JP2010277000A - カプセルトナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Yoshiaki Akazawa
良彰 赤澤
Noritaka Kawase
徳隆 川瀬
Yorihisa Tsubaki
頼尚 椿
Yoshinori Muto
吉紀 武藤
Keiichi Kikawa
敬一 紀川
Takashi Hara
高志 原
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Abstract

【課題】
感光体ドラムや現像ローラからのトナーへの電荷注入を防ぎつつ、トナー帯電量の上昇を抑え、長期にわたり画像濃度の低下やカブリのない画像を得ることのできるカプセルトナーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】
カプセルトナーは、バインダー樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子を含み、該トナー母粒子表面を被覆する樹脂層とを有するトナー粒子で構成され、前記トナー母粒子と樹脂層との界面および前記樹脂層中に、電気抵抗調整機能を有する微粒子を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カプセルトナーおよびその製造方法に関する。
電子写真方式を利用する画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写、および定着の一連の工程によって画像を形成する。まず、帯電工程で、帯電部によって感光体の表面を均一に帯電させ、露光工程で、露光装置によって、帯電した感光体表面にレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。続く現像工程で、現像部によって、感光体上の静電潜像を現像し、感光体上にトナー像を形成し、転写工程で、転写部によって感光体上のトナー像を記録媒体上に転写する。最後の定着工程で、定着部によって、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱し、記録媒体に定着させる。
上記の定着工程における省エネルギー化のために、軟化点の低い結着樹脂を用いた、低温定着用トナーの開発が進んでいる。しかしながら、低温で定着可能な軟化点の低い結着樹脂を使用すると、トナーの保存安定性が低下し、トナー凝集が発生してしまう。
そのため、トナーの保存安定性を向上させることを目的として、トナー母粒子の表面をトナー母粒子よりガラス転移点や軟化点が高く、熱耐久性が高い樹脂材料等で被覆する表面改質処理が行われている。トナー母粒子を被覆することで、トナー凝集を抑えることができる。
このようなトナーとして、例えば、特許文献1には、内核粒子表面に樹脂微粒子および無機物微粒子を付着させ、当該樹脂微粒子を溶剤によって溶解することで、内核粒子表面に樹脂被覆層を形成するカプセルトナーの製造方法が記載されている。特許文献1では、溶剤を用いた溶解処理によって内核粒子表面に樹脂被覆層を形成した後、当該溶媒を60℃で噴霧乾燥させて除去することで、無機物微粒子含有樹脂被膜トナーを作製している。
特開平3−293676号公報
しかしながら上記方法により得られたカプセルトナーにおいては、無機微粒子としてシリカ粒子などを用いると、トナーの帯電量が過度に上昇し、画像濃度が低下するという問題があった。また、無機微粒子として酸化チタン粒子などを用いると、カブリが発生するという問題があった。
この原因としては、カプセルトナーの表面に無機微粒子が多量に存在するため、カプセルトナーの電気特性が、無機微粒子の電気特性に支配されやすく、シリカなど絶縁性の高い無機微粒子を用いると、帯電が過度に上昇し、また、酸化チタンなど絶縁性の低い無機微粒子を用いると、電荷注入が生じるためと考えられる。
そこで本発明の目的は、感光体ドラムや現像ローラからのトナーへの電荷注入を防ぎつつ、トナーの帯電量の上昇を抑え、長期にわたり画像濃度の低下やカブリのない画像を得ることのできるカプセルトナーおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、バインダー樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子を含み、該トナー母粒子表面を被覆する樹脂層とを有するトナー粒子で構成されるカプセルトナーにおいて、
前記トナー母粒子と樹脂層との界面および前記樹脂層中に、電気抵抗調整機能を有する微粒子を含むことを特徴とするカプセルトナーである。
また本発明は、前記電気抵抗調整機能を有する微粒子が、個数平均粒径20nm以上50nm以下の酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子であり、該微粒子によるトナー母粒子表面の被覆率が10%以上50%以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナー母粒子と樹脂層との界面または前記樹脂層中に帯電制御剤を含み、該帯電制御剤の添加量が、トナー母粒子100重量部に対して0.1重量部以上1重量部以下であることを特徴とする。
また本発明は、バインダー樹脂および着色剤を含むトナー母粒子表面が、個数平均粒径20nm以上100nm以下の酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子により被覆率10%以上50%以下で被覆された、微粒子付着トナー粒子を形成する工程と、
前記微粒子付着トナー粒子表面が、樹脂微粒子で被覆された、樹脂微粒子付着トナー粒子を形成する工程と、
流動状態にある前記樹脂微粒子付着トナー粒子に、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体を噴霧しながら、衝撃力によりトナー母粒子表面に樹脂微粒子膜を形成する工程とを含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
また本発明は、前記トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体が、トナー母粒子100重量部に対して0.1重量部以上1重量部以下の帯電制御剤を含むことを特徴とする。
本発明によれば、カプセルトナーの表面近傍に電気抵抗調整機能を有する微粒子を局在させて含むため、トナー表面に過剰な電荷が溜まりにくく、トナー帯電量の過度の上昇や、画像濃度の低下が抑えられる。また、トナー母粒子表面を被覆する樹脂層を有するため、帯電した感光体ドラムや現像バイアスが印加された現像ローラからの、電気抵抗調整機能を有する微粒子を介したトナーへの電荷注入が起こりにくく、カブリの発生を抑えることができる。
また本発明によれば、カプセルトナー中の電気抵抗調整機能を有する微粒子である酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子の個数平均粒径が、20nm以上50nm以下であり、これらの微粒子によるトナー母粒子表面の被覆率が10%以上50%以下であることにより、トナー帯電量の過度の上昇や、樹脂層の剥離が生じにくいため、画像濃度の低下や、感光体ドラムへのトナーのフィルミングを防止できる。
また本発明によれば、帯電制御剤がカプセルトナー表面近傍に局在するため、わずかな帯電制御剤を添加するだけで、帯電性に優れたカプセルトナーを得ることができる。
