JP2010181655A - キャリアの製造方法、キャリア、2成分現像剤、現像装置および画像形成装置 - Google Patents

キャリアの製造方法、キャリア、2成分現像剤、現像装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】湿式コート法でキャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成する際に、樹脂被覆層の樹脂の劣化や強度低下、および樹脂被覆層の融着によるキャリア凝集の発生などを起こすことなく、樹脂被覆層中の有機溶媒を除去することができるキャリアの製造方法、前記製造方法で製造させたキャリア、前記キャリアを含むことで流動性の低下を抑制できる2成分現像剤、ならびに前記2成分現像剤を用いる現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 キャリア芯材表面に電荷制御剤を含む樹脂被覆層が形成されたキャリアの製造方法は、樹脂被覆工程と加熱処理工程とを含む。樹脂被覆工程では、被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆することによって樹脂被覆キャリアを得る。加熱処理工程では、樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理する。加熱処理工程において過熱水蒸気雰囲気中の温度は200℃以上300℃以下に設定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、キャリアの製造方法、前記製造方法で製造されたキャリア、前記キャリアを含む2成分現像剤、ならびに前記2成分現像剤を用いる現像装置および画像形成装置に関する。
プリンタや複写機などの電子写真技術を利用した画像出力機器には、像担持体上に形成された静電潜像を現像し可視像を形成するための現像剤が用いられる。現像剤としては、トナーとキャリアとから成る2成分現像剤と、トナー単体から成る1成分現像剤とが用いられる。これらの現像剤による現像方式のうち、2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式は、他の現像方式と比較して画質および高速印刷の面で優れているため広く利用されている。
磁気ブラシ現像方式を用いる画像形成装置は、2成分現像剤を担持させる現像剤担持体と、静電潜像が形成される像担持体とを備える。現像剤担持体は、円筒形状の金属スリーブと、その内部に備えられたマグネットローラとを備える。マグネットローラは、磁界発生手段である永久磁石を複数有し、各永久磁石は、N極とS極とが交互になるように配設されている。
このような画像形成装置では、次の方法によって、像担持体に可視像が形成される。まず、現像剤担持体における金属スリーブ表面に2成分現像剤を担持させ、マグネットローラを固定したまま金属スリーブのみを回転させる。これによって、静電潜像が形成された像担持体と対向する現像領域へ2成分現像剤が搬送される。そして、現像剤担持体と像担持体との間で印加された現像電界で、帯電したトナーのみを像担持体に静電吸着させることで可視像を形成する。
金属スリーブ表面に担持される前の2成分現像剤に含まれるトナーは、たとえば現像剤担持体を含む現像ユニット内においてキャリアと混合撹拌され、キャリアと接触することによって摩擦帯電される。このようなトナーの性質を利用した電子写真技術として乾式2成分現像がある。乾式2成分現像では、この摩擦帯電したトナーの静電気力を用いて電気的にトナーをハンドリングし、画像を形成する。
このような乾式2成分現像ではトナーの帯電量の制御が重要である。トナーの帯電量は、画像形成システム上の各種要請から決まるものであり、その値が安定していることがシステムの安定性のために望ましい。
近年の複写機やプリンタにおいて、印刷の高画質化および高速化が重要視される傾向にある。このとき、特に重要になるのが現像剤の安定性である。すなわち、高画質化を達成するためには、トナーを像担持体などの決められた場所に、決められた量だけ配置する必要がある。前述のように、電子写真技術ではトナーのハンドリングに静電気力が用いられており、付着力などの他の外力に打ち勝って電界により生じた静電力を用いてトナーを像担持体などの決められた場所に移動させるためには、トナーの帯電量をある程度以上に高く維持することが要求される。また、マシンの高速化に伴い印刷枚数が増加し、メンテナンスに対する要求が強くなっている。それゆえ、長期間に渡って安定して動作する現像剤が求められている。
現像剤の寿命などを特に考慮すると、公知のキャリアの中でも磁性体からなるキャリア芯材に樹脂が被覆された樹脂被覆キャリアが優れており、現像剤種々のタイプの樹脂被覆キャリアが開発されている。樹脂被覆キャリアには、トナーを帯電させ、そのトナーの帯電性能を長期間に渡って維持することが求められる。そのため、樹脂被覆キャリアの耐衝撃性、耐摩耗性、耐環境性とともに、トナーの帯電性や流動性などが安定的に動作することが重要である。
従来の樹脂被覆キャリアにおける樹脂コーティングの方法としては、たとえば、キャリア芯材を樹脂溶液に浸漬して芯材粒子表面に樹脂被覆層を形成する浸漬法、およびキャリア芯材に樹脂溶液を噴霧して樹脂被覆層を形成する流動層法などの湿式コート法がある。また、樹脂溶液を用いない樹脂コーティングの方法として、微粒子化された被覆用の樹脂粒子をキャリア芯材とともに撹拌し、摩擦熱によって樹脂粒子を溶融させることでキャリア表面に樹脂被覆層を形成する乾式コート法がある。
しかしながらこれらの方法では、樹脂被覆層を形成する際にキャリア芯材表面に充分に付着しなかった遊離樹脂粉末が存在する。そのため、このようなキャリアとトナーとを混合して現像剤化すると、充分に付着していない樹脂粒子がキャリア芯材表面から剥離して現像剤中を遊離し、凝集するので現像剤の流動性が低下するという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1には、キャリア芯材の表面に樹脂を被覆した後に気流中で瞬間的に加熱処理することで、凹凸のある樹脂被覆層と遊離樹脂粉末とが融け、遊離樹脂粉末がキャリア表面に取り込まれた状態で樹脂被覆層を形成できる電子写真用キャリアの製造方法が開示されている。特許文献1に開示の電子写真用キャリアの製造方法によれば、キャリア芯材の表面に樹脂を被覆した電子写真用キャリアにおける被覆樹脂の遊離を抑えることができ、初期状態での画質の安定性を得るとともに、多数枚の画像形成後における画質変化を防ぐことができる。
特開2007−256858号公報
しかしながら、特許文献1では、キャリア芯材の表面に樹脂を被覆する方法として湿式コート法が開示されているが、湿式コート法はキャリア芯材表面に付着させた樹脂溶液から溶剤を除去しつつ、キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成するため、形成後の樹脂被覆層膜中には、樹脂溶液の有機溶剤が残留している。このような樹脂被覆キャリアを含む2成分現像剤を現像装置に入れ、現像装置内でトナーを帯電させるために撹拌すると、該現像装置内部の温度が上昇することで該樹脂被覆キャリアの樹脂被覆層から残留した有機溶媒である残留溶剤が染み出す場合がある。被覆樹脂膜内の残留溶剤が染み出すと、樹脂被覆キャリア表面に付着しているトナーを構成する主樹脂が溶けトナー自身が劣化するとともに、樹脂被覆キャリアとの付着強度が増加して感光体への現像量が低下し、現像剤の流動性低下による搬送不良による画像劣化が引き起こされる。
このような残留溶媒の問題を解決するための方法として気流中での加熱空気の温度を上昇させる方法がある。しかしながら、長時間高温状態に被覆樹脂キャリアを存在させると、樹脂被覆層の樹脂に劣化が生じ、樹脂被覆層の強度の低下、および加熱雰囲気中で隣接する樹脂被覆キャリアの樹脂被覆層が融着して樹脂被覆キャリアの凝集物が生じるなどの新たな問題が生じる。
本発明の目的は、湿式コート法でキャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成する際に、樹脂被覆層の樹脂の劣化および強度低下、ならびに樹脂被覆層の融着によるキャリア凝集の発生などを起こすことなく、樹脂被覆層中の有機溶媒を除去することができるキャリアの製造方法、前記製造方法で製造したキャリア、前記キャリアを含む2成分現像剤、前記2成分現像剤を用いる現像装置および画像形成装置を提供することである。
本発明は、キャリア芯材表面に電荷制御剤を含む樹脂被覆層が形成されたキャリアの製造方法であって、
樹脂被覆層の構成材料を含む被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆することによって樹脂被覆キャリアを得る樹脂被覆工程と、
樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理する加熱処理工程とを含み、
加熱処理工程で、過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃以上300℃以下であることを特徴とするキャリアの製造方法である。
また本発明は、樹脂被覆工程で、被覆用樹脂溶液にキャリア芯材を浸漬することによって、または流動層中で被覆用樹脂溶液をキャリア芯材に噴霧することによって被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆し、樹脂被覆キャリアを得ることを特徴とする。
また本発明は、加熱処理工程で、過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入することを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアの製造方法によって製造されることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする。
