JP4076716B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。さらに詳しくは、低温定着性とオイルレス定着性を併せ持った静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真複写機やプリンターは、製造コストやエネルギーコストを低減化するため、装置の小型化志向にあり、その一方向として、シリコンオイルタンクや塗布装置が不要となる、オイルレス定着性で且つ、より低温で定着できる静電荷像現像用トナーが望まれている。
このような要求に対して、トナー結着樹脂のTg或いは溶融温度を下げる試みがなされてきたが、トナー結着樹脂のTg或いは溶融温度を下げるとトナーの保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、とくに夏場には50℃にも及ぶ過酷な条件下に曝されることもしばしばあるため、場合によってはトナーの形状を保てず、ブロック状の着色樹脂になってしまうこともある。
【0003】
省エネルギーを主眼とした低温定着性静電荷現像用トナーは、概して保存安定性(耐ブロッキング性)に問題があり、この低温定着性と保存安定性(耐ブロッキング性)には裏腹な関係が成り立ち、トナー結着樹脂の物性によってこの目的を達成しようとする場合、低温定着性を付与すると保存安定性(耐ブロッキング性)が悪くなり、保存安定性(耐ブロッキング性)を付与すると低温定着性が悪化するという結果になって、これを回避するために多量の合成エステルワックスをトナー中に含有させる方法(特許公報第2949558号)や懸濁重合を利用して低Tgのコアに高Tgのシェルを形成させる方法(再公表特許WO97/01131)等が提案されているが未だ満足できる性能は得られていない。
【0004】
また、オイルレス定着性の要求に対して、トナー結着樹脂の重合度を上げ粘弾性を上げる試みや、トナー中に多量のワックスを含有させる試み(公開平8−50368号)などがなされてきたが、前者では定着に要するエネルギーコストが大きく、また後者では、混練粉砕法ではワックス含有量が十分でないため乳化重合や懸濁重合で製造するが、多量のワックスを含有させるため、ワックスが定着前に浸出し、装置汚れを起こす場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来用いられていた低温定着性静電荷現像用トナーの欠点及び、オイルレス定着を目的とした静電荷像現像用トナーの欠点を克服し、低温定着性と保存安定性(耐ブロッキング性)を併せ持った、新規のオイルレス定着性の静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、平均粒子径が2〜20μmであるトナー(以下芯トナーと称す)の表面に、微粒子を二段階で被覆し、固着もしくは融着することにより低温定着性で保存安定性(耐ブロッキング性)が良く、且つオイルレス定着性の静電荷像現像用トナーを製造することが出きることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、静電荷像現像用トナーにおいて、平均粒子径が2〜20μmでありかつワックスを含有してなる芯トナーの表面に、芯トナーに含有されるワックスと異なるワックスを含有してなりかつガラス転移温度が相対的に低い第一段目の樹脂微粒子が被覆されてなり、更にワックスを含まず当該第一段目の樹脂微粒子の表面にガラス転移温度が第一段目の樹脂微粒子より相対的に高い第二段目の樹脂微粒子が被覆されてなり、これら芯トナー、第一段目の樹脂微粒子及び第二段目の樹脂微粒子の三者を熱処理によって固着又は融着して一体化された静電荷像現像用トナーである。また、本発明の別の要旨は、平均粒子径が2〜20μmでありかつワックスを含有してなる芯トナーの表面に、芯トナーに含有されるワックスと異なるワックスを含有してなりかつガラス転移温度が相対的に低い第一段目の樹脂微粒子を被覆し、さらにワックスを含まず当該第一段目の樹脂微粒子の表面にガラス転移温度が第一段目の樹脂微粒子より相対的に高い第二段目の樹脂微粒子を被覆し、これら芯トナー、第一段目の樹脂微粒子及び第二段目の樹脂微粒子の三者を熱処理によって固着又は融着させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される芯トナーは重合トナー、粉砕トナーのいずれでもよく特に限定されないが、低温定着性を目的とする場合には芯トナーのTgが30〜55℃の結着樹脂で構成されているものが好ましい。Tgが30℃よりも低いと芯トナーの製造がし難く、また保存安定性とのバランスが取り難くなり、また、Tgが55℃よりも高いと低温定着性が損なわれることがある。
【0009】
本発明に使用される芯トナーの組成は、通常用いられるトナーの組成のもので良く、結着樹脂と着色剤、帯電制御剤、ワックスなどを混練して粉砕したもの或いは凍結粉砕したものや、ベース樹脂成分モノマーと着色剤、荷電制御剤、ワックスなどの混合物を懸濁重合したもの、或いは、結着樹脂成分モノマーを乳化重合したラテックスと着色剤、荷電制御剤、ワックスなどの混合物を凝集成長させ、任意粒子径に成形したもの、更に、ワックスエマルションをシードとして乳化重合した、ワックス内包化ラテックスと着色剤、荷電制御剤などの混合物を凝集成長させ、任意粒子径に成形したもの等が使用できる。
芯トナーの平均微粒子径は2〜20μm、好ましくは2〜11μmである。
【0010】
芯トナーの主成分であるベース樹脂としては通常トナーのバインダー樹脂として用いられる樹脂がいずれも使用でき、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとアクリル酸もしくはメタクリル酸との三元もしくは多元共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
