JP2012088629A - 電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア、並びに該電子写真現像剤用フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア、並びに該電子写真現像剤用フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】適度の抵抗や磁化を有し、かつ帯電性に優れ、特に高温高湿下での高帯電を維持でき環境依存性の良好な電子現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア、並びに該電子写真現像剤用フェライトキャリアを用いた電子写真像剤を提供する。
【解決手段】Mnを11〜21重量%、Mgを0.9〜3.5重量%、Tiを0.5〜2重量%、Feを48〜60重量%を含有し、かつ、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/g以下であり、形状係数SF−2の平均値が104〜110であり、0.5K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が35〜50Am/kgである電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア、並びに該電子写真現像剤用フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められており、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−ZnフェライトからMnを用いたマンガンフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。
特許文献1(特開平8−22150号公報)には、マンガン−マグネシウムフェライトにおいて、その一部をSrOで置換したフェライトキャリアが記載されている。このフェライトキャリアによって、粒子間の磁化のバラツキを低減させることにより、トナーと共に現像剤として用いたときに画質及び耐久性に優れ、環境に優しく、長寿命で環境安定性に優れるとされている。しかし、この特許文献1に記載のフェライトキャリアでは、適度な凹凸を持った均一な表面性と高い帯電付与能力の両立ができない。焼成温度を高くすると、表面性が平滑の部分が多くなり、不均一となるため、樹脂を被覆後の抵抗、帯電の分布が広くなってしまうだけでなく、撹拌ストレスに対する強度も低下してしまう。焼成温度を低くすると、見かけ上、表面がシワ状で均一な表面性となるが、BET比表面積の値が大きくなるため帯電性が低く、環境差も大きいものとなってしまう。
特許文献2(特開2000−233930号公報)には、一定割合の酸化マンガンと酸化鉄(III)とを含み、かつ二酸化チタンを特定量含み、実質的にスピネル相材料を形成するキャリアコア組成物が開示されている。このキャリアコア組成物は、環境的に安全で無害であるとされている。
しかし、特許文献2に記載されたキャリアコア組成物は、マンガンフェライトであることから抵抗が低く、カブリの発生や階調性の悪化等、画質の悪化が懸念される。
Mnを用いたキャリア芯材に代わるものとして、Mgを用いたキャリア芯材が提案されている。例えば、特許文献3(特開2010−39368号公報)には、マグネシウム、チタン及び鉄を一定割合で含有し、BET比表面積が特定範囲にあるキャリア芯材が記載されている。このキャリア芯材によって、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られ、かつ帯電特性に優れ、また適度な凹凸を有する表面性と揃った形状とを兼備するとされている。
この特許文献3に記載されているキャリア芯材は、マンガン及びチタンの含有量が少ないため、基本的にはマグネタイトの特性を示し、低磁場側の磁化が低くなることから、実機による画像形成においてはキャリア付着の発生が懸念される。
さらに、特許文献4(特開2008−96977号公報)には、少なくともマグネシウム元素を含有するフェライトよりコア粒子の表面に樹脂を被覆してなるキャリアが開示され、コア粒子の異形化率が5個数%以下で、その表面のグレイン径が2〜5μmであるとされている。この特許文献4では、このようなコア粒子を用いることにより、トナーに対して充分な帯電性を付与し、帯電不足によるトナー飛散に起因するカブリ等の画像汚染を起こすことのない安定した帯電性を有するとされている。
しかし、このコア粒子は、形状及び表面性は良いものの水分吸着量に関して何ら記載もなく、キャリアの環境依存性の改善は樹脂被覆のみによって行なわれる。そのため実際の使用においてキャリアの使用開始直後の環境依存性は良好でも、使用時間が長くなるにつれて被覆した樹脂が剥離し、コア粒子の表面が露出することで徐々に環境依存性が失われてしまうため、環境依存性の改良の面から不十分であると考えられる。
一方、特許文献5(特開2001−343790号公報)には、一定の条件下の水分吸着量と表面積とが特定の関係を有するキャリアが記載されている。このようなキャリアは、環境に左右されることなくトナーの帯電性が安定化し、良好な画質を長期にわたって得ることができるとされている。
この特許文献5で用いられるキャリアは、磁性体分散型キャリアであり、またキャリア芯材の組成も何ら特定されていない。単にキャリアの水分吸着量と表面積を特定するのみでは、適度な抵抗や磁化を有することも、良好な帯電性を得ることもできない。
また、特許文献6(特開2004−94035号公報)には、トナー粒子の水分吸着量とキャリア粒子の水分吸着量を特定し、かつ両者の相関を求めた二成分系現像剤が記載されており、帯電量の環境依存性が小さいことが効果として挙げられている。
この特許文献6では、トナー粒子の水分吸着量とキャリア粒子の水分吸着量に関して規定しているのみなので、上記と同様に適度な抵抗や磁化を有することも、良好な帯電性を得ることもできない。
これら従来の技術に鑑み、適度の抵抗や磁化を有し、かつ帯電性に優れ、特に高温高湿下での高帯電を維持でき環境依存性の良好な電子現像剤用のフェライトキャリアが求められていた。
特開平8−22150号公報 特開2000−233930号公報 特開2010−39368号公報 特開2008−96977号公報 特開2001−343790号公報 特開2004−94035号公報
