JP2008076778A - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コア粒子とシェル層との密着性が良好で、保存性に優れ、帯電性能が安定し、広い温度範囲で記録媒体への定着が可能であり、画像濃度の高い高画質画像を形成できるカプセルトナーを得る。
【解決手段】カルボキシル基を有する合成樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子であるコア粒子と、カルボジイミド化合物とビニルカルボン酸重合体を含む水溶液とを加熱下に混合または混合後、加熱乾燥し、ビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基と、カルボジイミド基化合物のカルボジイミド基とを反応させて化学結合させることによってシェル層を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーおよびその製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、高画質画像を簡易な操作でかつ短時間の間に形成でき、保守管理も容易であることから、たとえば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などとして広く普及している。電子写真方式の画像形成装置は、たとえば、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含む。感光体はその表面に感光層が形成されたローラ状部材である。帯電手段は感光体表面を所定電位に帯電させる。露光手段は、帯電状態にある感光体表面に、画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成する。現像手段は、トナーを貯留する現像槽と所定電位に帯電したトナーを静電潜像に供給する現像ローラとを含み、感光体表面の静電潜像をトナー像に現像する。転写手段は感光体表面のトナー像を記録媒体に転写する。定着手段はたとえば定着ローラと加圧ローラとを含み、定着ローラと加圧ローラとの圧接部である定着ニップ部に、未定着のトナー像を担持する記録媒体を通過させ、トナー像を記録媒体に熱定着させる。これによって、記録媒体上に画像が形成される。電子写真方式の画像形成に用いられるトナーは、結着樹脂(合成樹脂)、着色剤、ワックス(離型剤)などを含み、その特性が形成される画像の画像濃度および画質品位に大きな影響を及ぼす。
従来から、トナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスなどの溶融混練物を冷却固化し、得られる固化物を機械的に粉砕することによって製造される。この製造方法は粉砕法と呼ばれる。粉砕法によって製造されるトナーは不定形の形状を有し、粉砕時の破砕面が表面に表れることから、その表面に着色剤が露出することが多い。着色剤が表面に露出したトナーは帯電性能が変化するので、トナーの帯電性能にばらつきを生じる。その結果、画像むらなどの画像欠陥が発生し易くなり、高画質画像を形成できない。粉砕による小径化では、トナーの表面状態を制御することは非常に困難である。また、電子写真方式の画像形成装置において、消費電力を低減化するために、従来よりも低い温度で記録媒体に定着できるトナーが望まれている。このような要求に応えるために、ガラス転移温度が相対的に低い結着樹脂を用いてトナーを製造すると、トナーの保存性にも問題を生じる。特に現像槽内で定着の余熱下に保存されると、主に結着樹脂が軟化することによって、トナー同士の凝集(ブロッキング)、トナーの帯電性能の低下などが起こる。さらに、このようなトナーを用いると、定着可能温度域が狭まるので、定着時の温度管理などを精密に行う必要が生じ、定着時の制御が煩雑になる。さらに、ワックスのトナー表面へのブリードアウトが発生し易い。トナーとキャリアとを含む2成分現像剤の場合には、ワックスがキャリア表面に付着するフィルミングという現象が発生し、トナーの帯電が不充分になる。また、ワックスのブリードアウトによってトナー中のワックス量が減少するので、トナー像を記録媒体に定着する際に、記録媒体ではなく定着ローラにトナーが付着するオフセット現象が非常に発生し易くなり、トナー像の記録媒体への定着性が低下する。
一方、トナー表面に被覆層を形成するカプセルトナーは公知である。トナー表面に被覆層を形成すれば、トナー表面に露出する着色剤を隠蔽し、ワックスのブリードアウトを低減化できることは明らかである。このため、カプセルトナーについて、種々の研究がなされている。たとえば、トナー粉末と、トナー粉末よりも平均粒子径が小さい微粒子からなり、トナー粒子表面を被覆する被覆層とを含むカプセルトナーにおいて、該微粒子が平均粒径0.05〜5μmのほぼ球形の重合体微粒子であるカプセルトナーが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、このカプセルトナーは、トナー粉末と重合体微粒子とをヘンシェルミキサなどの一般的な混合機により機械的に混合して製造されるものであるため、被覆層が不均一になるという欠点がある。また、トナー粉末に対する重合体微粒子の付着力が弱く、トナーボトルから現像槽内に搬送される際、現像槽内で攪拌を受ける際などに重合体微粒子がトナー粉末表面から離脱するおそれがある。その結果、トナー粒子表面に露出する着色剤を充分に隠蔽できず、帯電性能のばらつきが生ずるのを避け得ない。また、トナー粒子表面そのものが露出することによって、ブリードアウトしてきたワックスが原因になる上記のような不都合も生じ易い。
また、コア粒子とコア粒子を被覆するシェル層とを含むカプセルトナーにおいて、現像槽内などでのシェル層の剥離を防止するために、コア粒子とシェル層との密着性を向上させたカプセルトナーが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2によれば、コア粒子は、熱可塑性樹脂のモノマー化合物と着色剤とを均一に分散させた溶媒中において、前記モノマーを重合させることによって製造される。シェル層は、コア粒子よりもガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂(以下「シェル用樹脂」とする)から形成される。シェル層は、コア粒子形成の重合反応が行われる溶媒中にて、コア粒子形成の重合反応が終了する前に、シェル用樹脂のモノマー化合物を重合させることによって形成される。したがって、トナー粒子用のモノマー化合物とシェル用樹脂のモノマー化合物とが部分的に結合し、それによってコア粒子とシェル層との密着性が向上する。特許文献2のカプセルトナーは、溶媒中にてコア粒子がシェル層によって被覆されるので、着色剤の表面への露出、ワックスの表面へのブリードアウトなどが少ないという利点を有する。しかしながら、特許文献2のカプセルトナーの製造方法では、シェル層を形成するための重合反応の開始時期を判断するのが難しい。そこで、コア粒子の重合反応の進行状況を逐次把握することが必要になり、その結果工程管理が煩雑になる。すなわち、この製造方法は、実験室的レベルでの実施は可能であるけれども、工業的規模で所定の特性を有するカプセルトナーを得るのは非常に困難である。したがって、特許文献2のカプセルトナーが優れた特性を有するけれども、その反面、安定供給が叶わないという欠点がある。
