JP5129079B2 - キャリア芯材とその製造方法および電子写真現像剤用磁性キャリア - Google Patents
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法を見出し、この芯剤を現像剤用キャリア化して用いることにより、安定した画像特性を得ることが可能であることを確認し、本発明を完成させた。
40℃での抵抗率と23℃での抵抗率の比を抵抗変化率としたときに、前記抵抗変化率が0.1以上10以下であるキャリア芯材を提供する。
静置式での絶縁破壊電圧が1000V以上である請求項1に記載されたキャリア芯材を提供する。
印加磁界1000Oeでの磁化が60emu/g以上である請求項1または2の何れかの請求項に記載されたキャリア芯材を提供する。
主成分がMnxFe(3-x)O4(ただし、0.5<x≦1.0)である請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材を提供する。
粒子表面から略1μmまでの表層部分飽和磁化が、前記表層部分以外の飽和磁化に対して0.5以上0.95以下の範囲である請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材を提供する。
請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材が樹脂被覆された電子写真現像剤用キャリアを提供する。
金属鉄またはその化合物と金属マンガンまたはその化合物から造粒物を得る工程と、
前記造粒物を焼成し焼成物を得る工程と、
前記焼成物を酸性溶媒中で処理する工程を含む
キャリア芯材の製造方法を提供する。
前記焼成物を得る工程は、900℃から1500℃の温度中で前記造粒物を焼成する工程である請求項7に記載されたキャリア芯材の製造方法を提供する。
前記酸性溶媒中で処理する工程は、硫酸中で行う請求項7または8の何れかの請求項に記載されたキャリア芯材の製造方法を提供する。
ャリア芯材の製造方法、3.電子写真現像剤用キャリア、4.電子写真現像剤、の順で説明する。
本発明に関するキャリア芯材となる物質は、主成分が一般式:MnxFe3-xO4(但し0<x≦1)で表されるマンガンフェライトであることが望ましい。これは、上記の物質が高い磁化率を持つともに、良好な絶縁性を有しているからである。
本発明に関するキャリア芯材となる物質は、印加磁界1000Oe下における磁化:σ1000が、σ1000≧60emu/gを満たすことが好ましい。芯材の磁化率が上記の範囲を満たすとき、現像機内で磁気ブラシの保持力が強く、キャリア付着現象を生じにくくなるためである。
本発明に関するキャリア芯材となる物質は、静置式での絶縁破壊電圧が1000V以上であることが望ましい。尚、本発明で言う静置式での絶縁破壊電圧とは、後述する測定方法により粉体抵抗の電圧依存性を測定し、抵抗率が1.0×106Ω・cm以下となる電圧の最小値を指す。
本発明に関するキャリア芯材は、使用温度による絶縁性すなわち抵抗率の変化が小さいことを特徴とする。具体的には、後に示す抵抗変化率が23℃から33℃より好ましくは23℃から40℃の間で0.1以上10以下、望ましくは、0.5以上2.0以下であることが好ましい。一般的な複写機の使用環境は常温下を23℃とし、高温環境を33℃前後と想定しているが、使用状況によっては複写機内部において現像剤が33℃以上の環境にさらされる可能性もある。このため、40℃程度までは抵抗の変化率が1.0に近いことが好ましい。
本発明に関するキャリア芯材は、平均粒径10μm以上80μm以下であることが好ましい。キャリア芯材の粒径が10μmより小さいとキャリア粒子ひとつひとつの磁化が小さくなるためキャリア付着現象を抑制することが困難となり好ましくない。また粒径が80μmよりも大きいと現像した際に所望の画質特性を得にくく、好ましくない。
本発明に関するキャリア芯材は、その表面の物性を表面処理により変質させることを特徴としている。この表面処理は、粒子表面を硫酸などの酸化性の酸で処理することにより、芯材の絶縁性を向上させるとともに、抵抗率の温度変化を抑制することを目的としたものである。
(研磨前の芯材の平均粒径)-(研磨後の芯材の平均粒径)=1.0μm
となるよう3000〜8000rpm間で回転数を調整し、3分間研磨処理を行い、キャ
リア芯材を表層約1μmの領域とその内部の領域とに分離した。研磨処理を行ったキャリア芯材を、目開き20μmの篩により分級処理を行った。
次に、キャリア芯材の製造方法について、原料、造粒工程、焼成工程、表面処理工程の順に説明する。
本発明に係る磁性キャリア芯材の組成は、金属鉄またはその化合物と、金属マンガンまたはその化合物であればよいが、常温常圧下で安定に存在し、酸化物であるFe2O3およびMn2O3またはMn3O4などが一般的に用いられる。
〔スラリー化〕
