JP6154993B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電子写真現像剤用キャリア芯材(以下、単に「キャリア芯材」ということもある)の製造方法、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア(以下、単に「キャリア」ということもある)、および電子写真現像剤(以下、単に「現像剤」ということもある)に関するものであり、特に、複写機やMFP(Multifunctional Printer)等に用いられる電子写真現像剤に備えられる電子写真現像剤用キャリア芯材、その製造方法、電子写真現像剤に備えられる電子写真現像剤用キャリア、および電子写真現像剤に関するものである。
複写機やMFP等においては、電子写真における乾式の現像方式として、トナーのみを現像剤の成分とする一成分系現像剤と、トナーおよびキャリアを現像剤の成分とする二成分系現像剤とがある。いずれの現像方式においても、所定の電荷量に帯電させたトナーを感光体に供給する。そして、感光体上に形成された静電潜像をトナーによって可視化し、これを用紙に転写する。その後、トナーによる可視画像を用紙に定着させ、所望の画像を得る。
ここで、二成分系現像剤における現像について、簡単に説明する。現像器内には、所定量のトナーおよび所定量のキャリアが収容されている。現像器には、S極とN極とが周方向に交互に複数設けられた回転可能なマグネットローラおよびトナーとキャリアとを現像器内で攪拌混合する攪拌ローラが備えられている。磁性粉から構成されるキャリアは、マグネットローラによって担持される。このマグネットローラの磁力により、キャリア粒子による直鎖状の磁気ブラシが形成される。キャリア粒子の表面には、攪拌による摩擦帯電により複数のトナー粒子が付着している。マグネットローラの回転により、この磁気ブラシを感光体に当てるようにして、感光体の表面にトナーを供給する。二成分系現像剤においては、このようにして現像を行う。
トナーについては、用紙への定着により現像器内のトナーが順次消費されていくため、現像器に取り付けられたトナーホッパーから、消費された量に相当する新しいトナーが、現像器内に随時供給される。一方、キャリアについては、現像による消費がなく、寿命に達するまでそのまま用いられる。二成分系現像剤の構成材料であるキャリアには、攪拌による摩擦帯電により効率的にトナーを帯電させるトナー帯電性能や絶縁性、感光体にトナーを適切に搬送して供給するトナー搬送能力等、種々の機能が求められる。例えば、トナーの帯電能力向上の観点から、キャリアについては、その電気抵抗値(以下、単に抵抗値ということもある)が適切であること等が要求される。
昨今においては、上記したキャリアは、そのコア、すなわち、核となる部分を構成するキャリア芯材と、このキャリア芯材の表面を被覆するようにして設けられるコーティング樹脂とから構成されている。キャリア芯材に関する技術については、特開平3−229271号公報(特許文献1)に開示されている。
特開平3−229271号公報
キャリア芯材については、上記したように、コーティング樹脂が被覆される。このコーティング樹脂によりキャリアとしての主な特性、例えば、トナー帯電性能等が付与される。ここで、コーティング樹脂を被覆する前のキャリア芯材自体についても、摩擦帯電により効率的にトナーを帯電させる機能、すなわち、トナー帯電性能等の高いことが求められる。
これについては、例えば、次のような場合が考えられる。所定量のキャリアと所定量のトナーとを撹拌混合して得られた現像剤について、現像剤の使用の初期においては、上記したコーティング樹脂の特性の影響で、画質や現像特性が良好に保たれる。しかし、現像剤が長期に亘って使用され、キャリアが現像器内でそのまま使用され続けると、例えば、コーティング樹脂の一部が剥がれたり、キャリアの欠けや割れにより、コーティング樹脂が被覆されていない領域がキャリア芯材の表面に露出するおそれがある。このような場合、キャリア芯材自体の特性、すなわち、キャリア芯材自体のトナー帯電性能等がそのまま画質や現像特性に反映されることになる。したがって、長期間に亘って良好な画像を得たい場合、キャリア芯材自体についても、トナー帯電性能等が高いことが求められる。
また、上記したように、キャリア芯材にコーティング樹脂が被覆されたキャリアは、現像器内において長期間使用され、長期に亘って撹拌が加えられる。このような状況下においては、現像器内における撹拌トルクの低減が求められる。撹拌トルクの軽減を図るためにキャリアとして求められる特性としては、比重が軽いこと、すなわち、いわゆる低密度のキャリアが求められる。この場合、樹脂部分については、その使用量が全体的に少なく、樹脂自体の比重が軽いものである。したがって、キャリアの低密度化を図るためには、キャリアを構成する部材であるキャリア芯材自体の低密度化を達成することが求められる。
ここで、特許文献1は、長軸を含む断面の空孔面積が10%未満であるキャリアコア粒子の表面を酸またはアルカリで腐食させることにより凹凸を作り、その表面に樹脂をコーティングしたキャリアを開示するものであるが、特許文献1に代表される従来のキャリア芯材については、長期間の使用に対して、不十分な場合があった。具体的には、例えば、現像剤としての使用の初期においては、ある程度の性能が出るものの、長期間の使用に伴い、キャリア芯材の割れや欠けが発生する割合が比較的多くなったり、コーティング樹脂の一部が剥がれる割合が比較的多くなったりして、形成する画像の画質等が劣化し、問題が生じる場合があった。また、比重自体としても、不十分なものであった。
この発明の目的は、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる電子写真現像剤用キャリア芯材を製造することができる電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法を提供することである。
この発明の他の目的は、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる電子写真現像剤用キャリア芯材を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる電子写真現像剤用キャリアを提供することである。
この発明のさらに他の目的は、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる電子写真現像剤を提供することである。
本願発明者らは、まず、良好な磁気的特性を確保すべく、マンガン、および鉄を主成分とすることを考えた。マンガン、および鉄を主成分とするキャリア芯材は、磁気的特性が良好である。さらには、電気的特性についても、基本的に良好である。
そして本願発明者らは、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、キャリア芯材の低密度化を図るべく、鋭意検討した。そして、以下の構成を見出すに至った。すなわち、まず、電気的特性および磁気的特性を良好に保つには、焼成工程において、原材料の十分な焼結反応の促進が不可欠であると考えた。そして、低密度化を図る観点から、十分に焼結反応を促進させた焼結粉のうちの結晶粒界の部分に着目した。この部分については、十分に焼結反応を促進させた焼結粉の結晶部分と比較して焼結度合いがやや不十分であり、キャリア芯材の電気的特性および磁気的特性を良好に保つのに寄与する程度が低いと考えた。そこで、本願発明者らは、この部分、具体的には、焼結反応により形成された結晶と結晶との間の粒界部分を積極的に除去し、その他の部分、具体的には、十分に焼結反応を促進させた結晶部分を積極的に残し、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、キャリア芯材自体の密度の低減を図るべく、本願発明の構成に至ったものである。
