JP2011154288A - 電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い帯電量を有し、電子写真現像剤とした時に、各環境下で帯電安定性にも優れた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、該フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなるフェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供する。
【解決手段】MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分を含有するフェライト粒子からなる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及び該キャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる電子現像剤用フェライトキャリア、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
このようなフェライトキャリアにおいては、磁化と抵抗が重要な特性であり、磁化と抵抗のバランスが必要となる。
磁化と抵抗のバランスを取るために、Cu、Zn、Ni等の重金属、あるいはMnを用いたフェライトキャリアが用いられてきた。
最近においては、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の重金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められている。このためキャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−Znフェライトからマンガンフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等のMnを多く含有するフェライトに移行している。
特許文献1(特開2009−180941号公報)には、Mg、Ti、Feを主成分とし、Feを52〜66重量%、Mgを3〜12重量%、Tiを0.2〜12重量%含有する電子写真現像剤用キャリア芯材が記載されている。特許文献2によれば、各重金属のみならず、Mnを始め重金属を用いることなしに、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有するとされている。
ところで、近年の省電力化に伴う低温定着を実現するためにポリエステル系の重合トナーを用いる場合には、トナーそのものが帯電しにくいものとなっておりキャリアの帯電能力を上げる必要に迫られてきているのが実情である。
また、樹脂被覆による帯電レベルの制御が一般的であるが、キャリア芯材の帯電量が低い場合には、繰り返しキャリアを使用して行くことで徐々にキャリア表面の樹脂被覆が剥がれて行き、キャリアの帯電能力が失われてゆく。
このような中でキャリアの樹脂被覆においては、従来より樹脂の種類や添加物等によって帯電性の改善は各種なされてきているが、上述の通り樹脂被覆はキャリアの使用と共に剥がれて行くため帯電性の確保の面からは不十分で、根本的な改善が必要となっている。被覆樹脂の剥がれは、カブリの発生の原因になる。さらに高温高湿(H/H)環境下においては、帯電能力の低下の傾向が顕著になる。
このため、キャリアそのものが高い帯電量を有し、しかも電子写真現像剤においては、帯電立ち上がり性が良好で、各環境下での帯電安定性に優れることが要求されている。
一方、キャリアの誘電性、特に緩和時間に関する条件を特定することによって、良好なキャリア及び現像剤特性を発揮させる試みもなされている。特許文献2(特開2000−284523号公報)には、磁性粒子芯材の表面を樹脂により被覆された樹脂被覆キャリアであり、かつ正弦交流電圧下で測定される周波数存在性から得られるインピーダンス測定におけるコール・コールプロット半円プロットより求められる時定数τ(=RC)の値が1×10−3以下であるキャリアが記載されている。この特許文献3によれば、高い交番電界条件においても高画質で異常画像の無い良好な画像が安定して得られ、連続使用時においてもキャリア被覆層の剥がれがないため摩擦帯電が安定で、初期画像と同等の忠実度が高い画像を得ることができるとされている。
この特許文献2は、キャリアの緩和時間に関する条件を特定することによって、キャリア付着の発生等を防止するものであるが、キャリア芯材の誘電性に着目しキャリアに高い帯電量を付与し、各環境下での帯電安定性に優れる電子写真現像剤を提供することを意図するものではない。
一方、特許文献3(特開2007−102052号公報)には、少なくともバインダー樹脂、磁性粒子、及び高誘電化合物を有する磁性キャリアコア粒子の表面をコート材によりコートしてなる磁性キャリア粒子において、高誘電化合物の比誘電率εが80以上であることが示されている。この特許文献3によれば、低消費量印字においても、長期にわたり安定した画像濃度画像を出力することができるとされている。
しかし、特許文献3に記載の磁性キャリア粒子は、バインダー樹脂が磁性微粒子を覆っている磁性粉分散型キャリアのため、キャリア抵抗が高い。そのため、充分な画像濃度を得ることが難しいという問題がある。
また、磁性粉分散型キャリアは、磁性微粒子をバインダー樹脂で固めているものであり、撹拌ストレスや現像機内での衝撃により磁性微粒子が脱離したり、従来用いられてきた鉄粉キャリアやフェライトキャリアに比べ機械的強度に劣るためか、キャリア粒子自体が割れたりするという問題が発生することがあった。そして、脱離した磁性微粒子や割れたキャリア粒子は感光体に付着し、画像欠陥を引き起こす原因となることがあった。
