JP3892394B2 - 電子写真現像剤用キャリア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2成分現像剤に用いるキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真現像剤用キャリアとしては、Ni−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライトが使われている(例えば特許文献1参照)。また、特許文献2等ではMg−Zn系フェライトが提案されている。しかし、これらのキャリアは飽和磁化がそれほど高くなく、特に小粒径にした場合、磁化が小さいために感光体上にキャリアが付着するキャリア付着が増加する等の問題が生じた。
また、キャリアコート層の中に微粒子を分散させる技術には、特許文献3がある。この技術は、樹脂中に二酸化チタン粉末を分散させるもので、高画質化、現像剤寿命向上を狙っている。
【0003】
また、特許文献4では、炭化ケイ素を含有するシリコーン樹脂で表面を被覆したキャリアが提案されている。この技術の狙いは、現像剤の耐久性の向上にある。しかし、現像剤のコート層には電気特性のコントロールの役割も存在しており、これらの添加剤では調整が難しく、別の添加物を添加する必要が出てきた。
【0004】
また、従来から現像剤の抵抗を調整するために、コート層にカーボンを添加することが行なわれている。特許文献5では樹脂コート層のカーボン量をトナー中のカーボン量との関係で規定して、高画質で、ブラシマークやトナー飛散等の不具合点が生じないようにすることを狙っている。しかし、カーボンではコート層の機械強度を上げることが出来ず、耐久性には限度があった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭53−15040号公報
【特許文献2】
特開昭58−145621号公報
【特許文献3】
特許第2555704号明細書
【特許文献4】
特開昭58−207054号公報
【特許文献5】
特許第2643568号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、小粒径でもキャリア付着がなく、トナーの帯電特性や現像特性を安定させ、いつまでも高画質を実現させることができる、寿命の長い高耐久な電子写真現像剤用キャリアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
高画質化を実現するためには、ドット再現性や画像濃度の均一性、画像コントラスト等が優れていることが必要である。そのためには、キャリアの小粒径化の効果が非常に大きく、キャリアの小粒径化の実現が最重要となっている。また、高画質化を実現するためにはキャリア付着、トナー飛散、磁気ブラシパターンや白抜け等の異常画像がないようにすることが必要となる。電子写真プロセスでは、キャリアは磁気的な面(現像特性、搬送力、攪拌力)、電気的な面(現像特性、帯電特性)、機械的な面(耐久性、帯電安定性、感光体の磨耗特性)から最適化が必要とされている。キャリアの粒径が小さくなるということは、磁気的な面、電気的な面、機械的な面の全ての条件が変化するわけで、それらの条件を材料等の面を含めて再度最適化する必要が出てきている。特に、磁気特性の面では、キャリアの粒径が小さくなることにより、キャリア1個の持つ磁気力が小さくなるため、微小な静電気的な力や機械的な力に作用して、余分なところにキャリアが付着する現象が生じやすくなる。この対策としては、キャリアが小さくても磁気的な力を強くする対策が必要である。今まで以上に飽和磁化を上げる必要がある。飽和磁化を上げるためには、磁気能の高い原子からなる材料を用いる必要がある。
【0008】
磁気特性、帯電性及び現像特性の面から最適なキャリアを提供することが出来、且つ機械的強度のある耐久性の優れているキャリアを実現するために鋭意検討した結果、本発明では、磁性材料として高い飽和磁化を有するFe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物を用い、小粒径キャリアにした場合でもキャリア付着が生じないようにした。Fe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物は飽和磁化が大きく、キャリアとして用いるには適している。本発明では、その最適な磁気特性を得ることができるFe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物を開示し、最適な作製法についても説明する。また、現像特性の最適化を実現するためには、電気的な最適化ができるような工夫が必要である。これを達成する手段として、キャリアの電気特性の調整、つまりキャリア表面の樹脂被覆層での抵抗調整が重要となる。本発明ではこの抵抗調整用の材料として、フラーレンやカーボンナノチューブ等を用いる。これらの材料は、機械的な磨耗特性に優れており、耐久特性を向上させることができる。キャリア表面に1種以上のカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブを含有する樹脂被覆層をコートしたキャリア構成を提案し、キャリア抵抗を調整するだけでなく、キャリア自体の耐久性を向上させるようにした。
このように、磁気特性に優れた、高機能な樹脂被覆層をもつキャリアが実現でき、キャリア付着が起き難く、帯電安定性に優れた、高画質で高耐久なキャリアを実現できることを見出した。Fe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物をキャリアに用いた技術はこれまで存在しない。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)Fe酸化物、Tb酸化物からなる金属酸化物からなり、下式組成で表される材料を用いることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
TbxFe3-x4
(式中、0.25≦x≦1.25である。)
【0010】
(2)前記金属酸化物がさらに添加物Aを含み、該添加物AがMg、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Srから選ばれる少なくとも1種以上であり、下記組成で表される材料を用いることを特徴とする(1)記載の電子写真現像剤用キャリア。
Tbx(Fe1-yy)3-x4
(式中、0.25≦x≦1.25、0<y≦0.5である。)
【0011】
(3)前記電子写真現像剤用キャリアにおいて、少なくとも金属酸化物からなるキャリア粒子表面に、樹脂被覆層が設けられていることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真現像剤用キャリア。
(4)前記樹脂被覆層が、カーボン、フラーレン、カーボンナノチューブの少なくとも1種以上を含むことを特徴とする(3)記載の電子写真現像剤用キャリア。
(5)前記カーボン、及びフラーレンの平均粒径が0.01〜0.2μmであることを特徴とする(4)記載の電子写真現像剤用キャリア。
(6)前記カーボンナノチューブの形状が0.01〜0.1μmφ、0.05〜0.5μm長であることを特徴とする(4)記載の電子写真現像剤用キャリア。
