JP5300055B2 - 電子写真現像剤用キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤用キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真法に使用される二成分系現像剤はトナーとキャリアとにより構成されており、キャリアは現像剤ボックス内でトナーと混合攪拌され、トナーに所望の電荷を与え、電荷を帯びたトナーを感光体上の静電潜像に運び、トナー像を形成させる担体物質である。キャリアはトナー像を形成した後も、マグネットに保持され現像ロール上に残り、さらに再び現像ボックスに戻り、新たなトナー粒子と再び混合攪拌され、一定期間繰り返し使用される。
この二成分系現像剤は、一成分系現像剤と異なり、キャリア(粒子)が、トナー(粒子)を攪拌し、トナー粒子に所望の帯電性を付与すると共に、トナー粒子を搬送する機能を有しており、現像剤設計において制御性がよいため、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用されている。
このように、キャリア粒子は、長時間の使用中、常にトナー粒子を所望する極性で、かつ充分な帯電量に摩擦帯電させなければならない。しかしながら、キャリア粒子間の衝突、現像槽内での機械的攪拌又はこれらによる発熱で、キャリア粒子表面にトナー粒子が融着する、いわゆるスペントが生じ、キャリア粒子の帯電特性が使用時間と共に低下してしまう。それに伴い、カブリやトナー飛散等の画質劣化が生じるため、現像剤全体を取り替える必要が生じる。
このようなスペント化を防止するため、従来、キャリア芯材表面に、表面エネルギーの低い樹脂、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を被覆することによりキャリアの長寿命化が図られてきた。
しかし、被覆樹脂としてフッ素樹脂を用いた場合には、スペント化に対しては比較的有用であるが、樹脂の皮膜強度が弱い上に、キャリア芯材との密着性が悪く、皮膜剥離が多く、それにより抵抗が低くなり過ぎ、初期の画像を維持することが困難であった。
このため、被覆樹脂として種々のシリコーン樹脂を被覆したフェライトキャリアが提案されている。例えば特許文献1(特開平11−242363号公報)には、四級アンモニウム塩系触媒を含有するシリコーン樹脂によってキャリア芯材を被覆した電子写真現像剤用キャリアが記載されている。また、特許文献2(特開2001−92189号公報)には、有機チタン系触媒を含有するシリコーン樹脂をキャリア芯材の周囲に被覆してなる電子写真現像剤用キャリアが記載されている。これらの電子写真現像剤用キャリアによれば、抵抗、帯電量及び流動性の変化が少なく、初期の画像特性を長時間の耐刷において維持し得るとされている。
さらに、特許文献3(特開2001−100463号公報)には、酸系触媒を含有するシリコーン樹脂をキャリア芯材の周囲に被覆してなる電子写真現像剤用キャリアが記載されている。この電子写真現像剤用キャリアは、キャリア芯材と樹脂との剥離がなく、初期の画像特性を長時間の耐刷においても維持し得るとされている。
これら種々のシリコーン樹脂をキャリア芯材の表面に被覆したキャリアは、樹脂被覆工程条件、焼き付け条件、樹脂の構成(分子量、触媒種、触媒量等)によって、樹脂皮膜の状態が変わる。シリコーン樹脂は、低表面張力であるため、トナー成分の融着(いわゆるトナースペント、トナーフィルミング)が発生しにくい。一方で、比較的脆い皮膜であるため、基本的には、硬度を高め、キャリア芯材(フェライト粒子等)との密着性を高めることによって、キャリアの耐久性を向上させてきた。
しかし、近年の「省エネ」を目的とした低温定着トナーへの移行により、トナーの低融点化が進み、トナーがキャリア表面に融着し易くなってきた。そのため、低表面張力でトナーが融着しにくい特性をもつシリコーン樹脂被覆キャリアであっても、十分な特性(耐久性)を得ることはできなかった。
一方、特許文献4(特開平5−100498号公報)には、キャリア芯材表面に、T単位を70%以上含むメチルシリコーン樹脂の硬化物からなる樹脂コート層を有する電子写真用キャリアが開示されている。同公報では、緻密な3次元網目状構造を有する硬化物を形成し、樹脂コート層表面の均一性を確保し、表面に粘着性を生じさせず、凝集やスペントを抑制することを目的としている。
しかし、同文献の実施例では、メチルシリコーン樹脂オリゴマーとしてT単位の割合が87%のものを用いているが、メチル化メラミン樹脂を共用していることもあり、硬化後の皮膜強度に関して何ら制御がされていない。また、そもそも緻密な3次元網目状構造を形成することが目的であるため、皮膜が硬すぎ、適度な皮膜の削れが起きず、スペントが除去されないことから長時間の帯電量の安定性を確保することはできなかった。