従って、本発明の目的は、適度の抵抗や磁化を有し、かつ帯電性に優れ、特に高温高湿下での高帯電を維持でき環境依存性の良好な電子現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア、並びに該電子写真現像剤用フェライトキャリアを用いた電子写真像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、Mn、Mg、Ti及びFeを一定量含有し、かつ相対圧0.9における水分吸着量が一定量以下であるフェライトキャリア芯材及びこれに樹脂を被覆したフェライトキャリアが上記目的を達成し得ることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、Mnを11〜21重量%、Mgを0.9〜3.5重量%、Tiを0.5〜2重量%、Feを48〜60重量%を含有し、かつ、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/g以下であり、形状係数SF−2の平均値が104〜110であり、0.5K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が35〜50Am/kgであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供するものである。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量の差が絶対値で0.01mg/g以下であることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−2が130よりも大きいフェライト粒子の含有量が4個数%以下、形状係数SF−2が120よりも大きいフェライト粒子の含有量が8個数%以下であることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、Srを0.1〜1.0%含有することが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、表面に酸化被覆が形成されていることが望ましい。
本発明の上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、常温常湿(N/N)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が5×10〜5×10Ω、1000Vにおける抵抗が5×10〜1×10Ω、かつ高温高湿(H/H)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が1×10〜1×10Ωであることが望ましい。
本発明は、上記電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリアを提供するものである。
本発明は、上記電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る上記電子写真現像剤は、補給用現像剤としても用いられる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、適度の抵抗や磁化を有し、かつ帯電性に優れ、水分吸着量が少なく、水分が吸着しても容易に脱離するため、特に高温高湿下での高帯電を維持できるので環境依存性が良好である。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、高い帯電量を有し、各環境下での帯電安定性にも優れる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及び電子写真現像剤用フェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、Mnを11〜21重量%、好ましくは13〜21重量%、より好ましくは15〜21重量%、Mgを0.9〜3.5重量%、好ましくは0.9〜3重量%、より好ましくは0.9〜2.5重量%、Tiを0.5〜2重量%、好ましくは0.5〜1.8重量%、より好ましくは0.5〜1.6重量%、Feを48〜60重量%、好ましくは48〜58重量%、より好ましくは48〜55重量%含有する。残部はOと随伴不純物であり、随伴不純物は原料に含まれるものや製造工程において混入するものであり、その合計量は0.5重量%以下である。上記組成範囲のフェライトキャリア芯材は、高帯電で、特に高温高湿下での帯電安定性に優れ、環境依存性が良好である。
Mnを含有することによって、低磁場側の磁化を高くすることができ、本焼成における炉出の際の再酸化を防止する効果が期待できる。添加するときのMnの形態は特に制限はないが、MnO、Mn、Mn、MnCOが工業用途で入手しやすいので好ましい。Mnの含有量が11重量%未満では、マグネタイト成分が多くなり、低磁場側の磁化が低くなりキャリア付着を発生させてしまうだけでなく、抵抗も低いためカブリの発生や階調性の悪化等、画質が悪化する。21重量%を超えると、抵抗が高くなるためにエッジが効きすぎてしまい、白抜け等の画像欠陥が発生したり、トナー消費量が増加することがある。
Mgを含有することによって、フェライトキャリアとフルカラー用のトナーで構成される帯電の立ち上がりが良い現像剤を得ることができる。また抵抗を高くすることができる。Mgの含有量が0.9重量%未満では、十分な添加効果が得られず、Mnの含有量が相対的に少なく、かつFeの含有量が多い場合には抵抗が低くなり、カブリの発生や階調性の悪化等、画質が悪化する。Mnの含有量が相対的に多く、Feの含有量が少ない場合には磁化が高くなりすぎるため、磁気ブラシの穂が硬くなり、はけ筋等の画像欠陥の発生原因となる。一方、Mgの含有量が3.5重量%を超えると、磁化が低下するためにキャリア飛散が発生するだけでなく、焼成温度が低い場合にはMgに起因する水酸基の影響で水分吸着量が大きくなり帯電量や抵抗といった電気的特性の環境依存性を悪化させる原因となる。
Tiは焼成温度を下げる効果を有し、凝集粒子を減らすことができるだけでなく、BET比表面積の値が小さいにもかかわらず、均一でシワ状の表面性を得ることができる。Tiの含有量が0.5重量%未満では、Tiの含有効果が得られず、BET比表面積が高くなり、十分な帯電性が得られない。また、Tiの含有量が2重量%を超えると、磁化の立ち上がりが悪くなり、キャリア飛散の原因となるだけでなく、フェライトの内部に取り込まれなかったTiが芯材粒子の表面に析出し、芯材粒子の帯電量の低下や水分吸着量の増加によって帯電量や抵抗といった電気的特性の環境依存性を悪化させる原因となる。