また本発明は、トナーに含まれる電荷制御剤と樹脂被覆層中に含まれる電荷制御剤とが同一の材料であることを特徴とする。
また本発明は、前記2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像して可視像を形成することを特徴とする。
また本発明は、静電潜像が形成される像担持体と、
像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記現像装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、キャリア芯材表面に樹脂被覆層が形成されたキャリアの製造方法は、樹脂被覆層の構成材料を含む被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆することによって樹脂被覆キャリアを得る樹脂被覆工程と、樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理する加熱処理工程とを含む。
過熱水蒸気とは、飽和温度以上に熱せられた水蒸気のことであり、空気より比熱が大きく、熱量が大きい。
樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理すると、キャリア芯材表面に、残留溶媒が除去され、内部に残留溶媒を含まない樹脂被覆層が形成される。このようにトナーを溶解する残留溶媒を含まない樹脂被覆層が形成されたキャリアは、従来の浸漬法で得られる樹脂被覆キャリアよりトナーの劣化を抑制することができる。またキャリア粒子同士の凝集が低減される。
また、過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理することによって、従来の高温乾燥空気中で加熱溶融する方法より良好な表面を有するキャリアを得ることができる。さらに製造効率が高く、長期間にわたって優れた帯電性を有するキャリアを得ることができる。
また、過熱水蒸気雰囲気中の温度は200℃以上300℃以下である。過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃未満であると、キャリア芯材表面の被覆用樹脂層を充分に加熱することができず、樹脂被覆層内外での樹脂の溶融度が偏る場合がある。過熱水蒸気雰囲気中の温度が300℃を超えると、キャリア芯材の被覆用樹脂層が加熱されすぎ、キャリア凝集が発生する。また、被覆用樹脂層に含まれる樹脂が劣化して樹脂被覆層の耐性が低下するおそれがある。過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃以上300℃以下であることによって、キャリア凝集がなく、樹脂被覆層内外での樹脂の溶融度の偏りのない均一な樹脂被覆層が形成されたキャリアを得ることができる。
また、キャリアの樹脂被覆層中には電荷制御剤が含まれている。電荷制御剤のような電荷発生材料を含むことによって、樹脂被覆層内部からトナーに電荷を供給できるので、長期間にわたって安定してトナーを帯電させることのできるキャリアとすることができる。したがって、このようなキャリアを用いて画像を形成することによって、長期間にわたって高画質な画像をより安定して形成することができる。
また本発明によれば、樹脂被覆工程で、被覆用樹脂溶液にキャリア芯材を浸漬することによって、または流動層中で被覆用樹脂溶液をキャリア芯材に噴霧することによって被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆し、樹脂被覆キャリアを得る。これによってキャリア芯材表面に被覆用樹脂層が形成され、キャリア芯材を被覆用樹脂層で充分に被覆することができる。
また本発明によれば、加熱処理工程で、過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入する。これによって、樹脂被覆工程で得られた樹脂被覆キャリアの被覆用樹脂層中から残留溶媒を除去している間に樹脂被覆キャリア粒子同士が集まって形成される凝集体の生成を抑制し、流動性の良好なキャリアを得ることができる。
また本発明によれば、キャリアは本発明の製造方法で製造される。本発明のキャリアの製造方法では、被覆用樹脂層から残留溶媒を除去することができるので、本発明のキャリアは、トナーを溶解する残留溶媒を含まない樹脂被覆層が形成されたキャリアとなり、長期間使用しても帯電安定性に優れる。
また本発明によれば、2成分現像剤は本発明のキャリアとトナーとを含む。本発明のキャリアは長期間の使用にも優れた帯電安定性をトナーに付与することができるので、帯電特性および現像性の良好な2成分現像剤が得られる。このような2成分現像剤を用いることによって、長期間に渡って高画質な画像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、トナーに含まれる電荷制御剤と樹脂被覆層中に含まれる電荷制御剤とが同一の材料である。これによって、樹脂被覆層内部からトナーに電荷が一層安定して供給されるので、長期間にわたってより一層安定してトナーを帯電させることのできる2成分現像剤が得られる。
また本発明によれば、現像装置は本発明の2成分現像剤を用いて可視像を形成するので、長期間にわたって像担持体に高画質なトナー像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、画像形成装置は本発明の現像装置を備える。これによって、長期間にわたって高画質な画像を安定して形成することができる。
樹脂被覆工程S1を経て得られる樹脂被覆キャリア100の構造を模式的に示す断面図である。 測定治具9の構成を模式的に示す概略図である。 加熱処理工程S2を経て得られるキャリア110の構造を模式的に示す断面図である。 過熱水蒸気による脱油作用が働く直前の樹脂被覆キャリア100の状態を模式的に示す断面図である。 樹脂被覆キャリアを撹拌させながら過熱水蒸気を供給することができる撹拌装置120の構成を模式的に示す正面図である。 過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入して樹脂被覆層を形成する樹脂被覆層形成装置107の構成を模式的に示す断面図である。 本実施形態の現像装置20の構成を示す概略図である。 本発明の第5の実施形態である画像形成装置21の構成を示す概略図である。
1、キャリアの製造方法
本発明の第1の実施形態であるキャリアの製造方法では、キャリア芯材の表面に樹脂被覆層が形成されたキャリアを製造する。本実施形態のキャリアの製造方法は、樹脂被覆工程S1と加熱処理工程S2とを含む。
(1)樹脂被覆工程S1
ステップS1の樹脂被覆工程では、樹脂被覆層の構成材料である被覆用樹脂材料を含む被覆用樹脂溶液でキャリア芯材を被覆することによってキャリア芯材表面に被覆用樹脂層を形成し、樹脂被覆キャリアを得る。
図1は、樹脂被覆工程S1を経て得られる樹脂被覆キャリア100の構造を模式的に示す断面図である。樹脂被覆キャリア100は、キャリア芯材101と被覆用樹脂層102とを含む。被覆用樹脂層102の内部には、残留溶媒102aが存在する。
前述のように樹脂被覆キャリア100は、被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆して得ることができるが、その方法としては、被覆用樹脂溶液にキャリア芯材を浸漬する浸漬法、流動層中で浮遊状態にあるキャリア芯材に被覆用樹脂溶液を噴霧する流動法、およびキャリア芯材に被覆用樹脂溶液を噴霧するスプレー法が挙げられる。
本発明では後の加熱処理工程S2において過熱水蒸気雰囲気中で樹脂被覆キャリアの加熱を行うため、本工程では、通常の浸漬法や流動法より溶媒を揮発させる加熱温度を低くし、所要時間を短くすることができる。これによって被覆用樹脂層に与える負荷を少しでも軽くすることができる。なお、温度を低くし所要時間を短くすると、被覆用樹脂層内部の残留溶媒が多くなり、被覆用樹脂層表面の凹凸が多くなるが、過熱水蒸気雰囲気中で加熱すると脱油作用および表面張力が作用するので問題はない。脱油作用については後で詳しく述べる。
本工程では、厚さが0.1μm以上5.0μm以下の範囲となるように被覆用樹脂層を形成することが好ましい。0.1μm未満であると、後の加熱処理工程S2で充分な厚さを有する樹脂被覆層を形成できないので、経時でキャリア芯材が露出しやすくなる。5.0μmを超え、被覆用樹脂層が不所望に厚いと、後の加熱処理工程S2で被覆用樹脂層の表面層と内部とで温度差が生じやすくなり、経時において樹脂被覆層のはがれが発生しやすくなる。被覆用樹脂層の厚さは、キャリア芯材と被覆用樹脂溶液中の樹脂固形成分との割合を調整することによって調節することができる。
以下、樹脂被覆キャリアの構成材料であるキャリア芯材および被覆用樹脂材料について記載する。
(キャリア芯材)
キャリア芯材としては、この分野で常用されるものが使用でき、たとえば、鉄、銅、ニッケルおよびコバルトなどの磁性金属、ならびにフェライトおよびマグネタイトなどの磁性金属酸化物などが挙げられる。キャリア芯材(以下単に「芯材」とも記載する)が上記のような磁性体であると、磁気ブラシ現像法に用いる現像剤に好適なキャリアが得られる。これらの中でも、帯電性能および耐久性に優れるとともに、適した飽和磁化を有する樹脂被覆キャリアを実現することができるという観点から、フェライトが好適に用いられる。