特開平11−242363号公報 特開2001−92189号公報 特開2001−100463号公報 特開平5−100498号公報
このように、シリコーン樹脂を被覆樹脂とする電子写真現像剤用キャリアは、種々提案されているが、適度な樹脂皮膜強度が得られることにより長期間の使用においてもキャリア表面へのトナーの融着(スペント)が抑制でき、また所望の帯電量が得られ、トナー飛散やカブリといった画像欠陥のない良好な画像品質が得られる電子写真現像剤用キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤は得られていない。
従って、本発明の目的は、適度な樹脂皮膜強度が得られることにより長期間の使用においてもキャリア表面へのトナーの融着が抑制でき、しかも所望の帯電量が得られ、トナー飛散やカブリといった画像欠陥のない良好な画像品質が得られる電子写真現像剤用キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、樹脂被覆され、焼き付け後のシリコーン樹脂を特定の範囲の硬化状態にすることによって、所望の膜強度、帯電量が得られ、シリコーン樹脂皮膜を適度に摩耗させることができ、キャリア表面へのトナーの融着を低減できることを見出し、本発明に至った。
このことについてさらに詳述すると、シリコーン樹脂はD単位とT単位からなるDTレジンとM単位とQ単位からなるMQレジンに大別される。一般的に用いられるシリコーン樹脂はDTレジンのタイプで、有機基の種類からメチル系、フェニル系、フェニルメチル系に分類される。ここで、DTレジンのT単位の量が多くなると、硬化性が早く、硬くて脆い皮膜を形成すると言われている。一方、D単位、すなわちオイル成分が増えると、硬化しにくくなり、機械的強度に劣ると言われている。電子写真現像剤用キャリアの被覆樹脂として、シリコーン樹脂を用いる場合、上述のような観点から、T単位及びD単位の比率を制御することは、長期に渡って安定した特性を維持するためには重要であることは言うまでもない。
本発明者らは、さらにT単位の中でも、特定の構造を持つT単位の存在量が、被覆樹脂の耐摩耗性を制御するのに重要であることを見出し、本発明に至った。基本的には、硬化を十分に進ませるとT3単位のみになり、3次元網目構造が多くできていることになるが、あまり極端に3次元網目構造を持たせると、上述の特許文献4にかんする記載で述べたように、硬くて脆い皮膜になる。適度な硬化状態にとどめると、完全に架橋が進んでいないT2単位が残存することになる。これが、硬くて脆い皮膜になるのを抑制しているものと考えられる。上述のような硬化状態は、使用するシリコーン樹脂の構造そのものに大きく影響されるが、加えて、硬化条件にも大きく左右される。硬化条件としては、温度や時間が支配的であるが、硬化を促進させるために用いる硬化触媒の種類及びその含有量によって、硬化状態を制御することができることを知見した。
すなわち、本発明は、キャリア芯材の表面にシリコーン樹脂を被覆した電子写真現像剤用キャリアであって、硬化後の該シリコーン樹脂の下記式(1)で示されるT2単位に対する下記式(2)で示されるT3単位の比(T3/T2)が5.0〜13.0であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリアを提供するものである。
Figure 0005300055

Figure 0005300055
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアは、硬化後の上記シリコーン樹脂の下記式(3)で示されるD単位に対する上記T単位(T2単位+T3単位の合計)の比((T2+T3)/D)が5.0〜7.0であることが望ましい。
Figure 0005300055
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアにおいて、上記シリコーン樹脂がメチルシリコーン樹脂であることが望ましい。
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアにおいて、上記シリコーン樹脂の被覆量が、キャリア芯材に対して1.0〜5.0重量%であることが望ましい。
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアにおいて、上記シリコーン樹脂の硬化触媒としてAl系触媒を含有することが望ましい。
