JP2014224872A - カプセルトナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温定着性および転写性の経時安定性に優れたカプセルトナーおよびその製造方法を提供する。【解決手段】 カプセルトナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する樹脂微粒子を含む樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成される。カプセルトナーを構成するトナー粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が40〜55℃であり、樹脂被覆層を構成する樹脂微粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が55〜75℃である。【選択図】 図1

Description

本発明は、カプセルトナーおよびその製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写、および定着の一連の工程によって画像を形成する。まず、帯電工程で、像担持体の表面を帯電装置によって一様に帯電させ、露光工程で、帯電した像担持体表面に露光装置によってレーザ光を露光し、露光部分の電荷を消散させることによって像担持体表面に静電潜像を形成させる。続く現像工程で、像担持体表面の静電潜像に、電荷を有する着色微粉体であるトナーを、現像装置によって付着させて可視画像化し、転写工程で、像担持体表面に形成された可視画像を、転写装置によって紙などの記録媒体に転写する。そして、定着工程で、定着装置によって、加熱や加圧、またはその他の定着法にて記録媒体に転写された可視画像を定着させる。また、記録媒体に画像が形成された後、記録媒体に転写されずに像担持体表面に残留したトナーは、像担持体のクリーニングを行う工程(クリーニング工程)により除去される。
このような画像形成に用いられるトナーは、現像工程だけではなく、転写工程、定着工程およびクリーニング工程の各工程において要求される機能を備えている必要がある。
トナーを記録媒体に定着させる定着方法としては、たとえば、トナーを加熱溶融して記録媒体に定着させる加熱定着方法、および圧力によりトナーを塑性変形させて記録媒体に定着させる圧力定着方法がある。
加熱定着方法では、定着装置の簡便性、および定着後の画像品位などを考慮し、トナーを加熱溶融する加熱媒体として熱ロールを使用する熱ロール定着法や熱ベルトを使用する熱ベルト定着法がよく用いられている。
この加熱定着方法において、トナーには、省エネルギーの観点からなるべく低い温度で定着できるように、なるべく低い温度で溶融して定着する、いわゆる低温定着性が要求されている。トナーの低温定着性を実現するためには、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量を小さくする、結晶性樹脂を含有させる、低融点ワックスを内添することなどによってトナー粒子の変形開始温度、軟化温度、流出開始温度、溶融温度、流出終了温度などの熱物性を低下させることが行われる。
しかしながら、これらの方法は、低温定着性には効果があるものの、高温環境下に置かれた場合、トナーが熱により軟化して凝集する耐ブロッキング性低下のため、低温定着性と定着域の確保およびトナー耐久性向上の両立にはおのずと限界がある。
このような問題を解決するために、トナー母粒子(コア)と、該トナー母粒子の表面を被覆する樹脂被覆層(シェル層)とを有する、コア・シェル構造のカプセルトナーの開発が進んでいる。たとえば、特許文献1には、コアが、少なくとも、結着樹脂としての結晶性ポリエステル樹脂、着色剤および離型剤を含有し、シェル層が、無定形高分子樹脂を主成分として含有するカプセルトナーが開示されている。
特開2005−266565号公報
通常、電子写真用トナーとしての低温定着性を向上させる方法として、トナーのガラス転移温度を下げる方法、粒径の小さいトナーを用いる方法、変形しやすい結晶性材料を添加する方法などが採用されている。しかしながら、トナーが変形しやすくなると、低温定着性は向上するものの、大量プリント(多数枚プリント)を行うとトナー粒子表面に付着していた外添剤がトナー粒子中に埋没し、安定した帯電量を維持することできず、転写性が低下して高品質のプリントを継続して得ることは困難であった。
本発明の目的は、低温定着性および転写性の経時安定性に優れたカプセルトナーおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、低温定着性および転写性の経時安定性に優れたカプセルトナーについて鋭意検討した結果、変形開始温度がそれぞれ異なる温度範囲のトナー母粒子(コア)と樹脂被覆層(シェル層)を用いることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する、樹脂微粒子を含む樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成されるカプセルトナーであって、
カプセルトナーにおける前記トナー粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が40〜55℃であり、
前記樹脂微粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が55〜75℃である、ことを特徴とするカプセルトナーである。
また本発明のカプセルトナーにおいて、前記樹脂微粒子は、スチレンアクリル共重合樹脂からなることを特徴とする。
また本発明は、前記カプセルトナーの製造方法であって、
結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて、樹脂微粒子付着トナー母粒子を作製する樹脂微粒子付着工程と、
前記樹脂微粒子付着トナー母粒子を撹拌混合して流動させることによって、トナー母粒子の表面に付着した樹脂微粒子の少なくとも一部を膜化させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程と、を含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
本発明によれば、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する樹脂微粒子を含む樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成されるカプセルトナーである。本発明のカプセルトナーは、そのカプセルトナーを構成するトナー粒子の、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が40〜55℃であり、樹脂被覆層を構成する樹脂微粒子の変形開始温度が55〜75℃であるので、定着時には低温から変形して紙などの記録媒体に定着できるとともに、トナー粒子表面に外添剤が外添されたカプセルトナーとした場合であっても、その外添剤がトナー粒子に埋没することが抑制されて、転写性の安定維持が可能になり、高品質画像を継続して得ることができる。また、トナー母粒子には離型剤が含まれているので、定着時にはその離型剤が浸み出し、これによって耐ホットオフセット性を向上することができる。