適度な大きさのキャリアを得るため、キャリア芯材の体積平均粒子径は25μm以上150μm以下の範囲にあることが好ましく、25μm以上90μm以下の範囲にあることが特に好ましい。本実施形態において、キャリア芯材の体積平均粒子径は粒度測定器(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いて測定される。
キャリア芯材の体積抵抗値は、1.0×10Ω/cm以上1.0×10Ω/cm以下が好ましい。キャリア芯材の体積抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。キャリア芯材の体積抵抗値は、図2に示すような測定治具9によって測定される。図2は、測定治具9の構成を模式的に示す概略図である。測定治具9は、磁石6、アルミニウム製の電極7、基盤(アクリル樹脂板)8から構成される。電極7の間隔は1mmであり、大きさ10mm×40mmの平行平板電極を形成する。この電極間にキャリア芯材を200mg挿入し、次いで磁石6(表面磁束密度1500ガウス、対向する部分の磁石面積10mm×30mm)をN極とS極とが対向するように配置してキャリア芯材を電極間に保持する。この電極7に直流電圧1Vステップで800Vまで印加したときの電流値を計測してブリッジ抵抗値を算出し、その値をキャリア芯材の体積抵抗値とする。
(被覆用樹脂材料)
被覆用樹脂材料として用いる樹脂としては、たとえばシリコーン樹脂を用いる。シリコーン樹脂は、架橋型シリコーン樹脂が特に好ましい。また、シリコーン樹脂によって形成される樹脂被覆層の好ましい特性を損なわない範囲でシリコーン樹脂とともに他の樹脂を用いることができる。他の樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アセタール樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン、これらの共重合体樹脂および配合樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は、ガラス転移温度が70℃以上95℃以下が好ましく、軟化点が105℃以上200℃以下が好ましい。これらの温度が高すぎると、後述の加熱処理工程S2において樹脂被覆層が充分に溶解しない。低すぎると、加熱処理工程S2において樹脂被覆層が溶解しすぎて、凝集体が発生する恐れがある。
被覆用樹脂溶液は、少なくとも上記樹脂と有機溶媒とを含む溶液である。
有機溶媒としては、たとえばシリコーン樹脂を溶解できるものであれば特に限定されないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、高級アルコール類、これらの2種以上の混合溶媒などを使用することができる。有機溶媒と樹脂との混合割合は、有機溶媒100重量部に対して樹脂が10重量部以上30重量部以下であることが好ましい。
(2)加熱処理工程S2
加熱処理工程S2では、樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理してキャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成する。図3は、加熱処理工程S2を経て得られるキャリア110の構造を模式的に示す断面図である。キャリア110は、キャリア芯材101と、キャリア芯材101表面の樹脂被覆層104とを含む。樹脂被覆層104は、過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理されて被覆用樹脂層から残留溶媒が除去されることで形成される層である。キャリア110は、表面が滑らかで、図1に示す残留溶媒102aが存在しない。また、樹脂被覆層104表面に凹凸がなく、均一である。
過熱水蒸気とは、飽和温度以上に熱せられた水蒸気のことであり、空気より比熱が大きく熱量が大きい。過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを存在させると、被覆用樹脂層を瞬時に昇温させ、内部から残留溶媒を除去することが可能となるがそれは以下の理由による。
一般的な加熱空気を用いると、対流伝熱(空気の比熱0.24cal/g/℃)により樹脂被覆キャリアを加熱することになるが、過熱水蒸気雰囲気中では、対流伝熱(水蒸気の比熱0.48cal/g/℃)に加えて、過熱水蒸気が樹脂被覆キャリア表面で凝縮する際に生じる凝縮伝熱(凝集熱)によって樹脂被覆キャリアはさらに加熱される。この凝縮伝熱は539cal/gと大きいため、加熱する対象物である樹脂被覆キャリアの被覆用樹脂層を急速に加熱することができる。また、凝縮伝熱は対象物の比較的温度の低い部分に優先して凝縮するため、樹脂被覆キャリアを均一に加熱することが可能となり、さらには、被覆用樹脂層中の残留溶媒に有効的に作用して樹脂被覆層中から残留溶媒を揮発させることができる。
このように、過熱水蒸気雰囲気中で樹脂被覆キャリアを加熱処理すると、被覆用樹脂層内部の残留溶媒は、過熱水蒸気の凝集熱によって被覆用樹脂層表面に染み出し、樹脂被覆キャリア周囲の熱環境によって揮発し、または過熱水蒸気の水分に付着するなどして被覆用樹脂層内部から除去される。この作用を脱油作用という。このように表面が均一で、トナーを溶解する残留溶媒を含まない樹脂被覆層が形成されたキャリアは、従来法で得られる樹脂被覆キャリアより環境および経時におけるトナーの劣化を抑制することができる。またキャリア製造時における樹脂被覆キャリア粒子同士の凝集が低減され、効率良くキャリアを得ることができる。
樹脂被覆層厚が厚い場合においても、過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理することによって樹脂被覆層の表面側と内面側とにおける温度差をなくして、均一な樹脂被覆層を有するキャリアを得ることができ、従来の高温乾燥空気中で加熱溶融する方法より良好な表面を有するキャリアを得ることができる。さらに製造効率が高く、長期間にわたって優れた帯電性を有するキャリアを得ることができる。
図4は、過熱水蒸気による脱油作用が働く直前の樹脂被覆キャリア100の状態を模式的に示す断面図である。樹脂被覆工程S1の終了直後には被覆用樹脂層102内部に存在した残留溶媒102aは、過熱水蒸気による温度上昇によって被覆用樹脂層102表面に染み出す。この染み出し残留溶媒102Aが凝集熱によって形成された過熱水蒸気の水滴103に親和性を有する溶媒であれば、水滴103に溶出した後、過熱水蒸気雰囲気中から水滴103とともに蒸発するので、樹脂被覆キャリア100の被覆用樹脂層102から残留溶媒102aおよび染み出し残留溶媒102Aが除去されることになる。また、染み出し残留溶媒102Aが水滴103と不親和性を有する溶媒であっても、水滴103と被覆用樹脂溶液層102との間に染み出した残留溶媒102aは、過熱水蒸気雰囲気中で加熱されれば、水滴103および染み出し残留溶媒102Aは蒸発するので、樹脂被覆キャリア100の被覆用樹脂層102から残留溶媒102aおよび染み出し残留溶媒102Aを除去することができる。
本工程における樹脂被覆層の形成には、図5に示す装置を用いることができる。図5は、樹脂被覆キャリアを撹拌させながら過熱水蒸気を供給することができる撹拌装置120の構成を模式的に示す正面図である。撹拌装置120は、撹拌槽122と、高速側ローター121と、低速側ローター123と、ノズル124と、排出バルブ125とを含む。
撹拌装置120では、まず樹脂被覆キャリアを撹拌槽122に投入し、高速側ローター121を矢符126の方向に回転駆動させ、低速側ローター123を矢符127の方向に回転駆動させる。
この時の高速側ローター121の回転数は、3500rpm以上6200rpm以下の範囲が好ましく、低速側ローター123の回転数は、25rpm以上30rpm以下の範囲が好ましい。
次に、樹脂被覆キャリアが撹拌され、高速側ローターおよび低速側ローターが回転駆動している撹拌装置120に、ノズル124から過熱水蒸気を供給する。それによって樹脂被覆キャリアが存在する該撹拌装置120の撹拌槽122内部を過熱水蒸気で満たすことができる。過熱水蒸気は、水蒸気発生装置で発生させた水蒸気をさらに過熱水蒸気発生装置によって過熱して得られる。この時、排出バルブ125は開放状態にし、撹拌槽122内部の圧力が高くならないように過熱水蒸気を大気中に放出する。この状態を一定時間保持する。その保持時間としては、15分間以上30分間以下が好ましい。
本実施形態において、過熱水蒸気雰囲気中の温度は200℃以上300℃以下である。過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃未満であると、キャリア芯材表面の被覆用樹脂層を充分に加熱することができず、樹脂被覆層内外での樹脂の溶融度が偏る場合がある。過熱水蒸気雰囲気中の温度が300℃を超えると、キャリア芯材に付着した被覆用樹脂溶液を加熱しすぎてしまい、キャリア凝集が発生する。また、被覆用樹脂層に含まれる樹脂が劣化して樹脂被覆層の耐性が低下するおそれがある。過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃以上300℃以下であることによって、キャリア凝集がなく、樹脂被覆層内外での樹脂の溶解度の偏りのない均一な樹脂被覆層が形成されたキャリアを得ることができる。
過熱水蒸気は、ノズル124から供給されるときの流速が30m/分以上60m/分以下が好ましく、単位時間当たりの供給量は撹拌槽122の容積を4Lとした場合に、2L/分以上10L/分以下が好ましい。
撹拌装置120に付随するローター駆動用モータの電流値が増加した時点で、過熱水蒸気の供給を停止すると同時に別系統から常温の乾燥空気を撹拌槽122内部に供給し、撹拌槽122内部の温度が常温になるまで、低速側ローター123を回転させる。これによって、図3に示すキャリア芯材101表面に樹脂被覆層104が形成されたキャリア110が得られる。