すなわち、この発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行う造粒工程と、造粒工程により造粒した造粒物を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼成する焼成工程と、焼成工程を行った後に、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去する除去工程とを備える。
このような電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法によると、得られたキャリア芯材について、マンガン、および鉄をコア組成として含み、焼成工程において焼結温度を1050℃〜1300℃として十分な焼結反応の促進を図っているため、磁気的特性が良好であると共に、電気的特性も良好である。そして、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去しているため、低密度化を図ることができる。この場合、十分な焼結反応の促進を図って形成された焼結された結晶を積極的に残し、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を積極的に除去しているため、得られたキャリア芯材について、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、低密度化を図ることができる。すなわち、電気的特性および磁気的特性を損ねることなく、効率的に低密度化を図ることができる。
ここで、製造するキャリア芯材について、焼結温度を低温、すなわち、700℃〜1050℃程度として、焼結反応を十分に促進させない状態とし、得られたキャリア芯材の表面に凹凸を形成して、低密度化を図る方法がある。すなわち、いわゆる多孔質キャリア芯材を得る手法である。しかし、このような低温焼結による方法によると、焼結反応が十分に促進されていないため、焼結粉における磁気的特性や電気的特性が不十分なものとなってしまう。具体的には、キャリア芯材の帯電性が低かったり、残留磁化の値が高かったりすることになる。また、見掛け密度(AD)の値が高い等、十分な低密度化が図れていない場合もある。すなわち、昨今要求されるキャリア芯材の基本的性能として、不十分なものとなってしまう。このような基本的性能を備えないキャリア芯材では、昨今の高速化、長寿命化が求められる複写機やプリンター等に搭載される現像剤を構成するキャリアとして、不十分なものとなってしまう。また、このような低温での焼結反応では、焼結反応が一応進行するが、いわゆる多孔質形状、サイズ、容積の制御が非常に困難となるものである。また、焼結反応時における温度ムラが多く、結果として粒子間における結晶の成長のばらつきが大きいものとなってしまう。このような状況は、生産性の観点からも好ましくないものである。
本願発明により得られたキャリア芯材によると、焼結温度を1050℃〜1300℃として高温での十分な焼結反応の促進を図っており、ほぼ一様に焼結反応を促進することができ、結晶の成長のばらつきの程度を非常に小さくすることができる。すなわち、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、低密度化を図ったキャリア芯材の生産性を良好にすることができる。換言すれば、本願発明に係るキャリア芯材の製造方法については、特性の良好なキャリア芯材を得る生産性の観点からも優れたものである。そして、キャリア芯材に対して、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、低密度化を図り、このようなキャリア芯材に樹脂をコーティングしたキャリアを備える現像剤について、現像器内における撹拌のストレスの軽減を図ると共に、長期間の使用によりコーティング樹脂の一部が剥がれたり、割れや欠けが生じた場合でも、キャリア芯材自体の良好な電気的特性および磁気的特性により良好な画質等を保ち、長寿命化を達成するものである。
また、除去工程は、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を、化学的に溶解させて除去する工程であるよう構成してもよい。こうすることにより、粒子状の焼結粉の表面に対して、ほぼ一様に粒界部分の除去を行うことができ、適切かつ効率的な除去を行うことができる。
また、除去工程は、焼結粉を、4.8mol/l(リットル)以上11.0mol/l以下の濃度であって35℃以上とした塩酸に、2時間以上20時間以内の時間範囲で浸漬する工程であるよう構成してもよい。除去工程において用いられる塩酸について、温度や濃度、浸漬時間について、除去の程度とのある程度の相関関係を有する。そして、温度や濃度、浸漬時間を調整することにより、除去の程度、すなわち、密度の調整を行うことができ、所望の密度のキャリア芯材を比較的容易に得ることができる。例えば、コーティング樹脂との結着性や使用するコーティング樹脂の量に応じて、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、密度を調整することができ、非常に有効である。
また、この発明の他の局面においては、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行い、得られた造粒粉を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼成し、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去して製造される。
また、この発明のさらに他の局面においては、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、帯電量の値が20μC/g以上であって、かつ、見掛け密度の値が2.1g/cm以下である。
また、この発明のさらに他の局面においては、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、電子写真現像剤用キャリア芯材の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材の粒子の中心を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、細孔径の上限値の最大値が2.3μm以上であり、細孔深さの上限値の最大値が7.6μm以上である。
また、この発明のさらに他の局面においては、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、電子写真現像剤用キャリア芯材の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材の粒子の中心を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、焼結された部分の領域の面積の割合が、電子写真現像剤用キャリア芯材の粒子の中心を中心とし、電子写真現像剤用キャリア芯材の粒子の外径面を直径とする円の面積の83.0%以下である。
これらのようなキャリア芯材は、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる。
この発明のさらに他の局面においては、電子写真現像剤用キャリアは、電子写真の現像剤に用いられる電子写真現像剤用キャリアであって、上記したいずれかの電子写真現像剤用キャリア芯材と、電子写真現像剤用キャリア芯材の表面を被覆する樹脂とを備える。
このような電子写真現像剤用キャリアは、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる。
この発明のさらに他の局面においては、電子写真現像剤は、電子写真の現像に用いられる電子写真用現像剤であって、上記した電子写真現像剤用キャリアと、電子写真現像剤用キャリアとの摩擦帯電により電子写真における帯電が可能なトナーとを備える。
