JP4961462B2 - カプセルトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カプセルトナーの製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、帯電手段によって像担持体表面を一様に帯電させ(帯電工程)、次いでこの像担持体表面を露光手段によって露光し、その露光させた部分の電荷を消散させることによって像担持体表面に静電潜像を形成させる(露光工程)。さらに該静電潜像に、電荷を有する着色微粉体であるトナーを付着させることによって可視画像を形成し(現像工程)、得られた可視画像を紙などの記録媒体に転写させる(転写工程)。その後、定着手段による加熱や圧力、またはその他の定着法で可視画像を記録媒体に定着させる(定着工程)。これによって記録媒体に画像が形成される。また、記録媒体に転写されずに像担持体表面に残留したトナー(残留トナー)を除去するため、像担持体のクリーニング(クリーニング工程)を行う。
このような画像形成に用いられるトナーは、現像工程だけではなく、転写工程、定着工程およびクリーニング工程などの各工程においても要求される機能を備える必要がある。
トナーの定着方法としては、たとえば、トナーを加熱溶融して記録媒体に定着させる加熱定着方法、および圧力によってトナーを塑性変形させて記録媒体に定着させる圧力定着方法がある。加熱定着方法では、定着装置の簡便性および定着後の画像品位などを考慮すると、トナーを加熱溶融する加熱媒体として熱ロールを使用するヒートロール定着方法がよく用いられる。
加熱定着方法において、トナーは、なるべく低い温度で溶融し記録媒体に定着されなければならない。近年、特に省エネルギーの観点からトナーの低温定着性への要求が高まっており、トナーに含ませる結着樹脂の分子量を小さくしたり、トナーに離型剤を添加することによってトナーの軟化温度を低下させることで、この要求に対応してきた。
しかしながら、これらの方法は低温定着性には効果があるものの、高温下に放置すると、トナーが熱により軟らかくなり凝集しやすくなるという耐ブロッキング性低下の問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1には、結晶性ポリエステル樹脂をトナー母粒子に含み、非晶性樹脂(無定形高分子)をシェル層に含むカプセルトナーが開示されている。特許文献1に開示のカプセルトナーのように、トナー母粒子表面にシェル層が形成されることで、耐ブロッキング性が向上し、高温下でもトナーが凝集しにくくなる。
特開2005−266565号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているトナーは、シェル層に含まれる樹脂の複素粘度が考慮されていないことから、シェル層を構成する樹脂として種類の異なる複数の樹脂を用いた場合でも、シェル層を構成する樹脂の複素粘度が同程度となる可能性が高い。このように複素粘度が同程度の樹脂で構成されるシェル層を有するトナーは、低温定着性および耐ホットオフセット性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立するカプセルトナーの製造方法を提供することである。
また本発明は、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、トナー母粒子表面に形成された樹脂被覆層とを有するカプセルトナーの製造方法において、
回転撹拌手段と噴霧手段とを備える回転撹拌装置を用い、前記トナー母粒子と、前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が5.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第1樹脂微粒子と、前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が1.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第2樹脂微粒子とを、回転撹拌手段を回転させることによって流動させて、トナー母粒子表面に前記複数の樹脂微粒子を付着させる樹脂微粒子付着工程と、
前記回転撹拌手段の回転が継続されて、流動状態にある、前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子に、トナー母粒子および前記複数の樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を前記噴霧手段から噴霧する噴霧工程と、
トナー母粒子に付着した前記複数の樹脂微粒子が軟化して膜化するまで前記回転撹拌手段の回転を継続させて、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含み、
前記第1樹脂微粒子の前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη 、前記第2樹脂微粒子の前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη とした場合、複素粘度η に対する複素粘度η の比(η /η )が、10以上200以下であることを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
また本発明は、前記樹脂微粒子付着工程は、前記第1樹脂微粒子と前記第2樹脂微粒子とを流動させて混合樹脂微粒子を得る第1混合工程と、
トナー母粒子と前記混合樹脂微粒子とを流動させて、トナー母粒子表面に混合樹脂微粒子を付着させる第2混合工程とを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記第1混合工程で、前記混合樹脂微粒子全量に対して30重量%以上70重量%以下となるように前記第1樹脂微粒子を混合することを特徴とする。
また本発明によれば、カプセルトナーの製造方法は、樹脂微粒子付着工程と噴霧工程と膜化工程とを含む。樹脂微粒子付着工程では、回転撹拌手段と噴霧手段とを備える回転撹拌装置を用いて、トナー母粒子とトナー母粒子の軟化温度における複素粘度の異なる複数の樹脂微粒子とを、回転撹拌手段を回転させることによって流動させて、トナー母粒子表面に前記複数の樹脂微粒子を付着させる。噴霧工程では、回転撹拌手段の回転が継続されて、流動状態にある、前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子に、トナー母粒子および前記複数の樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を噴霧手段から噴霧する。膜化工程では、トナー母粒子に付着した前記複数の樹脂微粒子が軟化して膜化するまで回転撹拌手段の回転を継続させて、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する。
樹脂微粒子付着工程で、トナー母粒子表面に付着させる樹脂微粒子として複素粘度が異なる複数の樹脂微粒子を用いることによって、複素粘度が異なる複数の樹脂微粒子を含む樹脂被覆層を形成することができる。また、噴霧工程で前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子に噴霧手段から噴霧された噴霧液体は、蒸発する際に気化熱を奪うので、膜化工程で、前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子が回転撹拌手段により衝撃を加えられて発生する熱を緩和し、前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子が不所望に高い温度で加熱されることを抑制することができる。そのため、複素粘度の相対的に低い樹脂微粒子同士が固まってトナー母粒子表面で局在化することを防止することができ、複素粘度の相対的に低い樹脂微粒子と複素粘度の相対的に高い樹脂微粒子とが均一に分散した樹脂被覆層を形成することができる。このような樹脂被覆層を有するカプセルトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができるので、画像形成に用いると、画像欠けのない良好な画像を形成することができる。
