JP5895528B2 - 電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、特許文献1(特開平8−22150号公報)に示されるように、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められている。それに伴い、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−ZnフェライトからMnを用いたMnフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。特許文献1(特開平8−22150号公報)では、一般式(MnO)x(MgO)y(Fe)zで示される組成の各酸化物の一部をSrOで置換したフェライトキャリアが記載されており、粒子間の磁化のバラツキを低減することができるとされている。
特許文献2(特開2007−271663号公報)には、圧縮破壊強度及び圧縮変化率が一定以上で、形状係数SF−1が100〜125の電子写真現像剤用フェライトキャリアが記載されており、現像剤に用いたときに現像器内で受けるストレスによる破壊に対する強度に優れ、かつ適度の脆性を有するとされている。
また、特許文献3(特開平9−6052号公報)には、リチウム等の1価の金属を含む単元系フェライト又はこれの一部をMnで置換した複合系フェライトであって、V及びBiを含有する球状粒子からなる電子写真用フェライトキャリアが記載されており、このような組成により異常結晶粒成長が抑制されるとしている。
これらの特許文献2及び3では、攪拌ストレスを受けても極力破壊されることがないフェライト粒子をキャリアとして用いることが提案されている。これらは、フェライト粒子そのものの機械的強度を高めたものであるが、現像剤に用いたときの経時における強度を維持するのには十分ではない。
一方、特許文献4(特開2008−250414号公報)には、マンガンフェライト又はマグネタイトからなる焼成物をキャリアガスを用いて燃焼炎中に分散させて熱処理する等によってキャリア芯材を製造することが記載されている。この特許文献4によれば、キャリア芯材に樹脂被覆して得られた電子現像剤用キャリアは、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも粒子の割れ・欠けが発生しない上、流動性が良好であると記載されている。
しかし、この特許文献4に記載の焼成方法により得られるキャリア芯材は、機械的ストレスがかかると、高密度で1粒子内に力を発散させる空隙が存在せず、エネルギーが一気に作用するため、キャリア芯材である粒子の割れが発生し、その強度が十分とはいえなかった。
さらには、特許文献5(特開2008−96975号公報)には、大きな空隙の発生を抑えたフェライト芯材粒子が記載されており、その製造方法の一つとして溶射火炎法が記載され、実施例によれば仮焼成物を粉砕し、溶融状態にして気相中で球形化処理した後、焼成してフェライト化することが記載されている。
この特許文献5では、上記フェライト芯材粒子の表面に樹脂被覆層を設けたフェライトキャリアは、画像の均一性が良好で、キャリアの膜剥がれが少なく、経時の帯電安定性も良好で、トナースペントが少なく、キャリア付着が少ないとされているが、芯材粒子そのものの強度については何らの配慮がなされていない。
特許文献6(特公平6−7272号公報)には、フェライト形成用原料である金属酸化物からなる配合物を高温の可燃性ガスと酸素ガスとによって形成される火炎中に通過させてフェライト化するフェライトキャリアの製造方法が記載されている。
特許文献6に記載の製造方法によって、表面の不均一性を改善することにより粒子各部における静電気特性の均一化又は機械的強度の均一化を促進すると共に、従来品よりも一段と優れた流動性、摩擦帯電性、機械的強度をフェライトキャリアに与えるとされているが、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下での粒子の割れや欠けを防止するものではない。
特許文献7(特開2010−181524号公報)には、ストロンチウムを含む特定のフェライト組成からなるキャリア芯材が記載されており、一次焼成及び本焼成することでキャリア芯材表面にストロンチウムが移動することがpH標準溶液による溶出量で示されているが、ストロンチウムはキャリア芯材表面に偏析して存在するものであり、キャリア芯材から独立して存在するものではない。
上述したように、経時における攪拌ストレスの影響下における粒子の割れや欠けを有効に防止する提案はなされていない。
特開平8−22150号公報 特開2007−271663号公報 特開平9−6052号公報 特開2008−250214号公報 特開2008−96975号公報 特公平6−7272号公報 特開2010−181524号公報
従って、本発明の目的は、高強度であって、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制し、かつ強度に優れ、飛散量が少なく、流動性も良好な電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、Srを含有し、円形度及び真円度が一定範囲にあり、その表面に存在する非磁性粒子中に存在する金属元素量及びSr量が一定範囲にあるフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材が上記課題を解決し、このようなフェライトキャリア芯材は、Srを含むフェライト原料をバインダーであるポリビニルアルコールの特定量と共に混合した後、造粒、予備焼成し、次いで大気中で溶射し、さらに急冷固化することにより得られることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、Srを含有するフェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子を付着させた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材であって、フェライト粒子として、形状係数SF−1(円形度)が100〜107、形状係数SF−2(真円度)が100〜113の下記式(1)の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換され、SrOの置換量が0.1〜2.5モル%であるSrを含有するフェライト粒子であり、該フェライト粒子に対して、該フェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子が付着した非磁性微粒子が含む金属元素量が500〜5000ppmであり、該非磁性微粒子が含むSrが1〜500ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
