JP2012108393A - トナーの製造方法およびトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 転写効率、帯電性およびクリーニング性が良好なトナーを得ることができるトナーの製造方法およびトナーを提供する。
【解決手段】 トナーの製造方法は、付着工程と、固定化工程とを含む。付着工程では、トナー母粒子と、針状無機微粒子とを撹拌下で混合し、トナー母粒子の表面に針状無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る。固定化工程では、トナー母粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧することによって、針状無機微粒子の一部分を前記トナー母粒子の表面に埋没させて固定化させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トナーの製造方法およびトナーに関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、たとえば帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電および定着の各工程を経ることにより画像が形成される。帯電工程で、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光工程で、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光が照射され、感光体表面に静電潜像が形成される。次に現像工程で、感光体表面の静電潜像が現像装置から供給された現像剤によって現像され、感光体表面にトナーからなるトナー像が形成される。感光体表面に形成されたトナー像は、転写工程で転写装置によって記録媒体に転写され、その後、定着工程で、記録媒体に定着される。また、画像形成動作後に感光体表面上に残留した転写残留トナーは、クリーニング工程で、クリーニング装置により除去されて所定の回収部に回収され、除電工程で、クリーニング後の感光体表面における残留電荷が、次の画像形成に備えるために、除電装置により除電される。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
このような画像形成装置に使用される現像剤としては、トナーのみからなる1成分現像剤と、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤とがある。近年、ドット再現性を高めて高画質化を実現するために、トナーとしては粒径の小さいトナーが使用される。しかしながら、粒径の小さいトナーは、感光体への付着力が高くなるので、粒径の小さいトナーを画像形成に用いると、転写工程において、感光体から記録媒体へのトナー像の転写効率が低下する問題がある。
このような問題に対して、特許文献1には、通常使用される外添剤より平均一次粒子径が大きいシリカ微粒子(平均一次粒子径:25〜120nm)と、トナー母粒子とを混合撹拌し、トナー母粒子に前記シリカ微粒子を外添させたトナーが開示されている。また、特許文献2には、短軸径が30〜200nmであり、長軸径が200〜1000nmの針状酸化チタンと、トナー母粒子とを混合撹拌し、トナー母粒子に前記針状酸化チタンを外添させたトナーが開示されている。特許文献1,2に開示のトナーによれば、比較的平均一次粒子径の大きな大粒径外添剤が外添されているので、これらのトナーを画像の形成に用いると、転写工程において感光体から記録媒体へのトナー像の転写効率を向上させることができる。
特開平11−212364号公報 特開2003−98732号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示のトナーは、帯電性が低下する。この理由としては、大粒径外添剤はトナー母粒子表面から脱離しやすいので、トナー母粒子から脱離した大粒径外添剤がキャリアの表面などに付着し、キャリアのトナーに対する帯電付与能力が低下するためである。
この問題を解決する方法として、大粒径外添剤がトナー母粒子表面から脱離しないように、トナー母粒子と大粒径外添剤との混合撹拌時の撹拌力を大きくし、大粒径外添剤をトナー母粒子表面に強固に固定することが考えられる。
しかしながら、撹拌力を大きくしてトナー母粒子と大粒径外添剤とを混合すると、トナー母粒子が球形化されるので、得られるトナーのクリーニング性が低下するという問題が発生する。このクリーニング性低下の問題は、低温定着性を向上させるために、軟化温度の低い結着樹脂をトナー原料として用いてトナーを製造する際に特に顕著な問題である。
本発明の目的は、転写効率、帯電性およびクリーニング性が良好なトナーを得ることができるトナーの製造方法およびトナーを提供することである。
本発明は、針状無機微粒子を含む無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る付着工程と、
前記トナー母粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で前記無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧することによって、前記針状無機微粒子の一部分を前記トナー母粒子の表面に埋没させて固定化させる固定化工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、前記付着工程では、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記針状無機微粒子および前記球形無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得ることを特徴とする。
また本発明は、前記付着工程の前工程として、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子とを混合して、前記針状無機微粒子の表面に前記球形無機微粒子を付着させた混合粒子を得る粒子混合工程を含み、
前記付着工程では、前記トナー母粒子と、前記混合粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記混合粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得ることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーの製造方法によって製造されることを特徴とするトナーである。
本発明によれば、トナーの製造方法は、付着工程と、固定化工程とを含む。付着工程では、針状無機微粒子を含む無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る。固定化工程では、トナー母粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧する。
固定化工程において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分をトナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
また本発明によれば、前記付着工程では、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記針状無機微粒子および前記球形無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る。
