JP2015079150A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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宇清 徐
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Abstract

【課題】本発明は、高画質および低温定着性と環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーを提供するものである。【解決手段】本発明者は、前記課題を解決するために検討を重ね、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナーにおいて、コア粒子表面に0.2μm以下の粒子を単層状に付着させ、シェル層が非常に薄いコアシェル構造を形成する方法を見出し、更にそのコアシェル構造を特定するため、飛行時間型二次イオン質量分析計(略称ToF-SIMS)によるトナー定着画像表面のイオンデプスプロファイル測定を行い、シェル層の特定成分を追跡することにより、コアシェル構造及びトナーの性能との最適な相関を見出した。【選択図】図3

Description

本発明は、高画質および低温定着性と環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーに関する。
静電荷像現像用トナーは、プリンターや複写機、ファクシミリなどにおいて、静電荷像を可視化する画像形成に用いられる。電子写真方式による画像の形成を例にとると、先ず感光体ドラム上に静電潜像を形成し、次いでこれをトナーにより現像した後、転写紙等に転写し、熱等により定着することによって画像形成が行われる。
静電荷像現像用トナーとしては、通常、結着樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級する、いわゆる溶融混練粉砕法により得られたトナー粒子に、流動性等の各種性能を付与することを目的として、例えばシリカ等の固体微粒子を外添剤として表面に付着させた形態のものが用いられている。
そして、複写機やプリンター等の画像形成において高精細画質化が要求され、
溶融混練粉砕法よりトナー粒子の粒径そして粒度分布を制御しやすい懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの重合法が提案されている。
近年複写機やプリンター等の普及に伴い、画像品質への要求に加え、特に高速印刷および低エネルギー定着性に優れたトナーが望まれるようになり、トナーの低温定着性の改善が試みられている。低温定着を達成するためには、結着樹脂のガラス転移点を低くしたり、結晶性樹脂を併用する方法が多く用いられているが、低温定着性と耐ブロッキング性や耐高温オフセット性とは、通常は二律背反の関係にあり、両立を図ることが望まれている。
これらの課題に対して、カプセル構造のようなより低温定着に優れた溶融粘度の低い樹脂から構成したコア粒子の表面により硬いシェル層を形成することで、トナーの低温定着性を維持しながら耐ブロッキング性を改良する方法も良く使われている。しかしながら、シェル層の形成制御が困難であり、シェル層が厚すぎると、トナーの低温定着性が悪化し、逆にシェル層が薄すぎると、シェル層がコア粒子に埋まり込んだり、コア部分の結着樹脂成分がトナー表面にすることで、期待する耐ブロッキング性能を得ることが困難である。
例えば特許文献1では、トナー核表面に対して被覆率10%〜80%で一体化された粒状の凸部を形成し、制御された構造を作ることで、低温定着と耐熱保管性の両立を試みている。また、特許文献2ではトナー母体粒子表面に樹脂微粒子を埋没固着させることで、耐熱保存性とクリーニング性の両立を試みている。さらに、特許文献3では、コアは主として結晶性樹脂を含み、シェルはコアに対して15質量%以上120質量%以下であり、シェルは段差0.3μm以上の半球状の突起を有することで、低温定着性とクリーニング性の両立を試みている。特許文献4では、結晶性ポリエステルと無定形高分子とを主成分とする表面層で被覆することで、低温定着性、帯電特性を両立させる技術が知られている。
特開2008−233430号公報 特開2012−58489号公報 特開2005−274964号公報 特開2004−191927号公報
しかしながら、このようなシェル粒子がコア粒子に埋没しているコアシェル構造(以下、カプセル構造と称することがある)は、シェル粒子が徐々に内部に埋没していくために、コア粒子部分が表面に露呈し、性能が時間と共に悪化してしまう問題点がある。これによって保存性などが悪化し、それを補おうとシェル粒子の添加量を増やすことが行われるが、一般的にシェル粒子は耐熱保存性やクリーニング性を担保させるために、ガラス転移点の高い樹脂を用いる必要があり、低温定着性を悪化させる要因となってしまう。また、コア樹脂とシェル樹脂の相溶性が高い場合、定着後の画像においてコア樹脂とシェル樹脂が相溶してしまい、ガラス転移点が低下し、画像がタック性を帯びてしまう問題点がある。
本発明は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果得られたものであり、低温定着と耐ブロッキング性を両立でき、高い帯電安定性、および高画質優れた静電荷像現像用トナーを提供するものである。
低温定着と耐ブロッキング性を両立するため最も効果的形態とは、シェル粒子が、低温定着に適用するコア粒子の表面により高い被覆率(カプセル効率)で、より薄く、しかもコア粒子表面に留まりやすいカプセル構造である。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ね、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナーにおいて、コア部分に0.2μm以下の粒子を単層に近い非常にシェル層が薄いコアシェル構造を形成する方法を見出し、更にそのコアシェル構造を特定するため、飛行時間型二次イオン質量分析計(略称ToF-SIMS)によるトナー定着画像表面の負イオンデプスプロファイル測定を行い、シェル層の特定成分を追跡することにより、コアシェル構造及びトナーの性能との最適な相関を見出した。
本発明は、この知見に基づくものであり、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであって、ToF-SIMS によるトナ
ー定着画像表面の2次イオンのデプスプロファイル測定においてスパッタ時間t秒における2次イオン強度をI(t)とした場合、下記式(1)及び(2)を同時に満足する
mおよびnが存在することを特徴とする静電荷像現像用トナー。 (1)0.7≦S(t+t)/S(t)≦1.3
(2)0.1≦S(1000)/S(t)≦0.4
(但し、式(1)及び(2)において、
S(tn+1)=1/2×(1/2×(I(t)+I(tn+2))+I(tn+1))
を満たし、
秒は40秒×n、t秒は40秒×mを表し、m及びnは各々独立した自然数であり、3≦mを満たす。)
[2] 前記2次イオンが、C(-)、C2(-)、CN(-)、O(-)、F(-)、Cl(-)、Br(-)、S(-)、Si(-)から少なくとも1つ選ばれる負イオンであることを特徴とする前記[1]に記載の静
電荷像現像用トナー。
[3] 前記2次イオンがCN(-)であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載
の正帯電静電荷像現像用トナー。
[4] 該静電荷像現像用トナーがコア粒子と該コア粒子を被覆するシェル層とを有するコアシェル構造を有することを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の静電
荷像現像用トナー。
[5] 前記シェル層はシェル粒子を有し、且つ該シェル粒子は帯電制御性能を持つことを特徴とする前記[4]に記載の静電荷像現像用トナー。
[6] 前記シェル粒子が樹脂性粒子であることを特徴とする前記[5]に記載の静電荷像現像用トナー。
[7] 前記シェル粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする前記[5]または[6]に記載の静電荷像現像用トナー。
[8] 前記シェル粒子の含有率はコア粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることが特徴とする前記[5]乃至[7]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
[9] 前記シェル粒子の樹脂ガラス転移温度(Tg)はコア粒子の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であることを特徴とする前記[6]に記載の静電荷像現像用トナー。
[10] 前記シェル粒子は、第4級アンモニウム塩及び第3級アミン官能基を有し、且つ正帯電性を有することを特徴とする前記[6]または[9]に記載の静電荷像現像用トナー
[11] 前記コア粒子の分散液に、前記シェル粒子の分散液を混合して、前記コア粒子の表面に附着させる工程を経て得られることを特徴とする前記[5]乃至[10]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
[12] 結着樹脂及び着色剤を含有するトナーがコア粒子と該コア粒子を被覆するシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナーであって、
該シェル層はシェル粒子を有し、
且つ該シェル粒子が樹脂性粒子であり、
且つ該コア粒子表面が有する帯電極性と該コア粒子に隣接するシェル層が有する帯電極性との関係が逆極性の関係である
ことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
[13] 前記トナーのトナー母粒子のSEM画像において、前記コア粒子表面に対する前記シェル粒子の面積占有率が30%以上80%以下であることを特徴とする前記[12]に記載の静電荷像現像用トナー。
[14] 前記シェル粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする前記[13]に記載の静電荷像現像用トナー。
[15] 前記シェル粒子の含有率が前記コア粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする前記[13]または[14]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
本発明によれば、低温定着と耐ブロッキング性を両立でき、高い帯電安定性、高画質および画質の環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することができる。
この効果は、低温定着性を持つコア粒子の表面に帯電性及び耐ブロッキング性に強いシェル粒子により高い付着強度および高い被覆率で付着することにより得られるものである。この新規なコアシェル構造により、より効果的な低温定着性を実現するのと同時に、帯電安定性及び優れた耐環境性を発揮する。
本発明のトナー母粒子のSEM写真の画像(1万倍)である。 本発明のトナー母粒子のSEM写真の画像(5万倍)である。 実施例1のトナー定着画像表面の負イオンデプスプロファイル測定結果をスムージング処理した後の負イオンデプスプロファイル 実施例2のトナー定着画像表面の負イオンデプスプロファイル測定結果をスムージング処理した後の負イオンデプスプロファイル 比較例1のトナー定着画像表面の負イオンデプスプロファイル測定結果をスムージング処理した後の負イオンデプスプロファイル 比較例2のトナー定着画像表面の負イオンデプスプロファイル測定結果をスムージング処理した後の負イオンデプスプロファイル
本発明においては、シェル層を有する前の状態のものをコア粒子と称し、外添剤を有する前のコアシェル構造のもの(カプセル構造状態のもの)をトナー母粒子と称し、トナー母粒子の表面に外添剤を有するものをトナーと称する。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有し、その他必要に応じて、ワックス、帯電制御剤などを含有していてもよく、本発明のコア粒子は、粉砕法、或いは湿式重合法によって製造される。
<1.ToF-SIMSによる2次イオンデプスプロファイル測定にて規定される本発明のトナー>
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、該トナー母粒子はコア粒子とコア粒子を被覆するシェル層(シェル部分と称することがある)とを有するコアシェル構造である。該コアシェル構造のトナー母粒子表面は、SEMで直接観察することができるが、トナー表面に付着する外添剤の影響で、コアシェル構造の確認は困難である場合がある。その解決策として、トナー粒子を超音波より処理し、トナー母粒子表面に附着する外添剤を除去してから、トナー母粒子表面をSEMより観察する方法がある。その他にも、コアシェル構造の観測方法として、TEMより直接観察する方法があるが、本発明のようにシェル層の厚さが非常に薄いトナーやコア粒子と近い成分のシェル層を有するトナーを上手く観察できない場合がある。