さらに、高誘電物質としてSrTiO、BaTiO等を添加し、含有させることでキャリアの高帯電化は図られるがこれらの高誘電物質は温度係数が非常に大きく、上記物質を含有させただけでは帯電レベルの環境依存性が改善できない。
そして、この特許文献3は、キャリアに高い帯電量を付与し、各環境下での帯電安定性に優れる電子写真現像剤を提供することを意図するものではない。
特開2009−180941号公報 特開2000−284523号公報 特開2007−102052号公報
従って、本発明の目的は、高い帯電量を有し、電子写真現像剤とした時に、各環境下で帯電安定性にも優れた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、該フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなるフェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、温度補償型誘電体成分を含有する電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材が、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分を含有するフェライト粒子からなることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供するものである。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記温度補償型誘電体成分の合計含有量が0.2〜10重量%であることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記温度補償型誘電体成分の含有量が下記(1)及び(2)の関係式をみたすことが望ましい。
Figure 2011154288
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子は、Fe、Ti及びMgを含有し、その含有量がFe60〜71重量%、Ti0.5〜5.5重量%、Mg0.5〜3.5重量%であることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、表面に酸化被覆が形成されていることが望ましい。
また、本発明は、上記フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用キャリアを提供するものである。
また、本発明は、上記フェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明の上記電子写真現像剤は、補給用現像剤としても用いられる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は高い帯電量を有する。そして、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、各環境下における帯電安定性にも優れる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分を含有するフェライト粒子からなる。また、これらの物質の合計含有量は、0.2〜10重量%であることが望ましい。そして、このような物質を含有することによって、高い帯電量を得ることができ、電子写真現像剤としたときに、各環境下における帯電安定性にも優れる。
MgTiO、MgTiO、MgTiはいずれも温度補償型誘電体成分として代表的なものであり、MgTiOは立方晶であり、同じ立方晶のスピネル構造と相性がよく含有されやすい。MgTiは芯材の仮焼工程、一次焼成工程、本焼成工程のいずれかの工程において還元性が強い場合に生成されやすい。MgTiOは菱面体構造をとり、芯材の仮焼工程、一次焼成工程、本焼成工程のいずれかの工程において酸化性が強い場合に生成されやすい。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、温度補償型誘電体成分の合計含有量が0.2重量%よりも少ない場合は高い帯電レベルを発揮できないだけでなくフェライトキャリア芯材帯電量の環境依存性が大きいものとなってしまう。温度補償型誘電体成分の合計含有量が10重量%よりも大きい場合にも目標とする帯電レベルと帯電安定性は得られるが、帯電レベルが頭打ちになるので10重量%を超えて存在しても意味がない。フェライトキャリア芯材帯電量の環境依存性を考慮すると、温度補償型誘電体成分の含有量は0.2〜7重量%がより好ましく、0.2〜5重量%が最も好ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記温度補償型誘電体成分の含有量が下記(1)及び(2)の関係式をみたすことが望ましい。
Figure 2011154288
上記温度補償型誘電体成分の含有量が上記(1)の関係式をみたさない場合には、芯材の仮焼工程、一次焼成工程、本焼成工程のいずれかの工程において酸化性が強く、MgTiOだけでなくFeも大量に生成し、磁化が下がりすぎキャリア飛散が発生するため、キャリアとして使用できないものとなっている可能性がある。