上記のような撹拌装置120の具体例としては、スパルタンリューザー(株式会社ダルトン社製)、およびバーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック社製)などが挙げられる。
上記のように樹脂被覆キャリアを装置中で撹拌させ、その装置中に過熱水蒸気を導入する方法でもキャリア芯材表面に樹脂被覆層が形成されたキャリアが得られるが、本実施形態では、加熱処理工程S2で、過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入することが好ましい。樹脂被覆キャリアを装置中で撹拌させ、その装置中に過熱水蒸気を導入する方法では樹脂被覆キャリア同士が凝集して凝集体が生成されるおそれがある。過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入することによって、樹脂被覆工程で得られた樹脂被覆キャリアの被覆用樹脂層中から残留溶媒を除去している間に樹脂被覆キャリア粒子同士が集まって形成される凝集体の生成を抑制でき、流動性の良好なキャリアを得ることができる。
上記の場合、樹脂被覆キャリアは、搬送用エアによって過熱水蒸気雰囲気中に噴射することが好ましい。また過熱水蒸気雰囲気は、水蒸気発生装置で発生した水蒸気をさらに過熱水蒸気発生装置によって過熱して得られる過熱水蒸気雰囲気中に、樹脂被覆キャリアを搬送用エアで噴射することによって作られることが好ましい。
過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入して樹脂被覆層を形成するには、たとえば特開2008−129522号公報に開示の図6に示す装置を用いることができる。図6は、過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入して樹脂被覆層を形成する樹脂被覆層形成装置107の構成を模式的に示す断面図である。樹脂被覆層形成装置107は、キャリアホッパ50とキャリア噴射ノズル10と過熱水蒸気噴射ノズル11と水蒸気発生装置220と過熱水蒸気発生装置130と冷却室60とキャリア捕集装置70とを含む。
樹脂被覆層形成装置107を用いた樹脂被覆層の形成では、まず、樹脂被覆工程S1で得られた樹脂被覆キャリア100をキャリアホッパ50に入れる。当該製造装置には樹脂被覆キャリア100を常時一定量で供給する図示しない機構が具備される。樹脂被覆キャリア100は、流速5〜15m/分の搬送用エア115でキャリア噴射ノズル10の噴射口に搬送される。
本装置では、キャリア噴射ノズル10の外周を取り囲むように、過熱水蒸気噴射ノズル11が配設される。該過熱水蒸気噴射ノズル11からは、水蒸気を発生するボイラーからなる水蒸気発生装置220と該水蒸気発生装置220から得られた水蒸気を100℃以上に加熱する過熱水蒸気発生装置130とによって発生した150〜300℃の過熱水蒸気35が流速5〜15m/分で加熱領域45に向けて噴射される。
キャリア噴射ノズル10から噴射された樹脂被覆キャリア100は、該過熱水蒸気噴射ノズル11から噴射された過熱水蒸気35の雰囲気中に放出される。そして過熱水蒸気雰囲気中で樹脂被覆層内部まで瞬時に加熱され、主樹脂成分が溶融し、樹脂材が有する表面張力によって滑らかな表面に成形される。表面が滑らかになった樹脂被覆キャリア100は、冷却用エアが旋回流として流れている冷却室60に到達し、旋回流に搬送されながら、冷却され球形の形状を保持したまま、冷却室からキャリア捕集装置70へと搬送される。キャリア捕集装置70では、メッシュを用いており、メッシュでキャリア110が捕集され、空気のみが装置外に抜けるように構成される。このようにして図3に示すキャリアが得られる。
2、キャリア
本発明の第2の実施形態であるキャリアは、本発明のキャリアの製造方法で製造される。本発明のキャリアの製造方法では、被覆用樹脂層から残留溶媒を除去することができるので、本発明のキャリアは、トナーを溶解する残留溶媒を含まない樹脂被覆層が形成されたキャリアとなり、トナーとの撹拌中に残留溶媒が染み出すことがなく、長期間使用しても帯電安定性に優れる。
キャリアの体積平均粒子径は35μm以上55μm以下であることが好ましい。体積平均粒子径が35μm以上55μm以下のキャリアを用いることによって、現像工程におけるキャリアのトナー搬送が安定化されるとともに、高精細な画像形成が可能となる。
キャリアの形状は球形であることが好ましいけれども、非球形であっても本発明の効果が失われるものではない。
3、2成分現像剤
本発明の第3の実施形態である2成分現像剤は、本発明のキャリアとトナーとを含む。本発明のキャリアは長期間の使用にも優れた帯電安定性を有するので、帯電特性および現像性の良好な2成分現像剤が得られる。このような2成分現像剤を用いることによって、長期間にわたって高画質な画像を安定して形成することができる。
(1)トナー
トナーは、トナー粒子に外添剤が混合されてなる。トナー粒子の原料としては、結着樹脂、着色剤、離型剤および電荷制御剤などが挙げられる。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、ブラックトナー用またはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができる。たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂を得るための芳香系のアルコール成分としては、たとえばビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
上記ポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸類、トリメリット酸、トリメチン酸、ピロメリット酸などの三塩基以上の酸類およびこれらの無水物、低級アルキルエステル類が挙げられ、耐熱凝集性の点からテレフタル酸、もしくはその低級アルキルエステルが好ましい。
ここで上記ポリエステル樹脂の酸価は、5〜30mgKOH/gが好ましい。酸価が5mgKOH/g未満になると樹脂の帯電特性の低下を招いたり、電荷制御剤がポリエステル樹脂中に分散しにくくなったりする。これにより、帯電量の立ち上がりや連続使用による繰り返し現像の帯電量安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。酸価が30mgKOH/gを超えると、酸価に起因する官能基による吸湿性が向上し、使用環境の変化による帯電量の変化、たとえば、高温高湿環境下における帯電量低下を招くおそれがある。よって、上記範囲が好ましい。なお、酸価の測定は、日本工業規格(JIS)K0070−1992に記載の電位差滴定法に準拠して行う。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの定着性および保存安定性などを考慮すると、40℃以上80℃以下であることが好ましい。40℃未満であると、保存安定性が不充分になるため画像作製装置内部でのトナーの熱凝集が起こりやすくなり、現像不良が発生するおそれがある。また高温オフセット現象が発生し始める温度(以後、「高温オフセット開始温度」と称する)が低下してしまう。「高温オフセット現象」とは、加熱ローラなどの定着部材で加熱および加圧してトナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが過熱されることによってトナー粒子の凝集力がトナーと定着部材との接着力を下回ってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。また80℃を超えると、定着性が低下するため定着不良が発生するおそれがある。
結着樹脂の軟化温度(T1/2)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、150℃以下であることが好ましく、さらには60℃以上120℃以下であることが好ましい。60℃未満であると、トナーの保存安定性が低下し、画像作製装置内部でトナーの熱凝集が起こりやすくなり、トナーを安定して像担持体に供給することができず、現像不良が発生するおそれがある。また画像作製装置の故障が誘発されるおそれもある。120℃を超えると、トナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが溶融または軟化しにくくなるので、トナーの記録媒体への定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
結着樹脂の分子量は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、重量平均分子量(Mw)で5,000以上500,000以下であることが好ましい。5,000未満であると、結着樹脂の機械的強度が低下し、得られるトナー粒子が現像装置内部での撹拌などによって粉砕されやすくなり、トナー粒子の形状が変化し、たとえば帯電性能にばらつきが生じるおそれがある。また500,000を超えると、溶融されにくくなるため、トナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。ここで、結着樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation chromatography;略称GPC
)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
(着色剤)
着色剤としては、所望の色に応じて種々の着色剤を用いることができ、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、ブラックトナー用着色剤などが挙げられる。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、C.I.ダ