また本発明によれば、カプセルトナーにおいて樹脂被覆層を構成する樹脂微粒子が、スチレンアクリル共重合樹脂からなる。このスチレンアクリル共重合樹脂は、トナー母粒子の表面全体にわたって被覆された樹脂被覆層を容易に形成することができるとともに、変形開始温度を55〜75℃の範囲に容易に調整することができる樹脂である。
また本発明によれば、樹脂微粒子付着工程と膜化工程とを含むカプセルトナーの製造方法である。樹脂微粒子付着工程では、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて、樹脂微粒子付着トナー母粒子を作製する。膜化工程では、樹脂微粒子付着工程で作製された樹脂微粒子付着トナー母粒子を撹拌混合して流動させることによって、トナー母粒子表面に付着した樹脂微粒子の少なくとも一部を膜化させて、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する。このように、樹脂微粒子付着工程および膜化工程を実施することによって、トナー粒子および樹脂被覆層を構成する樹脂の変形開始温度がそれぞれ前記所定の範囲に調整されたカプセルトナーを製造することができる。
本発明のカプセルトナーの製造方法の手順の一例を表す工程図である。 本発明のカプセルトナーの製造方法で用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。 図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200−A200からみた概略断面図である。 粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。 高架式フローテスタによる流動特性測定結果を表すフローカーブを示す図である。
本発明のカプセルトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する樹脂からなる樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成される。まず、このカプセルトナーの製造方法について、以下に説明する。
1、カプセルトナーの製造方法
図1は、本発明のカプセルトナーの製造方法の手順の一例を示す工程図である。本発明のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程s1と、樹脂被覆層を形成するための樹脂微粒子を調製する樹脂微粒子調製工程s2と、トナー母粒子の表面を樹脂微粒子により形成される樹脂被覆層で被覆する被覆工程s3とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程s1
トナー母粒子作製工程s1では、樹脂被覆層によって被覆されるべきトナー母粒子を作製する。トナー母粒子は、少なくとも結着樹脂、離型剤(ワックス)および着色剤を含む粒子であり、その作製方法は特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。トナー母粒子の作製方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、および、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下では、粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法について説明する。
トナー母粒子を粉砕法で作製する場合には、結着樹脂、離型剤、および着色剤、また必要に応じてその他の添加剤を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などによって粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用できる。
前述のように、トナー母粒子は、少なくとも結着樹脂、離型剤(ワックス)および着色剤を含む。結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができ、たとえば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物にワックスを混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
上述の結着樹脂の中でも、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂は、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用にも黒トナー用にも好適である。ポリエステル樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。
ポリエステル樹脂の場合を例にすると、多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステル樹脂の酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステル樹脂が得られる。
多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステル樹脂の特性を変性できる。また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステル樹脂の主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステル樹脂が得られる。ポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。またポリエステル樹脂とアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
結着樹脂は、ガラス転移温度が30℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が30℃未満であると、画像形成装置内部においてカプセルトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移温度が80℃を超えると、記録媒体へのカプセルトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して5質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上10質量部以下である。
着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
トナー母粒子に用いる離型剤(ワックス)としてはこの分野で常用される、非極性ワックス、極性ワックスを使用できる。非極性ワックスとしては、たとえば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスが、挙げられる。さらには、アルキル基などで変性されてもよいシリコーン系ワックスも好適に使用できる例である。