また、複素粘度が異なる複数の樹脂微粒子は、トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が5.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第1樹脂微粒子と、トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が1.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第2樹脂微粒子とを含む。また、第1樹脂微粒子のトナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη 、第2樹脂微粒子のトナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη とした場合、複素粘度η に対する複素粘度η の比(η /η )が、10以上200以下である。トナー母粒子の軟化温度すなわちカプセルトナーの定着時の温度における複素粘度が上記範囲を満たす第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子を含み、かつ複素粘度η に対する複素粘度η の比が上記範囲を満たす樹脂微粒子を含む樹脂被覆層を形成することによって、低温定着性と耐ホットオフセット性とを安定して両立するカプセルトナーを製造することができる。
また本発明によれば、樹脂微粒子付着工程は、第1混合工程と第2混合工程とを含む。第1混合工程では、第1樹脂微粒子と第2樹脂微粒子とを流動させて混合樹脂微粒子を得る。第2混合工程では、トナー母粒子と混合樹脂微粒子とを流動させて、トナー母粒子表面に混合樹脂微粒子を付着させる。第1混合工程で第1樹脂微粒子と第2樹脂微粒子とを混合した後に、第2混合工程でこれらの樹脂微粒子とトナー母粒子とを混合することによって、個々のトナー母粒子表面に付着する第1樹脂微粒子量と第2樹脂微粒子量との割合がばらつくことを抑制することができるので、樹脂被覆層に含まれる第1樹脂微粒子量と第2樹脂微粒子量との割合を個々のカプセルトナー粒子において均一にすることができる。そのため、低温定着性および耐ホットオフセット性の均一なカプセルトナー粒子を含むカプセルトナーを製造することができる。
また本発明によれば、第1混合工程で、混合樹脂微粒子全量に対して30重量%以上70重量%以下となるように第1樹脂微粒子を混合する。これによって、樹脂被覆層に含まれる樹脂全量に対して第1樹脂微粒子を30重量%以上70重量%以下含む樹脂被覆層を形成することができる。このような樹脂被覆層を有するカプセルトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性とをより安定して両立することができる。
プセルトナー1の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態であるカプセルトナーの製造方法を示す工程図である。 被覆工程S4においてトナー母粒子2表面に樹脂被覆層4を形成する方法を示す工程図である。 表面改質装置の一例である回転撹拌装置201の構成を示す正面図である。 図4に示す回転撹拌装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。 樹脂微粒子付着粒子1aの構成を模式的に示す断面図である。
1、カプセルトナー
図1は、カプセルトナー1の構成を模式的に示す断面図である。カプセルトナー1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に形成される樹脂被覆層4とを含む。樹脂被覆層4は、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度の異なる複数の樹脂微粒子から成る。
複素粘度が異なる複数の樹脂微粒子のうち、複素粘度の相対的に低い樹脂微粒子は、定着時に定着ローラ表面の温度が比較的低い場合に低温オフセットを抑制し、低温定着性を良好にすることができる。また複素粘度の相対的に高い樹脂微粒子は、定着時に定着ローラ表面の温度が比較的高い場合に高温オフセットを抑制し、耐ホットオフセット性を良好にすることができる。そのため、複素粘度の異なる複数の樹脂微粒子から成る樹脂被覆層を有するカプセルトナー1は、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができる。このようなカプセルトナー1を用いて画像を形成することによって、画像欠けのない良好な画像を形成することができる。
(1)トナー母粒子
トナー母粒子2は、結着樹脂および着色剤を含有し、さらにその他のトナー母粒子成分として離型剤、帯電制御剤などを含有してもよい。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が挙げられ、通常、構成モノマーとして、2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から選ばれる1種以上とを用いて、縮重合によって得られるものが使用される。
2価のアルコール単量体としては、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコール単量体としては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本実施形態においては、これらの2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から単独あるいは複数の単量体を用いることができる。
また酸成分としては、2価のカルボン酸単量体として、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、およびこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本実施形態においては、これらの2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から単独あるいは複数の単量体を用いることができる。
本実施形態におけるポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用いてエステル化、エステル交換反応により製造することができる。
(着色剤)
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。
(離型剤)
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1.0〜8.0重量部である。
(帯電制御剤)
帯電制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。帯電制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できる。帯電制御剤は、トナー母粒子2中に含有させてもよく、後述のコーティング工程において樹脂微粒子からなる被覆層中に混ぜて使用してもよい。帯電制御剤を、トナー母粒子2中に含有させる場合、帯電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部であることが好ましい。
(2)樹脂被覆層
前述のように、樹脂被覆層4は複素粘度の異なる複数の樹脂微粒子から成るが、具体的には、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が5.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下である第1樹脂微粒子と、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下である第2樹脂微粒子とから成ることが好ましく、また、第1樹脂微粒子のトナー母粒子2の軟化温度における複素粘度をη、前記第2樹脂微粒子の前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度をηとした場合、複素粘度ηに対する複素粘度ηの比(η/η)が、10以上200以下であることが好ましい。
トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が5.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下である樹脂微粒子は、定着時に複素粘度が充分に低いので、トナー母粒子2に含まれる結着樹脂と相溶しやすく、定着時に定着ローラの温度が比較的低い場合でも離型剤などのトナー母粒子成分の染み出しを阻害しにくい。そのため、樹脂被覆層4が第1樹脂微粒子(以下「低粘度樹脂微粒子」とも記載する)を含むことよって、低温定着性を良好にすることができる。
トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下である樹脂微粒子は、定着時に複素粘度が充分に高いので、定着ローラ表面の温度が比較的高い場合でもトナー像が定着ローラに付着しにくくなる。そのため、樹脂被覆層4が第2樹脂微粒子(以下「高粘度樹脂微粒子」とも記載する)を含むことよって、耐ホットオフセット性を良好にすることができる。また、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下である樹脂微粒子はトナー母粒子2に含まれる結着樹脂と相溶しにくいので、樹脂被覆層4が高粘度樹脂微粒子を含むことによって、トナー母粒子2の各成分の露出を抑えるのに効果が高く、耐熱性を持たせることができる。したがって、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子から成る樹脂被覆層を有するカプセルトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立して充分に広い定着温度幅を有することができるとともに、トナー母粒子2だけでは得ることができない耐ブロッキング性を得ることができる。
トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が5.0×10Pa・s未満である樹脂微粒子は、定着時においてトナー層中のカプセルトナー粒子の凝集力が小さくなりすぎるので、このような樹脂微粒子を含むカプセルトナー1は高温オフセットが起こりやすくなる。また、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・sを超える樹脂微粒子は、定着時にトナー母粒子2と相溶しにくくなり、トナー母粒子成分である離型剤の染み出しを阻害するので、このような樹脂微粒子を含むカプセルトナー1は低温オフセットおよび高温オフセットが発生しやすくなる。
トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・s未満である樹脂微粒子を含む樹脂被覆層4は、トナー母粒子2の各成分の露出を抑える効果が低く、耐熱性を持たせることが難しくなる。また、トナー母粒子2の軟化温度における複素粘度が1.0×10Pa・sを超える樹脂微粒子は、低粘度樹脂微粒子と併用しても定着時にトナー母粒子2と相溶しにくくなり、離型剤の染み出しを阻害するので、このような樹脂微粒子を含むカプセルトナー1は低温オフセットおよび高温オフセットが発生しやすくなる。
また、複素粘度ηに対する複素粘度ηの比(η/η)が、10以上200以下であることによって、より安定して低温定着性と耐オフセット性とを両立するカプセルトナー1を実現することができる。複素粘度ηに対する複素粘度ηの比(η/η)が10未満であると、樹脂被覆層4を構成する樹脂微粒子の複素粘度の幅が小さくなりすぎるので、充分な低温定着性および耐ホットオフセット性を得ることができないおそれがある。複素粘度ηに対する複素粘度ηの比(η/η)が200を超えると、樹脂被覆層4を構成する樹脂微粒子の複素粘度の幅が大きくなりすぎるので、低温定着性または耐オフセット性が低下するおそれがある。
樹脂微粒子の複素粘度は、粘弾性測定装置(商品名:VAR−100測定装置、Rheologica Instruments社製)を用い、高さ1mmの錠剤に成型した樹脂微粒子を25mm径のパラレルプレートにセットし、周波数1Hz、歪0.5の条件下で、昇温法を用いて70℃から毎分3℃で温度上昇させて150℃まで継続することによって測定した。
樹脂被覆層4は、トナー母粒子2の表面の大部分に形成されることが好ましい。トナー母粒子2の表面の大部分とは、トナー母粒子2の表面積の50%以上を占める部分である。樹脂被覆層4が形成される部分のトナー母粒子2の面積が、トナー母粒子2の表面積の50%未満であると、トナー母粒子2が露出する面積が大きくなり、トナー母粒子2に含まれる離型剤などの低融点成分が軟化し、カプセルトナー1が凝集するおそれがある。したがって樹脂被覆層4が形成される部分のトナー母粒子2の面積は、トナー母粒子2の表面積の50%以上100%以下であることが好ましい。
トナー母粒子2の表面積は、トナー母粒子2を球体とみなし、トナー母粒子2の体積平均粒径を測定することによって算出できる。また樹脂被覆層4が形成される部分のトナー母粒子2の面積は、電子顕微鏡による撮影画像から、画像解析装置などを用いて算出できる。
トナー母粒子2の表面の大部分に樹脂被覆層4が形成される場合、トナー母粒子2の表面全面に樹脂被覆層4が形成される場合と同様の効果が得られるので、以下の記載では樹脂被覆層4がトナー母粒子2の表面全面に形成される場合を例に説明する。
2、カプセルトナーの製造方法
図2は、本発明の第1の実施形態であるカプセルトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子作製工程S2と、噴霧液体調製工程S3と、被覆工程S4とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程
ステップS1のトナー母粒子作製工程では、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー母粒子成分を含むトナー母粒子2を作製する。
トナー母粒子2は、一般的なトナーの製造方法に従って製造できる。一般的なトナーの製造方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法である。以下粉砕法によるトナー母粒子2の作製方法を説明する。
粉砕法では、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー母粒子成分を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子2を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する機械式粉砕機が挙げられる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用できる。
着色剤などのトナー母粒子成分は、混練物中に均一に分散させるためにマスターバッチ化して用いてもよい。また着色剤などのトナー母粒子成分の2種以上を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、着色剤などのトナー母粒子成分の2種以上に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際に粉体混合物に混入される。
得られるトナー母粒子2は、体積平均粒径が3μm以上10μm以下であることが好ましく、5μm以上8μm以下であることがさらに好ましい。トナー母粒子2の体積平均粒径が3μm以上10μm以下であると、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。トナー母粒子2の体積平均粒径が3μm未満であると、トナー母粒子2の粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、感光体にカプセルトナー1を安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー母粒子2の平均粒径が10μmを超えると、トナー母粒子2の粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またトナー母粒子2の粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、カプセルトナー1の帯電量が小さくなる。カプセルトナー1の帯電量が小さくなると、カプセルトナー1が感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
(2)樹脂微粒子作製工程
ステップS2の樹脂微粒子作製工程では、少なくとも樹脂を含む、複素粘度の異なる複数の樹脂微粒子を作製する。具体的には、前述の低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子を作製する。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の複素粘度は、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子に含まれる樹脂の分子量によって調整することができる。樹脂の分子量が大きいほど複素粘度が大きくなるので、たとえば重合温度や重合時間を適宜調節することによって上記範囲の複素粘度を有する低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子を作製することができる。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子は、たとえば、ポリエステル樹脂またはスチレンアクリル共重合樹脂を基にして転相乳化法で作製される。ポリエステルは、通常、構成モノマーとして、2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から選ばれる1種以上とを用いて、縮重合によって得られるものが使用される。