そこで、本発明者らは、シェル層の厚さが非常に薄いトナー母粒子やコア粒子と近い成分のシェル層を有するトナーを観察し、その構造を特定するために、トナーの紙媒体への定着画像を準備し、物質の最表面分析に優れた飛行時間型二次イオン質量分析計(略称ToF-SIMS)を使用し、定着画像に対して2次イオンデプスプロファイル測定を行い得られた2次イオン強度により、トナー母粒子のシェル層の厚さを定性的に特定することができることを見出した。
ToF-SIMSでは、高真空中で高速のイオンビーム(1次イオン)を試料表面へ照射し、スパッタリング現象により試料表面からはじき出される2次イオン(正または負イオン)を収集するため、試料表面から1μm程度までの領域について、2次イオンを安定して観測できる。
トナーをToF-SIMSによる2次イオンデプスプロファイル測定する際は、トナーを紙などの媒体の表面に付着させた後、熱定着によりトナーを該媒体へ固定させ、測定を行う。該熱定着では、定着温度を変化させ、定着画像のオフセット発生しない定着温度範囲内、光沢値の最も高い定着画像を選んで、ToF-SIMSによる負イオンデプスプロファイル測定する。その場合は、トナー定着画像表面が平坦でありながら、トナー定着画像表面のトナー構造を潰すことなく、再現性よくトナー母粒子のコアシェル構造を維持したままで観察することができる。詳しくは実施例に記載の方法でトナーを媒体へ固定し、光沢値を測定する。
コアシェル構造の観察は、ToF-SIMSのデプスプロファイリング機能を利用し、上記定着画像の測定を行うことにより可能である。この際、1次イオンのビーム走査面積は一般的
に一辺100〜数百μmの正方形面積の領域、トナーにして数百個分に相当する領域になるが、定着画像の表面近傍はトナー粒子の表面近傍(外添剤、シェル層)の組成を主として測定でき、定着画像の深さ方向にエッチングすることで、主としてコア粒子の組成の測定ができる。特に浅い領域、具体的にはトナー表面から0.5μmまでの領域に関しては、高
分解能のデプスプロファイルを得ることができる。具体的には、C(-)、C2(-)、CN(-)、O(-)、F(-)、Cl(-)、Br(-)、S(-)、Si(-)などの2次イオンデプスプロファイルを得ること
ができる。現像用トナーのコアシェル組成成分に対応する2次イオンデプスプロファイルを解析することで、現像用トナーの表面構造を確認することができる。
例えば、アミノ基、4級アンモニウム塩などを含む正帯電トナーの場合は、CN(-)のデ
プスプロファイル解析により現像用トナーの表面構造を解析することができる。CN(-)は
外添剤のアミノ変性シリカ由来か、或いはトナー母粒子に配合されたアミノ基、それらがアンモニウム塩化された4級アンモニウム塩を含有する樹脂に由来する可能性が考えられる。
スルホン酸基、スルホン酸塩などを含む負帯電トナーの場合は、S(-)のデプスプロファイルを解析することによりトナー粒子の表面構造を解析することができる。
ToF-SIMSのイオンデプスプロファイル測定では、トナーのベタ定着画像表面を測定することにより、C(-)、C2(-)、CN(-)、O(-)、F(-)、Cl(-)、Br(-)、S(-)、Si(-)などの2次
イオンデプスプロファイルが得られる。
図3は、実施例1に記載のトナーの定着画像表面のCN(-)デプスプロファイル測定デー
タを後述するスムージング処理した結果の一例である。図3中、2次イオンデプスプロファイル中のスパッタ時間(sputter time)(sec)は、イオン収集時間であり、定着画像
表面から深さ方向への測定深度に相当する(尚、データは40秒間隔で収集されるので2次イオン強度はI(t)(t:40秒×n、nは自然数)で表される。)。したがって、図3において、スパッタ100sec付近から250sec付近までの領域は外添剤との相関が大きいと考えられる。これは、外添剤であるアミノ基を有する処理剤で表面処理されたシリカ粒子由来と考えられるCN(-)、O(-)、Si(-)などが高い強度を示した後急減していることから分かる。次いで、スパッタ250sec付近からは、トナー母粒子の表面層に相
当する。シェル粒子とコア粒子とで成分に違いがある場合は、その違いに対応する負イオン強度の変化が現れ、そのデプスプロファイルを追跡すると、シェル層とコア粒子の境面を見出すことができる。例えば、本発明の実施例1のように4級アンモニウム塩を含有するシェル層を有し4級アンモニウム塩を含有しないコア粒子を有するトナーの場合、4級アンモニウム塩を含有するシェル層は、4級アンモニウム塩を含有しないコア粒子と比べて、より高いCN(-)強度を示し、詳しくは図3で示されるCN(-)のデプスプロファイルのように、スパッタ300sec〜650secの間にCN(-)強度の変化が小さい領域が存在するこ
とから、前記CN(-)強度の変化が小さい領域の開始付近であるスパッタ300secは外添層とシェル層の境界面と推測し、前記CN(-)強度の変化が小さい領域の終了付近であるスパ
ッタ650secは、シェル層とコア粒子の境界面であることが推測される。
本発明の実施例1のように4級アンモニウム塩を含有するシェル層を有し4級アンモニウム塩を含有しないコア粒子を有するコアシェル構造のトナーの場合、例えば図3のように、CN(-)のデプスプロファイルは、スパッタ300sec〜650secの範囲のよう
に一定のイオン強度を維持するスパッタ値範囲を有し、該範囲はシェル層であると考えられる。一方で、スパッタ650sec以降の範囲では、イオン強度が急速に低下し、低い強度を維持するスパッタ値の範囲を有し、該範囲はコア層であると考えられる。
したがって、図1の本発明の実施例1のトナー母粒子のSEM画像から分かるように、本発明のトナーは平均一次粒子径0.1μmのシェル粒子が均一にコア粒子に対して付着または融着していることと2次イオン強度の変化が小さい領域のスパッタ時間幅から、シェル層が0.1μm程度の層の場合は2次イオンの濃度安定領域のスパッタ時間幅は約300〜500secであり、シェル層が0.2μm〜0.3μm程度の層の場合は2次イオンの濃度安定領域のスパッタ時間幅は約600〜1000secであると推測できる。
上記を踏まえ、本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであって、ToF-SIMS によるトナー定着画像表面の2次イオンのデプスプロファイル測定に
おいてスパッタ時間t秒における2次イオン強度をI(t)とした場合、下記式(1
)及び(2)を同時に満足するmおよびnが存在することを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
(1)0.7≦S(t+t)/S(t)≦1.3
(2)0.1≦S(1000)/S(t)≦0.4
但し、式(1)及び(2)において、
S(tn+1)=1/2×(1/2×(I(t)+I(tn+2))+I(tn+1))を満たし、t秒は40秒×n、t秒は40秒×mを表し、m及びnは各々独立した自然数であり、3≦mを満たす。
ToF-SIMSによる2次イオン強度のデータI(t)は、S(tn+1)=1/2×(1/2×(I(t)+I(tn+2))+I(tn+1))によりスムージングする。
式(1)において、S(t+t)/S(t)は、あるスパッタ時間t(sec)
における2次イオン強度に対して、スパッタ時間t(sec)からt(sec)経過した時間における2次イオン強度が、どの程度変化しているかを示す、2次イオン強度の変化割合を表す。
式(2)において、S(1000)/S(t)は、スパッタ時間(t)(sec)に
おける2次イオン強度に対して、スパッタ時間1000(sec)における2次イオン強度
が、どの程度変化しているかを示す、2次イオン強度の変化割合を表す。
2次イオン強度の変化割合S(t+t)/S(t)が、式(1)の関係を満たすことは、スパッタ時間t〜(t+t)(sec)の範囲において、2次イオン強度の
変化率が小さい領域が存在することを表す。
また、2次イオン強度の変化割合S(1000)/S(t)が式(2)を満たすことは、スパッタ時間t〜1000(sec)の範囲で、急激に2次イオン強度が変化する領
域が存在することを表す。さらに、式は、少なくともスパッタ時間t〜(t+t)(sec)の範囲において、ある化合物が二次イオン強度を示す、つまり、ある化合物の存
在が確認できる程度に二次イオンが検出されることを表す。
式(1)及び式(2)を同時に満たすことは、およそスパッタ時間幅t(sec)の範
囲で2次イオン強度が安定して検出されることを表し、0.2μm以下のシェル層が形成されていることが確認できる。
ここで、m及びnについては、上記式(1)及び式(2)を同時に満たすものであれば、m及びnが独立した自然数であり、mが3以上あること以外に特に限定されないが、好ましくは5≦m≦30であり、より好ましくは7≦m≦25であり、さらに好ましくは7≦m≦13である。mは小さすぎると、カプセル化が十分でない、すなわち、コア粒子表面へのシェル粒子の付着量が十分でなく、固結性や耐久性に問題が生じるおそれがあり、一方、mは大きすぎると定着性が悪化するおそれがある。
nは、トナー母粒子表面に外添剤を有する場合には、7以上の自然数であり、この場合、m+nが大きすぎると、外添剤が過多である又はシェル層の厚さが大き過ぎる等の現象が起きており、定着性が悪化するおそれがある。一方、nが7以上の場合、m+nが小さすぎると、シェル層が十分に形成されていない等の現象が起きており、固結性や耐久性が不十分となるおそれがある。
したがって、トナー母粒子表面に外添剤を有する場合には、7≦n且つm+n≦35であることが好ましく、7≦n且つm+n≦20であることがより好ましい。また、さらに前記mの範囲を満足することが特に好ましい。
本発明においては、より顕著に本発明の効果を発揮する観点から、ToF-SIMSによるトナー定着画像表面の2次イオンデプスプロファイル測定において、スパッタ時間t(sec)
における2次イオン強度(I(t))が以下の式(3)及び式(4)を同時に満たすことが好ましい。
S(480) / S(1000) > 1.2 ・・・(3)
S(480) / S(1000) > S(1000) / S(2000) ・・・(4)
式(3)のように、スパッタ時間480秒において得られるイオン強度に対して、スパッ
タ時間1000(sec)において得られるイオン強度を低くするためには、トナーの最表面の
みに対象の2次イオンの発生源である原子を有する帯電制御樹脂等が存在する必要があると考えられる。このようなトナーであれば、少量の帯電制御樹脂で帯電制御が可能となり環境安定性のみならず低温定着性も向上させることができる。
式(4)のように、スパッタ時間1000〜2000(sec)の範囲において得られるイオン強
度の変化に対して、スパッタ時間480〜1000(sec)の範囲において得られるイオン強度の変化が大きい2次イオンデプスプロファイルを得るためには、スパッタ時間480〜1000(sec)の範囲、即ち、トナー母粒子の最表面に近い場所に高い2次イオン強度領域が存在する、具体的には、対象の2次イオンの発生源である原子を有する帯電制御樹脂等が存在する必要があると考えられる。このようなトナーであれば、少量の帯電制御樹脂で帯電制御が可能となり環境安定性のみならず低温定着性も向上させることができる。
<2.コア粒子>
本発明のトナーのコア粒子の製造方法は、粉砕法や重合法のいずれでもよい。
粉砕法としては、結着樹脂、着色剤及びワックスなどを高温で溶融混練する工程、粉砕工程及び分級工程を経て得られることができる。
湿式重合法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶融懸濁法等の方法が挙げられる。
懸濁重合法としては、通常、結着樹脂モノマーに着色剤、ワックスを溶解させた後、そのモノマー溶液を水性媒体中で機械的せん断力によりモノマー滴として懸濁させ、重合を行って得られる。
乳化重合凝集法としては、通常、重合開始剤及び乳化剤等を含有する水性媒体中に結着樹脂の重合性単量体を乳化し、攪拌下に重合性単量体を重合して重合体一次粒子を得て、これに着色剤並びに必要に応じて帯電制御剤等を添加して重合体一次粒子を凝集させ、さらに得られた凝集粒子を熟成させてトナー粒子を製造する方法である。
溶融懸濁法としては、通常、溶媒中に結着樹脂、ワックス等を溶解して油相を得、その油相を水系媒体中に油滴として懸濁させた後、溶媒を除去して得られる。
湿式重合法の中でも、トナー粒子の粒径制御、形状制御及び内部構造制御のし易さから、乳化重合凝集法が好ましい。
本発明において、結着樹脂を製造するために用いる単量体成分としては、従来トナーの結着樹脂を製造する際に用いられている単量体を適宜用いることが出来る。
例えば、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
