JP5152649B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材及びその製造方法、キャリア及びその製造方法並びに該キャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア芯材及びその製造方法、キャリア及びその製造方法並びに該キャリアを用いた電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用キャリア芯材及びその製造方法、キャリア及びその製造方法、並びに該キャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略する場合がある。
しかし、このようなフェライトキャリアの製造方法にあっては、種々な問題がある。具体的には、フェライト化反応により磁化を生じさせる行程である焼成工程は、一般にトンネルキルンが使用されており、原料をコウ鉢に充填して焼成するので、粒子間の影響により、形状が異形になり易く、特に小粒径のフェライト粒子になるほど顕著であり、焼成後、ブロック状になり解砕時に割れ欠けが発生し、異形粒子の混入がある。しかも、小粒径のフェライト粒子を製造する場合には、粉砕を強化しないと形状の良好なものができない。さらには、焼成時間は、昇温時間、最高温度保持時間及び降温時間を含めると12時間程度を要し、かつ焼成後にブロック状になったものを解砕しなければならず、生産安定性が良好でないといった問題がある。
また、このような焼成方法で製造したキャリアコア(芯)材は、割れ欠け粒子だけでなく、粒子が変形した異形粒子が多く存在するために、樹脂被膜を形成しても、均一な被膜を形成するのが困難である。樹脂被膜は粒子表面で窪み部分では厚くなり、凸部分では薄くなってしまう。樹脂被膜の厚みが薄い部分は、ストレスによりキャリア芯材の露出が早くなり、リーク現象や帯電量分布の広がりの原因になり、高品位の画質を長期間安定させることが困難であった。
割れ欠け防止及び異形粒子の低減を図るためには、焼成時の粒子間の凝集を防ぐことが必要であり、そのために焼成温度を低めで焼成すると焼成後の解砕ストレスも小さくなり、割れ欠け粒子及び異形粒子等の低減が可能である。
しかしながら、この場合には、粒子の表面性がポーラスになり、樹脂のしみ込み等により帯電の立ち上がりが悪くなり、また不必要のしみ込み部分の樹脂が多くなり、経済的にも劣り、品質、コストの両面で好ましくない。
このような課題を解決するため、新たなフェライトキャリアの製造方法が提案されている。例えば特許文献1(特開昭62−50839号公報)には、フェライト形成用原料として配合した金属酸化物からなる配合物をして高温の火炎雰囲気中を通過せしめ、これにより配合物を一瞬にしてフェライト化させるフェライトキャリアの製造方法が記載されている。
しかし、この製造方法においては、酸素量/燃焼ガスの比が3以下で行われており、フェライト原料によっては焼成が困難となる。また、近年のキャリアの小粒径化に対応した、例えば20〜50μm程度の小粒径であるフェライトの製造には適したものではなく、球状の均質なフェライト粒子は得られない。
また、特許文献2(国際公開2007−63933号公報)には、上記のような溶射法を用い、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素を用い、燃焼ガスと酸素の容量比を1:3.5〜6.0とした樹脂コートフェライトキャリアの製造方法が記載され、このようにして製造される樹脂コートフェライトキャリアは、キャリア芯材表面が樹脂被膜との接着強度を向上させるための細筋状のシワ模様である凹凸を備えるとされている。
この特許文献2に記載されているように、従来の溶射方法により生成される真球状の粒子の特徴は流動性は良いものの見掛け密度は重いものしか生成できない。そのため流動性が良くても攪拌ストレスが強ければトナーが現像器中で破壊されることが懸念される。
一方、特許文献3(特開平7−237923号公報)には、フェライト含有中空粒子が記載されている。この中空粒子は、焼成等の熱処理を行わずに、中空粒子を得るものであるが、数μm〜数十μmの中空粒子を得るものではない。また、その用途は、例えば一体構造を有するハニカム担体にウォッシュコートし、乾燥し、必要に応じて焼成し、二酸化炭素固定化触媒として使用できるとされており、電子現像剤用キャリア芯材に用いるものではない。
特許文献4(特開2005−29437号公報)には、フェライト中空粒子の製造方法について記載され、焼成時に消失するアクリル樹脂粒子にフェライト原料となる微粉をコーティングし、本焼成を行うことで中空フェライト粒子を得ているが中空を形成するためのアクリル樹脂が必須となる。また、通常の電気炉での焼成になるため粒子同士の焼成時における合一、融着等が懸念される。さらに、その用途として、電磁波遮蔽材料が挙げられているが、電子現像剤用キャリア芯材に用いるものではない。
特許文献5(特開2007−34249号公報)には、見掛け密度が2.0g/cm以下で、見掛け密度/真密度が一定範囲にある中空構造を有する電子写真現像剤用キャリア芯材が記載されている。この特許文献5には、仮焼時に炭酸ガス・水蒸気等を発生させることで焼成前粒子に細孔を形成させることが記載されている。また、比重の軽いシリカ粉を添加することで低比重を実現しようとしている。このように細孔を形成することで見掛け密度及び/又は真比重を制御する方法では球状で平滑な表面を得ることはきわめて難しい。また、比重の軽い添加剤を用いることで見掛け密度や真比重を制御は可能ではあるが添加剤が粒子の内部及び表面に存在するため、粒子の特性に影響を与えることが懸念される。特に特許文献5に記載の方法で製造された粒子の対負帯電トナーに対する帯電性は含有するシリカが負帯電性のため極めて悪いものとなる。