このような電子写真現像剤は、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる。
この発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法によると、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる電子写真現像剤用キャリア芯材を製造することができる。
また、この発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる。
また、この発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる。
また、この発明に係る電子写真現像剤は、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる。
実施例1のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図1に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 図2に示すキャリア芯材の断面において、結晶が存在している領域と空隙が存在している領域とを線で分けた模式図である。 この発明の一実施形態に係るキャリア芯材の製造方法のうち、代表的な工程を示すフローチャートである。 実施例2のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図5に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 実施例3のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図7に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 実施例4のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図9に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 実施例5のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図11に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 実施例6のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図13に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例1のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図15に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例2のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図17に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例3のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図19に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例4のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図21に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例5のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図23に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。 比較例6のキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。 図25に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材の外観を示す電子顕微鏡写真である。なお、図1は、後述する実施例1に係るキャリア芯材を示すものである。図2は、図1に示すキャリア芯材の断面を示す電子顕微鏡写真である。図2は、球形状であるキャリア芯材のほぼ中心を通る平面で切断した場合に相当する。なお、図1は、キャリア芯材の外観を3000倍に拡大した状態を示すものであり、図2は、キャリア芯材の断面を2700倍に拡大した状態を示すものである。なお、後述する図5〜図26に示す電子顕微鏡写真においては、電子顕微鏡写真中に倍率を示しているか、または後述している。また、理解の容易の観点から、図3において、図2に示すキャリア芯材の断面において、結晶が存在している領域と空隙が存在している領域とを線で分けた模式図を示す。なお、図1〜図3に図示するキャリア芯材としては、キャリア芯材の粒子そのものを指すものである。図2において、粒子状に見えるものの内部について、黒色領域で示される部分が、いわゆるキャリア芯材中の空隙を表す。
図1〜図3を参照して、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材11については、その外形形状が、略球形状である。この発明の一実施形態に係るキャリア芯材11の粒径は、約35μmである。また、このようなキャリア芯材11の粒子が集まったキャリア芯材の群は、適当な粒度分布を有している。上記した粒径は、体積平均粒径を意味する。この粒径および粒度分布については、要求される現像剤の特性や製造工程における歩留まり等により任意に設定される。キャリア芯材11には、後述する焼成工程で主に形成される微小の凹凸形状が形成されている。
キャリア芯材11については、その内部に空隙12を有する。この空隙12については、後述するキャリア芯材11の製造工程において焼結により得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去して形成されたものである。すなわち、この空隙12については、主として焼結された結晶13の間に位置するものである。ここでいう空隙12については、キャリア芯材11の粒子の表面14から粒子の相当程度の内部に至って形成される領域を主として示すものであり、例えば、焼結された結晶13の表面に形成される微小の凹凸を主として示すものではない。なお、焼結された結晶13は、図3中のハッチングされた領域で示す。
ここで、キャリア芯材11の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材11の粒子の中心15を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、焼結された結晶13の領域の面積の割合が、キャリア芯材11の粒子の中心15を中心とし、キャリア芯材11の粒子の外径面16を直径とする円の面積の83.0%以上となるよう構成されている。なお、外径面については、図3中の点線で示している。
なお、図示は省略するが、この発明の一実施形態に係るキャリアについても、キャリア芯材11と同様に、その外形形状が、略球形状である。キャリアは、キャリア芯材11の表面に薄く樹脂をコーティング、すなわち被覆したものであり、その粒径についても、キャリア芯材11とほとんど変化は無い。キャリアの表面については、キャリア芯材11と異なり、樹脂でほぼ完全に被覆されている。