また本発明によれば、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体を樹脂微粒子付着トナー粒子に向かって噴霧しながら、衝撃力を付与することによりトナー母粒子表面に強固な被膜が形成される。したがって、トナー母粒子と樹脂層との間に電気抵抗調整機能を有する微粒子である酸化チタンあるいはメタチタン酸が含まれていても、樹脂層が剥離しにくく、感光体ドラムへのトナーのフィルミングを防止可能なカプセルトナーを得ることができる。
また本発明によれば、カプセルトナー中の帯電制御剤が、樹脂層中あるいはトナー母粒子と樹脂層との界面、すなわちカプセルトナー表面近傍に局在するため、わずかな帯電制御剤を添加するだけで、帯電性に優れたカプセルトナーを得ることができる。
本発明のカプセルトナーの製造方法の手順の一例を表す工程図である。 本発明のカプセルトナーの製造方法で用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。 図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。 粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
1、トナーの製造方法
図1は、本発明のカプセルトナーの製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。本発明のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子を調製する樹脂微粒子調製工程S2と、トナー母粒子を樹脂微粒子および電気抵抗調整機能を有する微粒子で被覆する被覆工程S3とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程S1
トナー母粒子作製工程S1では、被覆層によって被覆されるべきトナー母粒子を作製する。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む粒子であり、その作製方法は特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。トナー母粒子の作製方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、および、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、一例として粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法を説明する。
(粉砕法によるトナー母粒子作製方法)
粉砕法によるトナー母粒子の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級には、遠心力および風力による分級によって過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用できる。
(トナー母粒子原料)
前述のように、トナー母粒子は、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂としては、特に限定されることなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
上述の結着樹脂の中でも、ポリエステルは、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるため、カラートナー用の結着樹脂に好適である。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、たとえば多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下で、多塩基酸と多価アルコールとを接触させて行い、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによりポリエステルが得られる。
多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が起こる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することで、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変えることができる。また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入でき、変性ポリエステルが得られる。ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中で自己分散性ポリエステルを得ることもできる。またポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
結着樹脂は、ガラス転移点が30℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移点が30℃未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移点が80℃を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して3重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上10重量部以下である。
着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
トナー母粒子には、結着樹脂および着色剤の他に電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、有機ベントナイト化合物、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して3重量部以下である。
また、トナー母粒子には、結着樹脂および着色剤の他に離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜10重量部、特に好ましくは1.0重量部〜8.0重量部である。
トナー母粒子作製工程S1において得られるトナー母粒子は、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましい。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、長期にわたり高精細な画像を安定して形成できる。また粒子をこの範囲内に小粒径化することにより、付着量が少なくても高い画像濃度が得られ、トナー消費量を削減できる効果も生じる。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、トナー母粒子の粒径が小さいため、高帯電化および低流動化するおそれがある。トナーが高帯電化、低流動化すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー母粒子の体積平均粒径が8μmを超えると、トナー母粒子の粒径が大きいため形成画像の層厚が大きくなり、粒状性の著しい画像となり、高精細な画像を得られない。またトナー母粒子の粒径が大きくなることにより比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
(2)樹脂微粒子調製工程S2