針状無機微粒子は撹拌下における流動性が比較的低く、球形無機微粒子は撹拌下における流動性が比較的高いので、付着工程において、トナー母粒子と針状無機微粒子と球形無機微粒子とを撹拌下で混合することによって、球形無機微粒子が針状無機微粒子の表面に付着して、針状無機微粒子の流動性が向上し、針状無機微粒子がトナー母粒子表面に偏って付着することを抑制することができる。そのため、トナー母粒子表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子が均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得ることができる。このように針状無機微粒子および球形無機微粒子が表面に均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を用いて固定化工程を行うことによって、針状無機微粒子および球形無機微粒子が均一に、かつ強固に固着したトナーを得ることができる。このようなトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子から一層脱離しにくいので、脱離した針状無機微粒子による感光体表面の摩耗を抑制することができるとともに、トナーの凝集を抑制し、定着画像の濃度ムラを抑制することができる。
また、固定化工程において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分および球形無機微粒子の一部分をトナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。なお、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、球形無機微粒子は、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有するので、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子から脱離しにくい。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
また本発明によれば、トナーの製造方法は、粒子混合工程と、付着工程と、固定化工程とを含む。粒子混合工程では、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子とを混合して、前記針状無機微粒子の表面に前記球形無機微粒子を付着させた混合粒子を得る。付着工程では、前記トナー母粒子と、前記混合粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記混合粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る。固定化工程では、トナー母粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧する。
付着工程において、トナー母粒子と、針状無機微粒子の表面に球形無機微粒子を付着させた混合粒子とを混合することによって、トナー母粒子の表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子をより均一に付着させることができ、トナー母粒子表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子がより均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得ることができる。このように針状無機微粒子および球形無機微粒子が表面により均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を用いて固定化工程を行うことによって、針状無機微粒子および球形無機微粒子がより均一に、かつ強固に固着したトナーを得ることができる。このようなトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子から一層脱離しにくいので、脱離した針状無機微粒子による感光体表面の摩耗を抑制することができるとともに、トナーの凝集を抑制し、定着画像の濃度ムラを抑制することができる。また、付着工程において、トナー母粒子と針状無機微粒子と球形無機微粒子とをそれぞれ混合する場合よりも、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に均一に付着するまでの時間が短くなるので、付着工程の時間を短縮することができる。
また、固定化工程において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分をおよび球形無機微粒子の一部分トナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。なお、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、球形無機微粒子は、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有するので、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子から脱離しにくい。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
また本発明によれば、トナーは、本発明のトナーの製造方法によって製造される。本発明のトナーの製造方法では、トナー母粒子表面に針状無機微粒子を強固に固着させることができ、またトナー母粒子が球形化することを抑制することができるので、本発明のトナーの製造方法で製造されたトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子から脱離しにくく、帯電性が良好であるとともに、クリーニング性が良好である。また、針状無機微粒子として平均一次粒子径の比較的大きい粒子を用いると、転写効率を良好にすることができる。
本発明の第1の実施形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。 固定化装置201の構成を示す正面図である。 図2に示す固定化装置201を切断面線A200−A200からみた概略断面図である。 粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。 本発明の第3の実施形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。
1、トナー
本発明の実施の一形態であるトナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子表面に固定化された無機微粒子とを含む。無機微粒子は、針状無機微粒子を含み、必要に応じて、球形無機微粒子も含む。
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含み、さらに必要に応じて、帯電制御剤および離型剤などのトナーの分野で公知の材料を含む。
(結着樹脂)
結着樹脂は特に限定されるものではなく、ポリエステル樹脂や、スチレンアクリル樹脂など、この分野で常用される結着樹脂を使用することができる。中でもポリエステル樹脂は、低温定着性に優れることから、近年多用されるようになっている。
ポリエステル樹脂は、通常、構成モノマーとして、2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から選ばれる1種以上とを用いて、縮重合によって得られるものが使用される。
2価のアルコール単量体としては、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
3価以上の多価アルコール単量体としては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本発明においては、これらの2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。
また、酸成分としては、2価のカルボン酸単量体として、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
結着樹脂のガラス転移温度は、60℃以上70℃以下が好ましく、結着樹脂の軟化温度は、100℃以上138℃以下が好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、この分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラックやマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。