イレクトブルー86などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
着色剤としては、これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用してもよい。着色剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤はマスターバッチの形態で使用されてもよい。着色剤のマスターバッチは、一般的なマスターバッチと同様にして製造できる。たとえば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練して着色剤を合成樹脂中に均一に分散させた後、得られる溶融混練物を造粒することによって製造できる。合成樹脂には、トナーの結着樹脂と同種のものか、またはトナーの結着樹脂に対して良好な相溶性を有するものが使用される。このとき、合成樹脂と着色剤との使用割合は、特に制限されないが、好ましくは合成樹脂100重量部に対して、30〜100重量部である。また、マスターバッチは、粒径2〜3mm程度に造粒される。
着色剤の使用量は、特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5〜20重量部である。これはマスターバッチ量ではなく、マスターバッチに含まれる着色剤そのものの量である。着色剤をこの範囲で用いることによって、トナーの各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
(離型剤)
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させる際にトナーに離型性を付与するために添加される。したがって、離型剤を使用しない場合と比較して高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。またトナーを定着させる際の加熱によって離型剤を溶融させ、定着開始温度を低下させ、耐ホットオフセット性を向上させることができる。
離型剤としては、この分野で常用されるものが使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電性を制御することを目的として添加される。電荷制御剤としては、この分野で常用される負電荷制御用および正電荷制御用のものを使用できる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。この中でもホウ素化合物は重金属を含まないものとして特に好ましい。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。電荷制御剤は、用途に応じて使い分ければよい。電荷制御剤は、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。電荷制御剤の使用量は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
(トナーの製造方法)
トナー粒子の製造方法は特に制限されず、公知の製造方法により製造することができ、たとえば、溶融混練粉砕法によって製造できる。溶融混練粉砕法は、たとえば混合工程、溶融混練工程、粉砕工程および分級工程を含む。溶融混練粉砕法によれば、混合工程では、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、その他の添加材などのそれぞれ所定量を乾式混合し混合物を得る。溶融混練工程では、混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を冷却して固化させ固化物を得る。粉砕工程では、固化物を機械的に粉砕する。分級工程では、粉砕工程にて得られた粉砕物から、分級機で過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去する。これらの工程を経ることで、トナー粒子を作製できる。
乾式混合に用いられる混合機としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練は、攪拌下に結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。混練機として、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式のものが好ましい。溶融混練物を冷却して得られる固化物の粉砕には、カッターミル、フェザーミル、ジェットミルなどが挙げられる。たとえば、固化物をカッターミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕することによって、所望の体積平均粒子径を有するトナーが得られる。
分級には、遠心力による分級または風力による分級によって過粉砕トナー粒子および粗大トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
またトナー粒子は、たとえば、溶融混練物の固化物を粗粉砕し、得られる粗粉砕物を水性スラリー化し、得られる水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理して微粒化し、得られる微粒を水性媒体中で加熱して凝集および溶融させることによっても製造できる。
溶融混練物の固化物の粗粉砕は、たとえば、ジェットミル、ハンドミルなどを用いて行われる。粗粉砕によって、粒子径100μm〜3mm程度の粒子径を有する粗粉を得る。粗粉を水に分散させて、水性スラリーを調製する。粗粉を水に分散させるに際しては、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの分散剤の適量を水に溶解させておくことによって、粗粉が均一に分散した水性スラリーが得られる。この水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理することによって、水性スラリー中の粗粉が微粒化され、体積平均粒子径0.4〜1.0μm程度の微粒を含む水性スラリーが得られる。この水性スラリーを加熱し、微粒を凝集させ、微粒同士を溶融させて結合することによって、所望の体積平均粒子径および平均円形度を有するトナーが得られる。体積平均粒子径および平均円形度は、たとえば、微粒の水性スラリーの加熱温度および加熱時間を適宜選択することによって、所望の値にすることができる。加熱温度は、結着樹脂の軟化点以上、結着樹脂の熱分解温度未満の温度範囲から適宜選択される。加熱時間が同じである場合には、通常は、加熱温度が高いほど、得られるトナーの体積平均粒子径は大きくなる。
高圧ホモジナイザとしては、市販品が知られる。高圧ホモジナイザの市販品としては、たとえば、マイクロフルイダイザー(商品名、マイクロフルディクス(Microfluidics)社製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)、アルティマイザー(商品名、株式会社スギノマシン製)などのチャンバ式高圧ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ(商品名、ラニー(Rannie)社製)、高圧ホモジナイザ(商品名、三丸機械工業株式会社製)、高圧ホモゲナイザ(商品名、株式会社イズミフードマシナリ製)、NANO3000(商品名、株式会社美粒製)などが挙げられる。
以上のように作製されたトナー粒子には球形化処理が施されてもよく、球形化する手段としては衝撃式球形化装置や熱風式球形化装置が挙げられる。衝撃式球形化装置としては、市販されているものを使用することもでき、たとえば、ファカルティ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などを用いることができる。または、熱風式球形化装置としては、市販されているものも使用することができ、たとえば、表面改質機メテオレインボー(商品名、日本ニューマチック工業株式会社製)などを用いることができる。
(外添剤)
このようにして得られたトナー粒子には、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤が外添される。外添剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
外添剤は、平均一次粒子径が10nm〜500nmであることが好ましい。このような粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮されやすくなる。ここで、外添剤の平均一次粒子径は、動的光散乱を利用する粒子径分布測定装置、たとえばDLS−800(商品名、株式会社大塚電子製)やコールターN4(商品名、コールターエレクトロニクス社製)によって測定可能であるが、疎水化処理後の粒子の二次凝集を解離することは困難であるため、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron
Microscope)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)により得られる写真画像を画像解析することにより直接求めることが好ましい。
外添剤の添加量は、特に制限されないが、好ましくはトナー粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。外添剤の添加量をこのような範囲とすることによって、トナーに流動性を付与し、転写効率を高めることができる。外添剤の添加量が0.1重量部未満だと、トナーに充分な流動性を与えることができず、転写効率を高めることもできない。外添剤の添加量が3.0重量部を超えると、外添剤のキャリア表面へ堆積する速度が速くなり、キャリアのトナーに対する帯電付与能力の低下を抑えにくくなる。