2価のアルコール単量体としては、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコール単量体としては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本実施形態においては、これらの2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から単独あるいは複数の単量体を用いることができる。
また、酸成分としては、2価のカルボン酸単量体として、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本実施形態においては、これらの2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から単独あるいは複数の単量体を用いることができる。
本実施形態におけるポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用いてエステル化、エステル交換反応により製造することができる。
スチレンアクリル共重合体樹脂のアクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有するアクリル酸、置換基を有するメタアクリル酸、置換基を有するアクリル酸エステル、置換基を有するメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーの具体例としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
またスチレン系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などによって行われる。
前述のように、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子は、ポリエステル樹脂またはスチレンアクリル共重合樹脂を基にして転相乳化法で作製するが、転相乳化前後でポリエステル樹脂またはスチレンアクリル共重合樹脂の熱特性(ガラス転移温度、複素粘度など)はほとんど変わらない。そのため、本実施形態では、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子をそれぞれ構成する樹脂の複素粘度を、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の複素粘度とする。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子は、たとえば、上記樹脂微粒子原料をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することによって得ることができ、またモノマーの重合によって得ることもできる。
低粘度樹脂微粒子は、ガラス転移温度が50℃以上65℃以下であることが好ましく、軟化温度が90℃以上120℃以下であることが好ましい。高粘度樹脂微粒子は、ガラス転移温度が55℃以上70℃以下であることが好ましく、軟化温度が100℃以上130℃以下であることが好ましい。このように、本実施形態で用いる、複素粘度が前述した範囲の低粘度樹脂微粒子と高粘度樹脂微粒子とは、ガラス転移温度が近い値を示す傾向にある。また、軟化温度も近い値を示す傾向にある。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の体積平均粒径が、0.05μm以上1μm以下であることによって、均質な樹脂被覆層4を形成できる。これによってクリーニング時にカプセルトナー1がクリーニングブレードに引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm未満であると、形成される樹脂被覆層4の厚さが薄くなるなど制御しにくくなり、トナー母粒子2表面を均一に覆うことが難しくなり、流動性、耐ブロッキング性、帯電安定性などのトナー特性が悪化するおそれがある。また形成される突起部の高さが小さくなり、クリーニング性が悪化するおそれがある。また樹脂微粒子の大きさが小さくなり過ぎて樹脂微粒子の取扱性が低下する。
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の体積平均粒径が1μmを超えると、形成される突起部の高さが大きくなり、これによってカプセルトナー1中に占める樹脂被覆層4の割合が大きくなる。カプセルトナー1中に占める樹脂被覆層4の割合が大きくなると、樹脂被覆層4を形成する材料にもよるけれども、画像形成時における樹脂被覆層4の影響が大きくなり過ぎ、所望の画像を形成することができないおそれがある。
(3)噴霧液体調製工程
ステップS3の噴霧液体調製工程では、トナー母粒子2、ならびに低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子(以下まとめて単に「樹脂微粒子」とも記載する)に噴霧することで、トナー母粒子2および樹脂微粒子を可塑化させて、トナー母粒子2と樹脂微粒子との付着力を増大させる噴霧液体を調製する。
トナー母粒子2および樹脂微粒子の付着を補助し、それらの粒子を溶解せず可塑化させる効果のある噴霧液体としては、特に限定されないけれども、液体の噴霧後にトナー母粒子2および樹脂微粒子から除去される必要があるので、蒸発し易い液体であることが好ましい。このような液体としては、低級アルコールを含む液体が挙げられる。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。液体がこのような低級アルコールを含むと、被覆材料である樹脂微粒子のトナー母粒子2に対する濡れ性を向上させることができ、トナー母粒子2の表面全面または大部分に樹脂微粒子を付着させ、さらに変形および膜化させることが容易となる。また低級アルコールは蒸気圧が大きいので、噴霧液体を除去するときの乾燥時間を一層短縮することができ、トナー母粒子2同士の凝集を抑制することができる。
樹脂微粒子のトナー母粒子2に対する濡れ性を向上させてトナー母粒子2と樹脂微粒子との付着力を増大させる噴霧液体を用いることによって、トナー母粒子2の表面全面または大部分に樹脂微粒子を含む樹脂被覆層4を形成することが容易となるが、このような樹脂被覆層4は、トナー母粒子2と融着する樹脂微粒子が存在することによってトナー母粒子2から剥離し難くなる。したがって長期使用によって樹脂被覆層4が剥離し、カプセルトナー1の性質が変化することを防止できる。
また噴霧液体の粘度は、5cP以下であることが好ましい。粘度が5cP以下の噴霧液体で好ましいものとしてアルコールが挙げられる。アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは粘度が小さく、また蒸発しやすいので、噴霧液体がアルコールを含むことによって、後述する噴霧手段から噴霧される噴霧液体の噴霧液滴径が粗大化することなく、微細な液滴径の液体の噴霧が可能となる。また均一な液滴径の噴霧液体の噴霧が可能となる。トナー母粒子2と液滴との衝突時には、さらに液滴の微細化を促進することができる。これによって、トナー母粒子2および樹脂微粒子表面を均一にぬらし、馴染ませて、衝突エネルギーとの相乗効果で樹脂微粒子を軟化し、均一性に優れたカプセルトナー1を得ることができる。
噴霧液体の粘度は、25℃において測定される。噴霧液体の粘度は、たとえば、コーンプレート型回転式粘度計によって測定することができる。
(4)被覆工程
ステップS4の被覆工程では、トナー母粒子2と樹脂微粒子との付着力を増大させる噴霧液体を用いて、トナー母粒子2に樹脂微粒子を付着させ融着させる。これによって、トナー母粒子2に樹脂微粒子で被覆させて、樹脂被覆層4を形成する。
図3は、被覆工程S4においてトナー母粒子2表面に樹脂被覆層4を形成する方法を示す工程図である。図3に示すように、被覆工程S4は、樹脂微粒子付着工程S4aと、噴霧工程S4bと、膜化工程S4cとを含む。樹脂微粒子付着工程S4aは、第1混合工程S4a−(1)と、第2混合工程S4a−(2)とを含む。
被覆工程S4は、たとえば表面改質装置を用いて行われる。表面改質装置は、トナー母粒子2および樹脂微粒子を撹拌する撹拌手段を備える容器と、容器内部に噴霧液体を噴霧する噴霧手段とを備える装置である。
撹拌手段としては、衝撃力を主体とする機械的および熱的エネルギーをトナー母粒子2および樹脂微粒子に付与することができる撹拌ロータなどが用いられる。
撹拌手段を備える容器としては、市販品を用いることができ、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。このような混合機の容器内に液体噴霧ユニットを取付けることによって、この混合機を本実施形態で表面改質装置として用いることができる。
