JP5075885B2 - 2成分現像剤、現像装置、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、像担持体上に形成された静電潜像を現像し可視像化する電子写真方式に用いられる2成分現像剤、その2成分現像剤を用いる現像装置および画像形成装置、ならびに画像形成方法に関する。
最近のOA(Office Automation)機器の目覚しい発展に伴って、電子写真方式を利用して画像形成処理を行う複写機、プリンタおよびファクシミリ装置などの画像形成装置が広く普及している。
このような電子写真方式を利用する画像形成装置では、画像を形成するために、たとえば、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程およびクリーニング工程が行われる。帯電工程では、像担持体である感光体の表面を暗所で均一に帯電させる。露光工程では、帯電された感光体に原稿像の信号光を投射することで、露光部分の帯電を除去し、感光体の表面に静電荷像(静電潜像)を形成する。現像工程では、感光体表面の静電荷像に静電荷像現像用トナー(以後特に断らない限り単に「トナー」と称す)を供給してトナー像(可視像)を形成する。転写工程では、トナーとは逆極性の電荷を記録媒体に与えることによって、感光体表面のトナー像を記録媒体に転写させる。定着工程では、加熱ローラおよび加圧ローラなどの定着手段によって記録媒体上のトナー像を定着させる。クリーニング工程では、記録媒体に転写されずに感光体表面に残ったトナーを回収する。電子写真方式を利用する画像形成装置は、以上の工程を経て記録媒体上に所望の画像を形成する。
電子写真方式を利用する画像形成装置では、感光体上の静電荷像を現像するための現像剤として、トナーのみを含む1成分現像剤、またはトナーとキャリアとを含む2成分現像剤が用いられる。2成分現像剤は、キャリアによりトナーの撹拌、搬送および帯電という機能が付与される。したがって、2成分現像剤は、トナーがキャリアの機能を併せ持つ必要がないので、トナーを単独で含む1成分現像剤に比べると、機能が分離されて制御性が向上し、高画質画像を得やすいという特徴を有する。
感光体表面の静電荷像の現像する方法として、現在は、現像剤担持体として磁気ロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
記録媒体に転写されたトナー像を定着する方法として、たとえば加熱溶融方式が用いられる。加熱溶融方式で用いられる接触型の加熱ローラは、熱効率が良く、高速定着が可能であることから様々な電子写真関連商品に採用されている。
このような接触型の加熱ローラは、定着時、記録媒体上のトナーが加熱ローラに付着するオフセット現象が発生することがある。オフセット現象を防ぐために、たとえばトナーに離型剤を含有させる。しかしながら、画像を形成する際、現像槽内部の現像ローラの回転や、定着手段からの熱などによる現像槽内部の温度上昇によって、トナー表面に露出している離型剤が溶融しやすくなる。トナー表面に露出している離型剤が溶融すると、その部分を基点として、2成分現像剤においてはトナーとキャリアとの間に付着力が発生してトナーとキャリアとが凝集し、2成分現像剤の流動性が低下する。また規制ブレードに離型剤が融着および固着する。これによってトナーの帯電性および現像性が低下し、画質が悪化する。表面の滑らかな記録媒体より転写が円滑に行われにくい、表面の粗い記録媒体を用いて画像を形成する場合には、画質の悪化がより顕著に現れる。現像剤は、その使用時において、高温にさらされる時間が長いほど、トナー表面に露出する離型剤とキャリアとの接触面積が大きいほど、トナー表面に露出している離型剤の量が多いほど、トナーと組み合わされるキャリアの重量が大きいほど、トナーへの機械的ストレスが増加したり、トナー表面に露出する離型剤量が増加するため、トナーとキャリアとの間の付着力が大きくなる。
このような問題を解決するために、キャリアが、芯材上に窒素原子を含有するメラミン、グアナミン等の樹脂からなる樹脂微粒子を分散してなる樹脂被覆層を有してなり、トナーが、結着樹脂、着色剤およびワックスを含有してなり、トナー表面のワックス露出率が15〜40重量%であり、トナーに含有されるワックス量をYとした時に、トナー表面のワックス露出率X(重量%)との関係を、40≦X×Y≦240の範囲とする静電潜像現像剤が、特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、キャリアへのトナーのスペント、トナーのブロッキング、規制ブレードへの融着を抑制でき、広い定着可能温度域を有し、静電潜像現像剤の流動性が良好であり、環境依存の少ない、非常に寿命の長い静電潜像現像剤を得ることができる。
また、コア粒子をシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂及びアクリル系樹脂等で被覆し、体積抵抗が10ないし10Ωcmであるキャリアと、変性ポリエチレン系ワックスを含有したトナー粒子と組み合わせた静電荷像現像剤が、特許文献2に開示されている。特許文献2によれば、耐オフセット性、粉体流動性および耐ブロッキング性に優れ、定着ロール部の剥離爪による損傷を受けることがなく、こすり画像強度に優れた画像を長期にわたって安定して形成することができる静電荷像現像剤を得ることができる。
さらに、結着樹脂および離型剤を含有するトナー母粒子と、1種以上の外添剤とを含み、X線光電子分光法(XPS)によって定量されるトナー母粒子表面の離型剤露出率が10〜40%の範囲であり、トナー母粒子表面のうち、トナー母粒子表面の離型剤露出部分における外添剤の存在率が15%以下であり、離型剤以外の部分における外添剤の存在率が20%以上100%以下である静電荷像現像用トナーが特許文献3に開示されている。特許文献3によれば、ホットオフセットなどの問題がない良好な定着性と良好な粉体流動性とを両立させた、静電荷像現像用トナーを得ることができる。
特開平9−319158号公報 特開平9−160284号公報 特開2008−20578号公報
しかしながら、特許文献1に開示の静電潜像現像剤に含まれるトナーは、トナー表面のワックス露出率が多すぎるので、現像槽内部の温度の上昇によるトナーとキャリアとの付着力の増大を充分に制御することができない。そのため、現像剤の流動性の低下を充分に防止することができない。さらに近年、画像形成装置の小型化および高速化が進んでおり、それによって、現像槽内部の温度が一層上昇するので、現像剤の流動性の低下は一層顕著になる。
特許文献2に開示の静電荷像現像剤は、体積抵抗値が規定された樹脂被覆キャリアと、ワックス剤がポリエチレン系ワックス樹脂であるトナーとを含んでいるが、キャリアの被覆樹脂材料に対するトナーの付着力を充分に低減させることができない。そのため、現像槽内部の温度上昇時において、トナーとキャリアとの間の付着力の増大を充分に抑制することができず、現像剤の流動性が低下する。
特許文献3に開示の静電荷像現像用トナーは、トナー母粒子表面の離型剤露出部分における外添剤の存在率を規定しているが、トナー母粒子表面の離型剤露出率が高すぎるので、現像槽内部の温度の上昇によるトナーとキャリアとの間の付着力の増大を充分に抑制することができない。そのため、現像剤の流動性の低下を充分に防止することができない。さらに近年、画像形成装置の小型化および高速化が進んでおり、それによって、現像槽内部の温度が一層上昇するので、現像剤の流動性の低下は一層顕著になる。
本発明の目的は、優れた流動性を有し、安定してトナーを帯電させることができ、長期間にわたって高画質な画像を安定して形成することができる2成分現像剤、前記2成分現像剤を用いる現像装置、前記2成分現像剤を備えることで高画質な画像を長期間にわたって安定して形成することができる画像形成装置および前記2成分現像剤を用いる画像形成方法を提供することである。
本発明は、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤および離型剤を含有してなるトナーと、キャリア芯材と該キャリア芯材の表面に形成され、帯電制御剤を含有する樹脂被覆層とからなる樹脂被覆キャリアとを含む2成分現像剤であって、
トナーは、トナー表面の離型剤露出率が、1.00%以上2.16%以下であり、
キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.45g/cm以下、残留磁化が10emu/g以下のソフトフェライトであり、
トナーに含有される前記帯電制御剤と、前記樹脂被覆層に含有される前記帯電制御剤とが、同一極性の帯電性を有することを特徴とする2成分現像剤である。
また本発明は、トナーは、表面に露出している離型剤の分散径が300nm未満であることを特徴とする。
また本発明は、キャリア芯材は、体積平均粒径が25μm以上50μm以下であることを特徴とする。
また本発明は、樹脂被覆層が、カップリング剤が分散されたシリコーン樹脂を含むことを特徴とする。
また本発明は、樹脂被覆キャリアは、樹脂被覆層が導電剤を含み、体積抵抗値が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることを特徴とする。
また本発明は、キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.10g/cm下であることを特徴とする。
また本発明は、前記2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成することを特徴とする現像装置である。
また本発明は、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する前記現像装置と、
像担持体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備える転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
また本発明は、前記2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成方法である。
また本発明は、像担持体に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写した後、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写して、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成することを特徴とする。
本発明によれば、2成分現像剤はトナーと樹脂被覆キャリアとを含む。トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有してなる。樹脂被覆キャリアは、キャリア芯材と該キャリア芯材の表面に形成される樹脂被覆層とからなる。トナーは、トナー表面の離型剤露出率が1.00%以上2.16%以下である。キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.45g/cm以下、残留磁化が10emu/g以下のソフトフェライトである。トナーに含有される帯電制御剤と、樹脂被覆層に含有される帯電制御剤とが、同一極性の帯電性を有する。
磁性酸化物がソフトフェライトであり、キャリア芯材の残留磁化が10emu/g以下と小さく、離型剤露出率とキャリア芯材の見掛密度とが上記数値範囲内である2成分現像剤は、優れた流動性を有する2成分現像剤となる。たとえば、離型剤露出率が比較的大きいトナーを用いる場合、キャリア芯材の見掛密度が比較的小さい樹脂被覆キャリアを用いる。これによって、2成分現像剤を撹拌する撹拌スクリューの駆動トルクを低減でき、流動性に優れる2成分現像剤とすることができる。また、キャリア芯材の見掛密度が比較的大きい樹脂被覆キャリアを用いる場合、離型剤露出率が比較的小さいトナーを用いる。これによって、トナーと樹脂被覆キャリアとの間の付着力を低減することができ、流動性に優れる2成分現像剤とすることができる。このような流動性に優れた2成分現像剤を用いることによって、トナーを安定して帯電させることができ、長期間にわたって高画質な画像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、トナーは、表面に露出している離型剤の分散径が300nm未満である。トナー表面に露出している離型剤の分散径は300nm未満であると、トナー表面に露出している離型剤と樹脂被覆キャリアとの接触面積を安定して小さくすることができるので、トナーと樹脂被覆キャリアとの間の付着力を一層低減することができ、流動性を向上させることができる。