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアにおいて、上記Al系触媒を樹脂固形分に対して0.5〜7.0重量%含有することが望ましい。
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアにおいて、上記キャリア芯材がMn−Mg−Sr系フェライトからなることが望ましい。
本発明は、上記キャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る上記電子写真現像剤は、補強用現像剤としても用いられる。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、適度な樹脂皮膜強度を有することから、電子写真現像剤として用いたときに、長期間の使用においてもキャリア表面へのトナーの融着が抑制でき、しかも所望の帯電量が得られ、トナー飛散やカブリといった画像欠陥のない良好な画像品質が得られる。
以下、本発明を実施するための最良形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、キャリア芯材の表面にシリコーン樹脂を被覆したキャリアである。
本発明では、硬化後のシリコーン樹脂の下記式(1)で示されるT2単位に対する下記式(2)で示されるT3単位の比(T3/T2)が5.0〜13.0である。
Figure 0005300055
Figure 0005300055
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上述したように、硬化後のシリコーン樹脂のT2単位に対するT3単位の比(T3/T2)が5.0〜13.0、好ましくは6.0〜11.0である。本発明は、被覆樹脂であるシリコーン樹脂に適度な皮膜強度を持たせ、皮膜を削りながら発生したキャリア表面へのトナーの融着(スペント)を除去することで、長期間の使用においても帯電量が安定することが特徴である。適度な皮膜強度にするためには、T3単位に対するT2単位の比を上記範囲に制御することが重要である。
上記硬化後のシリコーン樹脂のT2単位に対するT3単位の比(T3/T2)が5.0未満であると、皮膜が柔らかすぎるためか、削れ易く、帯電量は安定する傾向にあるものの、キャリア芯材の露出が早く、帯電が変化する。硬化後のシリコーン樹脂のT2単位に対するT3単位の比(T3/T2)が13.0を超えると、皮膜が硬すぎるためか、削れ難く、スペントが除去されないため、帯電量が低下する。
本発明に係る上記電子現像剤用キャリアは、硬化後の上記シリコーン樹脂の下記式(3)で示されるD単位下記式(3)で示されるD単位に対する上記T単位(T2単位+T3単位の合計)の比((T2+T3)/D)が5.0〜7.0であることが望ましい。
Figure 0005300055
シリコーン樹脂のD単位は基本的にはオイル(直鎖)成分であり、3次元的な架橋をしない部分である。従って、あまり多すぎると皮膜強度が弱くなる適度な量としては、D単位に対するT単位との比で表現すると、(T2+T3)/Dが5.0〜7.0が望ましく、さらに望ましくは5.5〜6.5である。(T2+T3)/Dが5.0より小さいと、D単位が多いために皮膜強度が弱くなる。(T2+T3)/Dが7.0を超えてT単位が多くなると、皮膜が硬くなりすぎ、適度な削れができなくなるまた、さらに多くなると、硬く脆い膜になるため、逆に削れもしくは剥離が発生しやすく好ましくない。
[硬化後のシリコーン樹脂の分析]
この硬化後のシリコーン樹脂の分析は、NMR(核磁気共鳴分光法)によって測定される。硬化後のシリコーン樹脂の構造を知る手段として固体NMRがある。固体NMRは、固体材料の分子、原子レベルの構造を調べる方法であり、対象が有機材料の場合は、官能基の種類や存在量を知ることができる。残念ながら、フェライト等のキャリア芯材に被覆されたシリコーン樹脂の構造を知るのは困難であるため、硬化したシリコーン樹脂のみを測定する必要がある。従って、本発明においては、実際にキャリア芯材表面に樹脂を被覆する際の雰囲気、温度、時間並びに、その後の硬化工程(熱処理工程)の雰囲気、温度及び時間と同じ状態において処理されたシリコーン樹脂のみを固体NMRにて分析することで、擬似的にキャリア芯材表面に被覆され、硬化されたシリコーン樹脂の構造を特定する方法を採った。
具体的な測定方法は、次の通りである。
被覆樹脂溶液中に含まれる希釈溶媒をあらかじめ80℃程度の低温で揮発させた後、実際にキャリア芯材表面に樹脂を被覆する際の雰囲気、温度、時間並びに、その後の硬化工程(熱処理工程)の雰囲気、温度及び時間と同じ状態において処理をする。