ところで、分子内にカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド樹脂との反応による架橋構造を有するポリエステルと、エステル系ワックス、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス、α−オレフィン無水マレイン酸、無水マレイン酸エステル共重合体、酸化ポリエチレンワックス、石油系ワックスおよび溶融開始温度60〜100℃の熱可塑性樹脂から選ばれる1種または2種以上の低融点化合物とを含有する電子写真用トナーが提案されている(たとえば、特許文献3)。しかしながら、特許文献3の電子写真用トナーはカプセルトナーではなく、特定の架橋構造を有するポリエステルは単に結着樹脂として用いられるに過ぎない。さらに、特許文献3のトナーを粉砕法によって製造されるので、着色剤のトナー表面への露出、ワックスのトナー表面へのブリードアウトなどを充分に防止できない。
特公平2−3172号公報 特開平11−174732号公報 特許第3393085号明細書
本発明の目的は、コア粒子とシェル層とを含むカプセルトナーにおいて、コア粒子とシェル層との密着性が良好で、保存性に優れ、帯電性能が安定し、広い温度範囲で記録媒体への定着が可能であり、画像濃度の高い高画質画像を形成できるカプセルトナーおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、
カルボキシル基を有する合成樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子であるコア粒子と、
カルボジイミド基を有する化合物ならびに分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体および該ビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体から選ばれる1種または2種以上を含み、かつ
ビニルカルボン酸の単独重合体および/または共重合体のカルボキシル基とカルボジイミド基を有する化合物のカルボジイミド基とが化学結合してなるシェル層とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
さらに本発明の静電荷像現像用トナーは、分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体が水溶性アクリル樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷像現像用トナーは、分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体が水溶性スチレン−アクリル樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷像現像用トナーは、カルボキシル基を有する合成樹脂が、カルボキシル基を有するポリエステルであることを特徴とする。
また本発明は、カルボキシル基を有する合成樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子と、カルボジイミド基を有する化合物と、分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体および該ビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体から選ばれる1種または2種以上とを加熱下に接触させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
さらに本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度に加熱することを特徴とする。
本発明によれば、カルボキシル基を有する合成樹脂(以下「カルボキシル基含有樹脂」という)、着色剤およびワックスを含むコア粒子と、分子内にカルボジイミド基を有する化合物(以下「カルボジイミド化合物」とする)と特定のビニルカルボン酸重合体とを含み、シェル層内でカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とが化学結合してなるシェル層とを持つ電子写真用カプセルトナーが提供される。ビニルカルボン酸重合体は、分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸(以下特に断わらない限り単に「ビニルカルボン酸」という)の単独重合体およびビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体である。
本発明のトナーにおいては、ビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とカルボジイミド化合物のカルボジイミド基との化学反応によってシェル層が形成され、コア粒子表面を均質なシェル層が被覆する状態になる。このシェル層は、コア粒子表面に露出する着色剤を確実に隠蔽し、ワックスなどのブリードアウトも防止する。また、カルボキシル基がカルボンジイミド基と化学結合するので、吸湿などによってトナーの帯電性能を変化させるカルボキシル基が減少する。したがって、本発明のカプセルトナーは、常に安定した帯電性能を有し、ワックスのブリードアウトに伴うフィルミング、オフセットなども起こり難い。特に、本発明のカプセルトナーは耐オフセット性に優れる。すなわち、本発明のカプセルトナーは、150〜200℃程度の広範な定着温度域において、優れた耐オフセット性を示し、定着ローラなどへの付着が非常に起こり難い。また、本発明のカプセルトナーでは、シェル層に含まれるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基の一部が、コア粒子に含まれるカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基とも化学結合する。したがって、本発明のカプセルトナーは、現像槽内などで長期に亘って加熱攪拌下に置かれても、シェル層がコア粒子から剥離することがないので、ブロッキングが防止され、保存性が非常に良好である。さらに本発明のカプセルトナーを用いれば、広範な定着温度域において、定着温度に関係なく、画像濃度の高い高画質画像を形成できる。
