JP2008046514A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】懸濁重合法や乳化重合凝集法等の湿式重合法による静電荷像現像用トナーの製造において、臭気が少なく、画質等にも優れた性能の静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】湿式重合法を用いる静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記重合法に使用する連鎖移動剤として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(R−Ar−SH (1)
(R−Ar−R−SH (2)
[一般式(1)及び一般式(2)中、Arは芳香環を示し、Rはnが1のときは水素原子又は電子供与基を示し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい電子供与基を示し、Rは側鎖を有していてもよいアルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関し、更に詳しくは、湿式重合法で製造され、かつ、臭気の少ない静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
静電荷像現像用トナーは、プリンターや複写機、ファクシミリ等において、静電荷像を可視化する画像形成に用いられる。電子写真方式による画像の形成を例にとると、先ず感光体ドラム上に静電潜像を形成し、次いでこれをトナーにより現像した後、転写紙等に転写し、熱等により定着することによって画像形成が行われる。その際の静電荷像現像用トナーとしては、通常、結着樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級する、いわゆる溶融混練粉砕法により得られたトナー粒子に、流動性等の各種性能を付与することを目的として、例えばシリカ等の固体微粒子を外添剤として表面に付着させた形態のものが用いられている。
近年、複写機やプリンター等の画像形成において高精細画質化が要求され、それに応えるためには、トナー粒子の平均粒径が3〜8μm程度で、かつ、粒度分布の狭いことが必要であるが、溶融混練粉砕法においてはトナー粒子の粒径を制御することが難しく、平均粒径が3〜8μmの範囲のトナー粒子を得ようとすると、所望粒径以下の微粉が多量に副生し、これを分級工程で分別することが困難であるという問題点があった。
溶融混練粉砕法におけるこのような問題点を改善する方法として、溶融混練粉砕法に代わって、懸濁重合法、乳化重合凝集法等の湿式重合法による製造方法が提案されている。
懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤、着色剤等を成分とする組成物を水系媒体中に懸濁分散した後に重合してトナー粒子を製造する方法である。乳化重合凝集法は、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中に重合性単量体を乳化し、攪拌下に重合性単量体を重合して重合体一次粒子を得て、これに着色剤及び必要に応じて帯電制御剤等を添加して重合体一次粒子を凝集させ、さらに得られた凝集粒子を熟成させてトナー粒子を製造する方法である。また、溶解懸濁法は結着樹脂を有機溶剤に溶解し、着色剤等を添加分散して得られる溶液相を、分散剤等を含有した水相において機械的な剪断力で分散し液滴を形成し、液滴から有機溶剤を除去してトナー粒子を製造する方法である。
これらの湿式重合法によれば、トナー粒子の粒径制御が容易であるので、小粒径かつ粒度分布が狭く、高精細画質の形成が可能なトナー粒子を得ることができる。特に、懸濁重合法や乳化重合凝集法は、重合性単量体の重合とトナー粒子の造粒とを製造工程内で行うため、別途製造した結着樹脂を用いて造粒する溶解懸濁法に比べてトナー製造に要するエネルギーが小さい利点がある。
懸濁重合法や乳化重合凝集法においては、その製造工程で重合性単量体が重合して生成する重合体の分子量は、トナー粒子の性能、特に、定着性等の熱的な性能に影響を与える。そこで、重合時の重合体の分子量分布を制御するために連鎖移動剤が使用される。連鎖移動剤としては、例えば、四臭化炭素、モノクロロトリブロモカーボンのようなハロゲン化合物やドデカンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール等の含イオウ化合物等が用いられる。しかし、ハロゲン化合物は毒性の点で人体や環境にとって好ましくない場合がある。また、含イオウ化合物は一般には臭気があり、トナー粒子中に残留してトナー臭気の元となり好ましくない場合がある。
臭気を抑制する技術として、特定のイオウ化合物を連鎖移動剤に用いる手法(例えば、特許文献1)、超臨界流体や亜臨界流体を用いて連鎖移動剤を除去する手法(例えば、特許文献2)等が提案されているが、十分な効果が得られなかったり、操作が煩雑であったりする等の問題があった。
特開2002−099115号公報 特開2006−003454号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、懸濁重合法や乳化重合凝集法等の湿式重合法による静電荷像現像用トナーの製造において、臭気が少なく、画質等にも優れた性能の静電荷像現像用トナーを提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の連鎖移動剤を用いて重合することによって、分子量分布が好適に制御され、臭気の少ない優れた性能の静電荷像現像用トナーが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、湿式重合法を用いる静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記重合法に使用する連鎖移動剤として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
(R−Ar−SH (1)
(R−Ar−R−SH (2)
[一般式(1)及び一般式(2)中、Arは芳香環を示し、Rはnが1のときは水素原子又は電子供与基を示し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい電子供与基を示し、Rは側鎖を有していてもよいアルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す。]
本発明によれば、トナーの製造工程中、保管貯蔵中、輸送中等において発生する臭気を低減させることができ、また、高精細画質の形成が可能で、画像形成装置において使用するときの臭気も少なく使用者に不快感を与えない静電荷像現像用トナーを提供することができる。また、連鎖移動剤としてハロゲン化合物を使用しないので、人体や環境にとって好ましい静電荷像現像用トナーを提供することができる。