樹脂微粒子調製工程S2では、トナー母粒子を被覆する材料である、乾燥した樹脂微粒子を調製する。乾燥にはどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法で乾燥樹脂微粒子を得られる。トナー母粒子表面を樹脂微粒子で被覆することにより、たとえばトナー母粒子に含まれる離型剤などの低融点成分の溶融による、保存中のトナー凝集の発生を防止できる。また、樹脂微粒子を分散させた液体を噴霧してトナー母粒子を被覆した場合、樹脂微粒子の形状がトナー母粒子表面に残るので、表面が平滑なトナーに比べクリーニング性に優れるトナーを得られる。
樹脂微粒子は、たとえば、樹脂微粒子原料である樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することにより得られる。また樹脂のモノマー成分の重合によっても得られる。
樹脂微粒子原料としては、トナー材料に用いられる樹脂を用いることができ、ポリエステル、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体などが挙げられる。樹脂微粒子は、上記の中でも、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体を含むことが好ましい。アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体は、軽量で高い強度を有し、さらに透明性も高く、安価で、粒子径の揃った材料を得やすいなど、多くの利点を有する。
樹脂微粒子原料としては、トナー母粒子に含まれる結着樹脂と同じ種類の樹脂であってもよく、異なる種類の樹脂であってもよいが、トナーの表面改質を行うためには、異なる種類の樹脂を用いることが好ましい。異なる種類の樹脂を用いる場合、樹脂微粒子原料の樹脂のガラス転移点が、トナー母粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点よりも高いことが好ましい。このことにより、本発明の方法で製造されるカプセルトナーは、保存中に互いに融着しにくく、保存安定性が向上する。また樹脂微粒子原料として用いられる樹脂のガラス転移点は、トナーが使用される画像形成装置にもよるが、50℃以上100℃以下であることが好ましい。ガラス転移点がこのような温度範囲の樹脂を用いることによって、保存安定性と定着性とを兼ね備えたカプセルトナーが得られる。
樹脂微粒子の体積平均粒径は、トナー母粒子の平均粒径よりも充分に小さい必要があり、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。また、0.1μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm以上1μm以下であることにより、被覆層表面すなわちトナー粒子表面に好適な大きさの突起部が形成される。このことにより本発明の方法で製造されるトナーは、クリーニング時にクリーニングブレードに引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
(3)被覆工程S3
被覆工程S3は、後述する温度調整工程S3a〜回収工程S3eを含む。以下では、上記工程S3a〜S3eで用いるトナーの製造装置について図2〜図4を用いて説明する。
<トナーの製造装置>
図2は、本発明のカプセルトナーの製造に用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。被覆工程S3では、たとえば図2に示すトナーの製造装置201を用い、トナー母粒子作製工程S1で作製したトナー母粒子に樹脂微粒子調製工程S2で調製した微粒子混合物および電気抵抗調整機能を有する微粒子を付着させ、前記装置内での循環と撹拌の相乗効果による衝撃力でトナー母粒子に樹脂膜を形成させる。
トナーの製造装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。回転撹拌手段204と、粉体流路202とは循環手段を構成する。
(粉体流路)
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210,211が形成される。開口部210は、撹拌部208の回転軸方向片側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸方向片側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、トナー母粒子、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202は、トナー母粒子および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるよう設けられる。
粉体流路202内の温度は、トナー母粒子のガラス転移点以下に設定され、30℃以上であることが好ましい。粉体流路202内の温度は、トナー母粒子の流動により、どの部分においてもほぼ均一となる。流路内の温度がトナー母粒子のガラス転移点を超えると、トナー母粒子が軟化し過ぎ、トナー母粒子の凝集が発生するおそれがある。また温度が30℃未満であると、分散液の乾燥速度が遅くなり生産性が低下する。したがって、トナー母粒子の凝集を防止するために、粉体流路202および後述の回転撹拌手段204の温度をトナー母粒子のガラス転移点以下に維持する必要がある。そのため、内径が粉体流路管の外径よりも大きい、後述の温度調整用ジャケットを、粉体流路202および回転撹拌手段204の外側の少なくとも一部に配設する。
(回転撹拌手段)
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向片側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される貫通孔221に挿通されるよう設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
被覆工程S3において、回転撹拌手段204の最外周の周速度は、30m/sec以上に設定するのが好ましく、50m/sec以上に設定するのがさらに好ましい。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸部材218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分204aである。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速を30m/sec以上に設定することにより、トナー母粒子を孤立流動させることができる。最外周における周速度が30m/sec未満であると、トナー母粒子および樹脂微粒子を孤立流動させることができないため、トナー母粒子を樹脂膜で均一に被覆できなくなる。
トナー母粒子および樹脂微粒子は、回転盤219に対して垂直に回転盤219と衝突することが好ましい。これにより、トナー母粒子および樹脂微粒子を充分に撹拌し、トナー母粒子を樹脂微粒子でより均一に被覆できるので、被覆層が均一なカプセルトナーの収率を向上させることができる。
(噴霧手段)
噴霧手段203は、粉体流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられ、粉体流過部209において、トナー母粒子および樹脂微粒子の流動方向における開口部211に最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、液体とキャリアガスとを混合し得られる混合物を粉体流路202内に存在するトナー母粒子に向けて噴射し、液体の液滴をトナー母粒子に噴霧する二流体ノズルとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。二流体ノズルは液管と空気管とを含み、2つの管の一部が連結され中心がずれない構造を持っている。二流体ノズルは前記液体を一定速度で噴霧し、液体の濃度は粉体流路内で一定に保たれる。