Figure 0005895528
また、本発明は、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリアを提供するものである。
本発明は、Srを含むフェライト原料をバインダーと共に混合した後、造粒し、得られた造粒物を650〜1250℃で予備焼成し、次いで大気中で溶射し、さらに急冷固化する電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、上記バインダーがポリビニルアルコールであり、上記造粒物に対して固形分換算で0.5〜3.5重量%含有させたものであり、フェライトキャリア芯材の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部を置換したSrOの置換量が0.1〜2.5モル%であることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法を提供するものである。
Figure 0005895528
本発明は、上記製造方法により得られた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法を提供するものである。
本発明は、上記電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、一定の円形度及び真円度を有すると共に、表面に非磁性微粒子及びSr化合物が一定量存在するため、その緩衝効果によって強度に優れ、しかも強度に優れ、飛散量が少なく、流動性も良好である。そして、上記キャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制することができる。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが工業的規模をもって安定的に製造できる。
図1は、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の一例を示す模式図である。
1 フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)
2 空孔
3 フェライトキャリア芯材の表面及び/又は空孔内表面に付着している非磁性微粒子
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、その組成にSrを含有する。その組成は特に限定されないが、下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換されていることが望ましい。
Figure 0005895528
このような特定組成のフェライト粒子は、磁化が高く、磁化の均一性がよくバラツキが少ないため、フェライトキャリア芯材として望ましく用いられる。
上記特定組成において、SrOの置換量は0.1〜2.5モル%であることが望ましい。SrOの置換量が0.1モル%未満では、低磁化粒子の発生を抑制に寄与するマグネトプランバイト型フェライト(SrO)・6(Fe)及びSrFe(但し、a≧2、a+b≦c≦a+1.5b)に代表される立方晶でペロブスカイト型の結晶構造を持ったストロンチウムフェライトの前駆体の生成量が少なく、結果として低磁性粒子が発生する。SrOの置換量が2.5モル%より大きい場合には、残留磁化や保磁力が高くなり、キャリアとした際の流動性が悪くなるためトナーとの混合性が悪くなるため好ましくない。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−1(円形度)が100〜107である。形状係数SF−1がこの範囲にあることによって、流動性が良好であり、攪拌ストレスを受けにくい。形状係数SF−1が107を超えると、球形から変形した歪な形状が存在することを意味しており、流動性を損なう。攪拌連続により現像機内で形状係数SF−1の大きい粒子が局所的に存在することになり、キャリア化した際、仕込トナー量に対するトナー濃度が付与されない不具合が生じる。
この形状係数SF−1は、日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は20kVとし、フェライト粒子をSEMで450倍視野にて、フェライト粒子が重ならないように分散させて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、Area(面積)及びフェレ径(最大)を求め、下記式より算出し得られた値である。フェライト粒子の形状係数SF−2の形状が球形に近いほど100に近い値となり、数値が大きいほど不定形となる。形状指数SF−1は、1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をそのフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の形状指数SF−1とした。
Figure 0005895528
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−2(真円度)が100〜113である。形状係数SF−2がこの範囲にあることによって、表面の凹凸が少なく、流動性が良好であり、攪拌ストレスを受けにくい。形状係数SF−2が113を超えると、表面の凹凸が大きいことを意味しており、SF−2の大きい粒子同士で凹凸が引っ掛るため、流動性を損なう。攪拌連続により現像機内で形状係数SF−2の大きい粒子が局所的に存在することになり、キャリア化した際、仕込トナー量に対するトナー濃度が付与されない不具合が生じる。