本発明は、湿式重合法を用いる静電荷像現像用トナーの製造方法において、重合時に使用する連鎖移動剤として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いることを特徴とする。
(R−Ar−SH (1)
(R−Ar−R−SH (2)
[一般式(1)及び一般式(2)中、Arは芳香環を示し、Rはnが1のときは水素原子又は電子供与基を示し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい電子供与基を示し、Rは側鎖を有していてもよいアルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す。]
上記一般式(1)又は一般式(2)中のArは芳香環であれば特に限定はないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の炭化水素環;ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリミジン環、プリン環、カルバゾール環等の窒素含有芳香族ヘテロ環;フラン環等の酸素若しくはイオウ含有芳香族ヘテロ環等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン環又はナフタレン環である。
上記一般式(1)又は一般式(2)中のRとしては、水素原子又は電子供与基であれば特に限定はないが、具体的には例えば、水素原子、アルキル基、アリール基、−OH、−OR’、−OCOR’、−NH、−N(R’)、−NHCOR’等が挙げられる。ここで、R’は−CH、−C、−C、−C等のアルキル基を示す。R’としてはメチル基(−CH)が好ましい。
としてのアルキル基としては特に限定はないが、炭素数1〜12個の、直鎖アルキル基又は分岐を有するアルキル基が、モノマー中での分散性が良好である点で好ましい。ここでの炭素数とは、分岐を有する場合には分岐部分の炭素数をも含めた炭素数である。特に好ましくは、炭素数1〜8個のアルキル基、更に好ましくは炭素数1〜4個のアルキル基である。上記炭素数を超えると結晶性が生じ、連鎖移動剤のかたまりができる場合がある。
としてのアルキル基は、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。Rとしてのアリール基としては、電子供与性があれば特に限定はない。
芳香環であるArに対するRの結合位置は特に限定はないが、一般式(1)又は一般式(2)において、「−SH基」又は「−R−SH基」が結合している芳香環Ar内の炭素原子の電子密度が大きくなる位置に結合していることが好ましい。例えば、Arがベンゼン環(フェニル又はフェニレン)であるときには、「−SH基」又は「−R−SH基」のo(オルト)位又はp(パラ)位にRが置換されていることが好ましい。本発明においては、メソメリー効果を奏する位置に電子供与性基Rを導入することで、より本発明の効果が大きくなる。
は側鎖を有していてもよいアルキレン基であれば特に限定はないが、アルキレン基としては炭素数1〜4個のものが好ましい。特に好ましくは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基であり、最も好ましくはメチレン基である。なお、上記「アルキレン基」は直鎖部分のみをいい、その炭素数も直鎖部分の炭素数である。
アルキレン基の有する側鎖としては、アルキル基であれば特に限定はないが、炭素数1〜4個のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましく、メチル基が更に好ましい。Rの具体例としては例えば、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基等が挙げられる。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に記載するが、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の範囲は上記した通りであり、以下の具体的化合物に限定されるわけではない。
一般式(1)で表される化合物の具体例。
Figure 2008046514
一般式(2)で表される化合物の具体例。
Figure 2008046514
連鎖移動剤の使用量は特に限定されるわけでないが、全重合性単量体100重量部に対して、懸濁重合法においても、乳化重合凝集法においても、好ましくは、0.1〜10重量部の範囲、特に好ましくは1〜5重量部の範囲で用いられる。この範囲で用いることにより、トナーとして好ましいバインダーポリマーの分子量である、重量平均分子量5000〜20万程度を与えることができる。また、本発明においては、一般式(1)又は(2)で表される連鎖移動剤の他に、他の連鎖移動剤を併用してもよい。
本発明の上記効果は、湿式重合法で製造されるトナー粒子のバインダーがスチレン系樹脂である場合に顕著である。「スチレン系樹脂」とは、樹脂を構成する重合性単量体の少なくとも一種類が、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系の単量体である樹脂をいい、スチレン系樹脂としては、上記スチレン系の単量体と、アクリル酸やメタクリル酸あるいはそれらのエステルとの共重合体(スチレン−(メタ)アクリル系共重合体)が好ましい。
湿式重合法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等があるが、本発明においては、連鎖移動剤を常に使用する製造法である懸濁重合法と乳化重合凝集法等の湿式重合法が適している。
懸濁重合法の場合は、重合性単量体、重合開始剤、本発明における連鎖移動剤、着色剤、及びその他必要に応じて配合される成分、例えば、帯電制御剤、ワックス等のオフセット防止剤等を、分散媒体中で剪断力を加えて懸濁分散粒子として重合してトナー粒子を得る。
乳化重合凝集法の場合には、重合性単量体、重合開始剤、本発明における連鎖移動剤を水系分散媒体中で、乳化状態で重合して得られる重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、及びその他必要に応じて配合される成分、例えば、帯電制御剤、ワックス等のオフセット防止剤等を混合し、凝集、熟成してトナー粒子を得る。乳化状態で重合するにあたっては、オフセット防止剤や帯電制御剤を予め水系分散媒体中に微粒子状態で分散しておいて重合性単量体を重合する、いわゆるシード乳化重合で行うこともできる。
湿式重合法で製造されたトナー粒子は、分散媒体から分離され洗浄、乾燥され、必要に応じて外添処理等が施されて静電荷像現像用トナーに供される。