また本発明によれば、キャリア芯材は、体積平均粒径が25μm以上50μm以下である。キャリア芯材の体積平均粒径が25μm以上50μm以下であることによって、樹脂被覆キャリアは現像ローラに対する磁力を確保することができ、現像ローラに担持されやすいものとなる。そのため、像担持体への樹脂被覆キャリアの移行、すなわち像担持体に対するキャリア付着を低減することができる。また、キャリア芯材の体積平均粒子径が前記範囲であることによって、樹脂被覆キャリアは、トナーを充分に帯電させることができる。したがって、像担持体に対するキャリア付着による画質の劣化を抑制することができ、高精細な画像を形成することができる。
また本発明によれば、樹脂被覆層が、カップリング剤が分散されたシリコーン樹脂を含む。シリコーン樹脂は表面エネルギーが小さいので、樹脂被覆層がシリコーン樹脂を含むことによって、トナーと樹脂被覆キャリアとの離型性を高めることができる。シリコーン樹脂はキャリア芯材との密着性に比較的劣るが、このシリコーン樹脂にカップリング剤が分散されていることによって、キャリア芯材と樹脂被覆層との結合力を向上させることができる。したがって、樹脂被覆層が、カップリング剤が分散されたシリコーン樹脂を含むことによって、トナーと樹脂被覆キャリアとの離型性、およびキャリア芯材と樹脂被覆層との密着性を両立することができる。したがって、トナーと樹脂被覆キャリアとの間の付着力をより一層低減することができる。
また本発明によれば、樹脂被覆キャリアは、樹脂被覆層が導電剤を含み、体積抵抗値が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下である。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1010Ω・cm未満であると、樹脂被覆キャリアに対して現像スリーブから電荷注入が生じやすくなり、像担持体に対するキャリア付着が発生する。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1014Ω・cmを超えると、像担持体に対するキャリア付着の影響が少ない反面、感光体と現像スリーブ間の現像電界が弱まり、画像細部まで現像することができなくなり、得られる画像の細線再現性が低下する。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることによって、像担持体に対するキャリア付着を低減することができ、また画像細部まで現像することができるので、高精細な画像を形成することができる。
また本発明によれば、キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.10g/cm下である。ャリア芯材の見掛密度が1.86g/cm以上2.10g/cm以下と小さいことによって、2成分現像剤を撹拌する撹拌スクリューの駆動トルクを低減でき、またマグネットローラーなどから離れやすい樹脂被覆キャリアとすることができる。そのため、流動性をより一層向上させることができ、トナーを一層安定して帯電させることができる。
また本発明によれば、現像装置は本発明の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成するので、帯電量の安定したトナーで静電潜像の現像を行うことができ、高精細で、かぶりのないトナー像を長期間に渡って安定して形成することができる。
また本発明によれば、画像形成装置は、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する本発明の現像装置と、像担持体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備える転写手段とを有する。本発明の現像装置は高精細で、かぶりのないトナー像を長期間に渡って安定して形成することができるので、中間転写体を備えトナー像を2回転写する機構を有する本発明の画像形成装置においても、画像を高精細に再現し、色再現性が良好でかつ画像濃度が高く、かぶりなどの画像欠陥のない高画質画像を長期間に渡って安定して形成することができる。
また本発明によれば、画像形成方法は、本発明の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成する。本発明の2成分現像剤は、安定してトナーを帯電させることができるので、色再現性を含めた画像再現性に優れ、高精細かつ高画像濃度の多色画像を長期間に渡って安定して形成することができる。
また本発明によれば、像担持体に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写した後、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写して、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成する。本発明の2成分現像剤を用いると安定してトナーを帯電させることができるので、中間転写方式を用いトナー像を2回転写する本発明の方法においても、画像を高精細に再現し、色再現性が良好でかつ画像濃度が高く、かぶりなどの画像欠陥のない高画質画像を長期間に渡って安定して形成することができる。
本発明の第1の実施形態である2成分現像剤1の構成を模式的に示す断面図である。 本実施形態の第1の実施形態である現像装置20の構造を模式的に示す断面図である。 実施例1〜4および比較例1,2の2成分現像剤を用いたキャリア付着の評価結果を示すグラフである。 実施例1,5および比較例5,10,16の2成分現像剤を用いた定着性の評価結果を示すグラフである。 実施例1〜8、参考例1および比較例1〜22の2成分現像剤を用いた現像剤流動性の評価結果を示すグラフである。
1、2成分現像剤
図1は、本発明の第1の実施形態である2成分現像剤1の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の2成分現像剤1は、トナー3と、樹脂被覆キャリア2とを含む。
(1)トナー
トナー3は、トナー母粒子3b、および粒子径の異なる2種類以上の外添剤3aを含む。トナー母粒子3bは結着樹脂、着色剤および離型剤を必須成分とし、それ以外に、電荷制御剤などを含む。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナー用またはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができる。たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂を得るための芳香系のアルコール成分としては、たとえばビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
また上記ポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸類、トリメリット酸、トリメチン酸、ピロメリット酸等の三塩基以上の酸類およびこれらの無水物、低級アルキルエステル類が挙げられ、耐熱凝集性の点からテレフタル酸、もしくはその低級アルキルエステルが好ましい。
ここで、トナーを構成する上記ポリエステル樹脂の酸価は、5〜30mgKOH/gが好ましい。酸価が5mgKOH/g未満になると樹脂の帯電特性が低下し、電荷制御剤がポリエステル樹脂中に分散しにくくなる。これにより、帯電量の立ち上がりや連続使用による繰り返し現像の帯電量安定性に悪影響を及ぼす。よって、上記範囲が好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、所望の色に応じて種々の着色剤を用いることができ、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、ブラックトナー用着色剤などが挙げられる。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
着色剤としては、これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用してもよい。着色剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤はマスターバッチの形態で使用されてもよい。着色剤のマスターバッチは、一般的なマスターバッチと同様にして製造できる。たとえば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練して着色剤を合成樹脂中に均一に分散させた後、得られる溶融混練物を造粒することによって製造できる。合成樹脂には、トナーの結着樹脂と同種のものか、またはトナーの結着樹脂に対して良好な相溶性を有するものが使用される。このとき、合成樹脂と着色剤との使用割合は、特に制限されないが、好ましくは合成樹脂100重量部に対して、30〜100重量部である。また、マスターバッチは、粒径2〜3mm程度に造粒される。
着色剤の使用量は、特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5〜20重量部が好ましい。これはマスターバッチ量ではなく、マスターバッチに含まれる着色剤そのものの量である。着色剤をこの範囲で用いることによって、トナーの各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
(離型剤)
離型剤としては、この分野で常用されるものが使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
離型剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。また、トナー全量に対して、2.5重量%以上6.0重量%以下である。
トナー3の表面には離型剤が露出しているが、本実施形態では、トナー3表面の離型剤露出率は1.00%以上2.16%以下である。トナー3表面の離型剤露出率が1.00%未満であると、定着手段である定着ローラに対するトナー3の剥離性が低下するので、定着性が悪化する。トナー3表面の離型剤露出率が2.16%を超えると、2成分現像剤1の流動性が低下する。トナー3表面の離型剤露出率が1.00%以上2.16%以下であることによって、定着性および流動性を良好にすることができる。
ここでトナー3表面の離型剤露出率(以下単に「離型剤露出率」とも記載する)とは、トナー粒子表面に存在している離型剤の割合である。離型剤露出率は、トナー粒子表面に存在している離型剤をアルコールなどの溶媒に溶出させたトナー粒子と、この処理を行う前の、離型剤を溶出させていないトナー粒子との熱溶量差から求める。
離型剤露出率は、トナー3を作製する際に離型剤の含有量を調整することによって前記範囲に調整することが可能であるが、トナー3の作製条件などによっても変動するため、上記方法でトナー3ごとに求めることが好ましい。トナー3の作製条件としては、たとえば、用いる離型剤のサイズや、溶融混練工程を含む製造方法で作製されるトナーであれば溶融混練条件が挙げられる。
