JP2004109533A - 電子写真用トナー - Google Patents

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JP2004109533A
JP2004109533A JP2002272411A JP2002272411A JP2004109533A JP 2004109533 A JP2004109533 A JP 2004109533A JP 2002272411 A JP2002272411 A JP 2002272411A JP 2002272411 A JP2002272411 A JP 2002272411A JP 2004109533 A JP2004109533 A JP 2004109533A
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Kazuhiko Umemura
梅村 和彦
Masaru Mochizuki
望月 賢
Yasuo Asahina
朝比奈 安雄
Yasutaka Iwamoto
岩本 康敬
Hideki Sugiura
杉浦 英樹
Shinya Nakayama
中山 慎也
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Abstract

【課題】低コストで製造できると共に、帯電特性が安定で、印刷速度の速い現像装置においてもトナー飛散や地肌汚れが生じにくく、一成分あるいは二成分(現像剤)用として適用することのできる電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】着色剤と結着樹脂(例えば、ポリオール樹脂)およびワックスを順次、混合、溶融混練、圧延冷却、粉砕、風力分級してトナー母粒子を形成する。得られたトナー母粒子にカリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添し、混合・付着処理してトナー母粒子表面にカリックスアレーン小粒子の固定化を行なう。更に、無機微粒子(例えば、疎水性シリカ)を外添する。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターなどの静電潜像を現像するための電子写真用トナーに関し、特に多数枚数の連続印刷においても安定した画像形成が行える一成分用あるいは二成分用のトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真や静電記録などの現像方法は、絶縁液体中に各種の顔料や染料を微細に分散させた現像剤を用いる液体現像方法と、カスケード法、磁気ブラシ法あるいはパウダークラウド法などの乾式現像方法があり、本発明は後者の乾式現像方法に使用する静電荷像現像用トナー(以下、電子写真用トナーと略す)に関するものである。
【0003】
従来、電子写真用トナーは、熱可塑性樹脂に着色剤および荷電制御剤(帯電制御剤)などを混練機で溶融混合後、冷却してジェットミル等の粉砕装置により粉砕し、風力分級装置により所望の粒子径分布に分級して製造されてきた。
しかし、従来の熱可塑性樹脂と着色剤を溶融混合してから微粉砕する方法では工程が複雑でコストが高いという欠点、トナーの流動性の低下や組成の不均一化に伴う、かぶりやトナー飛散が生じやすい欠点などを有している。
【0004】
また、上記粉砕法によらず重合法で直接トナーを製造する手段も提案されている(特公昭36−10231号公報、特公昭47−5183号公報あるいは特公昭53−17737号公報等)。
しかし、重合法の場合には、分散安定剤として界面活性剤、水溶性高分子物質あるいは無機微粉末などを多用するため、その組成分の一部がトナー表面に残留して耐湿性の低下や帯電特性の悪化をもたらし、特に帯電特性が著しく不安定になりやすいという欠点を有する。
【0005】
上記のようにして製造される電子写真用トナーの要求性能として、帯電特性、定着特性、耐オフセット性などが求められるが、特に帯電特性は重要である。この特性により現像や転写(調色プロセスや転写プロセスの制御等)における挙動や品質に大きく影響を与える。
このような帯電特性の要求に対応するため、すなわちトナー粒子表面の静電帯電量を制御するため、帯電制御剤として有機化合物あるいは金属有機化合物がトナー組成分として用いられている。
【0006】
当該技術分野で知られている帯電制御剤としては、負摩擦帯電性として例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属錯塩、銅フタロシアニン顔料、酸成分を含む樹脂等がある。しかし、これらの化合物は、有色であるためカラートナー用として適用できなかったり、帯電の安定性が不十分であったり、クロム等の重金属を含んでいるために対環境性の点で問題があるなど、それぞれ欠点を有しており改良が望まれている。
【0007】
上記対策のため、カリックス(n)アレーン化合物を帯電制御剤として用い、これをトナーに含有させることが開示されている(特開平2−201378号公報および特開平4−346360号公報)。カリックス(n)アレーン化合物は重金属を含まず、実質的に無色であるなどの特徴を有している。
しかしながら、カリックス(n)アレーン化合物を用いただけでは広範囲な環境下において安定して適正な帯電量を得ることが難しい。例えば、流動性付与剤として環境依存性の良好な酸化チタンを外添すると帯電量不足になりやすい。また、適正な帯電量を一旦持ち得ても更に複写が進むにつれて適正な帯電量を保持できなくなる。また、ある種の樹脂に対しては、樹脂中への分散性が不十分となるといった欠点を有する。
【0008】
そのため、特開2000−347461号公報では、特定の分散剤(陰イオン界面活性剤)を混合してカリックスアレン化合物の樹脂中への分散性を向上させている。しかし、分散性は向上するが、用いた分散剤によってカリックスアレン化合物が覆われ易くなるため、帯電制御機能が低下しやすいという問題がある。
【0009】
また、高速複写(現像スリーブの高速回転)におけるトナー飛散に対応するため、トナー組成分としてスルホン酸基を含む荷電制御樹脂とカリックスアレーン化合物を併用することが開示(特開平05−119535号公報)されている。
しかし、荷電制御樹脂とカリックスアレーン化合物との二種類の帯電制御剤を均一に分散することは難しく帯電量分布が広がりやすい。このため、トナーの帯電が不安定になりやすいという傾向があるほか、製造コストの上昇を招くという難点もある。
【0010】
上記欠点を解決する方法が特公昭59−38583号公報に開示されているが、この方法によるトナーは定着時に被覆層と着色された核体粒子との相溶性が低く、印刷物の透過性が劣り調色性を阻害するという問題を有している。特に、フルカラートナーにおいては調色性が画像品質を支配する重要な因子であるため、調色性の良好であることが要求される。
【0011】
上記のように従来、帯電制御剤をトナーに導入するための一般的な方法としては、トナー製造時における配合工程の際に、帯電制御剤をトナー組成分である樹脂(ポリマー)に添加配合し溶融した、いわゆる内添する形態が採用されていた。通常、内添する電荷制御剤は、トナー組成分のポリマーに対して0.5〜5 重量%程度の量で使用されている。
しかし、現像過程における感光体との接触部分はトナー表面であることから、帯電効果はトナー表面部分で有効となり、トナー中に内添された帯電制御剤の帯電効果が全て有効となるものではない。電荷制御剤には一部高価な化合物も含まれ、内添による手法は必ずしも効率的でないといった難点もある。