上記温度補償型誘電体成分の含有量が上記(2)の関係式をみたさない場合には、芯材の仮焼工程、一次焼成工程、本焼成工程のいずれかの工程において還元性が強く、MgTiだけでなくFeOも大量に生成し、磁化が下がりすぎキャリア飛散が発生するため、キャリアとして使用できないものとなっている可能性がある。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、Fe、Ti及びMgを含有する。Feの含有量は、望ましくは60〜71重量%、さらに望ましくは60〜68.5重量%、最も望ましくは60〜67重量%である。Tiの含有量は、望ましくは0.5〜5.5重量%、さらに望ましくは0.5〜3.5重量%、最も望ましくは0.5〜1.5重量%である。Mgの含有量は、望ましくは0.5〜3.5重量%、さらに望ましくは0.5〜2.5重量%、最も望ましくは0.5〜2重量%である。上記組成範囲において、フェライトキャリア芯材は高い帯電量を有する。
MgはMgOの電気陰性度がプラス側に偏っているためマイナストナーに対する相性はきわめて良く、MgOを含有するマグネシウムフェライトキャリアとフルカラー用のトナーで構成される帯電量が高い現像剤を得やすい。
TiはFeと化合しスピネル構造を持ったFeTiOとして含有されるか、MgFeやMnFeの一部がTiに置換された形で含有されるか、温度補償型誘電体成分としてMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の物質に含有されるか、高誘電率の物質としてSrTiOに含有される。
FeTiOはソフトフェライトと同様にスピネル構造を持つものの他のスピネル構造をもったソフトフェライトよりも酸化されやすいため、表面酸化処理を行なった際に絶縁性のFeを生成しやすくなり電荷のリークが起こりにくくなるため、芯材粒子の帯電レベルを上げやすい。
MgTiO、MgTiO、MgTiは温度補償型の誘電体であり、比誘電率は測定条件により異なるが16〜18程度のものが知られており、組成や製造方法を制御することで誘電率の温度係数を小さくし、誘電体の温度の影響を受けないようにすることが一般的に行なわれている。一方、フェライト成分は温度の影響で誘電率が変化し、フェライトキャリア芯材の帯電レベルが変化する。したがってフェライト成分の温度による比誘電率の変化を相殺するように温度補償型誘電体成分の比誘電率の温度係数を制御すればフェライトキャリア芯材の帯電量の環境変動を最小限に抑えることが可能となる。あるいは、フェライト成分の比誘電率の温度変化に応じてMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の物質を一定の割合で含有させることによって、フェライトキャリア芯材として温度によらず常に一定の比誘電率を保つことができる。さらにフェライト成分の比誘電率は測定条件により異なるが8〜12付近であることが多く、MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の物質が芯材中に存在することでフェライトキャリア芯材そのものの帯電レベルを上げる方向に寄与する。
また、SrTiOの温度係数は大きいものの、比誘電率が測定条件により異なるが200以上と高誘電率であり、環境依存性が悪くならない程度に含有させることでよりフェライトキャリア芯材の帯電レベルを上げることができる。その含有量は0〜3重量%が望ましく、含有量が3重量%を超える場合には、フェライトキャリア芯材の誘電率の温度変化が大きくなりすぎ、帯電量の環境依存性が大きくなりすぎてしまう。
これら、MgTiO、MgTiO、MgTi、SrTiOの結晶構造については、下記によって測定される。
(結晶構造の測定:X線回折測定)
測定装置としてパナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いた。X線源としてCo管球(CoKα線)を、光学系として集中光学系及び高速検出器「X‘Celarator」を用いて、測定は0.2°/secの連続スキャンで行った。測定結果は通常の粉末の結晶構造解析と同様に解析用ソフトウエア「X’Pert
HighScore」を用いてデータ処理し、結晶構造の同定し、得られた結晶構造を精密化することで重量換算の存在比率を算出した。存在比率の算出に際してマグネシウムフェライトとFeのピークの分離が難しいためスピネル相として取り扱い、それ以外の結晶構造はそれぞれの存在比率を算出した。なお、結晶構造の同定を行う際にOを必須元素としFe、Mn、Mg、Ti、Srは含有する可能性のある元素とした。また、X線源についてはCu管球でも問題なく測定できるが、Feを多く含んだサンプルの場合には測定対象となるピークと比較してバックグラウンドが大きくなるので、Co管球を用いる方が好ましい。また、光学系は平行法でも同様の結果が得られる可能性があるが、X線強度が低く測定に時間がかかるため集中光学系での測定が好ましい。さらに、連続スキャンの速度は特に制限はないが結晶構造の解析を行う際に十分なS/N比を得るためにスピネル構造の(113)面のピーク強度が50000cps以上となるようにし、粒子の特定の優先方向への配向がないようにサンプルセルにキャリア芯材をセットし測定を行った。
Feの含有量が60重量%未満では、Mg及び/又はTiの添加量が相対的に増えることでフェライト成分を構成する立方晶のスピネル構造以外の結晶構造が生成しやすくなるとともに立方晶のMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の温度補償型誘電体成分も生成しにくくなり所望の帯電特性を得られなくなることを意味している。71重量%を超えるとMg及び/又はTiの添加効果は得られず実質的にFeと同等のフェライトキャリア芯材になってしまう。Mgの含有量が0.5重量%未満では、十分なMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の温度補償型誘電体成分を生成できないため所望の帯電特性を得られなくなる可能性があり、Mgの含有量が3.5重量%を超えるとMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の温度補償型誘電体成分の生成量が増えすぎるため、温度補償型誘電体成分の温度係数の影響が大きくなり再び帯電量の環境変動が大きくなる可能性がある。