本実施形態において、トナー3表面に露出している離型剤の分散径は300nm未満であることが好ましい。トナー3表面に露出している離型剤の分散径は300nm未満であると、トナー3表面に露出している離型剤と樹脂被覆キャリア2との接触面積を安定して小さくすることができる。そのため、トナー3と樹脂被覆キャリア2との間の付着力を一層低減することができ、流動性を向上させることができる。なお、トナー3表面に露出している離型剤の分散径は、トナー表面に露出している離型剤を有機溶媒中に溶出除去し、得られたトナー粒子の顕微鏡写真を画像解析することによって求めることができる。また、前記分散径を前記範囲に調整するためには、たとえば、溶融混練工程を含む製造方法でトナー3を作製する場合は、離型剤を前混合する時間、および溶融混練条件を調整すればよい。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、トナー3の摩擦帯電性を制御することを目的として添加される。電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用または負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。この中でもホウ素化合物は重金属を含まないものとして特に好ましい。
正電荷制御用電荷制御剤と負電荷制御用電荷制御剤とは、それぞれの用途に応じて使い分ければよい。電荷制御剤は、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。電荷制御剤の使用量は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
(外添剤)
トナー3の外添剤3aとしては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。本実施形態では、粒子径の異なる2種類以上の外添剤3aを併用し、少なくとも1種類の1次粒子径の体積平均粒径が0.1μm以上0.2μm以下である。外添剤として、少なくとも1種類の1次粒子径が0.1μm以上であるものを用いると、特にカラートナーにおいて、転写性が向上するとともに、外添剤のキャリア表面への付着による帯電低下を引き起こすことなく、長期的かつ安定的にトナー3を帯電させことができる。外添剤3aの使用量は、特に制限されないが、好ましくはトナー100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。なお、外添剤3aをトナー母粒子3bに外添させず、トナー母粒子3bをそのままトナー3として用いてもよい。
(トナーの作製方法)
ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミルおよびQ型ミキサなどの混合機によって、外添剤3aを除くトナー3の原料を前混合し、得られる原料混合物を2軸混練機、1軸混練機および連続式2本ロール型混練機などの混練機によって70〜180℃程度の温度で溶融混練し、冷却固化する。冷却固化後のトナー3の原料の溶融混練物は、カッターミル、フェザーミルなどによって粗粉砕される。得られる粗粉砕物は、微粉砕される。微粉砕には、ジェットミル、流動層型ジェット粉砕機などが用いられる。これらの粉砕機は、複数の方向からトナー粒子を含む気流を衝突させることによってトナー粒子同士を衝突させてトナー粒子の粉砕を行うものである。これによって、特定の粒度分布を有する非磁性のトナー母粒子3bを製造できる。トナー母粒子3bの粒子径は、特に限定されるものではないが、体積平均粒径が3〜10μmの範囲が好ましい。さらに必要に応じて分級などの粒度調整を行ってもよい。このように製造されたトナー母粒子3bに対して上記外添剤3aを公知の方法で添加する。なお、トナー3の製造方法は上記に限定されるものではない。
(2)樹脂被覆キャリア
樹脂被覆キャリア2は、キャリア芯材2aと、該キャリア芯材2aの表面に形成される樹脂被覆層2bとを含む。
(キャリア芯材)
キャリア芯材2aとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、およびこれらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
フェライトには、軟磁性を示すソフトフェライトと、硬磁性を示すハードフェライトとがあるが、本実施形態において磁性酸化物はソフトフェライトであることが好ましい。ハードフェライトは磁石であるため残留磁化が大きく、磁性酸化物がハードフェライトであると、樹脂被覆キャリア粒子同士が互いに付着して2成分現像剤1の流動性が低下したり、樹脂被覆キャリア粒子がマグネットローラーから離れにくくなるおそれがあるが、磁性酸化物がソフトフェライトであることによって、キャリア芯材2aの残留磁化を小さくでき、2成分現像剤1の流動性が良好で、マグネットローラーなどから離れやすい樹脂被覆キャリア2とすることができる。
本実施形態において、キャリア芯材2aの見掛密度は、1.86g/cm以上2.45g/cm以下である。これによって、像担持体に対するキャリア付着を抑制することができるとともに、優れた流動性を確保することができる。
キャリア芯材2aは、残留磁化が10emu/g以下であり、見掛密度が2.10g/cm以下であることが好ましい。キャリア芯材2aの残留磁化が10emu/g以下と小さく、キャリア芯材2aの見掛密度が2.10g/cm以下と小さいことによって、トナー3と樹脂被覆キャリア2との間の付着力を低減することができ、またマグネットローラーなどから離れやすい樹脂被覆キャリア2とすることができる。そのため、2成分現像剤1の流動性をより一層向上させることができ、トナー3を一層安定して帯電させることができる。
見掛密度が2.10g/cm以下という比較的密度の小さいキャリア芯材2aは、たとえばキャリア芯材2a内部に空隙を設けることによって得ることができ、たとえば樹脂添加法で作製することができる。樹脂添加法については後で詳しく述べる。
また、上記磁性酸化物とともに、真密度が3.5g/cm以下の非磁性酸化物をキャリア芯材2aに含ませることによっても、キャリア芯材2aの見掛密度を小さくすることができる。具体的には、キャリア芯材2aに空隙を設ける代わりにキャリア芯材2a内部にシリカを含ませる。このような方法としてシリカ粒子添加法があり、たとえば、真密度が4.9g/cm前後のフェライトとともに、真密度が2g/cm前後のシリカをキャリア芯材2aに含ませる。このシリカ粒子添加法についても後で詳しく述べる。
キャリア芯材2aの体積平均粒径は、25μm以上50μm以下が好ましい。キャリア芯材2aの体積平均粒径が25μm以上50μm以下であることによって、樹脂被覆キャリア2は、現像ローラに対する充分な磁力を確保することができ、現像ローラに担持されやすいものとすることができる。そのため、像担持体への樹脂被覆キャリア2の移行、すなわちキャリア付着を低減することができる。また、キャリア芯材2aの体積平均粒子径が前記範囲であることによって、樹脂被覆キャリア2は、トナー3を充分に帯電させることができる。したがって、像担持体に対するキャリア付着による画質の劣化を抑制することができ、高精細な画像を形成することができる。
(樹脂被覆層)
樹脂被覆層2bに用いられる樹脂(以下「被覆樹脂」とも記載する)としては、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、シリコーン樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂として架橋型シリコーン樹脂を用いる場合、架橋型シリコーン樹脂としては市販のものを使用でき、たとえば、SR2400、SR2410、SR2411、SR2510、SR2405、840RESIN、804RESIN(いずれも商品名、東レダウコーニング株式会社製)、KR271、KR272、KR274、KR216、KR280、KR282、KR261、KR260、KR255、KR266、KR251、KR155、KR152、KR214、KR220、X−4040−171、KR201、KR5202、KR3093(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。架橋型シリコーン樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂被覆層2bには、電荷制御剤を含有させても良い。見掛密度の小さいキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリアは、比較的トナー帯電性に劣るが、樹脂被覆層2bに電荷制御剤を含むことによって、その電荷制御剤が樹脂被覆キャリアによるトナー帯電性を補うので、トナー帯電性を良好にすることができる。
電荷制御剤としては、正電荷制御用または負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、およびアミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
電荷制御剤の添加量は、後述する被覆用樹脂溶液全量に対して1重量%以上10重量%以下が好ましい。
(樹脂被覆キャリア)
樹脂被覆キャリア2の形状は、球形または扁平形状が好ましい。樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、10μm以上100μm以下であることが好ましく、25μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径が10μm未満であると、樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径が10μm以上である場合と比較して、樹脂被覆キャリア2と現像ローラとの間の磁力が弱くなり、現像工程において、樹脂被覆キャリア2がトナー3と一緒に現像される現象であるキャリア付着が発生する。樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径が100μmを超えると、個々のトナー粒子を充分に帯電させることができないおそれがある。
樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径は、以下のようにして測定することができる。
エマルゲン109P(ポリオキシエチレンラウリルエーテルHLB13.6、花王株式会社製)5%の溶液10mLに樹脂被覆キャリア2を約10〜15mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散する。このうち約1mLをマイクロトラックMT3000(商品名、日機装株式会社)の所定箇所に加えた後、1分間撹拌し散乱光強度が安定したのを確認して測定を行う。
樹脂被覆キャリア2の体積抵抗値は、1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることが好ましい。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1010Ω・cm未満であると、樹脂被覆キャリアに対して現像スリーブから電荷注入が生じやすくなり、現像電界の強度(電界強度)が高くなりすぎるので、像担持体に対するキャリア付着が発生する。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1014Ω・cmを超えると、像担持体に対するキャリア付着の影響が少ない反面、感光体と現像スリーブ間の電界強度が弱まり、画像細部まで現像することができなくなり、得られる画像の細線再現性が低下する。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることによって、像担持体に対するキャリア付着を低減することができ、また画像細部まで現像することができるので、高精細な画像を形成することができる。
なお、像担持体と現像スリーブとの間の現像電界は、樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が比較的低い場合には、キャリア粒子と感光体との間の距離および樹脂被覆キャリアの体積抵抗値とで決まり、樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が比較的高い場合には、現像スリーブと感光体間の距離と抵抗で決まる。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が比較的低ければ、キャリア粒子に電流が流れるので、キャリア粒子が電極として作用し、現像スリーブの表面電位と同一電位をキャリア粒子先端部に形成する。そのため、現像スリーブと感光体との間のギャップが狭まったようになり、現像電界が高くなる。樹脂被覆キャリアの体積抵抗値が比較的高いと、キャリア粒子は電極として作用することなく、現像スリーブの表面電位をキャリア粒子層先端で形成することがないので、実質の現像電界が現像スリーブと感光体との間のギャップで形成される電界強度となる。なお、電界強度が高い(現像勾配が強い)ほど、トナーは現像されやすくなる。