Feの含有量が48重量%未満では、Mg及び/又はTiの含有量が相対的に増えた場合は、非磁性成分及び/又は低磁化成分が増加することを意味しており、所望の磁気特性が得られない。Mnの含有量が相対的に増えた場合は、磁化が高くなりすぎるため、磁気ブラシの穂が硬くなり、はけ筋等の画像欠陥の発生原因となったり、抵抗が高くなるためにエッジが効きすぎてしまい、白抜け等の画像欠陥が発生したり、トナー消費量が増加しすぎることがある。Feの含有量が60重量%を超えると、Mg及び/又はTiの含有効果は得られず実質的にマグネタイトと同等のフェライトキャリア芯材になってしまう。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、Srを0.1〜1.0重量%含有することが望ましい。Srは抵抗や表面性の調整に寄与し、表面酸化の際に高磁化を保つ効果を有するだけでなく、含有することで芯材の帯電能力を高める効果も得られる。Srが0.1重量%未満の場合には、Srの含有効果が得られず磁化の低下が大きくなり易くなる。さらに、脱バイ及び本焼成時にSrが芯材粒子表面に移動する効果が得られないため、抵抗及び芯材の帯電量を上げる効果が期待できない。特に、写真等の高印字率での印刷を連続的に行なった場合、帯電低下が発生しトナー飛散やトナー消費量の増加といった不具合が出てくる可能性がある。Srの含有量が1.0重量%を超えると、残留磁化や保磁力が高くなり、現像剤として用いたとき、はけ筋等の画像欠陥が発生し、画質が低下する。
(Fe、Mn、Mg、Ti及びSrの含有量)
これらFe、Mn、Mg、Ti及びSrの含有量は、下記によって測定される。
フェライトキャリア芯材0.2gを秤量し、純水60mlに1Nの塩酸20ml及び1Nの硝酸20mlを加えたものを加熱し、フェライトキャリア芯材を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mn、Mg、Ti及びSrの含有量を測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/g以下である。
水蒸気等温吸着測定において相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/g以下であれば、芯材に吸着した水分が帯電に与える影響を最小限にとどめることが出来る。一方、相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/gよりも大きい場合には、Tiを含有していても吸着した水分を介して電荷が逃げやすくなるため、キャリアとして使用した際に十分な帯電特性が得られない可能性がある。
この水蒸気等温吸着測定は下記によって測定される。
水分吸着量の測定は、「自動蒸気吸着量測定装置Belsorp18」(日本ベル社製)を使用し、相対圧が0.1から0.9を超えるまで相対圧を変化させて、その後さらに、相対圧が0.5よりも小さくなるまで相対圧を連続的に変化させ、吸着ガスであるHOを吸着及び脱離させて、水分吸着量を測定した。なお、測定前に、測定用サンプル管は50℃での減圧状態にて2時間の空焼きを行った上で、この測定用サンプル管に、芯材粒子10gの試料を充填し、30℃での減圧状態で2時間の前処理を行った。各相対圧における水分吸着量の値の読み取りは、相対圧と水分吸着量をプロットし、各相対圧を横切った時の値とした。
また、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量の差が絶対値で0.01mg/g以下であることが好ましい。
水蒸気等温吸着測定において相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量の差が絶対値で0.01mg/g以下であれば、吸着した水分は脱離しやすいことを意味しており、キャリアとして使用した場合に環境変動の小さい現像剤が得やすくなる。一方、相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量の差が絶対値で0.01mg/gを超える場合には、一度吸着した水分は脱離しにくいことを意味しており、一度湿度の高い環境下に暴露されると水分が吸着することで帯電特性が悪化するだけでなく、湿度の低い環境下に戻っても帯電特性が悪化したままの状態を維持してしまうことを示している。
水蒸気等温吸着測定において相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量は上述の相対圧0.9における水分吸着量と同様の方法で測定される。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、形状係数SF−2の平均値が104〜110である。また、SF−2が130よりも大きいフェライト粒子の含有量が4個数%以下、SF−2が120よりも大きいフェライト粒子の含有量が8個数%以下であることが好ましい。
形状係数SF−2の平均値が104〜110であれば芯材表面に適度な凹凸が形成されていることを意味しており、表面に樹脂被覆を行った場合に樹脂のアンカー効果が得られやすい。SF−2の平均値が104よりも小さい場合には、表面の凹凸が極端に減少するため樹脂被覆を行いキャリアとして使用した際に樹脂が剥離しやすく、現像剤の特性が経時で大きく変化する可能性が高い。また、SF−2の平均値が110よりも大きい場合には、表面の凹凸が大きすぎるため、樹脂被覆を行った場合に樹脂がしみこみ過ぎるため、所望の樹脂被覆量で目標とする帯電特性や抵抗特性がバランスよく得られないことがある。
SF−2が130よりも大きいフェライト粒子が4個数%よりも多く含有している場合は、粒径の比較的小さい粒子が凝集した粒子を多く含有していることを意味している。このような芯材に樹脂被覆を行いキャリアと使用した場合、凝集粒子が現像器内の撹拌ストレスで芯材部分を多く露出した小粒径の粒子に分かれてしまうため、ドラム傷の原因となったり、樹脂を被覆していない部分の増加に伴い電気抵抗が低くなるため白斑やキャリア飛散の原因になる。
また、SF−2が120よりも大きいフェライト粒子が8個数%よりも多く含有している場合は、上記に加えて芯材の表面性の凹凸が大きいものを多く含んでおり、芯材粒子を構成するグレインの成長が本焼成において一様ではなく、異常な成長をしたものとあまり成長しなかったものが混在していることを意味している。このような芯材に樹脂被覆を行なった場合、芯材の露出する部分が大きく同一の樹脂被覆量でも電気抵抗が低くなるため、キャリアとして使用した場合、白斑やキャリア飛散の原因になる。
