JP4590303B2 - 磁性体含有樹脂キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

磁性体含有樹脂キャリア及び二成分系現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法に用いられる現像材用の磁性体含有樹脂キャリア、及びこの磁性体含有樹脂キャリアとトナーとを含有する二成分系現像剤に関する。
電子写真法における静電荷像の現像工程は、帯電されたトナー粒子を、静電荷像の静電相互作用を利用して静電荷像上に付着させて画像を形成する工程である。静電荷像を現像するための現像剤には、磁性体を樹脂中に分散させてなる磁性トナーを含有する一成分系現像剤、および磁性キャリアと混合された非磁性トナーを含む二成分系現像剤とがある。特に、高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタ等のフルカラー画像形成装置では、二成分系現像剤が好適に用いられている。
近年、ITの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、小文字、写真またはカラー原稿等のさらなる高精細画像を出力する手段が要望されている。ヘビーユーザーは、多数枚の複写またはプリントによっても画質が低下しない性能(高耐久性)を要求している。またスモールオフィスや家庭からは、高画質な画像が得られることを要求されるとともに、省スペースの観点から装置の小型化、廃トナーの再利用もしくは廃トナーレスシステムの採用、また省エネルギーの観点から定着温度の低温化が要望されている。さらには、種々の転写材(メディア)に転写画像を出力したいという要望も強く、これらの目的を達成するため各々の観点から種々の検討が行われている。
また、フルカラー画像を出力する電子写真プロセスの現像システムの主流は、ロータリー現像システムから、高速化に対応しやすい感光ドラムが複数本並んだタンデム現像システムになってきている。タンデム現像システムは、中間転写体等を用いて転写材に一括転写するシステムであり、各種メディアへの画像出力を可能にしている。タンデム現像システムにおけるパーツは小型化され、また装置自体を小型化するためにクリーナーレスシステムも提案されている。もちろん、タンデム現像システムに用いられる現像剤も、高画質、高速高耐久、小型化にそれぞれ対応する必要がある。
前述したように、高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタ等のフルカラー画像形成装置では、二成分系現像剤が好適に使用される。高画質化のために、トナー粒子を小粒径化しかつ粒度分布をシャープにして、さらにキャリアを小粒径化した二成分系現像剤を、非接触で現像する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、トナーの小粒径化やキャリアの小粒径化は高画質化には効果があるものの、非接触現像方式の電子写真プロセスに適用されると、ベタ部での均一性に劣る画像を与える場合がある。また、小粒径化されたキャリア粒子の造粒は困難なことがあり、キャリア粒子同士が合一したり、微粉が生成したり、焼結が不十分となったりすることがある。
そのため小粒径化されたキャリアは強度が弱く、現像剤の流動性を低下させて、帯電不良を引き起こし、そしてカブリを生じさせることがある。また、キャリアの破砕により生成する微粉が感光体に付着して感光体を傷つけ、画像不良を引き起こす場合がある。
そこで、従来の鉄粉キャリアやフェライトキャリアなどに代わって、ポーラスなフェライト芯材に5〜25質量%の樹脂を含浸させて作製した樹脂含浸フェライトキャリア(例えば、特許文献2参照)や、磁性体微粒子を結着樹脂中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリアが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
樹脂含浸フェライトキャリアは樹脂含有量が多く比重が小さいため、粒度分布が適切に
コントロールされれば、耐久性に優れ、かつ高画質な画質を形成することができる二成分系現像剤のキャリアとなり得る。しかしながら、小粒径化された樹脂含浸フェライトキャリアは、やはり微粉の生成やキャリア同士の合一などによる異形の粒子が存在しやすい傾向がある。
一方、磁性体分散型樹脂キャリアは、樹脂含浸フェライトキャリアに比べて小粒径化しやすく、特に重合法で製造される磁性体分散型樹脂キャリアは球形化しやすいので、流動性にも優れる。よって、高画質化のための手段として好適に用いられる。また、真比重が小さいため、トナースペントに対しても有利であり、耐久性に優れるという利点も有している。
しかしながら、極小粒径化された磁性体分散型樹脂キャリアは、マクロな観点からは球形であるものの、ミクロな観点からは、磁性体をキャリア粒子から欠落させたり、大小の粒子の合一などを起こす場合がある。特に中間転写体を用いるシステムにおいては、略球形でないキャリア粒子は壊れやすく、さらに感光体表面に付着しやすい。磁性体や壊れた粒子が感光体表面に付着すると、中間転写体がキズつけられることによって、中間転写体上でのトナー像の重ね合わせが不良となり、より画像欠陥が顕著となりやすい。
そこでキャリア表面を、微粉を含む樹脂で被覆して、その樹脂に含まれる微粉の量、および磁化の強さをコントロールすることにより、帯電性、耐久性、キャリア付着防止能等を向上させる提案がなされている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、小粒径化されたキャリアの感光体への付着は、キャリアをコートする樹脂に含まれる微粉の量や磁化の強さをコントロールするだけでは十分には抑制されない。また、小粒径化されたキャリアの、低温定着に好適に用いられるトナーによる汚染(トナースペント)も、まだ十分には抑制されない。さらに、小粒径化されたキャリアは、クリーナーレスシステムなどに採用されるトナーの耐久劣化を防止する能力も、まだ充分には有していない。
特公平6−90543号公報 特開2003−156887号公報 特許第3284488号公報 特開2002−91090号公報
本発明は、磁性体含有樹脂キャリアであって、該キャリアを含む二成分系現像剤が中間転写体を用いる画像形成方法に適用されても、感光体表面に付着することなく、画像欠陥のない高画質画像を与えることができるキャリアを提供する。さらに、それを含む二成分系現像剤を提供することを課題とする。
また本発明は、二成分系現像剤に含まれる磁性キャリアであって、低温定着性に優れるトナー、または高速出力に優れるトナーの劣化を防止し、長期にわたって安定した画像を出力させるキャリア、および該キャリアを含む二成分系現像剤を提供することを課題とする。
さらに本発明は、二成分系現像剤に含まれる磁性キャリアであって、該二成分系現像剤がクリーナーレスシステムの画像形成方法に適用されても、トナーを劣化させることなく、長期にわたって安定した画像を出力することができる磁性体含有樹脂キャリア、およびそれを含む二成分系現像剤を提供することを課題とする。
本発明者は、ある程度の磁化の強さを有する小粒径化されたキャリアであって、粒子表
面に凹部を有するキャリア(これを「異形粒子」とも称する)の存在率が一定以下となるように形状が制御されたキャリアが、以下の特徴を有することを見出した。1)異形粒子の割れや、磁性体が脱離した粒子のキャリア付着が防止されている、2)そのため、感光体および中間転写体などの部材を傷つけにくい、3)さらに画像欠陥を抑制することができる。
また、前記キャリアに担持され得るトナーの量は従来よりも多いので、該キャリアを含む二成分系現像剤は、高画質画像を与えることができ、さらにトナーの劣化を防止することもできる。
すなわち、本発明は以下に示す磁性体含有樹脂キャリアに関する。
[1] 樹脂および磁性体を含有するキャリアコアを含む、磁性体含有樹脂キャリアであって、
真比重が2.5〜4.0g/cmであり、体積分布基準の平均粒径(D50)が15μm以上25μm未満であり、10000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜80Am/kgであり、平均円形度Cが0.850〜0.950であり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.200の関係を満足し、かつ走査電子顕微鏡で1000倍に拡大された投影形状に凹部を有するキャリアの存在率が20.0個数%以下である、ことを特徴とする磁性体含有樹脂キャリア。
[2] 前記磁性体は、前記樹脂に分散されている、[1]に記載のキャリア。
[3] 前記磁性体は、前記樹脂を含浸する多孔質磁性体である、[1]に記載のキャリア。
[4] 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のキャリア。
[5] 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、シリコーン系樹脂を含むことを特徴とする、[4]に記載のキャリア。
[6] 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、フッ素系樹脂を含むことを特徴とする、[4]に記載のキャリア。
[7] 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、個数平均粒径10〜500nmの微粒子を含有することを特徴とする、[4]〜[6]のいずれかに記載のキャリア。
[8] 前記微粒子が、個数平均粒径100〜500nmの無機材料及び/又は架橋樹脂からなる微粒子を含むことを特徴とする、[7]に記載のキャリア。
[9] 前記微粒子が、個数平均粒径100〜500nmの無機材料及び/又は架橋樹脂からなる微粒子、ならびに個数平均粒径10〜500nmの導電性粒子を含むことを特徴とする、[7]に記載のキャリア。
さらに本発明は、以下に示す二成分系現像剤に関する。
[10] トナーおよびキャリアを含有する二成分系現像剤であって、
前記トナーはポリエステルユニットを主成分とする樹脂、および着色剤を含有し、重量平均粒径が4.0〜8.0μmであり、かつ平均円形度が0.920〜1.000であって、
前記キャリアは[1]〜[9]のいずれかに記載のキャリアである、ことを特徴とする二成分系現像剤。
[11] トナーおよびキャリアを含有する二成分系現像剤であって、
前記トナーは、直接重合法もしくは水系媒質中より得られる、ビニル系樹脂を主成分とする粒子を含有し、重量平均粒径が4.0〜8.0μmであり、平均円形度が0.960〜1.000であり、
前記キャリアは[1]〜[9]のいずれかに記載のキャリアである、ことを特徴とする二成分系現像剤。
本発明のキャリアは、感光体などへの付着が抑制されており、またトナーを劣化させにくいので、二成分系現像剤の成分として用いられることにより、高画質画像を与えることができ、長期にわたって安定した画像を与えることができる。
<本発明の磁性体含有樹脂キャリアについて>
本発明の磁性体含有樹脂キャリア(以下、単に「キャリア」と表記することもある)は、キャリアの核となるキャリアコアを含有することを特徴とするが、必要に応じてこのキャリアコアを被覆するコート層を含む。
本発明のキャリアに含まれるキャリアコア(以下、単に「キャリアコア」とも称する)は、樹脂および磁性体を含む。本発明のキャリアは、多孔質磁性体(多孔質フェライトを含む)に樹脂が含浸された、いわゆる樹脂含浸キャリアであっても良く、磁性体が樹脂に分散されている磁性体分散型樹脂キャリアであってもよいが、好ましくは磁性体分散型樹脂キャリアである。
前記磁性体の例には、1)表面が酸化された、または未酸化の鉄粉、2)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類元素などの金属粒子、これらの合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、3)マグネタイト、もしくはフェライトの微粒子などが含まれる。前記磁性体の好ましい例には、マグネタイト微粒子又は銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム、マグネシウム元素から選ばれる一種以上の元素を少なくとも含む磁性フェライト微粒子が含まれる。
樹脂含浸キャリアにおいては、キャリアコアに含まれる磁性体(多孔質磁性体)の体積分布基準の平均粒径(D50)は、キャリア粒径にほぼ相当する粒子径であればよく、10μm以上25μm未満であることが好ましい。樹脂を適切に含浸することができるので、過剰量の樹脂による凹部が存在するキャリア(異形粒子)の発生を抑えることができ、さらにキャリアに適度な円形度を付与することができるからである。
一方、磁性体分散型樹脂キャリアにおいては、キャリアコアに含まれる磁性体の個数平均粒径は、約80〜800nmであることが好ましい。前記個数平均粒径を前記範囲に調整することにより、磁性体の樹脂からの脱離が抑制される。さらに、磁性体の粒径を上記の範囲に調整すると、キャリアを造粒するときに磁性体が凝集するのを抑制することができるので、表面に凹部が存在するキャリア(異形粒子)の存在率を低減することができる。
樹脂含浸キャリアのキャリアコアに含まれる磁性体の体積分布基準の平均粒径(D50)は、キャリア粒子の測定に準じて測定され得る。
一方、磁性体分散型樹脂キャリアのキャリアコアに含まれる磁性体の個数平均粒径は、以下の手順で測定される。
ミクロトーム等により切断されたキャリアの断面を、走査電子顕微鏡(50,000倍)で観察し、粒径が5nm以上の粒子をランダムに300個以上抽出する。抽出された各粒子の長軸と短軸の長さをデジタイザにより測定する。測定された長軸と短軸の長さの平均値を粒径とし、300個以上の粒子の粒径分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95(単位:nm),・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムを用いる)のピークになるカラムの中心値の粒径を個数平均粒径とする。
後述の、キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径も上記と同様にして測定される。
また、磁性体または非磁性無機化合物の個数平均粒径は、原材料の(樹脂に含まれていない状態の)磁性体または非磁性無機化合物を、透過電子顕微鏡(TEM)(50,00
0倍)で観察し、上記の方法と同様にして求められうる。
前記キャリアコアに含まれる磁性体の磁化の強さは、10000/4π(kA/m)の磁界下において50〜90Am/kgであることが好ましい。キャリアに、良好な磁気搬送力や拘束力を付与するためである。
前記キャリアコア中の磁性体の含有量は、キャリア全体に対して70〜95質量%であることが好ましく、80〜92質量%であることがより好ましい。キャリアの真比重を小さくし、かつキャリアの機械的強度を十分に確保するためである。
また前記キャリアコアは、重合性モノマーを、磁性体である微粉の存在下で重合させて製造され得るが、このときに、磁性体である微粉が分散剤の役割を果たし、粒子の合一を抑制し、表面に凹部を有するキャリアの形成を抑えることができる。このような効果を得るため、前記キャリアコア中の磁性体の含有量を、前記の通りとすることが好ましい。
前記キャリアコアは、磁性体とともに非磁性無機化合物などを含有することができる。非磁性無機化合物などを含有させることにより、キャリアの磁気特性や比抵抗を調整することができる。
キャリアの比抵抗値を高めるためには、1)キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の比抵抗値を、前記磁性体の比抵抗値よりも大きくすることが好ましく、また2)キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径を、前記磁性体の個数平均粒径よりも大きくすることが好ましい。前記キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径は、100〜1000nmであることが好ましい。(測定法については前述の通りである)。
キャリアコアに含まれ得る非磁性無機化合物の好ましい例には、ヘマタイト(α−Fe)微粒子などが含まれる。キャリアの磁気特性、真比重を適切に調整するためである。
前記キャリアコアが、非磁性無機化合物と磁性体とを含む場合、「磁性体および非磁性無機化合物の総質量」に対する磁性体の質量の比率は、50〜95%であることが好ましい。キャリアの磁化の強さを調整して、キャリアの感光体などへの付着を防止し、さらにキャリアの比抵抗値を調整するためである。
前記キャリアコアに含まれる樹脂の例には、ポリマー鎖中にメチレンユニットを有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂及びポリエーテル樹脂などが含まれる。前記樹脂は、これらの樹脂の一種単独であっても、二種以上の混合樹脂であってもよい。
前記ビニル樹脂を形成するためのビニル系モノマーの例には、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの不飽和モノオレフィン;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等などのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ド
デシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル;マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;アクロレインなどが含まれる。これらのビニル系モノマーの1種又は2種以上を重合させて得られるビニル樹脂が、前記樹脂として用いられる。
キャリアコアの製造方法については、後述のキャリアの製造方法とあわせて説明した。
<キャリアコアを被覆する樹脂コート層>
前述の通り本発明のキャリアは、キャリアコアとともに、該キャリアコアの表面を被覆する樹脂コート層を含んでいてもよい。すなわち、前記キャリアコアは樹脂によって被覆されていてもよい。キャリアコアの表面をコートする樹脂は、絶縁性樹脂であることが好ましい。この絶縁性樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
前記キャリアコアの表面を被覆する熱可塑性樹脂の例には、ポリスチレン;ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;ポリフッ化ビニリデン樹脂;フルオロカーボン樹脂;パーフロロカーボン樹脂;溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;石油樹脂;セルロース;酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;ノボラック樹脂;低分子量ポリエチレン;飽和アルキルポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルケトン樹脂などが含まれる。
前記キャリアコアの表面を被覆する熱硬化性樹脂の例には、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが含まれる。
また、前記キャリアコアの表面を被覆する樹脂は、熱可塑性樹脂を硬化剤等により硬化させた硬化樹脂であってもよい。
前記キャリアコアの表面を被覆する樹脂は、一種類の樹脂であってもよく、二種以上の樹脂の組み合わせでもよい。
後述の通り、本発明のキャリアはトナーと組み合わされて二成分系現像剤として用いられ得るが、ここで組み合わされるトナーが小粒径である場合には、前記キャリアコアの表
面を被覆する樹脂はより離型性の高い樹脂であることが好ましい。離型性の高い樹脂の例には、シリコーン樹脂およびフッ素系樹脂などが含まれる。
シリコーン樹脂は、キャリアコアとの密着性やトナースペントの防止の観点から好ましく用いられる。用いられるシリコーン樹脂は、その官能基がメチル基またはフェニル基であるものが好ましい。また、シリコーン樹脂は架橋樹脂であることが好ましい。さらに、1の有機基R(メチル基またはフェニル基など)を有する、架橋を形成する3官能基(T単位)と、2の有機基Rを有する2官能基(D単位)の比率が98:2〜70:30(さらに好ましくは、98:2〜85:15)であるシリコーン樹脂が、上述した密着性と耐スペント性とを両立するために好ましい。
