JP3950295B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。さらに詳しくは、オイルレス定着性を付与した静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真複写機やプリンターは、コストを低減化するため装置の小型化志向にあり、その一方向として、シリコンオイルタンクや塗布装置が不要となるオイルレス定着性の静電荷像現像用トナーが望まれている。
このような要求に対して、トナー結着樹脂の重合度を上げ粘弾性を上げる試みや、トナー中に多量のワックスを含有させる試み(特開平8−50368号)などがなされてきたが、前者では定着に要するエネルギーコストが大きく、また後者では、混練粉砕法ではワックス含有量が十分でないため乳化重合や懸濁重合で製造するが、多量のワックスを含有させるため、ワックスのコストが大きい欠点があった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来用いられていたオイルレス定着を目的とした静電荷像現像用トナーの欠点を克服し、低コストで、低温定着性をも併せ持った、新規のオイルレス定着性を付与した静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題解決のための手段】
上記課題は平均粒径が2〜20μmである芯トナー表面に、平均粒径が0.1〜1μmであって、ベース樹脂100重量部に対してワックスを2〜50重量部含有した樹脂微粒子であり、当該樹脂微粒子はワックス微粒子をシードとして、結着樹脂成分モノマーをシード重合することによって得られた樹脂微粒子を脱塩水中で被覆して固着又は融着させることにより、オイルレス定着性が付与され、解決できる。本発明の特徴は表面を被覆する微粒子にワックスを内包させることにある。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される芯トナーは、低温定着性を目的としたものでも、一般的定着温度を目的としたものでも、或いは高温定着性を目的としたものでも差し支えなく、目的とした定着温度に合わせて芯トナー及び樹脂微粒子を選定すれば良い。特に芯トナーのTgが30〜110℃の結着樹脂で構成されているものが好適に使用できる。Tgが30℃よりも低いと芯トナーの製造がし難く、また保存安定性とのバランスが取り難くなることがある。また、Tgが110℃よりも高いとエネルギーコストが大きくなり、オイルレス定着性を付与する意義が薄れてしまうことがあり、あまり好ましくない。
【0006】
本発明に使用される芯トナーの組成は、通常用いられるトナーの組成のもののいずれでもよく、結着樹脂と着色剤、帯電制御剤、ワックスなどを混練して粉砕したもの或いは凍結粉砕したものや、結着樹脂成分モノマーと着色剤、帯電制御剤、ワックスなどの混合物を懸濁重合したもの、或いは、結着樹脂成分モノマーを乳化重合したラテックスと着色剤、帯電制御剤、ワックスなどの混合物を凝集成長させ、任意粒子径に成形したもの、更に、ワックスエマルションをシードとしてモノマーを乳化重合したワックス内包化ラテックスと着色剤、帯電制御剤などの混合物を凝集成長させ、任意粒子径に成形したもの等が使用できる。芯トナーの体積平均粒径は通常2〜20μm、好ましくは3〜11μmである。
【0007】
芯トナーの主成分であるベース樹脂としては通常トナーのバインダー樹脂として用いられる樹脂がいずれも使用でき、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとアクリル酸もしくはメタクリル酸との三元もしくは多元共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
また、着色剤としてとしては黒トナー用及びフルカラートナー用に通常用いられる着色剤が使用でき、無機顔料又は有機顔料、有機染料のいずれでも良く、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、オイルレッド、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料等が挙げられ、これら公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。
【0008】
また、フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤の使用量は、通常、芯トナーのベース樹脂100重量部に対して1〜20重量部となるように用いられる。
更に、帯電制御剤やワックスなども任意に使用できる。
帯電制御剤としては、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性として4級アンモニウム塩、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性として金属キレート類、有機酸の金属塩、含金属染料、ニグロシン染料、アミド基含有化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性もしくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
【0009】
また、カラートナー適応性(帯電制御剤自体が無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がないこと)を勘案すると、正帯電性としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4′−メチレンビス[2−[N−(4−クロロフェニル)アミド]−3−ヒドロキシナフタレン]等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。その使用量はトナーに所望の帯電量により決定すればよいが、通常は芯トナーのベース樹脂100重量部に対し0.01〜10重量部用い、更に好ましくは0.1〜10重量部用いる。
【0010】
芯トナーに用いられるワックスとしては公知のワックス類の任意のものを使用することができ、パラフィン系・オレフィン系・天然及び合成の脂肪酸エステル系・脂肪酸アミド系・長鎖アルキルケトン樹脂系及び変成シリコン樹脂系のうちの1種又は混合物などであるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、等のオレフィン系ワックス、天然及び合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基またはフェニル基を有するシリコン、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド、等が例示される。その使用量は芯トナーのベース樹脂100重量部に対し0〜20重量部を用い、好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは2〜10重量部を用いるのがよい。ワックスの使用量が多すぎるとコストアップの要因となり、本発明の利点が損なわれる