形状係数SF−2は、セイシン企業社製粒度・形状分布測定器PITA−1を用いてフェライト粒子3000個を観察し、装置付属のソフトウエアImageAnalysisを用いてS(投影面積)及びL(投影周囲長)を求め、下記式より算出し得られた値である。フェライト粒子の形状が球形に近いほど100に近い値となる。
なお、サンプル液は分散媒として粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を調製し、その中にキサンタンガム水溶液30ccにフェライト粒子0.1gを分散させてものを用いた。このように分散媒の粘度を適正にあわすことでフェライト粒子が分散媒中で分散したままの状態を保つことが出来、測定をスムーズに行なうことが出来る。さらに測定条件は(対物)レンズの倍率は10倍、フィルタはND4×2、キャリア液1及びキャリア液2は粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を使用し、その流量はいずれも10μl/sec、サンプル液流量0.08μl/secとした。
Figure 0005895528
図1に示されるように、本発明に係る電子写真現像剤用フェライト粒子(フェライトキャリア芯材)1は、フェライトキャリア芯材の表面や空孔2の表面(以下、表面と総称する)に付着している非磁性微粒子3が存在する。本発明では、電子写真現像剤用フェライト粒子の表面に付着している非磁性微粒子3に含まれる金属元素が、フェライト粒子に対して500〜5000ppm含まれるようにしたものである。フェライト粒子の表面に上記範囲の金属元素が存在する非磁性微粒子が付着することにより、非磁性微粒子が緩衝材としての機能を発揮し、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れ・欠けが発生するのを防止できる。当該金属元素の存在量が500ppm未満の場合には、フェライトキャリア芯材の表面存在する絶対量が少ないため、機械的ストレスがかかるとき、緩衝材として作用することができず、フェライト粒子の割れあるいは欠けが多く発生する。当該金属元素の存在量が5000ppmより多いと、フェライトキャリア芯材表面及び/又は空孔内部表面に存在する絶対量が多くなるため、芯材の磁力が相対的に小さくなり、マグネットローラー上の磁力あるいは攪拌に伴う遠心力に耐え切れなくなり、飛散量が多くなる。
これらの電子写真現像剤用フェライト粒子の表面に存在する非磁性微粒子としては、フェライト粒子のフェライト組成を形成する金属元素の酸化物や複合酸化物が挙げられ、金属元素としては、Fe、Mn、Mg、Sr等が挙げられる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライト粒子は、該フェライト粒子に対して該非磁性微粒子が含むSrが1〜500ppmとなっている。この範囲において、フェライト粒子の組成は、均一に化学量論比が保たれていることを表しており、1粒子内の組成バラツキが極めて少なく、理想的なフェライト特性が得られる。当該Srの存在量が1ppm未満では、不可避不純物の範囲であり、意図的に存在されるものではない。当該Srの存在量が500ppmより多いと、溶射焼成後のフェライトキャリア芯材は急速冷却され、1粒子内の組成バラツキが極めて少ないままフェライト化されるが、外気との接触が大きいフェライトキャリア芯材表面から冷却されるため、フェライトキャリア芯材表面部位からの特定金属元素、つまりストロンチウムの移動が微少に発生する。よって、磁化あるいは抵抗等のフェライト特性を損なう程の組成変動は起こり得ないが、フェライトキャリア芯材表面における組成バラツキが出てくるため、粒子全体に衝撃ストレスを緩和することができず、粒子割れあるいは欠けが発生する。また、比較的モース硬度の低いストロンチウム成分が、局所的にフェライトキャリア芯材表面に点在することになり、そこを拠点に粒子への衝撃ストレスが一気に作用し、粒子割れあるいは欠けが発生する要因ともなる。
(非磁性微粒子中の金属元素量及びSr量の測定)
これら電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の表面に存在する金属元素量及びSr量は、次のようにして測定される。すなわち、200mlビーカー中に電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材10gをメタノール100mlに加え、120秒間超音波処理後、15秒間静置し、異方性フェライト磁石(表面磁束密度725ガウス、サイズ(mm):直径50×高さ10、磁石の重さ(g):96)を用いて上澄み液を分離した。上澄み液の溶剤を留去し非磁性微粒子の金属元素を含む残渣を得て、これをシリカゲルの入ったデシケーター中にて24hr乾燥後、残渣重量を秤量した。秤量した残渣重量をフェライト粒子10gで除して100をかけることにより、フェライト粒子重量を100重量%としたときのフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)表面及び/又は空孔内部表面に付着している非磁性微粒子の金属元素量(重量%:1ppmは0.0001重量%)を算出した。また、非磁性微粒子の残渣のSEM像を観測しながらEDS測定で定量分析を行い、非磁性微粒子の残渣全量を100重量%としたときのストロンチウムの重量%を測定し、これに前記金属元素量(重量%)を乗じることにより、フェライト粒子を100重量%としたときの非磁性微粒子に含まれるストロンチウム量(重量%:1ppmは0.0001重量%)を算出した。
上記測定における処理装置及び処理条件は下記の通りである。
1.超音波処理
超音波処理装置名;ULTRASONIC HOMOGENIZER(UH−150モデル)、(株)エスエムテー社製
振動子接続部品;標準ホーン(HO−12)及び先端チップ(ST−12)を用い、専用スタンドにより、土台に対して振動子を垂直に組み立てる。
処理条件;処理中のパワーモニターメーター値:0.2、パルサーボリューム:定常、パワーコントローラー:4、タイマー設定スイッチ:120sec
2.SEM像測定
SEM像装置;JSM−6060A、JEOL社製
測定条件;加速電圧20KV、倍率×100にてSEM分析
3.EDS測定
EDS測定装置;EX−23000BU、JEOL社製