前記キャリアコアの表面は、直接シリコーン樹脂で被覆されてもよいが、樹脂コート層の強度を高めて、トナーの帯電状態を適切に制御するためには、予めカップリング剤でキャリアコアの表面を処理しておくことが好ましい。カップリング剤がいわゆるプライマー剤として作用して、その後に形成された樹脂コート層が、共有結合によりキャリアコアとより密着性の高いコート層となることができる。
カップリング剤の好ましい例にはアミノシランが含まれる。アミノシランをカップリング剤として用いることにより、ポジ帯電性を有するアミノ基がキャリア表面に導入され、トナーに好ましい負帯電特性を付与することができる。
前述の通り、キャリアコアを被覆する樹脂はフッ素系樹脂でありうる。フッ素系樹脂の例には、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレンなどのパーフルオロポリマー;ポリテトラフルオロエチレン;ポリパーフルオロプロピレン;フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体;フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体;フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体;フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体などが含まれる。
キャリアコアを被覆するフッ素系樹脂の好ましい例には、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルを、エステル部位に有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体が含まれる。
一般式(1)において、mは1〜11の整数であることが好ましい。一般式(1)においてmが0の場合には、キャリアに離型性を付与するのが難しく、11を超える場合には樹脂が溶媒から析出しやすく、被覆する際に良好なコート層が得にくくなる。mが5〜9であると、キャリアに良好なトナー離型性を付与し、コート層の製膜性も高いためにより好ましい。
さらにキャリアコアを被覆するフッ素系樹脂の好ましい例には、キャリアコアとの密着性に優れるという理由から、下記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基を、エステル部位に有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体が含まれる。
一般式(2)において、mは1〜11の整数を示し、nは1〜0の整数を示す。
キャリアコアを被覆するフッ素系樹脂の好ましい例には、キャリアからのトナー離れの点から、下記一般式(3)で表される重合構造単位および下記一般式(4)で表される重合構造単位を含む樹脂が含まれる。
キャリアコアを被覆するフッ素系樹脂の特に好ましい例には、一般式(3)および一般式(4)の構造単位を含む共重合体ユニットと、分子量2,000〜20,000程度のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート等のマクロモノマーとがグラフト共重合されて形成される樹脂が含まれる。このような樹脂でキャリアコアを被覆することにより、キャリアのトナー離れの特性が長期間にわたって維持され得る。
キャリアコアを被覆するフッ素系樹脂が熱可塑性樹脂である場合は、該熱可塑性のフッ素系樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分の重量平均分子量は、20,000〜300,000であることが好ましい。得られるキャリアの強度、コート材とキャリアコアとの密着性、及びキャリアコアへの該熱可塑性樹脂の付着性を高めるためである。ここで重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。
また、キャリアコアを被覆する熱可塑性のフッ素系樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とするGPCにより得られる分子量分布図において、分子量2,000〜100,000の領域にメインピークを有することが好ましく、さらに分子量2,000〜100,000の領域にサブピークまたはショルダーを有することが好ましい。また、キャリアコアを被覆する熱可塑性のフッ素系樹脂は、前記分子量分布図において、分子量20,000〜100,000の領域にメインピークを有し、かつ分子量2,000〜19,000の領域にサブピークまたはショルダーを有することがさらに好ましい。
前記分子量分布を満足する熱可塑性のフッ素系樹脂により被覆されているキャリアは、二成分系現像剤の成分として小粒径のトナーと組み合わされた場合に、該二成分系現像剤の現像耐久性、トナーの帯電安定性、トナー外添剤のキャリア粒子表面への付着防止性を更に向上させ、多数枚の現像を可能とする。
また、キャリアコアを被覆する熱可塑性のフッ素系樹脂はグラフト重合体であってもよい。グラフト重合体であるフッ素系樹脂の、グラフト重合体の幹の重量平均分子量は15,000〜200,000であり、枝の重量平均分子量は3,000〜10,000であることが好ましい。グラフト重合体の重量平均分子量は、グラフト重合体の幹の部分の重合条件や、グラフト重合体の枝の部分の重合条件によって調整され得る。
キャリアコアを被覆する樹脂コート層の樹脂の量は、キャリアコアの種類に応じて適宜に調整される。
例えば、磁性体が樹脂中に分散されているキャリアコアを被覆する樹脂コート層の樹脂の量は、キャリアコア100質量部に対して0.3〜4.0質量部であることが好ましい。キャリアからのトナー離れや凹部を有する粒子の発生を抑えるためであり、さらにコート樹脂中に微粒子を添加し、その微粒子によりキャリア表面へ微小な突起を形成するためである。前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層の樹脂の量が0.3質量部より少ないと、耐久使用された場合に、キャリアのトナーへの良好な帯電付与が行えなくなり、また微粒子が保持されず脱落するなどの問題を生じさせる場合がある。前記樹脂コート層の樹脂の量が4.0質量部を超えると、樹脂をキャリアコア表面に均一に被覆しにくくなり、チャージアップが起こったり、コア表面が露出してその露出部分でトナースペントが生じたりする場合がある。また、キャリア粒子の合一や、コートムラによる異形粒子を生じやすくなり、キャリアが感光体へ付着する場合がある。良好なトナー離れを得るため、前記樹脂の量は0.5〜3.5質量部であることがより好ましい。
一方、ポーラスフェライトであるキャリアコアを被覆する樹脂コート層の樹脂は、キャリアコアに充填された樹脂と同じ樹脂であっても異なる樹脂であってもよい。キャリアコアに充填される樹脂とキャリアコアを被覆する樹脂コート層の樹脂の総質量は、キャリア全体に対して5〜20質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましい。適度な円形度を持たせつつ、キャリア表面の凹部を少なくするためである。
前述の通り、キャリアコアを被覆する樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により、以下の手順で測定される。前述のキャリアの樹脂やトナーの樹脂の分子量も、この測定手順により測定されることができる。
40℃のヒートチャンバー中で安定化されたカラムに、テトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料である樹脂の濃度が0.05〜0.6質量%に調整されたTHF試料溶液を、50〜200μl注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。用いるカラムは、10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、複数の市販のポリスチレンゲルカラムの組み合わせであることが好ましく、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせが好ましい。
分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東ソー(株)製の、分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
なお、測定対象である樹脂コート層の樹脂(樹脂コート材)は、キャリアの樹脂コート層の製造原料である樹脂であってもよく、樹脂コート層を含むキャリア(濃度10質量%)が添加されたメチルエチルケトン液を、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)で2分間分散処理して、目開き0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより得られた濾液の乾燥物であってもよい。
本発明のキャリアのキャリアコアを被覆する樹脂コート層には、微粒子が含有されていてもよい。含有される微粒子は、キャリア表面の微小な凹凸を制御して、キャリアからのトナー離れを良好にさせ得る。含有される微粒子の個数基準の粒径分布は、10〜500nmにピーク値を有することが好ましい。
キャリアコアを被覆する樹脂コート層における前記微粒子の含有量は、コート樹脂の種類に応じて適宜調整される。例えば、樹脂コート層の樹脂がシリコーン樹脂である場合、該シリコーン樹脂100質量部に対して、微粒子1〜40質量部の割合で含有されることが好ましい。
本発明のキャリアの樹脂コート層に含まれる微粒子は、有機材料および無機材料のいずれの微粒子であってもよいが、キャリアコアを被覆する際に、微粒子の形状を保持することができる強度を有していることが好ましい。したがって、前記微粒子の好ましい例には、架橋樹脂微粒子および無機微粒子が含まれる。
架橋樹脂微粒子を形成する架橋樹脂の例には、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂が含まれる。無機微粒子の例には、シリカ、酸化チタン、及びアルミナ等の微粒子から選ばれる一種又は二種以上の混合微粒子が含まれる。
本発明のキャリアのキャリアコアを被覆する樹脂に含まれる微粒子は、無機微粒子であることが好ましく、シリカ、酸化チタン、及びアルミナ等の微粒子から選ばれる一種又は二種以上の混合微粒子であることがさらに好ましい。トナーとの離型性を良好にするためである。
さらに該微粒子は、ゾル−ゲル法により製造されたシリカ微粒子が特に好ましい。キャリアコアを被覆する樹脂の耐久性を上げて、キャリアのトナー離れ、およびトナー帯電性を長期にわたって良好に維持するためである。
ゾル−ゲル法により製造されたシリカ微粒子は、粒度分布が非常にシャープであり、トナー表面に均一で微小な微細突起を形成することができ、トナー離れおよび長期間にわた
って表面離型性を維持することができる。ゾル−ゲル法によるシリカ微粒子の製造は、一般的な合成プロセスに準じて行えばよい。例えば、原料であるアルコキシドに、水またはアルコールを加えて、均一な粒子径の粒子が液体に分散した状態の「ゾル」を得る。得られたゾルを加水分解して透明な「ゲル」として、ゲルを乾燥、加熱処理してアルコールや水分を取り除くことにより、シリカ微粒子を得ることができる。得られたシリカ微粒子は、必要によっては疎水化処理、オイル処理等されてもよい。
本発明のキャリアの樹脂コート層に含まれる微粒子の最大ピーク粒径は、樹脂中における含有量にもよるが、個数基準で100〜500nm(より好ましくは150〜400nm)であることが好ましい。キャリア表面の微小な凹凸を形成し、トナー離れを良好にするためである。
本発明のキャリアの樹脂コート層に含まれる微粒子の最大ピーク粒径は、以下の手順で測定されることができる。また、後述の樹脂コート層に含まれる導電性微粒子の最大ピーク粒径も同様に求められる。
樹脂コート層の樹脂が可溶な溶媒(トルエンなど)で、樹脂コート層を有するキャリアを洗浄することにより、キャリアから分離された成分を、走査電子顕微鏡(50,000倍)で観察し、粒径が5nm以上の微粒子をランダムに500個以上抽出する。抽出された粒子の長軸と短軸をデジタイザにより測定し、長軸と短軸の平均値を微粒子の粒径とする。抽出された500個以上の微粒子の粒径の分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95(単位:nm),・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムを用いる)のピークになるカラムの中心値の粒径を最大ピーク粒径とする。
樹脂コート層に含まれる微粒子の最大ピーク粒径は、原材料である(樹脂コート層に含まれていない状態の)微粒子の最大ピーク粒径と同一であるとみなされてもよい。原材料である微粒子の最大ピーク粒径は、走査電子顕微鏡の代わりに透過電子顕微鏡(TEM)(50,000倍)で観察すること以外は、上記と同様にして求めることができる。
本発明のキャリアの樹脂コート層は、前記微粒子に加えて、さらに導電性微粒子を含んでいてもよい。キャリアコアを被覆する樹脂に含まれる導電性微粒子の比抵抗は、1×10Ω・cm以下であることが好ましく、1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。導電性微粒子の比抵抗は、後述のキャリアの比抵抗の測定と同様にして求めることができる。
導電性微粒子は、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、および酸化錫から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を含む。導電性微粒子の好ましい例にはカーボンブラック微粒子が含まれる。カーボンブラック微粒子は、その粒径をより小さくされ得るので、微粒子によるキャリア表面の微細突起の形成を阻害することがなく、好ましく用いられる。
導電性微粒子の粒径は、個数基準で10〜500nm(より好ましくは20〜200nm)にピーク値を有することが好ましい。キャリア表面の残留電荷を良好に除去し、且つキャリアからの脱離を良好に防止するために好ましい。導電性微粒子の粒径は、前述の磁性体の粒径の測定と同様にして測定される。
本発明のキャリアの樹脂コート層は、樹脂100質量部に対して、1〜40質量部の前記微粒子および1〜15質量部の導電性微粒子を含有することが好ましい。キャリアの比抵抗を下げすぎず、かつキャリア表面の残留電荷を除去するためである。
本発明のキャリアは、トナーと共に二成分系現像剤として用いられることが好ましい。該二成分系現像剤については、後に詳細に説明する。
<本発明の磁性体含有樹脂キャリアの物性について>
本発明のキャリアは、以下の物性を有することが好ましい。
1) 真比重が2.5〜4.0g/cmである。
2) 体積分布基準の平均粒径(D50)が15μm以上25μm未満である。
3) 10000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜80Am/kgである。
4) 平均円形度Cは0.850〜0.950であり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.200の関係を満たす。
5) 走査電子顕微鏡で1000倍に拡大された投影形状に凹部を有するキャリアの存在率が20.0個数%以下である。
これらの要件を満足する本発明のキャリアは、二成分系現像剤の成分として用いられると、感光体へ付着しにくく、トナーを劣化させにくい。そのため、本発明のキャリアを含む二成分系現像剤は、高画質画像を、長期にわたって安定して形成させることができる
凹部を有するキャリアの比率について
本発明者は、後述するような重合法により、小粒径(例えば、平均粒径が25μm未満)であって、かつ略球形で均一なキャリアを製造することができることを見出した。しかしながら、得られたキャリアを耐久使用すると、感光体や中間転写体が傷つけられることがあることもわかった。この感光体や中間転写体が傷つけられる原因は、感光体上に無数の略球形でないキャリアが付着するためであることも見出した。
当該略球形でないキャリアは、二成分系現像剤の成分として使用される前から(すなわち「製造された時点で」)、表面に凹部を有するキャリア(異形粒子キャリア)であることを突き止めた。さらに、キャリアの粒径が小さくなるほど、異型粒子が感光体に付着しやすく、かつ感光体などを傷付けやすいことを見出した。
前述の通り、表面に凹部を有するキャリアは感光体などを傷つけやすいことがわかったが、ここでキャリア表面における凹部の有無は、SEM写真を用いて判別することができる。以下、キャリア表面における凹部の有無について、図面を用いて説明する。
図8にキャリアのSEM像を示す。このSEM像において、撮影方向から見た粒子の輪郭を、本発明のキャリアの「投影形状」とする。この投影形状から、キャリア表面の凹部の有無を判断する。
図1は凹部のないキャリアの投影形状である。一方、図2〜図4はそれぞれ、表面に凹部を有するキャリアの投影形状の例である。表面に凹部を有するキャリアには、キャリアコアを複数含むキャリア、および割れを生じているキャリアなどが含まれる。
図2を用いて凹部の説明をする。粒子上の任意の2点の頂点(例えば点aと点b)を選択し、その2点を結ぶ直線(直線ab)を想定する。この直線abに対して粒子中心側にキャリア粒子表面があるキャリアを選択する。さらに選択されたキャリアであって、以下のいずれかの条件を満たすキャリアが「表面に凹部を有するキャリア」と定義される。
任意の頂点a、bを結ぶ直線abから、粒子表面において線分abから最も離れた点におろした垂線1と粒子表面の交点をc;垂線1と線分abの交点をdとしたときに、
1)線分abが2〜10μmであるとき、線分の長さの比cd/abが0.25以上である場合、または
2)線分abが10μmを超えるとき、比cd/abが0〜1である場合。
表面に凹部を有するキャリアは、その形状が異形であるためトナーのカウンターチャー
ジが貯まりやすく、それにより感光体に付着することがある。また、強度が弱いために割れやすく、割れることによって生成した微粒子(磁性粒子を含む)も、感光体に付着することがある。
特に、表面に凹部を有するキャリアの比率が、キャリア全個数に対して20.0個数%を超えると、感光体や中間転写体への付着が顕著になり、他の部材との摺擦によりキズが大量に発生する。
一方、前記比率が20.0個数%以下であるキャリアは、キャリア割れの発生の頻度が少ない。これは、キャリア割れが、キャリアの突起部分同士がぶつかることによって生じるためであると考えられる。凹部を有するキャリアの存在率がある程度以上になると、異型のキャリア同士がぶつかる確率が級数的に増大するため、キャリア割れの発生も飛躍的に増大すると考えられる。
したがって、本発明のキャリアに含まれる表面に凹部を有するキャリアの比率は、キャリア全体に対して、15.0個数%以下であることがより好ましく、10.0個数%以下であることがさらに好ましい。
本発明のキャリアに含まれる、表面に凹部を有するキャリアの比率は、例えば以下の手段によって調整されることができる。
1) 詳細については後述するが、キャリアコアを重合法により製造する際に、a)適切なモノマーの選択、b)溶媒中の溶存酸素量の制御、およびc)撹拌条件の制御により、円形に近い楕円状であって、表面の凹部が極力低減されたキャリアコアを得ることができる。このキャリアコアを用いることにより、小粒径化され、表面に凹部を有する比率を低いキャリアを得ることができる。
2) また、キャリアコアとして多孔質フェライトコアを用いる場合には、多孔質フェライトコアを以下のようにして得ることで、略球形であって凹部が少ないキャリアを製造することができる。
粒径を0.1〜0.6μmに揃えられた原料フェライト、フェライトに対して3〜15質量%の空孔調整剤(例えばCaCO)、バインダー、水および有機溶媒等を混合する。スプレードライヤー法を用いて粒子を造粒した後、ロータリーキルンや回分式焼成炉で700〜1400℃(好ましくは800〜1200℃)の範囲の温度で焼成する。焼成された粒子を、篩分級して粒子を得る。得られた粒子は、粒子同士の凝集が防止されている。得られた粒子に樹脂を充填することにより、略球形であって、凹部を少なくされたキャリアコアを得ることができる。
凹部を有するキャリアの存在率の測定
本発明のキャリアにおける、表面に凹部を有するキャリアの存在率は、走査電子顕微鏡で1000倍に拡大されたキャリアの投影形状から求めることができる。