また、着色剤としてとしては黒トナー用及びフルカラートナー用に通常用いられる着色剤が使用でき、無機顔料又は有機顔料、有機染料のいずれでも良く、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、オイルレッド、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料等が挙げられ、これら公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。 また、フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤の使用量は、通常、ベース樹脂100重量部に対して1〜20重量部となるように用いられる。
【0011】
更に、帯電制御剤やワックスなども任意に使用できる。
帯電制御剤としては、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性として4級アンモニウム塩、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性として金属キレート類、有機酸の金属塩、含金属染料、ニグロシン染料、アミド基含有化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性もしくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
また、カラートナー適応性(帯電制御剤自体が無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がないこと)を勘案すると、正帯電性としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4′−メチレンビス[2−[N−(4−クロロフェニル)アミド]−3−ヒドロキシナフタレン]等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。その使用量はトナーに所望の帯電量により決定すればよいが、通常はベース樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部用い、更に好ましくは0.1〜10重量部用いる。
【0012】
芯トナーに使用されるワックスとしては公知のワックス類の任意のものを使用することができ、パラフィン系・オレフィン系・天然及び合成の脂肪酸エステル系・脂肪酸アミド系・長鎖アルキルケトン樹脂系及び変成シリコン樹脂系のうちの1種又は混合物などであるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、等のオレフィン系ワックス、天然及び合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基又はフェニル基を有するシリコン、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド、等が例示され、その使用量はベース樹脂100重量部に対し0〜50重量部を用い、好ましくは1〜40重量部を用いるのがよい。またワックスの融点としては、30〜100℃が好ましく、40〜95℃が更に好ましく、50〜95℃が特に好ましい。ワックスの融点が上記範囲であればトナーの低温定着性が良好となる。ワックスは、2種または3種以上の化合物の混合物でも良く、その場合には、最も含有量の多い化合物の融点が、上記範囲となるのが好ましい。
【0013】
第一段目又は第二段目の樹脂微粒子のベースとなる樹脂の種類は、例えば以下のものから適したTgのものを選んで使用される。ジアリルフタレート樹脂(PDAP)又はジアリルイソフタレート樹脂(PDAIP)及びジアリルフタレートとジアリルイソフタレートの共重合樹脂(COPDAP)の1種又は混合物、及びこれらとアクリル酸エステルの共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸三元共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−アクリル酸三元共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体樹脂等が使用でき、好ましくは、スチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合樹脂、又は、スチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとアクリル酸又はメタクリル酸との三元共重合樹脂。
【0014】
第一段目の樹脂微粒子の粒子径及び第二段目の樹脂微粒子の粒子径は、0.02〜3μmが好ましく、0.03〜1μmが更に好ましい。
第一段目の樹脂微粒子の使用量は、芯トナーの粒子径と樹脂微粒子の粒子径のバランスによるが、芯トナーの重量に対して1〜100重量%程度が良く、2〜30重量%が好適であり、5〜25重量%が特に好適である。第一段目の樹脂微粒子の使用量が1重量%より少ないとオイルレス定着性が十分発揮できない。
【0015】
第二段目の樹脂微粒子の使用量は、芯トナーの粒子径と樹脂微粒子の粒子径のバランスによるが、芯トナーの重量に対して1〜50重量%程度が良く、2〜30重量%が好適であり、5〜25重量%が特に好適である。第二段目の樹脂微粒子の使用量が1重量%より少ないと、保存安定性(耐ブロッキング性)が不十分になりやすく、50重量%より多いと、オイルレス定着性付与効果が十分に発揮されなくなる傾向になるため好ましくない。
第一段目の樹脂微粒子はワックスを内包するものが好ましい。ワックスの量は、ベース樹脂100重量部に対し1〜40重量部を用い、好ましくは3〜25重量部を用いるのがよい。ワックスの量が1重量部より少ないとオイルレス定着性が十分発揮できず、40重量%より多いとオイルレス定着性付与効果は十分発揮されるが、トナー強度が低下したり、保存安定性が不安定になる。
第二段目の樹脂微粒子はワックスを含まないものが良い。
【0016】