この発明の一実施形態に係る電子写真用現像剤は、上記したキャリアと、トナーとから構成されている。トナーの外形形状についても、略球形状である。トナーは、スチレンアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂を主成分とするものであり、所定量の顔料やワックス等が配合されている。このようなトナーは、例えば、粉砕法や重合法によって製造される。トナーの粒径は、例えば、キャリアの粒径の7分の1程度の約5μm程度のものが使用される。また、トナーとキャリアの配合比についても、要求される現像剤の特性等に応じて、任意に設定される。このような現像剤は、所定量のキャリアとトナーとを適当な混合器で混合することにより製造される。
次に、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材の製造方法について説明する。図4は、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材の製造方法のうち、代表的な工程を示すフローチャートである。以下、図4に沿って、この発明に係るキャリア芯材の製造方法について説明する。
まず、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を準備する。この際、使用する原料は、仮焼した原料を用いてもよい。仮焼の条件としては、例えば、大気の雰囲気下で、温度を800〜1100℃とした1〜10時間の加熱が挙げられる。
準備した原料を、要求される特性に応じて、適当な配合比で配合し、これを混合する。この発明の一実施形態に係るキャリア芯材を構成する鉄原料については、金属鉄またはその酸化物であればよい。具体的には、常温常圧下で安定に存在するFeやFe、Feなどが好適に用いられる。また、マンガン原料については、金属マンガンまたはその酸化物であればよい。具体的には、常温常圧下で安定に存在する金属Mn、MnO、Mn、Mn、MnCOが好適に使用される。なお、上記原料(鉄原料、マンガン原料)をそれぞれ、若しくは目的の組成になるように混合した原料を仮焼して粉砕し原料として用いても良い。また、上記した鉄原料やマンガン原料については、極微量ながらマグネシウム等も不可避不純物として含有されている。
次に、混合した原料のスラリー化を行う。すなわち、これらの原料を、キャリア芯材の狙いとする組成に合わせて秤量し、混合してスラリー原料とする。
この発明に係るキャリア芯材を製造する際の製造工程においては、後述する焼成工程において、還元反応を進めるため、上述したスラリー原料へ、さらに還元剤を添加してもよい。還元剤としては、カーボン粉末やポリカルボン酸系有機物、ポリアクリル酸系有機物、マレイン酸、酢酸、ポリビニルアルコール(PVA(polyvinyl alcohol))系有機物、及びそれらの混合物が好適に用いられる。
上述したスラリー原料に水を加え混合攪拌して、固形分濃度を40重量%以上、好ましくは50重量%以上とする。スラリー原料の固形分濃度が50重量%以上であれば、造粒ペレットの強度を保つことができるので好ましい。
そして、スラリー化した原料について、造粒を行う(図4(A))。すなわち、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料の総量に対して0.10〜1.00重量%の割合で含有させた還元剤と共に混合して造粒を行う。上記混合攪拌して得られたスラリーの造粒は、噴霧乾燥機を用いて行う。なお、スラリーに対し、造粒前に、さらに湿式粉砕を施すことも好ましい。
噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃程度とすればよい。これにより、概ね、粒子径が10〜200μmの造粒粉を得ることができる。得られた造粒粉は製品の最終粒径を考慮し、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去し、この時点で粒度調整する。すなわち、分級を行う。この分級工程は、第一の分級工程となる(図4(B))。
その後、造粒した造粒物について、焼成を行う(図4(C))。具体的には、得られた造粒粉を、焼成温度として1050℃〜1300℃程度に加熱した炉に投入し、0.5〜10時間保持して焼成し、目的とする焼成物を生成させる。このとき、焼成炉内の酸素濃度は、具体的には、100ppm〜50000ppmとなるよう導入ガスの酸素濃度を調整した窒素雰囲気の下、フロー状態下で焼成を行う。
焼成を行った後、室温レベルまで温度を低下させて得られた焼結物については、さらにこの段階で粒度調整をすることが望ましい。例えば、焼結物をハンマーミル等で粗解粒する。すなわち、焼結を行った粒状物について、解粒を行う(図4(D))。その後、振動ふるいなどで分級を行う。すなわち、解粒した粒状物について、分級を行う。この分級工程は、第二の分級工程となる(図4(E))。こうすることにより、所望の粒径を持ったキャリア芯材の粒子を得ることができる。
次に、分級した粒状物について、酸化を行う(図4(F))。すなわち、この段階で得られたキャリア芯材の粒子表面を熱処理(酸化処理)する。そして、粒子の絶縁破壊電圧を上げ、電気抵抗値を適切な電気抵抗値とする。こうすることにより、電荷のリークによるキャリア飛散を防ぐことができる。なお、この酸化工程については、キャリア芯材に求められる電気抵抗の値等に応じて行わなくともよい。すなわち、必要に応じて、この酸化工程を省略することもできる。
酸化については、具体的には、酸素濃度10〜100%の雰囲気下において、200〜700℃で0.1〜24時間保持する。より好ましくは、250〜600℃で0.5〜20時間、さらに好ましくは、300〜550℃で1時間〜12時間である。
その後、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分の除去を行う(図4(G))。この工程が、焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去する除去工程となる。この除去工程としては、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を、化学的に溶解させて除去する工程であるよう構成してもよい。こうすることにより、粒子状の焼結粉の表面に対して、ほぼ一様に粒界部分の除去を行うことができ、適切かつ効率的な除去を行うことができる。
さらに、除去工程は、焼結粉を、4.8mol/l(リットル)以上11.0mol/l以下の濃度であって35℃以上とした塩酸に、2時間以上20時間以内の時間範囲で浸漬する工程であるよう構成してもよい。こうすることにより、より確実に、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去することができる。
ここで、除去工程において用いられる塩酸について、温度や濃度、浸漬時間について、除去の程度とのある程度の相関関係を有する。そして、温度や濃度、浸漬時間を調整することにより、除去の程度、すなわち、密度の調整を行うことができ、所望の密度のキャリア芯材を比較的容易に得ることができる。例えば、コーティング樹脂との結着性や使用するコーティング樹脂の量に応じて、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、密度を調整することができ、非常に有効である。
具体的な除去工程の一例について説明すると、ビーカーを準備し、4.8mol/l(リットル)以上11.0mol/l以下の濃度であり、温度を35℃以上とした塩酸を準備し、ビーカーに入れる。その後、焼結粉をこのビーカー内に投入する。そして、上記した時間の範囲内において、適宜撹拌を行い、35℃以下とならないように、例えば、ビーカーの下部側から熱を加え続け、除去工程を行う。その後、ビーカー内から処理を終えた焼成粉を取り出し、水洗、および乾燥を行う。
このようにして、この発明の一実施形態に係るキャリア芯材を製造する。すなわち、この発明の一実施形態に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行う造粒工程と、造粒工程により造粒した造粒物を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼結する焼成工程と、焼成工程を行った後に、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去する除去工程とを備える。