図8に示されるような走査電子顕微鏡(SEM)画像のSEM撮影方向から見た粒子の輪郭よりキャリア粒子表面の凹部を判断する。ランダムに選択された500個のキャリア粒子の、走査電子顕微鏡(1,000倍)で得られた投影画像を、さらに8倍に拡大コピーする。各キャリア粒子の投影画像について、前述のようにして凹部を有するか否かを判断する。凹部を有すると判断されたキャリア粒子の個数を、全粒子数(500個)で除して、「凹部を有するキャリアの存在率」(個数%)を算出する。
体積分布基準の平均粒径(D50)について
前述のとおり本発明のキャリアは、15μm以上25μm未満の体積分布基準の平均粒径(D50)を有することを特徴とする。従来のキャリアよりも小粒径化されている本発明のキャリアは、それを含む二成分系現像剤のトナー濃度を高め、潜像に対して多量のトナーを供給することができる。従って、本発明のキャリアを用いることにより、高画質化が計れるとともに、トナーへのストレスを減じることができる。
体積分布基準の平均粒径(D50)が15μm未満のキャリアを製造しようとすると、
造粒時の撹拌スピードを速くする必要があるため、粒子同士の合一が生じる場合があり、形状が略球形になりにくく、凹部を有する粒子になりやすい。また、過剰に粒径が小さいため、感光体へ付着しやすく、カブリ取り電圧のラティチュードが狭くなり、良好な画像が得られない場合もある。
本発明のキャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)は、さらなる高画質化と耐久安定性のために、15μm以上23μm以下であることが好ましく、17μm以上22μm以下であることがより好ましい。
本発明のキャリア及び多孔質磁性体コアの体積分布基準の平均粒径(D50)は、測定範囲がサブミクロンから数百ミクロンの測定レンジを持つものであれば、乾式または湿式のレーザー回折式の粒度分布計を用いて測定され得る。レーザー回折式の粒度分布計の例には、レーザー回折式粒度分布測定器SALD−3000(島津製作所製)が含まれる。
磁化の強さについて
本発明のキャリアの、10000/4π(kA/m)(10000エルステッド)の磁界下で測定される磁化の強さ(σ10000)は、40〜80Am/kgであることが好ましく、50〜70Am/kgであることがより好ましく、55〜65Am/kgであることがさらに好ましい。前記範囲の磁化の強さ(σ10000)を有するキャリアの、感光体への付着は抑制されるので、該キャリアを含む二成分系現像剤は耐久使用性が高められている。
前記磁化の強さ(σ10000)が80Am/kgを超えるキャリアは、現像剤磁気ブラシ中でトナーへ与えるストレスが大きく、トナーを劣化させやすい場合がある。また前記キャリアは、トナースペントを受けやすい場合がある。また、磁化の強さ(σ10000)が40Am/kg未満であるキャリアは、現像スリーブへの磁気的拘束力が弱いため、略球形キャリアであっても感光体に付着しやすく、カブリ取り電圧のラティチュードを狭めることがある。
本発明のキャリアの磁化の強さは、含有される磁性体の種類及び量を適宜選択することにより、調整され得る。
本発明のキャリアの磁化の強さは、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて、以下の手順で測定されることができる。円筒状のプラスチック容器にキャリアを十分に密に充填し、一方で10000/4π(kA/m)(10000エルステッド)の外部磁場を作り、この状態で容器に充填されたキャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、該容器に充填したキャリアの実際の質量を測定して、キャリアの磁化の強さ(Am/kg)を求める。
平均円形度について
本発明のキャリアの平均円形度Cは、0.850〜0.950であることが好ましく、0.870〜0.930であることがより好ましく、0.880〜0.920であることがさらに好ましい。平均円形度は粒子の丸さの形状を表す係数であり、粒子の最大径と計測した粒子投影面積から求められる。平均円形度が1.000であれば真球状(真円)であることを示し、数値が小さくなるほど細長い、あるいは不定形な形状であることを示す。
本発明のキャリアは、略球状からある程度の楕円状(すなわち、平均円形度が0.850以上)の形状を有するので、十分なキャリア強度を有し、トナーへの帯電付与性に優れ、かつトナーへダメージを与えにくく、トナースペントも起こりにくく、耐久性に優れる。
また、平均円形度Cと、「円形度が積算値で30%になる値」であるC30との間に、0≦(C−C30)≦0.200の関係を満足していることがトナーの保持能力が高く、
かつトナーへのダメージを与えにくくするため好ましい。
「円形度が積算値で30%になる値」とは、円形度を測定された粒子のうち、円形度の小さいものから30個数%目にあたる粒子の円形度を意味する。例えば、図9には1961個の粒子の円形度を測定した結果の例が示されており、図9における30%値の欄に示された値がC30である。
「C−C30」を調整することにより上記の効果が得られるのは、以下の理由によると考えられる。楕円の長軸短軸比が大きいキャリアや、異形のキャリアは、キャリア同士が衝突した場合に、キャリアの凸部分に存在するトナーへ大きなストレスを与える。また、楕円の長軸短軸比が大きいキャリアや、異形のキャリアの凸部分にはトナーを保持しにくい。一方、平均円形度Cより高い円形度を有するキャリアはこれらの心配がない。したがって、平均円形度C以下の円形度を有するキャリアの存在を抑制することが重要である。「C−C30」は、平均円形度C以下の円形度を有するキャリアの存在量の目安であり、0≦(C−C30)≦0.200とすることにより、上記の効果を得ることができる。
キャリアの平均円形度Cは、体積基準の平均円形度であることが好ましい。体積基準の平均円形度Cは、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定される。
約1%NaCl水溶液とグリセリンとを、50体積%:50体積%で混合した溶液を電解液として用いる。ここでNaCl水溶液は、一級塩化ナトリウムを用いて調製されればよく、例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。グリセリンは、特級あるいは一級の試薬であればよい。
電解液(約30ml)に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜1.0mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料が懸濁された電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理して、分散液を得る。
アパーチャーとして200μmアパーチャー、20倍のレンズを用いて、以下の測定条件で円相当径および円形度を算出する。
測定フレーム内平均輝度:220〜230、測定フレーム設定:300、SH(スレシュホールド):50、2値化レベル:180
ガラス測定容器に電解液、および前記分散液を入れて、測定容器中のキャリア粒子の濃度を5〜10体積%とする。ガラス測定容器内容物を最大撹拌スピードで撹拌する。サンプルの吸引圧を10kPaにする。キャリア比重が大きく沈降しやすい場合は、測定時間を15〜30分とする。また、5〜10分ごとに測定を中断して、サンプル液の補充および電解溶液−グリセリン混合溶液の補充を行う。
測定個数は2000個とする。測定終了後、本体ソフトにより、粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
キャリアの円形度および円相当径は、下記式で算出される。
ここで、「Area」とは二値化されたキャリア粒子像の投影面積であり、「MaxLength」とは該キャリア粒子像の最大径と定義される。円相当径は、「Area」を真円の面積としたときの真円の直径で表される。円相当径は、4〜100μmを256分割され、体積基準で対数表示して用いる。
図9に測定結果のグラフの一例を示す。図中にある「円形度算術統計値」の項にある「
算術平均値」が平均円形度Cを示し、「30%値」がC30を示す。これら本体ソフトで求められる平均円形度CおよびC30から(平均円形度C―C30)を計算する。これら一連の測定・計算は、マルチイメージアナライザー付属のソフトウエアで処理する。
真比重について
本発明のキャリアの真比重は、2.5〜4.0g/cmであることが好ましく、3.0〜3.8g/cmであることがより好ましい。この範囲の真比重を有するキャリアを含む二成分系現像剤は、撹拌混合されてもトナーへかかる負荷が少なく、キャリアのトナースペントが抑制される。さらに、該キャリアは感光体に付着しにくくなる。
本発明のキャリア粒子の真比重は、乾式自動密度計オートピクノメータ(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定されることができる。
比抵抗について
また、本発明のキャリアの比抵抗は、電界強度が800kV/mのときに、1×10〜1×1016Ω・cmであることが好ましい。該比抵抗が1×10Ω・cm未満であるキャリアは、感光体へ付着しやすく、感光体に付着したキャリアは微小ドットの潜像を乱し、ハーフトーン再現性を悪化させる場合がある。また、1×1016Ω・cmを超えるキャリアは、エッジ効果などの画像欠陥を生じさせる場合がある。
キャリアの比抵抗の測定
本発明のキャリアの比抵抗値は、図7に概略される測定装置を用いて測定される。セルEにキャリア粒子27を充填し、充填されたキャリア粒子に接するように下部電極21および上部電極22を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって比抵抗を求める。
比抵抗の測定条件は、充填されたキャリア粒子と電極との接触面積Sを約2.3cm、充填されたキャリア粒子の厚みLを約0.5mm、上部電極22の荷重を180gとする。
なお、非磁性無機化合物、磁性体および導電性粒子の比抵抗の測定も同様に行うことができる。
<本発明の磁性体含有樹脂キャリアの製造方法>
本発明のキャリアは、キャリアコアを製造し、必要に応じてキャリアコアを樹脂で被覆することにより製造されることができる。
本発明の磁性体含有樹脂キャリアのキャリアコアは、例えば以下に記載するように製造される。
樹脂含浸キャリアのキャリアコアは、多孔質磁性体を用いて製造される。多孔質磁性体の例には、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトなどの鉄系酸化物のフェライト磁性体が含まれる。鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。
粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20〜50質量%加え、バインダーとして例えばポリビニルアルコールを0.1〜10質量%加え、さらに孔密度をコントロールするための炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩を0.5〜15質量%添加して、スラリーを調製する。
そのスラリーを、スプレードライヤーなどを用いて造粒を行い、多孔質磁性体を得るこ
とができる。ここで、スラリーの粘度やスプレードライヤーのノズルの大きさなどを適宜に調整することにより、多孔質磁性体の粒径を制御することができる。
さらに、得られた多孔質磁性体に、樹脂を含浸させることで樹脂含浸キャリアのキャリアコアが製造される。含浸される樹脂は、キャリアコアを被覆する樹脂(後述)と同様の樹脂であり得る。また樹脂の含浸は、樹脂溶液、または樹脂を形成するモノマーもしくはマクロマーを含む溶液を、多孔質磁性体に焼き付け処理することにより行うことができる。
磁性体分散型樹脂キャリアのキャリアコアは、例えば以下のようにして製造され得る。
ビニル系または非ビニル系の熱可塑性樹脂、および磁性体(磁性粉体)、ならびにその他の添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーなどの混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、さらに分級することにより、キャリアコアを得ることができる。得られたキャリアコアは、熱又は機械的に球形化されて、本発明のキャリアのキャリアコアとして用いられうる。
本発明のキャリアのキャリアコアは、磁性体(磁性粉体)と混合された、樹脂のモノマーを重合することにより製造されてもよい。ここで重合されるモノマーの例には、前述したビニル系モノマーの他に、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を生成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が含まれる。
例えば、前記モノマーとしてフェノール類とアルデヒド類を用いる場合は、水性媒体に磁性体およびフェノール類とアルデヒド類を添加し、水性媒体中のフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合させることにより、キャリアコアを製造することができる。
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類は、フェノール(ヒドロキシベンゼン)のほか、フェノール性水酸基を有する化合物であればよい。フェノール性水酸基を有する化合物の例には、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAなどのアルキルフェノール類;芳香環(例えばベンゼン環)の水素またはアルキル基の水素の一部または全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類などが含まれる。前記フェノール類のより好ましい例には、フェノールが含まれる。
フェノール樹脂を生成するためのアルデヒド類の例には、ホルマリンまたはパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、およびフルフラール等が含まれ、より好ましい例にはホルムアルデヒドが含まれる。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1〜4であることが好ましく、1.2〜3であることがより好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成しにくかったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行しにくいために、生成する粒子の強度が弱くなったりする傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
フェノール類とアルデヒド類との縮合は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒は通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている触媒であればよく、該塩基性触媒の例にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンなどのアルキルアミンなどが含まれる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は0.02〜0.3であることが好ましい。
前記の通り、本発明のキャリアの平均円形度Cは0.850〜0.950であり、かつ
凹部を有するキャリアの存在率が抑えられている(20個数%以下である)。このようなキャリアを得るためには、キャリアコアの製造における重合反応において、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量を適切に制御することが好ましい。
すなわち、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量は、5.0g/m以下であることが好ましい。反応媒体中における溶存酸素量を減らす方法の例には、1)あらかじめ溶媒、モノマー、磁性体などを含む反応系を加温する、2)重合反応中に反応媒体中に不活性ガスを導入する方法などがある。溶存酸素量を減らすために反応媒体中に導入される不活性ガスは、工業的視点から、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれる一種類以上であることが好ましい。
また、上記不活性ガスの反応媒体中への導入量は、重合反応開始前には反応容器体積の5〜100体積%/分とし、重合反応開始後には1〜20体積%/分とすることが好ましい。重合反応開始前の不活性ガスの導入量が5体積%/分より少ないと溶存酸素の不活性ガスへの置換効率が悪く、一方100体積%/分より多いとモノマーなどが揮発されることがある。
また、重合反応開始後の不活性ガスの流量は、重合反応開始前の流量に比べて少ないことが好ましい。重合反応中における不活性ガスの導入量を、重合反応前における導入量よりも少なくすることにより、所望とする粒径より小さい粒径の微粒子の生成が抑制されるので、所望とする粒径の粒子が、前記微粒子を取り込んで異形化するのを防止することができる。
重合反応開始後の不活性ガスの導入量が、反応容器体積に対して20体積%/分を超えると、前述の微粒子が生成しやすくなる。これは重合反応中の反応媒体が、導入される不活性ガスによって激しく撹拌されることに起因すると考えられる。一方、重合反応中に導入される不活性ガスの流量が1体積%/分より少ないと、反応媒体と外気との界面に存在する酸素量が増し、微粒子が生成しやすくなる。
キャリアコアの製造における重合反応において、モノマーを含有する反応媒体は撹拌される。該撹拌は撹拌翼により行われることができるが、攪拌時の撹拌翼の周速は1.5〜3.5m/秒に制御されることが好ましい。
撹拌翼の周速が1.5m/秒未満であると、所望の粒径の粒子が得られにくくなると同時に、紡錘状の粒子が形成されやすくなる傾向にある。一方、攪拌翼周速が3.5m/秒を超えると、所望の粒径分布以下の微粒子ができやすくなり、それらが合一したり、所望粒径の粒子に合一したりして、異形の粒子が得られやすくなる傾向にある。
前述の通り本発明のキャリアの製造は、キャリアコアを樹脂で被覆するステップを含んでいてもよい。被覆するための樹脂は、前述のキャリアの説明において記載された樹脂を用いればよい。
樹脂による被覆は、通常の方法により行うことができ、特に限定されないが、好ましくは30〜80℃の温度下において減圧状態でわれることが好ましい。その理由は明確ではないが、下記に記載する理由が推察される。
(1)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面に樹脂が均一かつ平滑に被覆される。
(2)樹脂により皮膚されたキャリアコアを焼き付け処理する場合に、少なくとも220℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、コート層の耐久性を高められる。
また、キャリアコアを樹脂で被覆する際に、他の任意成分(微粒子や磁性粒子などを含む)を共存させることで、キャリアコアを被覆する樹脂コート層に、当該任意成分を含ませることができる。
<本発明の二成分系現像剤>
本発明の二成分系現像剤は、前述の本発明の磁性体含有樹脂キャリア、およびトナーを含むことを特徴とする。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの重量平均粒径は、4.0〜8.0μmであることが好ましく、4.0〜7.0μmであることがより好ましく、4.5〜6.5μmであることがさらに好ましい。前記現像剤のドットの再現性や転写効率を十分に高めるためである。重量平均粒径が4.0μmより小さいトナーは、その比表面積が過剰に大きいことから、帯電量がコントロールされにくく、現像性を低下させ、耐久使用されると劣化する場合がある。重量平均粒径が8.0μmを超えるトナーは、ドットの再現性に劣り、高画質化に問題を生じる。
トナーの重量平均粒径は、製造時におけるトナー粒子の分級や、分級品の混合等によって調整することができる。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの重量平均粒径は、測定装置として、コールターカウンターTA−IIまたはコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。電解液は約1%NaCl水溶液であり、一級塩化ナトリウムを用いて調製されてもよく、またISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)などの市販品であってもよい。