【0011】
本発明に使用される樹脂微粒子のベースとなる樹脂のTgは、50〜110℃のものが望ましい。Tgが50℃より低いとトナーの保存安定性が不安定になり、Tgが110℃より高いものは現実的ではなく、更にエネルギーコストが大きくなるため好ましくない。
樹脂微粒子のベースとなる樹脂の種類は例えば、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)又はジアリルイソフタレート樹脂(PDAIP)及びジアリルフタレートとジアリルイソフタレートの共重合樹脂(COPDAP)の1種又は混合物、及びこれらとアクリル酸エステルの共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸三元共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−アクリル酸三元共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体樹脂等が使用でき、好ましくは、スチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合樹脂、又は、スチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとアクリル酸又はメタクリル酸との三元共重合樹脂がよい。
【0012】
樹脂微粒子の粒子径は芯トナーの粒子径により好適値が異なるが、平均粒子径が3〜11μmであるトナーに対しては0.1〜1μmが良い。
オイルレス定着性付与用樹脂微粒子の使用量は、芯トナーの粒子径と樹脂微粒子の粒子径のバランスによるが、芯トナーの重量に対して1〜50重量%程度が良く、2〜30重量%が好適であり、5〜20重量%が特に好適である。オイルレス定着性付与用樹脂微粒子の使用量が1重量%より少ないとオイルレス定着性が十分発揮できず、50重量%より多いとオイルレス定着性付与効果は十分発揮されるが、ワックス使用量が多くなり、コスト低減効果が薄れるため好ましくない。
【0013】
また、本発明に使用される樹脂微粒子に使用されるワックスは、芯トナーに使用されるワックスと同様なものが使用でき、例えば、パラフィン系・オレフィン系・天然及び合成の脂肪酸エステル系・脂肪酸アミド系・長鎖アルキルケトン樹脂系及び変成シリコン樹脂系のうちの1種又は混合物などであるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、等のオレフィン系ワックス、天然及び合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基またはフェニル基を有するシリコン、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド、等が挙げられる。これらのうち、脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。脂肪酸エステル系ワックスの具体例としては、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等のアルカン酸アルキルエステル;ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル等の、多価アルコールのアルカン酸エステルが挙げられる。そして樹脂微粒子に含有されるワックスの量は、ベース樹脂100重量部に対し2〜50重量部を用い、好ましくは3〜25重量部を用いるのがよい。ワックスの量が2重量部より少ないとオイルレス定着性が十分発揮できず、50重量部より多いとオイルレス定着性付与効果は十分発揮されるが、トナー強度が低下したり、保存安定性が不安定になったり、ワックス使用量が多くなってコスト低減効果が薄れる上に、ワックス内包化樹脂微粒子の製造がし難くなるため好ましくない。また低温定着性を効果的に発揮するために、樹脂微粒子のワックス含有率は、芯トナーのワックス含有率よりも大きいことが好ましい。
【0014】
ワックス内包化樹脂微粒子の製造は、その作成方法は特に限定されないが、好ましくはワックス微粒子をシードとして、モノマー混合物をシード重合することによって得られる。
【0015】
本発明のトナーが優れたオイルレス定着性を示す理由は必ずしも明確ではないが、ワックスがトナーの表面付近に存在しているために、定着の初期段階でワックスが効率よくトナー粒子から浸出することに起因するものと推定している。従って、本発明を採用することにより、ワックスがトナー粒子の中心部に存在する場合や、トナー粒子全体に分散する場合に比べて、同様のオイルレス定着性を発揮するに要するワックスの総量を低減することができる。
特に、混練粉砕法によって芯トナーを製造した場合には、通常はトナーに含有させることができるワックスの量が10%程度以下に制限されるため、混練粉砕法によって得られた芯トナーに、ワックスを含有する樹脂微粒子を固着または融着させてなる実施態様が有効である。
【0016】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、平均粒径、平均分子量、ガラス転移点(Tg)、定着温度幅は、それぞれ下記の方法により測定した。
平均粒径:ホリバ社製LA−500、日機装社製マイクロトラックUPA、コールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(コールターカウンターと略)により測定した。
平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(装置:TOSO社製GPC装置HLC−8020、カラム:Polymer Laboratory社製PL−gel Mixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1wt%、検量線:標準ポリスチレン)
ガラス転移点(Tg):パーキンエルマー社製DSC7により測定した(30℃から100℃まで7分で昇温し、100℃から−20℃まで急冷し、−20℃から100℃まで12分で昇温し、2回目の昇温時に観察されたTgの値を用いた)。