(7)前記樹脂被覆層におけるカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブの含有量が樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【0012】
(8)少なくとも前記金属酸化物を含むキャリア粒子の重量平均粒径が20〜70μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
(9)前記金属酸化物を含むキャリア粒子において、15μmより小さい粒径を有するキャリア粒子の含有割合が3重量%以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【0013】
(10)前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにMnMgSrフェライトを用いることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
(11)前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにMnフェライトを用いることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
(12)前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにマグネタイトを用いることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
(13)前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにヘマタイトを用いることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【0014】
(14)前記樹脂被覆層において、樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする(3)〜(13)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
(15)前記樹脂被覆層において、樹脂がアミノシランカップリング剤を含有する樹脂であることを特徴とする(3)〜(14)のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【0015】
(16)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
(17)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと重量平均粒径が4〜10μmであるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
(18)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと平均円形度が0.90〜0.99であるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
(19)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと内部に離型剤、又は離型剤と分散を助ける添加剤を含んでいるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
(20)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと重合法によって作製したトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
(21)前記(1)〜(15)いずれかに記載の電子写真現像用のキャリアと溶剤を使用せずに顔料を樹脂中に分散させたトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
【0016】
(22)前記(16)〜(21)のいずれかに記載の電子写真用現像剤を用いて現像することを特徴とする2成分現像方法。
(23)少なくとも現像容器を搭載した画像形成装置において、該現像容器として、前記(16)〜(21)のいずれかに記載の電子写真用現像剤が収納された現像容器を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0017】
(24)前記(3)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアの樹脂被覆層を、流動床型コーティング装置を用いて作製することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法。
(25)前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアを、超音波発振器付きの振動ふるい機を用いて作製することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法。
【0018】
本発明では、キャリア材料としてFe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物を用い、該金属酸化物の組成は、下式において、Tb組成xを0.25≦x≦1.25を満足することが必要である。
TbxFe3-x4
(式中、0.25≦x≦1.25である。)
【0019】
また、本発明では上記酸化物中にMg、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Srから選ばれた少なくとも1種以上からなる添加物Aを加えても良い。添加物組成yは、下式において0<y≦0.5である必要がある。
Tbx(Fe1-yy)3-x4
(式中、0.25≦x≦1.25、0<y≦0.5である。)
これらの添加物は、磁気特性の調整をすることもできるし、材料の安定性の向上を図ることも可能である。しかし、添加量が多くなる(上式においてyが0.5より大になる)と、磁気特性が劣化し、添加物の偏析現象が生じるため、適していない。
【0020】
実施例において測定した本発明のFe酸化物とTb酸化物からなる金属酸化物のTb組成xに対する磁気特性の変化を図1に示す。金属酸化物はTb組成に応じて非常に急峻に磁気特性が変化する。特に飽和磁化の変化が激しく、Tb組成xを大きくしていくと飽和磁化は小さくなり、x=1.5でほぼゼロになる。また、保磁力はTb組成xを大きくするにつれて500エルステッド以下になり、小さくなる。キュリー温度は、Tb組成xを大きくするにつれて低くなり、x=1.5付近で0℃になる。そのため、キャリアとして使用できる組成範囲は0.25≦x≦1.25の組成範囲ということになる。xが0.25未満になると、飽和磁化が大きいためにトナーブラシの穂跡等の異常画像が出現し、キャリアとしては用いることが出来ない。
【0021】
Fe酸化物とTb酸化物等からなる金属酸化物の作製法としては、Fe酸化物とTb酸化物等との固相反応を利用して作製する方法等がある。