樹脂被覆キャリア2の体積抵抗値は、樹脂被覆層2bに導電剤としてたとえば導電性粒子を含ませることによって制御可能である。
導電性粒子としてたとえば、導電性カーボンブラック、導電性酸化チタンおよび酸化スズなどの酸化物が用いられる。少ない添加量で導電性を発現させるには、カーボンブラック等が好適であるが、カラートナーに対しては樹脂被覆キャリア2の樹脂被覆層2bからのカーボン脱離が懸念される場合がある。このときはアンチモンをドープさせた導電性酸化チタンなどが用いられる。
被覆樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合、そのシリコーン樹脂にカップリング剤を分散させることが好ましい。シリコーン樹脂は表面エネルギーが小さいので、被覆樹脂としてシリコーン樹脂を用い、樹脂被覆層2bにシリコーン樹脂を含ませることによって、トナー3と樹脂被覆キャリア2との離型性を高めることができる。しかしながら、シリコーン樹脂はキャリア芯材2aとの密着性に比較的劣るので、カップリング剤をシリコーン樹脂に分散させ、その樹脂を樹脂被覆層2bに含ませることによって、キャリア芯材2aと樹脂被覆層2bとの結合力を向上させることができる。そのため、トナー3と樹脂被覆キャリア2との離型性、およびキャリア芯材2aと樹脂被覆層2bとの密着性を両立することができる。カップリング剤としては、たとえばシランカップリング剤が挙げられる。
また、樹脂被覆層2bにシランカップリング剤を含有させると、シリコーン樹脂をキャリア芯材2aに均一に塗布することができ、さらには、電子供与性の官能基を有するシランカップリング剤を用いると、トナー3の帯電量を安定化させることができる。シランカップリング剤の具体的例はアミノ基含有シランカップリング剤である。アミノ基含有シランカップリング剤としては公知のものを使用でき、たとえば、下記一般式(3)で表されるものを用いることができる。
(Y)nSi(R)m …(3)
(式中、m個のRは同一または異なってアルキル基、アルコキシ基または塩素原子を示す。n個のYは同一または異なってアミノ基を含有する炭化水素基を示す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。)
上記一般式(3)において、Rで示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基などが好ましい。アルコキシ基としては、たとえば、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基などが好ましい。
Yで示されるアミノ基を含有する炭化水素基としては、たとえば、−(CH)a−X(式中、Xはアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、フェニルアミノ基またはジアルキルアミノ基を示す。aは1〜4の整数を示す。)、−Ph−X(式中、Xは前記に同じ。−Ph−はフェニレン基を示す。)などが挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、たとえば、次のようなものが挙げられる。
N(HC)Si(OCH
N(HC)Si(OC
N(HC)Si(CH)(OCH
N(HC)HN(HC)Si(CH)(OCH
NOCHN(HC)Si(OC
N(HC)HN(HC)Si(OCH
N−Ph−Si(OCH(式中−Ph−はp−フェニレン基を示す。)
Ph−HN(HC)Si(OCH(式中Ph−はフェニル基を示す。)
(HN(HC)Si(OCH
アミノ基含有シランカップリング剤は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。アミノ基含有シランカップリング剤の使用量はトナー3に充分な電荷を付与し、かつ樹脂被覆層2bの機械的強度などを著しく低下させることがない範囲から適宜選択される。好ましくは被覆樹脂100重量部に対して、10重量部以下、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。
樹脂被覆層2bがシリコーン樹脂を含む場合、樹脂被覆層2bは、シリコーン樹脂(特に架橋型シリコーン樹脂)によって形成される樹脂被覆層2bの好ましい特性を損なわない範囲で、シリコーン樹脂とともに他の樹脂を含むことができる。他の樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アセタール樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン、これらの共重合体樹脂、配合樹脂などが挙げられる。
樹脂被覆層2bは、シリコーン樹脂(特に架橋型シリコーン樹脂)によって形成される樹脂被覆層2bの耐湿性、離型性などをさらに向上させるために、二官能性シリコーンオイルを含んでもよい。
樹脂被覆キャリア2は、球形であることが好ましい。しかしながら、非球形であっても本発明の効果が失われるものではない。
樹脂被覆キャリア2の磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリア粒子の穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
(樹脂被覆キャリアの作製方法)
樹脂被覆キャリア2に含まれるキャリア芯材2aは、たとえば樹脂添加法およびシリカ粒子添加法で作製することができる。樹脂添加法を用いる樹脂被覆キャリア2の製造方法は、秤量工程と、混合工程と、粉砕工程と、造粒工程と、仮焼工程と、焼成工程と、解砕工程と、分級工程と、被覆工程とを含む。シリカ粒子添加法を用いる樹脂被覆キャリア2の製造方法は、秤量工程と、混合工程と、粉砕工程と、造粒工程と、焼成工程と、解砕工程と、分級工程と、被覆工程とを含む。
まず、樹脂添加法を用いる樹脂被覆キャリア2の製造方法について記載する。
[秤量工程、混合工程]
本工程では、磁性酸化物などのキャリア芯材2aの原材料を秤量し、混合して金属原料混合物を得る。2種類以上の磁性酸化物を用いる場合には、2種類以上の磁性酸化物の配合比を、磁性酸化物の目的とする組成と一致させて秤量する。
次に、該金属原料混合物中に樹脂粒子を添加する。ここで添加する樹脂粒子としては、ポリエチレンおよびアクリルなどの炭素系の樹脂粒子と、シリコーン樹脂などのシリコーンを含有する樹脂粒子(以下「シリコーン系樹脂粒子」と記載する)とが挙げられる。炭素系樹脂粒子とシリコーン系樹脂粒子とは、後述する仮焼工程にて燃焼し、該燃焼時に発生するガスによって、仮焼粉中に中空構造を生成させる点では、同一である。しかし、該燃焼後に、炭素系樹脂粒子は仮焼粉中に中空構造を生成させるのみであるが、シリコーン系樹脂粒子は、燃焼後にSiOとなり生成した中空構造中に残留する。
該樹脂粒子の体積平均粒径および添加量は、炭素系樹脂粒子およびシリコーン系樹脂粒子とも、体積平均粒径は2μm以上8μm以下が好ましく、添加量はキャリア芯材2aの全ての原材量に対して0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、最も好ましくは12重量%である。なおキャリア芯材2aの見掛密度は、炭素系樹脂粒子およびシリコーン系樹脂粒子の添加量で調整できる。
[粉砕工程]
本工程では、金属原料混合物および樹脂粒子を、振動ミルなどの粉砕機中に導入し、体積平均粒径0.5〜2.0μm、好ましくは1μmまで粉砕する。次いで、この粉砕物に水と、0.5〜2重量%のバインダーと、0.5〜2重量%の分散剤とを加えることで、固形分濃度が50〜90重量%のスラリーとし、該スラリーをボールミルなどで湿式粉砕する。ここで、バインダーとしては、ポリビニルアルコールなどが好ましく、分散剤としては、ポリカルボン酸アンモニウムなどが好ましい。
[造粒工程]
本工程では、該湿式粉砕されたスラリーを噴霧乾燥機に導入し、100〜300℃の熱風中に噴霧して乾燥させ、体積平均粒径10〜200μmの乾燥造粒粉を得る。得られた乾燥造粒粉は、本製造方法で製造される樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径を考慮して、それを外れる粗粒および微粉を、振動ふるいで除外して粒度調整する。樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径は25μm以上50μm以下が好ましいことから、具体的には、当該造粒粉の体積平均粒径を15〜100μmに調整しておくことが好ましい。
[仮焼工程]
本工程では、前記造粒粉を、800℃〜1000℃に加熱した炉に投入し、大気下で仮焼して仮焼品とする。このとき、樹脂粒子が燃焼し発生するガスにより造粒粉中に中空構造が形成される。樹脂粒子としてシリコーン系樹脂粒子を用いた場合には、該中空構造中に非磁性酸化物であるSiOが生成される。
[焼成工程]
本工程では、該中空構造が形成された仮焼品を、1100〜1250℃に加熱した炉に投入して焼成し、フェライト化して焼成物とする。焼成時の温度が高いと鉄の酸化が進行し、磁力が低下するため、キャリア芯材2aの残留磁化はたとえば焼成温度で調整することができる。該焼成時の雰囲気は、キャリア芯材2aの原材料のうち、磁性酸化物などの金属原料の種類によって適宜選択される。たとえば、金属原料がFeおよびMn(モル比100:0〜50:50)である場合は窒素雰囲気が求められる。金属原料がFe,MnおよびMgの場合は窒素雰囲気や酸素分圧調製雰囲気が好ましく、金属原料がFe,MnおよびMgの場合であってMgのモル比が30%を超える場合は大気雰囲気でもよい。
[解砕工程、分級工程]
本工程では、焼成工程で得られた焼成物をハンマーミル解粒等で粗粉砕し、次に気流分級機で1次分級する。さらに振動ふるいまたは超音波ふるいにて粒度をそろえた後、磁場
選鉱機にかけ、非磁性成分を除去することによってキャリア芯材2aを得る。
[被覆工程]
本工程では、分級工程で得られたキャリア芯材2aに対して樹脂コーティングを施し、キャリア芯材2a表面に樹脂被覆層2bを形成して樹脂被覆キャリア2を得る。キャリア芯材2a表面に樹脂被覆層2bを形成する方法としては、たとえば、キャリア芯材2aを被覆用樹脂溶液に含浸させる浸漬法、キャリア芯材2aに被覆用樹脂溶液を噴霧するスプレー法、流動気流により浮遊状態にあるキャリア芯材2aに被覆用樹脂溶液を噴霧する流動層法などが挙げられる。これらの中でも、樹脂被覆層2bの形成を容易にできることから、浸漬法が好ましい。キャリア芯材2a表面に被覆用樹脂溶液を塗布して塗布層を形成し、加熱により塗布層から有機溶媒を揮発除去し、さらに乾燥時または乾燥後に塗布層を加熱硬化または単に硬化させることによって、樹脂被覆層2bが形成され、樹脂被覆キャリア2が得られる。
被覆用樹脂溶液は、たとえば有機溶媒に前記被覆樹脂を溶解させることによって調製できる。有機溶媒としては、被覆樹脂を溶解できるものであれば特に限定されないが、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、高級アルコール類、これらの2種以上の混合溶媒などが挙げられる。
被覆用樹脂溶液の全固形分濃度は特に制限されず、キャリア芯材2aへの塗布作業性などを考慮しつつ、硬化後の樹脂被覆層2bの膜厚が通常5μm以下、好ましくは0.1〜3μm程度になるように調整すればよい。
被覆用樹脂溶液は、被覆樹脂および有機溶媒の他、前述の導電性粒子、アミノ基含有シランカップリング剤、被覆樹脂以外の樹脂、二官能シリコーンオイルなどの添加剤の適量を混合することによって調製できる。たとえば、樹脂被覆キャリア2の体積抵抗値を調整するため被覆用樹脂溶液に導電性粒子を添加する場合、導電性粒子の添加量は被覆用樹脂溶液に含まれる固形成分全量に対して3重量%以上8重量%以下が好ましい。