樹脂微粒子に使用されるワックスは、芯トナーに使用されるワックスと同様なものが使用でき、例えば、パラフィン系・オレフィン系・天然及び合成の脂肪酸エステル系・脂肪酸アミド系・長鎖アルキルケトン樹脂系及び変成シリコン樹脂系のうちの1種又は混合物などであるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、等のオレフィン系ワックス、天然及び合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基又はフェニル基を有するシリコン、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド、等が上げられる。これらワックスの融点としては、30〜100℃が好ましく、40〜95℃が更に好ましく、50〜95℃が特に好ましい。
【0017】
ワックス内包化樹脂微粒子の製造は、その作成方法は特に限定されないが、好ましくはワックス微粒子をシードとしてモノマー混合物をシード重合することによって得られる。
本発明において、芯トナーに二段で樹脂微粒子を被覆する場合、通常、一段目の樹脂微粒子と、二段目の樹脂微粒子は、樹脂の種類、樹脂以外の含有成分等、組成が互いに異なるもの、または平均粒径、平均分子量等、物性が互いに異なるものが用いられる。何らかの組成あるいは物性が異なれば、いかなる樹脂微粒子の組み合わせでも用いることができる。
好ましい実施態様では、第一段目の樹脂微粒子がワックスを含有しており、第二段目の樹脂微粒子がワックスを含有していないものである。
別の好ましい実施態様では、第一段目の樹脂微粒子のガラス転移温度が相対的に低く、第二段目の樹脂微粒子のガラス転移温度が相対的に高いものである。
樹脂微粒子を被覆して固着又は融着させる方法としては、芯トナーの分散液に第一段目の樹脂微粒子分散液を添加し、極性が異なる場合には静電的付着で、同極性の場合には粒子間吸引力を利用して、必要に応じてpH調整或いは電導度調整をして付着させて被覆し、これを熱処理によって固着又は融着させる。その際、必要ならば再度pH調整或いは電導度調整をして、トナー粒子の凝集体の生成を防止する処方を取っても良い。
【0018】
また、第二段目の樹脂微粒子の被覆は、第一段目の樹脂微粒子を被覆して一定時間加熱し、第一段目の樹脂微粒子を芯トナーに融着させた後に行っても良い。また、第一段目の樹脂微粒子として、これを芯トナーに融着させることなく引き続き第二段目の樹脂微粒子の被覆を行っても良い。更に、上記のいずれの場合にも、第二段目の樹脂微粒子の被覆の後に、芯トナーと第一段目の樹脂微粒子と第二段目の樹脂微粒子を一定時間加熱して融着を行ってもよい。
【0019】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、平均粒径、平均分子量、ガラス転移点(Tg)、定着温度幅、及び耐ブロッキング性は、それぞれ下記の方法により測定した。
平均粒径:ホリバ社製LA−500、日機装社製マイクロトラックUPA、コールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(コールターカウンターと略)により測定した。
平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(装置:TOSO社製GPC装置HLC−8020、カラム:Polymer Laboratory社製PL−gel Mixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1wt%、検量線:標準ポリスチレン)
ガラス転移点(Tg):パーキンエルマー社製DSC7により測定した(30℃から100℃まで7分で昇温し、100℃から−20℃まで急冷し、−20℃から100℃まで12分で昇温し、2回目の昇温時に観察されたTgの値を用いた)。
定着温度幅:未定着のトナー像を担持した記録紙を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から220℃(又は200℃)まで変化せさ、定着ニップ部に搬送し、排出された時の定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とした。定着機の加熱ローラは、芯金としてアルミニウム、弾性体層としてJIS−A規格によるゴム硬度3°のジメチル系の低温加硫型シリコーンゴム1.5mm厚、離型層としてPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)50μm厚が用いられており、直径は30mm、日本ゴム協会規格SRIS 0101に準拠して測定される定着ローラ表面のゴム硬度は80である。シリコンオイルの塗布なしで、ニップ幅は4mmで評価した。定着速度は120mm/sと30mm/sで実施した。評価範囲が100から220℃なので、定着温度の上限が220℃と記載のものについては、定着温度の真の上限はさらに高い可能性がある。
耐ブロッキング性:現像用トナー10gを円筒形の容器に入れ、20gの荷重をのせ、50℃の環境下に5時間放置した後トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
◎:0g以上200g未満
○:200g以上500g未満
△:500g以上1kg未満
×:1kg以上3kg未満
××:3kg以上5kg未満
(1)芯トナーの製造
(1−A)混練粉砕法トナー
スチレン/アクリル樹脂 100部 (Mw3.4万、Tg30℃)
シアン顔料 6部
パラフィンワックス 5部
帯電制御剤P−51 2部
とを2軸押し出し混練機PCM30(池貝鉄工所製)で混練し、粉砕分級してコールターカウンターでの平均粒径8.4μmのトナー(A)を得た
【0020】
(1−B)混練粉砕法トナー
スチレン/アクリル樹脂 100部 (Mw3.4万、Tg50℃)
シアン顔料 6部
パラフィンワックス 5部
帯電制御剤P−51 2部
とを2軸押し出し混練機PCM30(池貝鉄工所製)で混練し、粉砕分級して、コールターカウンターでの平均粒径9.1μmのトナー(B)を得た。
【0021】
(1−C)乳化重合凝集トナースラリー
(重合体一次粒子分散液)
撹拌装置(3枚後退翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積21、内径120mm)に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5.3部、脱塩水311部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液6.4部、2%アスコルビン酸水溶液6.4部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0022】