上記の原料を所定の混合比となるよう秤量した後、これらを媒体液中で混合撹拌することによってスラリー化する(スラリー化工程)。当該スラリー化前に、必要に応じて、原料混合物へ乾式で粉砕処理を加えてもよい。原料粉と媒体液の混合比は、スラリーの固形分濃度が50〜90質量%になるようにすることが望ましい。媒体液は、水にバインダー、分散剤等を添加したものを用意する。混合攪拌して得られたスラリーに対し、さらに湿式粉砕を施すことが好ましい。
造粒は、上記スラリーを噴霧乾燥機に導入することによって好適に実施できる。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃程度とすればよい。これにより、概ね、粒子径が10〜200μmの造粒粉を得ることができる(造粒工程)。得られた造粒粉は製品最終粒径を考慮し、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去することにより粒度調整することが望ましい。
次に、造粒粉を加熱した炉に投入して焼成することにより、目的とするマンガンフェライトを生成させる。焼成温度に関しては、十分な生産性を確保できる反応速度を得るため900℃以上の温度が必要である。また、1500℃以上の温度では、粒子同士の過剰焼結が起こり、粉体の形態で焼成物を得ることが難しくなる。当該観点からは、焼成温度は900〜1500℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは1000℃〜1300℃であれば、焼成後の粒子が十分な強度を持つため良好な形態である。
次に上記の粒子を酸化性の酸溶液で表面処理を行う。
%以上好ましくは70%以上のものを使うのがよい。希硫酸、希硝酸など濃度の薄い酸を使用すると、芯材が酸溶液中に溶け出してしまうため、好ましくない。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材をシリコーン系樹脂等で被覆し、帯電性の付与および耐久性を向上させることで電子写真現像剤用キャリアを得ることが出来る。当該シリコーン系樹脂等の被覆方法は、公知の手法により行えば良い。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアと適宜なトナーとを混合することで、本発明に係る電子写真現像剤を得ることが出来る。
キャリア芯材の粒度分布は、マイクロトラック(日機装(株)製、Model:9320−X100)を用いて測定した。得られた粒度分布より、体積率50%までの積算粒径D50を算出した。尚、本発明においてはこのD50の値を芯材の平均粒径として記述した。
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化率の測定を行い、印加磁界1000Oeにおける磁化σ1000(emu/g)を得た。なお、本明細書中では、印加磁界を10kOeとしたときの磁化を飽和磁化とする。
キャリア芯材の、絶縁性の評価は以下のようにして測定を行なった。電極として表面を電解研磨した板厚2mmの真鍮板2枚を電極間距離が2mmとなるように配置し、2枚の電極板の間の空隙に被測定粉体200mgを装入した。そして、それぞれの電極板の背後に断面積240mm2の磁石を配置し、電極間に被測定粉体のブリッジを形成させた。この状態で電極間に10V〜1500Vの直流電圧を印加し、被測定粉体を流れる電流値を4端子法により測定した。その電流値と、電極間距離2mmおよび断面積240mm2から、被測定粉体の抵抗率を算出した。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)7.2kg、Mn3O4(平均粒径:0.9μm)2.8kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=0.85となるよう算出したものである。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)7.7kg、Mn3O4(平均粒径:0.9μm)2.3kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=0.70となるよう算出したものである。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)7.1kg、Mn3O4(平均粒径:0.9μm)2.9kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=0.90となるよう算出したものである。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)6.8kg、Mn3O4(平均粒径:0.9μm)3.2kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=1.00となるよう算出したものである。