本発明によれば、シェル層に添加されるビニルカルボン酸の単独重合体として、水溶性アクリル樹脂を用いるのが好ましい。水溶性アクリル樹脂は、カルボジイミド化合物との反応性が良好である。水溶性アクリル樹脂を用いることによって、均質性および機械的強度が一層向上したシェル層を形成できる。
本発明によれば、シェル層に添加されるビニルカルボン酸の共重合体として、水溶性スチレン−アクリル樹脂を用いるのが好ましい。水溶性スチレン−アクリル樹脂は、カルボジイミド化合物との反応性が良好である。水溶性スチレン−アクリル樹脂を用いることによって、均質性および機械的強度が一層向上したシェル層を形成できる。
本発明によれば、樹脂粒子に含まれるカルボキシル基含有樹脂として、カルボキシル基を有するポリエステル(以下「カルボキシル基含有ポリエステル」という)を好適に使用できる。ポリエステルは発色性に優れ、カラートナー用結着樹脂として有用である。カルボキシル基を有することから、シェル層を形成する種々の材料と親和性がよく安定した層を形成できる。また、カルボキシル基含有ポリエステルのカルボキシル基をシェル層に含まれるカルボジイミド化合物のカルボジイミド基との反応によって減少させ、帯電性能の安定化をもたらすことが可能である。
本発明によれば、カルボキシル基含有樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子(コア粒子)と、カルボジイミド化合物と、特定のビニルカルボン酸重合体とを加熱下に接触させることによって、カルボジイミド化合物のカルボジイミド基とビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とが化学反応によって結合し、コア粒子の周囲に均質なシェル層を容易に形成できる。
本発明によれば、樹脂粒子(コア粒子)と、カルボジイミド化合物と、ビニルカルボン酸重合体とを接触させる温度を、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度に加熱することによって、カルボキシル基とカルボジイミド基との化学結合反応が円滑に進行し、樹脂粒子表面を均一に被覆するようにシェル層を形成できる。
本発明のカプセルトナーは、樹脂粒子であるコア粒子とシェル層とを含む。
[コア粒子]
コア粒子は、カルボキシル基含有樹脂と、着色剤と、ワックス(離型剤)とを含む。さらに電荷制御剤を含んでも良い。カルボキシル基含有樹脂としては、分子内にカルボキシル基を有する合成樹脂であれば特に制限なく使用できるけれども、ポリエステル、アクリル共重合体などが好ましい。これらの中でも、本発明のカプセルトナーに良好な低温定着性および発色性(二次色再現性)を付与できるポリエステルが特に好ましい。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。このような重縮合物はカルボキシル基を有するのが一般的である。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。なお、ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。
本発明において使用されるアクリル共重合体としても特に制限されないが、カルボキシル基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。該アクリル樹脂は、例えば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/またはカルボキシル基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、例えば、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などにより行われる。
さらに、これらのカルボキシル基含有樹脂の中でも、コア粒子の粒径を均一にすることなどを考慮すると、軟化点が150℃以下のカルボキシル基含有樹脂が好ましく、軟化点が60〜150℃のカルボキシル基含有樹脂が特に好ましい。さらにその中でも、重量平均分子量が5000〜500000のカルボキシル基含有樹脂が好ましい。カルボキシル基含有樹脂は1種を単独で使用できまたは異なる2種以上を併用できる。さらに、同じ種類の樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれか1つまたは全部が異なるものを複数種使用できる。本発明によれば、ポリエステルを用いることによって、本発明カプセルトナーの耐オフセット性および定着性の向上に寄与できるとともに、特にカラートナーとした場合の色再現性の向上にも寄与できる。
着色剤としては特に制限されず、たとえば、有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。黒色着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。黄色着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。橙色着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。赤色着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。紫色着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。青色着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。緑色着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGおよびC.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白および硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。コア粒子における着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくはコア粒子全量の0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。
離型剤としても特に制限されず、たとえば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)とその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。コア粒子における離型剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、コア粒子全量の0.2〜20重量%である。