(帯電制御剤)
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤の他に、正電荷制御用および負電荷制御用の帯電制御剤を含んでもよい。
正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の帯電制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
帯電制御剤の使用量は特に制限されないが、通常、結着樹脂100重量部に対して0.5重量%以上3重量%以下で使用される。
(離型剤)
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤の他に離型剤を含んでもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1.0〜8.0重量部である。
トナー母粒子の体積平均粒子径は、3μm以上10μm以下が好ましく、5μm以上8μm以下がより好ましい。トナー母粒子の体積平均粒子径が3μm以上10μm以下であると、長期間にわたって高精細な画像を安定して形成できる。トナー母粒子の体積平均粒子径が3μm未満であると、トナー母粒子の粒径が小さすぎるので、高帯電化および低流動化するおそれがある。トナーが高帯電化、低流動化すると、感光体にトナーを安定して供給できなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー母粒子の体積平均粒径が10μmを超えると、トナー母粒子の粒径が大きくなりすぎるので、形成画像の層厚が大きくなり、粒状性の著しい画像となり、高精細な画像を得られない。
トナー母粒子の変動係数は、20%以上28%以下が好ましい。
(針状無機微粒子)
トナー母粒子には、針状無機微粒子の一部分が埋没して強固に固着され、固定化されている。
針状無機微粒子は、短軸径に対する長軸径の割合であるアスペクト比(長軸径/短軸径)が1.5以上の無機微粒子であることが好ましい。さらに、短軸径が0.03μm以上0.15μm以下であり、長軸径が0.1μm以上0.3μm以下であり、アスペクト比が2以上5以下の針状酸化チタン微粒子および針状シリカ微粒子がより好ましい。
このような針状無機微粒子としては、具体的に、商品名がST−590の酸化チタンチタン工業社製、および商品名がTG−C6020Nの針状大粒径シリカ(CABOT社製)などが挙げられる。
針状無機微粒子の長軸径とは、透過型電子顕微鏡で平面視した針状無機微粒子において、その粒子の輪郭に接する最長間隔の2つの平行線間の長さであり、針状無機微粒子の短軸径とは、透過型電子顕微鏡で平面視した針状無機微粒子において、その粒子の輪郭に接し、前記長軸径を決する平行線と直交する平行線間の長さである。
針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子である場合には、転写効率が良好なトナーとすることができる。
(球形無機微粒子)
トナー母粒子に固定化されている針状無機微粒子には、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子が付着していてもよい。また、球形無機微粒子は、トナー母粒子に固着されていてもよい。球形無機微粒子の平均一次粒子径は、12nm以上が好ましい。球形無機微粒子は、後述するトナーの製造方法において、針状無機微粒子をトナー母粒子に均一に付着させる効果を有する。
球形無機微粒子としては、球形酸化チタン微粒子や球形シリカ微粒子が好ましく、具体的には、日本アエロジル社製のアエロジル50(平均一次粒子径:約30nm)、アエロジル90(平均一次粒子径:約30nm)、アエロジル130(平均一次粒子径:約16nm)、アエロジル200(平均一次粒子径:約12nm)、RX−200(平均一次粒子径:約12nm)、アエロジル300(平均一次粒子径:約7nm)、アエロジル380(平均一次粒子径:約7nm)、西独デグサ社製のアルミナムオキサイドC(平均一次粒子径:約13nm)、チタニウムオキサイドP−25(平均一次粒子径:約21nm)、MOX170(平均一次粒子径:約15nm)などが挙げられる。
トナーの形状係数SF−2は、135以上145以下である。形状係数SF−2は、粒子の表面形状の凹凸の度合いを示すものであり、形状係数SF−2の値が100の場合には粒子表面に凹凸が存在しないことを示し、形状係数SF−2の値が大きいほど粒子表面の凹凸が顕著であることを示す。形状係数SF−2が上記範囲である本発明のトナーは、クリーニング性が良好である。上記のような形状係数SF−2を有するトナーを得るためには、後述するトナーの製造方法において、トナー母粒子が球形化されないことが重要である。
また、本発明のトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子に強固に固定化されている。そのため、現像工程において撹拌しても、針状無機微粒子がトナー母粒子表面から脱離しにくく、脱離した針状無機微粒子がキャリア表面に付着することを抑制できる。そのため、キャリアのトナーへの帯電付与能力の低下を抑制することができ、帯電性が良好である。なお、球形無機微粒子は、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有するので、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子から脱離しにくい。
本発明のトナーは、以下に記載する第1〜第3の実施形態であるトナーの製造方法によって製造される。第1の実施形態では、無機微粒子として針状無機微粒子のみを用いてトナーを製造し、第2および第3の実施形態では、無機微粒子として針状無機微粒子および球形無機微粒子を用いてトナーを製造した。
2、トナーの製造方法
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。本実施の形態のトナーの製造方法は、トナー母粒子作製工程S1と、付着工程S2と、固定化工程S3と、外添工程S4とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程
ステップS1のトナー母粒子作製工程では、結着樹脂および着色剤などの通常のトナーに使用される材料を含むトナー母粒子を作製する工程であり、その作製方法は特に限定されることなく、公知の方法によって行うことができる。トナー粒子の作製方法としては、たとえば、粉砕法や重合法などの方法がある。以下、粉砕法によるトナー粒子作製方法について説明する。
粉砕法によるトナー粒子の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー原料を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが使用できる。
混練機としては公知のものが使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
粉砕機としては公知のものが使用でき、たとえば、ジェット式粉砕機、衝撃式粉砕機などが使用できる。
分級機としては公知のものが使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用できる。
(2)付着工程
ステップS2の付着工程では、トナー母粒子と針状無機微粒子とを混合し、針状無機微粒子がトナー母粒子表面に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得る。
トナー母粒子と針状無機微粒子とを混合する装置としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
針状無機微粒子の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して1重量部以上5重量部以下が好ましい。
前記装置の撹拌手段の周速は、35m/sec以上40m/sec以下が好ましく、混合時間は、1分間以上4分間以下が好ましい。
(3)固定化工程