極性ワックスとしては、たとえば、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、および、それら酸化物を加水分解したアルコール、または、それら酸化物のブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したもの;ベヘン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエステルワックスなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪族と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
トナー母粒子中に用いるワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.2質量部〜20質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜10質量部、特に好ましくは1.0質量部〜8.0質量部である。
トナー母粒子および樹脂被覆層には、電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上3質量部以下である。
トナー母粒子作製工程s1において作製されるトナー母粒子は、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、長期にわたり高精細な画像を安定して形成できる。またトナー母粒子をこの範囲内に小粒径化することにより、紙などの記録媒体に対する付着量が少なくても高い画像濃度が得られ、カプセルトナー消費量を削減できる効果も生じる。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、トナー母粒子の粒径が小さ過ぎるために、高帯電化および低流動化するおそれがある。カプセルトナーが高帯電化、低流動化すると、画像形成装置に備えられる感光体(静電潜像が形成される像担持体)にカプセルトナーを安定して供給できなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー母粒子の体積平均粒径が8μmを超えると、トナー母粒子の粒径が大き過ぎるために形成画像の層厚が厚くなり、粒状性の著しい画像となり、高精細な画像を得られない。またトナー母粒子の粒径が大きくなり過ぎると、カプセルトナーの比表面積が減少して帯電量が小さくなる。カプセルトナーの帯電量が小さくなると、カプセルトナーが感光体に安定して供給されず、カプセルトナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
(2)樹脂微粒子調製工程s2
樹脂微粒子調製工程s2では、トナー母粒子の表面を被覆する樹脂被覆層を形成するための、乾燥した樹脂微粒子を調製する。乾燥にはどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法により、乾燥した樹脂微粒子を得ることができる。樹脂微粒子は、後の被覆工程s3において、トナー母粒子の表面を被覆する樹脂被覆層の原料として用いられる。トナー母粒子を樹脂微粒子で被覆することにより、紙などの記録媒体にカプセルトナーによる画像を定着させる定着時には、定着温度でトナー母粒子と樹脂被覆層が共に変形して低温定着性を維持しつつ、現像装置においてカプセルトナーが収容される現像槽内では樹脂被覆層は変形せず、耐保存性、耐ブロッキング性を向上させることができる。
樹脂微粒子は、たとえば、樹脂微粒子原料である樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させ細粒化することによって得られる。また樹脂のモノマー成分の重合によっても得られる。樹脂被覆層を形成するための樹脂微粒子を構成する樹脂としては、前述のトナー母粒子の結着樹脂と同様の樹脂を使用することができるが、スチレンアクリル共重合樹脂を使用することが好ましい。
樹脂微粒子を構成する樹脂は、その軟化温度が、トナー母粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移温度よりも高いことが好ましく、60℃以上140℃以下であることが好ましい。このような温度範囲の樹脂を用いることによって、本発明の方法で製造されたカプセルトナーは、保存中にトナー同士が融着することを防止でき、耐ブロッキング性が向上する。また保存安定性と定着性とを兼ね備えたカプセルトナーが得られる。
樹脂微粒子の体積平均粒径は、トナー母粒子の体積平均粒径よりも充分に小さい必要があり、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm以上1μm以下であることによって、トナー母粒子表面に樹脂被覆層が形成される。
(3)被覆工程s3
被覆工程s3は、トナー母粒子の表面を樹脂微粒子により形成される樹脂被覆層で被覆する工程であり、樹脂微粒子付着工程s31と、膜化工程s32とを含む。
樹脂微粒子付着工程s31では、トナー母粒子作製工程s1で作製したトナー母粒子と、樹脂微粒子調製工程s2で得られた樹脂微粒子とを混合機で混合して、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて、樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して3質量部以上であることが好ましい。3質量部未満であると、トナー母粒子を均一に被覆することが難しくなり、トナー母粒子の種類によっては、保存安定性が悪くなるおそれがある。
上記では、樹脂微粒子付着工程s31を混合機で実施して樹脂微粒子付着トナー母粒子を作製する方法について説明したが、樹脂微粒子付着工程s31は、図2〜図4に示すトナーの製造装置201を用いて実施されてもよい。図2は、本発明のカプセルトナーの製造方法で用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200−A200からみた概略断面図である。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。
トナーの製造装置201は、被覆工程s3において少なくとも膜化工程s32を実施するための装置である。上記のように、混合機で予め作製した樹脂微粒子付着トナー母粒子を用いて、トナーの製造装置201で膜化工程s32を実施してカプセルトナーを製造してもよいし、トナーの製造装置201で樹脂微粒子付着工程s31を実施して樹脂微粒子付着トナー母粒子を作製するとともに、膜化工程s32を実施してカプセルトナーを製造するようにしてもよい。以下では、トナーの製造装置201で実施される膜化工程s32について説明する。
膜化工程s32では、樹脂微粒子付着トナー母粒子を撹拌混合して流動させることによって、トナー母粒子の表面に付着した樹脂微粒子を膜化させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する。