このような電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法によると、得られたキャリア芯材について、マンガン、および鉄をコア組成として含み、焼成工程において、焼結温度を1050℃〜1300℃として十分な焼結反応の促進を図っているため、磁気的特性が良好であると共に、電気的特性も良好である。そして、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去しているため、低密度化を図ることができる。この場合、十分な焼結反応の促進を図って形成された焼結された結晶を積極的に残し、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去しているため、得られたキャリア芯材について、電気的特性および磁気的特性を良好に保ちながら、低密度化を図ることができる。すなわち、電気的特性および磁気的特性を損ねることなく、効率的な低密度化を図ることができる。
また、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行い、得られた造粒粉を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼成し、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を除去して製造される。
上記したような構成のキャリア芯材は、マンガン、および鉄を主成分とするものであり、磁気的特性および電気的特性が良好である。また、低密度化を図ることができる。
なお、このようにして得られたキャリア芯材に対して、樹脂により被覆を行う(図4(H))。具体的には、得られたこの発明に係るキャリア芯材をシリコーン系樹脂やアクリル樹脂等で被覆する。こうすることにより、帯電性の付与および耐久性の向上を図ることで電子写真現像剤用キャリアを得ることができる。シリコーン系樹脂やアクリル樹脂等の被覆方法は、公知の手法により行うことができる。すなわち、この発明の一実施形態に係る電子写真現像剤用キャリアは、電子写真の現像剤に用いられる電子写真現像剤用キャリアであって、上記した電子写真現像剤用キャリア芯材と、電子写真現像剤用キャリア芯材の表面を被覆する樹脂とを備える。
なお、このようなキャリア芯材については、空隙内に取り込まれる樹脂の量が多くなる。しかし、キャリア芯材において、十分な焼結反応を行っている結晶が残っているため、樹脂の量の増大に基づく帯電性の低下を生じさせる程度は非常に少ないものとなる。
次に、このようにして得られたキャリアとトナーとを所定量ずつ混合する(図4(I))。具体的には、この発明に係る電子写真現像剤用キャリアと、適宜な公知のトナーとを混合する。このようにして、この発明に係る電子写真現像剤を得ることができる。混合は、例えば、ボールミル等、任意の混合器を用いる。すなわち、この発明の一実施形態に係る電子写真現像剤は、上記した電子写真現像剤用キャリアと、電子写真現像剤用キャリアとの摩擦帯電により電子写真における帯電が可能なトナーとを備える。
(実施例1)
原料としてのFe(平均粒径0.6μm)を10.75kg(67.3mol)、Mn(平均粒径2.0μm)を4.25kg(19.0mol)とを水5.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を90g、還元剤としてカーボンブラックを45g、SiO原料としてコロイダルシリカ(固形分濃度50%)を30g(0.25mol)添加して混合物とした。このときの固形分濃度を測定したところ、75重量%であった。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜200μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から、網目54μmの篩網を用いて粗粒を分離し、網目33μmの篩網を用いて微粒を分離した。この造粒粉を、酸素濃度が8000〜12000ppmに調整された窒素雰囲気の電気炉に投入し、1240℃で3時間焼成した。得られた焼結粉を解粒後、振動ふるいを用いて分級し、平均粒径35μmのフェライト粒子を得た。このフェライト粒子を100mlの塩酸(9.6mol/l)中に60g投入し、90℃で適宜撹拌しながら、12時間浸漬させた。その後、水洗、乾燥し、粒界部分に存在する成分を除去した実施例1に係るキャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1、表2、および表3に示す。ここで、物質的特性については、細孔径(上下限、平均)(μm)、細孔深さ(上下限、平均)(μm)、見掛け密度(AD)(g/cm)、タップ密度(g/cm)、細孔容積(cm/g)を示しており、電気的特性については、帯電量(μC/g)を示している。各物性の測定等については、後述する。以下についても同様である。
(実施例2)
塩酸への浸漬時間を5時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図5に示し、図5に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図6に示す。
(実施例3)
塩酸への浸漬時間を2時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図7に示し、図7に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図8に示す。
(実施例4)
塩酸の温度を35℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図9に示し、図9に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図10に示す。
(実施例5)
塩酸の温度を50℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図11に示し、図11に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図12に示す。
(実施例6)
塩酸の濃度を4.8mol/lとした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図13に示し、図13に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図14に示す。
(比較例1)
塩酸の濃度を2.4mol/lとした以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図15に示し、図15に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図16に示す。
(比較例2)
塩酸への浸漬時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図17に示し、図17に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図18に示す。
(比較例3)
塩酸の温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図19に示し、図19に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図20に示す。なお、図19は、キャリア芯材の外観を3000倍に拡大した状態を示すものである。
(比較例4)