上述の特許文献3〜5は、いずれも中空の粒子を開示したものであるが、予め中空を形成するための物質を添加しておく必要があり、この物質が焼成条件によっては残りやすいという問題があった。また、各々の中空の粒子には、上述したような問題があった。
特開昭62−50839号公報 国際公開2007−63933号公報 特開平7−237923号公報 特開2005−29437号公報 特開2007−34249号公報
電子写真現像剤用キャリア芯材には、真球状で、強度に優れていることが望まれている。また、真球状を保ったまま真密度及び/又は見掛け密度を制御できるキャリア芯材が要望され、このようなキャリア芯材の表面に樹脂を被覆し、キャリアとし、トナーと共に現像剤とした場合には、現像器におけるトナーとの攪拌において、トナーに対するストレスを軽減することができる。
従って、本発明の目的は、真球状で、強度に優れ、かつ真密度及び/又は見掛け密度を制御できる電子写真現像剤用キャリア芯材及びその製造方法、キャリア及びその製造方法、並びに該キャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記目的は、中空の粒子を一定範囲以上有するキャリア芯材によって達成され、このようなキャリア芯材は特定の鉄成分原料を用いた溶射法により製造できることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、鉄の含有量が36〜78重量%及びTiの含有量が1.18〜12重量%の中空の粒子を3〜100個数%含有し、見掛け密度が2.07〜2.6g/cmであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、平均粒径が20〜150μmであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、真比重が2.5〜4.75g/cmであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、磁化が5〜95Am/kg(emu/g)であることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、芯材の外径(平均粒径)をd、芯材内部に存在する中空部の外径をdとした時に0.10<d/d<0.90であることが望ましい。
本発明は、キャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる電子写真現像剤用キャリアを提供するものである。
本発明は、キャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷凝固する電子現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、上記キャリア芯材原料が、少なくとも鉄成分原料及びTi成分原料からなり、該鉄成分原料がFeOOHであることを特徴とする電子現像剤用キャリア芯材の製造方法を提供するものである。
本発明に係る電子現像剤用キャリア芯材の製造方法において、上記造粒物の見掛け密度が0.4〜1.0g/cmであることが望ましい。
本発明に係る電子現像剤用キャリア芯材の製造方法において、上記造粒物中のバインダーの含有量が固形分換算で0.8〜3.5重量%であることが望ましい。
本発明は、上記電子現像剤用キャリア芯材の製造方法によって得られキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子現像剤用キャリアの製造方法を提供するものである。
本発明は、上記キャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアは、真球状で、強度に優れ、かつ真密度及び/又は見掛け密度を制御できる。また、本発明の製造方法によって、上記キャリア芯材及びキャリアを好適に生産できる。そして、上記キャリアを用いた電子写真現像剤は現像器におけるトナーとの攪拌において、トナーに対するストレスを軽減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、鉄の含有量が36〜78重量%及びTiの含有量が1.18〜12重量%の中空の粒子を3〜100個数%、好ましくは3〜60個数%、より好ましくは3〜40個数%含有する。
鉄の含有量が36重量%よりも小さい場合には鉄が主成分ではなくなることを意味している。最も鉄を含有する鉄酸化物はFeOとなるので78重量%よりも大きくなることはない。中空の粒子が3個数%よりも小さい場合には、中空の粒子を含まない通常の芯材粒子と変わらず、本発明の効果が得られない。中空の粒子の割合は、芯材粒子の断面をSEMにより写真を倍率200倍にて撮影し、1視野に含まれる中空粒子/1視野に含まれる全粒子数として求められる。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、上記のようにTi1.18〜12重量%を含有する。Tiが12重量%よりも多い場合はTiOがFeTiO及び/又はFeTiOとならずTiOのみが粒子表面及び/又は粒子内部に存在するため負帯電性トナーに対して帯電特性を悪化させる原因となるため良くない。Tiの含有量が1.18重量%未満では、Tiの含有効果が得られない。また、Fe及びTiと後述するMgの含有量は、下記により測定される。
(Fe、Mg及びTiの含有量)
キャリア芯材0.2gを秤量し、純水60mlに1モル/lの塩酸20ml及び1モル/lの硝酸20mlを加えたものを加熱し、キャリア芯材を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mg及びTiの含有量を測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、見掛け密度が2.07〜2.6g/cmであることが望ましく、2.07〜2.55g/cmであることがより望ましく、2.07〜2.50g/cmであることが最も望ましい。見掛け密度が2.07g/cmよりも小さい場合にはたとえ中空粒子が生成できても粒子の強度が劣るため電子写真用キャリア芯材として使用できない。2.6g/cmよりも大きい場合には通常の芯材粒子と変わらない。見掛け密度は下記により測定される。