図4は、表面改質装置の一例である回転撹拌装置201の構成を示す正面図である。図5は、図4に示す回転撹拌装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。回転撹拌装置201は、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、温度調整用ジャケット224と、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。
粉体流路202は、回転撹拌室208と、循環管209とから構成される。回転撹拌室208は、内部空間を有する略円柱形状の容器状部材である。回転撹拌室208には、開口部210、211が形成される。開口部210は、回転撹拌室208の軸線方向一方側の面208aにおける略中央部において、回転撹拌室208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。また、開口部211は、回転撹拌室208の前記軸線方向一方側の面208aに垂直な側面208bにおいて、回転撹拌室208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。循環管209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって回転撹拌室208の内部空間と循環管209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、前混合工程においてはトナー母粒子2、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202の循環管209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。
粉体投入部206には、トナー母粒子2および樹脂微粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管と、供給管に設けられる電磁弁とを備える。ホッパから供給されるトナー母粒子2および樹脂微粒子は、電磁弁によって供給管内の流路が開放されている状態において、供給管を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子2および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204による撹拌によって、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁によって供給管内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子2および樹脂微粒子が粉体流路202に供給されない。
粉体回収部207には、回収タンクと、回収タンクと粉体流路202とを連通する回収管と、回収管に設けられる電磁弁とを備える。電磁弁によって回収管内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するカプセルトナー粒子は回収管を介して回収タンクに回収される。また電磁弁によって回収管内の流路が閉鎖されている状態において、粉体流路202を流過するカプセルトナー粒子は回収されない。
回転撹拌手段204は、回転軸218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸218は、回転軸218を駆動する部分である図示しない回転軸部において、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転軸218は、回転撹拌室208の軸線に一致する軸線を有しかつ回転撹拌室208の軸線方向他方側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される貫通孔221に挿通されるように設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸218の軸線に一致するように回転軸218に支持され、回転軸218の回転に伴って回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
回転撹拌手段204の回転速度は、最外周における周速が50m/sec以上に設定される。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分である。最外周における周速が50m/sec以上であると、トナー母粒子2および樹脂微粒子を孤立流動させることと、トナー母粒子2および樹脂微粒子の流路内壁に対する衝突頻度を低減することとを同時に達成することができる。最外周における周速が50m/sec未満であると、トナー母粒子2および樹脂微粒子を孤立流動させることができないためトナー母粒子2に樹脂被覆層4を安定して形成することができなくなる。
回転撹拌手段204の回転数は、上記回転速度となるように、回転撹拌手段204の大きさに応じて適宜変更する。
温度調整手段である温度調整用ジャケット224は、粉体流路202内壁の少なくとも一部に設けられる。温度調整用ジャケット224は、その内部に形成される流路225に水などの媒体を流すことによって、粉体流路202内壁温度を一定に調整し、トナー母粒子2の付着を防止する。温度調整用ジャケット224は、トナー母粒子2が付着しやすい粉体流路202の部分の外側に設けられることが好ましい。本実施の形態において温度調整用ジャケット224は、少なくとも粉体流路202における循環管209全体、回転撹拌室208および回転撹拌室壁面内部に設けられる。
噴霧手段203は、噴霧液体を貯留する図示しない噴霧液体貯留部と、キャリアガスを貯留する図示しないキャリアガス貯留部と、噴霧液体とキャリアガスとを混合し、粉体流路202内を流動するトナー母粒子2および樹脂微粒子に向けて噴射し、噴霧液体の液滴をトナー母粒子2および樹脂微粒子に噴霧する液体噴霧ユニット203aとを備える。
キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。キャリアガスの好ましい流量は、装置のスケールとトナー母粒子2および樹脂微粒子の量とによって異なる液体の噴霧速度に依存し、噴霧液体の噴霧速度に合わせて適宜調整する。液体噴霧ユニットとしては、市販品を用いることができ、たとえば、噴霧液体を送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)を通して二流体ノズル(商品名:HM−6型、扶桑精機株式会社製)に定量送液するように接続したものを使用することができる。
このような回転撹拌装置201を用いると、トナー母粒子2と樹脂微粒子との使用割合が設定し易く、樹脂被覆層4の厚みを好適にすることができる。また、粉体流路202内のトナー母粒子2を撹拌する回転撹拌手段204を備えるので、トナー母粒子2に均一な量の樹脂微粒子を付着させることができ、帯電性が均一であるカプセルトナー1を得ることができる。
回転撹拌装置201を用い、以下のようにしてトナー母粒子2表面に樹脂被覆層4を形成する。
まず第1混合工程S4a−(1)で、低粘度樹脂微粒子と高粘度樹脂微粒子とを粉体投入部206から粉体流路202内に投入し、流動させて混合樹脂微粒子を得る。次に第2混合工程S4a−(2)で、トナー母粒子2と混合樹脂微粒子とを流動させて、トナー母粒子2表面に混合樹脂微粒子を付着させ、図6に示すような樹脂微粒子付着粒子1aを得る。図6は、樹脂微粒子付着粒子1aの構成を模式的に示す断面図である。図6に示すように、樹脂微粒子付着粒子1aは、トナー母粒子2表面に樹脂微粒子3が均一に付着されている。第1混合工程S4a−(1)は、低粘度樹脂微粒子と高粘度樹脂微粒子とを分散液に分散させて10wt%の懸濁液とし、この懸濁液をスプレードライ乾燥機にて乾燥処理することで行われてもよい。
第1混合工程S4a−(1)で低粘度樹脂微粒子と高粘度樹脂微粒子とを混合した後に、第2混合工程S4a−(2)でこれらの樹脂微粒子とトナー母粒子とを混合することは、トナー母粒子2と低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子とを同時に混合する場合よりも好ましい。これによって、個々のトナー母粒子2表面に付着する低粘度樹脂微粒子量と高粘度樹脂微粒子量との割合がばらつくことを抑制することができるので、樹脂被覆層4に含まれる低粘度樹脂微粒子量と高粘度樹脂微粒子量との比を個々のカプセルトナー粒子において均一にすることができる。そのため、低温定着性および耐オフセット性の均一なカプセルトナー粒子を含むカプセルトナー1を製造することができる。
樹脂微粒子の使用割合は、特に限定されないけれども、トナー母粒子2の表面全面を被覆することができる使用割合であることが必要であり、100重量部のトナー母粒子2に対して、1重量部以上30重量部以下が好ましい。このような割合で樹脂微粒子が用いられると、トナー母粒子2の表面全面に樹脂微粒子を付着させることができ、トナー母粒子2の表面全面に樹脂被覆層4を形成することができる。これによって、トナー母粒子2に含まれる低融点成分が浸出してカプセルトナー1が凝集することを確実に防止することができる。