Tiの含有量が0.5重量%未満では、十分なMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の温度補償型誘電体成分を生成できないため所望の帯電特性を得られなくなる可能性があり、5.5重量%を超えると、MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる1種類以上の温度補償型誘電体成分の生成量が増えすぎるため、温度補償型誘電体成分の温度係数の影響が大きくなり再び帯電量の環境変動が大きくなる可能性がある。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、Mnを少量含有することが望ましい。Mnの含有量は、望ましくは0.001〜5重量%、さらに望ましくは0.01〜4.5重量%、最も望ましくは0.01〜4.1重量%である。Mnは、用途に応じて抵抗と磁化のバランスを改善させるため意図的に添加してもよい。この場合は特に本焼成における炉出の際の再酸化を防止する効果が期待できる。意図的添加でない場合においては、原料由来の不純物としてのMnの微量の含有は問題ない。添加するときのMnの形態は特に制限はないがMnO、Mn、Mn、MnCOが工業用途で入手しやすいので好ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、Srを含有してもよく、その含有量は2.0重量%以下である。Srの含有量が2.0重量%を超えると、ハードフェライト化しはじめるため磁気ブラシ上で現像剤の流動性が急激に悪くなる恐れがある。
なお、Sr及びFeを含有する酸化物の結晶構造としては、SrO・6Fe又はSrFe1219として表現されるストロンチウムフェライトがあり、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材に含有されていても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、Siを含有されることが望ましく、その含有量は望ましくは50〜1000ppm、さらに望ましくは50〜800ppmである。Siを含有することによって、低温で焼成することが可能となり、凝集粒子も発生しない。しかも、Siの含有によって適度に焼結が進むため、Mnを多く含有することなく、比較的低温の本焼成で目標とする高磁化が得られるようになる。
(Fe、Mg、Ti、Sr、Mn及びSiの含有量)
これらFe、Mg、Ti、Sr、Mn及びSiの含有量は、下記によって測定される。
キャリア芯材0.2gを秤量し、純水60mlに1Nの塩酸20ml及び1Nの硝酸20mlを加えたものを加熱し、キャリア芯材を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mg、Ti、Sr、Mn及びSiの含有量を測定した。
(帯電量測定)
この帯電量は、次のようにして測定される。すなわち、スチレン−アクリル系負帯電性市販トナー(5.5μm)3.5gとキャリア芯材46.5gを秤量し、50mlのガラスビンに入れてボールミルでガラスビンが100回転になるように回転数を合わせて混合攪拌を行った。攪拌時間は30minとし、それぞれ現像剤をN/N環境(室温25℃、湿度55%)とH/H環境(室温32℃、湿度80%)下に1時間暴露後、Epping社製帯電量測定装置q/m−meterで帯電量を測定した。このとき帯電量は測定を開始後3min後の値とした。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、表面酸化処理により表面被膜が形成されていることが望ましい。この表面酸化処理によって形成される酸化処理被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、明らかに磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。酸化皮膜の厚さは酸化皮膜が形成されていることが確認できる程度の高倍率のSEM写真、光学顕微鏡及びレーザー顕微鏡から測定することが出来る。なお、酸化皮膜は芯材表面に均一で形成されていても良いし、部分的に酸化皮膜形成されていても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均粒径が好ましくは15〜120μm、より好ましくは15〜80μm、最も好ましくは15〜60μmである。体積平均粒径が15μm未満であると、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。体積平均粒径が120μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。この体積平均粒径は、下記によって測定される。
(体積平均粒径)
装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。分散媒には水を用いた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、BET比表面積が0.07〜0.25m/gが望ましい。BET比表面積が0.07m/g未満では、芯材表面の凹凸が少ないため樹脂被覆後の樹脂のアンカー効果が得られず、電子写真現像剤用キャリアとして寿命が短くなる可能性があり、BET比表面積が0.25m/gを超えると芯材表面の凹凸が大きく樹脂がしみ込みやすくなるため電子写真現像剤用キャリアとして所望の特性が得られなくなる可能性がある。このBET比表面積は、下記により測定される。