トナーの重量平均粒径の測定は以下のように行われる。上記電解液100〜150mlに、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を0.1〜5mlを加え、さらに測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、測定サンプルとする。
アパーチャーは100μmのアパーチャーとする。試料の体積及び個数を、チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
本発明の二成分系現像剤に含まれるキャリアとトナーは、含まれるキャリアの全比表面積と、トナーの全比表面積とが近い値になるように混合されていることが好ましいが、特に制限されない。二成分系現像剤におけるトナーの濃度は、二成分系現像剤全体に対して6〜20質量%程度であることが好ましい。帯電量付与、カブリ、画像濃度などを良好にするためである。本発明の二成分系現像剤に含まれるキャリアは小粒径であるため、比表面積が大きく、多くのトナーを担持することができる。また、本発明の二成分系現像剤に含まれるキャリアは、略球形でかつ凹部をあまり有さないので、従来達成できなかった「トナーの劣化」を極力低減することができる。
本発明の二成分系現像剤の好ましい態様は、以下の第一および第二の態様に大別される。
第一の態様の二成分系現像剤
本発明の第一の態様の二成分系現像剤は、キャリア、ならびにポリエステルユニットを主成分とする樹脂および着色剤を含有するトナー(以下、「第一の態様のトナー」とも称する)を含む。「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示し、また「ポリエステルユニットを主成分とする樹脂」とは、樹脂を構成する繰り返し単位の多くが、エステル結合を有する繰り返し単位である樹脂を意味するが、これらは後に詳細に説明される。
第一の態様の二成分系現像剤に含まれるトナー(以下、「第一の態様のトナー」とも称する)は、4.0〜8.0μmの重量平均径を有し、かつ0.920〜1.000の平均円形度を有することが好ましい。このようなトナーを含有する第一の態様の二成分系現像剤は、低温定着方式を用いた画像形成装置または高速出力の画像形成装置に適用されることで、長期使用されても転写性と現像性の両方を良好に維持させることができる。
これは、ポリエステルユニットを主成分とする樹脂を含み、平均円形度が0.920〜1.000であるトナーは、柔らかくてある程度不定形以上の円形度を有するトナーであるので、二成分系現像剤において良好な帯電性が付与され、かつ現像剤の流動性を高めることができるからである。
また、前記第一の態様の二成分系現像剤は、初期の高転写性・高現像性を有しているだけでなく、耐久使用後の帯電付与性が良好に維持され得る。含まれるトナーの平均円形度が0.920未満であると、転写効率が悪化することがある。また、含まれるトナーの平均円形度が0.960以上であると、クリーナーレスシステムの電子写真プロセスに好適に適用されることができる。
トナーの平均円形度は、トナー粒子の製造法の適切な選択(例えば、懸濁造粒法、乳化凝集法などを選択する)や、混練粉砕したトナー粒子を公知の方法(例えば機械的な力や熱を用いる)で球形化処理することによって調整され得る。
平均円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの平均円形度は、以下のようにして測定されることができる。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて、「粒子投影面積」および「粒子投影像の周囲長」を測定し、各測定値を下式に代入して、円相当径および円形度を算出する。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さであると定義される。これらは、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像を用いて測定される。
測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出した後、算出された円形度によって粒子を、円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分け、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Tは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をti、測定粒子数をmとして、次式から算出される。
具体的な測定手順を以下に示す。
容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を加えた後、さらに測定試料を0.02g加え、均一に分散させて、測定用の分散液を得る。分散は、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用いて2分間分散処理することにより行うことができる。分散処理する際に、分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃に維持されるように、装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間(好ましくは2時間)おきに、2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度の測定は、前記フロー式粒子像測定装置を用いて行う。測定時に、分散液のトナー粒子濃度を3000〜1万個/μlに再調整し、1000個以上のトナー粒子の円形度を計測する。計測されたデータから、円相当径2μm未満のデータをカットする。円相当径2μm未満のデータをカットして得られたデータから、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定装置「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度の向上(256×256→512×512)により、トナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA−2100を用いることが好ましい。
前記第一の態様のトナーに含まれる樹脂はポリエステルユニットを主成分とするが、該ポリエステルユニットはエステル系モノマーを縮重合させることにより形成される。エステル系モノマーは、多価アルコール成分、および多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は2以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸エステル等のカルボン酸成分を含む。
前記多価アルコール成分のうち二価アルコール成分の例には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが含まれる。
前記多価アルコール成分のうち三価以上のアルコール成分の例には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が含まれる。
前記ポリエステルユニットを構成するカルボン酸成分の例には、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;などが含まれる。
前記第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、下記一般式(5)で表される構造に代表されるビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)をカルボン酸成分として、これらを縮重合させることにより得られるポリエステル樹脂が含まれる。このポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。このポリエステル樹脂の帯電特性は、二成分系現像剤に含まれるカラートナーに含まれる樹脂として用いられた場合に、より有効に奏される。
また、前記第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、架橋部位を有するポリエステル樹脂が含まれる。架橋部位を有するポリエステル樹脂は、多価アルコールと、三価以上の多価カルボン酸を含むカルボン酸成分を縮重合反応させることにより得られる。ここで三価以上の多価カルボン酸成分の例には、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物やエステル化合物が含まれる。縮重合されるエステル系モノマーに含まれる三価以上の多価カルボン酸成分の含有量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%であることが好ましい。
さらに、前記第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、(a)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(b)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(c)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物が含まれる
前記ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合して得られるビニル系重合体ユニット(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステルユニット)とが、エステル交換反応して結合することにより形成される。前記ハイブリッド樹脂の好ましい例には、ビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体とするグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)が含まれる。
なお、前記「ビニル系重合体ユニット」とは、ビニル系重合体に由来する部分を示す。ビニル系重合体ユニットまたはビニル系重合体は、後述のビニル系モノマーを重合させることで得られる。
本発明の第二の態様の二成分系現像剤は、直接重合法または水系媒質中より得られるトナー(以下、「第二の態様のトナー」とも称する)を含む。第二の態様のトナーは、直接重合法で製造されてもよいし、あらかじめ乳化微粒子を作り、その後着色剤、離型剤等と一緒に凝集させて製造してもよい。後者により製造されるトナーを「水系媒質中より得られるトナー」または「乳化重合法により得られるトナー」ともいう。
また第二の態様のトナーは、ビニル系樹脂を主成分とするトナー粒子を含み、4.0〜8.0μmの重量平均粒径を有し、0.960〜1.000の平均円形度を有することが好ましい。
このようなトナーと本発明のキャリアを含む第二の態様の二成分系現像剤は、初期の転写効率が非常に高く、耐久使用後も高い転写効率を維持することができ、クリーナーレスシステムに最適に使用され得る。
前記第二の態様のトナーのように球形に近いトナーは、一般的に、トナー表面に存在する外添剤などを劣化させやすいという問題があった。すなわち、トナーがキャリアと衝突したり、トナー同士が衝突すると、トナー表面に存在する流動性向上剤がトナー内部へ打ち込まれやすい。しかしながら、第二の態様の二成分系現像剤に含まれるキャリアは、異形状粒子の含有率が少ないため、トナーとの衝突によるトナー外添剤の劣化を大幅に軽減することができる。さらに、第二の態様の二成分系現像剤に含まれるキャリアは、小粒径かつ略球形であってさらに凹部が少ないため、トナー濃度を十分に高くすることができる。
第二の態様のトナーの平均円形度が0.960未満であると、クリーナーレスシステムに適用された場合に転写効率が若干不足する場合がある。一般的に、0.960以上と非常に高い平均円形度を有するトナーは劣化しやすい。にもかかわらず、第二の態様の二成分系現像剤に含まれるトナーが劣化されることなく使用され得る理由の一つは、含まれるトナーが直接重合法などにより得られるビニル系樹脂を主成分とするトナーであり、トナー表面の硬さが長期にわたって維持され得るからである。
前記第二の態様のトナーは、直接重合法または乳化重合法により得られる、ビニル系樹脂を主成分とする粒子を含むことが好ましい。該粒子の主成分であるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合により製造される。ビニル系モノマーの例には、スチレン系モノマー;(メタ)アクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモノマー;N−ビニル化合物のモノマー:その他のビニルモノマーなどが含まれる。
スチレン系モノマーの例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレ
ン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が含まれる。
(メタ)アクリル系モノマーの例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類;ならびにメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類等が含まれる。
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーの例には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等が含まれ;ビニルエステル類のモノマーの例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が含まれ;ビニルエーテル類のモノマーの例には、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が含まれ;ビニルケトン類のモノマーの例にはビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどが含まれ;N−ビニル化合物のモノマーの例にはN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等が含まれる。その他のビニルモノマーの例には、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドなどのアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が含まれる。
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素などが含まれる。
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例には、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン等のラジカル重合性多官能重合開始剤が含まれる。
本発明の二成分系現像剤は、オイルレス定着を採用する電子写真プロセスに用いられることが好ましい。そのため、本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーは離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の例には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共
重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス、ベヘン酸ベヘニルなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが含まれる。
さらに離型剤の例には、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、又は更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、さらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが含まれる。
本発明の第一の態様のトナーに含有される離型剤の好適な例には、炭化水素系ワックスが含まれる。第一の態様のトナーの示差熱分析測定におけるトナーの吸熱曲線における温度30〜200℃の範囲に一又は二以上の吸熱ピークがあり、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの温度が65〜110℃であると、低温定着性と耐久性が良好なトナーとなりうる。
一方、本発明の第二の態様の二成分系現像剤に含まれるトナーに含有される離型剤の好適な例には、パラフィンワックスが含まれる。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーにおける離型剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。離型剤の含有量が1質量部より少ないと、オイルレス定着時にうまく離型性を発揮できないことがある。15質量部を超えると、トナー表面へ離型剤が滲み出しやすくなり、転写性が悪化する場合がある。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナー、または離型剤の最大級熱ピークは、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて以下の条件により測定することができる。
温度曲線:昇温I (30℃〜200℃、昇温速度10℃/分)
降温I (200℃〜30℃、降温速度10℃/分)
昇温II (30℃〜200℃、昇温速度10℃/分)
具体的な測定手順は、以下の通りとすればよい。5〜20mg(好ましくは10mg)の測定試料を精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアル
ミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で常温常湿下で測定を行う。昇温IIの過程でTgの吸熱ピーク以上の領域における、ベースラインからの高さが一番高いピークを最大吸熱ピークとする。また、Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合には、その重なる複数の極大ピークから高さが一番高いピークを最大吸熱ピークとする。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。荷電制御剤の例には、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物などが含まれる。有機金属錯体の具体例には、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などが含まれる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体なども挙げられる。また、荷電制御剤として、ビスフェノール類、カリックスアレーン等のフェノール誘導体等も用いられる。本発明におけるトナーに含まれる荷電制御剤は、好ましくは芳香族カルボン酸の金属化合物である。トナーの帯電の立ち上がりを良好にするためである。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーにおける荷電制御剤の含有量は、樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましい。0.1質量部より少ないと高温高湿から低温低湿までの広範な環境においてトナーの帯電量の変化が大きくなる場合がある。10質量部より多いとトナーの低温定着性に劣る場合がある。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの摩擦帯電量の絶対値は、特に限定されないが、30〜45μC/kgであることが好ましい。
トナーの摩擦帯電量は以下の手順で測定することができる。以下の手順は23℃、60%RHに制御された環境下で行う。