[モノマー類]
スチレン 59部
アクリル酸ブチル 39部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
1%2−メルカプトエタノール水溶液 3部
[乳化剤水溶液]
10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 2.7部
1%ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液 1.1部
脱塩水 22部
[開始剤水溶液]
2%過酸化水素水溶液 36部
2%アスコルビン酸水溶液 36部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は54,000、UPAで測定した平均粒子径は154nm、Tgは40℃であった。
【0023】
(着色剤微粒子分散液)
ピグメントブルー15:3の水分散液(EP−700 Blue GA、大日精化製、固形分35%)UPAで測定した平均粒径は150nmであった。
(帯電制御剤微粒子分散液)
4,4′−メチレンビス[2−[N−(4−クロロフェニル)アミド]−3−ヒドロキシナフタレン]20部、アルキルナフタレンスルホン酸塩4部、脱塩水76部をサンドグラインダーミルにて分散し、帯電制御剤微粒子分散液を得た。UPAで測定した平均粒径は200nmであった。
(芯トナーの製造)
重合体一次粒子分散液 100部(固形分として)
パラフィンワックス(LUVAX-1266、日本精蝋製)
分散液 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6部(固形分として)
帯電制御剤微粒子分散液 0.6部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
反応器(容積1リットル、ディスパー)に重合体一次粒子分散液とパラフィンワックス分散液、着色剤微粒子分散液、帯電制御剤分散液を仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を撹拌しながらpHを3.5に調整した。その後撹拌しながら昇温して、粒径が5.5μmになったところでpHを7に調整し、さらに60℃に昇温して1時間保持し、その後冷却し、凝集トナースラリー(固形分濃度22.3%)(C)を得た。
【0024】
(1−D)乳化重合凝集トナー
(1−C)で得た凝集トナースラリー(C)の一部を、濾過・洗浄・乾燥して凝集トナー(D)を得た。
(1−E)懸濁重合トナー
スチレン 60部
ブチルアクリレート 39.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
カーボンブラック(三菱化学製MA100S) 4部
パラフィンワックス(日本精蝋製LUVAX−1266) 5部
分散剤(楠本化成製ディスパロン) 1.5部
重合開始剤(和光純薬製V−65〕 5部
を、常法により混合分散してモノマー混合物を調製した。別に、
リン酸三カルシウム 25部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.05部
塩化カルシウム 200部
脱塩水 300部
の混合分散液を用意しておき、これにモノマー混合物を添加して懸濁液を調製し、常法により懸濁重合して、酸洗浄・濾過・水洗浄・乾燥をして、Mw3.3万、Tg40℃、コールターカウンターでの平均粒子径6.9μmの懸濁重合トナー(E)を得た。
【0025】
(1−F)懸濁重合トナー
モノマー混合物組成を、
スチレン 67部
ブチルアクリレート 32.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
カーボンブラック(MA100S) 4部
パラフィンワックス(LUVAX−1266) 5部
分散剤(ディスパロン) 1.5部
重合開始剤(V−65) 5部
とした他は(1−E)と同様に懸濁重合して、Mw3.2万、樹脂Tg50℃、コールターカウンターでの平均粒子径8.2μmの懸濁重合トナー(F)を得た。
【0026】
(2)第一段目の樹脂微粒子(ワックス内包化樹脂微粒子)の製造
(2−G)パラフィンワックス内包化樹脂微粒子
スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸=75.2/22.8/2の
混合モノマー 90部
にパラフィンワックス(LUVAX−1266日本精蝋製) 10部
を均一溶解しておき、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで乳化し、過酸化水素を開始剤として乳化重合して、Mw7.4万、樹脂Tg65℃、UPAで測定した平均粒子径0.206μm、樹脂濃度20wt%のパラフィンワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(G)を得た。
【0027】
(2−H)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
(ワックス分散液)
脱塩水69.74部、ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステル混合物(ユニスターM−2222SL、日本油脂製)30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.23部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.03部を混合し、高圧剪断をかけ乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。LA−500で測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は820nmであった。
(樹脂微粒子分散液)