ステップS3の固定化工程では、トナー母粒子を可塑化させる効果のある噴霧液体を、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧する。これによって、トナー母粒子の表面に針状無機微粒子の一部分を埋没させて固着させ、固定化させることができる。このとき、針状無機微粒子は、撹拌による衝撃力によって、長軸径方向がトナー母粒子の表面に沿うようにトナー母粒子の表面に固定化される。
針状無機微粒子のトナー母粒子に対する埋没の度合いは、針状無機微粒子の短軸径の25%以上75%以下程度が好ましい。針状無機微粒子の埋没の度合いが小さすぎると、針状無機微粒子がトナー母粒子から脱離しやすくなる。針状無機微粒子の埋没の度合いが大きすぎると、転写効率が低下する。針状無機微粒子の埋没の度合いは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、直接確認できる。針状無機微粒子の埋没の度合いの調節方法としては、たとえば後述する固定化装置の撹拌羽根の回転速度を調節することにより行うことができる。
<固定化装置>
図2は、固定化装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示す固定化装置201を切断面線A200−A200からみた概略断面図である。固定化工程S3では、たとえば図2,3に示す固定化装置201を用い、前記装置内での循環と撹拌の相乗効果による衝撃力でトナー母粒子の表面に針状無機微粒子を固定化させる。
固定化装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。回転撹拌手段204と、粉体流路202とは循環手段を構成する。
(粉体流路)
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210、211が形成される。開口部210は、撹拌部208の軸線方向一方側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸方向片側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、無機微粒子付着トナー母粒子および気体が流過する。粉体流路202は、無機微粒子付着トナー母粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるよう設けられる。
粉体流路202内の温度は、トナー母粒子のガラス転移温度以下に設定され、30℃以上、トナー母粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。粉体流路202内の温度は、無機微粒子付着トナー母粒子の流動により、どの部分においてもほぼ均一となる。流路内の温度がトナー母粒子のガラス転移温度を超えると、トナー母粒子が軟化し過ぎ、針状無機微粒子がトナー母粒子に必要以上に埋没するおそれがある。また粉体流路202内の温度が30℃未満であると、噴霧液体の乾燥速度が遅くなり生産性が低下する。
したがって、粉体流路202および後述の回転撹拌手段204の温度をトナー母粒子のガラス転移温度以下に維持する必要がある。そのため、内径が粉体流路管の外径よりも大きい、後述の温度調整用ジャケットを粉体流路202および回転撹拌手段204の外側の少なくとも一部に配設する。
(回転撹拌手段)
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向他方側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される貫通孔221に挿通されるように設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
固定化工程S3において、回転撹拌手段204の最外周の周速度は、30m/sec以上70m/sec以下が好ましい。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸部材218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分204aである。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速が30m/sec以上に設定することによって、無機微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができる。最外周における周速度が30m/sec未満であると、無機微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができないので、無機微粒子付着トナー母粒子に均一に噴霧液体を噴霧させることができない。そのため、トナー母粒子表面を均一に可塑化できず、針状無機微粒子の埋没の度合いが不均一になるおそれがある。最外周における周速度が70m/secを超えると、トナー母粒子が球形化し、得られるトナーのクリーニング性が低下する。
無機微粒子付着トナー母粒子は、回転盤219に対して垂直に衝突することが好ましい。これによって、無機微粒子付着トナー母粒子が充分に撹拌されるので、トナー母粒子表面に針状無機微粒子を強固に固着させることができる。
(噴霧手段)
噴霧手段203は、粉体流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられ、粉体流過部209において、無機微粒子付着トナー母粒子の流動方向における開口部211に最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、噴霧液体を貯留する噴霧液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、噴霧液体とキャリアガスとを混合し得られる混合物を粉体流路202内に存在する無機微粒子付着トナー母粒子に向けて噴射し、噴霧液体の液滴を無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧する二流体ノズルとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。送液ポンプによって一定流量で噴霧手段203に送液され、噴霧手段203によって噴霧された噴霧液体は無機微粒子付着トナー母粒子表面に付着し、トナー母粒子表面が可塑化する。
(温度調整用ジャケット)
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これによって、本工程において、粉体流路202内および回転撹拌手段204の外側の温度をトナー母粒子が軟化変形しない温度以下に制御することができる。また本工程において、無機微粒子付着トナー母粒子および噴霧液体にかかる温度のばらつきを少なくし、無機微粒子付着トナー母粒子の安定な流動状態を保つことが可能となる。
温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。無機微粒子付着トナー母粒子は通常粉体流路202内の内壁に何度も衝突するが、衝突の際衝突エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、トナー母粒子に蓄積される。衝突回数の増加とともに、トナー母粒子に蓄積される熱エネルギーが増加し、やがて無機微粒子付着トナー母粒子は軟化して粉体流路202の内壁に付着する。温度調整用ジャケットを粉体流路202の外側全体に設けることにより、無機微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202内壁への付着力が低下し、装置内温度の急上昇による粉体流路202内壁に対する無機微粒子付着トナー母粒子の付着を確実に防止でき、無機微粒子付着トナー母粒子によって粉体流路202内が狭くなることを回避できる。したがって、本発明のトナーを高い収率で製造できる。
また、噴霧手段203より下流の粉体流過部209内部では、噴霧された噴霧液体が乾燥せず残存状態にあり、温度が適正でないと乾燥速度が遅くなり噴霧液体が滞留しやすい。これに無機微粒子付着トナー母粒子が接触すると、粉体流路202内壁に無機微粒子付着トナー母粒子が付着しやすくなり、トナーの凝集発生源となる。開口部210付近の内壁では、撹拌部208に流入する無機微粒子付着トナー母粒子と、回転撹拌手段204による撹拌で撹拌部208内を流動する無機微粒子付着トナー母粒子とが衝突し、衝突した無機微粒子付着トナー母粒子が開口部210付近に付着しやすい。したがってこのような無機微粒子付着トナー母粒子が付着しやすい部分に温度調整用ジャケットを設けることによって、粉体流路202内壁に対する無機微粒子付着トナー母粒子の付着をより確実に防止できる。