まず、トナーとキャリアを所定のトナー濃度となるように混合し、ターブラーミキサーで120秒間混合する。耐久時のトナーの摩擦帯電量を測定する場合は、現像スリーブ上に付着した現像剤(トナーを含む)を、ビニール袋などを介して磁石により採取して、測定サンプルとして用いることができる。
そして、E−SPART Analyzer MODEL EST−III ver.9
.03(ホソカワミクロン社製)を用いてトナーの摩擦帯電量の測定を行う。
E−SPART Analyzer(ホソカワミクロン社製)に付属されている2成分フィーダー(磁石を内蔵する回転盤を有する現像剤保持台)に、上述した現像剤を保持させる。次いで、2成分フィーダーに磁力で保持された現像剤に、エアーノズルから窒素ガスを噴射してトナーのみを吹き飛ばし、2成分フィーダー下部にある試料導入管を通してトナーのみをE−SPART Analyzer測定部に吸引導入する。測定部に吸引導入されたトナーは、粒子径d(μm)に応じた帯電量q/d(femto−C/μm)が計測される。そして、付属のソフトによりこのデータをもとに全粒径の平均摩擦帯電量q/mを求める。なお、E−SPART Analyzerの測定条件は以下の通りとする。
窒素ガスブロー圧力 :20kPa
窒素ガスブロー時間 :1秒
窒素ガスブローのインターバル:4秒
印加電圧 :100V
カウント個数:3000個
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーは着色剤を含んでいてもよい。ここで着色剤は、顔料もしくは染料、またはそれらの組み合わせでありうる。
染料の例には、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等が含まれる。
顔料の例には、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が含まれる。
また、本発明の二成分系現像剤をフルカラー画像形成用現像剤として使用する場合は、トナーはマゼンタ用着色顔料を含むことができる。マゼンタ用着色顔料の例には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が含まれる。
前記トナーは、マゼンタ用着色顔料だけを含んでもよいが、染料と顔料とを組み合わせて含むと、現像剤の鮮明度を向上させ、フルカラー画像の画質を向上させることができる。マゼンタ用染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が含まれる。
シアン用着色顔料の例には、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが含まれる。
イエロー用着色顔料の例には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、C.I.バットイエロー1、3、20等が含まれる。
黒色の顔料の例には、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックの他、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も含まれる。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーにおける着色剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、3〜12質量部であることがより好ましく、4〜10質量部であることがさらに好ましい。着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表されるような中間色の再現性も低下し易くなり、さらにはトナーの帯電性の安定性が低下し、また低温定着性も得られにくくなる。着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、着色力が充分でないことがある。また、濃度を出すためにトナーを多く使用しなければならなくなるため、ドット再現性を損ないやすく、高い画像濃度の高品位画像が得られ難いことがある。
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーは、微粒子である外添剤を外添されていてもよい。微粒子を外添されることにより、流動性や転写性が向上しうる。トナー表面に外添される外添剤は、酸化チタン、酸化アルミナ、およびシリカ微粒子のいずれかの無機微粒子を含むことが好ましい。外添された無機微粒子は、トナーがキャリアから離れやすくするためのスペーサー粒子として機能するため、その平均粒径(個数分布のピーク値)は80〜200nmであることが好ましい。
外添剤は、80〜200nmの平均粒径を有する前記無機微粒子とともに、平均粒径(個数分布のピーク値)が50nm以下の微粒子を含有することができ、それによりトナーの流動性を向上させることができる。
トナーに外添される微粒子(外添剤)の平均粒径は、以下の手順で測定される。
走査電子顕微鏡像(50,000倍)から、ランダムに抽出された粒径5nm以上の微粒子(500個以上)の長軸と短軸をデジタイザにより測定する。測定された長軸と短軸の平均値を粒径として、500個以上の粒子の粒径分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95(単位:nm),・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムを用いる)のピークになるカラムの中心値をもって、外添剤の平均粒径(個数分布のピーク値)として算出する。
前記外添剤に含まれる無機微粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤;脂肪酸及びその金属塩;シリコーンオイル;またはそれらの組み合わせによってなされることが好ましい。
外添剤に含まれる無機微粒子の疎水化処理を行うためのチタンカップリング剤の例には、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどが含まれる。
また、シランカップリング剤の例には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが含まれる。
無機微粒子の疎水化処理を行うための脂肪酸の例には、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が含まれ、それらの脂肪酸金属塩の金属としては亜鉛、鉄、マグネシウム
、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどが含まれる。
疎水化処理を行うためのシリコーンオイルの例には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどが含まれる。
前記疎水化処理は、無機微粒子に対して1〜30質量%(より好ましくは3〜7質量%)の疎水化処理剤を無機微粒子に添加して、無機微粒子を被覆することにより行われることが好ましい。
疎水化処理された無機微粒子の疎水化の程度は特に限定されないが、例えば、処理後の無機微粒子のメタノールウェッタビリティーが40〜95であることが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を示すものである。メタノールウェッタビリティーは、以下のようにして求めることができる。
内容量200ml以上のビーカー中の蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子0.2gを添加する。ビーカー中の内容物をゆっくり撹拌した状態で、無機微粒子の全体が濡れるまで、先端が液体中に浸漬されているビュレットからメタノールをゆっくりと滴下する。この無機微粒子の全体が濡れるために必要なメタノールの量a(ml)を求めて、下記式に代入してメタノールウェッタビリティーが算出される。
メタノールウェッタビリティー = (a/(a+50))×100
前記外添剤のトナー中における含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。また外添剤は、複数種の微粒子の組み合わせでもよい。
[画像形成方法の例]
本発明のキャリアおよび二成分系現像剤は、任意の電子画像形成プロセスに適用されることができ、特にその適用範囲が限定されることはない。以下、図5および図6を参照して、本発明のキャリアおよび二成分系現像剤が好適に採用される画像形成方法(以下、「本発明における画像形成方法」とも称する)の一例について説明する。
本発明における画像形成方法は、色の異なる2以上の本発明の二成分系現像剤を用いてカラー画像を形成する方法である。本発明における画像形成方法は、少なくとも(I)感光体表面を帯電処理する帯電工程、(II)上記帯電処理された感光体上にそれぞれの色に対応した静電潜像を順次形成する潜像形成工程、(III)上記感光体上に形成された静電
潜像を、対応する色のトナーによって可視化してトナー像を形成する現像工程、(IV)上記現像工程において可視化された前記各色のトナー像を転写材に順次重ね合わせて転写する転写工程、および(V)上記転写工程において転写材上に形成されたトナーを熱及び圧力等により定着させる工程を有する。
前記(I)現像工程は、二成分系現像剤を担持する現像ローラを有する現像器を各色のトナーに応じて複数有する現像容器(図5の10a〜10d)を用い、各現像容器の現像ローラに現像剤を担持させ、該現像ローラに直流電界に交流電界を重畳させてなる現像バイアスを印加することにより、感光体に各色のトナー像を順次形成する。
図5を用いて、前記画像形成方法を好適に実現するカラー画像形成装置(複写機又はレーザービームプリンター)の一例について説明する。7aは第1の画像担持体としてのドラム状の感光体であり、図中矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光体7aは回転過程において、帯電装置8aにより所定の電位に一様に帯電処理され(帯電工程)、次いで9aの像露光装置による露光を受ける(潜像形成工程)。このようにして目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロートナー像)に対応した静電潜像が形成される。
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロートナー現像器10a)により第1色であるイエロートナー像に現像される。順次、第2〜第4の現像器、即ちマゼンタトナー現像器10b、シアントナー現像器10c、及びブラックトナー現像器10dにより、同様に現像される(現像工程)。
前記現像工程において感光体上に形成されたトナー像は転写工程に供される。本発明における画像形成方法で用いられる転写工程は、感光体上に形成された各色のトナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写することにより、転写材上に形成されるべきカラートナー像を中間転写体上に形成する1次転写工程と、中間転写体上に形成されたカラートナー像を転写材上に転写する2次転写工程からなるものであり得る。
図5において、中間転写体としての中間転写ベルト14は、矢印の方向に感光体7a(〜7d)と同じ周速度で回転駆動される。感光体7a上に形成された第1色のイエロートナー像が、感光体7aと中間転写ベルト14との当接部を通過する過程で、一次転写ローラ13を介して中間転写ベルト14に印加される1次転写バイアスによって形成される電界により、中間転写ベルト14の外周面に順次転写されていく。なお、このときの1次転写バイアスは、トナーとは逆極性のバイアスが印加される。その印加電圧は例えば+100V〜+2kVの範囲である。中間転写ベルト14に対する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体7aの表面は、クリーニング装置1aにより清掃される。マゼンタ、シアン、及びブラックの各色のトナー像も同様に中間転写ベルト14に転写されることにより、フルカラー画像が中間転写ベルト14上に形成される。
次にカラートナー画像を転写材に転写するが、この工程を2次転写工程という。4は2次転写ローラであり、2次転写対向ローラ3に対応して平行に軸受けさせて中間転写ベルト14の下面部に離間可能な状態に配設してある。
2次転写ローラ4が中間転写ベルト14に当接され、中間転写ベルト14と2次転写ローラ4の当接部分に、給紙ローラ16から転写材Pが所定のタイミングで給送される。このとき、2次転写バイアスが2次転写ローラ4に印加されることにより、中間転写ベルト14上に転写されたフルカラー画像が転写材Pに2次転写される。トナー画像が転写された転写材Pは、定着器15へ導入され加熱定着される。転写材Pへの画像転写終了後、中間転写体ベルト上に残留したトナー(転写残トナー)はベルトクリーニング装置5により掻き取られ、廃トナーボックスに運ばれる。
また、本発明のキャリアおよび二成分現像剤は、図6に示すようなクリーナーレスシステムにも適応できる。図6に示す画像形成装置は、クリーニング装置1a〜1dを有していないこと以外は図5の画像形成装置とほぼ同様の構成である。クリーナーレスを良好にするためには、感光体に対して現像ローラがカウンター方向(図6において時計回り)に回転し、直流電界に交流電界を重畳させてなる現像バイアスを印加して現像する構成にすることが、転写残りトナーの回収性を向上させる上で好ましい。この画像形成装置では中間転写ベルト14上への転写が行われた後の感光体8a〜8dの表面に残留した転写残りの現像剤がクリーニング装置により除去されることなく、感光体の回転に伴い帯電部(感光体の帯電装置との対向部)を経由して現像部(感光体の現像ローラとの当接部)に至り、現像ローラによって感光体上の画像部には現像剤を付着させると同時に非画像部に付着した現像剤(即ち、転写残りの現像剤)を回収する(これを「現像同時クリーニング」という)。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にの
み限定されるものではない。
[キャリアAの製造]
個数平均粒径190nm、磁化の強さ75Am/kg、比抵抗5.1×10Ω・cmのマグネタイト粉(Fe)を、空気中700℃で3時間焼成した。その後、4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内において100℃以上で高速混合撹拌し、上記マグネタイト粉の表面処理を行い、処理マグネタイト粉を得た。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・処理マグネタイト粉 85質量部
上記材料をフラスコ内でよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/mであった。次いで65℃まで加温しながら、この反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量の流量を250cm/分とし、30分間のガス置換を行った。30分間のガス置換後の反応媒体中の溶存酸素量は0.90g/mであった。
その後、窒素導入量を50cm/分に抑えながら、酸素が入らないようにして28質量%アンモニア水4質量部および水12質量部をフラスコに加えた。撹拌しながら加熱して、65℃から85℃とした(平均昇温速度3.0℃/分)。85℃にて保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.5m/秒とした。
重合反応させた後、30℃まで冷却して水を添加した。上澄み液を除去して得られた沈殿物を水洗し、さらに風乾した。得られた風乾物を、減圧下(5hPa以下)にて、60℃で乾燥して、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(a)を得た。キャリアコア(a)の平均粒径(D50)19μmであった。
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する、メチルメタクリレートマクロマー(重量平均分子量5,000)2質量部、下記式で示されるアクリレートモノマー55質量部、及びメチルメタクリレート43質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。この溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量は、35,000であった。
得られたグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)60質量部に、ゾル−ゲル法により得られたシリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が290nm)3質量部、カーボンブラック(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm、比抵抗が1.1×10−1Ω・cm)2質量部、およびトルエン200質量部を加えて、ホモジナイザーによりよく混合して、コート液を得た。
次いで、磁性キャリアコア(a)2000質量部を、剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加えた。70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア表面を樹脂でコートした。
この樹脂コートされた磁性キャリアコアを、100℃で2時間撹拌しながら熱処理した
。冷却した後、解砕し、さらに目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアAを得た。キャリアAの平均粒径(D50)は20μm、真比重は3.55g/cm、磁化の強さは65Am/kg、比抵抗は2.2×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.903、C30は0.897、凹部を有するキャリア比率は1.6個数%であった。
[キャリアBの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径190nm、磁化の強さ75Am/kg、比抵抗5.1×10Ω・cm)を700℃で3時間、空気中で焼成した。焼成後のマグネタイト粉と、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(焼成後のマグネタイト粉に対して4.0質量%の量)とを容器内に入れて、100℃以上で高速混合撹拌し、マグネタイト粉を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・表面処理されたマグネタイト 85質量部
上に示す材料をよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.3g/mであった。
次に、混合物を65℃に加温しつつ、反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入流量速度は250cm/分とし、導入時間は30分間とした。このときの反応媒体中の溶存酸素量は0.95g/mであった。
その後、窒素ガスの導入流量速度を50cm/分とした。混合物に、酸素が入らないようにしながら28質量%アンモニア水4質量部および水14質量部を添加した。添加後、平均昇温速度3.0℃/分で65℃から85℃にまで撹拌しながら加熱し、85℃にて保持して3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼の周速は2.6m/秒とした。
その後、30℃にまで冷却し、水を添加した後、上澄み液を除去した。沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を、さらに減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥し、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(b)を得た。この粒子の平均粒径(D50)は16μmであった。
キャリアAの製造で用いられたグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)(60質量部)に、ゾルゲル法により得られたシリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が290nmの)3質量部、カーボンブラック(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm、比抵抗が1.1×10−1Ω・cm)2質量部、およびトルエン(200質量部)をホモジナイザーでよく混合してコート液を得た。
