JP2009180941A - 電子写真現像剤用キャリア芯材、キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア芯材、キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】各重金属のみならず、Mnを用いることなしに、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有し、キャリア付着が防止される電子写真現像剤用キャリア芯材、キャリア及びこれを用いた電子写真現像剤を提供すること。
【解決手段】Mg、Ti及びFeを主成分とし、Feを52〜66重量%、Mgを3〜12重量%、Tiを0.2〜12重量%含有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材及び該キャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる電子写真現像剤用キャリア、並びに該キャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用キャリア芯材、キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
しかし、このようなフェライトキャリアの製造方法にあっては、種々な問題がある。具体的には、フェライト化反応により磁化を生じさせる行程である焼成工程は、一般にトンネルキルンが使用されており、原料をコウ鉢に充填して焼成するので、粒子間の影響により、形状が異形になり易く、特に小粒径のフェライト粒子になるほど顕著であり、焼成後、ブロック状になり解砕時に割れ欠けが発生し、異形粒子の混入がある。しかも、小粒径のフェライト粒子を製造する場合には、粉砕を強化しないと形状の良好なものが出来ない。さらには、焼成時間は、昇温時間、最高温度保持時間及び降温時間を含めると12時間程度を要し、かつ焼成後にブロック状になったものを解砕しなければならず、生産安定性が良好でないといった問題がある。
また、このような焼成方法で製造したキャリアコア(芯)材は、割れ欠け粒子だけでなく、粒子が変形した異形粒子が多く存在するために、樹脂被膜を形成しても、均一な被膜を形成するのが困難である。樹脂被膜は粒子表面で窪み部分では厚くなり、凸部分では薄くなってしまう。樹脂被膜の厚みが薄い部分は、ストレスによりキャリア芯材の露出が早くなり、リーク現象や帯電量分布の広がりの原因になり、高品位の画質を長期間安定させることが困難であった。
割れ欠け防止及び異形粒子の低減を図るためには、焼成時の粒子間の凝集を防ぐことが必要であり、そのために焼成温度を低めで焼成すると焼成後の解砕ストレスも小さくなり、割れ欠け粒子及び異形粒子等の低減が可能である。
しかしながら、この場合には、粒子の表面性がポーラスになり、樹脂のしみ込み等により帯電の立ち上がりが悪くなり、また不必要のしみ込み部分の樹脂が多くなり、経済的にも劣り、品質、コストの両面で好ましくない。
このような課題を解決するため、新たなフェライトキャリアの製造方法が提案されている。例えば特許文献1(特開昭62−50839号公報)には、フェライト形成用原料として配合した金属酸化物からなる配合物をして高温の火炎雰囲気中を通過せしめ、これにより配合物を一瞬にしてフェライト化させるフェライトキャリアの製造方法が記載されている。
しかし、この製造方法においては、酸素量/燃焼ガスの比が3以下で行われており、フェライト原料によっては焼成が困難となる。また、近年のキャリアの小粒径化に対応した、例えば20〜50μm程度の小粒径であるフェライトの製造おいては粒子ごとにかかる熱量が変化する可能性があり、50μm以上の比較的大きい粒子においては粒子内部に十分熱がかからない可能性があり、いずれにしても球状の均質なフェライト粒子は得られない。
また、特許文献2(国際公開2007−63933号公報)には、上記のような溶射法を用い、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素を用い、燃焼ガスと酸素の容量比を1:3.5〜6.0とした樹脂コートフェライトキャリアの製造方法が記載され、このようにして製造される樹脂コートフェライトキャリアは、キャリア芯材表面が樹脂被膜との接着強度を向上させるための細筋状のシワ模様である凹凸を備えるとされている。
この特許文献2では、キャリア芯材として用いられるフェライト組成として種々のものが使用可能とされているが、実施例から明らかなように、キャリア芯材として開示されているフェライト組成はMn−Mg−Srフェライトのみである。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められており、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−ZnフェライトからMnを用いたMnフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。
しかし、Mnも各種法規制の対象になりつつあり、上記各種重金属はもとよりMnを使用しないキャリア芯材が求められている。
一方、Mnを用いないフェライト組成としてLi−Mg−Caフェライト、Mgフェライトといった組成についても各種提案されたが未だ普及には至っていない。その理由として例えばLiをキャリア芯材として用いたフェライトキャリアでは表面を樹脂で被覆していても僅かな空気中の水分の影響で帯電量、抵抗が大きく変化することが知られている。また、MgフェライトはMgの添加量にもよるが、良好な特性を得るためには、雰囲気を制御した焼成が前提となり、大気焼成の設備しかない場合には製造は極めて困難である。
特許文献3(特開2004−279883号公報)、特許文献4(特開2004−191834号公報)及び特許文献5(特開2004−53643号公報)には、Mnを用いず、それぞれDy、Tb、Gdといった希土類金属を用いたフェライト組成からなる電子写真現像剤用キャリアが提案されている。
これらは、Mnを用いるものではないが、いずれも希土類金属を用いるものであり、入手が困難で価格も高く、工業用途での使用は難しい。
特許文献6(特開2000−233930号公報)には、スピネル相を安定化させるためにTiを含有することが記載されているが、Tiの添加は積極的に磁化を制御しようとするものではない。