塗布層の乾燥には、乾燥促進剤を用いてもよい。乾燥促進剤としては公知のものを使用でき、たとえば、ナフチル酸、オクチル酸などの鉛、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛塩などの金属石鹸、エタノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。乾燥促進剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
塗布層の硬化は、被覆樹脂の種類に応じて加熱温度を選択しながら行う。たとえば、150〜280℃程度に加熱して行うのが好ましい。もちろん、シリコーン樹脂が常温硬化型シリコーン樹脂である場合は、加熱は必要ないが、形成される樹脂被覆層の機械的強度を向上させること、硬化時間を短縮することなどを目的として、150〜280℃程度に加熱してもよい。
次に、シリカ粒子添加法を用いる樹脂被覆キャリアの製造方法について記載する。
[秤量工程、混合工程]
本工程では、樹脂添加法の秤量工程と同様にして金属原料混合物を得て、この金属原料混合物中にシリカ粒子を添加する。シリカ粒子は、樹脂添加法で説明した樹脂粒子とは異なり、燃焼してガスを発生することはないが、後述する焼成工程において、フェライト化する焼成物中に取り込まれる。そのため、該シリカ粒子を取り込んだ焼成物は、樹脂添加法で説明した、「中空構造中にSiOが残留した焼成物」と類似の構造を有する。
該シリカ粒子の体積平均粒径は1〜10μmが好ましい。シリカ粒子は、添加量がキャリア芯材2aの全原料材に対して1〜50重量%が好ましい。このような範囲とすることで、後の工程を経て得られるキャリア芯材において、該キャリア芯材2aの見掛密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、かつ、該見掛密度が2.10g/cm以下となり、さらに、該キャリア芯材を用いて製造した2成分現像剤による電子写真現像に悪影響を与えない。
[粉砕工程、造粒工程]
樹脂添加法の粉砕工程および造粒工程と同様である。
[仮焼工程]
本製造方法では、樹脂粒子を用いていないため、金属原料混合物とシリカ粒子との混合造粒物は、仮焼することなく次工程の焼成を施す。
[焼成工程]
金属原料混合物とシリカ粒子との混合造粒物を、1100〜1250℃に加熱した炉に投入して焼成し、フェライト化して焼成物とする。該焼成時の雰囲気は、樹脂添加法と同様である。該焼成により、シリカ粒子を含有する焼成物が得られる。
[解砕工程、分級工程、被覆工程]
樹脂添加法の解砕工程、分級工程および被覆工程と同様である。これらの工程を経ることによって樹脂被覆キャリア2を製造することができる。
(3)2成分現像剤
2成分現像剤1は、上記トナー3と上記樹脂被覆キャリア2とを混合することによって製造される。トナー3と樹脂被覆キャリア2との混合割合は、特に制限はないが、高速画像形成装置(A4サイズの画像で40枚/分以上)に用いることを考慮すると、樹脂被覆キャリア2の体積平均粒径/トナー3の体積平均粒径が5以上の状態で、樹脂被覆キャリア2の総表面積(全樹脂被覆キャリア粒子の表面積の総和)に対するトナー3の総投影面積(全トナー粒子の投影面積の総和)の割合((トナー3の総投影面積/樹脂被覆キャリア2の総表面積)×100)が30〜70%になればよい。これによって、トナー3の帯電性が充分良好な状態で安定的に維持され、高速画像形成装置においても高画質画像を安定的に、かつ長期的に形成できる好適な2成分現像剤1として使用できる。
たとえば、トナーの体積平均粒径を6.5μmとし、樹脂被覆キャリアの体積平均粒径を50μmとし、樹脂被覆キャリアの総表面積に対するトナーの総投影面積の割合を30〜70%とすると、2成分現像剤において樹脂被覆キャリア100重量部に対してトナー2.2〜5.3重量部程度を含むようになる。このような2成分現像剤で高速現像すると、トナー消費量とトナーの消費に応じて現像装置の現像槽に供給されるトナー供給量とがそれぞれ最大になり、それでも需給バランスが損なわれることがない。そして、2成分現像剤における樹脂被覆キャリアの量が2.2〜5.3重量部程度よりも多くなると、帯電量がより低くなる傾向があり所望の現像特性が得られないばかりか、トナー供給量よりもトナー消費量の方が多くなり、トナーに充分な電荷を付与できなくなり、画質の劣化を招く。反対に、樹脂被覆キャリアの量が少ない場合は帯電量が高くなる傾向があり、樹脂被覆キャリアからトナーが電界によって分離しにくくなり、結果として画質の劣化を招く。
本実施形態において、トナー3の総投影面積は、以下のように算出する。トナー3の比重を1.0とし、コールターカウンタ(商品名:コールターカウンタ・マルチサイザーII、ベックマン・コールター社製)で得られた体積平均粒径を基に算出する。すなわち、混合するトナー重量に対するトナー個数を算出し、トナー個数×トナー面積(円と仮定して算出)をトナー総投影面積とする。同様に、樹脂被覆キャリア2の表面積はマイクロトラック(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)より得られた粒子径を元に混合する樹脂被覆キャリア重量から総表面積を算出する。このときの樹脂被覆キャリア2の比重は3.7とする。上記で得られた、(トナー3の総投影総面積/樹脂被覆キャリア2の総表面積)×100で混合比を算出する。
2、現像装置
本発明の第1の実施形態である現像装置20は、前述の2成分現像剤1を用いて現像を行う。図2は、本実施形態の第1の実施形態である現像装置20の構造を模式的に示す断面図である。図2に示すように、現像装置20は、2成分現像剤1を格納する現像ユニット10と、2成分現像剤1を像担持体(像形成体、感光体)15に搬送する現像剤担持体(現像剤搬送担持体)13とを備える。
現像ユニット10の内部に予め投入された2成分現像剤1が撹拌スクリュー12により撹拌されることによって、2成分現像剤1が帯電する。そして、2成分現像剤1は、図示しない磁界発生手段を内部に配設した現像剤担持体13に搬送され、現像剤担持体13表面に保持される。現像剤担持体13表面に保持された2成分現像剤1は、現像剤規制部材14により一定層厚に調整され、現像剤担持体13と像担持体15との近接領域に形成される現像領域に搬送される。現像領域まで搬送された2成分現像剤に交流バイアスが印加されることによって、像担持体15上の静電荷像が反転現像法で顕像化され、像担持体15上に可視像が形成される。
可視像形成によるトナー消費は、トナー濃度センサ16により、2成分現像剤重量に対するトナー重量比であるトナー濃度の変化として検知される。消費された分は、予め定められた規定トナー濃度に達したことをトナー濃度センサ16が検知するまでトナーホッパー17から補給されるので、現像ユニット10内部の2成分現像剤1におけるトナー濃度は略一定に保たれる。本実施形態において、現像剤担持体13と現像剤規制部材14とのギャップ、および現像領域における現像剤担持体13と像担持体15とのギャップは、たとえば、0.4mmに設定されるが、これは単なる例示でありこの数値に限定されることはない。このように本実施形態の現像装置20は本発明の2成分現像剤1を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成するので、帯電量の安定したトナーで静電潜像の現像を行うことができ、高精細で、かぶりのないトナー像を長期間に渡って安定して形成することができる。
3、画像形成装置
本発明の第1の実施形態である画像形成装置は、上記現像装置20を備える。他構成は、公知の電子写真方式の画像形成装置と同様の構成を用いることができ、たとえば、像担持体と、帯電手段と、露光手段と、転写手段と、定着手段と、像担持体クリーニング手段と、中間転写体クリーニング手段とを含む。
像担持体は、表面に静電荷像を形成し得る感光層を有する。帯電手段は、像担持体表面を所定電位に帯電させる。露光手段は、表面が帯電状態にある像担持体に画像情報に応じた信号光を照射して像担持体の表面に静電荷像(静電潜像)を形成する。転写手段は、像担持体に形成されるトナー像が一次転写される中間転写体を含む。転写手段は、現像装置20からトナー3が供給されて現像された像担持体表面のトナー像を中間転写体に一次転写した後、記録媒体に二次転写する。定着手段は、記録媒体表面のトナー像を記録媒体に定着させる。これによって、トナー像に基づいた単色画像または多色画像が記録媒体に形成される。像担持体クリーニング手段は、トナー像の記録媒体への転写後において、像担持体表面に残留するトナーおよび紙粉などを除去する。中間転写体クリーニング手段は、上記中間転写体に付着した余分なトナーなどを除去する。
このように本実施形態の画像形成装置は、前述の現像装置20と、中間転写体を備える転写手段とを有する。現像装置20は高精細で、かぶりのないトナー像を長期間に渡って安定して形成することができるので、中間転写体を備えトナー像を2回転写する機構を有する本発明の画像形成装置においても、画像を高精細に再現し、色再現性が良好でかつ画像濃度が高く、かぶりなどの画像欠陥のない高画質画像を長期間に渡って安定して形成することができる。
4、画像形成方法
本発明の第1の実施形態である画像形成方法は、前述の現像装置20を備える画像形成装置を用いて画像形成を行う。
静電荷像を現像する際には、像担持体15上の静電荷像を反転現像法で顕像化する現像工程がトナーの各色で実行され、色の異なる複数のトナー像を重ね合わせることで中間転写体上に多色トナー像が形成される。前述の2成分現像剤1は、長期間にわたってトナーの帯電量が安定するので、色再現性を含めた画像再現性に優れ、高精細かつ高画像濃度の多色画像を長期間に渡って安定して形成することができる。
本実施形態では、中間転写体を用いた中間転写方式を採用しているが、像担持体から直接記録媒体にトナー像を転写する構成が用いられてもよい。前述の2成分現像剤1を用いると長期間にわたってトナーの帯電量が安定するので、中間転写方式を用いトナー像を2回転写する本実施形態の画像形成方法においても、画像を高精細に再現し、色再現性が良好でかつ画像濃度が高く、かぶりなどの画像欠陥のない高画質画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
以下に本発明に係る実施例および比較例について記載する。本発明はその要旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。
〔トナー母粒子の体積平均粒径〕
100mLビーカーに、塩化ナトリウム(1級)の1%水溶液(電解液)を20mL入れ、これにアルキルベンゼンスルホン酸塩(分散剤)0.5mLおよび試料であるトナー母粒子3mgを順次添加し、5分間超音波分散した。これに全量が100mLになるように塩化ナトリウム(1級)の1%水溶液を添加し、再度5分間超音波分散したものを測定用試料とした。この測定用試料について、コールターカウンタ・マルチサイザーII(商品名、コールター社製)を用い、アパーチャー径100μm、測定対象粒径が個数基準で2〜60μmの条件下で測定を行い、体積平均粒径を算出した。
〔トナーの総投影面積〕
トナーの比重を1.0とし、コールターカウンタ(商品名:コールターカウンタ・マルチサイザーII、ベックマン・コールター社製)で得られた体積平均粒径をもとに、混合するトナー重量に対するトナー個数を算出し、トナー個数×トナー面積(円と仮定して算出)でトナー総投影面積とした。
〔離型剤露出率〕
トナー1gをヘキサン20mlに分散させ、スターラーを入れて10分間撹拌してトナー表面の離型剤をヘキサンに溶出させた。その後、ろ過を行い、ヘキサンにより溶出処理したトナーを40℃設定の乾燥機に一晩入れて乾燥させた。そのトナー1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃までトナーを急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解熱量によって、トナー中の離型剤の熱容量を計算した。処理していないトナーについても、同様の方法で、トナー中の離型剤の熱容量を計算した。これらの熱容量の差から離型剤露出率を見積もった。