得られたコート液を、剪断応力を連続して与えられて撹拌されている磁性キャリアコア(b)(2000質量部)に加えた。コート液を加えたのち、70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア(b)に樹脂をコートした。
この樹脂コートされた粒子を、100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却後に解砕し、目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアBを得た。
キャリアBの平均粒径(D50)は16μm、真比重は3.55g/cm、磁化の強さは65Am/kg、比抵抗は1.0×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.879、C30は0.870、凹部を有するキャリア比率は7.8個数%であった。
[キャリアCの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径190nm、磁化の強さ75Am/kg、比抵抗5.1×10Ω・cm)を、700℃で3時間、空気中で焼成した。焼成されたマグネタイ
ト粉と、チタン系カップリング剤(イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート)(マグネタイト粉に対して2.0質量%の量)とを、100℃以上で、容器内で高速混合撹拌し、マグネタイト粉を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・表面処理されたマグネタイト 85質量部
上記材料をよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/mであった。
次いで65℃まで加温しながら、この反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入流量速度を250cm/分とし、導入時間を30分間とした。このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/mであった。
その後は、窒素ガスの導入流量速度を50cm/分とした。混合物に、酸素が入らないようにしながら、28質量%アンモニア水4質量部及び水11質量部を添加した。添加後、平均昇温速度3.0℃/分で65℃から85℃にまで撹拌しながら昇温して、85℃にて保持して3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速を2.5m/秒とした。
その後、30℃に冷却して水を添加した。上澄み液を除去して、得られた沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を、減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(c)を得た。キャリアコア(c)の平均粒径(D50)は24μmであった。
剪断応力を連続して付与されて撹拌されている磁性キャリアコア(c)(2000質量部)に、キャリアAの製造で用いたコート液を徐々に加えた。添加終了後、70℃にて撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア(c)に樹脂をコートした。
この樹脂コートされた磁性キャリアコアを100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却後に解砕して、目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアCを得た。キャリアCの平均粒径(D50)は24μm、真比重は3.53g/cm、磁化の強さは64Am/kg、比抵抗は1.3×1013Ω・cm、平均円形度Cは0.903、C30は0.895、凹部を有するキャリア比率は4.6個数%であった。
[キャリアDの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径240nm、磁化の強さ76Am/kg、比抵抗3.2×10Ω・cm)と、ヘマタイト粉(個数平均粒径600nm、比抵抗7.8×10Ω・cm)それぞれと、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉またはヘマタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・表面処理したマグネタイト 59質量部
・表面処理したヘマタイト 26質量部
上記材料をよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/mであった。
次いで65℃に加温しながら、反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入流量速度を250cm/分とし、導入時間を20分間とした。このときの反応媒体中の溶存
酸素量は2.1g/mであった。
その後は窒素ガスの導入流量速度を50cm/分とした。混合物に、酸素が入らないようにして、28質量%アンモニア水4質量部及び水14質量部を添加した。添加終了後、平均昇温速度3.0℃/分で、65℃から85℃まで撹拌しながら昇温し、85℃にて保持しながら3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.5m/秒とした。
その後、30℃まで冷却し、水を添加した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物を水洗し、風乾した。風乾された沈殿物を、減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(d)を得た。キャリアコア(d)の平均粒径(D50)は21μmであった。
剪断応力を連続して加えられて撹拌されている磁性キャリアコア(d)(2000質量部)に、キャリアAの製造で用いたコート液を徐々に加えた。70℃にて撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア(d)に樹脂をコートした。
この樹脂コートされたキャリアコアを、100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアDを得た。キャリアDの平均粒径(D50)は21μm、真比重は3.53g/cm、磁化の強さは47Am/kg、比抵抗は8.3×1013Ω・cm、平均円形度Cは0.866、C30は0.855、凹部を有するキャリア比率は9.8個数%であった。
[キャリアEの製造]
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・キャリアAで用いたマグネタイト 85質量部
上記材料、ならびに28質量%アンモニア水4質量部および水12質量部をフラスコに入れてよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/mであった。
この混合物の反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入流量速度を250cm/分とし、導入時間を10分間とした。このときの反応媒体中の溶存酸素量は3.3g/mであった。
その後は窒素を導入せず、平均昇温速度3.0℃/分で、室温から85℃にまで、撹拌しながら昇温して、85℃で保持して3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.0m/秒とした。
その後、30℃にまで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を、減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(e)を得た。キャリアコア(e)の平均粒径(D50)は20μmであった。
剪断応力を連続して加えられて撹拌されている磁性キャリアコア(e)(2000質量部)に、キャリアAの製造で用いたコート液を徐々に加えた。70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア(e)に樹脂をコートした。この樹脂コートされたキャリアコアを100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアEを得た。キャリアEの平均粒径(D50)は20μm、真比重は3.53g/cm、磁化の強さは63Am/kg、比抵抗は1.9×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.852、C30は0.841、凹部を有するキャリア比率は17.4個数%であった。
[キャリアFの製造]
メチルメタクリレートマクロマー(重量平均分子量5,000;一方の末端にエチレン
性不飽和基を有する)5質量部、下記式で示されるアクリレートモノマー45質量部、およびメチルメタクリレート50質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管およびすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに加えた。さらに、トルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、およびアゾビスイソバレロニトリル2.5質量部を加え、窒素気流下、70℃にて10時間保持して、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。この溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量は、25,000であった。
得られたグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)60質量部に対し、架橋メラミン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径270nm)2質量部、カーボンブラック(個数分布基準の最大ピーク粒径0.03μm、比抵抗1.1×10−1Ω・cm)2質量部、およびトルエン200質量部の混合物を、ホモジナイザーによりよく混合してコート液を得た。
得られたコート液を、剪断応力を連続して加えられて撹拌された磁性キャリアコア(a)2000質量部に徐々に加えた。70℃にて撹拌しながら溶媒を揮発させて、キャリアコアを樹脂でコートした。この樹脂コートされたキャリアコアを、100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアFを得た。キャリアFの平均粒径(D50)は21μm、真比重は3.55g/cm、磁化の強さは65Am/kg、比抵抗は8.1×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.902、C30は0.894、凹部を有するキャリア比率は2.6個数%であった。
[キャリアGの製造]
キャリアFの製造で用いたグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)60質量部に対し、架橋メラミン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径430nm)2質量部、酸化亜鉛(個数分布基準の最大ピーク粒径350nm、比抵抗5.6Ω・cm)3質量部、およびトルエン200質量部の混合物を、ホモジナイザーによりよく混合してコート液を得た。
次いで、得られたコート液を、剪断応力を連続して加えられて撹拌された磁性キャリアコア(a)2000質量部に徐々に加えた。70℃にて撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコアを樹脂でコートした。この樹脂コートされた粒子を、100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却後に解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアGを得た。キャリアGの平均粒径(D50)は21μm、真比重は3.54g/cm、磁化の強さは64Am/kg、比抵抗は9.7×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.900、C30は0.893、凹部を有するキャリア比率は3.2個数%であった。
[キャリアHの製造]
剪断応力を連続して加えられて撹拌された磁性キャリアコア(a)2000質量部に、トルエン60質量部を用いて希釈したγ−アミノプロピルトリメトキシシラン6質量部を加えた。得られた混合物から、40℃,100hPa,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア(a)を表面処理した。
表面処理された粒子(a)に、有機基がすべてメチル基であって、T単位:D単位=90:10であるポリシロキサンを形成するモノマーまたはオリゴマー10質量部、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、およびトルエン100質量部の混合物を添加して、40℃,500hPa,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させて磁性キャリアコアを被覆した。
この被覆された樹脂を、140℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアHを得た。キャリアHの平均粒径(D50)は20μm、真比重は3.56g/cm3、磁化の強さは66Am/kg、比抵抗は1.0×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.907、C30は0.902、凹部を有するキャリア比率は2.1個数%であった。
[キャリアIの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径190nm、磁化の強さ75Am/kg、比抵抗5.1×10Ω・cm)を、700℃で3時間、空気中で焼成した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・焼成されたマグネタイト 85質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水4質量部、水14質量部、およびフッ化カルシウム2質量部をフラスコに入れてよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.5g/mであった。
得られた混合物を撹拌しながら、平均昇温速度3.0℃/分で室温から85℃まで昇温し、85℃に保持して3時間重合反応させて硬化させた(窒素ガスの導入は行わなかった)。このときの撹拌翼周速は2.8m/秒とした。
その後、30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を、減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散されたやや紡錘形状の磁性キャリアコア(i)を得た。キャリアコア(i)の平均粒径(D50)は、13μmであった。
キャリアBの製造における磁性キャリアコア(b)の樹脂コートの手順と同様の手順で、磁性キャリアコア(i)を樹脂コートして、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアIを得た。キャリアIの平均粒径(D50)は13μm、真比重は3.54g/cm、磁化の強さは64Am/kg、比抵抗は4.2×1011Ω・cm、平均円形度Cは0.822、C30は0.805、凹部を有するキャリアの比率は28.4個数%であった。
[キャリアJの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径190nm、磁化の強さ75Am/kg、比抵抗5.1×10Ω・cm)を、700℃で3時間、空気中で焼成した。焼成されたマグネタイト粉と、チタン系カップリング剤(イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート)(焼成されたマグネタイト粉に対して2.0質量%の量)を容器内に加えて、100℃以上で高速混合撹拌し、マグネタイト粉を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・表面処理したマグネタイト 85質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水4質量部、および水10質量部をフラスコに入れてよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/mであった。
得られた混合物を撹拌しながら、平均昇温速度3.0℃/分で室温から85℃まで昇温し、85℃にて保持して3時間重合反応させて硬化させた(窒素ガスの導入は行わなかっ
た)。撹拌翼周速を2.4m/秒とした。
その後、30℃まで冷却し、水を添加した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を減圧下(5hPa以下),60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された球状の磁性キャリアコア(j)を得た。キャリアコア(j)の平均粒径(D50)は27μmであった。
キャリアBの製造における磁性キャリアコア(b)の樹脂コートの手順と同様の手順で、キャリアコア(j)を樹脂コートし、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアJを得た。キャリアJの平均粒径(D50)は28μm、真比重は3.55g/cm、磁化の強さは66Am/kg、比抵抗は4.7×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.884、C30は0.866、凹部を有するキャリアの比率は18.4個数%であった。
[キャリアKの製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径240nm、磁化の強さ76Am/kg、比抵抗3.2×10Ω・cm)と、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)3.0質量%を容器内に加えて、100℃以上で高速混合撹拌して微粒子を表面処理した。一方、ヘマタイト粉(個数平均粒径650nm、比抵抗7.5×10Ω・cm)と、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)2.0質量%を容器内に加えて、100℃以上で高速混合撹拌して微粒子を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 14質量部
・表面処理したマグネタイト 51質量部
・表面処理したヘマタイト 34質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水4質量部及び水14質量部をフラスコに入れてよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.4g/mであった。
得られた混合物を撹拌しながら、平均昇温速度3.0℃/分で、室温から85℃まで昇温し、85℃にて保持して3時間重合反応させて硬化させた(窒素ガスの導入は行わなかった)。撹拌翼周速を2.5m/秒とした。
その後、30℃まで冷却し、水を添加した後、上澄み液を除去した。得られた沈殿物を水洗した後、風乾した。風乾された沈殿物を、減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散されたほぼ球状の磁性キャリアコア(k)を得た。キャリアコア(k)の平均粒径(D50)は、19μmであった。
キャリアAの製造における磁性キャリアコア(a)の樹脂コートの手順と同様の手順で、キャリアコア(k)を樹脂コートし、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリアKを得た。キャリアKの平均粒径(D50)は19μm、真比重は3.50g/cm、磁化の強さは38Am/kg、比抵抗は5.9×1013Ω・cm、平均円形度Cは0.867、C30は0.847、凹部を有するキャリアの比率は21.2個数%であった。