測定条件;試料表面の必要な元素マッピング(例えば鉄、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム)収集を行ない、X線スペクトルを得た。得られたスペクトルピークから、金属の元素量(質量百分率)を測定して求めた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、強度が6.0以下であることが望ましく、4.0以下がさらに望ましい。強度が6.0以下の場合には、強度が高いことを示し、攪拌ストレスによる割れ・欠けが少ない。強度が6.0を超える場合には、非磁性微粒子中の金属元素の存在量及びSrの存在量が少ないため強度不足であり、攪拌ストレスによる割れ・欠けが非常に多い。また、キャリア化した際、耐刷による攪拌ストレスにより発生した割れ・欠け部分から、未コート部分の芯材面が露出し、印加電圧によりキャリア付着が発生する可能性がある。この強度は下記により測定される。
(強度)
サンプルミルSAM(奈良機械製作所社製)に試料100gを投入し、標準ローターを用いて16000rpm設定下、10秒間破砕処理を行なった。破砕未処理の試料と破砕処理後の試料をそれぞれ400mg用意し、ブローオフ粉体帯電量装置TB−200(東芝ケミカル社製)を用いてブローオフにより795Mesh網を通過した数量を測定した。このときブローオフ条件は、ブロー圧(N2ガス)は0.5kg/cm、ブロー時間は30秒とした。測定終了後、下記式より、破砕未処理の微粉量と破砕処理後の微粉量をそれぞれ算出した。
Figure 0005895528
上記により得られた破砕処理後の試料の微粉量から、破砕処理前の試料の微粉量を差し引いた値を強度とする。
Figure 0005895528
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、流動度が38sec/50g以下であることが望ましく、さらに望ましくは35sec/50g以下である。流動度が38sec/50g以下では、流動性が非常に高いことを示す。キャリア化しても流動性は維持され、トナーとの混合性が良好である。耐刷によりトナーが新たに追加供給されても、トナーとの混合性が高く、比較的短期間に補給トナーが帯電するため、現像剤容器内におけるトナー濃度は、場所によらず安定して常に一定に保たれる。流動度が38sec/50gを超えると、流動性が不足していることを示す。キャリア化しても、トナーとの混合性が悪い。耐刷によりトナーが新たに追加供給された場合、トナーとの混合性が悪く補給トナーが帯電できずに、現像剤容器内において未帯電トナーが壁面・角に追いやられてしまうために、トナー濃度のムラが生じ、仕込みトナー量通りのトナー濃度が得られない。この流動度は下記により測定される。
(流動度)
JIS Z 2502「金属粉の流動度試験方法」に準拠して行われ、試料(フェライトキャリア芯材)50gをオリフィス孔径2.63mmのロートに注ぎ、流下する時間(秒)を測定する。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される平均粒径が好ましくは15〜120μm、より好ましくは15〜80μm、最も好ましくは15〜60μmである。体積平均粒径が15μm未満であると、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。体積平均粒径が120μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。この体積平均粒径は、下記によって測定される。
(体積平均粒径)
装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。分散媒には水を用いた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、飛散量が1.0mg以下であることが望ましく、0.5mg以下であることがさらに望ましい。飛散量が1.0mg以下であることによって、キャリア化した際も、画像上でのキャリア付着が少ない。飛散量が1.0mgを超えると、キャリア化した際も、画像上でのキャリア付着が多くなる。この飛散量は下記により測定される。
(飛散量)
ここでいう飛散量とは、キャリア芯材のキャリア飛散は、直径50mm、表面磁力1000Gaussの磁気ドラムに実施例及び比較例で得られたキャリア芯材を500g充填し、270rpmで30分間回転させた後、飛散した粒子を回収し、その重量を測定することで行った。
本発明により得られるフェライトキャリア芯材の見掛け密度は、好ましく2.80g/cm未満、さらに好ましくは2.30〜2.80g/cmである。見掛け密度が2.80g/cmを超えるものは、実質製造不可能である。2.30g/cm未満だと、球形度が不十分であるか、あるいは芯材内部の緻密性に伴う芯材強度に問題があると考えられ、好ましくない。ここでいう見掛け密度は、下記の方法により測定される。
[見掛け密度]
JIS Z 2504に準拠して測定した。詳細は下記の通りである。
1.装置
粉末見掛け密度計は漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成されるものを用いる。天秤は、秤量200gで感量50mgのものを用いる。
2.測定方法
(1)試料は、少なくとも150g以上とする。
(2)試料は孔径2.5+0.2/−0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ流れ出た試料が、コップ一杯になってあふれ出るまで流し込む。
(3)あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(4)コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量する。
3.計算