こうして得られた樹脂固形物を、卓上型粉砕機(ワンダーブレンダー、大阪ケミカル株式会社製)を用いて15秒程度処理し得られた粉砕物を、80Mの篩で粗大粒子を除去し、樹脂粉末を得た。
得られた樹脂粉末を、固体NMR測定装置(型式:ECA400、JEOL社製)を用いて、得られた固体29Si−NMRスペクトルから、D単位、T2単位及びT3単位の量を測定する。その際、測定条件として、積算回数:2800回程度とし、外部標準にポリジメチルシランを用いた。
本発明に用いられるシリコーン樹脂としてはメチル系シリコーン樹脂が望ましい。シリコーン樹脂としてはメチル系シリコーン樹脂とフェニル系シリコーン樹脂が一般的である。フェニル基の臨界表面張力は約35dyn/cm、メチル基の臨界表面張力は約20dyn/cmであり、フェニル基の臨界表面張力の方が高い。すなわち、フェニル系シリコーン樹脂の方が、キャリア表面へのトナーの融着(スペント)を起こしやすい。上述のように、本発明では、皮膜を削りながら発生したスペントを除去することを特徴とするため、フェニル系シリコーン樹脂のようにスペントが発生しやすいものを使用すると、皮膜の削れ速度を速めてやる必要がある。以上の点から、長期間に渡って帯電量を安定させるためには、メチル系シリコーン樹脂の方が望ましい。また、フェニル基は水分を吸着しやすいためか、帯電量の環境安定性の面からも、メチル系シリコーン樹脂の方が好ましい。
本発明において、シリコーン樹脂の被覆量は、キャリア芯材に対して、1.0〜5.0重量%であることが望ましく、1.0〜3.0重量%がさらに望ましい。本発明は、適度な皮膜強度を持たせ、皮膜を削りながら発生したスペントを除去することで、長期間の使用においても帯電量が安定することに特徴であるため、ある程度の皮膜厚さがないと、直ぐにキャリア芯材が露出してしまう。キャリア芯材が露出すると、キャリア芯材の帯電量によっては、帯電変動が大きくなるため好ましくない。また、キャリア芯材が露出すると、電気的なリークが発生するため、画像欠陥の原因となる。長期にわたって安定した帯電量を維持し、電気的なリークが発生しないようにするためには、最低でもキャリア芯材に対して1.0重量%程度の被覆量が必要である。皮膜の抵抗がある程度調整できるのであれば、被覆量の上限については特に制限はない。しかし、あまり厚くなりすぎると、流動性の悪化等が発生するため、キャリア芯材に対して5.0重量%程度が上限である。
本発明に用いられるシリコーン樹脂の硬化触媒としてAl系触媒を含有することが望ましい。シリコーン樹脂の硬化触媒としては、有機スズ系触媒、チタン系触媒、4級アンモニウム塩系触媒、酢酸系触媒、Al系触媒等様々なものが挙げられる。本発明のように、皮膜強度を一定の範囲に厳密に制御するためには、シリコーン樹脂の硬化速度が速すぎても、遅すぎても好ましくない。有機スズ系触媒、チタン系触媒を用いた時のように、硬化速度が速すぎると、皮膜強度を制御するのが困難である。4級アンモニウム塩系触媒、酢酸系触媒のように、硬化速度が遅すぎると、一定の皮膜強度に達するのに時間がかかり、生産性が悪い。このような観点から、適度な硬化速度を得られるAl系触媒が好ましい。また、Al系触媒はそのものが適度な帯電性を有するため、帯電量レベルの調整にも使用できるので有効である。
Al系触媒としては、各種のアルミ含有化合物を挙げることができる。例えばアルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリスプロピルアセトアセテート、アルミニウムモノ−sec−ブチレートジエチルアセトアセテート、アルミニウムモノ−sec−プロピレートジエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートジイソプロピレート、アルミニウムビスアセチルアセトネートモノイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートジイソブチレート、アルミニウムビスアセチルアセトネートモノイソブチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート等を挙げることができる。上記の中でも、特にアルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリスプロピルアセトアセテートが好ましい。ここで、アルミキレート系触媒は、モノマー系触媒に比べて比較的安定性があり、分解や自己架橋しにくい特性を有するものであるので好ましい。これは、例えば湿度の影響を受けやすい樹脂(例えば湿度硬化型シリコーン樹脂等)を用いる場合に、コーター湿度調製により、架橋反応や被覆のコート状態を適宜調整できるからである。このようなAl系触媒を使用することにより、所望とする皮膜強度を得ることができ、スペントを抑制することができる。また、導電性剤を被覆樹脂中に分散させて用いる場合、導電性剤の分散が均一となり、帯電量の分布が均一となり、良好な画像特性を長期間に亙って維持することができる。