また、帯電制御剤を内添する場合、通常トナー粒子中で均一に分散させることが難しく、そのためトナー帯電量の不安定化やトナーの飛散、あるいはトナーの寿命を短くするなどの問題を起生しやすい。
【0012】
そこで、懸濁重合で製造された核体粒子表面に、ラテックス粒子からなる被覆層を形成したトナーが提案されている(特公昭59−38583号公報)。 また、トナー表面に小粒子を埋込む方法、例えば熱可融性トナー粒子中に小さな有機ポリマー粒子を埋込む方法(米国特許第4,950,573号)や機械的衝撃力を用いてトナー粒子中に改質剤粒子を埋込む方法(米国特許第 4,900,647号)が提案されている。
しかしながら上記方法は、トナー表面のくぼみや隙間に小粒子を埋込む(機械的に融合する)結果、一様でない深さで埋込んだり、トナー粒子表面に不均一な分布状態で付着させる恐れがある。また、このような機械的融合法はトナー粒子の加熱を引き起こすため、凝集をもたらす心配がある。更に、上記方法では表面の小粒子が乾燥状態でしかも非凝集状態であることを必要とするが、このような状態を直径0.1μm以下程度の微小粒子で実現することは非常に難しい。
【0013】
一方、転写と帯電特性を改善する方法として電荷制御剤を含有する水分散性小粒子(シリカ)を表面に付着したトナー組成物が開示されている(特開平5−341570号公報)。このトナー組成物は、小粒子(平均直径0.01μm〜0.2μm)の水性分散液とトナー粒子とを混合する工程、得られた混合物を攪拌して均一分布させる工程および該トナー粒子を乾燥する工程によって得ている。しかし、上記方法では、トナー粒子を単に電荷制御剤(帯電制御剤)を含む水分散性小粒子の溶液中を通過させるものであって、トナー粒子表面に対して帯電制御剤の付着分布を制御するに至らない。そのため、トナーの帯電量分布が広くなりやすいという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は簡単な工程により低コストで製造できると共に、トナーの小粒径化にも対応でき、帯電特性が安定で、印刷速度の速い現像装置においてもトナー飛散や地肌かぶり(地肌汚れ)が生じにくく、一成分あるいは二成分(現像剤)用として適用することのできる電子写真用トナーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子表面にカリックスアレーン化合物からなる小粒子を付着した構成とすることにより、帯電特性が安定し、トナー飛散や地肌汚れが改善されると共に、電子写真システムにおいてトナーの帯電効果が有効に利用され、高品質の画像が提供される。以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
請求項1に係る発明は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子にカリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添し、該トナー母粒子表面に該小粒子を付着したことを特徴とする電子写真用トナーである。
【0017】
請求項1の構成によれば、長時間帯電量が安定してトナー寿命も長く、印刷速度の速い現像装置においてもトナーの飛散がなく、また(地肌汚れ)地肌かぶりもなく、調色性も良好な電子写真用トナーが提供される。更に、製造性も簡便である。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子の体積平均粒径が0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーである。
【0019】
請求項2の構成によれば、トナー母粒子表面におけるカリックスアレーン化合物からなる小粒子の付着安定性が保たれ、帯電制御剤の離脱が防げる。これによって、長時間帯電量の安定性が保持され、印刷速度の速い現像装置においてもトナーの飛散や地肌汚れのない電子写真用トナーが提供される。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子の前記トナー母粒子に対する表面被覆率が0.5〜100%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーである。
【0021】
請求項3の構成によれば、帯電制御が有効に行われ、更に長時間帯電量の安定性が保持され、印刷速度の速い現像装置においてもトナーの飛散や地肌汚れのない電子写真用トナーが提供される。
【0022】
請求項4に係る発明は、前記トナー母粒子表面に前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子を付着したトナー粒子の体積平均粒径が4〜6μmであり、かつ3.0μm以下のトナー粒子の含有率が10個数%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
【0023】
請求項4の構成によれば、トナーの流動性が良好となるほか、一層長時間帯電量の安定性が保持され、印刷速度の速い現像装置においてもトナーの飛散や地肌汚れがなく、しかも画像の解像性も優れた電子写真用トナーが提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の電子写真用トナーは前記のように、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子と、そのトナー母粒子表面に、カリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添して付着した構成からなるものである。すなわち、トナー母粒子表面のカリックスアレーン粒子が適度な帯電を担い、これによってトナーの帯電制御を行っている。
【0025】
本発明において用いられるカリックスアレーン化合物は、フェノール誘導体とホルムアルデヒドとを無機強アルカリ触媒の存在下に反応させ、得られた生成物から、環状n量体を再結晶等により単離する公知の方法(例えば、J.Am.Chem.Soc.103、3782(1981))によって容易に合成することができる。なお、n量体のnは通常4〜8程度である。
【0026】
カリックスアレーン化合物からなる小粒子の粒径は、体積平均粒径が0.05〜0.5μmであることが好ましい。更に好ましくは、平均粒径が0.15〜0.4μmである。
すなわち、体積平均粒径が0.05よりも小さいと粒子(微粒子)の製造が難しくなる。また、体積平均粒径が0.5μmよりも大きいと、トナー母粒子表面における小粒子の付着安定性が低下して、離脱しやすくなる。
【0027】
また、カリックスアレーン化合物からなる小粒子の前記トナー母粒子に対する表面被覆率は0.5〜100%が好ましい。更に好ましくは、1〜100%である。トナー表面へのカリックスアレーン化合物からなる小粒子の添加量は0.5%以上が必要である。カリックスアレーン化合物からなる小粒子の表面被覆率が0.5%よりも少なくなると、帯電量が少なくなり、所定の帯電制御ができなくなる。
【0028】
次に、トナー母粒子には、前記のように少なくとも結着樹脂および着色剤が含有される。また必要に応じて、カリックスアレーン化合物とは別に帯電制御剤、あるいは離型剤等の他の組成分を含有(内添)させてもよい。
【0029】