前項2−(4)で得られた測定値に0.04を乗じた数値をJIS−Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、「g/cm」の単位の見掛け密度とする。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、必要に応じて表面が酸化処理される。この表面酸化処理によって形成される酸化処理被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。酸化皮膜の厚さは酸化皮膜が形成されていることが確認できる程度の高倍率のSEM写真から測定することが出来る。なお、酸化皮膜はフェライトキャリア芯材表面に均一で形成されていても良いし、部分的に酸化皮膜形成されていても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、樹脂被覆量が、フェライトキャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被覆量が0.01重量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被覆樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被覆樹脂中に導電剤を添加することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被覆層の形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、Srを含むフェライト原料をバインダーと共に混合した後、造粒し、得られた造粒物を650〜1250℃で予備焼成し、次いで大気中で溶射し、さらに急冷固化する。
フェライト原料をバインダーと共に粉砕、混合後、造粒して造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。例えば原料として鉄化合物、Mn化合物、Mg化合物及びSr化合物を混合し、さらにバインダー、さらに必要に応じてカーボンブラック等を添加し、造粒して造粒物を調製する。
本発明の製造方法では、バインダーとしてポリビニルアルコールを用い、調製される造粒物に対して固形分換算で0.5〜3.5重量%含有される。ポリビニルアルコール等のバインダーは、本来は造粒物の形状を維持させるための結着剤として作用する。電気炉焼成においては、バインダーは0.3重量%程度であれば結着剤として充分量である。上記した特許文献6では、溶射焼成後、急速冷却において、フェライトキャリア芯材外部から内部に空孔移動するとされているが、フェライト化を助長させる還元剤として顕著に作用するポリビニルアルコールを過剰に含有させることでその空孔移動は防止できる。すなわち、造粒物中への過剰のポリビニルアルコールを含有させることにより、後述する予備焼成にてフェライト化が促進されるため既に密度が高くなり、溶射後も高密度及び高流動性が得られ、溶射により突発的に発生する空孔はなく、粒子バラツキが抑えられるので、特許文献6に記載されているような溶射後の再焼成が必要ない。また、予備焼成後も粒子内部にポリビニルアルコールが残存し、溶射中に内部から外部に分解ガスが放出されるため、特許文献6のようなフェライトキャリア芯材外部から内部への空孔移動も抑制される。
造粒物中へのポリビニルアルコールの含有量が0.5重量%未満では、予備焼成段階で充分なフェライト化が促進されない結果、溶射後に空孔が残存し密度及び流動性が不十分である。また、溶射処理においては、造粒物の結着強度が脆く、粒子破壊が発生し、所望の粒度が得られない。さらにポリビニルアルコールの含有量が3.5重量%以上では、予備焼成後、残存したポリビニルアルコールが多すぎて溶射焼成時に突沸する。また、突沸に関与しないポリビニルアルコールは、気化あるいは分解することなく焼成物中に残留してしまう。更に、溶射時に突沸したガスが中空部を形成してしまうため、所望の粒子密度が得られない。場合によっては、中空部を形成するガスが過剰となり中空部が大きくなり過ぎる結果、粒子が破壊され、所望の粒度あるいは形状までもが得られなくなる。
本発明の製造方法では、得られた造粒物を予備焼成する。予備焼成は650〜1250℃で行われ、この温度範囲でフェライト化が進行し、また微粉の発生が適宜調整される。予備焼成温度が650℃未満では、フェライト化が進行しておらずフェライト原料が軟らかい、あるいは空隙が多いことを意味し、大気中に溶射する前に原料供給設備の機械的強度あるいは火炎噴出力に耐えきれず割れるため所望の粒度分布が得られず、フェライトキャリア芯材表面に存在する微粉量が多量に発生する。また、予備焼成温度が1250℃より高いと、フェライト原料の大部分がフェライト化しており原料が硬いため、大気中に溶射する前に原料供給設備の機械的強度あるいは火炎噴出力による微粉が発生しにくく、緩衝材がないことになる。その結果、フェライト粒子の割れあるいは欠けが発生する。
次に、予備焼成して得られた焼成物を大気中で溶射し、急冷固化してフェライトキャリア芯材を得る。
溶射には可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である。燃焼ガスに対する酸素の割合が3.5未満では、溶融が充分でなく、燃焼ガスに対する酸素の割合が6.0を超えると、フェライト化が困難となる。例えば燃焼ガス10Nm/hrに対して酸素ガス35〜65Nm/hrの割合で用いられる。
上記溶射に用いられる燃焼ガスとしては、プロパンガス、プロピレンガス、アセチレンガス等が用いられるが、特にプロパンガスが好適に用いられる。造粒物流速は20〜60m/secが好ましい。ここにおいて、溶射に用いられるバーナーのフレーム温度を2000〜3500℃、フレーム通過時間を10秒以内とすることが望ましい。
従来のフェライト化する焼成温度は1000〜1500℃であるのに対し、溶射温度は2000〜3500℃に達する。溶射焼成では、高温かつ瞬時の工程であり、フェライト化反応が均一に進行し易く、フェライト粒子中の偏析あるいは特定金属成分の蒸発分離が少ない。よって、焼成時に微粉が発生しても、その微粉は特定金属成分が多くなることはないので、本来の組成比が保たれる。また、攪拌ストレスを軽減するためには、高流動性であることが望ましいが、表面の非磁性微粒子中の金属元素及びSrの存在量を調整することにより、粒子に作用する力が緩和され、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、粒子の割れ・欠けが発生しない。溶射焼成により得られるフェライト粒子は、非常に形状係数SF−1が良好なため、流動性が良好である。
このように溶射して得られた粒子は、大気中又は水中に投入され、急冷凝固される。その後、回収、乾燥及び分級を行ってフェライトキャリア芯材を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜800℃で熱処理を行う。酸化皮膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉を用いることが好ましい。