特許文献7(特開2004−240321号公報)には、フェライト中にTi等の元素を単独の酸化物として存在させることが記載されているがFeとTiのスピネル以外の複合酸化物を生成させて磁化を制御するものではない。
特開昭62−50839号公報 国際公開2007−63933号公報 特開2004−279883号公報 特開2004−191834号公報 特開2004−53643号公報 特開2000−233930号公報 特開2004−240321号公報
上述したように、各重金属のみならず、Mnを用いることなしに、所望の特性、すなわち、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有するキャリア芯材、キャリア及びこれを用いた電子写真現像剤が求められている。
従って、本発明の目的は、各重金属のみならず、Mnを用いることなしに、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有し、現像剤としたときにキャリア付着が防止される電子写真現像剤用キャリア芯材、キャリア及びこれを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、Mg、Ti及びFeを主成分とし、これらを一定量含有するキャリア芯材及びこれに樹脂を被覆したキャリアが上記目的を達成し得ることを知見し、本発明に至った。そして、このようなキャリア芯材は、溶射工程を通過することにより製造できることを見出した。
さらに詳述すると、本発明では、高磁化(95Am/kg)のFe(マグネタイト)と低磁化(35Am/kg)のMgOFe(マグネシウムフェライト)をベースにある程度磁化の調整を行い、目標としている磁化との差はほぼ無磁化(0Am/kg)のFeTiO又はFeTiOの組成を組み込むことで所望の磁気特性(磁化)を発現することができる。
また、溶射による焼成は従来の焼成方法と比べて焼成時間が極めて短く、化学的量論比でマグネシウムフェライトを溶射で焼成してもMgが十分Feとフェライト化せずFeが過剰となりFe(マグネタイト)になってしまうため、磁化は高くなってしまう。
一方で抵抗が低く、磁化も低い電子写真現像剤用キャリア芯材は従来の製法・組成を用いた場合はできなかったがMg−Ti系の組成を溶射で製造することによって、低抵抗で低磁化のキャリア芯材を得ることができるようになった。
磁気特性として上記の3つの結晶構造を持ち込むことで同じ磁化であってもそれぞれの結晶構造の組み合わせを任意に選択でき、抵抗の制御性で有利に働く。すなわち、抵抗と磁気特性とはFe、Ti、Mgのバランスを調整することで、例えば抵抗を上げるための表面酸化の前後であまり大きく磁化を変化させないことや、表面酸化の前後で磁化の大幅に動かすことが可能となり、磁化と抵抗の関係を従来のキャリア芯材よりも広い選択性が獲得できることを見出した。本発明は、これらの知見によりなされたものである。
すなわち、本発明は、Mg、Ti及びFeを主成分とし、Feを52〜66重量%、Mgを3〜12重量%、Tiを0.2〜12重量%含有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、VSMにより測定される1KOeにおける飽和磁化が30〜60Am/kg、残留磁化が2〜4Am/kg、保磁力が25〜75Oeであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、真球状であることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、印加電圧が100V及び500Vにおける6.5mmGapのブリッジ式電気抵抗値をそれぞれR100及びR500としたとき、R100が5×10〜1×1010ΩかつR500が5×10〜1×1010Ωであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均粒径D50が20〜100μmであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積粒度分布において16μm以下の粒子を0〜5体積%含有することが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、JIS Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)により測定される見掛け密度が2.4〜2.7g/cmであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、JIS Z2502(金属粉の流動性試験法)より測定される流動性が20〜75sec/50gであることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面に酸化被膜が形成されていることが望ましい。
また、本発明は、上記キャリア芯材に樹脂を被覆してなる電子写真現像剤用キャリアを提供するものである。
また、本発明は、上記キャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアは、各重金属のみならず、Mnをはじめ重金属を用いることなしに、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有する。そして、上記キャリアを用いた電子写真現像剤はキャリア付着が防止される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、Mg、Ti及びFeを主成分とし、Feを52〜66重量%、好ましくは53.5〜65重量%、より好ましくは55〜65重量%、Mgを3〜12重量%、好ましくは3〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%、Tiを0.2〜12重量%、好ましくは0.35〜10重量%、より好ましくは0.5〜9重量%含有する。上記組成範囲において、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有する。
特にTiを含有することによって、所望の磁気特性が得られるようになることは言うまでもないが、流動性に影響を与えない範囲で保磁力を大きくすることができる。一般に摩擦帯電は適度なストレスで異なった物質同士を擦りあわすことによって発生し、単純に流動性が良いだけでは帯電能力は劣ったものになってしまうが、本発明に係るキャリア芯材を使ったキャリアは流動性が非常に良い状態のままで保磁力が大きく現像機内において適度なストレスをかけながらトナーと攪拌されるようになるため摩擦帯電を与えることができるようになる。