電荷制御剤としても特に制限されず、正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。トナー粒子における電荷制御剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくはトナー粒子全量の0.5〜3重量%である。また電荷制御剤はコアに含有していてもシェル層に含有していても構わない。
コア粒子は、一般的なトナーの製造方法に従って製造できる。粉砕法によれば、たとえば、カルボキシル基含有樹脂、着色剤、ワックス、電荷制御剤などの原料を混合機で乾式混合し、得られる原料混合物を混練機で溶融混練し、得られる混練物を冷却して固化させ、機械的に粉砕することによって、樹脂粒子であるコア粒子が得られる。乾式混合に用いられる混合機としては一般的なものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山(株)製)、スーパーミキサー(商品名、(株)カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工(株)製)などのヘンシェルタイプの混合装置などが挙げられる。また、着色剤をコア粒子よりも高濃度で含むマスターバッチを製造し、このマスターバッチと、カルボキシル基含有樹脂、ワックス、電荷制御剤などとを乾式混合して原料混合物を調製してもよい。
原料混合物の溶融混練は、カルボキシル基含有樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械(株)製)、PCM−65/87(商品名、(株)池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーディックス(商品名、三井鉱山(株)製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。混練物の冷却固化物は、カッターミル、フェザーミルなどによって粗粉砕される。得られる粗粉砕物は、微粉砕される。微粉砕には、粒子衝突式ジェットミル、流動層型ジェット粉砕機などが用いられる。微粉砕後、所望の粒度分布を有するように分級することによって、コア粒子が得られる。コア粒子の粒径は特に制限されないけれども、シェル層の形成のし易さなどを考慮すると、好ましくは体積平均粒子径が3〜10μm程度、さらに好ましくは体積平均粒子径が5〜10μm程度である。
[シェル層]
シェル層はカルボジイミド化合物とビニルカルボン酸重合体とを含み、カルボジイミド化合物のカルボジイミド基と、ビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とが反応して化学結合することによって、樹脂粒子(コア粒子)との密着性および被覆率が高く、均質で機械的強度の高いシェル層を形成できる。さらに、カルボジイミド化合物のカルボジイミド基の一部は、樹脂粒子に含まれるカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基とも反応するので、樹脂粒子とシェル層との密着性はさらに高くなる。
カルボジイミド化合物とは、1分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する有機化合物である。カルボジイミド化合物には、脂肪族カルボジイミド化合物、芳香族カルボジイミド化合物などがある。これらの中でも、耐熱性および反応性の高い脂肪族カルボジイミド化合物が好ましい。カルボジイミド化合物の具体例としては、ジメチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミドなどのジアルキルカルボジイミド類、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのジシクロアルキルカルボジイミド類、ジフェニルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミドなどのジアリールカルボジイミド類、p−フェニレンカルボジイミド、m−フェニレンカルボジイミド、トリルカルボジイミド、ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド、メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド、トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,4−トルイレンカルボジイミド、2,6−トルイレンカルボジイミドなどのジアリーレンカルボジイミド類、o−トリジンカルボジイミド、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルエーテルカルボジイミド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルカルボジイミド、ナフチレン−1,5−カルボジイミド、m−キシリレンカルボジイミド、水添キシリレンカルボジイミド、トリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、これらのイソシアネート変性物(末端にイソシアネート基が結合)、これらの1種または2種以上を重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーなどが挙げられる。なお、ホモポリマーおよびコポリマーにおける重合度は特に制限されないけれども、好ましくは2〜100程度、さらに好ましくは2〜40程度である。カルボジイミド化合物は市販品を用いても良い。市販品としては、たとえば、V−01、V−02、V−02−L2、V−03、V−05、V−07、V−09、E−01、E−02(いずれも商品名、日清紡績(株)製)などが挙げられる。カルボジイミド化合物は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
カルボジイミド化合物は水溶液または水分散液の形態で使用するのが好ましい。水溶液または水分散液におけるカルボジイミド化合物の濃度は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できる。濃度を決定する際には、ビニルカルボン酸重合体の使用量、攪拌操作性(最も影響が大きいのは水溶液または水分散液の粘度)などを考慮して決定すればよい。カルボジイミド化合物を溶解または分散させる水は、その導電率を0.5μS/cm以下に調整したものを用いるのが好ましい。導電率の調整は、たとえば、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス(株)製)によって実施できる。このような導電率の水は、前記装置を用いれば、水道水からでも調製できる。水の導電率は導電率計(商品名:ラコムテスター EC−PHCON10、アズワン(株)製)を用い、20℃にて測定した。