(見掛け密度)
見掛け密度の測定は、JIS−Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)に従って測定される。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、平均粒径が20〜150μmであることが望ましく、20〜100μmであることがより望ましく、25〜100μmであることが最も望ましい。平均粒径が20μmよりも小さい場合には本発明の製造方法で生成することはきわめて難しい。平均粒径が150μmよりも大きい粒子を電子写真用キャリア芯材として使用したキャリアは、画質が悪くなるので好ましくない。平均粒径は下記により測定される。
(平均粒径)
平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定した。装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。屈折率は2.42とし、25±5℃、湿度55±15%の環境下で測定を行った。ここで言う平均粒径(メジアン径)とは、体積分布モード、ふるい下表示での累積50%粒子径である。キャリアサンプルの分散は、分散液として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、超音波工業社製ウルトラソニックホモジナイザー(UH−3C)にて1分間の超音波処理とした。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、真比重が2.5〜4.75g/cmであることが望ましく、3.5〜4.75g/cmであることがより望ましく、3.8〜4.75g/cmであることが最も望ましい。真比重が4.75g/cmより大きいものは通常の芯材粒子と変わらないので、本発明の効果が得られない。真比重が2.5g/cmよりも小さい場合には、たとえ中空粒子が生成できても粒子の強度が劣るため電子写真用キャリア芯材として使用できない。真比重は、下記により測定される。
(真比重)
真比重は、JIS R9301−2−1に準拠して、ピクノメーターを用いて測定した。ここで、溶媒としてメタノールを用い、温度25℃にて測定を行った。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材において、比重は粒子内部に存在する中空の大きさで決めることができ、粒子表面の凹凸の影響は極めて少ないだけでなく常に平滑な粒子表面を持つことができる。さらに、細孔が多数存在する粒子はそのままでは機械的な強度が極めて弱く、例えば電子写真現像剤用キャリア芯材として使用するためには樹脂を大量に流し込む(充填)等の処理が必須となるが、本発明に係る中空粒子においては卵と同様に外側が硬い殻(シェル)となっており、強度的にも強い構造をとることができる。
また、焼成条件次第では内部の中空部と粒子外側を粒子の強度を落とさず、また、粒子表面の凹凸があまり無い状態で粒子内部に存在する中空部と粒子の外側を細孔でつなぐこともできる。そのため真比重を通常のフェライト粒子と同様に保ったままで見掛け密度を制御することもできる。中空部と粒子外側がつながっていても表面付近の細孔を樹脂等で塞ぐことで粒子の見掛け密度だけでなく真比重を制御することもできる。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、5K・1000/4π・A/mにおける磁化が5〜95Am/kg(emu/g)であることが望ましい。鉄が主成分となり、マグネタイトを超えることはないので、磁化が95Am/kgを超えることはない。また、磁化が5Am/kg(emu/g)よりも小さい場合は十分に熱が粒子に伝わっていない可能性があり、電子写真用途で使用するには強度が不足する粒子となっていることを意味しているので好ましくない。磁化は、下記により測定される。
(磁化)
磁化は、振動試料型磁気測定装置(型式:VSM−C7−10A(東英工業社製))を用いた。測定試料は、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて上記装置にセットした。測定は、印加磁場を加え、最大5K・1000/4π・A/m(5KOe)まで掃引した。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製した。このカーブのデータより磁化を求めた。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、Mg12重量%以下を含有することが望ましい。Mgが12重量%よりも多い場合はMgがフェライトとして取り込まれないためMgOとして粒子表面及び/又は粒子内部に残り、空気中の水分及び炭酸ガスと反応しMg(OH)やMgCOとなり、環境依存性が悪くなる。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、芯材の外径をd、芯材内部に存在する中空部の外径をdとした時に0.1<d/d<0.9であることが望ましく、0.1<d/d<0.8であることがより望ましく、0.1<d/d<0.65であることが最も望ましい。d/dが0.10以下の場合は、中空部が小さく通常の芯材粒子と変わらない。d/dが0.90以上の場合は、たとえ中空粒子が生成できても粒子の強度が劣るため電子写真現像剤用キャリア芯材として使用できない。これらd及びdは、粒子断面のSEM写真の測定による。なお、粒子断面は必ずしも芯材粒子の中心部(最大径)の部分が観察できるものではなく、中心部からずれたところを観察する可能性があるので注意が必要である。さらに、中空部は必ずしも芯材粒子の中心部に生成されるとは限らず、中心部からずれて観察されること及び/又は中空部が2個以上の複数個生成している場合にも注意が必要である。具体的には、下記によって測定される。