トナーに使用される結着樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例としてポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブチラール、シリコーン樹脂等が挙げられる。上記各種樹脂は、単独あるいは2種類以上組合わせて用いることができ、特にポリエステル樹脂、ポリオール樹脂が好ましい。
【0030】
上記ポリエステル樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に下記の(1)、(2)、(3)を組成分として反応させたポリエステル樹脂であることが好ましい。
(1):2価のカルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルまたは酸無水物のいずれかから選ばれる少なくとも一種、
(2):下記一般式(1)で示されるジオール成分、
【0031】
【化1】
Figure 2004109533
【0032】
(式中、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、またx、yは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、x+y=2〜16である。)
【0033】
(3):3価以上の多価カルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルまたは酸無水物、もしくは3価以上の多価アルコールのいずれかから選ばれる少なくとも一種。
【0034】
前記(1)の2価のカルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルまたは酸無水物の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、あるいはそれらのモノメチル、モノエチル、ジメチルおよびジエチルエステル、または無水フタル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0035】
これらの2価のカルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルまたは酸無水物は、トナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響する。特に、テレフタル酸、イソフタル酸およびこれらのジメチルエステルが耐ブロッキング性およびコストの点で好ましい。なお、縮合度にもよるが、芳香族系のテレフタル酸、イソフタル酸等を多く用いると耐ブロッキング性は向上するが、定着性が低下する。逆に、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸等を多く用いると定着性は向上するが、耐ブロッキング性が低下する。従って、他のモノマー組成や比率、縮合度に合わせてこれらの2価カルボン酸類が適宜選定され、単独または組合わせて使用される。
【0036】
前記(2)の一般式(I)で示されるジオール成分の例としては、ポリオキシプロピレン−(n)−ポリオキシエチレン−(n′)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。特に、2.1≦n≦2.5であるポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および2.0≦n≦2.5であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。このようなジオール成分は、ガラス転移温度を向上させ、反応を制御し易くするという利点がある。なお、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールを使用することも可能である。
【0037】
前記(3)の3価以上の多価カルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルまたは酸無水物の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフトレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸およびこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチルおよびジエチルエステル等が挙げられる。
【0038】
また、(3)に記載した3価以上の多価アルコールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0039】
ここで、3価以上の多価単量体の配合割合は、単量体組成物全体の1〜30モル%程度が適当である。1モル%よりも少ない時には、トナーの耐オフセット性が低下し、また耐久性も悪化しやすい。一方、30モル%よりも多い時には、トナーの定着性が悪化しやすい。
これら3価以上の多価単量体のうち、特にベンゼントリカルボン酸、その酸無水物またはエステル等が好ましい。すなわち、ベンゼントリカルボン酸類を用いることにより、定着性と耐オフセット性の両立を図ることができる。
【0040】
次に、前記ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、エポキシ樹脂(a)と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテル(b)と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物(c)と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物(d)とを反応して得られるポリオール樹脂を用いることが好ましい。
【0041】
上記(a)のエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンとを結合して得られたものである。特に、安定した定着特性や光沢を得るために、エポキシ樹脂が数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂であって、低分子量成分エポキシ樹脂の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分エポキシ樹脂の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。
【0042】
更に、上記低分子量成分エポキシ樹脂が20〜50重量%、高分子量成分エポキシ樹脂が5〜40重量%であることが好ましい。低分子量成分が多過ぎたり、分子量が360より更に低分子の場合は光沢が出過ぎたり、更には保存性が悪化する可能性がある。また、高分子量成分が多過ぎたり、分子量10000より更に高分子の場合には光沢が不足したり、更には定着性を悪化させる可能性がある。
【0043】
また、(b)の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、以下のものが例示される。
すなわち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよびこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリン等でグリシジル化して用いてもよい。特に下記一般式(2)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【0044】