樹脂微粒子が1重量部未満であると、トナー母粒子2の表面全面を樹脂被覆層4で被覆することができないおそれがある。樹脂微粒子が30重量部を超えると、樹脂被覆層4の厚みが大きくなり過ぎ、樹脂微粒子の構成材料によっては、カプセルトナー1の定着性が低下するおそれがある。
低粘度樹脂微粒子は、混合樹脂微粒子全量に対して30重量%以上70重量%以下となるように用いられることが好ましい。これによって、樹脂被覆層4に含まれる樹脂全量に対して低粘度樹脂微粒子を30重量%以上70重量%以下含む樹脂被覆層4を形成することができる。このような樹脂被覆層4を有するカプセルトナー1は、低温定着性と耐ホットオフセット性とをより安定して両立することができる。また、トナー母粒子2では得られなかった耐ブロッキング効果の調整が可能となる。
低粘度樹脂微粒子量が30重量%未満であると、離型剤の染み出しが悪くなり、高温オフセットが発生しやすい。また、低温での定着時にカプセルトナー1全体の複素粘度が高くなりすぎて低温オフセットも発生しやすくなる。低粘度樹脂微粒子量が70重量%を超えると、高温で定着した場合でのカプセルトナー1全体の複素粘性が低くなりすぎて高温オフセットが発生しやすくなる。しかしながら、これらの値は一例であり、融点の比較的高い結着樹脂を含むトナー母粒子を用いる場合には、低粘度樹脂微粒子の配合割合を多くし、融点の比較的低い結着樹脂を含むトナー母粒子を用いる場合には、低粘度樹脂微粒子の配合割合を少なくして高粘度樹脂微粒子の配合割合を多くする。
噴霧工程S4bでは、流動状態にある樹脂微粒子付着粒子に、噴霧液体を噴霧手段203から噴霧する。トナー母粒子2および樹脂微粒子は、噴霧液体が噴霧され、かつ撹拌による熱的エネルギーが加えられることによって、その表面が膨潤軟化する。これによって、湿潤粒子を得る。
膜化工程S4cでは、噴霧手段203からの噴霧液体の噴霧を継続しながら、湿潤粒子表面の樹脂微粒子が軟化して膜化するまで回転撹拌手段204の回転を継続させる。回転撹拌手段204による機械的衝撃力が付加されることによって、トナー母粒子2表面に樹脂微粒子が固着するとともに、樹脂微粒子の一部が、トナー母粒子2および隣合う樹脂微粒子の少なくともいずれか一方と融着する。これによってトナー母粒子2の表面の全面に樹脂微粒子を付着させることができ、トナー母粒子2の表面の全面に樹脂微粒子を融着、そして膜化させることができ、トナー母粒子2表面に樹脂被覆層4を形成することができる。
個々の樹脂微粒子が複数の部分で他の樹脂微粒子と融着しているので、樹脂微粒子は樹脂被覆層4から脱離が起こり難い。また樹脂微粒子からなる樹脂被覆層4は、非常に多くの部分でトナー母粒子2に融着するので、樹脂被覆層4のトナー母粒子2からの剥離が起こり難い。たとえば現像容器内での撹拌による樹脂被覆層4のトナー母粒子2からの剥離を防止することができ、カプセルトナー1の性質が長期使用によって変化することを防止できる。
噴霧液体の使用量は、特に限定されないけれども、トナー母粒子2の表面全面を濡らす程度の量であることが好ましい。噴霧液体の使用量は、トナー母粒子2の使用量によって決定される。また噴霧液体は、噴霧手段203による噴霧時間、噴霧回数などによってその量を調整することができる。したがってトナー母粒子2の平均粒径、トナー母粒子2と樹脂微粒子との使用割合、トナー母粒子2の材料および樹脂微粒子の材料などに応じて噴霧手段203による単位時間当りの噴霧量を設定し、たとえば粉体流路202内の樹脂微粒子のうちほとんどがトナー母粒子2に付着した時点で、噴霧手段203による噴霧液体の噴霧を終了すればよい。
噴霧手段203による単位時間当りの噴霧量は、0.5g/分以上2.0g/分以下であることが好ましい。
噴霧液体を噴霧する時間は、10分間以上60分間以下が好ましい。噴霧液体を噴霧する時間が10分間未満と短すぎると、樹脂微粒子を充分に融着させることができない。噴霧液体を噴霧する時間が20分間を超えると、カプセルトナー1の形状が変形しやすくなる。
さらに噴霧液体は、樹脂微粒子付着粒子が粉体流路202内において浮遊する状態で噴霧されることが好ましい。樹脂微粒子付着粒子が粉体流路202内で浮遊する状態で噴霧されると、噴霧液体が噴霧された樹脂微粒子付着粒子同士が接触する時間を短縮することができ、樹脂微粒子付着粒子の凝集が防止されるので、粗大粒子の発生が防止され、粒径の整ったカプセルトナー1を得ることができる。樹脂微粒子付着粒子が粉体流路202内において浮遊する状態は、たとえば、回転撹拌手段204による撹拌、キャリアガスの供給などによって実現できる。
粉体流路202内の温度は、トナー母粒子2に含まれる結着樹脂のガラス転移点未満であることが好ましい。これによって、カプセルトナー製造時に粉体流路202内でトナー母粒子2が溶融し過ぎることによって発生するトナー母粒子2の凝集を防止することができる。粉体流路202内の温度がトナー母粒子2に含まれる結着樹脂のガラス転移点以上であると、粉体流路202内でトナー母粒子2が溶融し過ぎ、トナー母粒子2の凝集が発生するおそれがある。
噴霧工程S4bで噴霧手段203から噴霧された噴霧液体は、蒸発する際に気化熱を奪うので、膜化工程S4cで、湿潤粒子が回転撹拌手段204により衝撃を加えられて発生する熱を緩和し、湿潤粒子が不所望に高い温度で加熱されることを抑制することができる。そのため、複素粘度の相対的に低い樹脂微粒子同士が固まってトナー母粒子2表面で局在化することを防止することができ、複素粘度の相対的に低い樹脂微粒子と複素粘度の相対的に高い樹脂微粒子とが均一に分散した樹脂被覆層4を形成することができる。このような樹脂被覆層4を有するカプセルトナー1は、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができるので、画像形成に用いると、画像欠けのない良好な画像を形成することができる。
また、粉体流路202内が不所望に高い温度になることを確実に抑制するため、回転撹拌装置201の粉体流路202内が必要に応じて温度調整用ジャケット224で冷却されることが好ましい。
トナー母粒子2の表面全面において樹脂微粒子の膜化が終了すると、噴霧液体の除去を行う。噴霧液体の除去は、たとえば気流で噴霧液体を気化させることによって行われる。この際、噴霧液体としてアルコールを用いると、蒸気圧が大きいので、除去および乾燥が容易である。
このようにして得られるカプセルトナー1は、トナー母粒子2と融着する樹脂微粒子によってトナー母粒子2の定着領域を維持するとともに、トナー母粒子2では得られなかった耐ブロッキング性に優れる特性が得られる。
またカプセルトナー1には、外添剤が添加されてもよい。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。またこれらは、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の使用量は、100重量部のカプセルトナー1に対して1〜10重量部であることが好ましい。
カプセルトナー1は、体積平均粒子径が5.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、変動係数が30未満であることが好ましい。カプセルトナー1の変動係数は、小さくなるほど、カプセルトナー1の粒度分布が単分散となるため好ましいが、トナー母粒子2が粉砕法で作製された粒子である場合には、カプセルトナー1の変動係数を20以下とすることは困難である。
さらにカプセルトナー1は、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用することができる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくカプセルトナー1のみで使用する。また1成分現像剤として使用する場合、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にカプセルトナー1を付着させることによってカプセルトナー1を搬送し、画像形成を行う。
2成分現像剤として使用する場合、カプセルトナー1をキャリアとともに用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリア芯粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられ、トナー成分に応じて選択するのが好ましい。また被覆物質は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。キャリアの平均粒径は、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
2成分現像剤は、上記のような効果を奏するカプセルトナー1を含むことにより、定着正および帯電性などの経時安定性に優れる。また高濃度で高画質の画像を形成することができる。