撹拌装置(3枚後退翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積21、内径120mm)に上記ワックス分散液35部、脱塩水328部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液6.4部、2%アスコルビン酸水溶液6.4部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0028】
[モノマー類]
スチレン 75.2部
アクリル酸ブチル 22.8部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
1%2−メルカプトエタノール水溶液 3部
[乳化剤水溶液]
10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 2.7部
1%ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液 1.1部
脱塩水 22部
[開始剤水溶液]
2%過酸化水素水溶液 36部
2%アスコルビン酸水溶液 36部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液(H)を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は71,000、UPAで測定した平均粒子径は254nm、Tgは65℃であった。
【0029】
(2−I)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
モノマー部数を
スチレン 72部
アクリル酸ブチル 26部
アクリル酸 2部
とした他は(2−H)と同様にして、Mw6.9万、Tg60℃、UPAで測定した平均粒子径0.244μm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I)を得た。
【0030】
(2−J)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
ワックス分散液部数を70部、モノマー部数を
スチレン 64部
アクリル酸ブチル 23部
アクリル酸 2部
とした他は(2−H)と同様にして、Mw5.4万、樹脂Tg60℃、UPAで測定した平均粒子径0.206μm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(J)を得た。
【0031】
(3)第二段目の樹脂微粒子
(3−K)
ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子エマルジョン(K)(樹脂濃度23.6wt%、Tg105℃、Mw50万、UPAでの平均粒子径0.1μm)
(3−L)
ジアリルフタレートとアクリル酸エステルの共重合体樹脂エマルジョン(L)(樹脂濃度40wt%、樹脂Tg90℃、UPAでの平均粒子径0.1μm)
(3−M)スチレン/アクリル系樹脂微粒子
スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸=75.2/22.8/2のモノマー混合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで乳化し、過酸化水素を開始剤として乳化重合して、Mw7.4万、樹脂濃度20wt%、樹脂Tg65℃、UPAで測定した平均粒子径0.078μmの樹脂微粒子ラテックス(M)を得た。
(3−N)
スチレン/メチルメタクリレート/アクリル酸の共重合体樹脂エマルジョン(N)(Mw39.6万、樹脂濃度25.1wt%、樹脂Tg107℃、UPAでの平均粒子径0.13μm)
【0032】
(3−O)
スチレン/ブチルメタクリレート/アクリル酸の共重合体樹脂エマルジョン(Mw8.8万、樹脂濃度20.5wt%、樹脂Tg65℃、UPAでの平均粒子径0.11μm)
【0033】
[実施例1]
<第一段目の被覆>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(G) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(A) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を35℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0034】
<第二段目の被覆>
続いて、樹脂微粒子エマルジョン(K)42部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を35℃に昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に65℃迄昇温して2時間反応し、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、115〜155℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0035】
[実施例2]
<第一段目の被覆>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(H) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(B) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0036】
<第二段目の被覆>
続いて、乳化重合により製造したスチレン/アクリル系樹脂微粒子エマルジョン(M)30部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を段階的に50℃迄昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に60℃迄昇温して2時間反応して、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、130〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0037】