(2)キャリア
本発明のキャリアの製造方法で製造されたキャリアを含む本発明の2成分現像剤において、キャリアは樹脂被覆層中には電荷制御剤が含むことが好ましい。樹脂被覆層中に電荷制御剤のような電荷発生材料を含むことによって、樹脂被覆層内部からトナーに電荷が供給されるので、長期間にわたって安定してトナーを帯電させることのできる2成分現像剤が得られる。このような2成分現像剤を用いることによって、長期間にわたって高画質な画像をより安定して形成することができる。電荷制御剤は、トナーに含有される電荷制御剤と同極性のものであることがより好ましく、同一の材料であることがさらに好ましい。同一の材料であると長期間の使用による帯電性の劣化が少ない。
(電荷制御剤)
樹脂被覆層中に含ませる正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。この中でもトナーに含まれる電荷制御剤と同一成分のものを用いることが好ましい。したがって、キャリアの樹脂被覆層中に含ませる電荷制御剤は、正電荷制御用または負電荷制御用の帯電制御剤をトナーに含まれる電荷制御剤に合わせて使用すればよい。電荷制御剤は1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。電荷制御剤の使用量は、トナーに充分な電荷を付与でき、かつ樹脂被覆層の機械的強度などを著しく低下させることがない範囲から適宜選択されるが、好ましくは樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して5〜15重量部である。
(導電性粒子)
樹脂被覆層中には電荷制御剤の他に導電性粒子を含んでいてもよい。樹脂被覆層に導電性粒子が含まれることによって、トナーの初期帯電量が不所望に大きくなることを防ぐことができるので、長期間にわたってトナーを安定して帯電させることができる。
導電性粒子としては、たとえば、導電性カーボンブラック、導電性酸化チタンおよび酸化スズなどの酸化物が用いられる。少ない添加量で導電性を発現させるには、カーボンブラックなどが好適であるが、カラートナーに対してはキャリアの樹脂被覆層からのカーボン脱離が懸念される場合がある。このときはアンチモンをドープさせた導電性酸化チタンなどを用いてもよい。
導電性粒子は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。導電性粒子の体積平均粒子径は特に制限されないけれども、好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.02〜1μmである。なお、この体積平均粒子径はレーザー回折・散乱式の粒度測定装置(たとえば、株式会社堀場製作所製のLA−920)を用いて測定される値である。
樹脂被覆層中における導電性粒子の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して30重量部以下であり、より好ましくは1重量部以上30重量部以下である。導電性粒子の含有量が樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して30重量部を超えると、樹脂被覆層から導電性粒子が欠落しやすく、カラー画像に影響を及ぼすことが懸念される。また樹脂被覆層の機械的強度および芯材に対する密着性が不充分となり、樹脂被覆層が剥離して、芯材が露出するおそれがある。樹脂被覆層が剥離して芯材が露出すると、初期のキャリアと比べて、帯電性能が変化してしまい、トナーを安定して帯電させることができなくなるおそれがある。導電性粒子の含有量を樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して30重量部以下にすることによって、樹脂被覆層からの導電性粒子の欠落を防いで、カラー画像への影響を抑えることができる。また樹脂被覆層の機械的強度および芯材に対する密着性を向上させることができるので、長期的かつ安定的にトナーを帯電させることのできるキャリアが実現される。したがって高画質の画像をより安定的に形成することのできる現像剤が実現される。
導電性粒子の含有量が樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して1重量部未満であると、導電性粒子の添加効果が見られず、トナーに充分な電荷を付与することができないおそれがある。導電性粒子の含有量を樹脂被覆層に含まれる樹脂100重量部に対して1重量部以上とすることによって、導電性粒子の添加効果をより確実に発現させ、トナーに充分な電荷を付与することができる。
(3)2成分現像剤
トナーとキャリアとの混合割合は特に制限されないが、A4サイズの画像で1分間に40枚以上印刷可能な高速画像形成装置に用いることを考慮すると、トナーの体積平均粒子径に対するキャリアの体積平均粒子径の比率が5以上であり、カバレッジθが50〜75%程度のものを用いることが好ましい。これによって、トナーの帯電性が充分良好な状態で安定的に維持され、高速画像形成装置においても高画質画像を安定的に、かつ長期的に形成できる好適な現像剤として使用できる。なお、カバレッジθとはキャリアの総表面積(全キャリアの表面積の総和)に対するトナーの総投影面積(全トナー粒子の投影面積の総和)の割合((トナーの総投影面積/キャリアの総表面積)×100)である。
カバレッジθの値は、現像剤中のトナー濃度で調整することができる。現像剤中のトナー濃度が低い場合(カバレッジθが50%より小さい場合)はトナー帯電量が上昇する傾向にあり、トナー濃度が高い場合(カバレッジθが75%より大きい場合)にはトナー帯電量が減少する傾向にある。そのため、この現象を利用し帯電量をある程度調節することが可能である。しかしながら、実機に搭載して現像剤を使用する場合、トナー濃度を下げていくと、キャリアと感光体との接触面積の増加からキャリア付着が問題となって現れる。またトナー濃度を上げていくと、帯電量の低下とともにトナー飛散が深刻になってくる。
カバレッジθとトナー濃度との関係としては、具体的には、トナーの体積平均粒子径が6.5μmであり、キャリアの体積平均粒子径が40μmである場合に、カバレッジθを50〜75%にすると、現像剤中で樹脂被覆キャリア100重量部に対してトナーが6.9〜10.4重量部程度含まれることが好ましい。このような現像剤で高速現像すると、トナー消費量とトナーの消費に応じて現像装置の現像槽に供給されるトナー供給量とがそれぞれ最大になり、それでも需給バランスが損なわれることがない。
現像剤中でキャリア100重量部に対してトナーが6.9〜10.4重量部程度よりも多くなると、帯電量がより低くなる傾向があり所望の現像特性が得られないばかりか、トナー供給量よりもトナー消費量の方が多くなり、トナーに充分な電荷を付与できなくなり、画質の劣化を招く。反対に、キャリアの量が少ない場合は帯電量が高くなる傾向があり、キャリアからトナーが電界によって分離しにくくなり、結果として画質の劣化を招く。
トナーの総投影面積は、本実施形態では、以下のように算出する。トナーの比重を1.0とし、コールターカウンタ(商品名:コールターカウンタ・マルチサイザーII、ベックマン・コールター社製)で得られた体積平均粒子径を基に算出する。すなわち、混合するトナー重量中のトナー個数を算出し、トナー個数×トナー面積(円と仮定して算出)をトナー総投影面積とする。同様に、キャリアの表面積の総和は、キャリア比重を4.7とし、マイクロトラック(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)によって得られた粒子径を基に、混合するキャリア重量から総表面積を算出する。
4、現像装置
本発明の第4の実施形態である現像装置20は、本発明の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像して可視像を形成する。図7は、本実施形態の現像装置20の構成を示す概略図である。本発明の現像剤は、長期の使用においてトナー帯電量を安定化させることができるので、本発明の現像剤を用いることによって、長期間にわたって像担持体に高画質なトナー像を安定して形成する現像装置を実現することができる。
図7に示すように、現像装置20は、現像剤を格納する現像ユニット10、および現像剤を像担持体である感光体15に搬送する現像剤担持体(現像剤搬送担持体)13を備える。
現像ユニット10の内部に予め投入された本実施形態のキャリアとトナーとから成る本実施形態の現像剤(2成分現像剤)が、撹拌スクリュー12によって撹拌されて帯電される。そして、現像剤は、内部に磁界発生手段であるマグネットローラを配設した現像剤担持体13に搬送されることで、現像剤担持体13表面に保持される。現像剤担持体13表面に保持された現像剤は、現像剤規制部材14によって一定層厚に規制され、現像剤担持体13と感光体15との近接領域に形成される現像領域に搬送され、現像剤担持体13に交流バイアス電圧を印加して形成される振動電界下に、感光体15上の静電荷像を反転現像法で顕像化する。
また、可視像形成によるトナー消費は、図示しないトナー濃度センサによって、現像剤重量に対するトナー重量の比率であるトナー濃度の変化として検知され、消費された分は、予め定められた規定トナー濃度に達したことを図示しないトナー濃度センサが検知するまでトナーホッパー16から補給され、現像ユニット10内部の現像剤におけるトナー濃度は略一定に保たれる。また、本実施形態において、現像剤担持体13と現像剤規制部材14とのギャップ、および現像領域における現像剤担持体13と感光体15とのギャップは、たとえば、0.4mmに設定されていてもよい。もちろん、これは単なる例示でありこの数値に限定されることはない。