本発明において、Al系触媒の含有量がシリコーン樹脂固形分に対して0.5〜7.0重量%であることが望ましく、0.5〜5.0重量%がさらに望ましく、1.0〜5.0重量%が最も望ましい。Al系触媒の含有量が多すぎると硬化速度が速くなりすぎ、含有量が少なすぎると硬化速度が遅くなりすぎるため、上記のような適度な含有量が必要である。
本発明に用いられるキャリア芯材は、特に限定されず、鉄粉、マグネタイト粉、各種フェライト粉が使用できる。しかし、上述のように、ある程度皮膜を削りながら帯電量を安定させることが必要であるため、長時間の使用においてキャリア芯材が露出してしまう。このとき発生しやすくなる電気的なリークを軽減するためには、鉄粉のような低抵抗なキャリア芯材よりもフェライト粉が好ましい。
本発明に好適に用いられるフェライトは、下記式(I)で示される金属酸化物である。
Figure 0005300055
ここで、所望の磁気特性を得るために、また経時でも特性が安定したフェライトを得るためには、y=40モル%以上であることが好ましい。この場合、組み合わせる金属酸化物(MO)の種類にもよるが、重量比としてはFeが50重量%以上になる。また、上記式では、MOの種類によって多くの組み合わせが考えられる。これらのフェライトのなかでも、抵抗が低いMn系フェライトよりは、ある程度の電気抵抗が得られるMn−Mg−Sr系フェライトが好ましい。また、Mn−Mg−Sr系フェライトは、Mg及びSrを含有しているため、Mn系フェライトやCu−Zn系フェライトに比べて、キャリア芯材としての帯電量レベルも高いのが特徴である。従って、皮膜が削れてキャリア芯材が露出し始めても、ある程度の帯電レベルを維持できるため好ましい。
本発明では、被覆樹脂としてのシリコーン樹脂中に界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、シリコーン樹脂の分散性が向上し、均一な皮膜を形成することができ、よりシャープな帯電量分布が得られ、また、スペント性が良好となり、ひいては、長期にわたり帯電安定性及び画像安定性を確保することができる。
本発明では、被覆樹脂としてのシリコーン樹脂中に帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や各種シランカップリング剤が挙げられる。これは多量の樹脂を被覆した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、帯電付与能力をコントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やシランカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤やアミノシランカップリング剤等が好ましい。
また、被覆樹脂としてのシリコーン樹脂には、キャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的として導電性剤を含有することができる。導電性剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、含有量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って導電性剤、含有量としては、混合樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上記した電子写真現像剤用キャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加する。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、本発明を実施例等に基づき具体的に説明する。
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)で5時間粉砕し、得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。MnO原料としては四酸化三マンガンを、MgO原料としては水酸化マグネシウムを、SrO原料としては炭酸ストロンチウムをそれぞれ用いた。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、ロータリー式電気炉で、1050℃で3時間加熱し、仮焼成を行った。