本発明の製造法は、湿式重合法での製造が必須であり、特に、懸濁重合法と乳化重合凝集法において好適に用いられる。以下に、乳化重合凝集法を湿式重合法の代表例にとって詳細に説明するが、本発明は乳化重合凝集法に限定されるものではない。
乳化重合凝集法によりトナー粒子を製造する場合、通常、乳化重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。すなわち、一般的には乳化重合により得られた重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、必要に応じて帯電制御剤、ワックス及びその他の添加剤等を混合して凝集、熟成させて得られる体積平均粒径3〜8μm程度の凝集体を洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子を構成する単量体としては、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に「酸性単量体」と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に「塩基性単量体」と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、「その他の単量体」と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
乳化重合工程では、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で重合性単量体を重合するが、この際、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加しても良い。また、単量体はそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤等と混合、調整した乳化液として添加することもできる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体;スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体;ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物;ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性単量体を用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸であるのがよい。
重合体一次粒子を構成する全重合性単量体100重量部中に占める酸性単量体及び塩基性単量体の合計量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下であることが望ましい。
その他の重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、重合体一次粒子を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
重合体一次粒子の構成を架橋樹脂とする場合は、樹脂を構成する全重合性単量体中に占める多官能性モノマーの配合率は、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、更に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、更に好ましくは1重量部以下であることが望ましい。
乳化重合に用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物類等の一種或いは二種以上が、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜3重量部の量で用いられる。また、これらの重合開始剤に、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸等の還元性有機化合物類、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物類等の還元剤の一種或いは二種以上を併用したレドックス系開始剤とすることもできる。中でも、開始剤としては過酸化水素、有機過酸化物類、アゾ系化合物類が好ましい。
また、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の一種或いは二種以上の懸濁安定剤を、重合性単量体100重量部に対して通常1〜10重量部の量で用いてもよい。
重合開始剤及び懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
乳化重合に際して重合体一次粒子の分子量を制御するために連鎖移動剤が使用されるが、本発明では、上記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いる。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、全重合性単量体100重量部に対して、通常5重量部以下の範囲で用いることにより、トナーとして好ましい樹脂成分の分子量(重量平均分子量5000〜20万程度)を与える重合体一次粒子を得ることができる。一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、全重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜10重量部の範囲、特に好ましくは1〜5重量部の範囲で用いられる。また、本発明においては、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、他の連鎖移動剤と併用して用いても良い。
また、反応系には、さらに、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
乳化重合では、上記の重合性単量体類を重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは70〜90℃である。乳化重合により得られた重合体一次粒子の体積平均径(Mv)は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。粒径が前記範囲よりも小さいときは、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、前記範囲よりも大きいときは、凝集して得られるトナー粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明の製造方法においては、乳化重合と異なる重合方法で得られた樹脂を重合体一次粒子として併用することもできるが、そのような樹脂についても、体積平均径(Mv)が、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であるものを用いることが望ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合方法としては、通常、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均径(Mv)が0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜1μmであることが望ましい。