【化2】
Figure 2004109533
【0045】
(式中、Rは−CH−CH−基、あるいは−CH−CH(CH)−基、または−CH−CH−CH−基を表し、n、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
【0046】
また、上記2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルは、前記ポリオール樹脂に対して10〜40重量%含まれていることが好ましい。含有量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、またn+mが7以上であったり、含有量が多過ぎると光沢が出すぎたり、更には保存性が悪化する可能性がある。
【0047】
また、(c)のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。
1価フェノール類としては以下のものが例示される。例えば、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、例えばジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、例えばプロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0048】
前記(d)のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノール類としてはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸が例示される。
【0049】
前記ポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると透明性や光沢度が得られにくくなるため、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THFに溶解させた場合に不溶分が5%以下となる程度)であることが好ましい。
また、前記結着樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のいずれの方法も用いることが出来る。
【0050】
次に、本発明のトナー母粒子の組成分として用いられる着色剤には、従来公知の染料および顔料が使用できる。
黄色系着色剤としては、例えばナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
【0051】
赤色系着色剤としては、例えばベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
【0052】
青色系着色剤としては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB,ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
【0053】
黒色系着色剤としては、例えばカーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネル ブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
【0054】
その他の着色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
前記各種着色剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
【0055】
前述のように、本発明のトナー母粒子の組成分として、必要に応じて帯電制御剤、離型剤を添加(内添)することが出来る。
帯電制御剤としては、従来公知のものが使用でき、例えばニグロシン染料、含クロム錯体、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらはトナー粒子の極性により使い分ける。特に、カラートナーの場合、トナーの色調に影響を与えない無色または淡色のものが好ましく、例えばサリチル酸金属塩またはサリチル酸誘導体の金属塩(ボントロンE84、オリエント社製)等を用いることができる。これらの帯電制御剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.5〜8重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0056】
また、定着時における定着部材からのトナーの離型性を向上させ、またトナーの定着性を向上させるために、離型剤をトナー母粒子中に含有(内添)させてもよい。
離型剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸および高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等およびこれらの各種変性ワックス等を用いることができる。これらの離型剤は、単独あるいは2種類以上組合わせて用いることができるが、特にカルナウバワックスを使用することにより良好な離型性を得ることができる。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜15重量部、好ましくは、2〜10重量部である。1重量部よりも少ないとオフセット防止効果等が不十分であり、15重量部よりも多いと転写性、耐久性等が低下する。
【0057】
更に、本発明のトナー母粒子の組成分として、磁性体を含有(内添)させ、磁性トナーとして用いることもできる。
磁性体としては、例えばマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが好ましく、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。
【0058】
次に、本発明の電子写真用トナーにおける外添剤として前述のカリックスアレーン化合物からなる小粒子のほかに、必要に応じて有機微粒子や無機微粒子を添加、付着させることもできる。
本発明に用いられる有機微粒子(樹脂粒子)としては、1種または複数の樹脂粒子を目的に応じて選択して使用することが出来る。特に、トナー母体粒子と同じ樹脂を使用すると樹脂粒子の接着性が高く好ましい。定着性、耐熱性、耐凝集性を考慮するとトナー母体粒子よりも軟化点の高い樹脂を選択するのが好ましい。
【0059】
有機微粒子の例としては、ビニル系単量体を原料として製造したものなどを使用することができる。
このようなビニル系単量体原料としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単官能性単量体、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類、あるいは塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル類、あるいは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、あるいはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが使用され、場合によってはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、あるいはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、あるいはN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタリン塩等、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテルおよびジビニルスルファイト等が挙げられる。これらは単独重合または共重合して用いられる。