[キャリアLの製造]
Fe;53モル%、CuO;23.5モル%、ZnO;23.5モル%の混合物を、ボールミルを用いて10時間混合した。得られた混合物を900℃で2時間仮焼し、仮焼された混合物をボールミルで粉砕した。得られた粉砕物の平均粒径は1.2μmであった。
得られた粉砕物に、水(粉砕物に対して300質量%)とポリビニルアルコール(Mw=2万、粉砕物に対して2質量%)を加え、さらにスプレードライヤーにより造粒した。造粒物を1020℃で10時間焼結した後に粉砕し、さらに分級することによりCu−Z
nフェライト磁性体(l)を得た。
フェライト磁性体(l)に、有機基がすべてメチル基であって、T単位:D単位=90:10であるポリシロキサンを形成するモノマーまたはオリゴマー10質量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量部およびトルエン100質量部の混合物を、200℃で2時間焼き付け処理して含浸させ、キャリアコア(l)を得た。キャリアコア(l)の平均粒径(D50)は18μmであり、不定形粒子が多く存在していた。
キャリアの製造例Cにおける磁性キャリアコア(c)の樹脂コートの手順と同様の手順により、キャリアコア(l)を樹脂コートしてキャリアLを得た。キャリアLの平均粒径(D50)は18μm、真比重は4.94g/cm、磁化の強さは60Am/kg、比抵抗は2.1×10Ω・cm、平均円形度Cは0.783、C30は0.754、凹部を有するキャリアの比率は36.2個数%であった。
[キャリアMの製造]
Fe;73.5モル%、MnO;5.0モル%、MgO;21.5モル%の混合物を、ボールミルを用いて10時間混合した。得られた混合物を800℃で2時間仮焼し、仮焼された混合物をボールミルで粉砕した。得られた粉砕物の平均粒径は0.2μmであり、非常に粒度がそろっていた。
得られた粉砕物に、水(粉砕物に対して300質量%)とポリビニルアルコール(Mw=2万、粉砕物に対して3質量%)、CaCO(粉砕物に対して3質量%)を加え、さらにスプレードライヤーにより造粒した。造粒物を980℃で10時間焼結した後に粉砕し、さらに分級することによりMn−Mgフェライト磁性体(m)を得た。
フェライト磁性体(m)に、有機基がすべてメチル基であって、T単位:D単位=90:10であるポリシロキサンを形成するモノマーまたはオリゴマー10質量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量部およびトルエン100質量部の混合物を、200℃で2時間焼き付け処理をして含浸させ、キャリアコア(m)を得た。キャリアコア(m)の平均粒径(D50)は23μmであった。
有機基がすべてメチル基であり、T単位:D単位=85:15であるポリシロキサンを形成するモノマーまたはオリゴマー12質量部、およびγ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、トルエン200質量部の混合液を、キャリアコア(m)100質量部に添加して、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら減圧乾燥して溶剤を除去した。得られた粒子を、140℃で2時間焼き付け処理してキャリアMを得た。キャリアMの平均粒径(D50)は23μm、真比重は3.68g/cm、磁化の強さは52Am/kg、比抵抗は2.9×1012Ω・cm、平均円形度Cは0.854、C30は0.836、凹部を有するキャリアの比率は18.9個数%であった。
得られたキャリアA〜Mの物性を表1に示した。
[トナー1の製造]
スチレン2.0mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.20mol、フマル酸0.14mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、およびジクミルパーオキサイド0.05molの混合物を滴下ロートに入れた。
一方、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.2mol、無水トリメリット酸1.7mol、フマル酸4.9mol及び酸化ジブチル錫0.2gの混合物を、ガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。
この四つ口フラスコに、前述の滴下ロート、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、該四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。次に、該四つ口フラスコ内に窒素ガスを流しつつ、フラスコの内容物を撹拌しながら徐々に昇温して145℃とした。145℃に達した後、前述の滴下ロートの内容物を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、200℃に昇温して、同温度で4時間反応させて、重量平均分子量79,000、数平均分子量3300の樹脂を得た。
・上記で得られた樹脂 100質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度80℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 5質量部
上記処方の材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕して粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により、前記粉砕物を分級して分級品を得た。
さらに、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)により(回転数6400rpm、処理時間3分、処理回数2回)前記分級品の表面改質を行い、シアン粒子を得た。このシアン粒子の重量平均粒径は5.6μm、個数平均粒径は5.0μm、平均円形度は0.953であった。
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が110nm)1.0質量部、酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.9質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径は5.6μm、個数平均粒径は5.0μm、平均円形度は0.953であった。
[トナー2の製造]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol、および酸化ジブチル錫0.12gを、ガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付けて、マントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、重量平均分子量28,000、数平均分子量3700の樹脂を得た。
・上記樹脂 100質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 5質量部
上記処方の材料を用いて、トナー1の製造と同様の手順で分級品を得た。
さらにハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)により(回転数5000rpm、処理時間3分、処理回数1回)、得られた分級品の表面改質を行い、シアン粒子を得た。このシアン粒子1の重量平均粒径は6.7μm、個数平均粒径は5.6μm、平均円形度は0.927であった。
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が90nm)1.5質量部、酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.6質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー2を得た。トナー2の重量平均粒径は6.7μm、個数平均粒径は5.6μm、平均円形度は0.927であった。
[トナー3の製造]
・スチレン 87質量部
・nブチルアクリレート 13質量部
・アクリル酸 3質量部
・ドデカンチオール 6質量部
・四臭化炭素 1質量部
上記処方の材料を混合して溶解して有機溶液を得た。
一方、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部、およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.5質量部を、イオン交換水140質量部にフラスコ中で溶解させた。得られた水溶液に、前記有機溶液を加えて分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合した。
得られた混合物に、過硫酸アンモニウム1質量部が溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った。前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して、樹脂粒子分散液1を調製した。樹脂粒子分散液1に含まれる粒子の個数平均粒径は0.15μmであった。
・スチレン 75質量部
・nブチルアクリレート 25質量部
・アクリル酸 2質量部
上記処方の材料を混合して有機溶液を得た。
一方、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部、およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を、イオン交換水150質量部にフラスコ中で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、前記有機溶液を加え、分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合した。
混合しながら、さらに過硫酸アンモニウム0.8質量部が溶解したイオン交換水10質量部を投入して窒素置換を行った。前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して樹脂粒子分散液2を調製した。樹脂粒子分散液2に含まれる粒子の個数平均粒径は0.12μmであった。
・パラフィンワックス(融点95℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200質量部
また、上記処方の材料を97℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散処理した後、さらに圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理して離型剤粒子分散液を調製した。分散液の離型剤粒子の個数平均粒径は0.42μmで
あった。
・C.I.ピグメンブルー15:3 12質量部
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
更に、上記の処方の材料を、サンドグラインダーミルを用いて分散処理することにより、着色剤分散液を調製した。
・上記樹脂粒子分散液1 150質量部
・上記樹脂粒子分散液2 210質量部
・上記着色剤分散液 40質量部
・上記離型剤分散液 70質量部
上記処方の材料を撹拌装置、冷却管、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入して撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.3に調整した。
得られた混合液に、凝集剤として10%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら70℃まで加熱した。この温度を保持した状態で、樹脂粒子分散液2をさらに3質量部加えた。得られた溶液を60℃で1時間保持した後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。
冷却後、反応生成物をろ過し、得られた濾取物をイオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることによりシアン粒子を得た。得られたシアン粒子の重量平均粒径は6.1μm、個数平均粒径は5.3μm、平均円形度は0.967であった。
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径110nm)1.5質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径30nmの)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー3を得た。トナー3の重量平均粒径は6.1μm、個数平均粒径は5.3μm、平均円形度は0.967であった。
[トナー4の製造]
イオン交換水710質量部に、0.12M−NaPO水溶液450質量部を投入し、60℃に加温して得られた水溶液を、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて15,000rpmにて撹拌した。これに1.2M−CaCl水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca(POを含む水系媒体を得た。
・スチレン 162質量部
・n−ブチルアクリレート 38質量部
・エステルワックス(最大吸熱ピーク温度72℃) 20質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
・飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA;酸価15,ピーク分子量6000)
10質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 12質量部
上記処方の材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて1
0,000rpmにて均一に溶解及び分散させた。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。
得られた重合性単量体組成物を、前述の水系媒体中に投入した。得られた混合物を60℃、窒素雰囲気下で、TK式ホモミキサーを用いて15,000rpmで10分間撹拌して、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去して除去した。冷却後、塩酸を加えてCa(POなどを溶解させた。得られた溶液をろ過し、濾取物を水洗、乾燥してシアン粒子を得た。このシアン粒子の重量平均粒径は6.0μm、個数平均粒径は5.3μm、平均円形度は0.985であった。
得られたシアン粒子100質量部に、酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.5質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー4を得た。トナー4の重量平均粒径は6.0μm、個数平均粒径は5.3μm、平均円形度は0.985であった。
[トナー5〜7の製造]
トナー製造例1に用いられた着色剤を、7質量部のピグメントイエロー180(トナー5)、8質量部のピグメントレッド122(トナー6)、6質量部のカーボンブラックNIpex60(デグサ社製)(トナー7)にそれぞれ代えた以外は、トナー1の製造と同様の手順でトナー5〜7を製造した。
得られたトナー5(イエロートナー)の重量平均粒径は5.8μm、個数平均粒径は5.2μm、平均円形度は0.946であり;トナー6(マゼンタトナー)の重量平均粒径は5.7μm、個数平均粒径は5.2μm、平均円形度は0.951であり;トナー7(ブラックトナー)の重量平均粒径は5.9μm、個数平均粒径は5.3μm、平均円形度は0.950であった。
[トナーの製造例8]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン560質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン250質量部、テレフタル酸300質量部、および酸化ジブチル錫2質量部を、ガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、230℃で7時間反応させた。その後、160℃まで冷却し、無水フタル酸30質量部を加えて2時間反応させた。
次いで80℃にまで冷却した。酢酸エチル1000質量部にイソフォロンジイソシアネート180質量部を溶解した溶液(予め80℃に加温した)を、上記溶液に入れて2時間反応を行った。
さらに、50℃まで冷却し、イソフォロンジアミン70質量部を加えて2時間反応させてウレア変性ポリエステル樹脂を得た。このウレア変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は60,000、数平均分子量は5,500であった。
・上記樹脂 100質量部
・エステルワックス(最大吸熱ピーク温度72℃) 6質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6質量部
上記材料を酢酸エチル100質量部に加え、60℃に加温してTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmにて均一に溶解及び分散した。
一方、イオン交換水710質量部に、0.12M−NaPO水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて15,000rpmにて撹拌した。得られた水溶液に、1.2M−CaCl水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca(POを含む水系媒体を調製した。
得られた水系媒体に前述の分散液を入れて、得られた混合液を、60℃においてTK式ホモミキサーを用いて15,000rpmで10分間撹拌して造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しながら98℃に昇温して溶剤を除去し、冷却後、塩酸を加えてCa(POなどを溶解した。得られた混合液をろ過し、濾取物を水洗、乾燥して粒子を得た。得られた粒子を風力分級してシアン粒子を得た。このシアン粒子の重量平均粒径は6.1μm、個数平均粒径は5.2μm、平均円形度は0.982であった。
得られたシアン粒子100質量部に、酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.5質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー8を得た。トナー8の重量平均粒径は6.1μm、個数平均粒径は5.1μm、平均円形度は0.982であった。
[実施例1]
84質量部のキャリアAに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤1を得た。
[実施例2]
80質量部のキャリアBに対し、20質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤2を得た。
[実施例3]
86質量部のキャリアCに対し、14質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤3とした。
[実施例4]
84質量部のキャリアDに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤4とした。
[実施例5]
84質量部のキャリアEに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤5とした。
[実施例6]
84質量部のキャリアFに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤6とした。
[実施例7]
84質量部のキャリアGに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤7とした。
[実施例8]
84質量部のキャリアHに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤8とした。
[実施例9]