当該酸性単量体及び塩基性単量体は、トナー母粒子に負帯電性あるいは正帯電性を付与する為に使用され、加えて、重合法によるトナーの製造、特に乳化凝集法による製造においては、ラテックス粒子の凝集制御しやすいための自己乳化性を付与するために使用される。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、本発明に用いられるラジカル性単量体とともに、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶融懸濁法等でトナー母粒子を製造する過程において、粒子の水中での安定化に寄与する。単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
上記酸性単量体や塩基性単量体以外にも、4個以上20個以下のエーテル結合を有し、炭素原子、水素原子及び酸素原子を有する重合性単量体を用いることができる。
当該エーテル結合を有する重合性単量体は、エーテル結合を含有することにより、重合法によるトナー製造中に水中での粒子の安定化に必要な親水性を供与し、トナー母粒子に正帯電性を付与する。
当該エーテル結合を有する重合性単量体は、上記酸性単量体や塩基性単量体と同様に、結着樹脂に含まれる繰返し単位に相当し、4個以上20個以下のエーテル結合を有し、炭素原子、水素原子及び酸素原子を有するものであれば特に限定されない。エーテル結合数に分布を持つ場合は、結合数の平均値をエーテル結合の数とする。
当該エーテル結合を有する重合性単量体中のエーテル結合の数は、特に限定されないが、通常4つ以上であり、水中での粒子の安定化の観点から好ましくは5以上、より好ましくは6以上であり、一方で、エーテル結合の数は、通常20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。
エーテル結合の数が少なすぎると、帯電性が不十分の場合があり、多すぎると保存性や耐湿性を劣化させる原因となる場合がある。
本発明のコア粒子において、当該エーテル結合を有する重合性単量体を用いる場合、当該エーテル結合を有する重合性単量体はノニオン性であることがトナーの保存性や耐環境のため好ましい。ここで、当該エーテル結合を有する重合性単量体の重合性単量体とは、ラジカル重合する官能基を有しているモノマーのことを指す。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、などが挙げられ、そのうちの一部は下記化学式1または化学式2で例示される。
(化学式1中、Rは水素原子またはメチル基、Rはエステル基、エーテル基またはフェニレン基、R、Rはそれぞれ炭素原子、水素原子及び酸素原子を有する構造を有し、Rはアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等の炭素原子、水素原子、酸素原子、及び必要に応じて塩素原子からなる構造。a、bは各々独立して0以上の整数でaとbの和が2以上、i、jは各々独立して0または1、m、nは各々独立して1以上の整数である。)
(化学式2中、Rは水素原子またはメチル基、Rはエステル基、エーテル基またはフェニレン基、R、Rはそれぞれ炭素原子、水素原子及び酸素原子を有する構造を有し、R、R5′は各々独立してアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等の炭素原子、水素原子、酸素原子、及び必要に応じて塩素原子からなる構造。a、b、cは各々独立して0以上の整数、i、jは各々独立して0または1、l、m、nは各々独立して1以上の整数、s、tは各々独立して0〜2の整数であり、a+b*s+(c+1)*tが2以上である。)
より具体的には、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類のほか、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物、メトキシポリエチレングリコールビニルエステル、ポリエチレングリコールビニルエステルなどのビニルエステル化合物、メトキシポリエチレングリコールスチレン、ポリエチレングリコールスチレン、4−(メトキシメトキシ)スチレンなどのスチレン化合物などが使用出来るが、上記の例示に制限されるものではない。
これらは、本発明に係るコア粒子を構成する結着樹脂の組成やワックスの種類に応じて適宜選択することが出来、単独で用いても良いし、エーテル結合数の異なるものや、エーテル結合以外の部分の構造が異なるものを複数種類混合して用いてもよい。
本発明において当該エーテル結合を有する重合性単量体を用いる場合、結着樹脂に含有されるエーテル結合を含有する繰返し単位は、コア粒子100質量部中0.1質量部以上含まれることが必須であり、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上であり、最も好ましくは4質量部以上である。一方で、コア粒子100質量部中10質量部以下含まれることが必須であり、好ましくは8質量部以下である。該繰返し単位部分の含有量が少なすぎると、帯電性が不十分な場合があり、多すぎると、保存性や耐湿性を劣化させる原因となる場合がある。
コア粒子を乳化重合凝集法で製造する場合、乳化重合工程では、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で重合性単量体を重合するが、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加しても良い。また、単量体はそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤などと混合、調製した乳化液として添加することもできる。
本発明において当該エーテル結合を含有する重合性単量体を用いる場合、上述した酸性単量体及び塩基性単量体は、当該エーテル結合を有する重合性単量体とともに、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶融懸濁法等でトナー母粒子を製造する過程において、粒子の水中での安定化に寄与する。エーテル結合を有する重合性単量体と共重合させる酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
本発明において当該エーテル結合を含有する重合性単量体を用いる場合、当該エーテル結合を含有する重合性単量体、酸性単量体及び塩基性単量体の合計量100質量部に対するエーテル結合を含有する重合性単量体の占める割合は、通常、50質量部以上であり、好ましくは70質量部以上、より好ましくは90質量部以上である。
本発明において当該エーテル結合を含有する重合性単量体を用いる場合、コア粒子の結着樹脂を構成する全単量体成分100質量部中に占める当該エーテル結合を含有する重合性単量体成分、酸性単量体成分および塩基性単量体成分の合計量は、下限が、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、一方で、上限が、通常10質量部以下、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
結着樹脂を構成する重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、結着樹脂を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する)に
おける数平均分子量が、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、さらに好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、同様にして求めた重量平均分子量が、好ましくは3万以上、より好ましくは4万以上、さらに好ましくは5万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは50万以下であることが望ましい。結着樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。
結着樹脂の重合に際し、必要に応じて公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
本発明では、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン、等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5重量%用いられる。
また、本発明では、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよく、重合性単量体100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下の量で用いてもよい。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明において、結着樹脂を乳化重合法で重合する場合、用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
本発明において、乳化剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下で用いられることが好ましい。また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
本発明において、乳化重合法により得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。粒径が前記範囲よりも小さいときは、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、前記範囲よりも大きいときは、凝集して得られるトナー母粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明のトナーには、オフセット防止剤としてワックスを使用することができる。近年、トナーの低温定着性の改善が試みられているが、低温定着性と耐ブロッキング性、耐高温オフセット性とは、通常は二律背反の関係にあり、それらの両立を達成するためには、オフセット防止剤としてのワックスの使用が好ましい。
本発明のトナーに用いられるワックスは、公知のワックスを任意に使用することができるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基を有するシリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、長鎖脂肪酸アルコール、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール、及びその部分エステル体、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、等が例示され、好ましくは、パラフィンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系、エステル系ワックス、シリコーン系ワックスが挙げられる。
本発明において、ワックスは単独で用いても混合して用いても良い。また、これらのワックスの中で定着性を改善するため、融点は120℃以下が好ましく、110℃以下が更に好ましく、100℃以下が特に好ましい。融点の下限としては、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。融点が高すぎると、定着温度低減の効果が乏しくなる場合があり、融点が低すぎると、固結性、保存性に問題が生じる場合がある。
本発明においてワックスの量は、トナー100質量部中に1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が少なすぎると、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、多すぎると、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明において、重合法におけるワックスの配合方法としては、予め水中に体積平均粒径0.01μm以上、2.0μm以下にワックスを分散させておくことが好ましい。さらに1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましい。
さらに、乳化重合凝集法においては、上記平均粒径範囲に分散したワックス分散液を乳化重合時に添加するか、あるいは凝集工程で添加することが好ましい。
また、トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加する、いわゆるシード重合とすることが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスがトナー中に微細かつ均一に分散するため、トナーの帯電
性や耐熱性の悪化を抑制することができる。
また、ワックスをステアリルアクリレートなどの長鎖重合性単量体と予め水系分散媒体中で分散し得られるワックス・長鎖重合性単量体分散液を予め調製し、ワックス・長鎖重合性単量体の存在下において重合性単量体を重合することもできる。