【0060】
また、外添剤に用いられ無機微粒子としては、従来公知のものが使用でき、例えばSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられる。特に、Si、Ti、Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適に用いられる。
【0061】
上記有機微粒子あるいは無機微粒子の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.6〜4.0重量部であることが好ましく、特に好ましくは、1.0〜3.6重量部である。
有機微粒子あるいは無機微粒子の添加量が0.6重量部より少ないとトナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、転写性や耐熱保存性も不十分となり、更に地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。また、添加量が4.0重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤(外添剤)による感光体等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレードや感光体等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。
【0062】
更に、上記無機微粒子(酸化物微粒子)の表面をシリコーンオイルを用いて適切な量に制御して覆うことで対環境保存性を向上させることが可能となる。この場合、シリコーンオイルの遊離率を10〜95%とすることが好適である。
遊離率が10%未満であると、シリコーンオイルの被覆効果が十分発揮されない。一方、95%を越えると、シリコーンオイルが感光体(静電荷像担持体)上に付着してフィルミング等の現象を引き起こしたり、トナーの流動性を低下させるため好ましくない。
【0063】
なお、前記添加剤の含有量を測定するには種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて蛍光X線分析法で測定したデータを基に検量線を作成し、この検量線を用いて添加剤の含有量を求めることができる。
【0064】
更に、前記外添剤は、必要に応じて疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的から、表面処理を施すことが好ましい。
このような目的のために用いる表面処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えばメチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0065】
上記表面処理剤を用いて表面処理を行う方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に外添剤を浸積し乾燥させる方法、外添剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、本発明においては、いずれの方法でも好適に用いることができる。
【0066】
前記トナー母粒子に添加される外添剤(微粒子)の粒径は、流動性付与等の点から、平均一次粒子径で0.002〜0.2μmであることが好ましく、特に好ましくは、0.005〜0.05μmである。
微粒子の平均一次粒子径が0.002μmより小さい外添剤では、トナー母粒子表面に外添剤が埋め込まれやすくなるために凝集を生じやすく、また流動性も十分に得られない。更に、感光体等へのフィルミングも発生しやすくなり、これらの傾向は特に高温高湿下において顕著になる。加えて、平均一次粒子径が0.002μmより小さいと、どうしても外添剤同士の凝集が生じやすくなるため、十分な流動性が得られにくくなる。また、平均一次粒子径が0.2μmより大きい外添剤では、トナーの流動性が低下するために十分な帯電性が得られず、地肌汚れやトナー飛散の原因になりやすい。更に、一次粒子径が0.2μmより大きい場合には、感光体表面を傷つけやすく、フィルミング等を起こす原因にもなりやすい。なお、外添剤等の微粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡により測定して求めることができる。
【0067】
本発明の電子写真用トナーには、前記の外添剤の他に、滑剤、研磨剤あるいは導電性付与材等の更に別の添加剤(外添剤)を添加させることができる。このような外添剤を例示すると、滑剤として、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛およびポリ弗化ビニリデン等が、研磨剤として、酸化セリウム、炭化ケイ素およびチタン酸ストロンチウム等が、導電性付与材として、酸化亜鉛、酸化アンチモンおよび酸化スズ等が挙げられる。
【0068】
本発明の電子写真用トナーは、前述のように、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子と、そのトナー母粒子表面に、カリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添して付着した構成からなるものであり、必要によりトナー母粒子には、帯電制御剤、離型剤あるいは磁性体等を内添することができ、また、外添剤として有機微粒子、無機微粒子、滑剤、研磨剤あるいは導電性付与材等を外添することができる。
このような構成の電子写真用トナーにおけるトナー母粒子の製造方法について機械的方法、重合法、カプセル法を例として以下に概略を例示する。なお、本発明の電子写真用トナーを製造する方法は以下の例に限定されるものではない。
【0069】
<機械的方法>
(1)混合:前述した結着樹脂、着色剤、または必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等をヘンシェルミキサー等の混合機により十分に混合する。
(2)混練:バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機(例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機等)や、連続式の1軸混練機(例えば、ブッス社製コ・ニーダ等)の熱混練機を用いて組成分材料を十分に混練する。
(3)分級:上記混練物を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を利用した分級機により所定の粒度に分級し、トナー母粒子を得る。
【0070】
<重合法>
(1)造粒:重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤、着色剤等を水性分散媒中で造粒する。
(2)分級:造粒されたモノマー組成物粒子を適当な粒子径に分級する。