(芯材の外径d及び中空部の外径d
粒子断面についてはエポキシ系樹脂にキャリア芯材を包埋させたのち、樹脂を硬化させて樹脂中にキャリア芯材が分散したままの状態で固定するようにした後、回転研磨機で上記キャリア芯材を包埋させた樹脂組成物を研磨することでキャリア芯材断面をSEMにて写真撮影するための試料を作製した。作製した撮影用試料はSEM(日本電子社製JSM−6060A)にて適度な倍率にてサンプリングする粒子が200〜300個になるように複数の視野を撮影し、得られた画像は日本電子社製画像ビューアーソフトウエア(SmileView)の測長モードで芯材粒子の外径(最大径)及び芯材内部に中空部がある粒子については中空部の外径(最大径)を測定し、それぞれの平均を芯材粒子の外径(最大径)d及び中空部の外径(最大径)dとした。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の形状係数SF−1は、100〜120である。溶射法を使っている場合に形状係数SF−1が120を超えることはない。この形状係数SF−1は、下記によって測定される。
(形状係数SF−1)
日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は20kVとし、キャリアSEMを450倍視野にて、粒子が重ならないように分散させて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、Area(面積)及びフェレ径(最大)を求め、下記式より算出し得られた値である。キャリアの形状が球形に近いほど100に近い値となる。形状指数SF−1は、1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をそのキャリアの形状指数SF−1とした。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の比表面積は、0.065〜0.65m/gであることが望ましく、0.08〜0.6m/gであることがより望ましく、0.1〜0.6m/gであることが最も望ましい。比表面積が0.065m/g未満では、粒子表面における凹凸がほとんどない状態を意味しており樹脂被覆を行った際の樹脂のアンカー効果が得られにくく、現像剤として使用した場合に被覆した樹脂がはがれやすくなる可能性があり帯電特性や抵抗が変化する原因となるため良くない。0.65m/gを超えると、粒子内部の中空部が1つ又は複数の細孔で粒子の外部とつながることを意味し、樹脂被覆する際に被覆樹脂が粒子内部の中空部に含浸し所望の被覆量で粒子表面を被覆できなくなる可能性がある。この比表面積は、下記によって測定される。
(比表面積)
比表面積は、島津製作所社製比表面積測定装置GEMINI2360を用いて測定した。測定試料を測定用セルに約10〜15g入れ、精密天秤で正確に秤量し、秤量し終えたら、装置付帯のガスポートにて200℃で60分間真空吸引熱処理を行った。次いで、測定ポートに試料をセットし、測定を開始した。測定は10点法で行い、測定終了時に試料の重量を入力すると、BET比表面積が自動的に算出される。
測定用セル:球形外形1.9cm(3/4インチ)、長さ3.8cm(1−1/2インチ)、セル長さ15.5(6.1インチ)、容積12.0cm、サンプル容量約6.00cm
環境:温度;10〜30℃、湿度;相対湿度で20〜80% 結露なし
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面が酸化処理されていることが望ましい。この酸化処理によって形成される酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記キャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアは、樹脂被膜量が、キャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被膜量が0.01重量%未満ではキャリア表面に均一な被膜層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被膜形成樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。
また、キャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被膜形成樹脂中に導電性剤を添加することができる。導電性剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被膜形成樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被膜形成樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被膜形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、キャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷凝固し、キャリア芯材を得る。
ここでキャリア芯材原料は、鉄成分原料、Mg成分原料及びTi成分原料からなる。本発明の製造方法では、鉄成分原料としてFeOOHを用いることが必要である。FeOOHは、体積変化が大きいため、所望の中空粒子が得られる。これに対して、Fe、Feでは体積変化がFeOOHに比べて小さいため中空の粒子が得られない可能性が高い。