[実施例3]
<第一段目の被覆>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(D) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0038】
<第二段目の被覆>
続いて、樹脂微粒子エマルジョン(L)50部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を段階的に40℃迄昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に60℃迄昇温して2時間反応して、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、120〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0039】
[実施例4]
<第一段目の被覆>
凝集トナースラリー(C) 450部
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0040】
<第二段目の被覆>
続いて、樹脂微粒子エマルジョン(L)50部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を段階的に40℃迄昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に60℃迄昇温して2時間反応して、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
【0041】
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、120〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0042】
[実施例5]
<第一段目の被覆>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(E) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0043】
<第二段目の被覆>
続いて、樹脂微粒子エマルジョン(O)39部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に60℃迄昇温して2時間反応し、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、120〜160℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0044】
[実施例6]
<第一段目の被覆>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(J) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(F) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに第一段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
【0045】
<第二段目の被覆>
続いて、樹脂微粒子エマルジョン(N)20部を添加して、pHを2.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応し、更に反応温度を段階的に65℃迄昇温して2時間反応し、第二段目樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過・水洗・乾燥して二段階樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、130〜175℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0046】
[比較例1]
トナー(A)で、実施例1と同様に定着性の評価を実施したところ、100〜200℃の温度(200℃以上は実施していない)の範囲でいずれもオフセットしていることが確認された。
【0047】
[比較例2]
トナー(B)で、実施例2と同様に定着性の評価を実施したところ、120〜200℃の温度(200℃以上は実施していない)の範囲でいずれもオフセットしていることが確認された。
【0048】
[比較例3]
トナー(D)で、実施例4と同様に定着性の評価を実施したところ、110〜125℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
【0049】
[比較例4]
トナー(E)で、実施例5と同様に定着性の評価を実施したところ、115〜125℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
【0050】
[比較例5]
トナー(F)で、実施例6と同様に定着性の評価を実施したところ、125〜130℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
【0051】
[実施例−7]
(ワックス分散液)
脱塩水68.33部、ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステル混合物(ユニスターM−2222SL、日本油脂製)とステアリン酸ステアリルを主体とするエステル混合物(ユニスターM9676、日本油脂製)7:3の混合物30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオゲンSC、第一工業製薬製、有効成分66%)1.67部を混合し、90℃にて高圧剪断をかけ乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。LA−500で測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は340nmであった。
(重合体一次粒子分散液)