(3)重合:上記分級により得られた規定内粒径のモノマー組成物粒子を重合させる。
(4)トナー母粒子:適当な処理をして分散剤を取り除いた後、上記により得た重合生成物をろ過、水洗、乾燥してトナー母粒子を得る。
【0071】
<カプセル法>
(1)溶融/心材:樹脂、必要に応じて着色剤等を混練機等で混練し、溶融状態のトナー芯材を得る。
(2)微粒子/芯材:トナー芯材を水中に入れて強く撹拌し、微粒子状の芯材を作成する。
(3)カプセル化:シェル材溶液中に上記芯材微粒子を入れ、撹拌しながら貧溶媒を滴下し、芯材表面をシェル材で覆うことによりカプセル化する。
(4)トナー母粒子:上記により得たカプセルをろ過後、乾燥してトナー母粒子を得る。
【0072】
本発明の電子写真用トナーを得るには、上記各手法で得られたトナー母粒子に前記粒径分布の揃ったカリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添し、混合機により十分混合して表面被覆率を制御しながらトナー母粒子表面に付着させることによって得られる。
なお、必要によって有機微粒子、無機微粒子、滑剤、研磨剤あるいは導電性付与材等の添加材を外添する場合には、上記と同様にして混合機により十分混合して付着させることができる。
上記混合は、例えばヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の混合機により行うことができ、必要あれば150μm程度以下の目開きの篩を通過させ、凝集物や粗大粒子等の除去を行って電子写真用トナーの粒径を調節する。
【0073】
上記により得られた本発明の電子写真用トナーの粒径は、体積平均径で4〜9μmである。特に好ましくは、4〜6μmである。
体積平均径が4μmよりも小さい場合には、現像時に地汚れやトナー飛散等が生じたり、流動性を悪化させてトナーの補給やクリーニング性等を阻害する場合がある。また、体積平均径が6μmよりも大きい場合には、画像中にチリが残ったり、解像性が悪化するなど問題となる場合がある。特に、カラー画像の場合においてその影響が大きい。
【0074】
本発明に用いられる電子写真用トナーは、一成分トナーあるいは二成分トナーとして、いずれにも適用可能である。二成分トナーの場合には、本発明の電子写真用トナーとキャリアとを混合して一体化した、いわゆる現像剤として使用することができる。
上記キャリアとしては、従来公知の材料が使用でき、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体およびガラスビーズ等が挙げられる。特に、これらの表面を樹脂等で被覆(樹脂層を形成)することが好ましい。この場合、使用される樹脂としては、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。この樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリアの表面に噴霧法、浸漬法等の手段で樹脂を塗布すればよい。
【0075】
上記樹脂の使用量としては、通常、キャリア100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、樹脂の膜厚としては、0.02〜2μmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは、0.1〜0.6μmである。膜厚が厚いとキャリアおよび現像剤の流動性が低下する傾向があり、膜厚が薄いと経時での膜削れ等の影響を受けやすい傾向がある。
ここで、これらのキャリアの平均粒径は通常10〜100μm、好ましくは30〜60μmである。更に、電子写真用トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対してトナーを0.5〜7.0重量部程度とするのが適当である。
【0076】
次に、電子写真用トナー粒子の円形度、すなわちトナー全体の形状を表す(SF−1)や表面の凹凸程度を表す(SF−2)は、現像、転写における品質に影響を及ぼすので重要であり、SF−1値が100〜140、SF−2値が100〜130であるのが好ましい。この範囲外であると現像、転写における品質が低下する傾向がある。なお、円形度の測定は以下により求める。
【0077】
〈円形度〉
上記SF−1値およびSF−2値は、本発明の電子写真用トナーをSEM分析(日立製作所製FE−SEM:S−4200)により測定して得られたSEM像300個を無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェースを介して画像解析装置(Luzex AP:ニレコ社製)に導入して解析を行い、下記式(1)、(2)より算出した。式(1)、(2)から算出される値を、それぞれ(SF−1)および(SF−2)と定義した。
【0078】
【数1】
(SF−1)=(L/A)×(π/4)×100   …(1)
(SF−2)=(P/A)×(1/4π)×100  …(2)
【0079】
上記式(1)および式(2)において、Lはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積、Pはトナーの最大周長を表す。
【0080】
上記において、真球であればSF−1値およびSF−2値はいずれも100となる。100より値が大きくなるにつれて球形から不定形になる。前記のように、特にSF−1値はトナー全体の形状(楕円や球等)を表し、SF−2値は表面の凹凸程度を示す形状係数となる。
なお、SF−1値およびSF−2値は、上記Luzex APにより求めた値が好ましいが、同様の解析結果が得られるのであれば、特に上記FE−SEM装置および画像解析装置に限定されない。
【0081】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるものではない。
【0082】
製造例1<カリックスアレーン小粒子の製造>
下記構造式で示されるカリックスアレーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびイオン交換水を下記組成(1)にて混合、ペイントシェーカーを用いてカリックスアレーン化合物の平均粒径が0.3μmになるまで粉砕を行った。
【0083】
【化3】
Figure 2004109533
【0084】
組成(1)
カリックスアレーン化合物(構造式(1))     10部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム       2部
イオン交換水                  100部
【0085】
上記組成(1)の分散物を洗浄し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを十分に洗い流した後に乾燥し、カリックスアレーン小粒子を得た。
【0086】
製造例2<無機微粒子の製造>
以下の手順で無機微粒子(酸化物微粒子)を製造した。
まず、蒸留精製したメチルトリメトキシシランを加熱し、ここに窒素ガスをバブリングしながら(メチルトリメトキシシランを窒素ガスで気流伴流して)酸水素火炎バーナーに導入し、この酸水素火炎中で燃焼分解させた。このときのメチルトリメトキシシラン導入量は1270g/hr、酸素ガス導入量は2.9Nm/hr、水素ガス導入量は2.1Nm/hr、窒素ガス導入量は0.58Nm/hrであり、生成した酸化物微粒子(球状シリカ微粉末)はバグフィルターで捕集した。