本発明に係る製造方法では、上記フェライトキャリア芯材の表面を樹脂により被覆することにより樹脂を被覆したフェライトキャリアを得る。キャリア特性、特に帯電量を始めとする電気特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることが多い。従って、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を精度良く調整することができる。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。樹脂被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真用現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
MnOを39.6モル%、MgOを9.6モル%、Feを50モル%及びSrOを0.8モル%になるようにフェライトキャリア原料を秤量し、水とポリカルボン酸系分散剤、ポリエーテル系消泡剤、バインダーとしてのポリビニルアルコール(10%溶液)を加え、湿式のメディアミル(横型ビーズミル、1mm径のジルコニアビーズ)を用いて6時間粉砕した。スプレードライヤーにて、溶射焼成後の体積平均粒径が33〜37μmとなるように造粒物を調製した。造粒物中のバインダー含有量は固形分換算で1.2重量%であり、得られた造粒物のC量は1.33wt%、見掛け密度は1.21g/cmであった。
得られた造粒物を還元性雰囲気下、ロータリー式焼成炉で炉内圧5〜10Paに調整しながら、設定温度1100℃で1時間保持して予備焼成を行い、一部フェライト化を進めた。炉内付着物機構はノッカー(炉外からの打撃)を用いた。また、還元性雰囲気は、スプレードライヤーで造粒する際に添加した分散剤及びバインダーの加熱分解ガスを利用した。得られた予備焼成物のC量は0.12wt%、見掛け密度は1.65g/cmであった。
得られた予備焼成物を供給速度60kg/hrの条件でプロパン8Nm/hr、酸素32Nm/hrがそれぞれ供給されるフレームを通過させた後、大気中で急冷し、溶射焼成物を得た。なお、フレームへの予備焼成物の供給は酸素ガスを用いた気流輸送で行い、酸素ガスの供給速度は10Nm/hrとした。得られた溶射焼成物を分級、磁力選鉱を行いフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例2]
予備焼成温度を650℃とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例3]
予備焼成温度を1250℃とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例4]
SrOを0.1モル%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例5]
SrOを2.5モル%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例6]
溶射条件において、プロパンを5.5Nm/hr、酸素を22Nm/hrとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例7]
溶射条件において、プロパンを11Nm/hr、酸素を44Nm/hrとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例8]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で0.8重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例9]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で3.0重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例1]
SrOを0.05モル%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例2]
SrOを3.0モル%とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例3]
予備焼成温度を500℃とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例4]
予備焼成温度を1300℃とした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例5]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で0.3重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例6]
造粒物中のバインダー含有量を固形分換算で5.0重量%とする以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜6について、表1にフェライトキャリア芯材の製造条件(Sr置換量、造粒物中のポリビニルアルコール量、造粒物の特性、予備焼成温度、予備焼成物の特性及び溶射焼成条件)、表2に非磁性微粒子中の金属元素量及びSr量、形状係数SF−1、形状係数SF−2、強度、C量、見掛け密度、流動度、体積平均粒径及び飛散量をそれぞれ示す。C量及び見掛け密度の測定方法は下記の通りであり、その他の測定方法は上述の通りである。また、実施例1で得られたフェライトキャリア芯材の模式図を図1に示す。
表1及び表2において、造粒物、予備焼成物及びフェライト芯材のC量と見掛け密度を示したが、これは製造工程中のポリビニルアルコール成分によるフェライト化促進の過程を見掛け密度にて確認するために示したものである。C量が小さくなることでポリビニルアルコール成分の分解を示していると同時に、予備焼成物及び芯材のフェライト化が促進され、見掛け密度が高くなる。