Fe酸化物、Tb酸化物や添加物等を秤量し、ボールミルを用いて混合する。次に電気炉等により600〜1000℃で2〜5時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し12時間位粉砕する。得られる粉末にバインダーを加え、加熱雰囲気中で噴霧乾燥して造粒し、この成形物を電気炉等にて1100〜1300℃で2〜5時間焼成する。この焼成物を粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Fe酸化物、Tb酸化物や添加物等からなる金属酸化物の粒子を得ることができる。
【0022】
本発明で用いるキャリア粒子において、1000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときのその磁気モーメントは、70emu/g以上、好ましくは80emu/g以上であり、その上限値は特に制約されないが、300emu/g程度である。キャリア芯材粒子の磁気モーメントが70emu/gよりも小さくなると、キャリア付着が生じやすくなり、250emu/gより大きくなると磁気ブラシの穂跡が画像上に出現し、適していない。
【0023】
前記磁気モーメントの測定は、B−HカーブトレーサーやVSM等により測定することができる。例えば、B−Hカーブトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットし、B−Hヒステリシスカーブを測定し、その特性より1000エルステッドの時の磁気モーメントを求める。
【0024】
本発明のキャリアは、前記金属酸化物粒子の表面に樹脂被覆層を形成することによって製造され、樹脂としてはキャリアの製造に用いられている従来公知の各種のものを用いることができる。
例えば、本発明には下記式で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂が適しており、用いることができる。
【0025】
【化1】
Figure 0003892394
前記式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、またはアリール基(フェニル基、トリル基等)を示し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、またはアリーレン基(フェニレン基等)を示す。
【0026】
また本発明では、ストレートシリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
他には、変性シリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、エポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーン等が挙げられる。
具体的には、変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0027】
また、本発明では前記シリコーン樹脂に、アミノシランカップリング剤を適量(0.001〜30重量%)含有させることができる。アミノシランカップリング剤の例としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0003892394
【0028】
更に、本発明では、キャリア粒子表面を被覆する樹脂として、以下に示すものを単独または上記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等。
【0029】
また、本発明では樹脂被覆層の中に、抵抗調整や耐久性向上のための添加剤を分散させても良い。添加剤としてはフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボン等が挙げられる。
フラーレンはC60、C70、C82、C84さらに高分子量のフラーレン等を使用できる。
フラーレンまたはカーボンナノチューブの合成法としては、希ガス中でグラファイト棒を直接通電加熱する抵抗加熱法、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法等がある。
フラーレン、カーボンナノチューブは、内部空間にLa、Y、Sc等の金属等を内包したものも使用できる。金属内包フラーレンの合成には、金属酸化物(La23等)を含む炭素棒を用いてアーク放電を起させて合成したり、金属酸化物を含む炭素チップをるつぼ状陽極に投入してアーク放電を起させて合成したりする方法がある。
【0030】
フラーレンの平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μmである。フラーレンの平均粒径が0.01μm未満の場合には凝集等が生じやすく適しておらず、0.2μmより大きい場合には分散状態が低下するため適していない。
カーボンナノチューブの形状は、直径が0.01〜0.1μmで、長さが0.05〜0.5μmが好ましく、より好ましくは直径が0.01〜0.05μmで、長さが0.05〜0.1μmである。カーボンナノチューブの直径が0.01μm、長さが0.05μmより小さい場合には凝集が生じやすく適しておらず、カーボンナノチューブの直径が0.1μm、長さが0.5μmより大きくなると分散の均一性が低下するため適していない。
カーボンとしては、カーボンブラック等がある。粒径としては、平均粒径が0.01〜0.2μmが好ましい。これより小さいと粉塵の問題があり、この範囲より大きいと分散が悪くなり、均一な膜形成が難しくなる。
【0031】
これらのフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボン等は、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に投入して、ボールミル、ビーズミル等メディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散させ、この溶液を磁性を示すキャリア表面にスプレー塗布等によりコートする。
【0032】
キャリア表面に樹脂被覆層を形成する方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法等公知の方法が使用できる。特に流動床型コーティング装置を用いる方法は、キャリアの流動床を形成し、この流動床中にスプレーする方法で、均一なコート層が形成できるので適している。
【0033】
樹脂被覆層の樹脂に対するフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量は、樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部であることが好ましい。フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量が0.01重量部より少ない場合には、耐久性の向上が認められず、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量が10重量部より多い場合には樹脂被覆層が脆くなって、耐久性が劣化する。
【0034】