5、画像形成装置
本発明の画像形成装置21は、上記現像装置20を備える。現像装置20以外の他の構成は、公知の電子写真方式の画像形成装置の構成を用いることができる。図8は、本発明の第5の実施形態である画像形成装置21の構成を示す概略図である。画像形成装置21は、可視像形成ユニット31と、定着装置28と、クリーニング手段29,30とを含む。可視像形成ユニット31の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(k)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。可視像形成ユニット31は、感光体15と、帯電装置22と、露光手段23と、現像装置20と、転写手段24,26とを含む。
像担持体である感光体15は、表面に静電荷像を形成し得る感光層を有するローラ状部材である。帯電手段である帯電装置22は、感光体15表面を所定電位に帯電させる。露光手段であるレーザー光照射手段23は、表面が帯電状態にある感光体15に画像情報に応じた信号光を照射して感光体15の表面に静電荷像(静電潜像)を形成する。転写手段は、1次転写装置24と2次転写装置26とを含み、1次転写装置24は、現像装置20からトナー3が供給されて現像された感光体15表面のトナー像を、中間転写体である中間転写ベルト25に転写する。2次転写装置26は、中間転写ベルト25に転写されたトナー像を記録媒体27に転写する。定着手段である定着装置28は、記録媒体27表面のトナー像を記録媒体27に定着させる。クリーニング手段は、感光体用クリーニング装置29と転写用クリーニング装置30とを含み、感光体用クリーニング装置29は、トナー像の記録媒体27への転写後に感光体15表面に残留するトナー3および紙粉などを除去する。転写用クリーニング装置30は、上記中間転写ベルト25に付着した余分なトナー3などを除去する。
静電荷像を現像する際には、感光体15上の静電荷像を反転現像法で顕像化する現像工程がトナーの色毎に実行され、中間転写ベルト25に色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて多色トナー像が形成される。本実施形態では、中間転写ベルト25を用いた中間転写方式を採用しているが、感光体15から直接記録媒体にトナー像を転写する構成が用いられてもよい。
本実施形態の画像形成装置21によれば、前述のように感光体15にかぶりのないトナー像を形成可能な本発明の現像装置20を備えて画像形成装置21が実現される。このような画像形成装置21で画像を形成することによって、長期間にわたってかぶりのない高画質画像を安定して形成することができる。
以下に本発明に係る実施例および比較例について記載する。本発明は、その要旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。後述する実施例および比較例では、キャリア、およびトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いた評価を行った。
〔測定方法〕
<キャリア芯材の体積平均粒径>
トリトンX−100(非イオン性界面活性剤(化学式:C346211))の0.1%純水溶液10mL中に測定試料であるキャリア芯材を約1〜5mg添加し、超音波分散機にて1分間分散させた。この分散液のうち約2〜5mLを、マイクロトラックMT3000(日機装株式会社)の所定箇所に加えた後1分間撹拌し、散乱光強度が安定したことを確認してからキャリア芯材の体積平均粒径を測定した。
〔実施例1〕
(樹脂被覆工程S1)
下記に示す使用量(部)のシリコーン樹脂、導電性粒子、電荷制御剤およびカップリング剤を溶媒であるトルエン中に分散させ被覆用樹脂溶液を作製した。
・シリコーン樹脂(商品名:SR2411、シリコーン樹脂20%溶液、東レダウコーニング株式会社製) 100重量部
・導電性粒子(商品名:VULCANXC72、導電性カーボンブラックトルエン分散液、固形濃度15%液、キャボット株式会社製) 5重量部
・電荷制御剤(商品名:ボントロンE−84、負帯電性電荷制御剤、オリエント化学株式会社製) 10重量部
・カップリング剤(商品名:SH6020、100%溶液、東レダウコーニング株式会社製) 1重量部
この被覆用樹脂溶液にキャリア芯材(平均粒径が40μmの球状フェライト粒子)を浸漬することによって樹脂被覆キャリアを得た。
(加熱処理工程S2)
樹脂被覆工程S1で得られた樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱溶融させることによってキャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成し、実施例1のキャリアを得た。
具体的には、撹拌装置であるスパルタンリューザー(株式会社ダルトン社製)の撹拌槽に樹脂被覆キャリアを投入し、高速側ローターの回転数5000rpm、低速側ローターの回転数30rpmで撹拌させたあと、スパルタンリューザーに付属しているノズルに、水蒸気を発生するボイラーからなる水蒸気発生装置から得られた水蒸気を100℃以上に加熱する過熱水蒸気発生装置によって発生した250℃の過熱水蒸気を流速5m/分で供給した。これによって樹脂被覆キャリアが存在する撹拌槽内部の雰囲気を過熱水蒸気で満たした。また、バルブを開放状態にし、スパルタンリューザーの撹拌槽内部の圧力が高くならないように過熱水蒸気を大気中に放出した。この状態を15分間保持した。
スパルタンリューザーに付随するローター駆動用モータの電流値が増加した時点で、過熱水蒸気の供給を停止すると同時に別系統から常温の乾燥空気を撹拌槽内部に供給した。そして撹拌槽内部の温度が常温になるまで、低速側ローターを回転数25rpmで回転させ冷却した。
〔実施例2〕
スパルタンリューザーの代わりに、図6に示すキャリア樹脂被覆層形成装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のキャリアを得た。
具体的には、樹脂被覆工程S1で得られた樹脂被覆キャリアをキャリアホッパ50に投入し、該樹脂被覆キャリアを搬送用エア115によって過熱水蒸気雰囲気中に搬送した。水蒸気発生装置220から生成された水蒸気は、過熱水蒸気発生装置130によって250℃に加熱され、過熱水蒸気として加熱領域45に到達した。また該樹脂被覆キャリアは、キャリア噴射ノズル10にて加熱領域45に吐出された。該加熱領域45において、該樹脂被覆キャリア表面に過熱水蒸気が付着し、該樹脂被覆キャリア表面の被覆用樹脂層が加熱された。その後、冷却室60で50℃以下までキャリアを冷却し、キャリア捕集装置70で捕集し、キャリアを得た。
〔実施例3,4〕
過熱水蒸気の設定温度を250℃から200℃、300℃にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例3,4のキャリアを得た。
〔実施例5〕
商品名がボントロンE−84の電荷制御剤の代わりに下記の電荷制御剤を樹脂被覆層に含有させたこと以外は実施例1と同様にして実施例5のキャリアを得た。
・電荷制御剤…商品名:LR−147、負帯電性電荷制御剤、固形濃度15%溶液、日本カーリット株式会社製 15重量部
〔実施例6〕
商品名がボントロンE−84の電荷制御剤の代わりに下記の電荷制御剤を樹脂被覆層に含有させたこと以外は実施例1と同様にして実施例6のキャリアを得た。
・電荷制御剤…商品名:P−51、正帯電性電荷制御剤、4級アンモニウム塩、5%メタノール溶液、オリエント化学株式会社製 20重量部
〔比較例1〕
加熱処理工程S2を実施せず、脱気のみで樹脂溶液中の溶剤を揮発させたこと以外は実施例1と同様にして比較例1のキャリアを得た。
〔比較例2,3〕
過熱水蒸気の設定温度を250℃から150℃、350℃にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例2,3のキャリアを得た。
〔比較例4〕
被覆用樹脂溶液に電荷制御剤を含有させなかったこと以外は実施例1と同様にして、樹脂被覆層に電荷制御剤を含まない比較例4のキャリアを得た。
〔2成分現像剤の製造〕
実施例および比較例で得られたキャリアに対してトナーの被覆率が62.5%となるようにトナーとキャリアとをPE(ポリエチレン)製のボトル(容量:500cc)に入れ、ロールミルにて1時間混合した後、1日放置することによって2成分現像剤を製造した。
トナーとしては下記のようにして製造したものを用いた。
〔トナーの製造〕
まず、下記(ア)〜(エ)に示す各材料をヘンシェルミキサにて前混合した後、二軸押出混練機にて溶融混練した。この混練物をカッテングミルで粗粉砕した後、ジェットミルにて微粉砕し、気流式分級機で分級することによって平均粒径が6.5μmのトナー母体粒子を作製した。
(ア)結着樹脂…ポリエステル樹脂(酸価:21mgKOH/g、芳香族系アルコール成分:PO−BPAおよびEP−BPA、酸成分:フマル酸と無水メリット酸)
87.5重量%
(イ)顔料…C.I.Pigment Blue 15:1 5重量%
(ウ)ワックス…無極性パラフィンワックス(DSCピーク78℃,Mw8.32×
10) 6重量%
(エ)電荷制御剤…商品名:LR−147(日本カーリット株式会社製)
1.5重量%
上記作製したトナー母体粒子97.8重量%に、i−ブチルトリメトキシシランで疎水化処理した体積平均粒径が100nmのシリカ1.2重量%と、HMDSで疎水化処理した体積平均粒径が12nmのシリカ微粒子1.0重量%とを加え、ヘンシルミキサで混合して外添処理を行うことによってトナーを作製した。ここで用いた(エ)電荷制御剤であるLR−147は、物質名が「Boro bis (1.1-diphenyl-1-oxo-acetyl) potassium Salt