(BET比表面積)
自動比表面積測定装置GEMINI2360」(島津製作所社製)を用いて、吸着ガスであるNを吸着させて測定したキャリア粒子のN吸着量から求めることができる。なお、ここでは、このN吸着量を測定する際に用いられる測定管は、測定前に、減圧状態にて50℃で2時間の空焼きを行った。さらに、この測定管にキャリア粒子5gを充填し、減圧状態で30℃の温度で2時間前処理を行った後に、25℃下でNガスをそれぞれ吸着させてその吸着量を測定した。それらの吸着量は、吸着等温線を描き、BET式から算出される値である。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆フェライトキャリアは、樹脂被膜量が、フェライトキャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被膜量が0.01重量%未満ではフェライトキャリア表面に十分な被膜層を形成することが難しくフェライトキャリア芯材の帯電レベルが高い場合でもトナースペントによる現像剤の帯電量低下は回避できないためカブリやトナー飛散が発生する。また10重量%を超えるとフェライトキャリア芯材の帯電レベルが高い場合でも被覆樹脂の帯電性が支配的になり、樹脂にもよるが現像剤が十分な帯電レベルにならない可能性がある。
ここに用いられる被膜形成樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被膜形成樹脂中に導電性剤を添加することができる。導電性剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被膜形成樹脂の固形分に対し0.1〜20.0重量%であり、好ましくは0.25〜15.0重量%、特に好ましくは0.5〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンやカーボンナノチューブ、酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被膜形成樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被膜形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電レベルが低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。帯電量の測定方法は、上述の通りである。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、Fe、Ti、Mg及び必要に応じてSrの各化合物を粉砕、混合、仮焼した後、再粉砕、混合、造粒し、得られた造粒物を一次焼成、本焼成し、さらに解砕、分級、表面酸化処理する。
Fe、Ti、Mg及び必要に応じてSrの各化合物を粉砕、混合、仮焼を行った後、再粉砕、混合、造粒して造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。この際にMn化合物を添加してもよい。原料としてFeとTiOとMg(OH)及び/又はMgCOとSrCOを混合し、さらにカーボンブラック及び/又はバインダーを添加し、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気で仮焼成し、少なくとも2価のFeを含有するスピネル相にFeとTi、FeとSr、MgとTi、SrとTiから選ばれる少なくとも1種類以上の複合酸化物相が存在するフェライト前駆体の状態であることが良く、さらにこの仮焼成においてFeOが生成していても良い。仮焼成後得られた仮焼物を再度粉砕、混合、造粒する。この、再度粉砕、混合時に、必要に応じてFe化合物、Mg化合物、Ti化合物、Sr化合物、Mn化合物から選ばれる1種類以上の化合物を追加の原料として添加してもよい。添加するときの各元素の化合物の形態は特に制限はないが、Fe化合物の場合はFe、Fe、FeO、Mg化合物の場合はMgO、Mg(OH)、MgCO、MgTiO、MgTiO、MgTi、Ti化合物の場合はTiO、FeTiO、FeTiO、FeTiO、Sr化合物の場合はSrO、SrCO、SrTiO、Mn化合物の場合はMnO、Mn、Mn、MnCOが工業用途で入手しやすいので好ましい。従来の製造方法では本焼成時にFeからスピネル相を生成させるため結晶構造の変化にかなりのエネルギーが必要となるが、予めFeとTiOとMg(OH)及び/又はMgCOとSrCOを混合し、さらにカーボンブラック及び/又はバインダーを添加し仮焼成を行った場合には、本焼成において必要最小限の結晶構造の変化だけでフェライト化が終了するので低温焼成が可能となる。なお、バインダーとしてはポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを使うことが好ましい。
上記製造方法においてSi化合物は、再粉砕、混合時にSiO等を焼結助剤として添加され、最終組成として一定量含有されることが望ましい。このようにSi化合物を添加することによって低温で焼成が可能となり、凝集粒子も発生しないため、形状のよい芯材粒子が得られやすくなる。
上記製造方法では、得られた造粒物を一次焼成、本焼成する。一次焼成は、非酸化性雰囲気下、500〜1100℃で行われる。
次に、1220℃以下、好ましくは1100〜1200℃で本焼成が行われる。本焼成はより結晶構造をしっかりしたものとし、表面酸化処理による芯材粒子の磁化低下を防止する効果が期待できる。一次焼成を行うことで本焼成において一次焼成を行わない場合と比較して低温で焼成できるため、凹凸を持った芯材粒子としやすくなるだけでなく、高い球形度を確保することが可能となる。