キャリア粒子表面上に形成する樹脂被覆層やフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンを含む樹脂被覆層の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.8μmである。樹脂被覆層やフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンを含む樹脂被覆層の厚みが0.02μmより薄い場合には耐久性の向上が十分でなく、樹脂被覆層やフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンを含む樹脂被覆層の厚みが1μmより厚い場合には膜はがれ現象が生じ、帯電特性の安定性が低下する。
【0035】
本発明の被覆後のキャリア平均粒径は、重量平均粒径Dwで20μm〜70μmの範囲が好ましく、より好ましくは30μm〜60μmの範囲である。重量平均粒径Dwが70μmよりも大きいと、キャリア付着が起りにくいが、ドット再現性が悪くなる。重量平均粒径Dwが20μmより小さくなるとキャリア付着が多くなると共に、トナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。
【0036】
キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部はトナーが現像されることにより電界が弱められる為、地肌部に比べ、キャリア付着は起こりにくい。キャリア付着は、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。
【0037】
本発明ではこのキャリア付着の対策を考え、磁気特性の改良を材料面から行なったが、さらに15μmより小さい粒径を有するキャリア粒子の含有割合を3重量%以下、好ましくは1重量%以下とすることによりキャリア付着を更に改善できることを見出した。小粒径キャリアの場合、キャリア付着しているキャリアの大部分は、15μm未満の微細粒子である。本発明者らは、重量平均粒径Dwが25μm〜45μmの小粒径キャリアにおいて、15μmより小さい粒子の重量比率を変化させてキャリア付着を評価したところ、15μm以下の粒径を有するキャリア粒子が3重量%以下ならば大きな問題はなく、更に1重量%とすると、キャリア付着は更に改善されることが判明した。
【0038】
本発明のキャリアは、上記金属酸化物を含む磁性材料を粉砕し、その粉砕物粒子を所定の粒径が得られるように分級し、この分級により得られた磁性粒子の表面に樹脂被膜を形成することにより得ることができる。この分級には、風力分級やふるい分級(ふるい分け)等が包含される。キャリア粒子の製造には、振動ふるいが好ましく用いられているが、従来一般的に用いられている振動ふるいでは、小粒径の粒子を分級しようとすると、そのふるい(金網)の小さな網目がすぐに詰まってしまうという不都合を生じるため、その分級のための作業性は非常に悪いものであった。
【0039】
本発明者らは、小粒径粒子を効率よく、シャープにカットし得る方法を開発すべく種々検討したところ、ふるい機を用いて粒子を分級する際に、その金網に超音波振動を与えることにより、15μm未満の小径粒子を効率よく、シャープにカットし得ることを見出した。金網を振動させる周波数は、20〜50kHz、好ましくは30〜40kHzである。共振部材の形状は、金網を振動させるのに適した形状であればよく、通常はリング状である。
【0040】
本発明では、分級した磁性粒子の表面に樹脂被膜を形成することが好ましいが、磁性粒子の粉砕物粒子の表面に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被覆キャリア粒子を分級することによっても製造することができる。この場合の樹脂被覆キャリア粒子の分級は、前記した超音波発振器付きの振動ふるい機を用いて行うのが好ましい。
【0041】
本発明では、キャリアの抵抗の調整は、キャリア粒子表面上に形成するフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンを少なくとも1種を含む樹脂被覆層により行なう。キャリア抵抗が高すぎると、エッジ効果の副作用による白抜け現象等の異常画像が生じ、キャリア抵抗が低すぎると、ベタ画像の均一性は良くなるがキャリア付着が生じやすくなり、キャリア抵抗を実際の現像条件と合わせて適正化する必要がある。このキャリア抵抗の適正化はフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量と膜厚でコントロールする。
【0042】
さらに、本発明のキャリアの材料としては、上記金属酸化物の他に、MnMgSrフェライト、Mnフェライト、マグネタイト、ヘマタイトを含んでいてもよい。これらの材料を用いた場合もキャリア付着を低く抑えることができる。
【0043】
本発明の現像剤は、前記キャリアとトナーを用いる。
本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の各種のトナーを用いることができる。このトナーは、粉砕法、重合法、造粒法等の各種のトナー製法によって作製された不定形または球形のトナーであり、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
【0044】
トナーに用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
【0045】
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0046】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0047】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0048】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0049】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0050】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるもの等がある。
【0051】
トナーに用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
【0052】
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
【0053】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
【0054】
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0055】
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させることが好ましい。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0056】
トナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)しても良い。また、トナー粒子と混合(外添)して用いても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
【0057】
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0058】