次いで、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて平均粒径が4.1μmまで粉砕した後、水を加え、さらに湿式のメディアミル(縦型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて5時間粉砕した。このスラリーの粒径(粉砕の一次粒子径)をマイクロトラックにて測定した結果、D50は1.8μmであった。このスラリーに分散剤を適量添加し、適度な粘度とするために、バインダーとしてPVA(20%溶液)を固形分に対して0.4重量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、得られた粒子(造粒物)の粒度調整を行い、その後、ロータリー式電気炉で、700℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーといった有機成分の除去を行った。
その後、トンネル式電気炉にて、焼成温度1250℃、窒素ガス雰囲気下にて5時間保持した。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整を行い、磁力選鉱により低磁力品を分別し、平均粒径約80μmのフェライト粒子(キャリア芯材)を得た。
次に、T単位とD単位を主成分とする縮合架橋型メチル系シリコーン樹脂(重量平均分子量:約8000、T単位:85mol%、D単位:15mol%)を準備し、このシリコーン樹脂溶液10重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分としては2重量部、希釈溶媒:トルエン)にAl系触媒を樹脂固形分に対して2重量%、カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製EC600JD)を樹脂固形分に対して5重量%、それぞれ添加し、さらにトルエンを10重量部添加して、超音波ホモジナイザーにて3分間分散した。
上記フェライト粒子(キャリア芯材)100重量部を流動床タイプのコーティング装置に投入し、上記樹脂溶液を20g/分の速度で塗布した。このとき、流動床タイプのコーティング装置内に導入する空気の温度を60℃とし、相対湿度を18%とした。
全ての樹脂溶液を塗布した後、十分に乾燥させるために、3分間追加乾燥させた後、コーティング装置内から取り出し、容器に入れ、熱風加熱式のオーブンに入れ、220℃で2時間、加熱処理を行った。
その後、室温まで冷却し、樹脂が被覆、硬化されたフェライト粒子を取り出し、100Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
Al系触媒の含有量を樹脂固形分に対して4重量%とし、硬化温度を220℃、コーティング装置内の相対湿度を5%とした以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
硬化温度を250℃、コーティング装置内の相対湿度を8%とした以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
Al系触媒の含有量を樹脂固形分に対して4重量%とし、硬化温度を170℃、コーティング装置内の相対湿度を7%とした以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
比較例
(比較例1)
Al系触媒の含有量を樹脂固形分に対して4重量%とし、硬化温度を270℃、コーティング装置内の相対湿度を5%とした以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
(比較例2)
Al系触媒に代えてチタン系触媒を用い、その含有量を樹脂固形分に対して2重量%とし、硬化温度を180℃、コーティング装置内の相対湿度を7%とした以外は、実施例1と同様にして樹脂被覆フェライト粒子(電子写真現像剤用キャリア)を得た。
実施例1〜4及び比較例1〜2で用いたキャリア芯材、被覆樹脂(種類、被覆量)、触媒(種類、含有量)、硬化温度及びコーティング装置内の相対湿度を表1に示す。なお、コーティング装置内の相対湿度は、コーティング装置内に導入した熱風の相対湿度を示し、コーティング工程中の平均値を記載した。また、実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた樹脂被覆フェライト粒子の体積平均径、飽和磁化、見掛け密度、帯電量、樹脂皮膜強度及びNMR評価結果(T/D比及びT3/T2比)を表2に示す。体積平均径、飽和磁化、見掛け密度、帯電量及び樹脂皮膜強度の測定方法は、下記の通りである。また、NMR評価結果の評価方法は、上述した通りである。