【0087】
得られた球状シリカ微粉末1kgを5リットルのプラネタリミキサーに仕込み、純水10gを撹拌下に添加し、密閉後更に55℃で14時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン20gを撹拌下に添加し、密閉後更に24時間撹拌した。次に、115℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料および生成したアンモニアを除去し、平均一次粒子径0.12μmの無機微粒子(酸化物微粒子)を得た。
【0088】
実施例1
〈マスターバッチ着色剤〉
まず、下記組成(2)に示す各組成分をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕してマスターバッチ着色剤(マゼンタ色)を製造した。
【0089】
組成(2)
水                       600部
Pigment Red 122        1200部
ポリオール樹脂                1200部
【0090】
〈トナー母粒子(A)〉
次に、上記で得られたマスターバッチ着色剤と結着樹脂(ポリオール樹脂1)およびワックス(脂肪酸エステルワックス、融点83℃、粘度280mPa・s(90℃))を下記組成(3)に示す配合にてミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後、ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのマゼンタ色のトナー母粒子(A)を得た。
【0091】
組成(3)
ポリオール樹脂1            100部
組成(2)のマスターバッチ着色剤     14部
ワックス                   5部
【0092】
〈トナー(A−1)〉
次いで、上記で得られたトナー母粒子(A)100重量部に対して、前記製造例1で得られたカリックスアレーン小粒子1重量部を外添し、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所NHS−O)を用いて、12000rpmの条件で2分間混合・付着処理を行った。この処理によってトナー母粒子(A)表面にカリックスアレーン小粒子の固定化を行ない、トナー母粒子(A)表面の約10%をカリックスアレーン小粒子により被覆したトナー(A−1)を得た。
【0093】
〈トナー(A−2)〉
更に、上記トナー(A−1)100重量部に対して、一次粒子径10nmの無機微粒子、すなわち疎水性シリカ(HDK H2000:クラリアントジャパン製)0.8重量部を添加(外添)し、攪拌混合機により十分に攪拌混合してトナー(A−2)を得た。
【0094】
実施例2
乳化重合法を適用して以下のような手順でトナーを製造した。
〈樹脂分散液(b)〉
まず、樹脂分散液(b)を以下のような条件で反応させて得た。
下記組成(4)に示す原料等(いずれも和光純薬社製)からなる組成の混合溶解液を、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニボール85)9重量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)11重量部を溶解したイオン交換水582重量部中に投入した。混合溶解液を収容したフラスコ中で分散、乳化を15分程度ゆっくりと混合・攪拌しながら進め、過硫酸アンモニウム(東海電化社製)3.4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、窒素置換を行った。その後、フラスコ中の反応溶液を攪拌しながらオイルバスで内容物が73℃になるまで加熱昇温し、7時間乳化重合を継続した後、室温まで冷却して樹脂分散液(b)を得た。得られた樹脂分散液(b)を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、分析したところ、重合体の粒径(中心粒径)は120nm、ガラス転移点は55℃、Mwは22,000であった。
【0095】
組成(4)
スチレン             350重量部
アクリル酸ブチル          41重量部
アクリル酸              9重量部
ドデシルメルカプタン        16重量部
四臭化炭素              5重量部
【0096】
〈顔料分散液(b)〉
次に、顔料分散液(b)を以下のような条件で調製した。
顔料(Pigment Red 122)70重量部をアニオン性界面活性剤(三洋化成社製、イオネットD−2)2部と共にイオン交換水300部中に添加混合し、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散処理し、中心径160nmの顔料分散液(b)を得た。
【0097】
〈ワックス分散液(b)〉
更に、ワックス分散液(b)を以下のような条件で調製した。
ワックス(脂肪酸エステルワックス、融点83℃、粘度280mPa・s(90℃))50重量部をアニオン性界面活性剤(三洋化成社製、イオネットD−2)2部と共にイオン交換水300部中に添加混合し、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散処理し、ワックス分散液(b)を得た。
【0098】
〈トナー母粒子(B)〉
次に、上記の樹脂分散液(b)、顔料分散液(b)、ワックス分散液(b)を下記組成(5)に示す割合で配合し、丸形ステンレス製フラスコ中にウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。
【0099】
組成(5)
イオン交換水              300重量部
樹脂分散液(b)            240重量部
顔料分散液(b)             40重量部
ワックス分散液(b)           35重量部
カチオン性界面活性剤(*)          2重量部
(*):花王社製、サニゾールB50
【0100】
上記48℃で4時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。その後、ネオゲンSCを6重量部、追添加した後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱して9時間保持した。その後、フラスコを10℃/分で室温まで冷却し、濾過した後にイオン交換水で十分洗浄した。その後、真空乾燥機内で50℃、12時間保持してマゼンタ色のトナー母粒子(B)を得た。トナー母粒子(B)の体積平均粒径は5.5μm、個数平均粒径は4.7μm、分子量Mwは22,000であった。
【0101】
次いで、上記で得られたトナー母粒子(B)97重量部部と製造例1で得られたカリックスアレーン小粒子3重量部をハイブリダイゼーションシステム(NHS−O:(株)奈良機械製作所)を用いて、12000rpmの条件で2分間処理を行った。この処理によってトナー母粒子(B)表面にカリックスアレーン小粒子の固定化を行ない、トナー母粒子(A)表面にカリックスアレーン小粒子を被覆したトナー(B−1)を得た。トナー(B−1)の円形度SF−1は108、SF−2は105であった。
【0102】
〈トナー(B−2)〉
更に、上記トナー(B−1)100重量部に対して、前記製造例2で製造した酸化物微粒子(球状シリカ微粉末)0.8重量部を添加(外添)し、攪拌混合機により十分に攪拌混合してトナー(B−2)を得た。