また、トナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することも可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0059】
離型剤等の分散性を向上させる等の目的の為に、添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。
【0060】
トナーの流動性等を改善するために、トナー表面に無機微粉体により表面処理を行なっても良い。この無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
【0061】
トナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合、分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。
粉砕法にてトナーを作製する方法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。その後、混合機により無機粒子等からなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させ、250メッシュ以上のふるいを通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去しトナーを得る。
【0062】
本発明に用いるトナーの重量平均粒径は4〜10μmが好ましく、さらに好ましくは4〜8μmである。重量平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすい。また重量平均粒径が10μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0063】
また、重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。造粒法は特に限定されない。
例えば本発明に用いるトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂を形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂を含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られる。
【0064】
ウレア変性ポリエステル系樹脂において、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
【0065】
このトナーは、上記プレポリマーとアミンとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
【0066】
得られた乾燥後のトナーの粉体を風力分級し、上記最適な混合条件により混合機により無機微粒子等からなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。また、電荷制御剤を乾燥後のトナー粉体表面に打込んで、固着注入させても良い。さらにその後、無機微粒子等からなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させても良い。電荷制御剤を表面に打込むことにより、トナーの帯電量の制御がしやすくなる。混合したり、固着注入したりする具体的手段としては、高速で回転する羽根によって粉体混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に粉体混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等がある。
【0067】
トナーの流動性はトナー形状によって影響されるが、トナーの平均円形度が0.90〜0.99である非常に球形に近いトナーの場合には流動性に優れ、シャープ性やベタ均一性に優れた高画質化を実現できる。重合法の場合、球形に近いトナーが得やすい。
【0068】
本発明の現像剤として使用する場合は、前述した磁性キャリアとトナーを所定の混合比率で混合することによって2成分現像剤とする。
【0069】
また、磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金等の強磁性体等が考えられる。磁性体の平均粒径は0.1〜1μmが好ましい。磁性体の含有量はトナー100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましい。
【0070】
また、本発明の現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0071】
本発明の現像方法は、その現像剤として前記した本発明の現像剤を用いる方法である。
この場合、外部から印加する現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加すると、画像濃度が高く、地汚れの少ない高画質を得ることができる。特に、ドット再現性、およびハイライトの再現性が良好となる。上記の現像バイアスを印加する場合、直流バイアスのみを印加する時に比べて、実質的な現像ポテンシャル、および地肌ポテンシャルが大きくなる。その為、従来はキャリア付着が起り易かったが、本発明のキャリアによって、両立が可能となった。
【0072】
本発明の画像形成装置は、現像容器を搭載した画像形成装置において、その現像容器として、本発明の現像剤が収納された現像容器を用いたものである。この場合の画像形成装置としては、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0074】
Figure 0003892394
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度100℃混練機、回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、この母体着色粒子100部に対して、シリカ微分末1部をスーパーミキサーにて混合して、トナーを得た。
【0075】
(キャリア製造)
磁性材 TbxFe3-x4
上式において、Tb組成xを変化させ、磁性材を作製した。
Tb組成xは、TbxFe3-x4において、以下のように変化させた。
Figure 0003892394
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0076】
その後、それぞれの磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。それぞれのキャリアの平均粒径と15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合を以下に示す。
Figure 0003892394
【0077】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。画像濃度はマクベス濃度計で測定した。その結果を表1に示す。
【0078】
また、キャリアの磁気特性を振動試料型磁力計にて測定し、飽和磁化(4πMs)、保磁力(Hc)、キュリー温度(Tc)を評価した。その結果を図1に示す。
TbxFe3-x4において、Tb組成xが0.25未満のとき、保磁力(Hc)が大きく、キャリアとして適していないことが分かる。