定着温度幅:未定着のトナー像を担持した記録紙を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から220℃(又は200℃)まで変化せさ、定着ニップ部に搬送し、排出された時の定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とした。定着機の加熱ローラは、芯金としてアルミニウム、弾性体層としてJIS−A規格によるゴム硬度3°のジメチル系の低温加硫型シリコーンゴム1.5mm厚、離型層としてPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)50μm厚が用いられており、直径は30mm、日本ゴム協会規格SRIS 0101に準拠して測定される定着ローラ表面のゴム硬度は80である。シリコンオイルの塗布なしで、ニップ幅は4mmで評価した。定着速度は120mm/sで実施した。評価範囲が100から220℃なので、定着温度の上限が220℃と記載のものについては、定着温度の真の上限はさらに高い可能性がある。
【0017】
(1)芯トナーの製造
(1−A)混練粉砕法トナー
スチレン/アクリル樹脂 100部(Mw3.4万、Tg30℃)
シアン顔料 6部
パラフィンワックス 5部
帯電制御剤P−51 2部
とを2軸押し出し混練機PCM30(池貝鉄工所製)で混練し、粉砕分級してコールターカウンターでの平均粒径8.4μmのトナー(A)を得た。
【0018】
(1−B)混練粉砕法トナー
スチレン/アクリル樹脂 100部(Mw3.4万、Tg50℃)
シアン顔料 6部
パラフィンワックス 5部
帯電制御剤P−51 2部
とを2軸押し出し混練機PCM30(池貝鉄工所製)で混練し、粉砕分級してコールターカウンターでの平均粒径9.1μmのトナー(B)を得た
【0019】
(1−C)混練粉砕法トナー
スチレン/アクリル樹脂 100部(Mw9万、Tg60℃)
シアン顔料 6部
パラフィンワックス 5部
帯電制御剤P−51 2部
とを2軸押し出し混練機PCM30(池貝鉄工所製)で混練し、粉砕分級してコールターカウンターでの平均粒径7.9μmのトナー(C)を得た
【0020】
(1−D−1)乳化重合凝集トナースラリー
(重合体一次粒子分散液)
撹拌装置(3枚後退翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積21、内径120mm)に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5.3部、脱塩水311部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液6.4部、2%アスコルビン酸水溶液6.4部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0021】
[モノマー類]
スチレン 59部
アクリル酸ブチル 39部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
1%2−メルカプトエタノール水溶液 3部
[乳化剤水溶液]
10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 2.7部
1%ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液 1.1部
脱塩水 22部
[開始剤水溶液]
2%過酸化水素水溶液 36部
2%アスコルビン酸水溶液 36部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は54.000、UPAで測定した平均粒子径は154nm、Tgは40℃であった。
【0022】
(着色剤微粒子分散液)
ピグメントブルー15:3の水分散液(EP−700 Blue GA、大日精化製、固形分35%)UPAで測定した平均粒径は150nmであった。
(帯電制御剤微粒子分散液)
4,4′−メチレンビス[2−[N−(4−クロロフェニル)アミド]−3−ヒドロキシナフタレン]20部、アルキルナフタレンスルホン酸塩4部、脱塩水76部をサンドグラインダーミルにて分散し、帯電制御剤微粒子分散液を得た。UPAで測定した平均粒径は200nmであった。
(芯トナーの製造)
重合体一次粒子分散液 100部(固形分として)
パラフィンワックス(LUVAX-1266、日本精蝋製)
分散液 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6部(固形分として)
帯電制御剤微粒子分散液 0.6部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
反応器(容積1リットル、ディスパー)に重合体一次粒子分散液とパラフィンワックス分散液、着色剤微粒子分散液、帯電制御剤分散液を仕込み、均一に混合した。得られた混合分散液を撹拌しながらpHを3.5に調整した。その後撹拌しながら昇温して、粒径が5.5μmになったところでpHを7に調整し、さらに60℃に昇温して1時間保持し、その後冷却し、凝集トナースラリー(固形分濃度22.3%)(D−1)を得た。
【0023】
(1−D−2)乳化重合凝集トナー
(D−1)で得た凝集トナースラリーの一部を、濾過・洗浄・乾燥して凝集トナー(D−2)を得た。
【0024】
(1−E)懸濁重合トナー
スチレン 60部
ブチルアクリレート 39.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
カーボンブラック(三菱化学製MA100S) 4部
パラフィンワックス(日本精蝋製LUVAX−1266) 5部
分散剤(楠本化成製ディスパロン) 1.5部
重合開始剤(和光純薬製V−65) 5部
を、常法により混合分散してモノマー混合物を調製した。別に、
リン酸三カルシウム 25部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.05部
塩化カルシウム 200部
脱塩水 300部
の混合分散液を用意しておき、これにモノマー混合物を添加して懸濁液を調製し、常法により懸濁重合して、酸洗浄・濾過・水洗浄・乾燥をしてMw3.3万、樹脂Tg40℃、コールターカウンターでの平均粒子径6.9μmの懸濁重合トナー(E)を得た。
【0025】
(1−F)懸濁重合トナー
モノマー混合物組成を、
スチレン 67部
ブチルアクリレート 32.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
カーボンブラックMA100S 4部
パラフィンワックス(LUVAX−1266) 5部
分散剤(ディスパロン) 1.5部
重合開始剤(V−65) 5部
とした他は(1−E)と同様に懸濁重合して、Mw3.2万、樹脂Tg50℃、コールターカウンターでの平均粒子径8.2μmの懸濁重合トナー(F)を得た。
【0026】
(2)ワックス内包化樹脂微粒子の製造