84質量部のキャリアMに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤9とした。
[実施例10]
84質量部のキャリアAに対し、16質量部のトナー2を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤10とした。
[実施例11]
84質量部のキャリアAに対し、16質量部のトナー5を加え、それぞれターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤11−1(イエロー現像剤)を得た。
同様に、84質量部のキャリアAに対して16質量部のトナー6を混合して現像剤11−2(マゼンタ現像剤)を;84質量部のキャリアAに対して16質量部のトナー1を混合して現像剤11−2(シアン現像剤)を;84質量部のキャリアAに対して16質量部のトナー7を混合して現像剤11−3(ブラック現像剤)を得た。
[実施例12]
84質量部のキャリアAに対し、16質量部のトナー3を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤12とした。
[実施例13]
実施例11に用いたトナーをトナー4に代えて16質量部を、キャリアAを84質量部を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤13とした。
[実施例14]
実施例11に用いたトナーをトナー8に代えて16質量部を、キャリアAを84質量部を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤14とした。
[比較例1]
80質量部のキャリアIに対し、20質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、比較現像剤1とした。
[比較例2]
86質量部のキャリアJに対し、14質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、比較現像剤2とした。
[比較例3]
84質量部のキャリアKに対し、16質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、比較現像剤3とした。
[比較例4]
90質量部のキャリアLに対し、10質量部のトナー1を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、比較現像剤4とした。
得られた現像剤1〜11と比較現像剤1〜4の構成を表2に概略した。
[画出し試験例1]
図5に示される、中間転写ベルトを有するタンデム構成の二成分現像システムの画像形成装置を用いて画出し試験を行った。
シアン現像器に現像剤1を入れた。定着ユニットの定着ローラの表層をPFAチューブからなるものとし、オイル塗布機構を取り外した。常温低湿(23.5℃、10%RH)下で画出し評価を行った。
現像条件は以下の通りとした。
感光体を有機感光体(OPC)とした。像露光装置におけるレーザースポット径を1200dpiとした。現像スリーブと感光体を現像領域において順方向で回転させ、感光体の周速に対する現像スリーブの周速を1.5倍とした。
Vlを−110V;Vdcを−510Vとし、Vdを−510V〜−810Vに変化させ、Vppを1.5kV、周波数を2.5kHzとしてカブリとキャリア付着のラティチュードを確認した。
その後、Vlを−110V;Vdcを−510Vとし、Vdを−760Vにして、画質(画像濃度、ドット再現性、カブリ及びキャリア付着)の評価を行った。
具体的には、上記の現像条件において画像面積比率が5%になるようにしたチャートを、常温低湿環境下で50,000枚連続出力した。初期および耐久出力後に各画像(ベタ画像やハーフトーン画像)を出力し、(1)画像濃度(2)ドット再現性(3)カブリ(4)キャリア付着について評価した。さらに、耐久出力後の感光体ドラムの傷の発生の有無も評価した。
用いた評価項目及び評価基準を以下に示す。
(1)画像濃度(耐久初期および後)
ベタ画像を170℃で定着させたときの定着画像の画像濃度を、X−Rite500シリーズ(X−Rite504 X−Rite,Inc.製)を用いて測定した。
(2)ドット再現性(耐久初期および出力後)
ハーフトーン画像(30H画像)を出力して目視観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づいて評価した。なお30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。
(評価基準)
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感があり、問題である。
E:非常にガサツキ感がある。
(3)カブリ(耐久初期および後)
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
耐久初期に、普通紙上にベタ白画像をVbackが0V〜300VになるようVdを50V毎に変化させて画出しした。画出しされたベタ白画像の反射率Dr(%)を測定した。
さらに耐久出力後に、普通紙上にベタ白画像をVbackが0V〜300VになるようVdを50V毎に変化させて画出しした。画出しされたベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。
各Vbackで得られたベタ白画像の反射率Dr(%)及びDs(%)から、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%) = Dr(%)−Ds(%)
Vback=150Vのときのカブリ評価結果を表3に示した。
(評価基準)
A:0.4%未満
B:0.4〜1.0%未満
C:1.0〜2.5%未満(ここまでが実用レベル)
D:2.5〜5.0%未満
E:5.0%以上
(4)キャリア付着(初期)
普通紙上にベタ白画像を、Vbackが0V〜300VになるようVdを50V毎に変化させて画出した。各Vbackでベタ白画像を画出ししたのち、現像部とクリーナー部との間の感光体ドラム上の部分を透明な接着テープを密着させてサンプリングし、1cm×1cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm当たりの付着キャリアの個数を算出した。下記の評価基準に従って、キャリア付着について評価した。
Vback=150Vのときの評価を表3に示した。
(評価基準)
A:1cmあたり10個未満
B:1cmあたり10個以上、20個未満
C:1cmあたり20個以上、50個未満(ここまでが実用レベル)
D:1cmあたり50個以上、100個未満
E:1cmあたり100個以上
さらに、上記カブリとキャリア付着が共に実用レベル以上となるVbackを、カブリ−キャリア付着ラティチュードとして表3に示した。カブリ−キャリア付着ラティチュードが150V以上であることが実用的に必要である。200V以上であることがより好ましい。
(5)ドラム傷(耐久出力後)
耐久出力後の感光体を目視観察した。また、上記ハーフトーン画像のスジ(感光体の周方向に発生するもの)の発生状況を目視観察し、下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
A:傷未発生
B:よく観察するとわずかに見られる程度の傷が見られる
C:傷は見られるが画像には影響が無い程度(ここまでが実用レベル)
D:傷は目視ではっきり確認でき、画像に若干影響が出る程度
E:傷は目視ではっきり確認でき、画像不良が顕著である程度
試験例1の評価結果を表3に示す。
耐久初期の画像濃度は十分であり、30H画像におけるドット再現性は非常に良好であった。また、カブリとキャリア付着のラティチュードも250Vと十分であった。耐久後の画像濃度、ドット再現性、カブリも良好な結果が得られた。キャリア付着もなく、それに起因するようなドラム傷の発生もなかった。
[画出し試験例2]
現像剤1の代わりに現像剤2を用いて、試験例1と同様の試験を行った。試験例2の評価結果を表3に示す。
耐久初期のドット再現性は非常に優れており、カブリと、キャリア付着のラティチュードが150Vと実用上問題は無かった。耐久後に若干のキャリア付着が発生した。また、それに起因したと思われるドラム傷がわずかに見られた。
[画出し試験例3]
現像剤1の代わりに現像剤3を用いて、試験例1と同様の試験を行った。試験例3の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度およびドット再現性は良好であった。耐久後にカブリが若干発生し、ドラム傷がわずかに見られた。
[画出し試験例4]
現像剤1の代わりに現像剤4を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例4の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度およびドット再現性は非常に良好であり、カブリとキャリア付着のラティチュード(150V)は実用上問題がなかった。耐久出力後に若干のキャリア付着が発生し、それに起因したと思われるドラム傷がわずかに見られた。
[画出し試験例5]
現像剤1の代わりに現像剤5を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例5の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度は良好であり、ドット再現性、カブリ、キャリア付着のラティチュード(150V)は実用上問題が無かった。耐久出力後にキャリア付着が若干発生し、それに起因したと思われるドラム傷が見られたが、画像には影響しなかった。
[画出し試験例6]
現像剤1の代わりに現像剤6を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例6の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリ、キャリア付着のラティチュード(200V)とも良好であった。耐久出力後にドット再現性が若干低下した。
[画出し試験例7]
現像剤1の代わりに現像剤7を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例7の評価結果を表3に示した。
耐久初期のドット再現性、カブリ、キャリア付着のラティチュード(200V)は良好であった。耐久出力後にやや画像濃度が低くなり、ドット再現性も若干低下した。
[画出し試験例8]
現像剤1の代わりに現像剤8を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例8の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリ、キャリア付着のラティチュード(250V)とも良好であった。耐久出力後においてもドット再現性は良好であり、カブリもほとんど発生しなかった。
[画出し試験例9]
現像剤1の代わりに現像剤9を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例9の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリ、キャリア付着のラティチュード(180V)とも優れており、非常に光沢のある画像であった。また、耐久出力後でも画像濃度、ドット再現性に優れ、カブリも良好であった。
[画出し試験例10]
現像剤1の代わりに現像剤10を用いて、実施例1と同様の試験を行った。試験例10の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリとキャリア付着のラティチュード(200V)が良好であり、非常に光沢のある画像であった。また、耐久出力後も画像濃度、ドット再現性に優れ、カブリも良好であった。
[画出し試験例11]
現像剤11−1〜4のそれぞれを、図5に示す画像形成装置の対応する現像器に収容してフルカラー画像出力を行った。試験例11の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリとも良好であった。耐久後の画像濃度、ドット再現性、カブリとも良好であった。
[比較画出し試験例1]
現像剤1の代わりに比較現像剤1を用いて、実施例1と同様の試験を行った。比較画出し試験例1の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性は非常に良好であったが、カブリとキャリア付着のラティチュード(50V)が不十分であった。また、耐久出力後にキャリア付着が発生し、それに起因したと思われるドラム傷が見られ、スジの入った画像となった。
[比較画出し試験例2]
現像剤1の代わりに比較現像剤2を用いて、実施例1と同様の試験を行った。比較画出し試験例2の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度は十分であったが、ドット再現性がやや不十分であった。カブリと
キャリア付着のラティチュード(200V)は良好であったが、耐久出力後にキャリア付着が発生した。付着したキャリア粒子の割れによると見られるドラム傷が見られ、若干スジの入った画像となった。
[比較画出し試験例3]
現像剤1の代わりに比較現像剤3を用いて、実施例1と同様の試験を行った。比較画出し試験例3の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度は十分であり、ドット再現性も非常に優れていた。しかしながら、カブリとキャリア付着のラティチュード(50V)が不十分であった。耐久出力後にキャリア付着が発生した。付着したキャリア粒子の割れによると見られるドラム傷が多く見られ、スジの入った画像となった。
[比較画出し試験例4]
現像剤1の代わりに比較現像剤4を用いて、実施例1と同様の試験を行った。比較画出し試験例4の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度は十分であったが、ドット再現性に劣っていた。カブリとキャリア付着のラティチュード(150V)もやや不十分であった。耐久出力後にキャリア付着が発生し、付着したキャリア粒子の割れによると見られるドラム傷が非常に多く見られ、スジの入った画像となった。
[画出し試験例12]
図5に示される画像形成装置の代わりに、図6に示されるクリーナーレス画像形成装置を用いて、現像剤12をシアン現像器に収容し、試験例1と同様の試験を行った。画出し試験例12の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリとも良好であった。また、転写効率も98%と非常に高く、カブリとキャリア付着のラティチュードも十分であった。耐久試験の結果、一次帯電も良好であり、画像濃度も高く、ドット再現性にも優れていた。転写効率も97%であり、良好な結果が得られた。
[画出し試験例13]
現像剤12の代わりに現像剤13を用いて、実施例12と同様の画像評価を行った。画出し試験例13の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリとも良好であった。また、転写効率も99%と非常に高く、カブリとキャリア付着のラティチュードも十分であった。耐久試験の結果、一次帯電も良好であり、画像濃度も高く、ドット再現性にも優れていた。耐久後の転写効率も97%であり、カブリもなく良好な結果が得られた。
[画出し試験例14]
現像剤12の代わりに現像剤14を用いて、実施例12と同様の画像評価を行った。画出し試験例14の評価結果を表3に示した。
耐久初期の画像濃度、ドット再現性、カブリとも良好であった。また、転写効率も98%と非常に高く、カブリとキャリア付着のラティチュードも十分であった。耐久試験の結果、一次帯電も良好であり、画像濃度が若干低下し、ドット再現性も初期に比べやや悪化したものの使用上は十分であった。耐久後の転写効率は96%であり、カブリも問題ないレベルの結果が得られた。
凹部のないキャリア粒子の断面図(模式図)である。 表面に凹部を有するキャリア粒子の一例を示す断面図(模式図)である。 表面に凹部を有するキャリア粒子の一例を示す断面図(模式図)である。 表面に凹部を有するキャリア粒子の一例を示す断面図(模式図)である。 本発明を好適に実施できる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。 本発明を好適に実施できるクリーナーレスシステムの画像形成装置の一例を示す概略断面図である。 キャリア、非磁性無機化合物及び磁性体の比抵抗値を測定する装置の模式的断面図である。 キャリア粒子のSEM像の一例を示す図(写真)である。 キャリアの円形度を測定するグラフの一例を示す模式図である。
符号の説明
1a〜1d クリーニング装置
2 従動ローラ
3 二次転写対向ローラ
4 二次転写ローラ
5 ベルトクリーニング装置
6 用紙カセット
7a〜7d 感光ドラム
8a〜8d 帯電装置
9a〜9d 像露光装置
10a〜10d 現像容器
11 駆動ローラ
12a〜12d プロセスカートリッジ
13 一次転写ローラ
14 中間転写ベルト
15 定着装置
16 給紙ローラ
21 下部電極
22 上部電極
23 絶縁物
24 電流計
25 電圧計
26 定電圧装置
27 キャリア
28 ガイドリング
E 抵抗測定セル
L 試料厚み
P 転写材

Claims (11)

  1. 樹脂および磁性体を含有するキャリアコアを含む、磁性体含有樹脂キャリアであって、
    真比重が2.5〜4.0g/cmであり、
    体積分布基準の平均粒径(D50)が15μm以上25μm未満であり、
    10000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜80Am/kgであり、
    平均円形度Cが0.850〜0.950であり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.200の関係を満足し、かつ
    走査電子顕微鏡で1000倍に拡大された投影形状に凹部を有するキャリアの存在率が20.0個数%以下である
    ことを特徴とする磁性体含有樹脂キャリア。
  2. 前記磁性体は、前記樹脂に分散されている、請求項1に記載のキャリア。
  3. 前記磁性体は、前記樹脂を含浸する多孔質磁性体である、請求項1に記載のキャリア。
  4. 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア。
  5. 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、シリコーン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項4に記載のキャリア。
  6. 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、フッ素系樹脂を含むことを特徴とする、請求項4に記載のキャリア。
  7. 前記キャリアコアを被覆する樹脂コート層が、個数平均粒径10〜500nmの微粒子を含有することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載のキャリア。
  8. 前記微粒子が、個数平均粒径100〜500nmの、無機材料及び/又は架橋樹脂からなる微粒子を含むことを特徴とする、請求項7に記載のキャリア。
  9. 前記微粒子が、個数平均粒径100〜500nmの無機材料及び/又は架橋樹脂からなる微粒子、ならびに個数平均粒径10〜500nmの導電性粒子を含むことを特徴とする、請求項7に記載のキャリア。
  10. トナーおよびキャリアを含有する二成分系現像剤であって、
    前記トナーはポリエステルユニットを主成分とする樹脂、および着色剤を含有し、重量平均粒径が4.0〜8.0μmであり、かつ平均円形度が0.920〜1.000であって、
    前記キャリアは請求項1〜9のいずれか一項に記載のキャリアである
    ことを特徴とする二成分系現像剤。
  11. トナーおよびキャリアを含有する二成分系現像剤であって、
    前記トナーは、直接重合法または乳化重合法により得られる、ビニル系樹脂を主成分とする粒子を含有し、重量平均粒径が4.0〜8.0μmであり、平均円形度が0.960〜1.000であり、
    前記キャリアは請求項1〜9のいずれか一項に記載のキャリアである
    ことを特徴とする二成分系現像剤。
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