本発明に含有される着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100質量部に対して3質量部以上、20質量部以下となるように用いることが好ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合は、通常、凝集工程で行われる。重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径が0.01以上、より好ましくは0.05μm以上であり、3μm以下、より好ましくは1μmである。
本発明のコア粒子は、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの何れの重合法で製造してもよく、特に限定されない。
本発明において、懸濁重合トナーの製造方法としては、上述の結着樹脂の単量体中に着色剤、重合開始剤、そして必要に応じてワックス、極性樹脂、荷電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させた単量体組成物を調製する。この単量体組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行う。これらを洗浄・ろ過により収集し、乾燥することによりコア粒子を得ることができる。次いで、後述するように、シェル粒子として重合体一次粒子をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。
乳化重合凝集法の製造方法としては、着色剤分散液、ワックス分散液等を用意した上、乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子或いはワックス分散液存在下で乳化重合により得られたワックス内包結着樹脂単量体の重合体一次粒子を着色剤分散液、ワックス分散液等と混合して加熱等を行うことにより凝集する工程を経た後、さらに熟成工程を経る方法と、着色剤存在下で、或いは着色剤とワックス存在下で乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子と、ワックス分散液等と混合して加熱等を行うことにより凝集する工程を経た後、さらに熟成工程を経る方法と、着色剤とワックス存在下で乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子と、ワックス分散液等と混合して、加熱等を行うことにより凝集する工程を経た後、さらに熟成工程を経る方法とが挙げられる。これら方法によりコア粒子を得ることができる。次いで、後述するように、シェル粒子として重合体一次粒子をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。上記の乳化重合凝集法の製造方法の中でも、着色剤存在下で結着樹脂単量体を重合すると、着色剤中の金属がラジカル重合に影響し、樹脂の分子量やレオロジー制御が困難となり、所望の重合体一次粒子が得られないおそれがあるため、着色剤を乳化重合時添加しない、凝集工程で着色剤分散液を添加する乳化重合凝集法が好ましい。
本発明において、乳化重合凝集法における凝集工程は、前記の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックスなどの配合成分は、同時にあるいは逐次に混合するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが、組成の均一性および粒径の均一性の観点で好ましい。
乳化重合凝集法において、凝集は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法と、これらを組み合わせる方法とがある。重合体一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
本発明において、電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、酸、アルカリ、塩のいずれでも、そして、有機系、無機系のいずれでも良いが、具体的には、酸として、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸等、アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等、塩として、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらのうち、
2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
本発明において、電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、0.02質量部以上が好ましく、0.05質量部以上が更に好ましい。また、25質量部以下が好ましく、更には15質量部以下、特に10質量部以下が好ましい。添加量が少なすぎると、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じたりする場合があり、多すぎると、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を付着または固着した粒子を形成することも出来る。粒子凝集体表面に性状を制御した樹脂微粒子を付着または固着することにより、得られるトナーの帯電性や耐熱性を向上できる場合があり、さらには、本発明の効果を一層顕著とすることができる。
樹脂微粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂微粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂微粒子の体積平均粒径は、0.02μm以上が好ましく、0.05μm以上が更に好ましい。また、3μm以下、さらに1.5μm以下が好ましい。樹脂微粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。
樹脂微粒子は、通常、界面活性剤により水または水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂微粒子を加えることが好ましい。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げるか、或いは以上の方法を併用することが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
<3.シェル層>
本発明において、コア粒子を被覆するシェル層は、本発明の範囲を逸脱しない限り特に限定はされないが、シェル層を形成しやすい観点から、シェル粒子を用いてシェル層を形成することが好ましい。
以下、シェル層を形成するものとして、シェル粒子を用いる場合を例に挙げて本発明のトナーについて詳述する。
本発明においてコア粒子表面に被覆させるシェル粒子としては、無機粒子でも樹脂性粒子でもよく特に限定されない。粒子製造及び粒子性能の制御性、そしてトナー定着時定着強度向上の観点から、シェル粒子は樹脂性粒子が好ましい。
シェル粒子が樹脂性粒子(樹脂性シェル粒子)の場合は、樹脂成分は特に限定されないが、例えばスチレン系、アクリル系、エステル系など一般的トナーバイダ樹脂で使われた樹脂、或いはそれらの共重合系、ブレンド系でも良い。それらの樹脂性シェル粒子は、樹脂から直接乳化するか、乳化重合、懸濁重合など重合法より作成できる。粒子径制御及び微粒子化のしやすさの観点から、重合法が望ましく、微粒子の粒子径そして粒度分布制御の観点から、乳化重合法が更に好ましい。
乳化重合法より樹脂性シェル粒子を作成する場合は、前述乳化重合凝集法で使った結着樹脂単量体の重合体一次粒子と同じ乳化重合法で作成することができる。
樹脂性シェル粒子の体積平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、20nm以上が好ましく、50nm以上が更に好ましい。また、500nm以下、さ
らに150nm以下が好ましい。
樹脂性シェル粒子の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜30,000、より好ましくは4,000〜25,000、特に好ましくは6,000〜20,000である。
樹脂性シェル粒子のガラス転移温度は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、下限は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上であり、一方、上限は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、更に好ましくは75℃以下である。
耐ブロッキング性効果を高める観点から、樹脂性シェル粒子のガラス転移温度(Tg)はコア粒子の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)より高いことが好ましい。この時、樹脂性シェル粒子のガラス転移温度(Tg)は(コア粒子のガラス転移温度(Tg)か、その以上が好ましく、(コア粒子のガラス転移温度(Tg)+2)℃以上がより好ましく、(コア粒子のガラス転移温度(Tg)+5)℃以上が更に好ましい。一方、(コア粒子のガラス転移温度(Tg)+50)℃以下が好ましく、(コア粒子のガラス転移温度(Tg)+30)℃以下がより好ましく、(コア粒子のガラス転移温度(Tg)+20)℃以下が更に好ましい。
樹脂性シェル粒子の重量平均分子量及びガラス転移温度が低すぎると、トナーの耐ブロキング性が悪くなる場合があり、一方、高すぎると低温定着性が低下する場合がある。
シェル粒子の含有率はトナー母粒子に対して、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、下限は、通常、0.01wt%以上であり、好ましくは0.3wt%以上であり、一方、上限は、通常、10wt以下%である。
シェル粒子は、使用目的に応じて、非帯電性でも帯電性でもいずれでもよく、シェル粒子が帯電性の場合は正帯電性或いは負帯電性を有する。
本発明のコアシェル構造のトナーにおいては、低温定着性と耐ブロッキング性との両立に加え、帯電性シェル粒子を使用することで、トナーの帯電性を制御することもできる。
トナーの帯電性は、一般的に帯電制御剤、結着樹脂または外添剤によって調整されおり、帯電制御剤は一般的に無機製の帯電制御剤が用いられているが、近年では、帯電制御能を有する樹脂(帯電制御樹脂)を帯電制御剤として使用したり、結着樹脂中に種々の官能基を導入し、その特性を利用して帯電性を改良しようとしたりする研究が行われてきた。例えば、正帯電トナーの場合は、アミノ基あるいはアミド結合を含有する単量体を結着樹脂に共重合させて帯電性を付与するのが一般的である。
帯電制御剤の用法としては、一般的に、帯電制御剤をトナーの結着樹脂中に分散したり、帯電制御能を有する重合性単量体(以下、帯電制御樹脂と称することがある)を結着樹脂と共重合させて結着樹脂中に分散させる形の方法がある。しかしながら、トナー母粒子中及びトナー母粒子表面における帯電制御剤や帯電制御樹脂の分散が不均一であると、かぶりの増加、トナー飛散などの問題につながるため、近年の高精細画質化を目的としたトナー小粒径化では、帯電制御剤や帯電制御樹脂の均一な分散性がより求められている。一般的に、トナーの帯電性はトナー表面の樹脂性能により制御されると言われている。トナー結着樹脂中に帯電制御剤や帯電制御樹脂を均一に分散する場合は、帯電制御効果を充分に得るために、より多くの帯電制御剤や帯電制御樹脂を添加する必要があり、その上、帯電制御剤や帯電制御樹脂によりトナーの低温定着性悪化する場合がある。
そのため、よりトナー表面に帯電制御剤や帯電制御樹脂を存在することが望ましい。粉砕法により得られるトナー母粒子と比較して、重合法に得られるトナー母粒子、特に乳化凝集法により得られるトナー母粒子の場合は、トナー母粒子製造途中で帯電制御剤や帯電制御樹脂混合のタイミングを制御することにより、トナー中の帯電制御剤や帯電制御樹脂の位置を制御ができるが、完全にトナー表面に露出させることは困難である。
したがって、本発明においては、トナー母粒子に帯電性を付与する場合、トナーの帯電性を効果的に制御するために、シェル粒子に帯電制御剤または帯電制御樹脂を含有させることでシェル層に帯電制御性能を持たせたコアシェル構造とすることが好ましい。
シェル粒子が樹脂性微粒子の場合、シェル粒子に用いられる樹脂と帯電制御樹脂を共重合させた樹脂性シェル粒子とすることが好ましい。
シェル粒子が正帯電性の樹脂性微粒子の場合は、正帯電性帯電制御樹脂としては、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹脂;それらがアンモニウム塩化された4級アンモニウム塩を含有する樹脂が挙げられる。これらの中でも、4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。
このような正帯電性を示す帯電制御樹脂は、例えば、アミノ基を含有するモノビニル単量体と、それと共重合可能な単量体とを共重合することによって得られる。また、正帯電性帯電制御樹脂は、アミノ基を含有する共重合体をアンモニウム塩化することによっても得ることができる。4級アンモニウム塩を含有する樹脂は、アンモニウム塩の基を含有するモノビニル単量体と、それと共重合可能なモノビニル単量体とを共重合することによっても得ることができる。ただし、正帯電性帯電制御樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。共重合させる単量体としては、結着樹脂に一般的に用いられる単量体を用いることができる。