Feの含有量が52重量%未満では、Mg及び/又はTiの添加量が相対的に増えることで非磁性成分及び/又は低磁化成分が増加し、所望の磁気特性が得られないことを意味しており、66重量%を超えるとMg及び/又はTiの添加効果は得られず実質的にマグネタイトと同等のキャリア芯材になってしまう。Mgの含有量が3重量%未満では、キャリア芯材におけるマグネシウムフェライト相の生成量が少なく、マグネタイト相の生成量が相対的に増加することで保磁力が増大し所望の磁気特性が得られなくなる可能性があり、12重量%を超えるとキャリア芯材中にマグネシウムフェライト以外に酸化マグネシウムが生成し所望の磁気特性が得られなくなる可能性がある。Tiの含有量が0.2重量%未満では、FeとTiの複合酸化物の生成量が少ないため所望の磁気特性が得られない可能性があり、12量%を超えると、FeとTiの複合酸化物による非磁性相が支配的になるため磁化が低くなりすぎ所望の磁気特性が得られなくなる可能性がある。これらFe、Mg及びTiの含有量は、下記によって測定される。
(Fe、Mg及びTiの含有量)
キャリア芯材0.2gを秤量し、純水60mlに1Nの塩酸20ml及び1Nの硝酸20mlを加えたものを加熱し、キャリア芯材を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mg及びTiの含有量を測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材のVSMにより測定される1KOeにおける飽和磁化が30〜60Am/kg、残留磁化が2〜4Am/kg、保磁力が25〜75Oeであることが望ましい。
飽和磁化が30Am/kgよりも小さい場合にはキャリア飛散が起こりやすくなりドラム傷の原因となり白斑等画質に悪影響を与える可能性がある。飽和磁化が60Am/kgよりも大きい場合には磁気ブラシ上に形成される現像剤の穂立ちが高くなりすぎだけでなく疎になりやすく、画質が劣る可能性がある。
残留磁化が2Am/kgよりも小さい場合は、現像器中での攪拌ストレスがかかりにくくなるためトナーを十分帯電させることができなくなる。4Am/kgよりも大きい場合は現像器中における現像剤の流動性が劣り現像剤がうまく混合できないという不具合が出る可能性がある。
また、保磁力が25Oeよりも小さい場合には、現像器中での攪拌ストレスがかかりにくくなるためトナーを十分帯電させることができなくなる。75Oeより大きい場合には磁場中での流動性が大きく劣り、現像できなくなる恐れがある。これら磁気特性は、下記によって測定される。
振動試料型磁気測定装置(型式:VSM−C7−10A(東英工業社製))を用いた。測定試料は、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて上記装置にセットした。測定は、印加磁場を加え、最大1KOeまで掃引した。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製した。このカーブのデータより磁化を求めた。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、真球状であることが望ましい。ここでいう真球状とは、平均球状率が1〜1.2、好ましくは1〜1.1、更に好ましくは、1に限りなく近い形状をいう。平均球状率が1.2を超えると、キャリア芯材の球状性が損なわれる。本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、真球状であるため磁気ブラシ上で密に詰まっていても流動性に優れており、現像器中における攪拌においてもトナーに与えるストレスも少ないだけでなく、キャリアにもストレスがかかりにくい。キャリアにかかるストレスが緩和されることで画像欠陥の原因となるキャリアの割れ・欠けが発生しにくく有利である。
ここでいう平均球状率とは、SEMにて倍率300倍にて総計100粒子以上カウントできるように視野を変えて撮影する。撮影したSEM画像をスキャナーで読み込み、メディアサイバネティクス(MEDIA CYBERNETICS)社画像解析ソフト「Image−Pro PLUS」を用いて画像解析を行い、各粒子に対する外接円直径、内接円直径を求め、その比を球状率とした。2つの直径が同じであれば比が1となり、真球の場合はこの比が1になる。粒子100個に対して求めた平均値を平均球状率とした。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、印加電圧が100V及び500Vにおける6.5mmGapのブリッジ式電気抵抗値をそれぞれR100及びR500としたとき、R100が5×10〜1×1010ΩかつR500が5×10〜1×1010Ωであることが望ましい。R100が5×10Ω未満では、抵抗が低くなりすぎ、キャリアとして使用した場合にキャリア飛散が起こり白斑等の画像欠陥の原因となるので良くない。1×1010Ωを超えると、キャリアとして使用した場合に現像剤が高抵抗になりすぎて現像電流が十分得られず中間調で画像濃度が出にくくなる恐れがある。
500が5×10Ω未満では、抵抗が低くなりすぎ、キャリアとして使用した場合にキャリア飛散が起こり白斑等の画像欠陥の原因となるので良くない。1×1010Ωを超えると、キャリアとして使用した場合に現像剤が高抵抗になりすぎて現像電流が十分得られずベタ部で画像濃度が出にくくなる恐れがある。この電気抵抗は下記によって測定される。
(電気抵抗)
電極間間隔6.5mmにて非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対抗させ、その間に、試料200mgを秤量して充填する。磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、50〜1000Vの電圧を順に印加し、それぞれの印加電圧における抵抗を絶縁抵抗計(SM−8210、東亜ディケーケー(株)製)にて測定した。なお、室温25℃、湿度55%に制御された恒温恒湿室内で測定を行った。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均粒径D50が20〜100μmであることが好ましく、20〜90μmがより好ましく、20〜80μmが最も好ましい。体積平均粒径が20μm未満であると、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。体積平均粒径が100μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。この体積平均粒径は、下記によって測定される。