[樹脂微粒子の複素粘度]
樹脂微粒子の複素粘度の測定は、粘弾性測定装置(商品名:VAR−100測定装置、Rheologica Instruments社製)を用い、高さ1mmの錠剤に成型した、樹脂微粒子を構成する樹脂を25mm径のパラレルプレートにセットし、周波数1Hz、歪0.5の条件下で、昇温法を用いて70℃から毎分3℃で温度上昇させて150℃まで継続し、複素粘度を求めた。
[トナー母粒子の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
[カプセルトナーの体積平均粒径および変動係数]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、カプセルトナー20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下にカプセルトナー粒子の粒径の測定を行い、得られた測定結果からカプセルトナー粒子の体積粒度分布を求め、求めた体積粒度分布からカプセルトナーの体積平均粒径(μm)を算出した。また、体積粒度分布における標準偏差を求めて、下記式(1)に基づいてカプセルトナーの変動係数(CV値、%)を算出した。
CV値(%)={体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径(μm)}×100
…(1)
〔トナー母粒子の作製〕
ポリエステル樹脂(商品名:タフトン、花王株式会社製、ガラス転移温度60℃、軟化温度120℃)を85重量部、着色剤として銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)を5重量部、離型剤(カルナウバワックス、東亜化成株式会社製、融点82℃)8重量部、帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)2重量部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散し、トナー母粒子混合物を得た。得られたトナー母粒子混合物を、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)で溶融混練分散し、樹脂混練物を得た。
得られた樹脂混練物を冷却ベルトにて冷却後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルにて粗粉砕した。得られた粗粉砕物をジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)にて粉砕し、さらにエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)にて微粉および粗粉を取除くことによって、体積平均粒径が6.9μmであり、変動係数が22であるトナー母粒子を得た。
〔樹脂微粒子の作製〕
〈樹脂微粒子A〉
ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度:58℃、軟化温度:100℃、重量平均分子量:12500、120℃における複素粘度:8.0×10[Pa・s])をメチルエチルケトンに溶解し、この溶液をアンモニア水溶液と混合して機械式分散機(商品名:クレアミックス(CLEARMIX)、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得られた乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去して、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Aを得た。
〈樹脂微粒子B〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂B(ガラス転移温度:65℃、軟化温度:124℃、重量平均分子量:21400、120℃における複素粘度:4.0×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Bを得た。
〈樹脂微粒子C〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂C(ガラス転移温度:61℃、軟化温度:114℃、重量平均分子量:16600、120℃における複素粘度:5.0×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Cを得た。
〈樹脂微粒子D〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂D(ガラス転移温度:56℃、軟化温度:94℃、重量平均分子量:10300、120℃における複素粘度:4.5×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Dを得た。
〈樹脂微粒子E〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂E(ガラス転移温度:60℃、軟化温度:104℃、重量平均分子量:13100、120℃における複素粘度:1.2×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Eを得た。
〈樹脂微粒子F〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂F(ガラス転移温度:63℃、軟化温度:120℃、重量平均分子量:19000、120℃における複素粘度:9.5×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Fを得た。
〈樹脂微粒子G〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂G(ガラス転移温度:70℃、軟化温度:131℃、重量平均分子量:25300、120℃における複素粘度:1.2×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Gを得た。
〈樹脂微粒子H〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂H(ガラス転移温度:68℃、軟化温度:128℃、重量平均分子量:23800、120℃における複素粘度:1.0×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Hを得た。
〈樹脂微粒子I〉
ポリエステル樹脂Aの代わりに、ポリエステル樹脂I(ガラス転移温度:63℃、軟化温度:121℃、重量平均分子量:20500、120℃における複素粘度:1.0×10[Pa・s])を用いたこと以外は樹脂微粒子Aと同様にして、体積平均粒径が0.1μmである樹脂微粒子Iを得た。
樹脂微粒子A〜Iの物性を表1に示す。
Figure 0004961462
(実施例1)
実施例1では、低粘度樹脂微粒子として樹脂微粒子Aを用い、高粘度樹脂微粒子として樹脂微粒子Bを用いた。
5重量部の樹脂微粒子Aと5重量部の樹脂微粒子Bとを分散させて調製した10wt%懸濁液をスプレードライ乾燥機にて乾燥処理し、混合樹脂微粒子を作製した。
容器内に噴霧液体を噴霧できる二流体ノズルを取付けた表面改質装置(商品名:ハイブリダイザーNHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に、トナー母粒子100重量部、および前記混合樹脂微粒子を投入し、回転数8000rpmで10分間流動させた。その後、二流体ノズルに圧縮エアを送り、噴霧液体としてエタノールを0.5g/分で噴霧するように調整し、45℃で40分間噴霧してトナー母粒子の表面の樹脂微粒子Aおよび樹脂微粒子Bを膜化させた。
樹脂微粒子が膜化されたトナー母粒子を乾燥させることによって、トナー母粒子表面全面に樹脂被覆層が形成された実施例1のカプセルトナーを得た。実施例1のカプセルトナーは、体積平均粒径が7.3μmであり、変動係数が27であった。
(実施例2〜7、参考例1〜7
低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の種類、ならびに添加量を下記表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜7、および参考例1〜7のカプセルトナーを得た。
(実施例
実施例では、低粘度樹脂微粒子として樹脂微粒子Aを用い、高粘度樹脂微粒子として樹脂微粒子Bを用いた。
5重量部の樹脂微粒子Aを分散させて調製した10wt%懸濁液をスプレードライ乾燥機にて乾燥処理した。また、5重量部の樹脂微粒子Bを分散させて調製した10wt%懸濁液をスプレードライ乾燥機にて乾燥処理した。