正帯電性帯電制御樹脂として、4級アンモニウム塩の基を含有する樹脂の中でも、下記の構造式(1)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリレート、及び下記の構造式(2)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリルアミドが好ましく、下記の構造式(1)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリレートがより好ましい。
上記の構造式(1)及び構造式(2)において、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、アルキレン基であり、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、X−は、ハロゲンイオンまたはベンゼンスルホン酸イオン若しくはアルキルベンゼンスルホン酸イオンである。
上記の構造式(1)に示す4級アンモニウム塩において、X−は、塩化物イオンまたはトルエンスルホン酸イオンであることが好ましく、Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましく、Rは、CH、C、Cなどの炭素数1〜3のアルキレン基及びその誘導体であることが好ましく、R〜Rは、それぞれ独立にCH、C、Cなどのアルキル基であることが好ましい。
アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレートなどのN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
共重合体をアンモニウム塩化するために用いられる4級化剤としては、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化メチル、及び臭化エチル等のハロゲン化アルキル;パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、及びパラトルエンスルホン酸プロピル等のパラトルエンスルホン酸アルキルエステル等が挙げられる。
市場で入手可能な4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体としては、ブレンマーQA(日油(株)製)等がある。
アミノ基及びアンモニウム塩基等の官能基を有する帯電性単量体単位の量は、帯電制御樹脂中、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜12重量%、特に好ましくは2〜10重量%である。該官能基を有する単量体単位の量が少なすぎると、必要な帯電量を得るために多量の帯電制御樹脂が必要になり、トナーの環境安定性が低下しやすくなる。該官能基を有する単量体単位の量が多すぎると、高温高湿下におけるトナーの帯電量の低下が大きくなり、カブリが発生する場合がある。
正帯電性の帯電制御樹脂は、種々の市販品を用いることもできる。例えば、藤倉化成社製としては、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御樹脂として、一般負帯電トナーで使われるスチレン−アクリルの樹脂、ポリエステル樹脂を含めていずれでも利用できる。また、市販の負帯電制御樹脂も利用できる。
樹脂性帯電制御性シェル粒子の製法について、帯電制御樹脂から直接乳化するか、乳化重合、懸濁重合など重合法より作成できる。粒子径制御及び微粒子化のしやすさの観点から、重合法が望ましく、微粒子の粒子径そして粒度分布制御の観点から、乳化重合法が更に好ましい。
乳化重合法より樹脂性シェル粒子を作成する場合は、前述乳化重合凝集法で使った結着
樹脂単量体の重合体一次粒子と同じ製法で、帯電性単量体と共重合することで作成することができる。
帯電制御樹脂をシェル粒子、コア粒子あるいはトナー母粒子に用いる場合、帯電性単量体は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定はないが、トナー母粒子に対して、下限は、通常、0.01wt%以上であり、より帯電制御機能を発揮するため、好ましくは0.05wt%以上であり、より好ましくは0.1wt%以上であり、一方、上限は、通常、5wt%以下であり、帯電制御樹脂のトナー性能(特に耐環境性、定着性など)への影響を防ぐため、好ましくは2wt%以下であり、より好ましくは1wt%以下である。
<4.シェル粒子をコア粒子に被覆する方法(カプセル工程)>
以降、コア粒子をシェル粒子で被覆する工程をカプセル工程と称することがある。また、コア粒子をシェル粒子で被覆するための制御をカプセル制御と称することがある。
コアシェル構造を有するカプセルトナーの製造法は、従来からのコア粒子を形成工程の後半にシェル粒子成分を混合することによりカプセル構造を形成する方法と、本発明のトナー母粒子を製造するように、コア粒子製造工程と別に、完成したコア粒子の表面にシェル層を形成するカプセル工程によりカプセル構造を形成する方法がある。
従来の態様である前者の場合は、シェル層の形成がコア粒子の形成中に行われ、特にコア粒子表面が安定な状態ではないため、シェル層を構成するシェル粒子がコア粒子層に埋まり込みやすく、コア粒子へのシェル粒子の附着強度が強い。しかし、その一方で、コア粒子表面へのシェル粒子の埋まり込みより、コア粒子成分がトナー母粒子表面に出やすく、コア粒子をシェル粒子により完全に被覆(カプセル)するために、より多くのシェル粒子が必要となる。
一方、本発明を実現する態様である後者の場合は、コア粒子形成工程と別に、完成したコア粒子の表面にシェル粒子のカプセル工程によりカプセル構造を形成する。
本発明では、コア粒子の帯電極性とシェル粒子の帯電極性を逆に設定し、静電気的に付着させる。この静電気的な付着により、シェル粒子をコア粒子の表面に留まりやすくし、シェル粒子のコア粒子への付着効率(カプセル化効率)を高めることが可能となり、その結果、コア粒子成分のトナー表面への露出を防ぐことができる。更に、シェル粒子間の静電反発効果より、コア粒子表面に、より少ないシェル粒子で、シェル粒子同士の重なりのない単層近い均一な被覆層を形成することができる。上述したシェル粒子の静電気的な付着によって形成された単層シェル層の厚みは、シェル粒子の体積平均粒径と同様であり、本発明の効果が顕著に損なわれない限り特に限定されないが、通常、20nm以上であり、好ましくは50nm以上であり、一方、通常、500nm以下であり、好ましくは150nm以下である。
また、ある帯電極性を有するシェル粒子によりシェル層を形成した後、該シェル粒子と逆極性のシェル粒子により更にシェル層を形成することにより、均一な二重シェル層を形成することもできる。この二重シェル層形成を繰り返すことで、均一な多重シェル層を形成することもできる。
多重シェル層を採用する場合、最表面層のシェル粒子の帯電極性により、トナー母粒子の帯電制御も可能である。
シェル粒子によりコア粒子を被覆する工程(カプセル工程)は、コア粒子の分散液にシェル粒子を直接添加し混合することにより行われる。コア粒子の分散液は、粉砕法により得られたコア粒子の場合は乳化剤より分散した分散液、重合法により得られたコア粒子の場合はコア粒子製造時のスラリー液をそのまま利用することができる。より精密にカプセ
ル制御する観点から、コア粒子同士の凝集体を発生しない範囲で、コア粒子分散液中に存在する乳化剤を洗浄などの方法より除くことが好ましい。
例えば、重合法により得られたコア粒子の分散液を作成する場合は、重合法よりコア粒子製造時のスラリー液を脱水及び降りかけ洗浄より水及び水中含まれる乳化剤及び可溶性不純物を除去した後、得られたコア粒子のケーキを水に再分散することによりコア粒子分散液を作ることができる。
上記カプセル工程の条件について、コア粒子とシェル粒子との混合温度は特に限定しないが、コア粒子とシェル粒子のTgの中で最も低いTgより10℃以上低い温度での混合は、急速凝集より粒子の凝集体の発生を防ぎ、コア粒子とシェル粒子と均一混合することができることから、好ましい。均一混合できたら、シェル粒子のカプセル効率及びカプセル強度を高めるため、必要に応じて、電解質などの凝集剤添加、混合温度調整することによって、制御することが可能である。
コア粒子へのシェル粒子のカプセル制御するため、混合液の電解質濃度或いはpHを調整することができる。電解質は無機系或いは有機系の酸、アルカリ、塩を使うことができる。一般的シェル粒子分散液の極性に対応させて選択することができる。例えば、シェル粒子分散液の極性がアニオン性の場合は、酸性の電解質が好ましい。シェル粒子分散液の極性がカチオン性の場合は、アルカリ性の電解質が好ましい。シェル粒子分散液の極性はノニオンの場合は、いずれの電解質でも有効である。
シェル粒子のカプセル効率及びカプセル強度を高めるため、混合温度の制御ができる。温度を調整する場合は、シェル粒子のコア粒子表面に埋め込みを防止するため、混合温度はコア粒子のTg+20℃以下で行うことが好ましい。
また、上述したような静電気的な付着を利用して得られた本発明に係るコアシェル構造のトナー母粒子の表面をSEMにより観察したところ、図1及び図2に示されるように、シェル粒子は、コア粒子表面に埋まり込むことがなくシェル粒子のコア粒子から露出した部分がシェル粒子の半径以上である状態で、コア粒子表面に付着していることが分かる。コア粒子表面積に対するシェル粒子の投影面積の占有率は、通常、30%以上であり、トナーの保存性及び低温定着性能の両立の観点から、好ましくは50%以上であり、一方、シェル粒子同士の静電気的な反発により、通常、90%以下である。なお、コア粒子表面に付着するシェル粒子の面積占有率は実施例に記載の方法で測定する。
したがって、本発明においては、コア粒子を形成した後、上述したように、コア粒子と逆帯電極性を有するシェル粒子を混合し、コア粒子表面にシェル粒子を静電気的に付着させる方法を採用することにより、より少ないシェル粒子の添加量で、高い被覆率(カプセル化効率)でコアシェル構造を形成することができる。高いカプセル化効率を有するシェル層によって、トナーの帯電性を安定的に供与し、トナーの耐ブロッキング性を向上させ、また、必要最小限量のシェル粒子添加によってコア粒子の低温定着性への影響を最低限に抑え、本発明の課題である低温定着性と耐ブロッキング性との両立を実現することができた。
<5.トナー母粒子の洗浄乾燥>
コア粒子をシェル粒子で被覆することにより得られたトナー母粒子は、水系溶媒から分離され洗浄、乾燥され、必要に応じて外添処理などが施されて静電荷像現像用トナーに供される。
洗浄に用いる液体としては水が用いられるが、酸またはアルカリの水溶液で洗浄することもできる。また、温水や熱水で洗浄することもでき、これらの方法を併用することもできる。このような洗浄工程を経ることによって、懸濁安定剤や乳化剤、未反応の残存モノ
マー等を低減、除去することが出来るため好ましい。洗浄工程は、洗浄する液体を、例えば濾過、デカンテーション等することによって着色粒子を濃厚スラリー或いはウエットケーキ状とし、これに新たに洗浄するための液体を加えてトナー母粒子を分散する操作を繰り返すことが好ましい。洗浄後の着色粒子は、ウエットケーキ状で回収することが、引き続き行われる乾燥工程における取り扱いの面で好ましい。
乾燥工程では、振動型流動乾燥法や循環型流動乾燥法など流動乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライ法、フラッシュジェット法などが用いられる。乾燥工程における温度、風量、減圧度等の操作条件は、着色粒子のTg、使用する装置の形状、機構、大きさ等をもとに、適宜最適化される。
<6.外添剤(外添微粒子)>
本発明においては、トナーの流動性向上や帯電制御性向上のために、必要により上記導電性微粒子以外の外添微粒子を添加することができる。そのような外添微粒子としては、各種無機または有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。
無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、リン酸カルシウム等のリン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック、マグネタイト、フェライト等を用いることができる。有機微粒子としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の微粒子を用いることができる。
これら外添微粒子の中では、特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック等が好適に使用される。また、外添微粒子は、前記の無機または有機微粒子の表面を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS) 、ジメチル