を均一溶解しておき、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで乳化し、過酸化水素を開始剤として乳化重合して、Mw7.4万、樹脂Tg65℃、UPAで測定した平均粒子径0.206μm、樹脂濃度20wt%のパラフィンワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(G)を得た。
【0027】
(2−H)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
(ワックス分散液)
脱塩水69.74部、ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステル混合物(ユニスターM−2222SL、日本油脂製)30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.23部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.03部を混合し、高圧剪断をかけ乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。LA−500で測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は820nmであった。
(樹脂微粒子分散液)
撹拌装置(3枚後退翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(容積21、内径120mm)に上記ワックス分散液35部、脱塩水328部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液6.4部、2%アスコルビン酸水溶液6.4部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
【0028】
[モノマー類]
スチレン 75.2部
アクリル酸ブチル 22.8部
アクリル酸 2部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
1%2−メルカプトエタノール水溶液 3部
[乳化剤水溶液]
10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 2.7部
1%ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液 1.1部
脱塩水 22部
[開始剤水溶液]
2%過酸化水素水溶液 36部
2%アスコルビン酸水溶液 36部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液(H)を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は71.000、UPAで測定した平均粒子径は254nm、Tgは65℃であった。
【0029】
(2−I)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
モノマー部数を
スチレン 72部
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 2部
とした他は(2−H)と同様にして、Mw6.9万、Tg60℃、UPAで測定した平均粒子径0.244μm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I)を得た。
【0030】
(2−J)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
モノマー部数を
スチレン 72部
アクリル酸ブチル 26部
アクリル酸 2部
とした他は(2−H)と同様にして、Mw5.4万、樹脂Tg60℃、UPAで測定した平均粒子径0.206μm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(J)を得た。
(2−K)エステル系ワックス内包化樹脂微粒子
ワックス分散液を以下のものに変更した以外は(2−H)と同様にしてMw14万、UPAで測定した平均粒子径201nm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(K)を得た。
(ワックス分散液)
脱塩水68部、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(ユニスターH476 日本油脂製)30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25部を混合し、90℃で高圧せん断をかけ乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。LA−500で測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は350nmであった。
【0031】
<実施例1>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(G) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(A) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を35℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、110〜145℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0032】
<実施例2>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(H) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(B) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、135〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0033】
<実施例3>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(B) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、130〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0034】