着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料等、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して3〜20重量部となるように用いられる。
また、帯電制御剤を用いる場合には、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性帯電制御剤として4級アンモニウム塩、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性帯電制御剤として金属キレート類、有機酸の金属塩、含金属染料、ニグロシン染料、アミド基含有化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性若しくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーをカラートナー又はフルカラートナーにおける黒色トナー以外のトナーとして使用する場合には、無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がない帯電制御剤を用いることが好ましく、例えば、正帯電性帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性帯電制御剤としてはサリチル酸若しくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス[2−(N−(4−クロロフェニル)アミド)−3−ヒドロキシナフタレン]等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。
乳化重合凝集法におけるワックス等のオフセット防止剤の配合方法としては、予め水中に体積平均径0.01〜2.0μm、より好ましくは0.01〜0.5μmに分散したワックス分散液を乳化重合時に添加するか、あるいは凝集工程で添加することが好ましい。トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加する、いわゆるシード重合とすることが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスがトナー中に微細かつ均一に分散するため、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。
乳化重合凝集法においてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性単量体等とともに帯電制御剤を添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼ目的とする粒径となった後に添加する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を界面活性剤を用いて水中で分散させ、体積平均径(Mv)0.01〜3μmの分散液として凝集工程に添加することが好ましい。
以上の分散液中の重合体一次粒子、着色剤分散粒子、ワックス分散粒子、帯電制御剤分散粒子等の体積平均径(Mv)は、実施例で詳述したように、日機装社製「ナノトラック」を用いて測定し、そのように測定した値として定義される。
乳化重合凝集法における凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックス等の配合成分は、同時にあるいは逐次に混合するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが、組成の均一性及び粒径の均一性の観点で好ましい。
凝集処理は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法、これらを組み合わせる方法等がある。一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、通常0.05〜25重量部、好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。添加量が前記範囲よりも少ない場合は、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しない等の問題を生じる場合があり、前記範囲よりも多い場合は、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれる等の問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20〜70℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。
電解質を用いないで加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、通常、重合体一次粒子のガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg−20℃)〜(Tg)の温度範囲であり、(Tg−10℃)〜(Tg−5℃)の範囲であることが好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナー粒子の粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を付着又は固着した粒子を形成することも出来る。粒子凝集体表面に樹脂微粒子を付着又は固着することにより、得られるトナーの帯電性や耐熱性を向上できる場合がある。該樹脂微粒子の体積平均径(Mv)は、好ましくは0.02〜3μm、より好ましくは0.05〜1.5μmである。樹脂微粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができるが、中でも多官能性モノマーを原料に含む架橋樹脂が好ましい。また、該樹脂微粒子はワックスを含まないものであることが望ましい。この樹脂微粒子は、通常、界面活性剤により水又は水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂微粒子を加えることが好ましい。