ビニルカルボン酸は、分子内に1つ以上のビニル基と1つ以上のカルボキシル基とを有するカルボン酸であり、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類、マレイン酸などが挙げられる。ビニルカルボン酸重合体はビニルカルボン酸の1種または2種以上をモノマー成分として含有する重合体であり、具体的には、ビニルカルボン酸の単独重合体および共重合体から選ばれる1種または2種以上を使用する。ビニルカルボン酸の単独重合体およびビニルカルボン酸の共重合体は、ビニルカルボン酸に由来するカルボキシル基がカルボジイミド化合物のカルボジイミド基と反応することによって、シェル層に均一にかつ安定的に存在するものと考えられる。
ビニルカルボン酸の単独重合体の具体例としては、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのポリアクリル酸、これらの塩などが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。ビニルカルボン酸の共重合体とは、ビニルカルボン酸とそれに共重合可能なモノマー化合物との共重合体であり、たとえば、ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。ビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのα−アルキルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニルカルボン酸とビニル系モノマーとの共重合体の具体例としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体などのスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体などのスチレン−カルボン酸系共重合体、これらの塩などが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらのビニルカルボン酸重合体の中でも、水溶性樹脂が好ましく、ポリアクリル酸の塩、スチレン−アクリル酸系共重合体の塩などがさらに好ましく、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、スチレン−アクリル酸系共重合体のアンモニウム塩などが特に好ましい。
ビニルカルボン酸の単独重合体は、たとえば、ビニルカルボン酸を、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造できる。ビニルカルボン酸の共重合体は、たとえば、ビニルカルボン酸の1種または2種以上とビニル系モノマーの1種または2種以上とを、ラジカル開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などで重合させることによって製造できる。ビニルカルボン酸重合体としては市販品をも使用できる。市販品の具体例としては、たとえば、ジョンクリル61J(商品名、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩)、ジョンクリル52(商品名、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩)、ジョンクリル57(商品名、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩)、ジョンクリル60(商品名、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩)などが挙げられる。これらはいずれもジョンソンポリマー(株)製の水溶性ビニルカルボン酸共重合体である。これら以外にも、たとえば、水溶性ビニルカルボン酸単独重合体であるA−30SL(商品名、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、東亞合成(株)製)などが挙げられる。ビニルカルボン酸重合体の中でも、水溶性ビニルカルボン酸重合体を用いる場合は、水溶液の形態で用いるのが好ましい。水溶液中の水溶性ビニルカルボン酸重合体の濃度は特に制限されず、反応操作性、反応効率などを考慮して広い範囲から適宜選択すればよい。
シェル層は、たとえば、コア粒子とカルボジイミド化合物とビニルカルボン酸重合体とを加熱下に接触させることによって形成される。より具体的には、たとえば、コア粒子とカルボジイミド化合物の水溶液または水分散液とビニルカルボン酸重合体とを加熱下に接触させると、コア粒子の表面にカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とが反応して皮膜すなわちシェル層が形成される。なお、カルボキシル基(R−COOH、ここでRはカルボキシル基を除くカルボキシル基含有樹脂残基を示す)とカルボジイミド基(−N=C=N−)とが結合してN−アシルウレア結合が生成するものと考えられる。
Figure 2008076778
カルボジイミド化合物とビニルカルボン酸重合体の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは、カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基数を1とすると、ビニルカルボン酸重合体が有するカルボン酸数が1〜10になるように、ビニルカルボン酸重合体を使用すればよい。
加熱温度は、好ましくはコア粒子のガラス転移温度以下、さらに好ましくは20〜70℃である。コア粒子のガラス転移温度を超える温度で加熱すると、コア粒子の変形などが起こる可能性があるので好ましくない。また、20℃未満ではカルボキシル基とカルボジイミド基との反応が円滑に進行し難く、反応に長時間を要するかまたは反応が不充分になるおそれがある。ビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物との反応時間は特に制限はないけれども、この反応によって形成されるシェル層の厚さが0.5μmを超えないように反応を停止させればよい。反応は加熱を止めることなどによって停止できる。シェル層の厚さが0.5μmを超えると、低温定着性などが不充分になるおそれがある。なお、ビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物との反応系には、ビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物との反応を促進するために、塩酸、硝酸、硫酸などの一般的な無機酸を添加しても良い。添加量は特に制限はなく、コア粒子、ビニルカルボン酸重合体、カルボジイミド化合物などの凝集が起こらない添加量とすればよい。
ビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物との反応は、まず、加熱下にコア粒子とビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物の水溶液または水分散液とを混合し、得られる混合物の水分を一般的な固液分離手段で除去し、得られる固形物を加熱することによって行っても良い。
この反応によって、ビニルカルボン酸重合体のカルボキシル基とカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とが化学結合し、ビニルカルボン酸重合体とカルボジイミド化合物を含むシェル層とが強固に密着した本発明の電子写真用トナーを製造できる。反応終了後、反応混合物から固形物(本発明の電子写真用カプセルトナー)を一般的な固液分離手段によって取り出し、水との混合によって繰返し洗浄し、乾燥することによって、本発明の電子写真用カプセルトナーを粉体として得ることができる。固液分離手段には、濾過、遠心分離、デカンテーション、凍結乾燥などが挙げられる。洗浄水としては、上記と同様の導電率の低い水を用いるのが好ましい。このようにして得られる本発明の電子写真用トナーは、体積平均粒子径が5〜10μm程度である。
本発明のトナーは、必要に応じて、一般的な外添剤と混合して用いられる。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどの流動性改良剤が挙げられる。流動性改良剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。流動性改良剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは本発明のトナー100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
本発明のトナーは、そのまま1成分現像剤として使用でき、またはキャリアと混合した2成分現像剤としても使用できる。キャリアとしては、公知の磁性粒子を使用できる。磁性粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。キャリアの表面に樹脂層を設けてもよい。樹脂層に用いられる合成樹脂としては、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。キャリアの粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは30〜50μmである。キャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。抵抗率は、粒子を0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、該容器内に詰められた粒子上に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリア粒子に電荷が注入されて像担持体面にキャリア粒子が付着し易くなり、またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)に例をとれば、該現像剤中に、トナーが該現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔水の調製〕
以下の実施例および比較例において、カルボジイミド化合物水溶液調製用の水およびトナー粒子の洗浄用水には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この洗浄水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス(株)製)を用いて水道水から調製した。水の導電率は導電率計(商品名:ラコムテスター EC−PHCON10、アズワン(株)製)を用い、20℃にて測定した。
〔体積平均粒子径および変動係数〕
体積平均粒子径および変動係数(CV値)は次のようにして求められる値である。電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器により超音波周波数20kzで3分間分散処理して測定用試料を調製した。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer2、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径および体積粒度分布における標準偏差を求めた。変動係数(CV値、%)は、下記式に基づいて算出した。
CV値(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒子径)×100
〔重量平均分子量および個数平均分子量〕
重量平均分子量Mwおよび個数平均分子量Mnは、以下のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー(株)製)において、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、試料の乾燥品の0.25%テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。この方法は、カルボキシル基含有樹脂、水溶性樹脂などの重量平均分子量および個数平均分子量の測定に用いられる。
〔軟化点〕
軟化点は流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。流動特性評価装置(フローテスターCFT−100C)において、荷重10kgf/cm(9.8×10Pa)与えて試料1gがダイ(ノズル、口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化点とした。この方法は、カルボキシル基含有樹脂などの軟化点の測定に用いられる。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業(株)製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じて、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。この方法は、カルボキシル基含有樹脂、水溶性樹脂などのガラス転移温度の測定に用いられる。
〔酸価〕
酸価(mgKOH/g)は、試料1gをテトラヒドロフラン50mlに溶解して、市販のN/10水酸化カリウム−エタノール溶液(キシダ化学(株)製)を用いて滴定し、中和に要するN/10水酸化カリウム−エタノール溶液の量から算出した。滴定には、自動電位差滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業(株)製)を用い、電極には#100−C172(商品名:京都電子工業(株)製)を用いた。この方法は、たとえば、トナー、樹脂などの酸価の測定に用いられる。
〔融点〕