前記循環手段と、後述する温度調整手段との相乗効果により、樹脂微粒子を可塑化し、膜質と粒度の均質なトナーを得ることができる。さらに、二流体ノズルから液体および圧縮エアが噴出する領域に、トナー母粒子および樹脂微粒子の付着防止用凸型キャップを配置することにより、この効果が向上し、高い収率でトナーを製造することが出来る。
(温度調整用ジャケット)
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これにより後述の噴霧工程S3cおよび膜化工程S3dにおいて、トナー母粒子、樹脂微粒子および液体にかかる温度のばらつきを少なくし、トナー母粒子および樹脂微粒子の安定な流動状態を保つことが可能となる。本実施形態において、温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。
トナー母粒子および樹脂微粒子は通常粉体流路内の内壁に何度も衝突するが、その際衝突エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、トナー母粒子および樹脂微粒子に蓄積される。衝突回数の増加とともに、それらの粒子に蓄積される熱エネルギーが増加し、やがてトナー母粒子および樹脂微粒子は軟化して粉体流路の内壁に付着する。温度調整用ジャケットを粉体流路202の外側全体に設けることにより、装置内の温度が急上昇することを防ぎ、トナー母粒子および樹脂微粒子の軟化を抑制し、粉体流路202内壁へのトナー母粒子および樹脂微粒子の付着を確実に防ぎ、粉体流路内が狭くなることを回避できる。その結果、トナー母粒子が樹脂微粒子で均一に被覆され、クリーニング性に優れるトナーを高い収率で製造できる。
また、噴霧手段203より下流の粉体流過部209内部では、噴霧された液体が乾燥せず残存しており、温度が適正でないと乾燥速度が遅くなるため液体が滞留しやすい。これにトナー母粒子が接触すると、粉体流路202内壁にトナー母粒子が付着しやすくなり、トナーの凝集が発生する原因となる。開口部210付近の内壁では、撹拌部208に流入するトナー母粒子と、回転撹拌手段204による撹拌よって撹拌部208内を流動するトナー母粒子とが衝突し、衝突したトナー母粒子が開口部210付近に付着しやすい。このようなトナー母粒子が付着しやすい部分に温度調整用ジャケットを設けることにより、粉体流路202内壁へのトナー母粒子の付着をより確実に防ぐことができる。
(粉体投入部および粉体回収部)
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
粉体投入部206は、トナー母粒子、樹脂微粒子、および電気抵抗調整機能を有する微粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給されるトナー母粒子および微粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子および微粒子は、回転撹拌手段204による撹拌により、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213により供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子および微粒子は粉体流路202に供給されない。
粉体回収部207は、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217により回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また、電磁弁217により回収管216内の流路が閉鎖されている状態においては、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収されない。
上述のようにトナーの製造装置201を用いる被覆工程S3は、温度調整工程S3aと、樹脂微粒子および電気抵抗調整機能を有する微粒子付着工程S3bと、噴霧工程S3cと、膜化工程S3dと、回収工程S3eとを含む。
(3)−1、温度調整工程S3a
温度調整工程S3aでは、回転撹拌手段204を回転させながら、粉体流路202内および回転撹拌手段204をこれらの外側に配設した温度調整用ジャケットに媒体を通じて所定の温度に調整する。これにより、粉体流路202内の温度を、後述する樹脂微粒子付着工程で投入されるトナー母粒子および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御できる。
(3)−2、樹脂微粒子および電気抵抗調整機能を有する微粒子付着工程S3b
樹脂微粒子および電気抵抗調整機能を有する微粒子付着工程S3bでは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206からトナー母粒子および樹脂微粒子および/または電気抵抗調整機能を有する微粒子を粉体流路202に供給する。樹脂微粒子と電気抵抗調整機能を有する微粒子は、同時に投入してもよいし、あるいは、予め電気抵抗調整機能を有する微粒子を投入し、トナー母粒子に付着させた後に樹脂微粒子を投入してもよい。粉体流路202に供給されたトナー母粒子および樹脂微粒子および/または電気抵抗調整機能を有する微粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。これにより、樹脂微粒子および/または電気抵抗調整機能を有する微粒子がトナー母粒子表面に付着する。
電気抵抗調整機能を有する微粒子としては、酸化チタン、メタチタン酸、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミナ、ジルコニア等の微粒子を用いることができる。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉、クロム錯体化合物、サリチル酸金属塩化合物、ホウ素酸化合物、ベントナイトなどの帯電制御剤、カーボンブラック、フタロシアニン化合物等の顔料などを用いることができる。
これらの微粒子は、トナー母粒子と樹脂被覆層との界面、あるいは樹脂被覆層中に均一に存在させるために、粒径が被覆用樹脂微粒子に比べて小さいものがよく、一次粒径(個数平均粒径)が7nm〜50nm程度のものが好適であり、より好ましくは20nm以上50nm以下である。
トナー表面の電気抵抗を調整することによる帯電安定化が目的の場合には、微粒子そのものの帯電量が小さく、比較的高抵抗で調整しやすい酸化チタン、メタチタン酸あるいは酸化アルミナなどが好適であるが、この中でも酸化チタン、メタチタン酸が最も好適である。
酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子の個数平均粒径が20nm未満ではトナー帯電量が上昇しやすく、50nmを超えると樹脂層が剥離しやすくなる。また、トナー母粒子表面の被覆率が10%未満ではトナー帯電量が上昇しやすく、50%を超えると樹脂層が剥離しやすくカブリの原因となる。
これらの微粒子の体積抵抗値は、微粒子表面をシランカップリング剤等で処理することにより制御することができる。シランカップリング剤としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