(粉体投入部および粉体回収部)
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。
粉体投入部206は、無機微粒子付着トナー母粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給される無機微粒子付着トナー母粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給される無機微粒子付着トナー母粒子は、回転撹拌手段204による撹拌によって、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213によって供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、無機微粒子付着トナー母粒子は粉体流路202に供給されない。
粉体回収部207は、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217によって回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過する無機微粒子付着トナー母粒子は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また電磁弁217によって回収管216内の流路が閉鎖されている状態においては、粉体流路202を流過する無機微粒子付着トナー母粒子は回収されない。
(温度調整手段)
粉体流路202内および回転撹拌手段204の外側に配設した温度調整用ジャケットに媒体を通じて、粉体流路202内および回転撹拌手段204内の温度に調整する。流動状態にある無機微粒子付着トナー母粒子に、トナー母粒子を溶解せずに可塑化する効果のある噴霧液体を、前述の噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧する。キャリアガスの流量は、0.3g/sec以上1.0g/sec以下が好ましい。
回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206から、無機微粒子付着トナー母粒子を粉体流路202に供給する。粉体流路202に供給された無機微粒子付着トナー母粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。
噴霧された噴霧液体は、粉体流路202内が一定のガス濃度になるようにガス化され、ガス化した噴霧液体は貫通孔221を通って粉体流路202外へ排出されることが好ましい。これによって、粉体流路202内のガス化した噴霧液体の濃度を一定に保つことができ、濃度が一定に保たれていない場合よりも噴霧液体の乾燥速度を上げることができる。よって未乾燥の噴霧液体が残存する無機微粒子付着トナー母粒子が他の無機微粒子付着トナー母粒子に付着することを防止し、無機微粒子付着トナー母粒子の凝集を抑制して、本発明のトナーの収率をより向上させることができる。
ガス排出部222において濃度センサにより測定されるガス化された噴霧液体の濃度は、3%以下程度であることが好ましい。濃度が3%以下程度であると、噴霧液体の乾燥速度を充分に大きくでき、未乾燥の噴霧液体が残存する無機微粒子付着トナー母粒子が他の無機微粒子付着トナー母粒子に付着することを防止し、無機微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止できる。またガス化された噴霧液体の濃度は、0.1%以上3.0%以下であることがさらに好ましい。噴霧速度がこのような範囲内であると、生産性を低下させることなく、無機微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止できる。
本実施形態では、粉体流路202において無機微粒子付着トナー母粒子の流動速度が安定してから、噴霧液体の噴霧を開始することが好ましい。これにより、無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を均一に噴霧でき、トナーの収率を向上させることができる。
(噴霧液体)
噴霧液体としては、結着樹脂としてポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂を含むトナー母粒子表面を溶解せず可塑化させる液体であれば特に限定されないが、エタノールであることが好ましい。噴霧液体としてエタノールを用いることによって、噴霧後に無機微粒子付着トナー母粒子から容易に除去される。また、エタノールはトナー母粒子の内部まで染み込みにくいので、噴霧液体としてエタノールを用いることによって、トナー母粒子全体を可塑化させつつ、トナー母粒子の球形化を抑制することができる。
噴霧液体には、噴霧液体の蒸発速度およびトナー母粒子への含浸力を調節するために、水やメチルアルコールなどを加えてもよい。
噴霧手段203の二流体ノズルの軸線方向である液体噴霧方向と、粉体流路202において無機微粒子付着トナー母粒子の流動方向である粉体流動方向との成す角度θは、0°以上45°以下であることが好ましい。θがこのような範囲内であると、噴霧液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳することが防止され、トナーの収率をさらに向上させることができる。角度θが45°を超えると、噴霧液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳し、液体が滞留しやすくなり、無機微粒子付着トナー母粒子の凝集が発生してトナーの収率が悪化する。
また噴霧手段203によって噴霧した噴霧液体の拡がり角度φは、20°以上90°以下であることが好ましい。拡がり角度φがこの範囲から外れると、無機微粒子付着トナー母粒子に対する噴霧液体の均一な噴霧が困難となるおそれがある。
固定化工程S3では、無機微粒子付着トナー母粒子に付着した針状無機微粒子の一部分がトナー母粒子に埋没し、固定化されるまで、所定の温度で回転撹拌手段204の撹拌を続け無機微粒子付着トナー母粒子を流動させる。
粉体流路202内の温度は、40℃以上50℃以下が好ましい。
無機微粒子付着トナー母粒子の撹拌時間は、1分間以上5分間以下が好ましい。
噴霧手段203からの液体噴霧と回転撹拌手段204の回転を停止し、粉体回収部207からトナーを装置外に排出し回収する。
このような固定化装置1としては、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、温度調整用ジャケットは粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に設けられてもよく、粉体流過部209または撹拌部208の外側の一部に設けられてもよい。粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に温度調整用ジャケットを設けた場合、無機微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202内壁への付着をより確実に防止することができる。
また、固定化装置201の代わりに、市販の撹拌装置と噴霧手段とを組合せて構成することもできる。粉体流路および回転撹拌手段を備える市販の撹拌装置としては、たとえば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。このような撹拌装置内に液体噴霧ユニットを取付けることによって、固定化装置として用いることができる。
(4)外添工程
ステップS4の外添工程では、針状無機微粒子が表面に固定化されたトナー母粒子(以下「無機微粒子固着トナー母粒子」とも記載する)と、外添剤とを混合機を用いて混合し、無機微粒子固着トナー母粒子の表面に外添剤を外添させる。無機微粒子固着トナー母粒子に外添剤を外添させることによって、トナーの流動性を向上させ、トナーの凝集を抑制することができる。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