〔トナー表面の離型剤の分散径〕
2Lビーカーにn−ヘキサン(キシダ化学株式会社製)100部と撹拌子とを入れ、スターラーで撹拌しながら、前記ビーカー内にトナー5重量部を入れた。前記ビーカー内に超音波振動棒を浸して28kHzで振動させながら10秒間撹拌することによって、トナー粒子表面に露出している離型剤を除去した。その後、トナー粒子が分散している前記ビーカー内の分散液を吸引ろ過し、ろ紙上に残ったトナー粒子を温度35℃、湿度5%RHの恒温恒湿槽内で乾燥させた。乾燥させたトナー粒子の表面に、スパッタ蒸着によって金属膜(Au膜、膜厚0.5μm)を形成させた。走査型電子顕微鏡(商品名:VE9800、株式会社キーエンス製)を用い、加速電圧10kV、1000倍の倍率で、金属膜を形成させた金属膜被覆トナーから無作為に200〜300個離型剤除去後の穴を抽出して、写真撮影を行った。この電子顕微鏡写真データを、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析し、無作為に選んだ200〜300個の離型剤除去後の穴の平均径を求めることで、トナー表面の離型剤の分散径を求めた。
〔キャリア芯材の見掛密度〕
キャリア芯材の見掛密度は、JIS Z2504 2000に準拠して測定した。
〔キャリア芯材の残留磁化〕
キャリア芯材の残留磁化には、振動試料型磁力計(商品名:VSM、東英工業株式会社製)を用いた。キャリア芯材を直径6mmのプラスチック容器(円形)に隙間がないように充填し、外部磁場を変更することによって測定した。
〔キャリア芯材の体積平均粒径〕
キャリア芯材の体積平均粒径は、レーザ回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3000(日機装株式会社)」を用いて測定した。トリトンX−100(非イオン性界面活性剤(化学式:C346211))の0.1%純水溶液10mL中に、測定試料約1〜5mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させた。この分散液のうち約2〜5mLを、該粒度分布測定装置の所定箇所に加えた後、1分間攪拌し、散乱光強度が安定したことを確認してキャリア芯材の体積平均粒径を測定した。
〔樹脂被覆キャリアの体積抵抗値〕
対向する電極間の距離1mm、測定電極エリア面積が40×16mmのブリッジ抵抗測定治具を用いて常温常湿環境下で測定した。具体的には、樹脂被覆キャリアを測定サンプルとして別途電子天秤等で0.2mgに取り分けた後、ブリッジ抵抗測定治具の対向する電極間の間に挿入し、該電極の裏側から磁石を用いて、対向電極間に樹脂被覆キャリアのブリッジを形成させた。このとき、ブリッジ間の樹脂被覆キャリアを均すために、5〜6回程度タッピングした。ブリッジ間の樹脂被覆キャリアを均一に均した後、2×10(V/cm)の電界強度が生じる電圧を印加したときの電流値を、デジタルエレクトロンメータ(商品名:R8340、アドバンテスト社製)を用いて測定し、樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を算出した。
〔樹脂被覆キャリアの総表面積〕
樹脂被覆キャリアの比重を4.7とし、マイクロトラック(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)よって得られた体積平均粒径をもとに、混合する樹脂被覆キャリア重量から総面積を算出した。
次に、実施例および比較例の2成分現像剤に含まれるトナーおよび樹脂被覆キャリアの作製方法を記載する。以下、「部」は「重量部」を示す。
(トナーの作製)
6種類のトナー(トナー(1)〜(6))を以下のようにして作製した。
[トナー(1)]
・結着樹脂 :ポリエステル樹脂(酸価:21mgKOH/g、芳香族系アルコール成分:PO−BPAおよびEP−BPA、酸成分:フマル酸および無水メリット酸)
…87.5重量%
・着色剤 :C.I.Pigment Blue 15:1 …5重量%
・離型剤 :無極性パラフィンワックス(DSCピーク78℃、重量平均分子量Mw8.32×10) …4.5重量%
・電荷制御剤 :ボントロン E−84(商品名、オリエント化学社製)
…1.5重量%
以上の各構成材料をヘンシェルミキサにて前混合した後、二軸押出混練機にて溶融混練した。この溶融混練した混練物をカッティングミルで粗粉砕した後、ジェットミルにて微粉砕し、風力分級機で分級し、体積平均粒径6.5μmのトナー母粒子を作製した。
分級したトナー母粒子97.8重量%に、体積平均粒径0.1μmのiーブチルトリメトキシシランで疎水化処理したシリカ粒子1.2重量%と、体積平均粒径12nmのHMDSで疎水化処理したシリカ粒子1.0重量%とを加え、ヘンシェルミキサにて混合することによって外添処理を行い、トナー(1)を作製した。
[トナー(2)〜(6)]
離型剤露出率およびトナー表面の離型剤の分散径が表1に示す値になるように離型剤の添加量などを調整したこと以外はトナー(1)の作製方法と同様にしてトナー(2)〜(6)を作製した。なお、トナー(6)に関しては、離型剤の添加量を変更するとともに、ヘンシェルミキサにて前混合する際、離型剤のみ混合撹拌する時間を半分にし、さらに、二軸押出混練機にて溶融混練条件時間を調整することによって、トナー表面の離型剤の分散径を他のトナーより大きくした。
トナー(1)〜(6)における、離型剤の含有量、離型剤露出率およびトナー表面の離型剤の分散径を表1にまとめた。
Figure 0005075885
(樹脂被覆キャリアの作製)
17種類の樹脂被覆キャリア(樹脂被覆キャリア(1)〜(17))を以下のようにして作製した。
[樹脂被覆キャリア(1)]
キャリア芯材の原料として、微粉砕したFeとMgCOとを準備した。そしてモル比でFe:MgCO=80:20となるように秤量した。一方、水中へキャリア芯材の全ての材料に対して10重量%に相当する、体積平均粒径が5μmのポリエチレン樹脂粒子(商品名:LE−1080、住友精化製)と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を1.5重量%と、湿潤剤(商品名:SNウェット980、サンノプコ株式会社製)0.05重量%と、バインダーとしてポリビニルアルコール0.02重量%とを添加したものを準備し、ここへ先程秤量したFeおよびMgCOを投入して撹拌し、濃度75重量%のスラリーを得た。
このスラリーを湿式ボールミルにて湿式粉砕し、しばらく撹拌した後、スプレードライヤーにて該スラリーを噴霧し、粒径10〜200μmの乾燥造粒品を得た。この乾燥造粒品から、網目61μmの篩網を用いて粗粒を分離した後、大気中で900℃に加熱して仮焼し、ポリエチレン樹脂粒子成分を分解させた。その後、1160℃の窒素雰囲気下で5時間焼成し、フェライト化させた。このフェライト化させた焼成品をハンマーミルで解砕し、風力分級機を用いて微粉を除去し、網目54μmの振動ふるいで粒度調整してキャリア芯材を得た。このキャリア芯材の体積平均粒径は40μmであり、見掛密度は2.01g/cmであった。
このキャリア芯材表面を樹脂で被覆する方法として、浸漬法を用いた。
・被覆樹脂 :SR2411(商品名、シリコーン樹脂20%溶液、東レダウコーニング株式会社製) …100重量部
・カップリング剤 :SH6020(商品名、100%溶液、東レダウコーニング株式会社製) …1重量部
・導電性粒子 :VULCANXC72(商品名、導電性カーボンブラックトルエン分散液、固形濃度15%溶液、キャボット株式会社製) …5重量部
・電荷制御剤 :LR−147(商品名、負帯電性電荷制御剤、溶液、日本カーリット株式会社製) …20重量部
以上の組成比率で調製した被覆用樹脂溶液中にキャリア芯材を浸し、混合撹拌しながら被覆用樹脂溶液中の溶媒を蒸発させ、該キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成した。このようにして樹脂被覆キャリア(1)を得た。
[樹脂被覆キャリア(2)]
キャリア芯材の見掛密度が1.8g/cmとなるようにポリエチレン樹脂粒子の添加量を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(2)を得た。樹脂被覆キャリア(2)に含まれるキャリア芯材の見掛密度の実測値は、1.86g/cmであった。
[樹脂被覆キャリア(3)]
キャリア芯材の見掛密度が2.0g/cmとなるようにポリエチレン樹脂粒子の添加量を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(3)を得た。樹脂被覆キャリア(3)に含まれるキャリア芯材の見掛密度の実測値は、1.88g/cmであった。
[樹脂被覆キャリア(4)]
キャリア芯材の見掛密度が2.5g/cmとなるようにポリエチレン樹脂粒子の添加量を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(4)を得た。樹脂被覆キャリア(4)に含まれるキャリア芯材の見掛密度の実測値は、2.45g/cmであった。
[樹脂被覆キャリア(5)]
キャリア芯材の見掛密度が1.5g/cmとなるようにポリエチレン樹脂粒子の添加量を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(5)を得た。樹脂被覆キャリア(5)に含まれるキャリア芯材の見掛密度の実測値は、1.59g/cmであった。
[樹脂被覆キャリア(6)]
キャリア芯材の見掛密度が2.5g/cmとなるようにポリエチレン樹脂粒子の添加量を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(6)を得た。樹脂被覆キャリア(6)に含まれるキャリア芯材の見掛密度の実測値は、2.61g/cmであった。
[樹脂被覆キャリア(7)]
キャリア芯材の体積平均粒径が25μmとなるようにキャリア芯材の作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(7)を得た。
[樹脂被覆キャリア(8)]
キャリア芯材の体積平均粒径が35μmとなるようにキャリア芯材の作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(8)を得た。
[樹脂被覆キャリア(9)]
キャリア芯材の体積平均粒径が50μmとなるようにキャリア芯材の作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(9)を得た。
[樹脂被覆キャリア(10)]
キャリア芯材の体積平均粒径が20μmとなるようにキャリア芯材の作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(10)を得た。
[樹脂被覆キャリア(11)]
キャリア芯材の体積平均粒径が55μmとなるようにキャリア芯材の作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(11)を得た。
[樹脂被覆キャリア(12)]
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を調整するために、前記導電性粒子の添加量を5重量部から2.5重量部に変更したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(12)を得た。
[樹脂被覆キャリア(13)]
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を調整するために、前記導電性粒子の添加量を5重量部から7重量部に変更したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(13)を得た。
[樹脂被覆キャリア(14)]
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を調整するために、前記導電性粒子の添加量を5重量部から2.0重量部に変更したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(14)を得た。
[樹脂被覆キャリア(15)]