(3)−3、噴霧工程S3c
噴霧工程S3cでは、流動状態にある、樹脂微粒子および/または電気抵抗調整機能を有する微粒子が付着したトナー母粒子に、トナー母粒子および樹脂微粒子を溶解せずに可塑化する効果のある液体を、前述の噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧する。
液体は、送液ポンプによって一定流量で噴霧手段203に送られ、噴霧手段203により噴霧された液体はガス化し、トナー母粒子および付着微粒子表面にガス化した液体が展延する。これによりトナー母粒子および樹脂微粒子が可塑化する。
噴霧された液体は、粉体流路202内のガス濃度が一定となるようにガス化され、ガス化した液体は貫通孔221を通って粉体流路外へ排出されることが好ましい。ガス化した液体の濃度を一定に保つことにより、濃度が一定に保たれていない場合と比べ液体の乾燥速度を上げることができる。よって未乾燥の液体の残存するトナー粒子が互いに付着することを防ぎ、トナー粒子の凝集を抑制できる。その結果、被覆層が均一なカプセルトナーの収率をより向上できる。
ガス排出部222において濃度センサにより測定されるガス化された液体の濃度は、3%以下程度であることが好ましい。濃度が3%以下程度であると、液体の乾燥速度を充分に大きくでき、未乾燥の液体の残存するトナー母粒子が互いに付着することを防ぎ、トナー母粒子の凝集を抑制できる。またガス化された液体の濃度は、0.1%以上3.0%以下であることがさらに好ましい。液体濃度がこのような範囲内であると、生産性を低下させることなく、トナー母粒子の凝集を防止できる。
本実施形態では、粉体流路202におけるトナー粒子および付着微粒子の流動速度が安定してから、噴霧を開始することが好ましい。これにより、トナー粒子および付着微粒子に液体を均一に噴霧でき、被覆層が均一なカプセルトナーの収率を上げることができる。
本発明においては、噴霧する液体として、トナー母粒子および樹脂微粒子を溶解せず可塑化させる効果のある揮発性可塑剤が使用される。揮発性可塑剤としては、特に限定されないが、低級アルコールやアセトニトリルなどの揮発しやすい有機溶剤が挙げられる。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。液体がこのような低級アルコールを含むと、被覆材料である樹脂微粒子のトナー母粒子に対する濡れ性を高めることができ、トナー母粒子の表面全面または大部分に樹脂微粒子を付着させ、さらに変形および膜化させることが容易となる。また低級アルコールは蒸気圧が大きいので、液体を除去する際の乾燥時間をより短縮でき、トナー母粒子同士の凝集を抑制できる。
また噴霧する液体の粘度は、5cP以下であることが好ましい。液体の粘度は25℃において測定され、たとえば、コーンプレート型回転式粘度計によって測定できる。粘度が5cP以下の液体で好ましいものとしてアルコールが挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは粘度が小さく、また蒸発しやすいので、液体がアルコールを含むことによって、噴霧手段203から噴霧される液体の噴霧液滴径が粗大化することなく、微細な液滴径の液体の噴霧が可能となる。また均一な液滴径の液体の噴霧が可能となる。トナー母粒子と液滴との衝突時には、さらに液滴の微細化を促進できる。これにより、トナー母粒子および樹脂微粒子表面を均一に濡らし、馴染ませて、衝突エネルギーとの相乗効果で樹脂微粒子を軟化し、均一性に優れた被覆トナーを得られる。
噴霧手段203の二流体ノズルの軸線方向である液体噴霧方向と、粉体流路202においてトナー母粒子および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向との成す角度θは、0°以上45°以下であることが好ましい。角度θがこのような範囲内であると、液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳することが防止され、樹脂膜で被覆されたトナー母粒子の収率をさらに向上させることができる。角度θが45°を超えると、液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳し、液体が滞留しやすくなり、トナー粒子の凝集が発生して収率が悪化する。また噴霧手段203によって噴霧した液体の拡がり角度φは、20°以上90°以下であることが好ましい。拡がり角度φがこの範囲から外れると、トナー母粒子に対する液体の均一な噴霧が困難となるおそれがある。
(3)−4、膜化工程S3d
膜化工程S3dでは、トナー母粒子に付着した樹脂微粒子が軟化し膜化するまで、所定の温度で回転撹拌手段204による撹拌を続け、トナー母粒子および付着微粒子を流動させ、被覆層を形成させ、カプセルトナーを得る。
(3)−5、回収工程S3e
回収工程S3eでは、噴霧手段203からの液体噴霧および回転撹拌手段204の回転を停止し、粉体回収部207からカプセルトナーを装置外に排出し、回収する。
このようなトナーの製造装置201としては、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、温度調整用ジャケットは粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に設けられてもよく、粉体流過部209または撹拌部208の外側の一部に設けられてもよい。粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に温度調整用ジャケットを設けた場合、トナー母粒子、樹脂微粒子および液体にかかる温度のばらつきを少なくし、トナー母粒子および樹脂微粒子の安定な流動状態を保つことが可能となるので、トナー母粒子の粉体流路202内壁への付着をより確実に防止できる。
2、トナー
上記のトナーの製造方法で製造される、本発明の実施形態であるトナーは、トナー母粒子表面に樹脂層が形成されることによって、内包成分が保護されるので、耐久性および保存安定性に優れる。また、トナー表面の電気抵抗値の調節や、電荷の制御を容易に行うことができるので、帯電特性が安定している。したがって、このようなトナーを用いると、高精細で、濃度むらのない画質の良好な画像を、長期にわたって形成することができる。
本発明のトナーには、外添剤が添加されてもよい。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。また、これらの外添剤は、シリコン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー100重量部に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。
3、現像剤
本発明の現像剤は、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用できる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナー単体で使用する。また、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させスリーブ上にトナーを付着させることでトナーを搬送し、画像形成を行う。2成分現像剤として使用する場合、上記のトナーをキャリアとともに用いる。