乳化重合凝集法にあっては、凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、乳化重合凝集法においては、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げることが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上であり、また、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
また、乳化重合凝集法により得られた粒子の表面に、更に、重合体を主成分とする外層を、好ましくは0.01〜0.5μmの厚みで形成させることによって、カプセル化されたトナー粒子とすることもできる。カプセル化トナー粒子における外層重合体のガラス転移温度は、45〜110℃であるのが好ましく、また、凝集(熟成)体粒子を構成する重合体のガラス転移温度より高いことが好ましい。
こうして乳化重合凝集法により得られたトナー粒子は、次いで洗浄工程で洗浄される。洗浄に用いる液体としては水が用いられるが、酸又はアルカリの水溶液で洗浄することもでき、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸やクエン酸等の有機酸を用いることが好ましい。また、温水や熱水で洗浄することもでき、これらの方法を併用することもできる。このような洗浄工程を経ることによって、懸濁安定剤や乳化剤、未反応の残存モノマー等を低減、除去することが出来るため好ましい。洗浄工程は、洗浄する液体を、例えば濾過、デカンテーション等することによってトナー粒子を濃厚スラリー或いはウエットケーキ状とし、これに新たに洗浄するための液体を加えてトナーを分散する操作を繰り返すことが好ましい。洗浄後のトナー粒子は、ウエットケーキ状で回収することが、引き続き行われる乾燥工程における取り扱いの面で好ましい。
乳化重合凝集法により得られたトナー粒子の体積平均粒径は、好ましくは3〜15μm、より好ましくは5〜10μmの範囲である。
また、トナー粒子の形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定した平均円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上であり、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.96以下である。平均円形度が前記範囲より小さい場合は、トナー粒子への外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こす場合があり、前記範囲より大きい場合はトナー粒子形状に起因するクリーニング不良となる場合がある。
また、トナー粒子のDSC法によるガラス転移点(「Tg」と略記する場合がある)は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下であることが望ましい。Tgが前記範囲である場合、トナーの保存性、定着性が良好となるため望ましい。本発明において、Tgは、セイコーインスツルメンツ社DSC220を用い、1回目30℃から210℃まで10℃/分で昇温、その後30℃まで20℃/分で降温し、更に110℃まで10℃/分で昇温した時のDSC吸熱曲線の転移(変曲)開始部に接線を引き、2つの接線の交点の温度と定義する。
洗浄工程を経て固液分離された湿潤状態のトナー粒子は、乾燥工程で乾燥される。乾燥工程では、振動型流動乾燥法や循環型流動乾燥法等流動乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライ法、フラッシュジェット法等が用いられる。乾燥工程における温度、風量、減圧度等の操作条件は、トナー粒子のTg、使用する装置の形状、機構、大きさ等をもとに、適宜最適化される。
本発明のトナー粒子には、トナーの流動性向上や帯電制御性向上のために、必要により外添微粒子を添加することができ、そのような外添微粒子としては、各種無機又は有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、リン酸カルシウム等のリン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック、マグネタイト、フェライト等を用いることができる。有機微粒子としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の微粒子を用いることができる。
これら外添微粒子の中では、特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック等が好適に使用される。また、外添微粒子は、前記の無機又は有機微粒子の表面を、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコンオイル、変性シリコンオイル、シリコンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤等の処理剤によって疎水化等の表面処理が施されているものを使用することもできる。該処理剤は二種以上を併用することもできる。
外添微粒子は、平均粒径が通常0.001〜3μm、好ましくは0.005〜1μmであり、異なる粒径のものを複数種類配合することもできる。外添微粒子の平均粒径は電子顕微鏡観察により求めることができる。また、外添微粒子は、異なる二種以上を併用することもでき、表面処理されたものと表面処理されていないものを併用することや、異なる表面処理がされたものを併用することもでき、正帯電性のものと負帯電性のものを適宜組み合わせて使用することもできる。
また、外添微粒子の含有量は、トナー粒子100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下であるのが望ましい。外添微粒子の添加方法としては、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機を用いる方法や、圧縮剪断応力を加えることの出来る装置による方法等が挙げられる。
さらに、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末等を添加することができる。これらの添加剤の使用量は所望する性能により適宜選定すればよく、通常トナー粒子100重量部に対し0.05〜10重量部程度が好適である。