融点は、示差走査熱量計(DSC220)を用いて求めた。示差走査熱量計(DSC220)において、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を試料の融点として求めた。この方法は、たとえば、離型剤の融点の測定に用いられる。
(実施例1)
[樹脂粒子の製造]
ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン400部、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン380部およびテレフタル酸330部を原料モノマーとして用い、ジブチルチンオキサイド(触媒)3部を用い、合成したポリエステル(ガラス転移点(Tg)64℃、軟化点95℃)に、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3、着色剤)を加えて温度140℃に設定されたニーダーにて40分間溶融混練して、着色剤濃度40重量%のマスターバッチを調製した。ここで、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、プロピレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。またポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.0モルに対して、エチレンオキサイドが平均2.0モル付加した化合物のことである。
次いで、上記と同じポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)64℃、軟化点95℃)77.5部、上記で得られたマスターバッチ12.5部、カルナバワックス(離型剤、融点82℃)8部および帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業(株)製)2部をヘンシェルミキサにて3分間混合し、樹脂混合物を得た。この樹脂混合物を二軸押出機(商品名:PCM−30、(株)池貝製)を用いてシリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分300回転(300rpm)、原料供給速度20kg/時間で溶融混練し、樹脂混練物を調製した。この樹脂混練物を冷却ベルトにて冷却後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルにて粗粉砕した。得られた粗砕物をI型ジェットミルにて粉砕し、さらにエルボージェット分級機にて微粉および粗粉を取除き、体積平均粒子径6.9μm、変動係数は22の樹脂粒子を製造した。樹脂粒子の酸価は22であった。
[カルボジイミド化合物水溶液調製工程]
カルボジイミド化合物の水溶液(商品名:カルボジライト V−02−L2、NCN当量385、固形分濃度40%)100部(固形分量)、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水溶液(水溶性樹脂、重量分子量12000、酸価190、ガラス転移温度70℃)100部(固形分量)および水を混合し、固形分濃度10%のカルボジイミド化合物水溶液1000部を調製した。
[カプセル化工程]
ロータステータ式撹拌装置(商品名:ポリトロンロータステータ式ホモジナイザーPT−MR3100、キネマチカ(KINEMATICA)社製)に、樹脂粒子100部とカルボジイミド化合物水溶液1000部とを投入し、混合物の温度を60℃で保持しつつ12時間撹拌(1000rpm)混合した。得られた混合物を遠心分離機(2000rpm×5分)にかけて脱水し、加温乾燥してカルボジイミド化合物および水溶性樹脂を樹脂粒子表面に固着させた。
[洗浄工程]
カルボジイミド化合物および水溶性樹脂が表面に固着した樹脂粒子を、導電率0.5μS/cmの水(温度20℃)で洗浄し、遠心分離機(2000rpm×5分)にかけて脱水する洗浄操作を、遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行った。
[分離工程]
洗浄後の混合物から上記と同様の遠心分離によって固形分を分取した。
[乾燥工程]
上記で得られた固形分を凍結乾燥させ、体積平均粒子径7.0μmかつ酸価23であるカプセルトナー粒子を製造した。
[外添処理工程]
上記で得られたカプセルトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して本発明の電子写真用トナーを製造した。
(実施例2)
カルボジイミド化合物水溶液調製工程において、水溶性樹脂としてスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩に代えてスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(重量平均分子量4900、酸価215、ガラス転移温度67℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒子径7.0μmかつ酸価23であるカプセルトナー粒子を製造した。このカプセルトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して本発明の電子写真用トナーを製造した。
(比較例1)
カルボジイミド化合物水溶液調製工程において、カルボジイミド樹脂(カルボジライトV−02−L2)を用いない以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒子径7.0μmかつ酸価29であるカプセルトナー粒子を製造した。このカプセルトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して電子写真用トナーを製造した。
(比較例2)
カルボジイミド化合物水溶液調製工程において、カルボジイミド樹脂(カルボジライトV−02−L2)を用いない以外は、実施例2と同様にして、体積平均粒子径7.0μmかつ酸価30であるカプセルトナー粒子を製造した。このカプセルトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して電子写真用トナーを製造した。
(比較例3)
コーティング工程を実施しない以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒子径6.9μmかつ酸価22のトナー粒子を製造した。このカプセルトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して電子写真用トナーを製造した。
(試験例1)
実施例1〜2および比較例1〜3で得られた各トナーに、体積平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアを混合し、トナー濃度4%の2成分現像剤を作製した。得られた2成分現像剤を用いて以下のようにして評価用画像を形成し、以下の評価を実施した。