上述したトナーは、トナーのみからなる1成分現像剤として使用することができ、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤としても使用することができる。このトナーを1成分現像剤として使用する場合、ブレード、ファーブラシなどを用いてトナーを摩擦帯電させ、現像スリーブ上に付着させることによってトナーを搬送し、画像形成を行う。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子の表面を被覆物質で被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。キャリアの粒径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
キャリアの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。体積抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易く、またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)と混合する場合、トナーが全現像剤量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるようにすればよい。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
本発明の範囲は、上述の実施形態の範囲ではなく、特許請求の範囲によって示される。上述の実施形態はすべての点で例示であり、本発明の範囲は他のすべての実施形態を含むものである。すなわち、本発明は、上述の実施形態の一部または全部を、特許請求の範囲内および特許請求の範囲と均等の範囲内において、変更したすべての実施形態を含む。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。実施例および比較例における結着樹脂およびトナー母粒子のガラス転移点、結着樹脂の軟化点、離型剤の融点、トナー母粒子および樹脂微粒子の体積平均粒径、電気抵抗調整機能を有する微粒子の平均粒径および体積抵抗率、トナーの体積抵抗率、トナー母粒子表面の被覆率は、以下のようにして測定した。
[結着樹脂およびトナー母粒子のガラス転移点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料(結着樹脂またはトナー母粒子)1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点からガラス転移点(Tg)を求めた。
[結着樹脂の軟化点]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料(結着樹脂)1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化点(Tm)とした。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料(離型剤)1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
[トナー母粒子の体積平均粒径]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料(トナー母粒子)20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
[樹脂微粒子の体積平均粒径]
試料(樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)の水溶液中に測定試料を分散させ、この分散液をレーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)に注入し、測定を行った。測定は、測定時間:30秒、粒子屈折率:1.4、粒子形状:非球形、溶媒:水、溶媒屈折率:1.33の条件下で2回行い、平均値を求めた。測定試料の体積粒度分布の結果から、累積体積分布における小粒径側からの累積体積が50%になる粒径を求め、体積平均粒径(μm)とした。
[電気抵抗調整機能を有する微粒子の平均粒径]
100個の微粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)観察にて計測し、その平均値を平均粒径とした。
[電気抵抗調整機能を有する微粒子の体積抵抗率]
体積抵抗率の測定には誘電体損測定器TRS−10T型(安藤電気株式会社製)を用い、粉体用電極SE−43型を使用した。試料(電気抵抗調整機能を有する微粒子)0.2gを粉体用電極内部に投入し、10kg/cmの荷重により圧密させた後、電極を誘電体損測定器の恒温槽中にプラグインする。測定器の測定モードをゼロバランスモード(ZERO BAL)に設定し、測定周波数に応じてRATIO値を決定し、平衡操作を行う。測定周波数1kHzのとき、RATIO値は1×10−9であり、このとき測定されるコンダクタンス値をR0とする。
[トナーの体積抵抗率]
体積抵抗率の測定には誘電体損測定器TRS−10T型(安藤電気株式会社製)を用い、固体用電極SE−70型を使用した。試料(トナー)1.0gを、錠剤成型器で10kg/cmの荷重により圧縮成型し、径約25mm、厚さ約2mmの測定用サンプルを作成する。この測定用サンプルを固体用電極内部に装着し、電極を誘電体損測定器の恒温槽中にプラグインする。測定器の測定モードをゼロバランスモード(ZERO BAL)に設定し、測定周波数に応じてRATIO値を決定し、平衡操作を行う。測定周波数1kHzのとき、RATIO値は1×10−9であり、このとき測定されるコンダクタンス値をR0とする。
[電気抵抗調整機能を有する微粒子によるトナー母粒子表面の被覆率]
微粒子付着トナー母粒子を、SEMにより10000倍で観察し、2μmの平面画像の付着微粒子を画像解析により2値化して被覆面積を計算し、無作為に抽出した10視野の平均値を被覆率とした。
(実施例1)
<トナー母粒子作製工程S1>
〔マジェンタトナー母粒子〕
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移点55℃、軟化点130℃) 88.4%(100部)
・C.I.Pigment Red 238 4.0%(4.5部)
・離型剤(カルナウバワックス、融点82℃) 6.1%(6.9部)
・帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)
1.5%(1.7部)
以上の原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出混練機(商品名:PCM30、株式会社池貝製)により溶融混練した。この溶融混練物をカッティングミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した後、ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)により微粉砕し、さらに風力分級機(ホソカワミクロン株式会社製)で分級し、マジェンタトナー母粒子を得た。マジェンタトナー母粒子の体積平均粒径は6.5μm、ガラス転移点は55℃、体積抵抗率は2.8×1011Ω・cmであった。
<樹脂微粒子調製工程S2>
スチレンとアクリル酸ブチルとを重合したものを凍結乾燥し、体積平均粒径0.1μmのスチレン−ブチルアクリレート共重合体微粒子(ガラス転移点72℃、軟化点126℃)を樹脂微粒子として得た。
<被覆工程S3>