本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナーは、トナー粒子をキャリアとともに用いる二成分系現像剤、又は、キャリアを使用しない磁性若しくは非磁性一成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。二成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質又はそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコン樹脂、変性シリコン樹脂、フッ素樹脂、又はこれらの混合物等が利用できる。
<作用>
本発明のトナーの製造方法で製造されたトナーが、臭気が少なく優れている理由・原理は明らかではないが以下のように考えられる。なお、以下の理由・原理の範囲に本発明は限定されるものではない。
すなわち、トナーの臭気は、重合工程や洗浄工程、乾燥工程等の一連の製造工程の中で生成し、工程中で除去されずにトナー粒子中に残存した臭気原因物質が、トナーの保管あるいは使用中にトナー粒子から放出されることによると考えられる。臭気原因物質は連鎖移動剤自体から生成する物質、連鎖移動剤により生成が促される生成物等があり、臭気原因物質の生成のしやすさや生成量の多寡は連鎖移動剤の種類によって異なる。また、製造工程における臭気原因物質の除去されやすさや、保管あるいは使用中のトナー粒子中からの放出されやすさは、臭気原因物質の物性に依存すると考えられる。
本発明のトナーの臭気が少ない理由として、本発明における連鎖移動剤としての一般式(1)又は(2)で表される化合物は、臭気原因物質の生成には寄与しない、又は、連鎖移動剤由来の生成物はトナー粒子との親和性が大きくトナー粒子中に留まりやすいため放出されにくい、等が考えられる。
本発明の効果は、湿式重合法で製造されるトナー粒子のバインダーがスチレン系樹脂である場合に顕著であるが、その理由・原理は以下のように考えられる。すなわち、本発明の連鎖移動剤に由来する副生物は、分子内に芳香環を有するためスチレン系樹脂との親和性が大きいので、トナー粒子から放出されにくいことが、臭気の低減に寄与している一因として推測される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。以下の例で、「部」とあるのは「重量部」を意味し、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
[形状、物性等の測定方法と定義]
<体積平均径(Mv)の測定方法と定義>
1ミクロン未満の体積平均径(Mv)を有す粒子の体積平均径(Mv)は、日機装株式会社製、型式Microtrac Nanotrac150(本発明においては、「ナノトラック」と略記する)及び同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2−019EEを用い、電気伝導度0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒とし、以下の測定条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
溶媒屈折率:1.333
測定時間 :600秒
測定回数 :1回
粒子屈折率:1.59
透過性 :透過
形状 :真球形
密度 :1.04
<体積中位径(Dv50)の測定方法と定義>
1μm以上の体積中位径(Dv50)を有す粒子の体積中位径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製のマルチサイザーII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、同社アイソトンIIを分散媒として、分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
<平均円形度の測定方法と定義>
平均円形度は、分散質を分散媒(セルシース:シスメックス社製)に5720〜7140個/μLとなるように分散させ、フロー式粒子分析装置(FPIA2000:シスメックス社製)を用いて、HPF分析量0.35μL、HPF検出量2000〜2500個の条件下でHPFモードにより測定した。
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
<電気伝導度測定の測定方法と定義>
電気伝導度の測定は、導電率計(アズワン株式会社製のCyberScanCON100)を用いて行なった。
<熱特性の測定方法と定義>
パーキンエルマー社製の熱分析装置DSC7を用い、同社の取り扱い説明書に記載された方法で10℃から110℃まで10℃/minの速度で昇温させた際の吸熱曲線より、融点・融解熱量・融解ピーク半値幅を測定し、続いて110℃から10℃まで10℃/minの速度で降温させた際の発熱曲線より、結晶化温度・結晶化ピーク半値幅を測定した。
<重合体一次粒子の重量平均分子量(Mw)の測定方法と定義>
重合体一次粒子分散液のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[試料調製]
(1)分散液中の水分を常法に従って充分に乾燥して固形分を得た。
(2)小数点以下3桁迄測定可能な電子天秤を用い、固形分1gを正確に秤量し、25℃でテトラヒドロフラン(THF)100gに溶解し、スタラーで穏やかに15分攪拌した。
(3)得られた溶液をジーエルサイエンス(株)社製、クロマトディスク13pを取り付けた注射器により濾過し、濾液を試料とした。
[重量平均分子量測定]
上記濾液を、以下の条件でGPCにより測定した。測定装置として、HLC−8020(東ソー社製)を使用して、40℃のチャンバー内でカラム(ポリマーラボラトリー社製、PL−gel Mixed−B 10μ)を安定させ、溶媒としてTHFを毎分1mLの流速で流し、前記試料を約0.1mL(試料濃度約0.1%)注入して測定した。単分散ポリスチレン標準試料(東ソー社製、Std1:8.42×10、1.09×10、3.55×10、9.64×10、1.67×10、5.97×10、1.05×10;Std2:3.84×10、7.06×10、1.90×10、3.79×10、9.10×10、2.63×10)を用いて検量線を作成した。すなわち、上記7種類の標準ポリスチレンを溶解して作成した標準サンプル(Std1)、上記6種類の標準ポリスチレンを溶解して作成した標準サンプル(Std2)を作成し、この2つを併せて検量線を作成し、重量平均分子量を算出した。
実 施 例 1