(平均粒径)
平均粒径の測定は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)の取り扱い説明書に準じて測定される。ここで、分散媒には水を用いた。試料10gと水80mlを100mlのビーカーにいれ、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を2〜3滴添加する。次いで超音波ホモジナイザー(SMT.Co.LTD.製UH−150型)を用い、出力レベル4に設定し、20秒間分散を行った。その後、ビーカー表面にできた泡を取り除き、試料を装置へ投入した。
(飽和磁化)
磁化の測定は、積分型B−HトレーサーBHU−60型(株式会社理研電子製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
(見掛け密度)
JIS Z 2504に準拠して測定した。詳細は下記の通りである。
1.装置
粉末見掛密度計は漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成されるものを用いる。天秤は、秤量200gで感量50mgのものを用いる。
2.測定方法
(1)試料は、少なくとも150g以上とする。
(2)試料は孔径2.5+0.2/−0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ流れ出た試料が、コップ一杯になってあふれ出るまで流し込む。
(3)あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(4)コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量する。
3.計算
前項2−(4)で得られた測定値に0.04を乗じた数値をJIS−Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、「g/cm」の単位の見掛け密度とする。
(帯電量)
帯電量は、キャリアとトナーとの混合物を、吸引式帯電量測定装置(Epping q/m−meter、PES−Laboratoriumu社製)により測定し求めた。トナーは高速プリンターに使用されている市販の正極性トナーを用い、トナー濃度を5重量%に調整した。使用するステンレス網は400Mの目開きのものを用いた。キャリアの粒径が小さい場合は、キャリアがブローによって網を通過してしまうのを避けるために、適宜、網の目開きサイズを調整して使用する。(例えば、500Mや635Mを用いることができる。)吸引圧を100MPaとし、90秒間トナーを吸引して、90秒後の電荷量を吸引されたトナー量から帯電量を計算した。
(樹脂皮膜強度)
ブローオフ帯電量測定器(京セラケミカル社製TB−200)を用い、キャリアサンプルに窒素ガスを用いてブローした。このとき、サンプル量は0.5gとし、ステンレス網として400Mの目開きのものを用いた。キャリアの粒径が小さい場合は、キャリアがブローによって網を通過してしまうのを避けるために、適宜、網の目開きサイズを調整して使用する。例えば、500Mや635Mを用いることができる。セル内及びセルにセットされたステンレス網と、キャリアが摺れることによって、表面の皮膜樹脂が削られたキャリアと、上記操作を行わないキャリア粒子を、それぞれ下記に示す蛍光X線元素分析を用いて元素分析(Si及びFe)を行い、Si/Feの変化率(ブロー処理後の値/ブロー処理前の値)×100[%];ブロー後の樹脂皮膜の残存率を示している。)から、皮膜の削れ易さを評価した。数値が高いほど樹脂が硬く削れにくいことを示し、数値が低いほど樹脂が柔らかく削れ易いことを示す。ここで、実際に使用する現像機やトナーの種類によっても異なるが、経験的には、変化率の適正な範囲は40〜90%、好ましくは50〜80%である。40%未満では、削れ量が多すぎ、コア材表面の露出が著しく、90%を超えると削れ量が少なすぎ、トナースペントを十分に除去できない。
(蛍光X線元素分析)
キャリア表面近傍に存在する樹脂量を測定する方法として、蛍光X線元素分析装置による測定方法がある。蛍光X線元素分析装置は、表面から数μmに存在する元素の量を測定する方法として有効であることがわかっている。
測定装置としては株式会社リガク製ZSX100sを用いた。試料フォルダー上部に粘着テープを張り、粘着面にサンプルを均一に付着させる。サンプルが付着した面にX線が照射するように試料フォルダーにセットし、上記測定装置にて、SiとFeの測定を行った。