上記製造方法では、上述したように、予め本焼成前の芯材粒子の造粒物の時点で原料由来の結晶構造だけでなく、少なくとも2価のFeを含有するスピネル相及びFeとTi、FeとSr、MgとTi、SrとTiから選ばれる少なくとも1種類以上の複合酸化物相を含有しており、さらに非酸化性雰囲気下、500〜1100℃で一次焼成を行うことでフェライト化及び温度補償型誘電体成分の結晶成長を促進することが出来るので、本焼成においても1220℃以下の低温焼成が可能となる。
上記製造方法では、本焼成を酸素濃度が5体積%以下の雰囲気で行う。酸素濃度が5体積%を超える場合は、焼成物の磁化が低くなりすぎ、キャリア飛散の原因となるので好ましくない。MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分の生成を確実に行い、かつ高磁化のフェライトキャリア芯材を得るために、酸素濃度3体積%以下が好ましく、非酸化性雰囲気(酸素濃度0体積%)がさらに好ましい。
その後、回収し、乾燥、分級を行ってフェライトキャリア芯材を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜800℃、好ましくは450〜700℃で熱処理を行う。酸化皮膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉を用いることが好ましい。
本発明の電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をフェライトキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比(トナー重量/(キャリア重量+トナー重量))、即ちトナー濃度は3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比(トナー重量/キャリア重量)、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
Feを7.8モル、Mgを0.4モル、Tiを0.15モル及びMn0.1モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO及びMnを秤量し、ローラーコンパクターでペレット化した。このとき、焼成を促進させる目的と3価のFeを還元させるため活性炭を0.5重量%添加し、得られたペレットを1000℃にて酸素濃度0vol%の雰囲気でロータリー式の焼成炉で仮焼成し、有機物とガスの成分を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。
得られた仮焼成物をビーズミルにて粉砕した。また、粉砕の際、一次粒子の平均粒子径12nmのSiOを水に対して固形分20重量%の割合でIKA社製ホモジナイザーT65D ULTRA−TURRAXを使って分散したものをスラリー固形分に対してSiO固形分換算で0.07重量%と、バインダー成分としてPVAをスラリー固形分に対して3.2重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加した。この際のスラリー粒径のD50は2μmであった。得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて再度造粒し、800℃にて非酸化性雰囲気(酸素濃度0vol%)でロータリー式の焼成炉で一次焼成を行い、有機物を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。
一次焼成したものを80メッシュの篩を使って粗大粒子を除去した後1185℃、非酸化性雰囲気(酸素濃度0vol%)で16時間焼成し焼成物を得た。得られた焼成物を解砕、分級、磁力選鉱を行い、キャリア芯材粒子を得た。
さらに得られたキャリア芯材粒子を表面酸化処理温度630℃、大気雰囲気の条件下、ロータリー式の電気炉で表面酸化処理を行い表面酸化処理済みのキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Fe原料を15モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Mn原料を0.5モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Ti原料を0.2モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Ti原料を0.07モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Mg原料を0.8モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Mg原料を0.13モルとした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表3に示されるように、表面酸化処理温度を700℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表3に示されるように、表面酸化処理温度を450℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表1に示されるように、Sr原料を0.06モル加えた以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
[比較例1]