トナーの製造装置201は、循環と撹拌の相乗効果による衝撃力でトナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成させる。トナーの製造装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、回転撹拌手段204と、温度調整用ジャケット203と、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。回転撹拌手段204と、粉体流路202とは循環手段を構成する。
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210,211が形成される。開口部210は、撹拌部208の軸線方向一方側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸線方向一方側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、樹脂微粒子付着トナー母粒子および気体が流過する。粉体流路202は、樹脂微粒子付着トナー母粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるように設けられる。
粉体流路202内の温度は、トナー母粒子のガラス転移温度以下に設定され、30℃以上トナー母粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。粉体流路202内の温度は、トナー母粒子の流動により、どの部分においてもほぼ均一となる。粉体流路202内の温度がトナー母粒子のガラス転移温度を超えると、トナー母粒子が軟化し過ぎ、トナー母粒子の凝集が発生するおそれがある。また温度が30℃未満であると、樹脂微粒子の軟化が不十分になり、被覆状態が低下する。したがってトナー母粒子の凝集を防止するために、粉体流路202および後述の回転撹拌手段204の温度をトナー母粒子のガラス転移温度以下に維持する必要がある。そのため、内径が粉体流路管の外径よりも大きい、後述の温度調整用ジャケット203を粉体流路202および回転撹拌手段204の外側の少なくとも一部に配設する。
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向他方側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される貫通孔221に挿通されるように設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
回転撹拌手段204の最外周の周速度は、30m/sec以上に設定するのが好ましく、50m/sec以上に設定するのがさらに好ましい。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸部材218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分204aである。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速度が30m/sec以上に設定されることによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができる。最外周における周速度が30m/sec未満であると、樹脂微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができないため、トナー母粒子を樹脂被覆層で均一に被覆できなくなる。
樹脂微粒子付着トナー母粒子は、回転盤219に対して垂直に衝突することが好ましい。これによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子が充分に撹拌されるので、トナー母粒子を樹脂微粒子でより均一に被覆でき、樹脂被覆層の均一なカプセルトナーの収率をより向上させることができる。
温度調整手段である温度調整用ジャケット203は、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これによって、粉体流路202内および回転撹拌手段204の外側の温度をトナー母粒子および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御することができる。また膜化工程s32において、トナー母粒子、樹脂微粒子にかかる温度のばらつきを少なくし、樹脂微粒子付着トナー母粒子の安定な流動状態を保つことが可能となる。
温度調整用ジャケット203は、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。樹脂微粒子付着トナー母粒子は通常、粉体流路202内の内壁に何度も衝突するが、衝突の際衝突エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、トナー母粒子および樹脂微粒子に蓄積される。衝突回数の増加とともに、それらの粒子に蓄積される熱エネルギーが増加し、やがてトナー母粒子および樹脂微粒子は軟化して粉体流路202の内壁に付着する。温度調整用ジャケット203を粉体流路202の外側全体に設けることにより、トナー母粒子および樹脂微粒子の粉体流路202内壁への付着力が低下し、装置内温度の急上昇による粉体流路202内壁に対するトナー母粒子の付着を確実に防止でき、トナー母粒子および樹脂微粒子によって粉体流路202内が狭くなることを回避できる。したがって、トナー母粒子が樹脂微粒子で均一に被覆され、耐保存性、耐ブロッキング性に優れるカプセルトナーを高い収率で製造できる。
粉体流路202の粉体流過部209には、図4に示すように、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続されている。粉体投入部206は、樹脂微粒子付着トナー母粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給される樹脂微粒子付着トナー母粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給される樹脂微粒子付着トナー母粒子は、回転撹拌手段204による撹拌によって、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213によって供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、樹脂微粒子付着トナー母粒子は粉体流路202に供給されない。
なお、トナーの製造装置201によって樹脂微粒子付着工程s31が実施される場合には、トナー母粒子および樹脂微粒子が粉体投入部206を介して粉体流路202内に供給され、この粉体流路202内でトナー母粒子および樹脂微粒子が撹拌混合されて流動されることによって、トナー母粒子表面に樹脂微粒子が付着した樹脂微粒子付着トナー母粒子が得られる。
粉体回収部207は、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217によって回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するトナー粒子(カプセルトナー)は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また電磁弁217によって回収管216内の流路が閉鎖されている状態においては、粉体流路202を流過するトナー粒子(カプセルトナー)は回収されない。