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋社製HNP−9、表面張力23.5mN/m、熱特性:融点82℃、融解熱量220J/g、融解ピーク半値幅8.2℃、結晶化温度66℃、結晶化ピーク半値幅13.0℃)27部(270g)、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A、以下「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、ホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)を用いて25MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し体積平均径(Mv)が250nmになるまで分散して、「ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1」(固形分濃度=30.2%)を作製した。
<シリコンワックス分散液B1の調製>
アルキル変性シリコンワックス(熱特性:融点77℃、融解熱量97J/g、融解ピーク半値幅10.9℃、結晶化温度61℃、結晶化ピーク半値幅17.0℃)27部、20%DBS水溶液1.9部、脱塩水71.1部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)で10分間攪拌した。次いで、この分散液を99℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型))を用いて45MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで測定しながら体積平均径(Mv)が240nmになるまで分散してシリコンワックス分散液A2(固形分濃度=27.4%)を作製した。
<重合体一次粒子分散液C1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積5リットル)にワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部(170.7g)、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を5時間かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、さらに重合開始5時間後から下記の追加開始剤水溶液を2時間かけて添加した。引き続き、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
[連鎖移動剤]
p−t−ブチルベンジルメルカプタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液C1を得た。これをナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は280nmであり、固形分濃度は21.1%であった。重量平均分子量(Mw)は、60,400であった。
<重合体一次粒子分散液D1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積5リットル)にシリコンワックス分散液B1 23.6部(106.2g)、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水324部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8%過酸化水素水溶液3.2部、8%L−(+)アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。
その5分後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物の滴下を開始し、5時間かけて添加した。モノマー類・乳化剤水溶液の混合物の滴下開始と同時に、下記の開始剤水溶液の滴下も開始し、6時間かけて添加した。更に攪拌しながら、内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
[連鎖移動剤]
p−t−ブチルベンジルメルカプタン 0.63部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 18.9部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液D1を得た。これをナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は290nmであり、固形分濃度は19.0%であった。重量平均分子量(Mw)は、85,300であった。
<現像用母粒子E1の製造>
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(内容積2リットル)に重合体一次粒子分散液C1 95部(固形分)(1130g)を仕込み、内温12℃とし、第一硫酸鉄の5%水溶液(FeSO4・7H2Oとして0.5部)を5分かけて添加した。続けて、シアン顔料分散液(大日精化社製 EP750)4.4部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、脱塩水99.8部を滴下した。この間、内温は12℃に保った。その後、75分かけて内温53℃に昇温し、更に170分かけて56℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定したところ、6.7μmであった。
その後、重合体一次粒子分散液D1 5部(固形分)を3分かけて添加してそのまま60分保持し、続いて20%DBS水溶液6部(固形分)を10分かけて添加してから、30分かけて90℃に昇温して60分保持した。
その後20分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを、攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積10Lのステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgの入った内容積10Lのステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を5回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキをステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、現像用母粒子E1を得た。
<現像用トナーF1の製造>
協立理工株式会社サンプルミルKR−3内に、現像用母粒子E1を100部を投入し、続いてシリコンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径0.04μmのシリカ微粒子0.5部とシリコンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径0.012μmのシリカ微粒子2.0部とを添加し、攪拌・混合して篩別する事により現像用トナーF1を得た。