(形状係数SF−2(真円度))
形状係数SF−2は、キャリアの投影周囲長を2乗した値をキャリアの投影面積で割った値に4πで除し、さらに100倍して得られる数値であり、キャリアの形状が球に近いほど100に近い値になる。この形状係数SF−2(真円度)は、下記によって測定される。
セイシン企業社製粒度・形状分布測定器PITA−1を用いて芯材粒子3000個を観察し、装置付属のソフトウエアImageAnalysisを用いてS(投影面積)及びL(投影周囲長)を求め、下記式より算出し得られた値である。キャリアの形状が球形に近いほど100に近い値となる。
なお、サンプル液は分散媒として粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を調製し、その中にキサンタンガム水溶液30ccに芯材粒子0.1gを分散させてものを用いた。このように分散媒の粘度を適正にあわすことで芯材粒子が分散媒中で分散したままの状態を保つことが出来、測定をスムーズに行なうことが出来る。さらに測定条件は(対物)レンズの倍率は10倍、フィルタはND4×2、キャリア液1及びキャリア液2は粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を使用し、その流量はいずれも10μl/sec、サンプル液流量0.08μl/secとした。
Figure 2012088629
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、0.5K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が35〜50Am/kgである。上記0.5K・1000/4π・A/mにおける磁化が35Am/g未満であると、飛散物磁化が悪化しキャリア付着による画像欠陥の原因となる。一方、本発明の上記組成範囲では、50Am/gを超えることはない。この磁気特性(磁化)は、下記によって測定される。
(磁気特性)
振動試料型磁気測定装置(型式:VSM−C7−10A(東英工業社製))を用いた。測定試料は、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて上記装置にセットした。測定は、印加磁場を加え、5KOeまで掃引した。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製した。このカーブのデータより印加磁場が0.5KOeにおける磁化を読み取った。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、常温常湿(N/N)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が5×10〜5×10Ω、1000Vにおける抵抗が5×10〜1×10Ω、かつ高温高湿(H/H)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が1×10〜1×10Ωであることであることが望ましい。
ここで各環境下の条件は次の通りである。
常温常湿(N/N)環境=温度20〜25℃、相対湿度50〜60%
高温高湿(H/H)環境=温度30〜35℃、相対湿度80〜85%
なお、低温低湿(L/L)環境とは、温度10〜15℃、相対湿度10〜15%である。
N/N環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が5×10よりも小さい場合は抵抗が低すぎてキャリアとして使用した際に白斑が発生したりキャリア飛散する可能性がある。5×10Ωよりも高い場合はキャリアとして使用した際にエッジが効きすぎた画像になることがある。
N/N環境下、2mmGap印加電圧1000Vにおける抵抗が5×10よりも小さい場合は抵抗が低すぎてキャリアとして使用した際に白斑が発生したり、キャリアが飛散する可能性がある。1×10Ωよりも高い場合はキャリアとして使用した際に電荷が適度に逃がせないため、チャージアップの原因となる。
また、H/H環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が1×10よりも小さい場合には低抵抗によるキャリア飛散の原因となる可能性がある。また、1×10Ωよりも大きい場合には得られた画像のエッジが立ちやすいことと、相対的にH/H環境下ではキャリアの帯電量が下がりやすいことの相乗効果でトナー消費量が多くなる可能性がある。この電気抵抗は、下記によって測定される。
(電気抵抗)
電極間間隔2.0mmにて非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対抗させ、その間に、試料200mgを秤量して充填する。磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、50V又は1000Vの電圧を印加し、50V又は1000Vの印加電圧における抵抗を絶縁抵抗計(SM−8210、東亜ディケーケー(株)製)にて測定した。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される平均粒径が好ましくは15〜120μm、より好ましくは15〜80μm、最も好ましくは15〜60μmである。体積平均粒径が15μm未満であると、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。体積平均粒径が120μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。この体積平均粒径は、下記によって測定される。
(体積平均粒径)