表1に示されるように、原料としてFe原料を15.84モル、Mg原料を0.65モル、Li原料を2.67モル、Ca原料を0.1モルとし、活性炭を添加せず、仮焼成を行わず、本造粒のスラリー粒径のD50を3.5μmとし、さらに表2に示されるように、一次焼成を650℃、大気雰囲気、本焼成を1210℃、大気雰囲気で行い、表3に示されるように、表面酸化処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
[比較例2]
表1に示されるように、原料としてFe原料を10モル、Mg原料を1モル、Sr原料を0.02モル、Mn原料を4モルとし、活性炭を添加せず、仮焼成を900℃、大気雰囲気で行い、本造粒のスラリー粒径のD50を3.5μmとし、さらに表2に示されるように、一次焼成を700℃、大気雰囲気、本焼成を1235℃、酸素濃度1.5vol%雰囲気で行い、表3に示されるように、表面酸化処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
[比較例3]
表1に示されるように、原料としてFe原料を10モル、Mg原料を1モル、Sr原料を0.02モル、Mn原料を4モルとし、活性炭を添加せず、仮焼成を930℃、大気雰囲気で行い、本造粒のスラリー粒径のD50を2μmとし、さらに表2に示されるように、一次焼成を700℃、大気雰囲気、本焼成を1130℃、酸素濃度0.5vol%雰囲気で行い、表3に示されるように、表面酸化処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
[比較例4]
表1に示されるように、原料としてFe原料を15.34モル、Mg原料を0.25モル、Li原料を2.67モル、Mn原料を1モルとし、活性炭を添加せず、仮焼成を930℃、大気雰囲気で行い、本造粒のスラリー粒径のD50を2μmとし、さらに表2に示されるように、一次焼成を650℃、大気雰囲気、本焼成を1145℃、酸素濃度1vol%雰囲気で行い、表3に示されるように、表面酸化処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
[比較例5]
表1に示されるように、原料としてFe原料を10.1モル、Mg原料を0.25モル、Mn原料を4.7モルとし、活性炭を添加せず、仮焼成を行わず、本造粒のスラリー粒径のD50を2μmとし、さらに表2に示されるように、一次焼成を650℃、大気雰囲気、本焼成を1290℃、非酸化性雰囲気(酸素濃度0vol%)で行い、表3に示されるように、表面酸化処理を550℃で行った以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜5について、表1にキャリア芯材の仕込み原料割合、仮焼成条件(焼成温度、焼成雰囲気)及び本造粒条件(スラリー粒径、Si量、バインダー量)を示し、表2にキャリア芯材の一次焼成条件(焼成温度、焼成雰囲気)、本焼成条件(焼成温度、焼成雰囲気)、表面酸化処理前の化学分析を示す。また、表3に表面酸化処理前のX線回折及び芯材の磁化を示し、表4に酸化処理前の体積平均粒径、BET比表面積及び表面酸化処理後の帯電特性[体積平均粒径5.8μmのトナーを用いた帯電量(低温低湿(L/L)、常温常湿(N/N)、高温高湿(H/H))及び低温低湿(L/L)と高温高湿(H/H)の帯電量の差の絶対値]をそれぞれ示す。また、表5に表面酸化処理温度、酸化処理後の体積平均粒径、BET比表面積及び表面酸化処理後の帯電特性[5.5μmのトナーを用いた帯電量(低温低湿(L/L)、常温常湿(N/N)、高温高湿(H/H))及び低温低湿(L/L)と高温高湿(H/H)の帯電量の差の絶対値]を示す。なお、比較例1〜4は酸化処理を行わなかった。また、表3において、芯材の磁化は下記により測定した。
(磁化)
磁化は、次のようにして測定される。すなわち、積分型B−HトレーサーBHU−60型(理研電子社製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
Figure 2011154288
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Figure 2011154288
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表1〜表5の結果から明らかなように、実施例1〜10においてはフェライトキャリア芯材自身の帯電量が十分高く、かつ帯電量の環境依存性が極めて小さいフェライトキャリア芯材が得られた。特に実施例10はSrTiOを含有しており環境依存性に優れ、かつ、非常に高い帯電レベルを持ったフェライトキャリア芯材となった。一方、比較例1、4及び5はMgを含有していないためフェライトキャリア芯材の帯電レベルはかなり低くなった。比較例2及び3もMgを含有しているものの実施例1〜10と比較してフェライトキャリア芯材の帯電レベルは劣る結果となった。さらに比較例1〜5はいずれもMgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分を含有していないため、実施例1〜10と比較して帯電量の環境依存性が劣る結果となった。特に比較例1及び比較例4はLiを含有しているため帯電量の環境依存性が比較例2、3及び5と比較しても劣る結果となった。
実施例1と同様の方法で平均粒径55.22μmのキャリア芯材粒子を作成し、信越シリコーン社製アクリル変性シリコーン樹脂KR−9706を被覆樹脂として流動床コーティング装置により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンとMEKを重量比で3:1に混合した溶剤を添加したものを使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために200℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