外添剤としては公知の球形無機微粒子が使用でき、たとえば、平均1次粒径が7nm〜20nmのシリカ微粒子や、酸化チタン微粒子が使用できる。具体的には、日本アエロジル社製のアエロジル50(平均粒径:約30nm)、アエロジル90(平均粒径:約30nm)、アエロジル130(平均粒径:約16nm)、アエロジル200(平均粒径:約12nm)、RX−200(平均粒径:約12nm)、アエロジル300(平均粒径:約7nm)、アエロジル380(平均粒径:約7nm)、西独デグサ社製のアルミナムオキサイドC(平均粒径:約13nm)、チタニウムオキサイドP−25(平均粒径:約21nm)、MOX170(平均粒径:約15nm)などがある。
外添剤の外添量は、無機微粒子固着トナー母粒子100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
このようにして、本発明のトナーが製造される。本実施形態のトナーの製造方法では、固定化工程S3において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分をトナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のトナーの製造方法は、トナー母粒子作製工程S11と、付着工程S12と、固定化工程S13と、外添工程S14とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程
ステップS11のトナー母粒子作製工程は、前記トナー母粒子作製工程S1と同様である。
(2)付着工程
ステップS12の付着工程では、トナー母粒子と、針状無機微粒子と、球形無機微粒子とを混合し、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得る。
トナー母粒子と針状無機微粒子と球形無機微粒子とを混合する装置としては、前述の付着工程S2で用いた装置を用いることができる。
針状無機微粒子の添加量の好ましい範囲は、前述の付着工程S2と同様である。球形無機微粒子の添加量は、針状無機微粒子100重量部に対して10重量部以上30重量部以下が好ましい。
(3)固定化工程
ステップS13の固定化工程は、前述の付着工程S2で得られた無機微粒子付着トナー母粒子の代わりに、付着工程S12で得られた、針状無機微粒子および球形無機微粒子が付着した無機微粒子トナー母粒子を用いたこと以外は、前述の固定化工程S3と同様である。固定化工程S13では、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に固定化された無機微粒子固着トナー母粒子が得られる。
(4)外添工程
ステップS14の外添工程は、前述の固定化工程S3で得られた無機微粒子固着トナー母粒子の代わりに、固定化工程S13で得られた、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に固定化された無機微粒子固着トナー母粒子を用いたこと以外は、前述の外添工程S4と同じである。
上記の方法によっても、本発明のトナーを得ることができる。針状無機微粒子は撹拌下における流動性が比較的低く、球形無機微粒子は撹拌下における流動性が比較的高いので、付着工程S12において、トナー母粒子と針状無機微粒子と球形無機微粒子とを撹拌下で混合することによって、球形無機微粒子が針状無機微粒子の表面に付着して、針状無機微粒子の流動性が向上し、針状無機微粒子がトナー母粒子表面に偏って付着することを抑制することができる。そのため、トナー母粒子表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子が均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得ることができる。このように針状無機微粒子および球形無機微粒子が表面に均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を用いて固定化工程S13を行うことによって、針状無機微粒子および球形無機微粒子が均一に、かつ強固に固着したトナーを得ることができる。このようなトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子から一層脱離しにくいので、脱離した針状無機微粒子による感光体表面の摩耗を抑制することができるとともに、トナーの凝集を抑制し、定着画像の濃度ムラを抑制することができる。
また、固定化工程S13において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分および球形無機微粒子の一部分をトナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。なお、球形無機微粒子は、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有するので、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子から脱離しにくい。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態であるトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のトナーの製造方法は、トナー母粒子作製工程S21と、粒子混合工程S22と、付着工程S23と、固定化工程S24と、外添工程S25とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程
ステップS21のトナー母粒子作製工程は、前記トナー母粒子作製工程S1と同様である。
(2)粒子混合工程
ステップS22の粒子混合工程では、針状無機微粒子と、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子とを混合機を用いて均一に混合する。これによって、針状無機微粒子の表面に球形無機微粒子が付着した混合粒子が得られる。
混合機としては、前述の付着工程S2で用いることができる混合機を使用することができる。
針状無機微粒子と球形無機微粒子との混合割合は、針状スペーサ粒子100重量部に対して、球形無機微粒子10重量部以上30重量部以下が好ましい。
(3)付着工程
ステップS23の付着工程では、トナー母粒子と、粒子混合工程S22で得られた前記混合粒子とを混合し、表面に球形無機微粒子が付着した針状無機微粒子がトナー母粒子表面に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得る。
トナー母粒子と前記混合粒子とを混合する装置としては、前述の付着工程S2で用いた装置を用いることができる。
混合粒子の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して0.5重量部以上3.0重量部以下が好ましい。
(4)固定化固定
ステップS24の固定化工程は、前述の付着工程S2で得られた無機微粒子付着トナー母粒子の代わりに、付着工程S23で得られた、針状無機微粒子および球形無機微粒子が付着した無機微粒子付着トナー母粒子を用いたこと以外は、前述の固定化工程S3と同様である。固定化工程S24では、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に固定化された無機微粒子固着トナー母粒子が得られる。
(5)外添工程
ステップS25の外添工程は、前述の固定化工程S3で得られた無機微粒子固着トナー母粒子の代わりに、固定化工程S24で得られた、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に固定化された無機微粒子固着トナー母粒子を用いたこと以外は、前述の外添工程S4と同じである。