【0079】
実施例6〜7、比較例3〜4
(トナー製造)
実施例1と同様にトナーを製造した。
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.25(Fe1−yAl2.75
上式において、Al組成yを変化させて、磁性材を作製した。
Al組成yは、Tb0.25(Fe1−yAl2.75において、以下のように変化させた。
Figure 0003892394
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物、Al酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物、Fe酸化物、Al酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0080】
その後、それぞれの磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。それぞれのキャリアの平均粒径と15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合を以下に示す。
【0081】
Figure 0003892394
【0082】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0083】
また、キャリアの磁気特性を振動試料型磁力計にて測定し、飽和磁化、保磁力、キュリー温度を評価した。その結果を図2に示す。
Tb0.25(Fe1−yAl2.75において、Al組成yが0.5より大きくなると、キュリー温度(Tc)が低下し、キャリアとして適していないことが分かる。
【0084】
Figure 0003892394
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度100℃混練機回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、シリカ微分末1部をスーパーミキサーにて混合して、トナーを得た。
【0085】
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.5Fe2.54
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0086】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
Figure 0003892394
シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60を分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。フラーレンC60は、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.025μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.5μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0087】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0088】
実施例9
(トナー製造)
実施例8と同様にしてトナーを作製した。
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.5Fe2.54
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0089】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
Figure 0003892394
シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60にC70が30%混入しているものを分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。フラーレンC60にC70が30%混入しているものは、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.035μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.5μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0090】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0091】
実施例10
(トナー製造)
実施例8と同様にしてトナーを製造した。
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.5Fe2.54
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0092】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
Figure 0003892394
シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてカーボンナノチューブを分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。カーボンナノチューブは、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、カーボンナノチューブの形状は、直径が0.01〜0.1μmで、長さが0.05〜0.5μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.8μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.7重量%であった。
【0093】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0094】
実施例11
(トナー製造)
実施例8と同様にしてトナーを製造した。
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.5Fe2.54
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0095】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
Figure 0003892394
シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60とカーボンを分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。フラーレンC60は、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.04μmであった。カーボンの平均粒径は0.04μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.5μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.6重量%であった。