」であり、化学式はC2820BKOで表される。上記無極性パラフィンワックスMwは周知のとおり重量平均分子量を示す。
〔評価〕
上記のようにして作製したキャリアおよび2成分現像剤を用い、実施例および比較例のキャリアの帯電安定性、抵抗値安定性、流動安定性および凝集度を以下の方法によって評価をした。
(帯電安定性)
帯電安定性は、トナーの初期状態における目標設定帯電量(30μC/g)と実施例および比較例のトナーの初期の帯電量との差、および出力画像を50000(以下「50K」と記載する)枚印刷した後における初期のトナー帯電量からの帯電量変動率を用いて、経時劣化の影響を求めることで評価した。複写機(商品名:MX−4500N、シャープ株式会社製)から取り出した図7に示すような現像ユニットに配設されている現像スリーブ表面の2成分現像剤を採取し、吸引式帯電量測定装置(TREK社:210H−2A Q/M Meter)を用いて帯電量を測定した。
帯電安定性の評価基準は以下のとおりである。
◎:初期のトナー帯電量が30μC/g±10%以内であり、かつ経時におけるトナー帯電量変動率が±15%以下である。
○:初期のトナー帯電量が30μC/g±15%以内であり、かつ経時におけるトナー帯電量変動率が±20%以内である。
△:初期のトナー帯電量が30μC/g±15%以内であり、かつ経時におけるトナー帯電量変動率が±20%を超えて±25%以下である。
×:初期のトナー帯電量が30μC/g±15%を超える、または経時におけるトナー帯電量変動率が±25%を超える。
本評価においては、トナーの初期状態における目標帯電量を30μC/gとしている。この帯電量値は、従来機種のプロセスで画質が最良になる値から求めたものであり、目標帯電量30μC/gは、トナー現像量およびトナーの転写性を確保するために必要な比電荷量である。
なお、帯電量が20μC/gであっても初期のトナー帯電量としては問題ないが、50K枚印字後の経時において帯電量変化が生じた場合には、帯電量不足によってトナーかぶりが発生するおそれがある。このために、本評価では、30μC/gを目標帯電量とした。
(抵抗値安定性)
抵抗値安定性は、実施例および比較例の初期状態におけるキャリア粒子と、50K枚印字後(経時)におけるキャリア粒子の電気抵抗値(体積抵抗値)の変動の程度で評価した。また、実施例および比較例のキャリアの電気抵抗値は、常温・常湿環境下において、ブリッジ抵抗測定治具(対向する電極間の距離1mm、測定電極エリア面積が40×16mm)を用いて測定した。
具体的には、実施例および比較例のキャリアを測定サンプルとして電子天秤等で0.2mg取り分けた。この測定サンプルを、ブリッジ抵抗測定治具の対向する電極間の間に挿入し、該電極の裏側から磁石を用いて、対向電極間にキャリアのブリッジを形成させた。このとき、ブリッジ間のキャリアを均すために、5〜6回程度タッピングした。ブリッジ間のキャリアを均一に均した後、1.5×10(V/cm)の電界強度が生じる電圧を印加したときの電流値を、デジタルエレクトロンメータ(アドバンテスト社:R8340)を用いて測定し、実施例および比較例の電気抵抗値(キャリア抵抗値)を算出した。
抵抗値安定性の評価基準は以下のとおりである。目標抵抗値は、画像濃度とキャリア付着抑止の観点から、10Ωcm以上1011Ωcm以下の範囲に設定した。また、経時における膜剥がれ、およびトナー成分の付着などのキャリア粒子表面汚染による抵抗値変化は、画像濃度の低下やキャリア付着などを生じるため、初期画像に比べて画像劣化を引き起こす。そこで、経時実験などで求めた画像濃度などの変動範囲をもとに抵抗値変化の許容範囲を設定した。
◎:非常に良好。目標抵抗値を満足し、経時において抵抗値変化が±10%以下である。
○:良好。目標抵抗値を満足し、経時において抵抗値変化が+10%を超え、+20%以下である。
△:可。目標抵抗値を満足し、経時において抵抗値変化が−10%を超え、−25%以下である。
×:不可。抵抗値変化が+20%を超える、または抵抗値変化が−25%を超える。
(流動安定性)
前記現像ユニット内での2成分現像剤の搬送量を測定した。2成分現像剤の搬送量は、現像ユニット内での2成分現像剤の流動性を示す指標となる。
実施例および比較例の2成分現像剤を前記現像ユニットにセットし、現像剤担持体を50rpmで駆動し、ギヤを介し駆動される撹拌スクリューを回転させながら、現像剤落下用穴から該現像剤を落下させ、その現像剤量を測定した。その後、その現像ユニットを温度52.5℃に保たれた恒温槽の中に入れ、現像剤担侍体を430rpmで1時間半回転させるとともに、撹拌スクリューによって2成分現像剤を攪拌させた。このようにして現像ユニット内の現像剤に機械的ストレスを加えた後、恒温槽に入れる前と同様に、現像剤の落下量を求めた。
本実施形態では、現像ユニット内の2成分現像剤の恒温槽投入前の2成分現像剤の落下量Aと、恒温槽投入後の2成分現像剤の落下量Bとの比率((落下量B/落下量A)×100)を搬送率とし、恒温槽に入れることで樹脂被覆層を加速度的に劣化させた2成分現像剤の流動性を示す指標にした。
流動安定性の評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好。搬送率が75%以上である。
○:良好。搬送率が50%以上75%未満である。
△:可。搬送率が30%以上50%未満である。
×:不良。搬送率が30%未満である。
搬送率が75%以上であると、恒温槽に投入した2成分現像剤を用いた場合と、恒温槽に投入する前の2成分現像剤を用いた場合とでは、ほぼ同等の画像濃度および画質が得られる。搬送率が50%以上75%未満であると、若干の画像濃度低下が生じるが、出力画像は得られる。搬送率が30%以上50%未満であると、画像濃度および画質の低下が著しいが、画像の出力は可能である。搬送率が30%未満であると、画像出力ができない。
(凝集度)
実施例および比較例のキャリア100gを74μmのメッシュにそれぞれ投入した。該メッシュに対して超音波加振を3分間施し、該メッシュに残ったキャリアの残量とキャリアの投入量との質量比率を用いてキャリアの凝集度を評価した。
凝集度の評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好。凝集度が5%未満である。
○:良好。凝集度が5%以上10%未満である。
△:可。凝集度が10%以上20%未満である。
×:不可。凝集度が20%以上である。
帯電安定性、抵抗安定性、流動安定性および凝集度の評価結果を表1に示す。
Figure 2010181655
表1から、実施例1のキャリアを含む2成分現像剤は、帯電安定性が高く、また経時における抵抗値安定性も高いことがわかる。
凝集度の評価結果から、実施例2のキャリアは、過熱水蒸気雰囲気中にキャリアを放出することにより、キャリア粒子同士の付着が軽減されていることがわかる。
過熱水蒸気の温度が200℃以上300℃以下から外れる比較例2,3は、帯電安定性および抵抗値安定性が低下することがわかる。
帯電制御剤を含まない比較例4は、帯電安定性および抵抗値安定性が低下することがわかる。
10 キャリア噴射ノズル
11 過熱水蒸気噴射ノズル
20 水蒸気発生装置
30 過熱水蒸気発生装置
60 冷却室
70 キャリア捕集装置
50 キャリアホッパ
107 樹脂被覆層形成装置

Claims (8)

  1. キャリア芯材表面に電荷制御剤を含む樹脂被覆層が形成されたキャリアの製造方法であって、
    樹脂被覆層の構成材料を含む被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆することによって樹脂被覆キャリアを得る樹脂被覆工程と、
    樹脂被覆キャリアを過熱水蒸気雰囲気中で加熱処理する加熱処理工程とを含み、
    加熱処理工程で、過熱水蒸気雰囲気中の温度が200℃以上300℃以下であることを特徴とするキャリアの製造方法。
  2. 樹脂被覆工程で、被覆用樹脂溶液にキャリア芯材を浸漬することによって、または流動層中で被覆用樹脂溶液をキャリア芯材に噴霧することによって被覆用樹脂溶液でキャリア芯材表面を被覆し、樹脂被覆キャリアを得ることを特徴とする請求項1に記載のキャリアの製造方法。
  3. 加熱処理工程で、過熱水蒸気雰囲気中に樹脂被覆キャリアを投入することを特徴とする請求項1または2に記載のキャリアの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のキャリアの製造方法によって製造されることを特徴とするキャリア。
  5. 請求項4に記載のキャリアと、トナーとを含むことを特徴とする2成分現像剤。
  6. トナーに含まれる電荷制御剤と樹脂被覆層中に含まれる電荷制御剤とが同一の材料であることを特徴とする請求項5に記載の2成分現像剤。
  7. 請求項5または6に記載の2成分現像剤を用いて、像担持体に形成される静電潜像を現像して可視像を形成することを特徴とする現像装置。
  8. 静電潜像が形成される像担持体と、
    像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    請求項7に記載の現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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JP2016139008A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 パウダーテック株式会社 キャリア及び該キャリアを用いた電子写真現像剤

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