図2に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に噴霧ユニットを設けた装置を用いた。噴霧ユニットは、送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)を通して揮発性液体(エタノール)が二流体ノズル(商品名:HM−6型、扶桑精機株式会社製)に定量送液されるように接続した。二流体ノズルは、揮発性液体の噴霧方向と、粉体の流動方向とのなす角度が0°になるよう取付け角度を設定した。
粉体流路の壁面の全面に温度調整用ジャケットを設け、温度調整用ジャケットの温度調整用制御装置としてはチラーを用いた。また、ガス排出部には、ガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を設けた。
回転軸部および二流体ノズルからのエアの供給量はそれぞれ毎分5Lとし、ガス排出部からのエアの排出量を毎分10Lとした。
粉体(トナー母粒子、樹脂微粒子および電気抵抗調整機能を有する微粒子)投入前の無負荷時における循環水の温度を5℃に設定し、攪拌時における粉体流過部の温度が50℃になるように調整した。
電気抵抗調整機能を有する微粒子をトナー母粒子に付着させるため、マジェンタトナー母粒子100重量部と、電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径30nm、体積抵抗率1.1×10Ω・cmのメタチタン酸0.5重量部とを上記の装置に投入し、回転攪拌部の最外周における周速度を50m/secに設定して30秒間攪拌混合した。表面に電気抵抗調整機能を有する無機微粒子が付着したトナー母粒子を、ポリエチレン製の保管袋に回収した。
次に、電気抵抗調整機能を有する無機微粒子が付着したトナー母粒子100重量部、樹脂微粒子10重量部を上記装置に投入し、回転攪拌手段204の最外周における周速度を80m/secに設定して10分間攪拌混合した。表面に樹脂微粒子およびメタチタン酸微粒子が付着したトナー母粒子を、ポリエチレン製の保管袋に回収した。
回収した微粒子付着トナー母粒子には、次の工程において装置に投入するまでの間、たとえば凝集が発生するなどの状態の悪化はみられなかった。
前述のようにして調製した微粒子付着トナー母粒子を上記装置に投入し、回転攪拌部の最外周における周速度を100m/secに設定して5分間攪拌した後、エタノールを噴霧量0.5g/minで15分間噴霧した。エタノールの噴霧を停止した後10分間攪拌し、攪拌停止後、実施例1のトナーを得た。粉体(微粒子付着トナー母粒子)投入前の無負荷時における循環水の温度を25℃に設定し、エタノール噴霧時において粉体流過部の温度が55℃になるように調整した。エタノール噴霧中における、ガス排出部から排出された気体中のエタノールの蒸気濃度は約1.4vol%で安定していた。
(実施例2)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径50nm、体積抵抗率2.6×10Ω・cmの酸化チタン2.0重量部を投入する以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
(実施例3)
〔シアントナー母粒子〕
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移点55℃、軟化点130℃) 87.5%(100部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(5.7部)
・離型剤(カルナウバワックス、融点82℃) 6.0%(6.9部)
・帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)
1.5%(1.7部)
以上の原料から、実施例1のマジェンタトナー母粒子と同様にしてシアントナー母粒子を得た。シアントナー母粒子の体積平均粒径は6.5μm、ガラス転移点は56℃、体積抵抗率は2.3×1011Ω・cmであった。
トナー母粒子としてシアン母粒子を用い、電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径30nm、体積抵抗率が1.1×10Ω・cmのメタチタン酸2.0重量部を投入した以外は実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
(実施例4)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径20nm、体積抵抗率2.4×1010Ω・cmのメタチタン酸3.0重量部を投入した以外は実施例3と同様にして、実施例4のトナーを得た。
(実施例5)
電気抵抗調整機能を有する微粒子をトナー母粒子に付着させる工程において、メタチタン酸とともに、帯電制御剤として、負帯電性を有する有機ベントナイト化合物(平均粒径約1μm)1.0重量部を投入した以外は実施例1と同様にして、実施例5のトナーを得た。
(実施例6)
帯電制御剤として、負帯電性を有する有機ベントナイト化合物0.1重量部を投入した以外は実施例5と同様にして、実施例6のトナーを得た。
(実施例7)
エタノール噴霧時において、エタノールに帯電制御剤を分散させた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例7のトナーを得た。
帯電制御剤は実施例6と同じものを用い、トナー母粒子100重量部に対し、1.0重量部となるよう、エタノール100重量部に対し、12重量部を分散剤とともに攪拌混合した。
(実施例8)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径15nm、体積抵抗率5.8×10Ω・cmのメタチタン酸1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例8のトナーを得た。
(実施例9)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径30nm、体積抵抗率2.1×1010Ω・cmの酸化チタン0.3重量部を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例9のトナーを得た。
(実施例10)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径30nm、体積抵抗率2.1×1010Ω・cmの酸化チタン6重量部を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例10のトナーを得た。
(実施例11)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径15nm、体積抵抗率5.8×10Ω・cmのメタチタン酸0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例11のトナーを得た。
(実施例12)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径15nm、体積抵抗率5.8×10Ω・cmのメタチタン酸3重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例12のトナーを得た。
(実施例13)
帯電制御剤として、負帯電性を有する有機ベントナイト化合物(平均粒径約1μm)2.0重量部を投入した以外は実施例5と同様にして、実施例13のトナーを得た。
(実施例14)
帯電制御剤を、トナー母粒子100重量部に対し、0.1重量部となるよう、エタノール100重量部に対し、1.2重量部用いた以外は実施例7と同様にして、実施例14のトナーを得た。