膜化工程s32では、トナー母粒子に付着した樹脂微粒子が軟化し膜化するまで、所定の温度で回転撹拌手段204の撹拌を続けて樹脂微粒子付着トナー母粒子を流動させ、トナー母粒子表面に樹脂被覆層が形成されたトナー粒子により構成されるカプセルトナーを得る。その後、回転撹拌手段204の回転を停止し、粉体回収部207からカプセルトナーを装置外に排出して回収する。
このようなトナーの製造装置201としては、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、温度調整用ジャケット203は粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に設けられてもよく、粉体流過部209または撹拌部208の外側の一部に設けられてもよい。粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に温度調整用ジャケット203を設けた場合、トナー母粒子の粉体流路202内壁への付着をより確実に防止することができる。
また、トナーの製造装置201は、市販の撹拌装置を使用して構成することもできる。粉体流路202および回転撹拌手段204を備える市販の撹拌装置としては、たとえば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。このような撹拌装置内に温度調整用ジャケット203を取付けることによって、この撹拌装置を本発明のカプセルトナーの製造に用いるトナーの製造装置201として用いることができる。
2、カプセルトナー
本発明のカプセルトナーは、上記のカプセルトナーの製造方法により製造され、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する樹脂からなる樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成される。
本発明のカプセルトナーにおいて特徴的な構成は、そのカプセルトナーを構成するトナー粒子の、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が40〜55℃であり、樹脂被覆層を構成する樹脂の、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が55〜75℃であることである。なお、高架式フローテスタによる変形開始温度の測定方法の詳細については、後述する。
カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度が40〜55℃であり、樹脂被覆層を構成する樹脂の変形開始温度が55〜75℃であることによって、紙などの記録媒体にカプセルトナーによる画像を定着させる定着時には、カプセルトナーが低温(たとえば、40〜55℃)から変形して記録媒体に定着できるとともに、トナー粒子表面に外添剤が外添されたカプセルトナーとした場合であっても、その外添剤がトナー粒子に埋没することが抑制されて、転写性の安定維持が可能になり、高品質画像を継続して得ることができる。また、トナー母粒子には離型剤が含まれているので、定着時にはその離型剤が浸み出し、これによって耐ホットオフセット性を向上することができる。
また、カプセルトナーにおいて樹脂被覆層を構成する樹脂が、スチレンアクリル共重合樹脂であることが好ましい。このスチレンアクリル共重合樹脂は、トナー母粒子の表面全体にわたって被覆された樹脂被覆層を容易に形成することができるとともに、変形開始温度を55〜75℃の範囲に容易に調整することができる樹脂である。
また、本発明のカプセルトナーには、外添剤が外添されてもよい。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。またこれらは、シリコン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の使用量は、カプセルトナー100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
また、本発明のカプセルトナーは、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用できる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくカプセルトナー単体で使用する。2成分現像剤として使用する場合、カプセルトナーをキャリアとともに用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
樹脂被覆キャリアを構成する被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの体積平均粒径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。さらにキャリアの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cmの容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。体積抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、感光体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
2成分現像剤におけるカプセルトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、カプセルトナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)と混合する場合、カプセルトナーが全現像剤量の2〜30質量%、好ましくは2〜20質量%含まれるようにすればよい。また、カプセルトナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。まず、各種物性の測定方法について説明する。
<各種物性の測定方法>
[トナー粒子(カプセルトナー)および樹脂微粒子の流動特性]
トナー粒子(カプセルトナー)および樹脂微粒子の、変形開始温度(Tf1)、軟化温度(T)、流出開始温度(Tfb)、1/2流出温度(T1/2)、および測定終了温度(Tend)で示される流動特性は、高架式フローテスタ(CFT−500、株式会社島津製作所製)を用いてJIS K72101に記載された方法に準拠して測定することができる。具体的には、高架式フローテスタを用いて1cmの試料を昇温速度6℃/minで30℃から加熱して、プランジャにより20kgf/cm(9.8×10Pa)の荷重を与えて、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を押し出すようにして、図5に示すような、プランジャ降下量−温度曲線(フローカーブ)を描かせた。図5は、高架式フローテスタによる流動特性測定結果を表すフローカーブを示す図である。