キャリア芯材原料を用いて造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。
適度な中空の粒子を得るためには、上記造粒物の見掛け密度は0.4〜1.0g/cmであることが望ましい。見掛け密度が0.4g/cmよりも小さい場合には中空の部分が大きくなりすぎる可能性が有り、粒子が壊れやすくなる可能性がある。1.0g/cmよりも大きい場合には十分な中空の部分が形成できず中空の粒子が得られない可能性がある。この見掛け密度は、上記した方法によって測定される。
中空粒子が生成可能になるには焼成における体積変化の大きい原料を使用し、焼成時に粒子を膨張させ、焼成後まで中空状態を維持できる程度の炭酸ガス及び/又は水蒸気等のガスを発生させる必要がある。ここで言う体積変化の大きい原料とは原料粒子そのものが焼成することで収縮する度合いが大きいもの及び/又は焼成時に結晶構造が大きく変化することで収縮することを意味している。この面からキャリア芯材用原料の鉄原料としてはFeOOH(ゲーサイト及び/又はレピッドクロサイト)が最適である。
キャリア原料と共に用いられるバインダーの含有量は、上記造粒物中に固形分換算で0.8〜3.5重量%であることが望ましい。このような量のバインダーを用いることにより、中空の粒子が得られる。バインダーの含有量が固形分換算で0.8重量%未満では、溶射時に中空部を形成し、維持するためのガスが十分発生しないため中空の粒子は得られ難く、3.5重量%を超えると、溶射時に中空部を形成し、維持するためのガスが過剰となり中空部が大きくなりすぎて粒子が破壊されるので中空粒子が得られにくくなる。ここに用いられるバインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が用いられる。
造粒物の調製方法の一例を挙げると、原材料を適量秤量した後、水を加えて粉砕しスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。造粒物の粒径は、得られるキャリアの粒径を考慮すると20〜50μm程度が好ましい。また、他の例としては、原材料を適量秤量した後、混合し、乾式粉砕を行い、各原材料を粉砕分散させ、その混合物をグラニュレーターで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。
このようにして調製された造粒物を大気中で溶射する。溶射には、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である。可燃性ガス燃焼炎の酸素の割合が燃焼ガスに対して3.5未満では、溶融が充分ではなく、酸素の割合が燃焼ガスに対して6.0を超えると、フェライト化が困難となる。例えば燃焼ガス10Nm/hrに対して酸素35〜60Nm/hrの割合で用いられる。
上記溶射に用いられる燃焼ガスとしては、プロパンガス、プロピレンガス、アセチレンガス等が用いられるが、特にプロパンガスが好適に用いられる。また、造粒物搬送ガスは、窒素、酸素又は空気が用いられる。造粒物流速は、20〜60m/secが好ましい。
ここにおいて、溶射に用いられるバーナーのフレーム温度を1500〜3000℃、フレーム通過時間を10秒以内とすることが望ましい。
粒子の中空状態を維持するためには焼成時の粒子表面に発生する表面張力につりあうかあるいは粒子を収縮させない程度の力が必要であるが、粒子内部にガスの発生源は限られているため、焼成は短時間で終了させる必要があり、焼成方法としては溶射が最適である。
発生するガスの種類としては炭酸ガス及び/又は水蒸気が設備及び作業者への影響がないので最適であり、炭酸ガスの発生源としては原料中又は/及びバインダー等の添加剤に含まれる炭酸ガス及び水分が挙げられる。そのため原料としては各種炭酸塩、含水酸化物及び又は水酸化物が最適である。添加剤としてはバインダー等を使用することが好ましい。
ガスの発生量が少ない場合は十分は膨張力がなく、表面張力が勝るので中空の粒子は生成できない。ガスの発生量が多すぎる場合には粒子が破裂してしまい、目標としている粒子よりも微粒の中空でない粒子しか生成できなくなってしまう。
このようにして溶射して得られた粒子は、大気中又は水中に投入され、急冷凝固される。
その後、回収し、乾燥、分級を行いキャリア芯材を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
このようにして製造された電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面に細孔は存在するものの通常の焼成温度を下げて細孔を多数生成した粒子とは異なり、比表面積の増加が最小限に抑えられるため環境依存性を最小限にとどめることもできる。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜700℃で熱処理を行う。
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、上記キャリア芯材の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。
UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真用現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとからなる。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色剤)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素微粒子、アクリル微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15%に設定することが好ましい。3%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