実施例1と同様の方法で平均粒径55.22μmのキャリア芯材粒子を作成し、信越シリコーン社製シリコーン樹脂KR−350、東レダウコーニング社製アルミニウム系触媒CAT−AC、信越シリコーン社製アミノシランカップリング剤KBM−603及びライオン社製ケッチェンブラックEC600JDを被覆樹脂として流動床コーティング装置により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してアルミニウム系触媒CAT−ACを2重量%、アミノシランカップリング剤KBM−603を10重量%、ケッチェンブラックEC600JDを15重量%それぞれ添加した。さらに樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンを添加し、IKA社製ホモジナイザーT65D ULTRA−TURRAXで3分間前分散を行った後、縦型ビーズミル5分間分散処理を行ったものを樹脂溶液として使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために250℃設定の熱風乾燥機で3時間乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
実施例1と同様の方法で平均粒径55.22μmのキャリア芯材粒子を作成し、三菱レイヨン社製アクリル樹脂ダイヤナールBR−80を被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で0.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンを添加したものを使用した。なお、樹脂は粉末であるため樹脂溶液は50℃となるように湯煎し樹脂粉末が完全に溶解させた。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために145℃設定の熱風乾燥機で2時間乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
[比較例6]
比較例2と同様の方法で平均粒径58.51μmのキャリア芯材粒子を作成し、実施例12と同様の方法で樹脂被覆を行い、樹脂被覆キャリアを得た。
実施例11〜13及び比較例6について、キャリア47.5g、トナー2.5gを秤量し、50ccガラスビンに入れ、回転数100rpmのボールミルで30min撹拌混合し、トナー濃度5重量%の帯電量測定用の現像剤を得た。得られた現像剤をEpping社製帯電量測定装置q/m−meterで帯電量を測定した。結果を表6に示す。
さらに実施例11〜13及び比較例6について、キャリア47.5gのみを50ccガラスビンに入れてペイントシェーカーで1時間撹拌した後に同様の方法でトナーを混合し、現像剤を作成し、N/N環境で帯電量を測定すると共に、上記初期値との差を示した。結果を表6に示す。
Figure 2011154288
表6の結果から明らかなように、得られたいずれの樹脂被覆キャリアは十分な帯電特性を持ち、電子写真現像剤用フェライトキャリアとして十分使えるものとなった。一方、比較例6は樹脂被覆を行なったものの、帯電レベル及び帯電量の環境依存性が芯材の影響を受け、実施例12と比較して劣る結果となった。また、得られたいずれの樹脂被覆キャリアはペイントシェーカーで1時間撹拌したあとも十分な帯電特性を持ち、電子写真現像剤用フェライトキャリアとして十分使えるものとなった。一方、比較例6は樹脂被覆が剥がれることで帯電量が低下し、帯電レベルが維持できない結果となった。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、高い帯電量を有し、電子写真現像剤とした時に、帯電安定性にも優れる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (8)

  1. MgTiO、MgTiO、MgTiから選ばれる少なくとも1種類以上の温度補償型誘電体成分を含有するフェライト粒子からなることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  2. 上記温度補償型誘電体成分の合計含有量が0.2〜10重量%である請求項1に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  3. 上記温度補償型誘電体成分の含有量が下記(1)及び(2)の関係式をみたす請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
    Figure 2011154288
  4. 上記フェライト粒子は、Fe、Ti及びMgを含有し、その含有量がFe60〜71重量%、Ti0.5〜5.5重量%、Mg0.5〜3.5重量%である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  5. 表面に酸化被覆が形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリア。
  7. 請求項6に記載のフェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤。
  8. 補給用現像剤として用いられる請求項7に記載の電子写真現像剤。
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