撹拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積60リットル、内径400mm)に上記ワックス分散液28部、15%ネオゲンSC水溶液12部、脱塩水393部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液1.6部、8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0052】
[モノマー類]
スチレン 79部(5530g)
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 3部
オクタンチオール 0.38部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
[乳化剤水溶液]
15%ネオゲンSC水溶液 1部
脱塩水 25部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は119,000、UPAで測定した平均粒子径は189nm、Tgは57℃であった。
【0053】
(ワックス分散液)
脱塩水74.3g、フェニル変性シリコンワックス24部、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩1.7部を混合し、高圧剪断をかけ乳化し、ワックス微粒子の分散液を得た。UPAで測定したワックス微粒子の平均粒径は250nmであった。
(樹脂微粒子分散液−1)
ワックス分散液を上記に変え、モノマー類部数を
スチレン 79部
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 3部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
2−メルカプトエタノール 0.01部
に変更する以外は重合体一次粒子分散液と同様にして、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は60,000、UPAで測定した平均粒子径は160nm、Tgは57℃であった。
【0054】
(樹脂微粒子分散液−2)
ワックス分散液を使用せず、モノマー類部数を
スチレン 88部
アクリル酸ブチル 12部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
に変更する以外は重合体一次粒子分散液と同様にして、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は54,000、UPAで測定した平均粒子径は83nm、Tgは85℃であった。
(現像用トナーの製造)
重合体一次粒子分散液 80部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−1 20部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−2 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6.7部(固形分として)
帯電制御剤微粒子分散液 2部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 0.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
反応器(容積1l、バッフル付きアンカー翼)に重合体一次粒子分散液とネオゲンSCを仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を撹拌しながら30℃で硫酸アルミニウム水溶液を添加した(固形分として0.4部)。その後、撹拌しながら50℃に昇温して1時間保持し、更に57℃に昇温して1時間保持した。樹脂微粒子分散液−1、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.2部)を添加し、さらに30分間後帯電制御剤微粒子分散液、樹脂微粒子分散液、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.1部)を添加し、59℃に昇温して30分保持した後15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3部)を添加してから95℃に昇温し、4時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナーを得た。コールターカウンターによる体積平均粒径は6.7μm、体積粒径の5μm以下の割合は4.5%、15μm以上の割合は0%、体積平均粒径と数平均粒径の比は1.09だった。
トナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合撹拌し、現像用トナーを得た。現像用トナーの定着性を評価したところ。定着速度120mm/sでは210〜220℃で定着し、定着速度30mm/sでは130〜220℃で定着した。
【0055】
[実施例−8]
(重合体一次粒子分散液)
ワックス分散液を使用せず、モノマー類部数を
スチレン 79部
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 3部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
2−メルカプトエタノール 0.01部
に変更する以外は実施例7の重合体一次粒子分散液と同様にして、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は70,000、UPAで測定した平均粒子径は200nm、Tgは71℃であった。
(樹脂微粒子分散液−1)
実施例7の重合体一次粒子を用いた。
(樹脂微粒子分散液−2)
実施例7の樹脂微粒子分散液−2を用いた。
【0056】
(現像用トナーの製造)