原料としてのFe(平均粒径0.6μm)を15.0kg(93.9mol)、CuOを2.6kg(32.6mol)、ZnOを2.2kg(26.9mol)、Mnを0.15kg(1.1mol)とを水4.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を160g添加して混合物とした。このときの固形分濃度を測定したところ、82重量%であった。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜200μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から、網目103μmの篩網を用いて粗粒を分離し、網目67μmの篩網を用いて微粒を分離した。この造粒粉を、大気雰囲気の電気炉に投入し、1170℃で3時間焼成した。得られた焼結粉を解粒後、振動ふるいを用いて分級し、平均粒径80μmのフェライト粒子を得た。このフェライト粒子を100mlの塩酸(2.4mol/l)中に60g投入し、10℃で適宜撹拌しながら、0.5時間浸漬させた。その後、水洗、乾燥し、比較例4に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図21に示し、図21に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図22に示す。なお、この比較例4については、上記した特許文献1の実施例1に相当するものである。また、図21は、キャリア芯材の外観を1500倍に拡大した状態を示すものであり、図22は、キャリア芯材の断面を1500倍に拡大した状態を示すものである。
(比較例5)
塩酸での処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で、比較例5に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図23に示し、図23に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図24に示す。図23は、キャリア芯材の外観を2700倍に拡大した状態を示すものであり、図24は、キャリア芯材の断面を2700倍に拡大した状態を示すものである。なお、この比較例5については、本願発明に係るキャリア芯材の製造方法において、除去工程、具体的には、塩酸への浸漬を行っていないものに相当する。なお、比較例5、および後述する比較例6について、表1中の「−」は、塩酸による除去処理を行っていないことを意味する。
(比較例6)
酸素濃度が300〜500ppmに調整された窒素雰囲気下の電気炉に投入し、焼成温度を875℃とした以外は、比較例5と同様の方法で、比較例6に係るキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物質的特性、電気的特性、実機性能を表1〜表3に示す。また、得られたキャリア芯材の外観の電子顕微鏡写真を図25に示し、図25に示すキャリア芯材の断面の電子顕微鏡写真を図26に示す。図25は、キャリア芯材の外観を2500倍に拡大した状態を示すものであり、図26は、キャリア芯材の断面を2500倍に拡大した状態を示すものである。なお、この比較例6については、多孔質キャリア芯材を得る従来の低温焼結の方法によるものに相当する。また、この比較例6についても、本願発明に係るキャリア芯材の製造方法において、除去工程、具体的には、塩酸への浸漬を行っていないものに相当する。
ここで、細孔径および細孔深さの測定については、クロスセクションポリッシャー:SM−09010(JEOL) 電圧:6kV、4時間で粒子をカットし、得られた断面について、SEM(電子顕微鏡):JSM−6510LA型 加速電圧:5kV、スポットサイズ:45で測定し、2点間距離から細孔径および細孔深さを測定した。細孔径および細孔深さの測定については、まず、20粒子分を測定した。そして、20粒子分のそれぞれの上限値の中で最も高い値を、その例の上限値とし、20粒子分のそれぞれの下限値の中で最も低い値を、その例の下限値とした。また、平均値については、各粒子における細孔径および細孔深さの平均値をそれぞれ求め、そして、20粒子分の平均値を平均してその例における平均値を得た。なお、表1中において、例えば、実施例1で示す細孔径の上下限の「0.3〜3.0」については、下限値として、0.3μm、上限値として、3.0μmを意味するものである。また、表1中の比較例5における細孔径および細孔深さの「−」については、細孔に該当するもの自体が見受けられなかったことを意味するものである。
見掛け密度の測定については、JIS−Z2504(2000)に準拠して測定した。
タップ密度の測定については、A.B.D粉体特性測定器(筒井理化学器械)で180回タップを行い、密度を測定した。
細孔容積の測定については、以下の通り行った。評価装置は、Quantachrome社製のPOREMASTER−60GTを使用した。具体的には、測定条件としては、Cell Stem Volume:0.5ml、Headpressure:20PSIA、水銀の表面張力:485.00erg/cm、水銀の接触角:130.00degrees、高圧測定モード:Fixed Rate、Moter Speed:1、高圧測定レンジ:20.00〜10000.00PSIとし、サンプル1.200gを秤量して0.5ml(cc)のセルに充填して測定を行った。また、10000.00PSI時の容積B(ml/g)から100PSI時の容積A(ml/g)を差し引いた値を、細孔容積とした。
表1中の帯電量は、キャリア芯材の帯電量を指す。ここで、帯電量の測定について説明する。キャリア芯材9.5g、市販のフルカラー機のトナー0.5gを100mlの栓付きガラス瓶に入れ、25℃、相対湿度50%の環境下で12時間放置して調湿する。ここで、トナーとしては、具体的には、コニカミノルタ社製のBizhub PRO1050に搭載されているブラックのトナーを用いた。調湿したキャリア芯材とトナーを振とう器で30分振とうし、混合する。ここで、振とう器については、株式会社ヤヨイ製のNEW−YS型を用い、200回/分、角度60°で行った。混合したキャリア芯材とトナーを500mg計量し、帯電量測定装置で帯電量を測定した。この実施形態においては、日本パイオテク株式会社製のSTC−1−C1型を用い、吸引圧力5.0kPa、吸引用メッシュをSUS製の795meshで行った。同一サンプルについて2回の測定を行い、これらの平均値を各コア帯電量とした。コア帯電量の算出式については、コア帯電量(μC(クーロン)/g)=実測電荷(nC)×10 −3 ×係数(1.0083×10−3)÷キャリア重量(吸引前重量(g)−吸引後重量(g))となる。
なお、面積割合についても、表1中に記載した。キャリア芯材の粒子の中心を中心とし、キャリア芯材の粒子の外径面を直径とする円の面積に対する焼結された部分の領域の面積の割合、すなわち、キャリア芯材の面積/キャリア芯材の外接円の面積については、SEM(電子顕微鏡):JSM−6510LA型 加速電圧:5kV、スポットサイズ:45で測定し、測定した画像を画像解析ソフトImage Pro Plusにて解析を行い、キャリア芯材に外接する円の面積と、空隙を除くキャリア芯材の面積を求め、その割合を算出した。なお、表1中には、「面積割合」(%)として示している。
磁気的特性、すなわち、表2中の磁気的特性を示す磁化の測定については、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて、磁化を測定した。ここで、表2中、例えば、「σ1000」とは、外部磁場1000Oe(エルステッド)である場合における磁化である。「σs」とは、飽和磁化であり、「σr」とは、残留磁化であり、「Hc」とは、保磁力である。
実機評価については、以下のように行った。まず、シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製SR2411)を、トルエンに溶解させてコーティング樹脂溶液を準備した。そして、キャリア芯材と樹脂溶液とを、それぞれ重量比でキャリア芯材:樹脂溶液=9:1の割合にて攪拌機に装填し、キャリア芯材を樹脂溶液に浸漬させながら温度を150℃〜250℃として、3時間加熱撹拌した。