マルチサイザーを用いて測定した現像用トナーF1の体積中位径(Dv50)は7.2μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.940であった。
実 施 例 2
<重合体一次粒子分散液C2の調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをp−t−ブチルベンゼンチオールに変更した以外はC1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液C2を得た。体積平均径(Mv)は282nmであり、固形分濃度は20.8%であった。重量平均分子量(Mw)は、72,100であった。
<重合体一次粒子分散液D2の調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをp−t−ブチルベンゼンチオールに変更した以外はD1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液D2を得た。体積平均径(Mv)は288nmであり、固形分濃度は19.2%であった。重量平均分子量(Mw)は、102,000であった。
<現像用母粒子E2の製造>
重合体一次粒子分散液C1の代わりにC2を、重合体一次粒子分散液D1の代わりにD2を用いた以外はE1と同様の方法で現像用母粒子E2を得た。
<現像用トナーF2の製造>
現像用母粒子E1の代わりにE2を用いた以外はF1と同様の方法で現像トナーF2を得た。体積中位径(Dv50)は7.2μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.938であった。
比 較 例 1
<重合体一次粒子分散液C3調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをドデカンチオールに変更した以外はC1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液C3を得た。体積平均径(Mv)は272nmであり、固形分濃度は21.5%であった。重量平均分子量(Mw)は、50,200であった。
<重合体一次粒子分散液D3の調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをドデカンチオールに変更した以外はD1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液D3を得た。体積平均径(Mv)は268nmであり、固形分濃度は19.4%であった。重量平均分子量(Mw)は、92,500であった。
<現像用母粒子E3の製造>
重合体一次粒子分散液C1の代わりにC3を、重合体一次粒子分散液D1の代わりにD3を用いた以外はE1と同様の方法で現像用母粒子E3を得た。
<現像用トナーF3の製造>
現像用母粒子E1の代わりにE3を用いた以外はF1と同様の方法で現像トナーF3を得た。体積中位径(Dv50)は7.1μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.943であった。
「標準試料(非チオール系連鎖移動剤を使用して作製したトナー)」
<重合体一次粒子分散液C4調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをトリクロロブロモメタンに変更した以外はC1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液C4を得た。体積平均径(Mv)は278nmであり、固形分濃度は21.2%であった。重量平均分子量(Mw)は、67,400であった。
<重合体一次粒子分散液D4の調製>
p−t−ブチルベンジルメルカプタンをトリクロロブロモメタン変更した以外はC1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液D4を得た。体積平均径(Mv)は288nmであり、固形分濃度は19.3%であった。重量平均分子量(Mw)は、77,200であった。
<現像用母粒子E4の製造>
重合体一次粒子分散液C1の代わりにC4を、重合体一次粒子分散液D1の代わりにD4を用いた以外はE1と同様の方法で現像用母粒子E3を得た。
<現像用トナーF4の製造>
現像用母粒子E1の代わりにE4を用いた以外はF1と同様の方法で現像トナーF3を得た。体積中位径(Dv50)は7.2μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.941であった。
上記現像用トナーF1〜3及び標準試料F4を用い、下記の通り、加熱時の臭気を評価した。
<加熱時の臭気評価>
トナー0.5gを20mL密閉容器に量り取った後、180℃に設定したオーブンに入れ5分間加熱した。加熱後、オーブンから取り出し、室温で10分間放冷した。放冷後、蓋を開けて臭気を嗅ぎ、標準試料との臭いの強さを比較した。判定は10名で行ない、標準試料より強い臭気と感じた場合はマイナス1点、同等の臭気と感じた場合は0点、弱い臭気と感じた場合はプラス1点と採点し、10名の平均を算出した。
○:10名の平均が+0.1より大きい。
△:10名の平均が±0.1の範囲。
×:10名の平均が−0.1未満。
Figure 2008046514
本発明のトナーの製造方法を用いて製造したトナーは、発生する臭気を低減させることができ、また、高精細画質の形成が可能であるため、それを必要とする全ての分野で用いられるものであり、例えば、複写機、プリンター、FAX、印刷機等に広く好適に用いられるものである。

Claims (2)

  1. 湿式重合法を用いる静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記重合法に使用する連鎖移動剤として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    (R−Ar−SH (1)
    (R−Ar−R−SH (2)
    [一般式(1)及び一般式(2)中、Arは芳香環を示し、Rはnが1のときは水素原子又は電子供与基を示し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい電子供与基を示し、Rは側鎖を有していてもよいアルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す。]
  2. 湿式重合法を用いる静電荷像現像用トナーの製造方法が、乳化重合凝集法である請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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