このような方法でも、本発明のトナーを製造することができる。付着工程S23において、トナー母粒子と、針状無機微粒子の表面に球形無機微粒子が付着した混合粒子とを混合することによって、トナー母粒子の表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子をより均一に付着させることができ、トナー母粒子表面に針状無機微粒子および球形無機微粒子がより均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を得ることができる。このように針状無機微粒子および球形無機微粒子が表面により均一に付着した無機微粒子付着トナー母粒子を用いて固定化工程S24を行うことによって、針状無機微粒子および球形無機微粒子がより均一に、かつ強固に固着したトナーを得ることができる。このようなトナーは、針状無機微粒子がトナー母粒子から一層脱離しにくいので、脱離した針状無機微粒子による感光体表面の摩耗を抑制することができるとともに、トナーの凝集を抑制し、定着画像の濃度ムラを抑制することができる。また、付着工程S23において、トナー母粒子と針状無機微粒子と球形無機微粒子とをそれぞれ混合する場合よりも、針状無機微粒子および球形無機微粒子がトナー母粒子表面に均一に付着するまでの時間が短くなるので、付着工程S23の時間を前述の付着工程S12よりも短縮することができる。
また、固定化工程S24において、撹拌下で無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を噴霧することによって、トナー母粒子の表面が可塑化されるので、撹拌力が比較的小さくても、針状無機微粒子の一部分および球形無機微粒子の一部分をトナー母粒子の表面に埋没させて強固に固着させ、固定化させることができる。また、針状無機微粒子および球形無機微粒子が固定化されたトナー母粒子において、針状無機微粒子は、従来の球形外添剤と比べて、厚み(短軸径に依存する)に対してトナー母粒子表面に沿う接触面積(長軸径に依存する)が大きいので、従来の球形外添剤よりもトナー母粒子表面に強固に固着される。したがって、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子表面から針状無機微粒子が脱離しにくく、帯電性が良好なトナーを得ることができる。なお、球形無機微粒子は、針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有するので、現像時に長時間撹拌されてもトナー母粒子から脱離しにくい。
さらに、撹拌力が比較的小さくて済むので、トナー母粒子が球形化されてしまうのを抑制でき、クリーニング性の良好なトナーを得ることができる。
これらの効果は、針状無機微粒子が一次粒子径の比較的大きい粒子であっても達成される。針状無機微粒子として一次粒子径の比較的大きい粒子を用いた場合には、帯電性およびクリーニング性が良好であることに加えて、転写効率が良好なトナーを得ることができる。
3、2成分現像剤
(2成分現像剤)
本発明のトナーは、1成分現像剤として用いることができる。また、キャリアとともに2成分現像剤として用いることができる。
キャリアとしては、この分野で常用されるものを用いることができる。たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアトナー母粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリア等を挙げることができる。
被覆物質としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末等を挙げることができる。また、樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂等を挙げることができる。いずれも、トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
2成分現像剤において、キャリアに対するトナーの被覆率は、40%以上80%以下が好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例および比較例におけるトナーの物性は、以下のようにして測定した。
〔結着樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
[結着樹脂の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで昇温させ、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求めた。
〔針状無機微粒子、球形無機微粒子および外添剤の平均一次粒子径〕
走査型電子顕微鏡(商品名:S−4300SE/N、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。走査型電子顕微鏡の視野を変えて、走査型電子顕微鏡にて50000倍に拡大した球形無機微粒子を100個撮影し、画像解析によって各球形無機微粒子の一次粒子の粒子径を測定した。そして、得られた測定値を算出平均して球形無機微粒子の平均一次粒子径を算出した。外添剤の平均一次粒子径も同様にして算出した。なお、針状無機微粒子の平均一次粒子径は、画像解析によって針状無機微粒子を球形と仮定した場合の一次粒子径を求め、その粒子径を用いて算出した。
〔針状無機微粒子の短軸径および長軸径〕
針状無機微粒子の長軸径は、透過型電子顕微鏡で針状無機微粒子を観察し、平面視した針状無機微粒子において、その粒子の輪郭に接する最長間隔の2つの平行線間の長さを測定することで求めた。針状無機微粒子の短軸径は、透過型電子顕微鏡で針状無機微粒子を観察し、平面視した針状無機微粒子において、その粒子の輪郭に接し、前記長軸径を決する平行線と直交する平行線間の長さを測定することで求めた。
〔針状無機微粒子のトナー母粒子に対する埋没の度合い〕
走査型電子顕微鏡(商品名:S−4300SE/N、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察することにより、直接確認した。走査型電子顕微鏡の視野を変えて、50000倍に拡大して、トナー母粒子に固定化された針状無機微粒子を100個撮影し、画像解析によってトナー母粒子表面から露出している針状無機微粒子の露出長を測定した。得られた測定値を算術平均して針状無機微粒子の平均露出長を算出し、下記式(1)から針状無機微粒子のトナー母粒子に対する埋没の度合いを求めた。
埋没の度合い(%)
=(針状無機微粒子の平均一次粒子径(nm)/平均露出長(nm))×100
…(1)
〔トナー母粒子、無機微粒子固着トナー母粒子およびトナーの体積平均粒子径および変動係数〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径および体積粒度分布における標準偏差を求めた。変動係数(CV値、%)は、下記式(2)に基づいて算出した。
CV値(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒子径)×100
…(2)
〔トナーの形状係数SF−2〕
スパッタ蒸着によって試料表面に金属膜(Au膜、膜厚0.5μm)を形成した。この金属膜被覆粒子から、走査型電子顕微鏡(商品名:S−570、株式会社日立製作所製)によって、加速電圧5kVで、かつ1000倍の倍率で、無作為に200〜300個を抽出して写真撮影を行った。この電子顕微鏡写真データを、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析した。画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析パラメータは、小図形除去面積:100画素、収縮分離:回数1;小図形:1;回数:10、雑音除去フィルタ:無、シェーディング:無、結果表示単位:μmとする。これよって得られたトナーの最大長MXLNG、周囲長PERIおよび図形面積AREAから、下記式(3)によって形状係数SF−2を得た。
形状係数SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) …(3)
(実施例1)
(トナー母粒子作製工程)