C量より、予備焼成物段階でポリビニルアルコール成分が不足し、溶射中に内部から外部に分解ガスが放出されず、芯材内部に空孔が存在したり、フェライト芯材段階でポリビニルアルコール成分が過剰となり、意とするフェライト特性を阻害したりしないかを確認することができる。
また、高強度を得るために必要な非磁性微粒子を生成させるために、予備焼成物へのフェライト化が適切なレベルに促進されているかを見掛け密度から評価することができる。
[C量]
LECO社製炭素分析装置C−200型(酸素ガス圧:2.5kg/cm、窒素ガス圧:2.8kg/cm)を用いて、炭素量を測定した。
Figure 0005895528
Figure 0005895528
表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜9に示したフェライトキャリア芯材は、適切な非磁性微粒子中の金属元素の存在量とSrの存在量を有するため、6.0以下の高い強度が得られている。また、実施例1〜9はフェライトキャリア芯材のC量から、ポリビニルアルコール成分が、高強度を得るために必要な非磁性微粒子を生成させているために完全に利用されていることがわかる。フェライトキャリア芯材の見掛け密度は2.30g/cm以上と高密度であるため、球形度が高く、芯材強度の高い粒子が得られていることがわかる。また、非磁性微粒子が多量に発生しすぎておらず、芯材組成中のSr量が少なすぎないため、飛散量は1.0mg以下に低く抑えられている。また、図1に示されるように、実施例1のフェライトキャリア芯材は、その表面に非磁性微粒子が付着している。
さらに、溶射焼成により形状係数SF−1及びSF−2は、適切な範囲を有するため、38.0以下の高い流動度が得られ、流動性が優れていることが示されている。
一方、比較例1においては、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が少なすぎるため、非磁性微粒子の金属元素の存在量が少なくなっており、強度が劣るものとなっている。また、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が少ないため、フェライトキャリア芯材の低磁性粒子も発生しやすく、飛散量が実施例に比べて多量である。
比較例2では、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が多すぎることに伴い、非磁性微粒子中のSr量も多くなり、強度が劣るものとなっている。また、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が多すぎるため、形状係数がSF−1及びSF−2も高くなっており、流動度が高い値を示し、流動性に劣るものとなっている。
比較例3では、予備焼成温度が低いため、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が過剰となり、飛散量が多くなっている。また、予備焼成強度が低く。溶射焼成に耐え難いため、平均粒径が所定より小さくなっている。
比較例4では、予備焼成温度が高いため、溶射焼成後の非磁性微粒子中の金属元素の存在量が少量となり、フェライトキャリア芯材の強度が極度に悪化している。
比較例5では、造粒物のポリビニルアルコール量が少量であるため、予備焼成段階でフェライト化が促進されておらず、空孔が残存し、溶射後の見掛け密度が大きく低下している。また、溶射処理において、粒子破壊が発生しており、所定より平均粒径も小さくなっている。よって、元々の球形形状が維持されていないため、形状係数SF−1及びSF−2が高くなっているばかりか、流動度も極度に悪化し、流動性に劣ることが示されている。さらに、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が適度に維持されていないため、強度も低下している。
比較例6では、造粒物のポリビニルアルコール量が過剰であるため、予備焼成後も炭素量が多いことからポリビニルアルコールが残存していることが示されており、溶射焼成時に突沸が発生し、空孔残存による密度の大きな低下や粒子破壊が発生しており、所定より平均粒径が小さくなっている。よって、元々の球形形状が維持されておらず、形状係数SF−1及びSF−2が高くなっているため、流動度が極度に悪化し、流動性に劣ることが示されている。さらに、溶射焼成時の突沸により、部分的に溶射焼成から逸脱したフェライト化していない粒子が存在するため、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が過剰となっており、飛散量までもが実施例に比べて多量である。
[実施例10]
実施例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)100重量部と、T単位とD単位を主成分とする縮合架橋型シリコーン樹脂(重量平均分子量:約8000)を準備し、このシリコーン樹脂溶液5重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分としては1重量部、希釈溶媒:トルエン)に、アミン系化合物としてアミノシランカップリング剤(3―アミノプロピルトリメトキシシラン)を、樹脂固形分に対して10重量%となるように添加し、万能混合撹拌機にて混合撹拌し、トルエンを揮発させながら、樹脂をフェライト芯材表面に被覆した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、さらに5分撹拌を続け、トルエンをほぼ完全に除去したのち、装置内から取り出し、容器に入れ、熱風加熱式のオーブンに入れ、220℃で2時間、加熱処理を行った。
その後、室温まで冷却し、樹脂が硬化されたフェライト粒子を取り出し、200Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が被覆されたフェライトキャリアを得た。
[比較例7]
比較例2で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用いた以外は、実施例10と同様にして樹脂被覆されたフェライトキャリアを得た。
[比較例8]
比較例3で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用いた以外は、実施例10と同様にして樹脂被覆されたフェライトキャリアを得た。
