電気特性においても、比較例1に係るキャリア芯材を凌ぐ特性を有することが判明した。
さらに、乾燥温度を200℃まで上げ、乾燥時間を48時間まで延長した場合の影響を調査するため、実施例2から4までのキャリア芯材を製造した。
いずれも、乾燥後の造粒物中の残留水分は1000ppm以下となった。
そして、キャリア芯材の磁気特性においても電気特性においても、比較例1に係るキャリア芯材を凌ぐ特性を有することが判明した。
以上、焼結工程の前に乾燥工程を設け、造粒物の乾燥処理をおこなうことで、当該造粒物中に存在する残留水分を、1000ppm以下に低減させることで、キャリア芯材の真密度が上がり、磁気特性、電気特性の双方に優れるキャリア芯材得ることが出来た。
そして、当該構成を有するキャリア芯材を用いることで、粒径を小さくしても、キャリア1粒子あたりの磁化が低下せず、電子写真現像の際、キャリアの飛散が起き難いキャリアおよび電子写真現像剤を得ることが出来る。
実施例1に係るキャリア芯材断面の1000倍のSEM写真像である。 比較例1に係るキャリア芯材断面の1000倍のSEM写真像である。 乾燥処理時間と残留水分量との関係を示すグラフである。 造粒物中の残留水分量とキャリア芯材のσ1000との関係を示すグラフである。 造粒物中の残留水分量とキャリア芯材の体積抵抗値との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 所定の原料粉を含むスラリーを造粒物とした後、焼結する前に、当該造粒物を温度100℃〜200℃で24時間〜48時間乾燥させて、当該造粒物の残留水分を低減する乾燥処理を行い、当該造粒物の残留水分を1000ppm以下とすることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法により製造され、真密度が5.0g/cm以上であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
  3. 請求項2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材が、樹脂被覆されたものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
  4. 請求項2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材、または、請求項3に記載の電子写真現像剤用キャリアと、
    所定のトナーとを、含むことを特徴とする電子写真現像剤。
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