【0103】
実施例3
〈トナー母粒子(C)〉
実施例2で得た樹脂分散液(b)、顔料分散液(b)、ワックス分散液(b)を前記組成(5)に示す割合で配合し、実施例2と同様にして丸形ステンレス製フラスコ中にウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で4時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5.5μmの凝集粒子(トナー母粒子(C))が生成していることが確認された。
【0104】
〈トナー(C−1)〉
次に、上記組成(5)の混合液に、製造例1における製造時と同じようにして調製したカリックスアレーン小粒子の分散液100重量部を追添加した後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し、9時間保持した。その後、フラスコを10℃/分で室温まで冷却し、濾過した後、イオン交換水で十分洗浄した。次いで、真空乾燥機内にて50℃で12時間保持し、マゼンタ色のトナー(C−1)を得た。トナー(C−1)の体積平均粒径は5.5μm、個数平均粒径は4.7μm、分子量Mwは22,000であった。また、トナー(C−1)の円形度SF−1は108、SF−2は105であった。
【0105】
〈トナー(C−2)〉
更に、上記トナー(C−1)100重量部に対して、一次粒子径10nmの無機微粒子、すなわち疎水性シリカ(HDK H2000:クラリアントジャパン製)0.8重量部を添加(外添)して攪拌混合機により十分に攪拌混合してトナー(C−2)を得た。
【0106】
実施例4
〈トナー(D−2)〉
実施例3において、製造例1で得られたカリックスアレーン小粒子を添加混合(外添)する際に、同時に、体積平均粒径0.2μmの有機微粒子(スチレンアクリル樹脂粒子)50重量部を添加混合した他は実施例3と同様にしてトナー(D−2)を得た。
【0107】
実施例5〜8
前記実施例1〜4で得られた各トナー(トナー(A―2)、トナー(B―2)、トナー(C―2)、トナー(D―2))と下記組成(6)に示す配合で得られたキャリアとをターブラーミキサーで混合し、それぞれ次のように実施例5〜8の現像剤(E−2)〜(H−2)を得た。
実施例5:現像剤(E−2);(下記キャリア)+(トナー(A―2))
実施例6:現像剤(F−2);(下記キャリア)+(トナー(B―2))
実施例7:現像剤(G−2);(下記キャリア)+(トナー(C―2))
実施例8:現像剤(H−2);(下記キャリア)+(トナー(D―2))
なお、キャリアーと各トナーとの配合割合は、キャリア95重量部に対して各トナー5重量部である。下記にキャリアの製造例を示す。
【0108】
組成(6)
芯材:
Cu−Znフェライト粒子(*1)   5000部
コート材:
トルエン                450部
シリコーン樹脂SR2400(*2)   450部
アミノシランSH6020(*3)     10部
カーボンブラック             10部
(*1):重量平均径/45μm
(*2):東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%
(*3):東レ・ダウコーニング・シリコーン製
【0109】
〈キャリアの製造〉
上記組成(6)に示したコート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製した後、このコート液と芯材をコーティング装置に投入して、コート液を芯材上にコートした。なお、コーティング装置の流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根が設けられており、これによって旋回流を形成させながらコートを行う。コートされた芯材を更に電気炉で250℃で2時間焼成を行い、キャリア(膜厚:0.5μm)を得た。
【0110】
<評価>
前記実施例1〜4で得られたトナー(A―2)、トナー(B―2)、トナー(C―2)、トナー(D―2)および実施例5〜8で得られた現像剤(E―2)、現像剤(F―2)、現像剤(G―2)、現像剤(H―2)を用いて、1万枚の印刷を行い、その間の印刷画像の地肌汚れと、1万枚終了後のプリンター内部のトナー飛散程度を評価した。
評価用プリンターとして株式会社リコー製ImagioMF1340を使用し、印刷はトナー濃度6%で行った。
【0111】
<結果>
本発明のトナーおよび現像剤を用いた場合には、1万枚の印刷において、いずれも良好な画像形成が行われた。地肌の濃度測定(X−RITE)の結果、1万枚の印刷後と初期の地肌濃度差は、0.02以内と変化が少なく安定しており地肌汚れもなく良好な状態であった。また、1万枚後のプリンター内部のトナー飛散もほとんど見られなかった。更に、プリント画像として、画像面積の多い写真画像について連続使用した場合にも、印刷により得られた画像の地肌汚れは見られなかった。
なお、事前の評価において、本発明のカリックスアレーン化合物からなる小粒子の体積平均粒径が0.05〜0.5μmの範囲外、および小粒子のトナー母粒子に対する表面被覆率が0.5〜100%の範囲外、あるいはトナー粒子の体積平均粒径が4〜6μmの範囲外では、安定した帯電が得られず、寿命も短く、トナー離脱などの問題を生じ、プリンターによる複写において地肌汚れやトナー飛散などを起こした。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子表面にカリックスアレーン化合物からなる小粒子を付着した構成とすることにより、帯電特性が安定し、高速複写においてもトナー飛散や地肌汚れが改善されると共に、電子写真システムにおいてトナーの帯電効果が有効に利用され、高品質の画像が得られる電子写真用トナーが提供される。

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子にカリックスアレーン化合物からなる小粒子を外添し、該トナー母粒子表面に該小粒子を付着したことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子の体積平均粒径が0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子の前記トナー母粒子に対する表面被覆率が0.5〜100%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  4. 前記トナー母粒子表面に前記カリックスアレーン化合物からなる小粒子を付着したトナー粒子の体積平均粒径が4〜6μmであり、かつ3.0μm以下のトナー粒子の含有率が10個数%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009014781A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Ricoh Co Ltd 現像装置及びこれを備えた画像形成装置
US8592113B2 (en) 2009-10-08 2013-11-26 Ricoh Company, Limited Toner, method of manufacturing toner, developer, and image forming method

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