実施例10及び比較例7〜8で得られたフェライトキャリアについて、強度、流動度、画像上のキャリア付着(1k耐刷及び80k耐刷)及びトナー濃度(1k耐刷T/D、80k耐刷T/D及び変動率)を表3に示した。キャリア付着及びトナー濃度は下記によって測定した。その他の評価は上述の通りである。
(画像上のキャリア付着量)
適正露光条件下で耐刷現像を行い、1k後と80k後の画像上のキャリア付着による白斑数を目視によってカウントした。
(トナー濃度)
25℃、55%RHの環境下にて、試料(フェライトキャリア)と市販のリコー社製imagioMPC2500のマゼンタトナーとを、トナー濃度7.2重量%の1kgの現像剤量になるように秤量を行い、12時間、上記条件下に暴露した後、ターブラー社製撹拌機 ターブラーミキサーT2C型(撹拌速度:96rpm)にて30分間撹拌を行い、初期現像剤を得た。上記初期現像剤をRicoh社製imagioMPC2500に搭載し、1〜80k枚の耐刷試験を行った。1k時及び80k時の現像剤をサンプリングし、Epping q/m−meter、PES−Laboratoriumu社製吸引式帯電量測定装置(メッシュ:635mesh、吸引圧:105±10mbar、吸引時間:90秒)により測定し求めた。また、変動率は下記によって測定した。
Figure 0005895528
Figure 0005895528
表3に示した結果から明らかなように、実施例10に示したフェライトキャリアは、キャリア化しても高強度が維持されている。強度が良好なため、耐刷を繰り返しても、粒子の割れ・欠けが少なく、割れ・欠け部分より剥き出しになった芯材部分からの印加電圧リークが殆どなく、印加電圧によりマグネットローラーへの保持ができなくなったキャリアの画像上への付着が少ない。また、フェライトキャリアの流動性が良好なため、耐刷を行なっても、現像剤容器におけるトナー濃度は安定して一定に保たれる。
一方、比較例2のフェライトキャリア芯材を用いた比較例7は、キャリア化すると強度は大幅に低下する結果となっている。強度が低いため、耐刷に伴い粒子の割れ・欠けが多く、割れ・欠け部分より剥き出しになった芯材部分からの印加電圧リークにより、印加電圧によりマグネットローラーへの保持ができなくなったキャリアの画像上への付着が多くなっている。また、耐刷に伴い、現像剤容器内の壁面・角部分において、キャリア流動性が悪いため、追加した未帯電のトナーが蓄積していき、トナー濃度が一定に保たれず設定濃度よりも低い値となる。
比較例3のフェライトキャリア芯材を用いた比較例8は、フェライトキャリア芯材の強度が高く、流動性も良好なため、キャリア化しても強度及び流動性は維持されており、トナー濃度の変動は小さい結果となっている。しかし、非磁性微粒子中の金属酸化物の存在量が多いためフェライトキャリア芯材の飛散量が多かったため、キャリア化して耐刷を行なったとき、初期(1k枚耐刷時)から画像上のキャリア付着が多い結果となっている。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、一定の円形度及び真円度を有すると共に、表面に非磁性微粒子及びSr化合物が一定量存在するため、その緩衝効果によって強度に優れ、飛散量が少なく、流動性も良好である。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れや欠けの発生に伴う画像上へのキャリア付着を大幅に抑制することができる。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが工業的規模をもって安定的に製造できる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (5)

  1. Srを含有するフェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子を付着させた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材であって、
    フェライト粒子として、形状係数SF−1(円形度)が100〜107、形状係数SF−2(真円度)が100〜113の下記式(1)の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換され、SrOの置換量が0.1〜2.5モル%であるSrを含有するフェライト粒子であり、
    該フェライト粒子に対して、該フェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子が付着した非磁性微粒子が含む金属元素量が500〜5000ppmであり、該非磁性微粒子が含むSrが1〜500ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
    Figure 0005895528
  2. 請求項1に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の表面を樹脂で被覆した電子写真現像剤用フェライトキャリア。
  3. Srを含むフェライト原料をバインダーと共に混合した後、造粒し、得られた造粒物を650〜1250℃で予備焼成し、次いで大気中で溶射し、さらに急冷固化する電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、
    上記バインダーがポリビニルアルコールであり、上記造粒物に対して固形分換算で0.5〜3.5重量%含有させたものであり、フェライトキャリア芯材の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部を置換したSrOの置換量が0.1〜2.5モル%であることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
    Figure 0005895528
  4. 請求項3の製造方法により得られた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法。
  5. 請求項2に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
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