〔評価用画像の形成〕
得られた2成分現像剤を、市販のプリンタ(商品名:LIBRE AR−S505、シャープ(株)製)から定着装置を取除いて得た試験用プリンタの現像装置に投入し、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA4判の記録用紙上に、トナー付着量が0.6mg/cmになるように調整し、縦20mm、横50mmの長方形状べた画像を未定
着の状態で形成した。外部定着機を用い、記録用紙の通紙速度120mm/秒で未定着ト
ナー画像(べた画像)の定着を行い、評価用画像を形成した。外部定着機には、フルカラー複写機(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ(株)製)から取り出したオイルレス方式の定着装置を、加熱ローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。ここでオイルレス方式の定着装置とは、加熱ローラにシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することなく定着を行う定着装置のことである。
〔保存性評価〕
トナー100gをポリ容器に密閉して50℃で48時間放置した後、トナーを取り出して♯100メッシュのふるいに掛け、トナー全重量に対する、ふるい上に残存するトナーの重量の百分率を求め、下記の基準で評価した。数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、保存性が良好であることを示す。
○:10%未満
×:10%以上
〔耐高温オフセット性評価〕
記録用紙に評価用画像を形成した場合に、白地となるべき白地部に加熱ローラからトナーが再転写されるか否かを目視によって観察することによって、高温オフセット現象の発生の有無を判断した。この目視観察を、加熱ローラの表面温度を130℃〜220℃まで5℃ずつ順次上昇させて繰り返し行い、高温オフセット現象が発生しない加熱ローラの表面温度の最高温度(以下「最高定着温度」という)を求めた。最高定着温度が190℃以上である場合を良好(○)、最高定着温度が190℃未満である場合を不良(×)と評価した。
〔非オフセット域評価〕
耐高温オフセット性の評価と同様にして加熱ローラの表面温度を130℃〜220℃まで5℃ずつ順次上昇させて評価用画像を形成し、記録用紙に評価用画像のトナー像が定着されない低温オフセット現象と、記録用紙の白地となるべき白地部に加熱ローラからトナー像が再転写される高温オフセット現象とがいずれも発生しない非オフセット域を調べ、耐オフセット性について評価した。非オフセット域は、低温オフセット現象が発生しない加熱ローラの最低温度である最低定着温度(℃)と、高温オフセット現象が発生しない加熱ローラの表面温度の最高温度である最高定着温度(℃)との差から求められる。非オフセット域は、非オフセット域が35℃以上である場合を良好(○)、非オフセット域が35℃未満である場合を不良(×)と評価した。
〔画像濃度〕
加熱ローラの表面温度が170℃のときに形成される評価用画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、べた画像部の光学反射濃度を測定し、これを画像濃度とした。画像濃度が1.40以上である場合を良好(○)、画像濃度が1.40未満である場合を不良(×)と評価した。
〔総合評価〕
以上の耐高温オフセット性評価、非オフセット域評価および画像濃度評価の結果を合わせて、総合評価を行った。総合評価では、不良(×)と評価された項目が1つもない場合を良好(○)、不良(×)と評価された項目が1つ以上ある場合を不良(×)と評価した。結果を表1に示す。表1では、トナー粒子の体積平均粒子径を「D50」と表記する。
Figure 2008076778
表1から、保存性については、実施例1および2のトナーは比較例1および2のトナーよりも優れることが明らかである。比較例1および2のトナーは、実施例1〜2のトナーに比べて表層の水溶性高分子化合物の影響でトナー酸価が高く、保存性が悪くなった。また、実施例1および2のトナーは、比較例3の未処理のトナーと比較して保存安定性が明らかに向上した。また、実施例1および2のトナーは、最高定着温度が190℃以上であり、耐高温オフセット性に優れるとともに、35℃以上の広い非オフセット域を有していた。これに対し、比較例1〜3のトナーは、耐高温オフセット性および非オフセット域の広さの点で実施例1〜2のトナーに劣るものであった。
以上のように、樹脂粒子表面にビニルカルボン酸重合体のカルボン酸基とカルボジイミド基の反応物を含むシェル層を有する本発明のトナーを用いて、保存安定性および耐高温オフセット性を向上したトナーを得ることができた。

Claims (6)

  1. カルボキシル基を有する合成樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子であるコア粒子と、
    カルボジイミド基を有する化合物ならびに分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体および該ビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体から選ばれる1種または2種以上を含み、かつ
    ビニルカルボン酸の単独重合体および/または共重合体のカルボキシル基とカルボジイミド基を有する化合物のカルボジイミド基とが化学結合してなるシェル層とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体が水溶性アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体が水溶性スチレン−アクリル樹脂であることを特徴とする請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. カルボキシル基を有する合成樹脂が、カルボキシル基を有するポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. カルボキシル基を有する合成樹脂、着色剤およびワックスを含む樹脂粒子と、カルボジイミド基を有する化合物と、分子内にビニル基とカルボキシル基とを有するビニルカルボン酸の単独重合体および該ビニルカルボン酸とそれに共重合可能な化合物との共重合体から選ばれる1種または2種以上とを加熱下に接触させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度に加熱することを特徴とする請求項5記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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