<実施例4>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(J) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(B) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、125〜175℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0035】
<実施例5>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(C) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、135〜175℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0036】
<実施例6>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(D−2) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、110〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0037】
<実施例7>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(E) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、115〜160℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0038】
<実施例8>
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
脱塩水 600部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、
トナー(F) 100部
を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、125〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0039】
<実施例9>
凝集トナースラリー(D−1)(固形分濃度22.3%) 450部
ワックス内包化樹脂微粒子ラテックス(I) 50部
を反応容器に取り、室温で平羽根攪拌機で300回転で攪拌しながら、pHを3.0に調製して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を50℃に昇温して2時間反応を継続し、芯トナーに樹脂微粒子を固着させた後、濾過・水洗・乾燥して樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、110〜165℃の温度範囲で定着していることが確認された。
【0040】
<比較例1>
トナー(A)で、実施例1と同様に定着性の評価を実施したところ、100〜200℃の温度(200℃以上は実施していない)の範囲でいずれもオフセットしていることが確認された。
【0041】
<比較例2>
トナー(B)で、実施例2と同様に定着性の評価を実施したところ、120〜200℃の温度(200℃以上は実施していない)の範囲でいずれもオフセットしていることが確認された。
【0042】
<比較例3>
トナー(C)で、実施例5と同様に定着性の評価を実施したところ、135〜200℃の温度(200℃以上は実施していない)の範囲でいずれもオフセットしていることが確認された。
【0043】
<比較例4>
トナー(D−2)で、実施例6と同様に定着性の評価を実施したところ、110〜125℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
【0044】
<比較例5>
トナー(E)で、実施例7と同様に定着性の評価を実施したところ、115〜125℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
【0045】
<比較例6>
トナー(F)で、実施例8と同様に定着性の評価を実施したところ、125〜130℃の狭い温度範囲で定着していることが確認されたが、それ以上200℃迄の温度(200℃以上は実施していない)の範囲では、いずれもオフセットしていることが確認された。
<実施例10>
実施例1においてワックス内包化ラテックス(G)に代えて、ワックス内包化ラテックス(K)を用いた以外は実施例1と同様に樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、110〜150℃の温度範囲で定着していることが確認された。
<実施例11>
実施例6においてワックス内包化ラテックス(I)に代えて、ワックス内包化ラテックス(K)を用いた以外は実施例6と同様に樹脂微粒子固着トナーを得た。
この樹脂微粒子固着トナーの定着性の評価を実施したところ、110〜175℃の温度範囲で定着していることが確認された。
以上の結果をまとめて表−1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、オイルレス定着性を有するトナーを、容易に製造することが出来る。
Claims (4)
- 平均粒径が2〜20μmの芯トナー表面に、平均粒径が0.1〜1μmであって、ベース樹脂100重量部に対してワックスを2〜50重量部含有した樹脂微粒子であり、当該樹脂微粒子はワックス微粒子をシードとして、結着樹脂成分モノマーをシード重合することによって得られた樹脂微粒子を脱塩水中で被覆して固着又は融着させた静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂微粒子に使用されるベース樹脂が、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとアクリル酸もしくはメタクリル酸との三元もしくは多元共重合樹脂からなり、ガラス転移点(Tg)が50〜110℃である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 芯トナーが混練粉砕法によって製造されたものである請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 芯トナーが、ベース樹脂100重量部に対してワックスを2〜10重量部含有するものであり、樹脂微粒子が、ベース樹脂100重量部に対してワックスを3〜25重量部含有するものであり、且つ、樹脂微粒子中のワックス含有率が芯トナー中のワックス含有率よりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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