(実施例15)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径20nm、体積抵抗率2.4×1010Ω・cmのメタチタン酸5.0重量部を投入した以外は実施例1と同様にして、実施例15のトナーを得た。
(実施例16)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径50nm、体積抵抗率2.6×10Ω・cmの酸化チタン0.3重量部を投入した以外は実施例1と同様にして、実施例16のトナーを得た。
(比較例1)
実施例1において、電気抵抗調整機能を有する微粒子を付着させたトナー母粒子を回収し、その後の工程を行わず、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
電気抵抗調整機能を有する微粒子として、シランカップリング処理を施した平均粒径20nm、体積抵抗率2.4×1010Ω・cmのメタチタン酸3.0重量部をシアントナー母粒子作成時に投入し、電気抵抗調整機能を有する微粒子をトナー母粒子に付着させる工程を行わなかった以外は実施例3と同様にして、比較例2のトナーを得た。
実施例および比較例のトナーの組成を表1にまとめた。
Figure 2010277000
このようにして得られた実施例1〜16および比較例1,2のトナーに、シリカ微粒子(平均粒径12nm)を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間攪拌混合して外添し、評価用の外添トナーとした。評価は以下のようにして行った。
上述の外添トナーを用いて、シャープ株式会社製フルカラー複合機MX−3500を使用し、印字率5%の原稿を用いて5万枚の印刷を行った後、帯電量、画像濃度、画像カブリを測定した。その後更に印字率1%の原稿を用いて1万枚の印刷を行った後、再度帯電量を測定した。
(帯電量)
マグネットローラ上から採取した外添トナーから、吸引式小型帯電量測定装置(商品名:210HS−2A、TREK株式会社製)によりメッシュを介してトナーを吸引し、分離したトナーの電荷を測定した。測定した電荷と吸引分離したトナー重量とから帯電量[−μc/g]を算出した。印字率5%の原稿5万枚を印刷した後と、印字率1%の原稿1万枚を印刷した後との帯電量の差が、0〜5であれば「○」(良好)、6〜10であれば「△」(実用上問題なし)、11以上であれば「×」(不良)とした。
(画像濃度)
現像プロセスにおけるバイアス値が−400Vの際に得られるベタ画像の濃度を、X−Rite939分光測色濃度計(X−Rite)により測定した。マジェンタトナーでは1.2〜1.4、シアントナーでは1.3〜1.5が良好な値であるが、すべての実施例および比較例のトナーについて、画像濃度は良好であった。
(画像カブリ)
測色色差計Color Meter ZE2000(日本電色工業株式会社製)を用い、画像形成後の転写紙の非画像部の白色度を測定し、予め測定しておいた画像形成前の転写紙の白色度との差を求め、カブリ濃度とした。印字率5%の原稿5万枚を印刷した後の画像サンプルにおいて、カブリ濃度が0〜0.5であれば「○」(良好)、0.6〜2.0であれば「△」(実用上問題なし)、2.1以上であれば「×」(不良)とした。
(総合評価)
総合評価は、帯電量評価、カブリ評価について、いずれか悪いほうの評価を採用した。
○ 良好
△ 実用上問題なし
× 不良
測定および評価結果を表2に示す。
Figure 2010277000
実施例1〜16のトナーは、画像カブリなどの画質不良がなかった。また、現像剤中のトナーの入れ替わりが少なく、現像槽内で攪拌される時間の長い使用環境下(印字率1%)で長期にわたり使用しても、帯電量が変動することなく安定した画像を形成することができた。さらに、電気抵抗調節機能を有する微粒子だけでなく、帯電制御剤をトナー表面に存在させることで、より安定した画像を形成することができた。
比較例1のトナーは、樹脂層がなく、カプセル化されていないが、印刷評価後にドラム上へのメタチタン酸微粒子によるフィルミングが観察された。また、比較例1,2のトナーは帯電量が大幅に上昇したが、これは、低印字率(1%)での使用環境下において帯電量が適度にリークされないため、キャリアとの過度な摩擦が起こったことによるものと考えられる。
201 トナーの製造装置
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部
220 撹拌羽根

Claims (5)

  1. バインダー樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子を含み、該トナー母粒子表面を被覆する樹脂層とを有するトナー粒子で構成されるカプセルトナーにおいて、
    前記トナー母粒子と樹脂層との界面および前記樹脂層中に、電気抵抗調整機能を有する微粒子を含むことを特徴とするカプセルトナー。
  2. 前記電気抵抗調整機能を有する微粒子が、個数平均粒径20nm以上50nm以下の酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子であり、該微粒子によるトナー母粒子表面の被覆率が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカプセルトナー。
  3. 前記トナー母粒子と樹脂層との界面または前記樹脂層中に帯電制御剤を含み、該帯電制御剤の添加量が、トナー母粒子100重量部に対して0.1重量部以上1重量部以下であることを特徴とする、請求項2に記載のカプセルトナー。
  4. バインダー樹脂および着色剤を含むトナー母粒子表面が、個数平均粒径20nm以上100nm以下の酸化チタン粒子あるいはメタチタン酸粒子により被覆率10%以上50%以下で被覆された、微粒子付着トナー粒子を形成する工程と、
    前記微粒子付着トナー粒子表面が、樹脂微粒子で被覆された、樹脂微粒子付着トナー粒子を形成する工程と、
    流動状態にある前記樹脂微粒子付着トナー粒子に、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体を噴霧しながら、衝撃力によりトナー母粒子表面に樹脂微粒子膜を形成する工程とを含むことを特徴とする、カプセルトナーの製造方法。
  5. 前記トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体が、トナー母粒子100重量部に対して0.1重量部以上1重量部以下の帯電制御剤を含むことを特徴とする、請求項4に記載のカプセルトナーの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015082004A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー及びその製造方法
JP2017003844A (ja) * 2015-06-12 2017-01-05 シャープ株式会社 トナー及び二成分現像剤
JP2017026669A (ja) * 2015-07-16 2017-02-02 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2017068006A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用二成分現像剤

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