重合体一次粒子分散液 50部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−1 50部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−2 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6.7部(固形分として)
帯電制御剤微粒子分散液 2部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 0.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
反応器(容積1l、バッフル付きアンカー翼)に重合体一次粒子分散液とネオゲンSCを仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を撹拌しながら30℃で硫酸アルミニウム水溶液を添加した(固形分として0.4部)。その後、撹拌しながら50℃に昇温して1時間保持し、更に60℃に昇温して30分保持した。樹脂微粒子分散液−1、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.2部)を添加し、さらに30分間後帯電制御剤微粒子分散液、樹脂微粒子分散液、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.1部)を添加し、62℃に昇温して30分保持した後15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3部)を添加してから95℃に昇温し、4時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナーを得た。コールターカウンターによる体積平均粒径は7.2μm、体積粒径の5μm以下の割合は2.5%、15μm以上の割合は0.2%、体積平均粒径と数平均粒径の比は1.11だった。
トナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合撹拌し、現像用トナーを得た。現像用トナーの定着性を評価したところ、定着速度120mm/sでは170〜220℃で定着し、定着速度30mm/sでは140〜180℃で定着した。
実施例及び比較例の結果を表−1にまとめて示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、低温定着性で且つ保存安定性(耐ブロッキング性)の良好な、オイルレス定着性を有するトナーを、容易に製造することが出来る。
Claims (10)
- 静電荷像現像用トナーにおいて、平均粒子径が2〜20μmでありかつワックスを含有してなる芯トナーの表面に、芯トナーに含有されるワックスと異なるワックスを含有してなりかつガラス転移温度が相対的に低い第一段目の樹脂微粒子が被覆されてなり、更にワックスを含まず当該第一段目の樹脂微粒子の表面にガラス転移温度が第一段目の樹脂微粒子より相対的に高い第二段目の樹脂微粒子が被覆されてなり、これら芯トナー、第一段目の樹脂微粒子及び第二段目の樹脂微粒子の三者を熱処理によって固着又は融着して一体化された静電荷像現像用トナー。
- 芯トナーが、芯トナーのベース樹脂100重量部に対してワックスを1〜40重量部含有する請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 芯トナーに含まれるワックスの融点が30〜100℃である請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 芯トナーのベース樹脂のガラス転移点(Tg)が30〜55℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 第一段目の樹脂微粒子がワックスを含んでおり、該ワックスが、パラフィン系、オレフィン系、天然もしくは合成の脂肪酸エステル系、脂肪酸アミド系、長鎖アルキルケトン樹脂系及び変性シリコン樹脂系からなる群から選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 第一段目の樹脂微粒子が、ワックスを1〜40重量部(ベース樹脂を100重量部とする)含有する請求項2〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 第一段目の樹脂微粒子に含まれるワックスの融点が30〜100℃である請求項2〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 第一段目の樹脂微粒子のベース樹脂が、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとの共重合樹脂、又は、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとアクリル酸もしくはメタアクリル酸との三元もしくは多元共重合体樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 第二段目の樹脂微粒子のベース樹脂が、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとの共重合樹脂、又は、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとアクリル酸もしくはメタアクリル酸との三元もしくは多元共重合体樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 平均粒子径が2〜20μmでありかつワックスを含有してなる芯トナーの表面に、芯トナーに含有されるワックスと異なるワックスを含有してなりかつガラス転移温度が相対的に低い第一段目の樹脂微粒子を被覆し、さらにワックスを含まず当該第一段目の樹脂微粒子の表面にガラス転移温度が第一段目の樹脂微粒子より相対的に高い第二段目の樹脂微粒子を被覆し、これら芯トナー、第一段目の樹脂微粒子及び第二段目の樹脂微粒子の三者を熱処理によって固着又は融着させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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