装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。分散媒には水を用いた。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、表面が酸化処理されていることが望ましい。この表面酸化処理によって形成される酸化処理被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。被膜の厚さが0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、被膜の厚さが5μmを超えると、明らかに磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。酸化被膜の厚さは酸化被膜が形成されていることが確認できる程度の高倍率のSEM写真から直接的に測定しても良いし、X線光電子分光(XPS)によってMnの2価から3価及び/又は4価への価数変化に伴うピーク及び/又は積分強度の変化から知ることも出来る。酸化処理皮膜の存在の有無は、表面酸化処理前後の抵抗の変化から間接的に知ることもできる。なお、酸化被膜は芯材表面に均一で形成されていても良いし、部分的に酸化被膜が形成されていても良い。表面酸化処理温度は450℃〜600℃が好ましい。450℃よりも低い場合は芯材粒子表面の酸化が十分に進まないため、所望の抵抗特性が得られない可能性がある。600℃よりも高い場合はMnの酸化が進みすぎ、スピネル構造の結晶性が悪くなることに起因して芯材の抵抗が下がるため好ましくない。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記キャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている。樹脂被覆回数は1回のみでも良いし、2回以上の複数回樹脂被覆を行なっても良く、所望の特性に応じて被覆回数を決めることができる。また、被覆樹脂の組成、被覆量及び樹脂被覆に使用する装置は被覆回数が2回以上の複数回の場合は、変化させても良いし、変えなくても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂被覆キャリアは、合計樹脂被膜量が、キャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。合計被膜量が0.1重量%未満ではキャリア表面に均一な被膜層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被膜形成樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被膜形成樹脂中に導電剤を含有することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、含有量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、含有量としては、被膜形成樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電剤としては、導電性カーボン、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被膜形成樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被膜形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材及びキャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、Fe、Mn、Mg及びTi、必要に応じてSrの各化合物を粉砕、混合、仮焼成を行った後、再度粉砕、混合、造粒し、得られた造粒物を一次焼成、本焼成し、さらに解砕、分級、必要に応じて表面酸化処理する。
Fe、Mn、Mg及びTi、必要に応じてSrの各化合物を粉砕、混合、仮焼を行った後、再度粉砕、混合、造粒して造粒物を調製する方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用することができ、乾式による方法を用いても湿式による方法を用いてもよい。例えば原料としてFeとTiOとMg(OH)及び/又はMgCOとSrCOとMnを混合し、大気下、仮焼成する。仮焼成後、得られた仮焼物をさらにボ−ルミル又は振動ミル等で粉砕した後、水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し、粘度調整後、スプレードライヤーにて粒状化し、造粒を行う。仮焼後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕しても良い。なお、バインダーとしてはポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを使うことが好ましい。所望の特性が得られる場合にはこの仮焼成は必ずしも行わなくてもよい。
本発明の製造方法では、得られた造粒物を一次焼成後、本焼成を行う。ここで、一次焼成は、600〜1000℃で行われ、本焼成は、不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気、例えば窒素雰囲気下や酸素濃度が3体積%以下の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下、1100〜1220℃で行われる。
その後、焼成物を解砕、分級を行ってキャリア芯材(フェライト粒子)を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、600℃以下で熱処理を行う。酸化被膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉を用いることが好ましい。
フェライトキャリア芯材の水分吸着量を制御する方法は任意であるが、例えば焼成温度を所望の芯材の表面性が得られる範囲で調整したり、Tiの添加量を制御することで芯材の表面の凹凸の生成度合いを制御したり、これらの方法を組み合わせて制御する方法が挙げられる。
本発明の電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面に、上記した樹脂を被覆し、樹脂被膜を形成する。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
樹脂をフェライトキャリア芯材に被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真用現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
Feを104モル、Mnを39モル、Mgを9モル、Srを1モル及びTiを3モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn及びSrCOを秤量し、ローラーコンパクターでペレット化した。得られたペレットを1000℃にてロータリー式の焼成炉で仮焼成をおこなった。