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を調整するために、前記導電性粒子の添加量を5重量部から10重量部に変更したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(15)を得た。
[樹脂被覆キャリア(16)]
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を調整するために、前記導電性粒子の添加量を5重量部から0.5重量部に変更したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(16)を得た。
[樹脂被覆キャリア(17)]
キャリア芯材の見掛密度が2.10g/cmになるように作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(17)を得た。
[樹脂被覆キャリア(18)]
樹脂被覆キャリア芯材の残留磁化が11emu/g以上になるように作製条件を調整したこと以外は、樹脂被覆キャリア(1)の作製方法と同様にして樹脂被覆キャリア(18)を得た。
樹脂被覆キャリア(1)〜(18)において、キャリア芯材の見掛密度、キャリア芯材の体積平均粒径、キャリア芯材の残留磁化、被覆樹脂および樹脂被覆キャリアの体積抵抗値を表2にまとめた。
Figure 0005075885
前記トナー(1)〜(6)および前記樹脂被覆キャリア(1)〜(18)を用いて、実施例、参考例および比較例の2成分現像剤を作製した。この2成分現像剤における、トナー(1)〜(6)と樹脂被覆キャリア(1)〜(18)との組合せを表3に示す。
Figure 0005075885
(実施例1〜8および参考例1
3.0〜8.0重量%の範囲において離型剤の含有量の異なるトナー(1)〜(5)と、1.86〜2.45g/cmの範囲において異なる見掛密度を有する樹脂被覆キャリア(1)〜(4)とをそれぞれ組み合わせることによって、実施例1〜8および参考例1の2成分現像剤を作製した。具体的には、樹脂被覆キャリアに対するトナー被覆率が60%となるようにトナーと樹脂被覆キャリアとの混合比率を調整し、ロールミルにて60分間混合させた。
(比較例1〜21)
3.0〜8.0重量%の範囲において離型剤の含有量の異なるトナー(1)〜(5)と、1.59〜2.61g/cmの範囲において異なる見掛密度を有する樹脂被覆キャリア(1)〜(6)とをそれぞれ組み合わせることによって、比較例1〜21の2成分現像剤を作製した。具体的には、樹脂被覆キャリアに対するトナー被覆率が60%となるようにトナーと樹脂被覆キャリアとの混合比率を調整し、ロールミルにて60分間混合させた。
実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤を用いて、流動特性、キャリア付着、定着性、トナー帯電特性を下記の方法によって評価した。
[現像剤流動性]
実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤をそれぞれ用いて、シェーカーによる撹拌劣化実験を実施し、撹拌後の2成分現像剤の流動性を測定した。具体的には、まず、ガラス製サンプル瓶(50cc)に、2成分現像剤を15cc投入した。初期の現像剤流動性を評価するため、流動表面角測定器を用いてガラス製サンプル瓶中の2成分現像剤の粉体層が崩壊する回転角度数を円筒回転法によって測定し、初期の流動開始角度とした。
その後、シェーカー(商品名:MM200、Retsch社製)を用いて、設定周波数26.3Hzで、ガラス製サンプル瓶中の2成分現像剤を2時間撹拌させ、撹拌後の2成分現像剤の流動開始角度を前記流動表面角測定器で測定した。撹拌前後の2成分現像剤における流動開始角度の差(Δθ)は、流動性低下の度合いとなるものであり、該流動性開始角度の差(Δθ)が大きいほど、2成分現像剤の流動性が低下したことを示す。
現像剤流動性の評価基準は、以下の通りである。
○:良好。流動開始角度の差(Δθ)が30°以下である。
△:可。流動開始角度の差(Δθ)が30°より大きく60°以下である。
×:不良。流動開始角度の差(Δθ)が60°を超える。
[キャリア付着]
キャリア付着の評価には、2成分現像装置を有するデジタルカラー複写機(商品名:MX−4500、シャープ株式会社製)を用いた。この2成分現像装置に、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤を投入した。
2成分現像装置に備わる現像カートリッジと感光体ドラムとを有するプロセスカートリッジを専用のテストベンチに設置し、外部高圧電源を用いて擬似現像を実施した。現像途中でプロセスカートリッジを停止し、メンディングテープ(商品名:810−3−18、住友スリーエム株式会社製)を用いて、感光体ドラム表面に付着した樹脂被覆キャリアを捕集した。感光体ドラム表面に付着している単位面積当たりの樹脂被覆キャリアの個数をカウントし、当社規定数との比率(F)(測定個数/当社規定個数)でキャリア付着を評価した。
キャリア付着の評価基準は、以下の通りである。
○:良好。比率(F)が0.5未満である。
△:可。比率(F)が0.5以上1.0未満である。
×:不良。比率(F)が1.0以上である。
[定着性]
前記複写機を改造したものに実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤をそれぞれ充填した。記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、サンプル画像のべた画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cmになるように調整して未定着画像を形成し、カラー複合機の定着部を用いて作製した外部定着器を用いて定着画像を形成した。サンプル画像のべた画像部は、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像である。定着プロセス速度は124mm/秒とし、定着ローラの温度を130℃から5℃刻みで上げ、低温オフセットおよび高温オフセットが発生しない温度域である定着非オフセット域(℃)を求めた。
具体的には、定着非オフセット域は下記式(4)によって算出される。
(定着非オフセット域〔℃〕)=(高温オフセット発生温度〔℃〕)
−(低温オフセット発生温度〔℃〕)…(4)
本評価において、高温オフセットの発生および低温オフセットの発生とは、定着時にトナーが記録用紙に定着せずに、前記トナーが定着ローラに付着したまま定着ローラが一周した後に記録用紙に付着することと定義する。
定着性の評価基準は、以下の通りである。
○:良好。定着非オフセット域が45℃以上である。
△:可。定着非オフセット域が35℃以上45℃未満である。
×:不良。定着非オフセット域が35℃未満である。
[トナー帯電特性]
トナー帯電特性を評価するために、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤における初期の帯電性、帯電の減衰特性および帯電のライフ特性を評価した。
(初期の帯電性)
実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤を、2成分現像装置を有する複写機(シャープ株式会社製で商品名がMX−6200Nの改造機)にセットした。常温常湿環境下において3分間空転させた後、現像剤担持体(現像スリーブ)上の2成分現像剤を採取し、吸引式帯電量測定装置(商品名:210H−2A Q/M Meter、TREK社製)で2成分現像剤の帯電量を測定した。
初期の帯電性の評価基準は下記の通りである。
○:良好。帯電量が−25μC/g以上である。
△:可。帯電量が−20μC/g以上−25μC/g未満である。
×:不良。帯電量が−20μC/g未満である。
(帯電の減衰特性)
樹脂被覆キャリア69.6gとトナー6.4gとを併せた現像剤がそれぞれ入った100mlのポリエチレン容器を150rpmのボールミルで60分間撹拌した後、2成分現像剤の帯電量を測定し、高温高湿下に曝露した。3日放置した後の2成分現像剤を同様の条件で撹拌し、2成分現像剤の帯電量を測定した。
帯電量の環境特性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。2成分現像剤の初日の帯電量と、3日後の帯電量との差(以下「帯電量差」と記載する)が絶対値で5μC/g以下である。
△:可。帯電量差が絶対値で5μC/gを超えて7μC/g以下である。
×:不良。帯電量差が絶対値で7μC/gを超える。
(帯電のライフ特性)
帯電のライフ特性を評価するために、ライフ帯電性を評価した。2成分現像装置を有する複写機(商品名:MX−6000N、シャープ株式会社製)に実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤を充填し、常温常湿環境下においてベタ画像を50000枚実写した後、2成分現像剤のライフの帯電量を測定した。2成分現像剤のライフの帯電量は吸引式帯電量測定装置を用いて測定した。なお、2成分現像剤の初期の帯電量は、前述の(初期の帯電性)の評価での測定によって得られた値を用いた。
ライフ帯電性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。初期とライフとの帯電量の差(以下「ライフ帯電量差」とも記載する)が絶対値で5μC/g以下である。
△:可。ライフ帯電量差が絶対値で5μC/gを超えて7μC/g以下である。
×:不良。ライフ帯電量差が絶対値で7μC/gを超える。
実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の2成分現像剤の評価結果および総合評価結果を表4に示す。
Figure 0005075885
以上の結果から、実施例1〜8および参考例1は、長期使用に伴う2成分現像剤の流動性の低下を充分に防止できることがわかる。さらに、実施例5〜8ではキャリア付着が良好であり、実施例1,5では定着性も維持でき、高精細の高画質画像を容易に形成することができることがわかる。
x軸をキャリア芯材の見掛密度(g/cm)とし、y軸を離型剤露出率(%)として、表4に示すキャリア付着の評価結果をプロットした。図3は、実施例5〜8および比較例1,2の2成分現像剤を用いたキャリア付着の評価結果を示すグラフである。
図3から、見掛密度が1.59g/cmのキャリア芯材からなる樹脂被覆キャリアを含む2成分現像剤は、キャリア付着が多く、実用レベルに達していないことがわかる。そして、キャリア芯材の見掛密度が1.86g/cm以上であればキャリア付着が良好になることがわかる。
次に、x軸をキャリア芯材の見掛密度(g/cm)とし、y軸を離型剤露出率(%)として、表4に示す定着性の評価結果をプロットした。図4は、実施例1,5および比較例5,10,16の2成分現像剤を用いた定着性の評価結果を示すグラフである。
図4から、離型剤露出率が0.75%のトナーを含む2成分現像剤は、定着性が悪く、実用レベルに達していないことがわかる。これは、トナー表面の離型剤の露出率が少なすぎるために、定着ローラに対してのトナーの剥離性が低下したからである。そのため、定着ローラに対するトナーの剥離性を良好にするためには、離型剤露出率が1.0%以上必要であることがわかる。
さらに、x軸をキャリア芯材の見掛密度(g/cm)とし、y軸を離型剤露出率(%)として、表4に示す現像剤流動性の評価結果をプロットした。図5は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜22の2成分現像剤を用いた現像剤流動性の評価結果を示すグラフである。
図5から、トナー表面の離型剤露出率が少なくなるほど、トナー表面への離型剤の溶出量が減少するので、現像剤流動性が良好になることがわかる。また、見掛密度の低いキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア、すなわち低比重の樹脂被覆キャリアほど、離型剤露出率が多くなっても現像剤流動性が低下しにくいことがわかる。そして、キャリア芯材の見掛密度が2.61g/cmである樹脂被覆キャリアを含む2成分現像剤は、離型剤露出率が比較的少ないトナーと組み合わせた場合であっても流動性が低下することがわかる。これは、キャリア芯材の見掛密度が2.45g/cmを超える樹脂被覆キャリアを用いると、現像剤の撹拌時に、トナーに対して非常に大きな機械的ストレスを与えるからである。