このようにして製造された樹脂被覆されたキャリア芯材を、熱風循環式加熱装置に設置し、250℃で5時間加熱を行い、被覆樹脂層を硬化させて、実施例1に係る磁性キャリアを得た。
このキャリアと粒径5μm程度のトナーとを、ポットミルを用いて所定時間混合し、実施例1に係る二成分系の電子写真現像剤を得た。この二成分系の電子写真現像剤を用い、デジタル反転現像方式を採用する60枚機を評価機として使用し、各項目について、初期、100K枚の画像形成の後、200K枚の画像形成の後の評価を行った。実施例2〜6、比較例1〜6についても同様の手法で、実施例2等に係るキャリア、および実施例2等に係る電子写真現像剤を得た。なお、Kは、1000を表し、100K枚とは、100000枚を意味し、200K枚とは、200000枚を意味する。
(1)画像濃度およびカブリの評価
上記した60枚機を評価機として、二成分系の電子写真現像剤に関する画像濃度の評価を行った。具体的には、画像濃度の評価は、ベタ黒画像部の濃度を反射濃度計「TC−6D」(東京電色(株)製)を用いて10か所測定し、その平均濃度で評価した。画像濃度は、1.20以上を合格とした。
また、カブリの評価は、ベタ白画像部分の濃度を10か所測定し、この平均値から未使用の白紙について測定した濃度を差し引いた値をカブリ濃度とした。カブリ濃度は、0.006未満のものを合格とした。
(2)ホワイトスポットの評価
上記した60枚機を評価機として、二成分系の電子写真現像剤に関するキャリア飛散の評価を行った。具体的には、画像上のキャリア飛散(ホワイトスポット)のレベルを、次の4段階で評価した。結果を表3に示す。
◎:A3用紙10枚中に白斑が無いレベルである。
○:A3用紙10枚中の各1枚に1〜5個の白斑が有るレベルである。
△:A3用紙10枚中の各1枚に6〜10個の白斑が有るレベルである。
×:A3用紙10枚中の各1枚に11個以上の白斑が有るレベルである。
(3)細線再現性の評価
上記した60枚機を評価機として、二成分系の電子写真現像剤に関する細線再現性の評価を行った。具体的には、画像上の細線再現性のレベルを、次の4段階で評価した。結果を表3に示す。
評価基準については、◎(二重丸)を非常に良好なレベル、○(丸)を良好なレベル、△(三角)を使用可能なレベル、×(バツ)を使用不可能なレベルとした。ここで、○印の評価が、現在実用化されている高性能な電子写真現像剤と同等のレベルであり、○の評価以上を合格と判定した。
(4)画質の評価
上記した60枚機を評価機として、二成分系電子写真現像剤に関する画質のレベルを、次の4段階で評価した。結果を表3に示す。
◎:試験画像を非常によく再現している。
○:試験画像をほぼ再現している。
△:試験画像をほとんど再現していない。
×:試験画像を全く再現していない。
表1〜表2、図1〜図26を参照して、まず、密度の指標となる見掛け密度、およびタップ密度に着目する。実施例1〜実施例6においては、見掛け密度の値が、最大の値で2.06g/cmであり、他の実施例は、この値以下である。すなわち、少なくとも2.1g/cm以下である。これに対し、比較例1〜比較例5については、最小の値でも2.33g/cmであり、他の比較例は、この値以上である。また、タップ密度の値についても、最大の値で2.54g/cmであり、他のものは、この値以下である。これに対し、比較例1〜比較例5については、最小の値でも2.76g/cmであり、他の比較例は、この値以上である。すなわち、実施例1〜実施例6においては、低密度化を図れているものである。なお、比較例6についても、見掛け密度の値は、1.63g/cmであり、タップ密度の値は、2.06g/cmであり、実施例1〜実施例6と同等レベルで低いものである。
次に、電気的特性の指標となる帯電量の値に着目する。実施例1〜実施例6においては、帯電量が、最小で21.5μC/gであり、他の実施例は、この値以上である。すなわち、少なくとも21μC/g以上である。これに対し、比較例1〜比較例6については、最大でも18.3μC/gであり、他の比較例は、この値以下である。比較例6に至っては、8.2μC/gであり、実施例中の最低値の半分未満の値である。したがって、実施例1〜実施例6においては、良好な電気的特性を図れているものである。また、比較例6については、電気的特性の観点から、不十分なものである。
すなわち、本願発明に係るキャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含むキャリア芯材であって、帯電量の値が20μC/g以上であって、かつ、見掛け密度の値が2.1g/cm以下である。
ここで、実施例1、実施例2、実施例3について着目すると、実施例1は、塩酸への浸漬時間が12時間であり、実施例2は、塩酸への浸漬時間が5時間であり、実施例3は、塩酸への浸漬時間が2時間である。そして、見掛け密度について見てみると、実施例1は、1.60g/cmであり、実施例2は、1.76g/cmであり、実施例3は、2.05g/cmである。また、帯電量について見てみると、実施例1は、29.4μC/gであり、実施例2は、24.6μC/gであり、実施例3は、23.6μC/gである。したがって、見掛け密度の値が小さいものを所望する場合や帯電量が高いものを所望する場合には、塩酸への浸漬時間を長くすれば良い。この場合の外形形状の変化については、図1、図2、図5〜図8に示す電子顕微鏡写真で把握できるものである。ここで、実施例1〜実施例3の粒界部分の除去状態について考えてみると、まず、粒界に位置する部分が優先的に除去され、その後、浸漬時間の長さに応じて、除去された部分を中心にして、その部分から除去されていく傾向があると把握できる。すなわち、キャリア芯材の結晶において、元に粒界があった部分から遠い部分が選択的に残存すると考えらえる。
また、実施例1、実施例5、実施例4について着目すると、実施例1は、塩酸の温度が90℃であり、実施例5は、塩酸の温度が50℃であり、実施例4は、塩酸の温度が35℃である。そして、見掛け密度について見てみると、実施例1は、1.60g/cmであり、実施例5は、1.91g/cmであり、実施例3は、2.06g/cmである。また、帯電量について見てみると、実施例1は、29.4μC/gであり、実施例5は、24.4μC/gであり、実施例3は、23.4μC/gである。したがって、見掛け密度の値が小さいものを所望する場合や帯電量が高いものを所望する場合には、塩酸の温度を高くすれば良い。この場合の外形形状の変化については、図1、図2、図9〜図12に示す電子顕微鏡写真で把握できるものである。ここで、実施例1、実施例5、実施例4の粒界部分の除去状態について考えてみると、まず、粒界に位置する部分が優先的に除去され、その後、塩酸の温度の高さに応じて、除去された部分を中心にして、その部分から除去されていく傾向があると把握できる。すなわち、キャリア芯材の結晶において、元に粒界があった部分から遠い部分が選択的に残存すると考えらえる。
また、実施例1、実施例6について着目すると、実施例1は、塩酸の濃度が9.6mol/lであり、実施例6は、塩酸の濃度が4.8mol/lである。そして、見掛け密度について見てみると、実施例1は、1.60g/cmであり、実施例6は、1.90g/cmである。また、帯電量について見てみると、実施例1は、29.4μC/gであり、実施例6は、21.5μC/gである。したがって、見掛け密度の値が小さいものを所望する場合や帯電量が高いものを所望する場合には、塩酸の濃度を高くすれば良い。この場合の外形形状の変化については、図1、図2、図13、図14に示す電子顕微鏡写真で把握できるものである。ここで、実施例1、実施例6の粒界部分の除去状態について考えてみると、まず、粒界に位置する部分が優先的に除去され、その後、塩酸の濃度の高さに応じて、除去された部分を中心にして、その部分から除去されていく傾向があると把握できる。すなわち、キャリア芯材の結晶において、元に粒界があった部分から遠い部分が選択的に残存すると考えらえる。