【0096】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0097】
実施例12
(トナー製造)
実施例8と同様にしてトナーを製造した。
Figure 0003892394
Tb0.5Fe2.54金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる金属酸化物の粒子を得た。
その金属酸化物粒子にMnMgSrフェライト粒子を1:1の割合で投入し、混合機で混合し磁性材とした。
【0098】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.5μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0099】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0100】
実施例13
(トナー製造)
実施例1と同様にしてトナーを製造した。
Figure 0003892394
Tb0.5Fe2.54金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
その金属酸化物粒子にMnフェライト粒子を1:1の割合で投入し、混合機で混合し磁性材とした。
【0101】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.7μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0102】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0103】
実施例14
(トナー製造)
実施例1と同様にしてトナーを製造した。
Figure 0003892394
Tb0.5Fe2.54金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
その金属酸化物粒子にマグネタイト粒子を1:1の割合で投入し、混合機で混合し磁性材とした。
【0104】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.6μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0105】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0106】
実施例15
(トナー製造)
実施例1と同様にしてトナーを製造した。
Figure 0003892394
Tb0.5Fe2.54金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる金属酸化物の粒子を得た。
その金属酸化物粒子にヘマタイト粒子を1:1の割合で投入し、混合機で混合し磁性材とした。
【0107】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.4μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0108】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0109】
実施例16
(トナー製造)
実施例8と同様にしてトナーを製造した。
(キャリア製造)
磁性材 Tb0.5Fe2.54
上記金属酸化物は、以下の条件で作製した。
Tb酸化物、Fe酸化物を所定量に秤量した後、ボールミルを用いて5時間混合し、電気炉にて900℃で3時間仮焼し、その仮焼物をボールミルに投入し、粉砕した。得られた粉末を粉末プレス機にて圧力成形して板状にし、この成形物を電気炉等にて1300℃で4時間焼成した。この焼成物をカッターで切断し、粗粉砕、微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級して、Tb酸化物とFe酸化物からなる上記金属酸化物の粒子を得た。
【0110】
その後、磁性粒子の表面に以下の条件で樹脂被覆層を設けた。
Figure 0003892394
シリコーン樹脂中に、5重量部のアミノシランカップリング剤
2N(CH2)3Si(OC25)3
を添加し、ボールミルを使用して分散し、この分散液を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に230℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は35.3μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
【0111】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0112】
Figure 0003892394
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度100℃混練機回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、シリカ微分末1部をスーパーミキサーにて混合して、トナーを得た。
【0113】
(キャリア製造)
磁性材 MnMgSrフェライト
樹脂被覆層 シリコーン樹脂 100部
シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリアの平均粒径は36.8μmで、15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.7重量%であった。
【0114】
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
評価は、画像特性として画像濃度、シャープ性及びベタ均一性、耐久特性として帯電量の耐久試験時の変化、キャリア付着の評価、画質上でのかぶりを評価した。その結果を表1に示す。
【0115】
―実験結果―
以上の実施例の実験結果を下表に示す。評価項目は、画像特性として画像濃度、シャープ性(5段階評価)、ベタ均一性(5段階評価)、耐久特性として耐久試験時のトナー帯電量変化(初期のトナー帯電量、5万枚コピー時のトナー帯電量)、キャリア付着の評価(5段階評価、5万枚コピー時)、かぶりの評価(5段階評価、5万枚コピー時)である。
シャープ性、ベタ均一性、キャリア付着、かぶりの評価は5段階評価でA:良→E:悪と表す。
【0116】
【表1】
Figure 0003892394
【0117】
表1から、Fe酸化物とTb酸化物からなるTbxFe3-x4金属酸化物において、Tb組成xが0.25≦x≦1.25のときキャリア付着等の異常画質がなく、高画質で、耐久性も優れていることが分かる。また、Tbx(Fe1-yAly)3-x4でのAl組成yが0<y≦0.5のとき高画質であるが、0.5より大きくなると磁気特性が低下し、全ての画像品質が低下することが分かる。また、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボン等を含有する樹脂被覆層を設けたことにより、トナー帯電特性が安定し、画像濃度及びシャープ性ともに良好な画像品質が得られ、なお且つ耐久特性が非常に改良されることが分かる。