前述のように、キャリア付着の評価結果を良好にするためには、キャリア芯材の見掛密度が1.86g/cm以上である必要がある。図5から、x=1.86の直線において流動性の評価結果が良好であるy座標の値の上限値は3.07である。また、x=2.45の直線において流動性の評価結果が良好であるy座標の値の上限値は2.16である
これらのことから、離型剤露出率が1.0%以上2.16%以下であり、かつキャリア芯材の見掛密度が1.86g/cm以上2.45g/cm以下であれば、現像剤流動性、キャリア付着および定着性が良好となる。そして、現像剤流動性が良好であれば、前記範囲内においてトナー帯電特性も良好となる。
以上のことから、離型剤露出率が1.0%以上2.16%以下であり、かつキャリア芯材の見掛密度が1.86g/cm以上2.45g/cm以下であるトナーと樹脂被覆キャリアとを組み合わせた2成分現像剤は、長期間にわたって高画質な画像を安定して形成することができることがわかる。
トナー表面の離型剤の分散径の大きさによる2成分現像剤の性能の評価を、実施例5および実施例の2成分現像剤を用いて行った。なお、表1に示したように、実施例5の2成分現像剤に含まれるトナー表面の離型剤に分散径は200nmである。
(実施例
トナー(6)と前記樹脂被覆キャリア(1)とを用い、実施例1と同一条件で混合および撹拌することによって実施例の2成分現像剤を得た。なお、表1に示したように、実施例の2成分現像剤に含まれるトナー表面の離型剤に分散径は315nmである。
実施例5および実施例の現像剤流動性、定着性およびトナー帯電特性の評価結果を表5に示す。現像剤流動性、定着性およびトナー帯電特性の評価方法は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の現像剤流動性、定着性およびトナー帯電特性の評価方法と同様である。
Figure 0005075885
表5から明らかなように、トナー表面の離型剤の分散径が300nm未満のトナー(2)を含む実施例5の2成分現像剤は、現像剤流動性に優れ、定着性およびトナー帯電特性に関しても問題無いレベルであった。トナー表面の離型剤の分散径が300nm以上であるトナー(6)を含む実施例の2成分現像剤は、定着性に関しては、実施例5と同様に問題無いレベルであったが、現像剤流動性およびトナー帯電特性がやや低下した。
キャリア芯材の体積平均粒径の大きさによる2成分現像剤の性能の評価を、実施例1,11および比較例23,24の2成分現像剤を用いて行った。
(実施例1014
トナー(2)と、体積平均粒径の範囲が25〜50μmであるキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア(7)〜(9)とを用い、実施例5と同一条件で混合および撹拌することによって実施例1012の2成分現像剤を得た。
トナー(2)と、体積平均粒径が23μmであるキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア(10)、および体積平均粒径が52μmであるキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア(11)とを用い、実施例5と同一条件で混合および撹拌することによって実施例1314の2成分現像剤を得た。
実施例5,10〜14の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価結果を表6に示す。現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法と同様である。
Figure 0005075885
表6から明らかなように、キャリア芯材の体積平均粒径を25μm以上50μm以下にすることによって、キャリア付着を低減することができ、キャリア粒子による画像劣化を防止し、高精細の画質を得ることができる2成分現像剤を得ることができることがわかる。また、キャリア芯材の体積平均粒径が23μmである樹脂被覆キャリアを含む実施例13の2成分現像剤は、キャリア付着においては、やや低下するが、トナー(2)に対する帯電特性は優れていることがわかる。さらには、キャリア芯材の体積平均粒径が52μmである樹脂被覆キャリアを含む実施例14の2成分現像剤では、トナー帯電特性がやや低下する。
樹脂被覆キャリアの体積抵抗値の大きさによる2成分現像剤の性能の評価を、実施例5,1519の2成分現像剤を用いて行った。なお、表2に示すように、実施例5の2成分現像剤に含まれる樹脂被覆キャリアにおける体積抵抗値は1012Ω・cmである。
(実施例1517
トナー(2)と、体積抵抗値が1013Ω・cmである樹脂被覆キャリア(12)、体積抵抗値が1010Ω・cmである樹脂被覆キャリア(13)、体積抵抗値が1014Ω・cmである樹脂被覆キャリア(14)とを用い、実施例5と同一条件で混合および撹拌することによって実施例1517の2成分現像剤を得た。
(実施例1819
トナー(2)と、体積抵抗値が10Ω・cmである樹脂被覆キャリア(15)および体積抵抗値が1015Ω・cmである樹脂被覆キャリア(16)とを用い、実施例5と同一条件で混合および撹拌することによって実施例1819の2成分現像剤を得た。
実施例5,1519の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価結果を表7に示す。現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法と同様である。
Figure 0005075885
表7から明らかなように、体積抵抗率が10Ω・cmである樹脂被覆キャリアを含む実施例18の2成分現像剤はキャリア付着の影響があるが、画質劣化を生じるほどではない。体積抵抗率が1015Ω・cmである樹脂被覆キャリアを含む実施例19の2成分現像剤は、現像剤流動性、帯電の減衰特性および帯電のライフ特性がやや低下しているが、画像を著しく劣化せしめるものではない。さらには、樹脂被覆キャリアの体積抵抗率が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることによって、ライフによる現像剤流動性に優れ、キャリア付着を低減することができ、トナー帯電特性を良好にすることができ、高画質な出力画像をライフに渡り得ることができる。
キャリア芯材の磁気特性である残留磁化の大きさによる2成分現像剤の性能の評価を、実施例5,7、参考例2の2成分現像剤を用いて行った。なお、表2に示すように、実施例1の2成分現像剤に含まれるキャリア芯材の残留磁化は0.5emu/gであり、実施例の2成分現像剤に含まれるキャリア芯材の残留磁化は6.0emu/gである。
参考例2
トナー(2)と、残留磁化が11emu/gであるキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア(18)とを用い、実施例1と同一条件で混合および撹拌することによって参考例2の2成分現像剤を得た。
実施例5,7、参考例2の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価結果を表8に示す。現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法と同様である。
Figure 0005075885
表8から明らかなように、キャリア芯材の残留磁化が11emu/gである参考例2の2成分現像剤は、現像剤流動性、帯電の減衰特性および帯電のライフ特性がやや低下していることがわかる。さらには、キャリア芯材の残留磁化が10emu/g以下であれば、残留磁化によるキャリア同士の凝集の影響もなく、現像剤流動性を経時において確保することができることがわかる。
キャリア芯材の見掛密度の大きさによる2成分現像剤の性能の評価を、実施例8,20の2成分現像剤を用いて行った。なお、表2に示すように、実施例8の2成分現像剤に含まれるキャリア芯材の見掛密度は2.45g/cmである。
(実施例20
トナー(2)と、キャリア芯材の見掛密度2.10g/cmであるキャリア芯材を含む樹脂被覆キャリア(17)とを用い、実施例8と同一条件で混合および撹拌することによって実施例20の2成分現像剤を得た。
実施例8,20の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価結果を表9に示す。現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法は、実施例1〜8、参考例1および比較例1〜21の現像剤流動性、キャリア付着およびトナー帯電特性の評価方法と同様である。
Figure 0005075885
1 2成分現像剤
2 樹脂被覆キャリア
2a キャリア芯材
2b 樹脂被覆層
3 トナー
3a 外添剤
3b トナー母粒子

Claims (10)

  1. 結着樹脂、着色剤、帯電制御剤および離型剤を含有してなるトナーと、キャリア芯材と該キャリア芯材の表面に形成され、帯電制御剤を含有する樹脂被覆層とからなる樹脂被覆キャリアとを含む2成分現像剤であって、
    トナーは、トナー表面の離型剤露出率が、1.00%以上2.16%以下であり、
    キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.45g/cm以下、残留磁化が10emu/g以下のソフトフェライトであり、
    トナーに含有される前記帯電制御剤と、前記樹脂被覆層に含有される前記帯電制御剤とが、同一極性の帯電性を有することを特徴とする2成分現像剤。
  2. トナーは、表面に露出している離型剤の分散径が300nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の2成分現像剤。
  3. キャリア芯材は、体積平均粒径が25μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の2成分現像剤。
  4. 樹脂被覆層が、カップリング剤が分散されたシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の2成分現像剤。
  5. 樹脂被覆キャリアは、樹脂被覆層が導電剤を含み、体積抵抗値が1010Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の2成分現像剤。
  6. キャリア芯材は、見掛密度が1.86g/cm以上2.10g/cm下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の2成分現像剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成することを特徴とする現像装置。
  8. 像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する請求項7に記載の現像装置と、
    像担持体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備える転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成方法。
  10. 像担持体に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写した後、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写して、前記トナー像に基づいた単色画像または多色画像を記録媒体に形成することを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
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