上記のように混合された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
キャリア芯材原料としてFeOOH及びTiO をそれぞれ2モル及び1モルのモル比になるように秤量して用い、固形分50%となるように水とバインダー成分と分散剤を加え、ビーズミルで2時間粉砕後、スプレードライヤーにて造粒した。このとき、バインダーとしてPVAを使用し、全固形分の1.0重量%となるように10%水溶液のPVAを添加した。得られた造粒物を40kg/hrの供給速度でプロパン5Nm/hr、酸素25Nm/hrが供給されるフレームを通過させて本焼成物を得た。得られた焼成物を、分級、磁力選鉱を行い平均粒径38.23μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。なお、フレームへの造粒物の供給は窒素ガスを用いた気流輸送で行い、窒素ガス気流の供給速度は11.5Nm/hrとした。
キャリア芯材原料としてFeOOH、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ16.5モル、3.5モル及び2.5モルのモル比になるように秤量した以外は、実施例1と同様にして平均粒径38.45μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
キャリア芯材原料としてFeOOH、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ14.5モル、3.5モル及び1.5モルのモル比になるように秤量した以外は、実施例1と同様にして平均粒径38.11μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
キャリア芯材原料としてFeOOH、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ8.7モル、2モル及び0.5モルのモル比になるように秤量した以外は、実施例1と同様にして平均粒径37.68μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
キャリア芯材原料としてFeOOH、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ6.7モル、1モル及び0.1モルのモル比になるように秤量した以外は、実施例1と同様にして平均粒径37.31μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
キャリア芯材原料としてMg成分原料をMg(OH)からMgCOに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径39.13μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
溶射条件のプロパン及び酸素の供給量をそれぞれ9.5Nm/hr、47.5Nm/hrに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径35.01μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
溶射条件のプロパン及び酸素の供給量をそれぞれ7Nm/hr、35Nm/hrに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径37.89μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
溶射条件のプロパン及び酸素の供給量をそれぞれ6Nm/hr、30Nm/hrに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径35.74μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
溶射条件の粉体供給量を30kg/hrに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径34.22μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
造粒物の平均粒径を79.88μmに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径97.51μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
造粒物の平均粒径を29.65μmに変えた以外は、実施例と同様にして平均粒径28.22μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
比較例
(比較例1)
キャリア芯材原料としてFe成分原料をFeOOHからFeに変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径33.22μmの中空の粒子を含有しないキャリア芯材を得た。
(比較例2)
キャリア芯材原料としてFe成分原料をFeOOHからFeに変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径35.34μmの中空の粒子を含有しないキャリア芯材を得た。
(比較例3)
バインダー量を0.1重量%に変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径9.71μmの中空の粒子を含有しないキャリア芯材を得た。