これを乾式ビーズミルにて粗粉砕した後、湿式ビーズミルで6時間粉砕し、バインダー成分としてPVAをスラリー固形分に対して3.2重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加した。この際のスラリー粒径のD50は1.92μmであった。
このようにして得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて造粒、乾燥し、大気雰囲気の条件下、ロータリーを用いて1000℃で一次焼成し、電気炉を用いて、酸素濃度0.5体積%の条件下、1170℃で4時間保持し、本焼成を行なった。その後、解砕し、さらに分級してフェライト粒子からなるキャリア芯材を得た。
さらに得られたフェライト粒子からなるキャリア芯材を表面酸化処理温度500℃、大気雰囲気の条件下、ロータリー式の電気炉で表面酸化処理を行い表面酸化処理済みのキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
一次焼成の温度を850℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
本焼成時の酸素濃度を0.05体積%とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
本焼成時の酸素濃度を1体積%とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
本焼成温度を1205℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
本焼成温度を1130℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
表面酸化処理温度を470℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
表面酸化処理温度を570℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Feの添加量が139モル、Mnの添加量が27モル、Mgの添加量が5モル、Tiの添加量が3モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mnを添加し、SrCOを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Feの添加量が121モル、Mnの添加量が46モル、Mgの添加量が14モル、Srの添加量が1モル、Tiの添加量が5モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn、SrCOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Feの添加量が104モル、Mnの添加量が46モル、Mgの添加量が5モル、Srの添加量が0.5モル、Tiの添加量が2.5モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn及びSrCOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Feの添加量が104モル、Mnの添加量が34モル、Mgの添加量が14モル、Srの添加量が0.5モル、Tiの添加量が2.5モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn及びSrCOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Tiの添加量が1.25モルとなるようにTiOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
Tiの添加量が3.75モルとなるようにTiOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
本焼成時の酸素濃度を0.001体積%とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
比較例
[比較例1]
Feの添加量が104モル、Mgの添加量が48モル、Srの添加量が1モル、Tiの添加量が3モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO及びSrCOを添加し、Mnを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例2]
Feの添加量が104モル、Mnの添加量が48モル、Mgの添加量が5モル、Srの添加量が0.5モル、Tiの添加量が2.5モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn及びSrCOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例3]
Feの添加量が145モル、Mnの添加量が20モル、Mgの添加量が4モル、Tiの添加量が3モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、及びMnを添加し、SrCOを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例4]
Feの添加量が104モル、Mnの添加量が48モル、Srの添加量が1モル、Tiの添加量が3モルとなるようにFe、Mn、SrCO、TiOを添加し、Mg(OH)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例5]
Feの添加量が104モル、Mnの添加量が30モル、Mgの添加量が18モル、Srの添加量が0.5モル、Tiの添加量が2.5モルとなるようにFe、Mg(OH)、TiO、Mn及びSrCOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例6]
Tiの添加量が5モルとなるようにTiOを添加した以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例7]
TiOを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例8]