(体積平均粒径及び体積粒度分布)
装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。屈折率は2.42とし、25±5℃、湿度55±15%の環境下で測定を行った。ここで言う平均粒径(メジアン径)とは、体積分布モード、ふるい下表示での累積50%粒子径である。キャリアサンプルの分散は、分散液として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、超音波工業社製ウルトラソニックホモジナイザー(UH−3C)にて1分間の超音波処理とした。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積粒度分布において16μm以下の粒子を0〜5体積%含有することが望ましい。5体積%より多い場合には、たとえ真球状であっても極端に流動性が悪化し、現像剤にストレスがかかりすぎ現像剤中に存在するトナーを破壊し、良好な画像を得ることが出来なくなる恐れがある。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、JIS Z2504(金属粉の見掛け密度試験法)により測定される見掛け密度が2.4〜2.7g/cmであることが望ましい。2.4g/cmよりも小さい場合には1粒子のもつ磁力が小さくなりキャリア飛散の原因となる可能性がある。2.7g/cmよりも大きい場合には磁気ブラシに付着するキャリア重量が増加し、結果として磁気ブラシを回転させるモータに負荷がかかりすぎるので良くない。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、JIS Z2502(金属粉の流動性試験法)により測定される流動性が20〜75sec/50gであることが望ましい。20sec/50gよりも小さい場合は本発明の内容をもってしても実現不可能である。75sec/50gよりも大きい場合には流動性が極めて悪くたとえ真球状であっても極端に流動性が悪化し、現像剤にストレスがかかりすぎ現像剤中に存在するトナーを破壊し、良好な画像を得ることが出来なくなる恐れがある。
(X線回折測定)
測定装置としてパナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いた。X線源としてCo管球(CoKα線)、光学系として集中光学系及び検出器として高速検出器「X‘celarator」を使用し、測定は0.02°のステップスキャンで行った。測定結果は通常の粉末の結晶構造解析と同様に解析用ソフトウエア「X’Pert HighScore」を用いてデータ処理し、芯材に存在する結晶構造を同定した。なお、X線源についてはCu管球でも問題なく測定できるがFeを多く含んだサンプルの場合、測定対象となるピークと比較してCu管球を使用した場合バックグラウンドが大きくなるのでCo管球の方が好ましい。また、光学系は平行光学系でも同様の結果が得られる可能性があるが、ピークの幅が広がりやすく測定精度を悪化させる恐れがあるので集中光学系での測定が好ましい。さらに、ステップスキャンの各点におけるカウント時間は最も強度の強いピークのピーク強度が約50000cpsとなるようにした。特に強度については測定時間を短縮するために高速検出器を用いることが好ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、後述するように、溶射工程を通過することにより製造され、バーナーのフレーム温度が1500〜3000℃、フレーム通過時間が10秒以内であることが望ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面が酸化処理されていることが望ましい。この酸化処理によって形成される酸化被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生しや易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記キャリア芯材の表面に樹脂を被覆してなる。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアは、樹脂被膜量が、キャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被膜量が0.01重量%未満ではキャリア表面に均一な被膜層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被膜形成樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。使用中の機械的ストレスによる樹脂の脱離を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。具体的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被膜形成樹脂中に導電性剤を添加することができる。導電性剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被膜形成樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電性剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被膜形成樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被膜形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
(帯電量測定)
平均体積粒径7.1μmの市販トナー3gとキャリア47gを秤量し、50ccのガラスビンに入れてボールミルでガラスビンが100回転になるように回転数を合わせて混合攪拌を行った。攪拌時間は攪拌開始から1min後、5min後、30min後でそれぞれ現像剤をサンプリングして帯電量を東芝ケミカル製ブローオフ帯電量測定装置TB−200にて測定した。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、キャリア原料を調製して得られた造粒物を、大気中で溶射し、次いで急冷凝固し、キャリア芯材を得る。