実施例2において、焼成後の硫酸処理時間を5時間とする以外は同様にして実施し、実施例5に関するキャリア芯剤を得た。実施例5に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)10kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=0.00となるよう算出したものである。
Fe2O3(平均粒径:0.6μm)8.4kg、Mn3O4(平均粒径:0.9μm)1.6kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径φ2mm)により粉砕処理し、Fe2O3とMn3O4との混合スラリーを得た。原料の混合比は、前述のフェライトの組成式MnxFe3-xO4において、x=0.50となるよう算出したものである。
篩により除去した。
実施例2において、焼成後の硫酸処理を行わないこと意外は同様にして実施し、比較例3に関するキャリア芯材を得た。
表1に、実施例1〜5および比較例1〜3にかかるキャリア芯材の特性を示す。尚、表中のσs(s)/σs(i)とは、研磨処理如により分離した、芯材の表面部分の飽和磁化と、表面除去後の芯材の飽和磁化との比である。また、表中の抵抗変化率とは印加電圧250Vにおける、温度40℃と23℃での抵抗率の比である。具体的には(1)式で求めた。
はじめに、図1に実施例1の、そして図2に比較例1に係るキャリア芯材の、各温度における静的抵抗の電圧依存性を示す。それぞれ横軸は印加電圧(V)であり、縦軸は抵抗率(Ω・cm)である。また点線グラフは23℃環境下での測定結果であり、実線は40℃環境下での測定結果である。図2を参照して、比較例1のキャリア芯材の抵抗率は、測定温度によって大きく変化していることがわかる。特に最も差の大きい印加電圧250Vにおいて、抵抗の変化率が100以上と、2オーダーもの変化があることが確かめられた。
圧依存性を外挿し、抵抗率が1.0×106(Ω・cm)以下となる電圧、すなわち絶縁破壊電圧は1900Vであった。
次に、実施例2に関するキャリア芯材に対して、処理時間を延長したもの及び表面処理を行わなかったものである実施例5及び比較例3について述べる。
するには好ましくない。
縁性の向上がみられるが、抵抗率の温度変化は2.11と実用においては問題ないもののやや大きな値を示した。
次に、実施例1から5および比較例1から3に関するキャリア芯材をコート処理し、キャリア化を行った。コート処理方法は以下のとおりである。
画像特性については、デジタル反転現像方式を採用する40枚機を評価機として使用し、当該電子写真現像剤を用いてキャリア飛び、画像濃度、カブリ濃度、細線再現性、画質について、初期画像を評価した。このうち、「画質」は全体的な評価を示したものである。評価基準は、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は使用可能なレベル、×は使用不可なレベルとした。ここで○評価が、現在実用化されている高性能な電子写真現像剤と同等レベルであり、○評価以上を合格と判定した。これらの結果を表2に示す。
Claims (9)
- 40℃での抵抗率と23℃での抵抗率の比を抵抗変化率としたときに、前記抵抗変化率が0.1以上10以下であるキャリア芯材。
- 静置式での絶縁破壊電圧が1000V以上である請求項1に記載されたキャリア芯材。
- 印加磁界1000Oeでの磁化が60emu/g以上である請求項1または2の何れかの請求項に記載されたキャリア芯材。
- 主成分がMnxFe(3-x)O4(ただし、0.5<x≦1.0)である請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材。
- 粒子表面から略1μmまでの表層部分飽和磁化が、前記表層部分以外の飽和磁化に対して0.5以上0.95以下の範囲である請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材。
- 請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載されたキャリア芯材が樹脂被覆された電子写真現像剤用キャリア。
- 金属鉄またはその化合物と金属マンガンまたはその化合物から造粒物を得る工程と、
前記造粒物を焼成し焼成物を得る工程と、
前記焼成物を酸性溶媒中で処理する工程を含む
キャリア芯材の製造方法。 - 前記焼成物を得る工程は、900℃から1500℃の温度中で前記造粒物を焼成する工程である請求項7に記載されたキャリア芯材の製造方法。
- 前記酸性溶媒中で処理する工程は、硫酸中で行う請求項7または8の何れかの請求項に記載されたキャリア芯材の製造方法。
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