本焼成温度を1270℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
[比較例9]
本焼成温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材(フェライト粒子)を得た。
実施例1〜15及び比較例1〜9の配合割合(原料仕込みモル数)、仮焼成条件(温度及び雰囲気)、本造粒時のスラリー粒径、一次焼成条件(温度及び雰囲気)、本焼成条件(温度及び雰囲気)を表1に示す。また、実施例1〜15及び比較例1〜9により得られたキャリア芯材の化学組成を表2に示す。
さらに、実施例1〜15及び比較例1〜9の表面酸化処理前の水分吸着量(相対圧0.9及び0.7)、磁化及び粉体特性(平均粒径、SF−2及びSF−2の個数分布)を表3に示す。また、実施例1〜15及び比較例1〜9の表面酸化処理条件(温度及び雰囲気)、表面酸化処理後の水分吸着量(相対圧0.9及び0.7)、磁化及び抵抗(N/N環境下及びH/H環境下)を表4に示す。さらに、帯電量(L/L環境下、N/N環境下及びH/H環境下)を表5に示す。ここにおいて、表5に示す帯電量の測定方法は下記の通りである。また、表2〜表5において、その他の各測定方法は上述の通りである。
(帯電量)
試料(キャリア又はキャリア芯材)と、フルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナーで平均粒径が約6μmのものを、トナー濃度を6.5重量%(トナー重量=3.25g、キャリア重量=46.75g)に秤量した。秤量したキャリア及びトナーを、後述の各環境下に12時間以上暴露した。その後、キャリアとトナーを50ccのガラス瓶に入れ、100rpmの回転数にて、30分間撹拌を行った。
帯電量測定装置として、直径31mm、長さ76mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)の内側に、N極とS極を交互に合計8極の磁石(磁束密度0.1T)を配置したマグネットロールと、該スリーブと5.0mmのGapをもった円筒状の電極を、該スリーブの外周に配置した。
このスリーブ上に、現像剤0.5gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧2000Vを60秒間印加し、トナーを外側の電極に移行させた。このとき、円筒状の電極にはエレクトロメーター(KEITHLEY社製 絶縁抵抗計model6517A)をつなぎ、移行したトナーの電荷量を測定した。
60秒経過後、印可していた電圧を切り、マグネットロールの回転を止めた後、外側の電極を取り外し、電極に移行したトナーの重量を測定した。
測定された電荷量と移行したトナー重量から、帯電量を計算した。
各環境下とは、低温低湿(L/L)環境、常温常湿(N/N)環境及び高温高湿(H/H)環境であり、その温度及び湿度条件は上述の通りである。
Figure 2012088629
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表3〜4の結果から明らかなように、実施例1〜15のフェライトキャリア芯材は、所望の抵抗及び磁化を有し、水分吸着量が少なく、水分の脱離も容易であるため帯電性に優れており、耐久性等に優れた現像剤が得られる。
これに対して、比較例1のフェライトキャリア芯材はMnを添加していないため所望の磁化が得られないだけでなく、Mgの含有量が多すぎたため水分吸着量が多く、抵抗の環境依存性が劣る結果となった。比較例2のフェライトキャリア芯材はMnの添加量が多すぎたため磁化が高くなった。そのためキャリアとして使用する際にはけ筋等の画像欠陥の発生が懸念されるものになっただけでなく、芯材粒子の表面凹凸が大きすぎるため、キャリア用芯材として使用できないものであった。さらに表面酸化処理後の芯材抵抗が高く、キャリアとして抵抗調整が難しいものとなった。
比較例3はMnとMgの含有量が少なく、結果としてFeの含有量が相対的に多くなったため、仮焼と一次焼成で十分な磁化が得られずキャリア用の芯材として使用できないものであった。さらに、各環境下での帯電量も低いものであった。比較例4はMgを添加しなかったため、比較例2と同様に磁化が高く、キャリアとして使用する際にはけ筋等の画像欠陥の発生が懸念されるものになっただけでなく、芯材粒子の表面凹凸が大きすぎるため、キャリア用芯材として使用できないものであった。さらに、各環境下での帯電量も低いものであった。
比較例5はMg添加量が多すぎるため磁化が低くなってしまうと共に、各環境下での帯電量も低いものであった。比較例6はTiの添加量が多すぎたため、磁化が低くなってしまった。比較例7はTiを添加しなかったため水分吸着量が多く、また吸着量と脱離量の差が大きく水分の影響を受けやすい芯材となると共に、抵抗の環境依存性が大きく、かつ、各環境下での帯電量も低いものであった。比較例8は本焼成温度が高くなりすぎたため、芯材粒子の表面の凹凸が大きいだけでなく、SF−2が120以上の芯材粒子及び130以上の芯材粒子の個数が多いものとなった。このため、この芯材粒子に樹脂被覆を行いキャリアとして使用した場合、凝集粒子を含有したまま樹脂被覆が行われることで、現像器内の撹拌ストレスで芯材部分を多く露出した小粒径の粒子に分かれてしまい、良好な画像特性が得られない可能性が高いキャリア芯材となった。
比較例9は焼成温度が低く表面の凹凸が大きくなりすぎたため水分吸着量が多く、芯材の帯電量の環境依存性が大きいものとなった。
実施例6と同様の方法で平均粒径44.39μmのキャリア芯材粒子を作成し、信越シリコーン社製アクリル変性シリコーン樹脂KR−9706及びライオン社製ケッチェンブラックEC600JDを被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してケッチェンブラックEC600JDを7.5重量%添加し、樹脂の固形分が20重量%となるようにトルエンとMEKを重量比で3:1に混合した溶剤を添加し、IKA社製ホモジナイザーT65D ULTRA−TURRAXで3分間前分散を行った後、縦型ビーズミル5分間分散処理を行ったものを樹脂溶液として使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために200℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させた。その後、凝集粒子を解砕した後、再度信越シリコーン社製アクリル変性シリコーン樹脂KR−9706を流動床コーティング装置により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で0.5重量%となるように樹脂を秤量し、溶媒として樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンとMEKを重量比で3:1に混合した溶剤をそれぞれ添加したものを使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために200℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