図5に示すフローカーブを用いて、変形開始温度(Tf1)、軟化温度(T)、流出開始温度(Tfb)、1/2流出温度(T1/2)、および測定終了温度(Tend)の測定値を導き出すことができる。図5に示すフローカーブでは、試料が加熱されることによってプランジャの降下が開始される点(プランジャ降下量が0(ゼロ)から正の値に変化する点)Aの温度が、試料の変形が開始される変形開始温度Tf1となる。
変形開始温度Tf1を超えて試料に対する加熱を継続すると、温度が上昇するにつれてプランジャ降下量も大きくなっていくが、図5のフローカーブに示すように、プランジャ降下量の変化が一旦停止する点Bを迎える。この点Bの温度が、試料の軟化温度Tとなる。
さらに、軟化温度Tを超えて試料に対する加熱を継続すると、図5のフローカーブに示すように、プランジャの降下が再開される点Cを迎える。この点Cの温度が、ダイからの試料の流出が開始される流出開始温度Tfbとなる。
さらに、流出開始温度Tfbを超えて試料に対する加熱を継続すると、図5のフローカーブに示すように、温度が上昇するにつれてプランジャ降下量も大きくなっていき、ダイから試料の半分量が流出したときの点Dの温度が、試料の1/2流出温度T1/2となり、ダイから試料の全量が流出したとの点Eの温度が、測定終了温度Tendとなる。
[樹脂のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマー社製)を用い、JIS K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度10℃/minで加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
[離型剤(ワックス)の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度10℃/minで200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度をワックスの融点とした。
[トナー母粒子の体積平均粒径および変動係数]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径および体積粒度分布における標準偏差を求めた。変動係数(CV値、%)は、下記式に基づいて算出した。
CV値(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径)×100
[樹脂微粒子の体積平均粒径]
樹脂微粒子が分散された測定用試料(分散媒:水(屈折率1.33)、分散質:屈折率1.49)を、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)に注入し、測定を行った。そして、測定用試料の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
<トナー母粒子の作製>
[トナー母粒子T1の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度55℃、軟化温度130℃) 69.0%(6950質量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(500質量部)
・離型剤(商品名:フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋株式会社製、融点95℃) 6.0%(600質量部)
・結晶性ポリエステル(1,10−デカンジカルボン酸と1,6-オクタンジオールの縮合反応物 融点72℃) 20%(2000重量部)
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%であり、ガラス転移温度が40℃のトナー母粒子T1を得た。
[トナー母粒子T2の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度55℃、軟化温度130℃) 79.0%(7900質量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(500質量部)
・離型剤(商品名:フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋株式会社製:融点95℃) 6.0%(600質量部)
・結晶性ポリエステル(1,10−デカンジカルボン酸と1,6−オクタンジオールの縮合反応物 融点72℃) 10%(1000質量部)
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%であり、ガラス転移温度が48℃のトナー母粒子T2を得た。
[トナー母粒子T3の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度55℃、軟化温度130℃) 89.0%(8900質量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(500質量部)
・離型剤(商品名:フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋株式会社製:融点95℃) 6.0%(600質量部)
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%であり、ガラス転移温度が55℃のトナー母粒子T3を得た。
[トナー母粒子T4の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度57℃、軟化温度132℃) 89.0%(8900質量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(500質量部)
・離型剤(商品名:フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋株式会社製:融点95℃) 6.0%(600質量部)
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%であり、ガラス転移温度が57℃のトナー母粒子T4を得た。
[トナー母粒子T5の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度55℃、軟化温度130℃) 67.0%(6700質量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(500質量部)
・離型剤(商品名:フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋株式会社製:融点95℃) 6.0%(600質量部)
・結晶性ポリエステル(1,10−デカンジカルボン酸と1,6−オクタンジオールの縮合反応物 融点72℃) 22%(2200重量部)
上記に示すトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22%であり、ガラス転移温度が39℃のトナー母粒子T5を得た。
<樹脂微粒子の調製>
スチレンとメタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸ブチルのモノマー比を調整して重合することにより、スチレンアクリル共重合樹脂からなる、体積平均粒径が0.10μmの4種の樹脂微粒子原料を得た。これら4種の樹脂微粒子原料の10wt%懸濁液を調製してスプレードライ乾燥機にて乾燥処理を行ない、表1に示す流動特性を有する4種の樹脂微粒子J1〜J4を得た。