容器内に噴霧液体を噴霧できる二流体ノズルを取付けた表面改質装置(商品名:ハイブリダイザーNHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に、トナー母粒子100重量部、および乾燥処理を行った樹脂微粒子A,Bを投入し、回転数8000rpmで10分間流動させた。その後、二流体ノズルに圧縮エアを送り、噴霧液体としてエタノールを0.5g/分で噴霧するように調整し、45℃で40分間噴霧してトナー母粒子の表面の樹脂微粒子Aおよび樹脂微粒子Bを膜化させた。
樹脂微粒子が膜化されたトナー母粒子を乾燥させることによって、トナー母粒子表面全面に樹脂被覆層が形成された実施例のカプセルトナーを得た。実施例のカプセルトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が27であった。
(比較例1)
樹脂微粒子Aの添加量を5重量部から10重量部に変更し、樹脂微粒子Bを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のカプセルトナーを得た。比較例1のカプセルトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が25であった。
(比較例2)
樹脂微粒子Bの添加量を5重量部から10重量部に変更し、樹脂微粒子Aを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のカプセルトナーを得た。比較例2のカプセルトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が26であった。
(比較例3)
10重量部の樹脂微粒子Cを分散させて調製した10wt%懸濁液をスプレードライ乾燥機にて乾燥処理した。
この樹脂微粒子Cを、樹脂微粒子Aおよび樹脂微粒子Bを含む混合樹脂微粒子の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のカプセルトナーを得た。比較例3のカプセルトナーは、体積平均粒径が7.0μmであり、変動係数が25であった。
実施例1〜8、参考例1〜7および比較例1〜3のカプセルトナーにおける、低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の種類ならびに添加量、樹脂微粒子全量に対する低粘度樹脂微粒子の添加割合、樹脂微粒子全量に対する高粘度樹脂微粒子の添加割合、低粘度樹脂微粒子の複素粘度ηに対する高粘度樹脂微粒子の複素粘度ηの比、噴霧液体の種類、ならびにカプセルトナーの体積平均粒径および変動係数を表2に示す。
Figure 0004961462
〈2成分現像剤の作製〉
以上のようにして得られた実施例、参考例および比較例のカプセルトナー100重量部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均一次粒径20nmのシリカ粒子0.7重量部および酸化チタン1重量部を混合した。さらにこの外添トナーと、体積平均粒径60μmのフェライトコアキャリアとを、2成分現像剤全量に対する外添トナーの濃度が7%になるように調整して混合し、トナー濃度7%の2成分現像剤を作製した。
上記2成分現像剤を用いて、以下のように定着性を評価した。
〔定着性〕
市販複写機(商品名:MX−4500、シャープ株式会社製)を改造したものを用い、上記2成分現像剤による定着画像を作製した。まず、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、べた画像部(縦20mm、横50mmの長方形)を含むサンプル画像を未定着画像として形成した。この際、べた画像部におけるカプセルトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cm2となるよう調整した。次に、前記複写機の定着部を利用した外部定着器を用いて定着画像を作製した。定着プロセス速度は124mm/secとし、定着ローラの温度を130℃から5℃刻みで上げ、低温オフセットも高温オフセットも起こらない温度域を求め、その温度幅を定着非オフセット域とした。高温オフセットおよび低温オフセットとは、定着時にカプセルトナーが記録用紙に定着せずに、定着ローラに付着したまま定着ローラが一周した後に記録用紙に付着することと定義する。定着非オフセット域は、下記式(2)によって求めた。
定着非オフセット域(℃)=定着上限温度(℃)−定着下限温度(℃)…(2)
定着性の評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好。定着非オフセット域が50℃以上である。
○:良好。定着非オフセット域が35℃以上50℃未満である。
△:やや不良。定着非オフセット域が25℃以上35℃未満である。
×:不良。定着非オフセット域が25℃未満である。
定着性の評価結果を表3に示す。
Figure 0004961462
表3に示されるように、実施例1〜のカプセルトナーは定着性が良好であった。しかしながら、樹脂微粒子全量に対する低粘度樹脂微粒子の添加割合が30重量%以上70重量%以下という好ましい範囲を外れる実施例4,5,6,7のカプセルトナーは、定着下限温度が比較的高く、低温定着性が少し低下した。または定着上限温度が比較的低く、耐ホットオフセット性が少し低下した。低粘度樹脂微粒子の複素粘度が5.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下という好ましい範囲を外れる、または高粘度樹脂微粒子の複素粘度が1.0×10Pa・s以上1.0×10Pa・s以下という好ましい範囲を外れる参考例1〜6のカプセルトナーは、低温定着性または耐ホットオフセット性が少し低下した。低粘度樹脂微粒子および高粘度樹脂微粒子の複素粘度が上記好ましい範囲を高い方に外れる参考例7のカプセルトナーは、低温定着性が低下した。混合樹脂微粒子を用いなかった実施例8のカプセルトナーは、低温定着性および耐ホットオフセット性が少し低下した。
高粘度樹脂微粒子を含まない比較例1は、耐ホットオフセット性が低下した。低粘度樹脂微粒子を含まない比較例2は、低温定着性が低下した。複素粘度が異なる複数の樹脂微粒子を用いない比較例3は、定着非オフセット域が小さくなった。
1 カプセルトナー
2 トナー母粒子
4 樹脂被覆層

Claims (3)

  1. 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、トナー母粒子表面に形成された樹脂被覆層とを有するカプセルトナーの製造方法において、
    回転撹拌手段と噴霧手段とを備える回転撹拌装置を用い、前記トナー母粒子と、前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が5.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第1樹脂微粒子と、前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度が1.0×10 Pa・s以上1.0×10 Pa・s以下である第2樹脂微粒子とを、回転撹拌手段を回転させることによって流動させて、トナー母粒子表面に前記複数の樹脂微粒子を付着させる樹脂微粒子付着工程と、
    前記回転撹拌手段の回転が継続されて、流動状態にある、前記複数の樹脂微粒子が付着したトナー母粒子に、トナー母粒子および前記複数の樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を前記噴霧手段から噴霧する噴霧工程と、
    トナー母粒子に付着した前記複数の樹脂微粒子が軟化して膜化するまで前記回転撹拌手段の回転を継続させて、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含み、
    前記第1樹脂微粒子の前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη 、前記第2樹脂微粒子の前記トナー母粒子の軟化温度における複素粘度をη とした場合、複素粘度η に対する複素粘度η の比(η /η )が、10以上200以下であることを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
  2. 前記樹脂微粒子付着工程は、前記第1樹脂微粒子と前記第2樹脂微粒子とを流動させて混合樹脂微粒子を得る第1混合工程と、
    トナー母粒子と前記混合樹脂微粒子とを流動させて、トナー母粒子表面に混合樹脂微粒子を付着させる第2混合工程とを含むことを特徴とする請求項に記載のカプセルトナーの製造方法。
  3. 前記第1混合工程で、前記混合樹脂微粒子全量に対して30重量%以上70重量%以下となるように前記第1樹脂微粒子を混合することを特徴とする請求項に記載のカプセルトナーの製造方法。
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