ジクロロシラン(DMDS) 等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤
、シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤、シリコーンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコーンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤等の処理剤によって疎水化などの表面処理が施されているものを使用することもできる。該処理剤は二種以上を併用することもできる。
本発明のトナーにおいては、帯電制御の観点から、外添剤として導電性微粒子を添加することが好ましい。導電性微粒子の抵抗は、上限が、通常、400Ω・cm以下であり、好ましくは200Ω・cm以下であり、より好ましくは100Ω・cm以下であり、さらに好ましくは60Ω・cm以下である。一方、下限は、通常、0.1Ω・cm以上であり、好ましくは1Ω・cm以上であり、より好ましくは5Ω・cm以上であり、さらに好ましくは15Ω・cmである。導電性微粒としては、例えば、導電性酸化チタン、シリカ、マグネタイト、等の金属酸化物またはそれらに導電性物質をドープしたもの、ポリアセチレンやポリフェニルアセチレン、ポリ- p -フェニレン等の共役2重結合を有するポリマ
ーに金属等の導電性物質をドープした有機微粒子、カーボンブラックやグラファイトに代表される炭素等が挙げられるが、トナーの流動性を損なわず導電性を付与できるという観点から、導電性酸化チタンまたはその導電性物質をドープしたものがより好ましい。導電
性微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、下限は、通常、0.0質量5部以上であり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。一方、導電性微粒子の含有量の上限は、通常、3質量部以下であり、好ましくは、2質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下である。
本発明において、導電性微粒子以外の外添微粒子を使用する場合、外添微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
本発明においては、導電性微粒子と併用する外添剤として、更にシリカを採用し、その種類及び添加量、添加方法を選択することにより、トナーの性能、特にトナーの帯電性、耐ブロッキング性、流動性など粒子性能を制御することができる。更にシリカを採用する場合、各性能のバランスを取るため、2種以上のシリカの併用することが好ましい。
また、本発明においては、トナー母粒子の表面に、さらフッ素原子を含有する微粒子を有することにより、帯電安定性を向上させることができる。
<7.外添剤(外添微粒子)の外添方法>
外添微粒子の添加方法としては、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機を用いる方法や、圧縮剪断応力を加えることの出来る装置による方法等が挙げられる。
外添トナーはトナー母粒子に全ての外添剤を同時添加して外添する一段外添法より作成できるが、外添剤毎に外添する分段外添法より作成することができる。
外添の温度について、温度上昇を防止するため、容器に冷却装置を設置するか、分段外添することを好ましい。
<8.トナーの物性>
本発明のトナーの体積平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、通常3μm以上であり、好ましくは5μm以上である。また、通常15μm以下であり、好ましくは10μm以下である。また、形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を用いて測定した平均円形度は、通常0.90以上であり、好ましくは0.92以上であり、より好ましくは0.94以上であり、一方、通常0.99以下である。平均円形度が小さすぎると、着色粒子への外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こす場合があり、一方大きすぎると、着色粒子形状に起因するクリーニング不良となる場合がある。
本発明のトナーのDSC法によるガラス転移点Tgは、通常40℃以上であり、好ましくは50℃以上であり、一方、通常80℃以下であり、好ましくは70℃以下である。Tgが前記範囲を逸脱する場合、トナーの保存性及び定着性が悪化する場合がある。
<9.その他>
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナーをキャリアとともに用いる二成分系現像剤、又は、キャリアを使用しない磁性もしくは非磁性一成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。二成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの混合物等が利用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」
を意味する。また、実写試験は以下の方法により行った。
各粒子径及び円形度、電気伝導度、熱特性等は次のように測定した。
<中位径測定(D50)>
1ミクロン未満の中位径(D50)を有す粒子の中位径(D50)は、日機装株式会社製型式MicrotracNanotrac150(以下ナノトラックと略す)および同社解析ソフトMicrotracParticle Analyzer Ver10.1.2-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒とし、溶媒屈折率:1.333、測定時間:600秒、測定回数:1回の測定条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定した。その他の設定条件は、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.04とした。
<体積中位粒径測定(Dv50)>
1ミクロン以上の体積中位粒径(Dv50)を有す粒子の体積中位粒径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm:以下、マルチサ
イザーと略す)を用い、同社アイソトンIIを分散媒として、分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
<平均円形度測定>
平均円形度は、分散質を分散媒(セルシース:シスメックス社製)に5720〜7140個/μlとなるように分散させ、フロー式粒子分析装置(FPIA3000:シスメックス社製)を用いて、HPF分析量0.35μl、HPF検出量2000〜2500個の条件下でHPFモードにより測定した。
<電気伝導度測定>
電気伝導度の測定は、導電率計(アズワン株式会社製のCyberScanCON100)を用いて行なった。
<重量平均分子量(Mw)>
重合体一次粒子分散液のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:ポリマーラボラトリー 社製PL−gel Mixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1重量%、検量線:標準ポリスチレン
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
セイコ−電子工業株式会社製の示差熱分析装置(DSC200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。ガラス転移温度は、DSC曲線のベースラインの延長線と吸熱カーブで最大傾斜を示す接線との交点から求めた。
[実施例1]
<着色剤分散液の調整>
プロペラ翼を備えた攪拌機の容器に、トルエン抽出液の紫外線吸光度が0.02であり、真密度が1.8g/cm3のファーネス法で製造されたカーボンブラック(三菱化学社
製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、導電率が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積累積50%径Dv50は約90μmであった。上記プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散を行った。なお、ステータの内径は120mmφ、セパレータの径が60mmφ、分散用のメディアとして直径が50μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm3)を用いた。ステータの有効内容積は約2リットルであり、メデイアの充填容積は1
.4リットルとしたので、メディア充填率は70%である。ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が約11m/sec)として、供給口より前記プレミックススラリを無脈動定量ポンプにより供給速度約40リットル/hrで供給し、所定粒度に達した時点で排出口より製品を取得した。なお、運転時にはジャケットから約10℃の冷却水を循環させながら行い、着色剤分散液を得た。
<ワックス分散液A1の調製>
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋(株),HNP-9、融点82℃)100部、ステアリルアクリレート10.4部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)7.0部、脱塩水253.0部
を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し中位径(D50)が500nm以下になる
まで分散して乳化液A2を作製した。中位径(D50)は、250nmであった。
<重合体一次粒子分散液B1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A1 35.8部、脱塩水260部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を300分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始30分後に270分かけて添加し、開始剤水溶液2をさらに60分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 72.3部
アクリル酸ブチル 27.7部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.3部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B1を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は 270nmであった。重量平均分子量(Mw)は
、68000であった。
<重合体一次粒子分散液C1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にサニゾールB-50(花王製、濃度50%)0.6部、脱塩水335部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま開始剤水溶液1を添加し、更にその5分後、下記のモノマー
類1・乳化剤溶液の混合乳化液とモノマー類2を200分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液2を同時に200分かけて添加した。更に開始剤水溶液3をさらに60分かけて添加し、添加と同時に90℃まで昇温した。開始剤水溶液3を添加後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類1]
スチレン 83.5部
アクリル酸ブチル 16.5部
[乳化剤水溶液]
サニゾールB-50(花王製、濃度50%) 0.6部
脱塩水 71.8部
[モノマー類2]
ブレンマーQA(日油製 50%溶液) 10.0部
[開始剤水溶液1]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 3.2部
[開始剤水溶液2]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 10.5部
[開始剤水溶液3]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 3.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液C1を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は 120nmであった。
<トナー母粒子D1の製造>
室温(約25℃)で、攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B1 100部(固形分)を仕込み、更に着色分散液6.0部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、0.5%硫酸アルミ溶液0.25部(固形分)を滴下した。更に100分かけて内温52
℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定し、粒径は目標粒径7.5ミクロンを超えたら、20%DBS水溶液5.0部(固形分)を添加してから、50分かけて97℃まで昇温し、90分保持した。
その後20分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加えて、50rpmで攪拌する事により均一に分散させた。分散液濃度は20%(固形分)に調整した。
攪拌したまま分散液に重合体一次粒子分散液C1 3部(固形分)を滴下し、室温で60分保持した。その後、1NのNaOH溶液7.5g/1L分散液体積の添加量で滴下し
て、室温で更に1時間保持した。その後、分散液を30分かけて内温55℃まで昇温し、30分保持した。
その後10分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水の入ったステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を2回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子D1を得た。
マルチサイザーIIIを用いて測定したトナー母粒子D1の体積中位粒径(Dv50)は7.
7μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.98であった。
<現像用トナーE1の製造>
アズワン株式会社製サンプルミルLSMK内に、トナー母粒子C1 100部を投入し、続いてアミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.03μmのシリカ微粒子0.5部を添加し計2分間撹拌、混合した。その後、アミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.01μmのシリカ微粒子1.0部を添加し計2分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーE1を得た。
[実施例2]
<ワックス分散液A2の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋(株),HNP-9、融点82℃)100部、ステアリルアク
リレート6.91部、デカグリセリンデカベヘネート(酸価3.2 水酸基価27)3.3部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)7.1部、脱塩水255.9部を90℃に加
熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し中位径(D50)が500nm以下になるまで分散して
乳化液A2を作製した。中位径(D50)は、220nmであった。
<重合体一次粒子分散液B2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A2 36.8部、脱塩水269部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を300分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始10分後に290分かけて添加し、開始剤水溶液2をさらに60分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 77.2部
アクリル酸ブチル 22.8部
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
CH2=C(CH3)COO(C2H4O)nCH3 (n=8.5) (東邦化学製ME-40) 5.17部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 69.4部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B2を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は240nmであった。重量平均分子量(Mw)は、
38000であった。
<トナー母粒子D2の製造>
室温(約25℃)で、攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B2 100部(固形分)を仕込み、更に着色分散液6.0部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、20分かけて内温40℃まで昇温してから、1NのHNO3溶液1.5部(固形分)を滴下した。更に30分かけて内温50℃まで昇温してから、1NのHNO3溶液1.0部(固形分)を滴下した。その後50分かけて内温55℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定して、20%DBS水溶液0.23部(固形分)を添加してから、30分かけて80℃に昇温して、更に1NのNaOH溶液2.5部(固形分)を添加し、97℃まで昇温し、240分保持した。
その後20分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加えて、50rpmで攪拌する事により均一に分散させた。分散液濃度は20%(固形分)に調整した。
攪拌したまま分散液に重合体一次粒子分散液C1 5部(固形分)を滴下し、室温で60分保持した。その後、1NのNaOH溶液7.5g/1L分散液体積の添加量で滴下して、室温で更に1時間保持した。その後、分散液を30分かけて内温55℃まで昇温し、30分保持した。
その後10分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水の入ったステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を2回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子D2を得た。
マルチサイザーIIIを用いて測定したトナー母粒子D2の体積中位粒径(Dv50)は7.
5μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.96であった。
<現像用トナーE2の製造>
アズワン株式会社製サンプルミルLSMK内に、トナー母粒子D2 100部を投入し、続いてアミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.03μmのシリカ微粒子0.5部を添加し計2分間撹拌、混合した。その後、アミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.01μmのシリカ微粒子1.0部を添加し計2分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーE2を得た。
[比較例1]
<重合体一次粒子分散液B3の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A2 37.0部、脱塩水265部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を240分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始と同時に240分かけて添加し、開始剤水溶液2をさらに60分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 81.3部
アクリル酸ブチル 18.7部
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
CH2=C(CH3)COO(C2H4O)nCH3 (n=8.5) (東邦化学製ME-40) 5.17部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 69.4部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B3を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は 220nmであった。重量平均分子量(Mw)は
、55000であった。
<トナー母粒子D4の製造>
室温(約25℃)で、攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B3 95部(固形分)を仕込み、更に着色分散液6.0部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、20分かけて内温40℃まで昇温してから、1NのHCl溶液0.35部(固形分)を滴下した。更に30分かけて内温56℃まで昇温してから、1NのHCl溶液0.96部(固形分)を滴下した。その後56℃のまま5分保持し、重合体一次粒子分散液C1 5部(固形分)を滴下し、さらに10分保持した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定して、20%DBS水溶液0.57部(固形分)を添加してから、30分かけて80℃に昇温して、更に1NのNaOH溶液2.4部(固形分)を添加し、97℃まで昇温し、20分保持した。
その後20分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水の入ったステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散さ
せ、30分間攪拌したままとした。この工程を2回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子D3を得た。
マルチサイザーIIIを用いて測定したトナー母粒子D3の体積中位粒径(Dv50)は9.
9μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.94であった。
<現像用トナーE3の製造>
トナー母粒子D1の代わりにD3を用いた以外はE1と同様の方法で現像トナーE3を得た。
[比較例2]
<重合体一次粒子分散液B4の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A1 36.7部、脱塩水267部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を270分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始と同時に270分かけて添加し、開始剤水溶液2をさらに60分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
CH2=C(CH3)COO(C2H4O)nCH3 (n=8.5) (日油製PME-400) 5.17部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 69.1部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B4を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は 210nmであった。重量平均分子量(Mw)は
、63000であった。
<トナー母粒子D4の製造>
室温(約25℃)で、攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B4 100部(固形分)を仕込み、更に着色分散液6.0部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、5%FeSO4水溶液0.75部(固形分)を添加し、更に脱塩水60部添加した。60分
かけて内温50℃まで昇温し、更に100分かけて内温58℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定して、20%DBS水溶液6部(固形分)を添加してから、30分かけて97℃に昇温し、120分保持した。
その後20分かけて30℃まで冷却して得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過し、再度ろ紙上に残った固形物を攪拌機(プロペラ翼)を備え、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水の入ったステンレス容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を2回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
ここで得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子D4を得た。
マルチサイザーIIIを用いて測定したトナー母粒子D4の体積中位粒径(Dv50)は6.
9μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。
<現像用トナーE4の製造>
トナー母粒子D1の代わりにD4を用いた以外はE1と同様の方法で現像トナーE4を得た。
[比較例3]
<重合体一次粒子分散液B5の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A1 36部、脱塩水226部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を5時間かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記
の開始剤水溶液1を重合開始30分後、4.5時間かけて添加し、開始剤水溶液2をさらに2時間かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.3部
アクリル酸ブチル 23.7部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 17.2部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 17.2部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B5を得た。体積平均粒径(MV)は240nmであった。重量平均分子量(Mw)は、75,000であった。
<トナー母粒子D5の製造>
重合体一次粒子分散液B4の代わりにB5を用い、5%FeSO4水溶液の代わりに0.5
%硫酸アルミ溶液0.2部(固形分)とし、昇温過程を180分かけて内温68℃に昇温するものとした以外はトナー母粒子D4の製造方法と同様にトナー母粒子D5を得た。体積中位粒径(Dv50)は7.7μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.98であった。
実施例及び比較例で得られたトナー母粒子或いは現像用トナー粒子を用いて、以下の方法で評価した。
<トナーのSEM観察及び画像解析:ア粒子表面に付着するシェル粒子の面積占有率>
SEM装置を使って、トナー母粒子の表面を観察した。SEM装置はZeiss社製ULTRA55、日立製S4500を使用した。加速電圧1.5〜5k∨で、トナー表面の1万倍と5万倍観察像を
得られた。 画像処理プログラム(MITANI社製WinROOF)を利用して、5万倍SEM観察画像にメディアンフィルタをかけノイズを除去し、平坦化処理を行い、更にコア粒子表面に付着するシェル粒子を抽出しやすくするためルックアップテーブルによる濃度変更を行った。ヒストグラムの最頻値の濃度を最小として最大までをガンマ2.7の曲線で変更した。最後、自動閾値法によりコア粒子表面に付着するシェル粒子の面積占有率を計測した。
<帯電量>
キャリアとしてパウダーテック(株)性F−150を使用し、トナー母粒子或いは現像用トナー粒子とキャリアとの重量比1:24の混合物10gを容量30mlのガラス製サンプル瓶に入れ、温度25℃、湿度50%の条件下で12時間以上保管し、三田村理研工業製ミキサーミルにて600rpmの振動数にて1分間振とうした後、そのうち0.1gを用いて東芝ケミカル(株)製ブローオフ帯電量測定装置を用い吸引ブローオフ法にて帯電量を測定した。
ブロー条件:0.05kgf×3秒
吸引圧力 :350〜400mmH
スクリーン:400メッシュ
<耐ブロッキング性>
現像用トナー5gを内径3cm、高さ6cmの円筒形の容器に入れ、40gの荷重をのせ、温度50℃、湿度40%の環境下に24時間放置した後、トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
◎(良好):200g未満の荷重で崩れる。
○(実用可):500g未満の荷重で崩れる。
×(使用不可):凝集しており、500g以上の荷重をかけないと崩れない。
<画質評価>
得られたトナーを、印刷速度21ppm、非磁性一成分、保証枚数12000枚(5%印
字時)で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、熱定着方式を用いたローラ定着機を搭載した市販プリンタ(Brother社製HL2140)を
用いて、印字率5%で、連続印字を行った。
<かぶりの測定方法>
画像形成装置を用いて、印字前及び印字後の、それぞれの標準紙(OKIエクセレントホワイト)における白地部分の色差を、X−Rite938(X−Rite社製)にて測定し、△Eの大きさにより下記の基準で判定した。
◎(良好) :△E<1.0
○(わずかに発生):1.0≦△E<1.5
×(発生) :1.5≦△E
<定着試験>
定着機は熱ロール定着方式であり、定着機の加熱ローラは、離型層がPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)でできており、シリコーンオイルの塗布なしで評価した。シリコーンオイルの塗布なしで評価した。付着量200%(付着量約0.7mg/cm)の未定着のトナー像を担持した記録紙(紀州製紙製FCドリーム)を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から210℃まで5℃刻みで変化させ、定着ニップ部に搬送し、198mm/secの速度で排出されたときの定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットあるいは用紙巻き付きが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とする。
定着温度領域の定着温度範囲ΔTとして、定着温度範囲の判断は下記の基準で判定した

ΔT=Tmax(最高定着温度)-Tmin(最低定着温度)
◎ ΔT ≧ 50℃
○ 50℃ > ΔT ≧ 30℃
× 30℃ > ΔT
<光沢値測定>
定着試験よって、記録紙の上に記録した定着画像は、NIPPON DENSHOKU社のGlossMeter VG2000により、画像の光沢を測定する。測定時の測定角度は75°に設定した。光沢の数字が大きいほど、光沢性が高いことを示す。
<デプスプロファイル評価>
上記定着試験にて得られた定着温度領域でのトナー定着画像において、前記光沢値測定において光沢値の最も高い定着画像を選んで、トナー定着部を飛行時間型二次イオン質量分析計(略称ToF-SIMS:機種名:ION-TOF 社製TOF-SIMS IV)を用いて以下の条件で負イ
オンデプスプロファイルを測定した。
・一次イオン:Bi3++,加速電圧25kV,照射電流0.2pA,150um四方走査
・二次イオン:負イオン収集,4scan/cycle 積算
・スパッタ:Ar+,加速電圧2kV,照射電流50nA,300um□走査,40sec/cycle
得られたスパッタ時間t秒におけるCN(-)イオン強度(CN(t))を求めた。
得られたToF-SIMSによる2次イオン強度のデータI(t)を、下記関係式を用いてスムージング処理した。
S(tn+1)=1/2×(1/2×(I(t)+I(tn+2))+I(tn+1))
(ここで、nは自然数である)
スムージング処理した実施例1及び2、比較例1及び2の結果を図3〜図6に示す。また、式(1)及び式(2)を満たすm及びnの値について、表−1及び表−2に示す。
表−1から分かるように、コア粒子に薄くシェル層が被覆された本発明のトナーである実施例1及び2は、従来のコア粒子にシェル粒子を被覆し熟成処理を経たトナーである比較例1やシェル粒子が被覆されていないトナーである比較例2と比べて、トナーの帯電制御を実現すると共に、高い耐ブロッキング性と低温定着性を実現していることが分かる。また、表1の比較例1の結果及び図5から従来のコアシェル構造を有するトナーでは、2次イオン強度急速変化する変化点が存在しないことから、式(1)及び式(2)を同時に満足するm及びnは存在せず、本発明のトナーが従来のトナーと全く異なるものであることが分かる。

Claims (15)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナーであって、ToF-SIMS によるトナー定
    着画像表面の2次イオンのデプスプロファイル測定においてスパッタ時間t秒における2次イオン強度をI(t)とした場合、下記式(1)及び(2)を同時に満足するmお
    よびnが存在することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    (1)0.7≦S(t+t)/S(t)≦1.3
    (2)0.1≦S(1000)/S(t)≦0.4(但し、式(1)及び(2)において、
    S(tn+1)=1/2×(1/2×(I(t)+I(tn+2))+I(tn+1))
    を満たし、
    秒は40秒×n、t秒は40秒×mを表し、m及びnは各々独立した自然数であり、3≦mを満たす。)
  2. 前記2次イオンが、C(-)、C2(-)、CN(-)、O(-)、F(-)、Cl(-)、Br(-)、S(-)、Si(-)か
    ら少なくとも1つ選ばれる負イオンであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記2次イオンがCN(-)であることを特徴とする前記請求項1または2に記載の正帯電
    静電荷像現像用トナー。
  4. 該静電荷像現像用トナーがコア粒子と該コア粒子を被覆するシェル層とを有するコアシェル構造を有することを特徴とする前記請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記シェル層はシェル粒子を有し、且つ該シェル粒子は帯電制御性能を持つことを特徴とする前記請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記シェル粒子が樹脂性粒子であることを特徴とする前記請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記シェル粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする前記請求項5または6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記シェル粒子の含有率はコア粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることが特徴とする前記請求項5乃至7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記シェル粒子の樹脂ガラス転移温度(Tg)はコア粒子の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であることを特徴とする前記請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 前記シェル粒子は、第4級アンモニウム塩及び第3級アミン官能基を有し、且つ正帯電性を有することを特徴とする前記請求項6または9に記載の静電荷像現像用トナー
  11. 前記コア粒子の分散液に、前記シェル粒子の分散液を混合して、前記コア粒子の表面に附着させる工程を経て得られることを特徴とする前記請求項5乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナーがコア粒子と該コア粒子を被覆するシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナーであって、
    該シェル層はシェル粒子を有し、
    且つ該シェル粒子が樹脂性粒子であり、
    且つ該コア粒子表面が有する帯電極性と該コア粒子に隣接するシェル層が有する帯電極性との関係が逆極性の関係である
    ことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  13. 前記トナーのトナー母粒子のSEM画像において、前記コア粒子表面に対する前記シェル粒子の面積占有率が30%以上80%以下であることを特徴とする請求項12に記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 前記シェル粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項13に記載の静電荷像現像用トナー。
  15. 前記シェル粒子の含有率が前記コア粒子に対して0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項13または14のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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