【0118】
【発明の効果】
本発明は、キャリア材料として、Fe酸化物とTb酸化物からなるTbxFe3-x4(0.25≦x≦1.25)で表される金属酸化物、又は前記金属酸化物がさらに添加物Aを含み、該添加物AがMg、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Srから選ばれる少なくとも1種以上であり、Tbx(Fe1-yAly)3-x4(0.25≦x≦1.25、0<y≦0.5)で表される金属酸化物を用いることにより、小粒径でもキャリア付着がなく、高画質で帯電特性の安定した高耐久性な電子写真現像剤用キャリアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tb組成xと磁気特性の関係を示すグラフである。
【図2】Al組成yと磁気特性の関係を示すグラフである。

Claims (25)

  1. Fe酸化物、Tb酸化物からなる金属酸化物からなり、下式組成で表される材料を用いることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
    TbxFe3-x4
    (式中、0.25≦x≦1.25である。)
  2. 前記金属酸化物がさらに添加物Aを含み、該添加物AがMg、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Srから選ばれる少なくとも1種以上であり、下記組成で表される材料を用いることを特徴とする請求項1記載の電子写真現像剤用キャリア。
    Tbx(Fe1-yy)3-x4
    (式中、0.25≦x≦1.25、0<y≦0.5である。)
  3. 前記電子写真現像剤用キャリアにおいて、少なくとも金属酸化物からなるキャリア粒子表面に、樹脂被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真現像剤用キャリア。
  4. 前記樹脂被覆層が、カーボン、フラーレン、カーボンナノチューブの少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項3記載の電子写真現像剤用キャリア。
  5. 前記カーボン、及びフラーレンの平均粒径が0.01〜0.2μmであることを特徴とする請求項4記載の電子写真現像剤用キャリア。
  6. 前記カーボンナノチューブの形状が0.01〜0.1μmφ、0.05〜0.5μm長であることを特徴とする請求項4記載の電子写真現像剤用キャリア。
  7. 前記樹脂被覆層におけるカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブの含有量が樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  8. 少なくとも前記金属酸化物を含むキャリア粒子の重量平均粒径が20〜70μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  9. 前記金属酸化物を含むキャリア粒子において、15μmより小さい粒径を有するキャリア粒子の含有割合が3重量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  10. 前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにMnMgSrフェライトを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  11. 前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにMnフェライトを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  12. 前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにマグネタイトを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  13. 前記電子写真現像剤用キャリアの材料として、さらにヘマタイトを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  14. 前記樹脂被覆層において、樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項3〜13のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  15. 前記樹脂被覆層において、樹脂がアミノシランカップリング剤を含有する樹脂であることを特徴とする請求項3〜14のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  17. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと重量平均粒径が4〜10μmであるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  18. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと平均円形度が0.90〜0.99であるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  19. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと内部に離型剤、又は離型剤と分散を助ける添加剤を含んでいるトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  20. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと重合法によって作製したトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  21. 請求項1〜15いずれかに記載の電子写真現像用のキャリアと溶剤を使用せずに顔料を樹脂中に分散させたトナーを用いたことを特徴とする電子写真用現像剤。
  22. 請求項16〜21のいずれかに記載の電子写真用現像剤を用いて現像することを特徴とする2成分現像方法。
  23. 少なくとも現像容器を搭載した画像形成装置において、該現像容器として、請求項16〜21のいずれかに記載の電子写真用現像剤が収納された現像容器を用いることを特徴とする画像形成装置。
  24. 請求項3〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアの樹脂被覆層を、流動床型コーティング装置を用いて作製することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法。
  25. 請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアを、超音波発振器付きの振動ふるい機を用いて作製することを特徴とする電子写真現像用キャリアの製造方法。
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