(比較例4)
バインダー量を5.0重量%に変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径3.41μmの中空の粒子を含有しないキャリア芯材を得た。
(比較例5)
溶射条件の粉体供給量を100kg/hrに変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径43.21μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
(比較例6)
溶射条件の粉体供給量を5kg/hrに変えた以外は、実施例1と同様にして平均粒径31.02μmの中空の粒子を含有するキャリア芯材を得た。
実施例1〜12及び比較例1〜6の製造条件(仕込みモル数、Fe及びMgの形態、バインダー量、造粒物の見掛け密度及び平均粒径、溶射条件)を表1に示す。また、実施例1〜12及び比較例1〜6により得られたキャリア芯材の化学分析結果を表2に示すと共に、各種特性値(真比重、見掛け密度、BET比表面積、平均粒径、芯材の外径d、中空部の外径d、中空部の外径dと芯材の外径dの比、中空粒子の割合、SF−1及び磁化)を表3に示す。また、実施例により得られたキャリア芯材粒子の断面SEM写真を図1に示す。
表3に示されるように、実施例1〜12においては中空粒子を含有する芯材粒子を得ることが出来たが、鉄源をFeOOHでないものに変えた比較例1及び2では中空粒子を含有する芯材粒子は得られなかった。比較例3はバインダー量が少なく、溶射工程において中空粒子を維持するだけの炭酸ガス及び水蒸気が得られず中空粒子を含有する芯材粒子を得られなかった。比較例4はバインダー量が多く、溶射工程においての炭酸ガス及び水蒸気の生成量が多く中空部が膨張しすぎて破裂し、その破片が球状化し、中空粒子を含有する芯材粒子は得られなかった。比較例5は原料の供給速度が速く、溶射工程で十分は熱を与えることが出来なかったため中空粒子は生成したもののその含有率が少ないだけでなく、原料のバインダー成分だけが除去された粒子が大量に混入し、キャリア芯材として使えないものとなった。比較例6は溶射工程で過剰に熱を与えられ炭酸ガスや水蒸気が一度に粒子の中空部から抜けることで中空粒子は生成したもののその含有率が少なく従来の中空粒子を含有しない芯材粒子と変わらない結果となった。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアは、真球状で、強度に優れ、かつ真密度及び/又は見掛け密度を制御できる。また、本発明の製造方法によって、上記キャリア芯材及びキャリアを好適に生産できる。そして、上記キャリアを用いた電子写真現像剤は現像器におけるトナーとの攪拌において、トナーに対するストレスを軽減することができる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。
図1は、実施例により得られたキャリア芯材粒子の断面SEM写真である。

Claims (11)

  1. 鉄の含有量が36〜78重量%及びTiの含有量が1.18〜12重量%の中空の粒子を3〜100個数%含有し、見掛け密度が2.07〜2.6g/cmであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
  2. 平均粒径が20〜150μmである請求項1記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  3. 真比重が2.5〜4.75g/cmである請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  4. 磁化が5〜95Am/kg(emu/g)である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  5. 芯材の外径(平均粒径)をd、芯材内部に存在する中空部の外径をdとした時に0.10<d/d<0.90である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のキャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる電子写真現像剤用キャリア。
  7. キャリア芯材原料をバインダーと共に調製して得られた造粒物を、大気中で溶射してフェライト化し、次いで急冷凝固する電子現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、
    上記キャリア芯材原料が、少なくとも鉄成分原料及びTi成分原料からなり、該鉄成分原料がFeOOHであることを特徴とする電子現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  8. 上記造粒物の見掛け密度が0.4〜1.0g/cmである請求項7に記載の電子現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  9. 上記造粒物中のバインダーの含有量が固形分換算で0.8〜3.5重量%である請求項7又は8に記載の電子現像剤用キャリア芯材の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれかの製造方法によって得られキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子現像剤用キャリアの製造方法。
  11. 請求項6に記載のキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
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