キャリア原料を用いて造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。
造粒物の調製方法の一例を挙げると、原材料を適量秤量した後、水を加えて粉砕しスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。造粒物の粒径は、得られるキャリアの粒径を考慮すると20〜150μm程度が好ましい。また、他の例としては、原材料を適量秤量した後、混合し、乾式粉砕を行い、各原材料を粉砕分散させ、その混合物をグラニュレーターで造粒し、分級して所定粒径の造粒物を調製する。
このようにして調製された造粒物を大気中で溶射する。溶射には、可燃性ガス燃焼炎として燃焼ガスと酸素が用いられ、燃焼ガスと酸素の容量比は1:3.5〜6.0である。可燃性ガス燃焼炎の酸素の割合が燃焼ガスに対して3.5未満では、溶融が充分ではなく、酸素の割合が燃焼ガスに対して6.0を超えると、フェライト化が困難となる。例えば燃焼ガス10Nm/hrに対して酸素35〜60Nm/hrの割合で用いられる。
上記溶射に用いられる燃焼ガスとしては、プロパンガス、プロピレンガス、アセチレンガス等が用いられるが、特にプロパンガスが好適に用いられる。また、造粒物搬送ガスは、窒素、酸素又は空気が用いられる。造粒物流速は、20〜60m/secが好ましい。
ここにおいて、溶射に用いられるバーナーのフレーム温度を1500〜3000℃、フレーム通過時間を10秒以内とすることが望ましい。
このようにして溶射して得られた粒子は、大気中又は水中に投入され、急冷凝固される。
その後、回収し、乾燥、分級を行いキャリア芯材を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜700℃で熱処理を行う。
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、上記キャリア芯材の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。
UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真用現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとからなる。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子を使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色剤)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加する。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素微粒子、アクリル微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15%に設定することが好ましい。3%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
上記のように混合された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ8.25モル、3.5モル及び2.5モルのモル比になるように秤量し、固形分50%となるように水とバインダー成分と分散剤を加え、ビーズミルで2時間粉砕後、スプレードライヤーにて造粒し、1150℃にて大気中で仮焼成を行った。仮焼成物をハンマークラッシャーにて粉砕し、得られた仮焼成物を40kg/hrの供給速度でプロパン9.5Nm/hr、酸素47.5Nm/hrが供給されるフレームを通過させて本焼成物を得た。得られた焼成物を、分級、磁力選鉱を行い平均粒径27.51μmのキャリア芯材を得た。
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ7.25モル、3.5モル及び1.5モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径24.73μmのキャリア芯材を得た。
実施例2で得られた芯材の表面を直径10cmのロータリーキルンを用いて550℃にて酸化させて平均粒径26.07μmキャリア芯材を得た。
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ6.25モル、3.5モル及び0.5モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径24.74μmのキャリア芯材を得た。
実施例4で得られた芯材を分級して平均粒径34.96μmのキャリア芯材を得た。
実施例4で得られた芯材の表面を直径10cmのロータリーキルンを用いて550℃にて酸化させて平均粒径25.58μmキャリア芯材を得た。
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ3.35モル、1.0モル及び0.1モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径26.33μmのキャリア芯材を得た。
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ4.35モル、2.0モル及び0.1モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径25.81μmのキャリア芯材を得た。
実施例1と同様の方法で平均粒径78.55μmのキャリア芯材を作成し、三菱レイヨン製アクリル樹脂LR−269を被覆樹脂として混合攪拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で0.5%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10%となるようにトルエンを添加したものを使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために145℃設定の熱風乾燥機で2時間乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