Figure 2014224872
<カプセルトナーの作製>
(実施例1)
図2〜図4に示すトナーの製造装置201に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−3型、株式会社奈良機械製作所製)に、トナー母粒子「T1」600部と、樹脂微粒子「J1」30部とを投入した。本実施例1では、被覆工程s3を構成する樹脂微粒子付着工程s31と膜化工程s32との両工程を、このハイブリダイゼーションシステムにより実施した。ハイブリダイゼーションシステムにおいて、温度調整用ジャケット203は、粉体流過部209および撹拌部208壁面の全面に設けた。粉体流路202には温度センサを取り付け、粉体流過部209および撹拌部208の温度が40℃となるよう調整した。なお、ハイブリダイゼーションシステムの回転撹拌手段204の最外周における周速度は、樹脂微粒子付着工程s31と膜化工程s32との両工程において100m/secとし、回転撹拌手段204による撹拌混合時間は、両工程の合計で15分間とした。このようにして、変形開始温度Tf1が40℃の実施例1のカプセルトナーを得た。
(実施例2)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
変形開始温度Tf1が48℃の実施例2のカプセルトナーを得た。
(実施例3)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T3」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
変形開始温度Tf1が55℃の実施例3のカプセルトナーを得た。
(実施例4)
樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が75℃の樹脂微粒子「J2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が40℃の実施例4のカプセルトナーを得た。
(実施例5)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T2」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が75℃の樹脂微粒子「J2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が50℃の実施例5のカプセルトナーを得た。
(実施例6)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T3」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が75℃の樹脂微粒子「J2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が55℃の実施例6のカプセルトナーを得た。
(比較例1)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T4」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が57℃の比較例1のカプセルトナーを得た。
(比較例2)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T4」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が75℃の樹脂微粒子「J2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が57℃の比較例2のカプセルトナーを得た。
(比較例3)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T5」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が39℃の比較例3のカプセルトナーを得た。
(比較例4)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T5」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が75℃の樹脂微粒子「J2」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が39℃の比較例4のカプセルトナーを得た。
(比較例5)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T2」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が54℃の樹脂微粒子「J3」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が50℃の比較例5のカプセルトナーを得た。
(比較例6)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T2」を用い、樹脂微粒子として変形開始温度Tf1が77℃の樹脂微粒子「J4」を用いたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が50℃の比較例6のカプセルトナーを得た。
(比較例7)
トナー母粒子としてトナー母粒子「T5」を用い、樹脂微粒子を用いないようにしたこと以外は実施例1と同様にして、変形開始温度Tf1が39℃の比較例7のトナーを得た。
<2成分現像剤の作製>
実施例1〜6、比較例1〜6の各カプセルトナー、および比較例7のトナー100部に、外添剤として、1次粒子の平均粒径が12nmの疎水性シリカ微粒子1.0部と、1次粒子の平均粒径が200nmの疎水化シリカ微粒子0.6部と、1次粒子の平均粒径が30nmの疎水化チタン酸化物0.5部とを加え、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)を用いて回転部材の周速度を35m/secとして3分間撹拌混合し、外添剤が外添された外添トナーを得た。そして、各外添トナーと、体積平均粒径45μmのシリコーンコートフェライトコアキャリアとを、トナー濃度が7%になるように混合し、各実施例および比較例に対応する2成分現像剤を作製した。
<画像形成特性の評価>
上記のようにして作製された、各実施例および比較例に対応する2成分現像剤を用いて、以下に示す画像形成特性を評価した。
[低温定着性]