実施例6と同様の方法で平均粒径36.91μmのキャリア芯材粒子を作成し、信越シリコーン社製シリコーン樹脂KR−350、東レダウコーニング社製アルミニウム系触媒CAT−AC、及びライオン社製ケッチェンブラックEC600JDを被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で2重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してアルミニウム系触媒CAT−ACを2重量%、ケッチェンブラックEC600JDを10重量%それぞれ添加した。さらに樹脂の固形分が20重量%となるようにトルエンを添加し、IKA社製ホモジナイザーT65D ULTRA−TURRAXで3分間前分散を行った後、縦型ビーズミル5分間分散処理を行ったものを樹脂溶液として使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために250℃設定の熱風乾燥機で3時間乾燥させた。その後、凝集粒子を解砕した後、再度信越シリコーン社製シリコーン樹脂KR−350、東レダウコーニング社製アルミニウム系触媒CAT−AC及び信越シリコーン社製アミノシランカップリング剤KBM−603を流動床コーティング装置により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分に対してアルミニウム系触媒CAT−ACを2重量%、アミノシランカップリング剤KBM−603を10重量%、溶媒として樹脂の固形分に対して10重量%となるようにトルエンをそれぞれ添加したものを使用した。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために250℃設定の熱風乾燥機で3時間乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
実施例6と同様の方法で平均粒径26.43μmのキャリア芯材粒子を作成し、三菱レイヨン社製アクリル樹脂ダイヤナールBR−80を被覆樹脂として万能混合撹拌機により塗布した。このとき樹脂溶液はキャリア芯材に対する樹脂の固形分で1.5重量%となるように樹脂を秤量し、樹脂の固形分が10重量%となるようにトルエンを添加したものを使用した。なお、樹脂は粉末であるため樹脂溶液は50℃となるように湯煎し樹脂粉末が完全に溶解させた。樹脂を塗布した後、完全に揮発分をなくすために145℃設定の熱交換型攪拌加熱装置で3時間撹拌しながら乾燥させて樹脂被覆キャリアを得た。
実施例16〜18について、樹脂被覆後の帯電量測定結果を表6に示す。帯電量の測定方法は上述の通りである。
Figure 2012088629
表6の結果から明らかなように、本発明に係るフェライトキャリア芯材に各種樹脂被覆した実施例16〜18では、十分な帯電特性を持った電子写真現像剤用フェライトキャリアが得られた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、適度の抵抗や磁化を有し、かつ帯電性に優れ、水分吸着量が少なく、水分が吸着しても容易に脱離するため、特に高温高湿下での高帯電を維持できるので環境依存性が良好である。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、高い帯電量を有し、各環境下での帯電安定性にも優れる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (9)

  1. Mnを11〜21重量%、Mgを0.9〜3.5重量%、Tiを0.5〜2重量%、Feを48〜60重量%を含有し、かつ、水蒸気等温吸着測定において相対圧0.9における水分吸着量が0.08mg/g以下であり、形状係数SF−2の平均値が104〜110であり、0.5K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が35〜50Am/kgであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  2. 水蒸気等温吸着測定において相対圧0.7における吸着時と脱離時の水分吸着量の差が絶対値で0.01mg/g以下である請求項1に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  3. 形状係数SF−2が130よりも大きいフェライト粒子の含有量が4個数%以下、形状係数SF−2が120よりも大きいフェライト粒子の含有量が8個数%以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  4. Srを0.1〜1.0重量%含有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  5. 表面に酸化被覆が形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  6. 常温常湿(N/N)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が5×10〜5×10Ω、1000Vにおける抵抗が5×10〜1×10Ω、かつ高温高湿(H/H)環境下、2mmGap印加電圧50Vにおける抵抗が1×10〜1×10Ωである請求項5に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリア。
  8. 請求項7に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーからなる電子写真現像剤。
  9. 補給用現像剤として用いられる請求項8に記載の電子写真現像剤。
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