キャリア芯材に対する樹脂の固形分を1.5%とし、流動床コーティング装置で樹脂を塗布した以外は実施例9と同様の方法で樹脂被覆キャリアを得た。
実施例1と同様の方法で平均粒径78.55μmのキャリア芯材を作成し、東レシリコーン製シリコーン樹脂SR−2411を被覆樹脂として流動床コーティング装置により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1.5%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10%となるようにトルエンを添加したものを使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために220℃設定の熱風乾燥機で3時間乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
比較例
(比較例1)
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ4.25モル、1.5モル及び2.5モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径25.02μmのキャリア芯材を得た。
(比較例2)
Fe及びMg(OH)をそれぞれ1.0モル及び1.0モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径25.21μmのキャリア芯材を得た。
(比較例3)
Fe及びMg(OH)をそれぞれ4.0モル及び1.0モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径24.88μmのキャリア芯材を得た。
(比較例4)
Fe及びTiOをそれぞれ1.0モル及び0.5モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径25.33μmのキャリア芯材を得た。
(比較例5)
Fe及びTiOをそれぞれ8.0モル及び0.5モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径25.71μmのキャリア芯材を得た。
(比較例6)
原料をFeのみとした以外、は実施例1と同様の方法で平均粒径24.91μmのキャリア芯材を得た。
(比較例7)
Fe、Mg(OH)及びTiOをそれぞれ7.25モル、1.5モル及び2.0モルのモル比になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で平均粒径24.82μmのキャリア芯材を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜7の製造条件(仕込みモル数、前処理、溶射条件、後処理)を表1に示す。また、実施例1〜8及び比較例1〜7の各種特性値(化学分析値、X線回折、平均球状率、粒度分布、見掛け密度、流動性、磁気特性及び抵抗)を表2及び表3に示す。また、実施例9〜11の各種特性値(抵抗及び帯電量)を評価し、その結果を表4に示す。
Figure 2009180941
Figure 2009180941
Figure 2009180941
Figure 2009180941
表1〜表3に示されるように、実施例1〜8は、極めて球形に近いため流動性が高いだけでなく、真球状を維持しているにもかかわらず磁化及び抵抗の制御範囲が広く、電子写真用キャリアとして好適なキャリア芯材となった。これに対し、比較例1〜7はいずれも真球状になったものの、比較例1は磁化が低くキャリア芯材として使用できないものに、比較例2、4〜5及び7は保磁力が大きいため流動性が悪く、キャリア用芯材として使用できないものに、比較例3は磁化が高くかつ抵抗が低くなりすぎたため、キャリア用芯材として使用できないものとなった。
また、実施例9〜11は表4に示されるように樹脂で被覆することでキャリアとして十分な抵抗及び帯電特性が得られることが確認された。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアは、各重金属のみならず、Mnを用いることなしに、低磁化でありながら所望の抵抗が得られ、流動性に影響を与えない程度の保磁力を有し、良好な流動性を有する。そして、上記キャリアを用いた電子写真現像剤はキャリア付着が防止される。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (9)

  1. Mg、Ti及びFeを主成分とし、Feを52〜66重量%、Mgを3〜12重量%、Tiを0.2〜12重量%含有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
  2. VSMにより測定される1KOeにおける飽和磁化が30〜60Am/kg、残留磁化が2〜4Am/kg、保磁力が25〜75Oeである請求項1記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  3. 真球状である請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  4. 印加電圧が100V及び500Vにおける6.5mmGapのブリッジ式電気抵抗値をそれぞれR100及びR500としたとき、R100が5×10〜1×1010ΩかつR500が5×10〜1×1010Ωである請求項1、2又は3記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  5. レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均粒径D50が20〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  6. 溶射工程を通過することにより製造される請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  7. 表面に酸化被膜が形成されている請求項1〜6記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のキャリア芯材に樹脂を被覆してなる電子写真現像剤用キャリア。
  9. 請求項8に記載のキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
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