なお、細孔容積の値については、実施例1〜実施例6においては、その値が0.025〜0.031cm/gの範囲に収まるものである。一方、比較例1〜比較例4については、0.003〜0.008cm/gの範囲内であり、非常に小さい値となっている。なお、比較例5については、その値が0cm/gであり、比較例6については、その値が0.106cm/gとなっている。実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例5の値を比較すると、実施例1〜実施例6について、粒界部分の除去が効果的に行われていることが把握できる。なお、比較例6については、その値が非常に大きいものである。
細孔径については、以下の通りである。細孔径については、上記した図3で示す断面、すなわち、キャリア芯材の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材の粒子の中心を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、図3中の矢印Dで示される寸法であり、いわゆる空隙の径を示すものである。実施例1〜実施例6においては、細孔径の上限値の最小の値は、2.3μmである。これに対し、比較例1〜比較例4、比較例6においては、細孔径の上限値の最大の値は、1.1μmであり、他の比較例の値は、この値以下である。すなわち、比較例1〜比較例4、比較例6については、細孔の径が非常に小さいものが揃っていることが把握できる。一方、細孔深さについては、以下の通りである。細孔深さについては、上記した図3で示す断面、すなわち、キャリア芯材の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材の粒子の中心を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、図3中の矢印Dで示される寸法であり、いわゆるキャリア芯材の表面からの空隙の深さを示すものである。実施例1〜実施例6においては、細孔深さの上限値の最小の値は、7.6μmである。これに対し、比較例1〜比較例4、比較例6においては、細孔深さの上限値の最大の値は、4.0μmであり、他の比較例の値は、この値以下である。すなわち、比較例1〜比較例4、比較例6については、細孔の深さが非常に浅いものばかりであることが把握できる。なお、比較例5については、細孔径および細孔深さの値がいずれも0μmであり、かつ、上記した細孔容積の値も0cm/gであることから、表面が非常に滑らかで凹凸がほとんど存在しないと考えられる。
したがって、これらのような傾向からも、実施例1〜実施例6においては、粒界を十分に除去できており、低密度と良好な電気的特性を図れていると考えられる。また、比較例1〜比較例6については、粒界が十分に除去できておらず、比較例1〜比較例5は、低密度化、および電気的特性共に不十分である。比較例6については、低温で焼結されており、そもそも結晶において十分に焼結反応が進まず、粒界がほとんど形成されておらず、結果として、低密度化は一応図れているものの、電気的特性や磁気的特性が不十分である。
すなわち、電子写真現像剤用キャリア芯材は、マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、電子写真現像剤用キャリア芯材の粒子を球状体とした場合に、キャリア芯材の粒子の中心を通る平面で切断して、その組織を観察した場合に、細孔径の上限値の最大値が2.3μm以上であり、細孔深さの上限値の最大値が7.6μm以上である。
なお、表1中の結果から、実施例1〜実施例6については、焼結された結晶の領域の面積の割合が、外接円の面積の83.0%以上となるよう構成されている。ここで、実施例1、実施例2、実施例5、および実施例6については、さらにそれらの面積割合が80%を大きく下回っているものである。また、比較例6を除き、比較例1〜比較例5については、それらの面積割合が90%以上となっているものである。
次に、磁気的特性の指標となる磁化の値に着目する。実施例1〜実施例6については、飽和磁化として最小でも82.2emu/gであり、高い値である。そして、σ1000、σ500、残留磁化、保磁力の値についても問題のないレベルである。一方、比較例6については、残留磁化の値が2.0emu/gもあり、昨今用いられるキャリア芯材の特性としては、不十分なものである。また、比較例6における保磁力の値についても同様に、不十分なものである。
なお、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6に係るキャリア芯材における抵抗値について、念のため測定したが、特に問題のないレベルである。
次に、表3を参照して、実機特性に関し、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6については、初期の評価において、画像濃度、カブリ、ホワイトスポット、細線再現性、および画質において、いずれも良好である。しかし、100K枚の画像形成の後の評価においては、実施例1〜実施例6については、ほとんどが良好な評価であるものの、比較例1〜6においては、やや劣るレベルのものが散見される。そして、200K枚の画像形成の後の評価においては、実施例1〜実施例6については、ほとんどの評価項目で良好な状態を維持している。これに対し、比較例1〜比較例6については、ほとんどの評価項目において、劣るレベルや実使用できないレベルに達してしまっている。
すなわち、本願発明に係るキャリア芯材によると、磁気的特性を良好にし、高い帯電性および低密度化を図りながら、長期間の使用においても良好な画像を得ることができる。
以上より、この発明に係るキャリア芯材の製造方法においては、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる電子写真現像剤用キャリア芯材を製造することができる。また、この発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア、および電子写真現像剤は、長期に亘る使用において良好な画像を得ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、塩酸を用いて、化学的に溶解させて除去することとしたが、振動等の物理的な処理を与え、物理化学的な除去を行うようにしてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア、および電子写真現像剤は、長期間使用される複写機等に適用される場合に、有効に利用される。
11 キャリア芯材、12 空隙、13 結晶、14 表面、15 中心、16 外径面。

Claims (1)

  1. マンガン、および鉄をコア組成として含む電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であ
    って、
    マンガンを含む原料、および鉄を含む原料を混合して造粒を行う造粒工程と、
    前記造粒工程により造粒した造粒物を1050℃〜1300℃の温度範囲内で焼成する
    焼成工程と、
    前記焼成工程を行った後に、得られた焼結粉のうち、焼結された結晶の粒界部分に存在
    する成分を除去する除去工程とを備え、
    前記除去工程は、前記焼結された結晶の粒界部分に存在する成分を、化学的に溶解させ
    て除去する工程であり、
    前記除去工程は、前記焼結粉を、4.8mol/l(リットル)以上11.0mol/
    l以下の濃度であって35℃以上とした塩酸に、2時間以上20時間以内の時間範囲で浸
    漬する工程である、電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
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