市販の複写機(MX-3610FN、シャープ株式会社製)から定着装置を取除いて得た試験用複写機の現像装置に、実施例1〜6および比較例1〜7のトナーにそれぞれ対応する2成分現像剤を充填し、JIS P0138に規定されるA4判の記録用紙上に、トナー付着量が0.8mg/cmになるように調整して、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像部を未定着の状態で形成した。外部定着機を用い、記録用紙の通紙速度を220mm/秒として、形成された未定着トナー画像の定着を行い、評価用画像を形成した。外部定着機には、市販のフルカラー複写機から取出したオイルレス方式の定着装置を、加熱ローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。評価時の加熱ローラ表面温度は130℃から220℃まで5℃刻みで上昇させて画像を形成し、低温オフセットの起こらない下限温度を評価した。非オフセット域の値より低温定着性を以下のようにして評価した。
○(良好):定着下限温度が、160℃未満である。
△(やや不良):定着下限温度が、160℃以上、170℃未満である。
×(不良):定着下限温度が、170℃以上である。
[帯電安定性]
実施例1〜6および比較例1〜7のトナーにそれぞれ対応する2成分現像剤を上記複写機にセットして、印字率5%の連続画像プリントによるエージング試験を行い、初期と10000枚印字後とのトナーの帯電量差ΔQc(μC/g)を求めた。評価基準は以下の通りとした。
○(良好):帯電量差ΔQcが、5μC/g以下である。
×(不良):帯電量差ΔQcが、5μC/gを超える。
[転写効率]
上記帯電安定性の評価後、転写効率の評価を行った。転写効率は、転写前の感光体上のトナーの重量と紙面上に転写されたトナーの重量とを測定し、前者に対する後者の割合から下記式に従い算出した。
転写効率(%)=
(紙面上に転写されたトナーの重量/転写前の感光体上のトナーの重量)×100
評価基準は以下の通りとした。
○(良好):転写効率が、90%以上である。
×(不良):転写効率が、90%未満である。
[外添剤の埋没性]
トナー粒子表面における外添剤の埋没状態を評価するため、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、常温硬化性のエポキシ樹脂にトナーを包埋して得られた硬化物を約100μmに超薄切片化し、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:H8100、株式会社日立製作所社製)によって20000倍でトナーの断面を観察した。評価基準は以下の通りとした。
○(良好):トナー粒子に対する外添剤の埋没なし。
×(不良):トナー粒子に対する外添剤の埋没あり。
[総合評価]
上記低温定着性、帯電安定性、転写効率、外添剤の埋没性の各評価結果に基づき、総合評価を行った。総合評価の評価基準は以下の通りとした。
○(良好):上記の4つの各評価結果が、それぞれ「○」であり、「△」および「×」が含まれていない。
×(不良):上記の4つの各評価結果において、「△」または「×」が含まれている。
評価結果を表2に示す。
Figure 2014224872
表2に示す評価結果から明らかなように、比較例1,2のカプセルトナーは、カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度Tf1が40〜55℃の範囲に対して高温側に外れた「57℃」であるので、この比較例1,2のカプセルトナーに対応する2成分現像剤を用いた場合には、低温でトナーが変形し難くなり、その結果、低温定着性が劣る結果となった。
また、比較例3,4のカプセルトナーは、カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度Tf1が40〜55℃の範囲に対して低温側に外れた「39℃」であるので、この比較例3,4のカプセルトナーに対応する2成分現像剤を用いた場合には、低温定着性は良好であるものの、外添剤の埋没が進行して連続プリント後の帯電安定性は劣り、転写効率も低下する結果となった。
また、比較例5のカプセルトナーは、カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度Tf1が40〜55℃の範囲内の「50℃」であるので、低温定着性は良好であった。しかしながら、比較例5のカプセルトナーは、樹脂被覆層を構成する樹脂の変形開始温度Tf1(shell)が55〜75℃の範囲に対して低温側に外れた「54℃」であるので、この比較例5のカプセルトナーに対応する2成分現像剤を用いた場合には、外添剤の埋没が進行して連続プリント後の帯電安定性は劣り、転写効率も低下する結果となった。
また、比較例6のカプセルトナーは、カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度Tf1が40〜55℃の範囲内の「50℃」であるものの、樹脂被覆層を構成する樹脂の変形開始温度Tf1(shell)が55〜75℃の範囲に対して高温側に外れた「77℃」であるので、この比較例6のカプセルトナーに対応する2成分現像剤を用いた場合には、低温でトナーが変形し難くなり、その結果、低温定着性が劣る結果となった。
また、比較例7のトナーは、トナー自身の変形開始温度Tf1が40〜55℃の範囲に対して低温側に外れた「39℃」であるので、低温定着性は良好であるものの、外添剤の埋没が進行して連続プリント後の帯電安定性は劣り、転写効率も低下する結果となった。
これらの比較例に対して、カプセルトナーを構成するトナー粒子の変形開始温度Tf1が40〜55℃であり、樹脂被覆層を構成する樹脂の変形開始温度Tf1(shell)が55〜75℃である、実施例1〜6のカプセルトナーに対応する2成分現像剤を用いた場合には、低温定着性、帯電安定性、転写効率、および外添剤の埋没性で示される画像形成特性に優れていることが分かった。
201 トナーの製造装置
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部
220 撹拌羽根

Claims (3)

  1. 結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面を被覆する、樹脂微粒子を含む樹脂被覆層とを有するトナー粒子で構成されるカプセルトナーであって、
    カプセルトナーにおける前記トナー粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が40〜55℃であり、
    前記樹脂微粒子は、高架式フローテスタにより測定される変形開始温度が55〜75℃である、ことを特徴とするカプセルトナー。
  2. 前記樹脂微粒子は、スチレンアクリル共重合樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
  3. 請求項1または2に記載のカプセルトナーの製造方法であって、
    結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて、樹脂微粒子付着トナー母粒子を作製する樹脂微粒子付着工程と、
    前記樹脂微粒子付着トナー母粒子を撹拌混合して流動させることによって、トナー母粒子の表面に付着した樹脂微粒子の少なくとも一部を膜化させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程と、を含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
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