ここで、測定条件としては、Siについては、Si−Kα線を測定線とし、管電圧50kV、管電流50mA、分光結晶にPET、検出器としてPC(プロポーショナルカウンター)を用いた。FeについてはSiについては、Fe−Kα線を測定線とし、管電圧50kV、管電流50mA、分光結晶にLiF、検出器としてSC(シンチレーションカウンター)を用いた。
得られたそれぞれの蛍光X線強度を用い、強度比(Si強度/Fe強度)×100を計算した。そして、この強度比について、前述のブロー処理前後の変化率を求めた。
Figure 0005300055
Figure 0005300055
(評価)
表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜4に示した樹脂被覆フェライトキャリアは、11.7〜15μC/gと適度な帯電量が得られている。また、NMR分析によるT/D比及びT3/T2比が好ましい範囲にあり、適度な皮膜強度を持っていることがわかる。
これらのことから、実施例1〜4に示した樹脂被覆フェライト粒子は、適度に削れながらスペントを除去することができる皮膜強度が実現されており、同時に良好な帯電特性を持っているが示された。
従って、これらの樹脂被覆フェライト粒子をキャリアとして実際に使用した場合には、使用中にキャリア性能の劣化が少なく、帯電特性が安定しており、トナー飛散やカブリといった画像欠陥のない良好な画像品質が得られることが容易に想像される。
一方で、比較例1〜2に示した樹脂被覆フェライト粒子は、T/D比及びT3/T2比が好ましい範囲ではなく、比較例1では皮膜強度が非常に強いものであり、比較例2では皮膜強度が非常に弱いものとなった。
このため、比較例1で得られた樹脂被覆フェライト粒子をキャリアとして実際に使用した場合には、皮膜強度が極端に強いため、発生したスペントが除去されず帯電量が大きく低下し、トナー飛散やカブリといった画像欠陥を引き起こすことが容易に想像される。また、比較例2で得られた樹脂被覆フェライト粒子をキャリアとして実際に使用した場合には、皮膜強度が極端に弱いため、長期間の使用でキャリア芯材表面が露出し、電気的なリークが発生し、白斑等の画像欠陥が発生することが容易に想像される。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、適度な樹脂皮膜強度を有することから、電子写真現像剤として用いたときに、長期間の使用においてもキャリア表面へのトナーの融着が抑制でき、しかも所望の帯電量が得られ、トナー飛散やカブリといった画像欠陥のない良好な画像品質が得られる。
従って、本発明に係る電子写真現像剤用キャリア及びこれを用いた電子写真現像剤は、高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機等の分野に広く使用可能である。

Claims (9)

  1. キャリア芯材の表面にシリコーン樹脂を被覆した電子写真現像剤用キャリアであって、硬化後の該シリコーン樹脂の下記式(1)で示されるT2単位に対する下記式(2)で示されるT3単位の比(T3/T2)が5.0〜13.0であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
    Figure 0005300055

    Figure 0005300055
  2. 硬化後の上記シリコーン樹脂の下記式(3)で示されるD単位に対する上記T単位(T2単位+T3単位の合計)の比((T2+T3)/D)が5.0〜7.0である請求項1記載の電子写真現像剤用キャリア。
    Figure 0005300055
  3. 上記シリコーン樹脂がメチルシリコーン樹脂である請求項1又は2記載の電子写真現像剤用キャリア。
  4. 上記シリコーン樹脂の被覆量が、キャリア芯材に対して1.0〜5.0重量%である請求項1、2又は3記載の電子写真現像剤用キャリア。
  5. 上記シリコーン樹脂の硬化触媒としてAl系触媒を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  6. 上記Al系触媒を樹脂固形分に対して0.5〜7.0重量%含有する請求項5記載の電子写真現像剤用キャリア。
  7. 上記キャリア芯材がMn−Mg−Sr系フェライトからなる請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  8. 上記請求項1〜7のいずれかに記載のキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
  9. 補給用現像剤として用いられる請求項8記載の電子写真現像剤。
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