ポリエステル樹脂(商品名:タフトン、花王株式会社製、ガラス転移温度:60℃、軟化温度:138℃)85重量部、着色剤(銅フタロシアニン、C.I.ピグメントブルー15:3)5重量部、離型剤(カルナウバワックス、東亜化成株式会社製、融点:82℃)8重量部、帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)2重量部をヘンシェルミキサにて3分間混合分散した後、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて溶融混練分散した。二軸押出機の運転条件は、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数300rpm、原料供給速度20kg/時間とした。
得られたトナー混練物を冷却ベルトにて冷却後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルにて粗粉砕した。この粗粉砕物をジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)にて微粉砕し、さらにエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)にて分級し、トナー母粒子(体積平均粒子径:6.5μm、変動係数:28)を得た。
(付着工程)
トナー母粒子100重量部と、疎水性シリカ微粒子(針状無機微粒子、短軸径:110nm、長軸径:230nm、アスペクト比:2.1、商品名:TG−C6020N、CABOT社製、平均一次粒子径200nm)1重量部とを、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)に投入し、周速40m/secで3分間混合して、無機微粒子付着トナー母粒子を得た。
(固定化工程)
無機微粒子付着トナー母粒子を、図2の固定化装置201に投入し、エタノール(噴霧液体)を噴霧しながら衝撃力を付与することによって、トナー母粒子の表面に針状無機微粒子を固着させた。得られた無機微粒子固着トナー母粒子の体積平均粒子径は6.5μmであり、変動係数は28であった。また、針状無機微粒子のトナー母粒子に対する埋没量は、30%程度であった。なお、下記表1に、固定化工程での条件の詳細を示す。
(外添工程)
無機微粒子固着トナー母粒子100重量部と、小粒径疎水性シリカ微粒子(外添剤、商品名:RX−200、日本アエロジル株式会社製、平均一次粒径:12nm)1重量部と、疎水性チタン酸化物(外添剤、平均一次粒径:40nm)0.6重量部とを、ヘンシェルミキサにて3分間混合し、実施例1のトナー(体積平均粒子径6.5μm、変動係数28)を得た。得られた実施例1のトナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、トナーは球形化されておらず、粉砕面に起因する凹凸が確認でき、形状係数SF−2は138であった。
(実施例2)
針状無機微粒子として、商品名がTG−C6020Nの疎水性シリカ微粒子の代わりに、酸化チタン(商品名:ST−592H、短軸径:10nm、長軸径:50nm、アスペクト比:5、チタン工業社製、平均一次粒子径:50nm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のトナー(体積平均粒子径:6.5μm、変動係数:28)を得た。得られたトナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、トナーは球形化されておらず、粉砕面に起因する凹凸が確認でき、形状係数SF−2は139であった。
(実施例3)
(トナー母粒子作製工程)
実施例1のトナー母粒子作製工程と同様の方法で、トナー母粒子を得た。
(粒子混合工程)
疎水性シリカ微粒子(針状無機微粒子、短軸径:110nm、長軸径:230nm、アスペクト比:2.1、商品名:TG−C6020N、CABOT社製、平均一次粒子径:200nm)と、小粒径疎水性シリカ微粒子(球形無機微粒子、商品名:RX−200、日本アエロジル株式会社製、平均一次粒径:12nm)とを、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)に投入し、周速40m/secで2分間混合して、混合粒子を得た。
(付着工程)
トナー母粒子100重量部と、混合粒子1重量部とを、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)に投入し、周速40m/secで3分間混合して、無機微粒子付着トナー母粒子を得た。
以降の工程は実施例1と同様にして実施例3のトナー(体積平均粒子径:6.5μm、変動係数:28)を得た。得られたトナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、トナーは球形化されておらず、粉砕面に起因する凹凸が確認でき、形状係数SF−2は139であった。
(比較例1)
固定化工程において、噴霧液体を噴霧しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1のトナー(体積平均粒子径:6.5μm、変動係数:28)を得た。得られたトナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、トナーは球形化されておらず、粉砕面に起因する凹凸が確認でき、形状係数SF−2は132であった。
(比較例2)
固定化工程において、噴霧液体を噴霧せず、撹拌羽根の周速を60m/secから100m/secに変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例2のトナー(体積平均粒子径:6.5μm、変動係数:28)を得た。得られたトナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、トナーは球形化されており、粉砕面に起因する凹凸は確認できず、形状係数SF−2は128であった。
(2成分現像剤の作製)
上記実施例および比較例のトナーと、体積平均粒子径45μmのフェライトキャリアとをV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて40分間混合して、トナー濃度が7%の2成分現像剤をそれぞれ作製した。
<評価>
上記実施例および比較例のトナーについて、転写効率(針状無機微粒子の埋没度合いの評価)、帯電安定性(針状無機微粒子の脱離抑制評価)、クリーニング性(トナー母粒子の球形化抑制評価)を下記の方法によって評価した。
転写効率および帯電安定性を評価するために、上記2成分現像剤を用いて、市販複写機(商品名:MX−4000、シャープ株式会社製)で20,000(20K)枚の連続印字テストを行った。原稿としては、印字率5%のA4サイズのテキストチャートを用いた。
〔転写効率〕
転写効率は、20K枚目の印字の1次転写において感光体ドラム表面から中間転写ベルトに転写されたトナーの割合であり、転写前の感光体ドラムに存在するトナー量を100%として算出した。転写前の感光体ドラムに存在するトナーを、帯電量測定装置(商品名:210HS−2A、トレック・ジャパン株式会社製)を用いて吸引し、この吸引したトナーの量を測定することによって得た。また中間転写ベルトに転写されたトナー量も、同様にして得た。
転写効率の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。転写効率が93%以上である。
△:実使用上問題なし。転写効率が85%以上93%未満である。
×:不良。転写効率が85%未満である。
〔帯電安定性〕
帯電安定性は、印字初期のトナーの帯電量と、20K枚印字後のトナーの帯電量とから求められるトナーの帯電量減衰率を用いて評価した。トナーの帯電量の測定は、帯電量測定装置(210HS−2A:トレック・ジャパン株式会社製)を用いて次のようにして行った。現像装置から採集した前記フェライトキャリアとトナーとの混合物を、底部に795メッシュの導電性スクリーンを具備した金属製の容器に入れ、吸引機によってトナーのみを吸引圧250mmHgで吸引した。吸引前の混合物の重量と吸引後の混合物の重量との重量差と、容器に接続されたコンデンサー極板間の電位差とからトナーの帯電量を求めた。初期のトナーの帯電量をQini、20K枚印字後のトナーの帯電量をQとして、トナーの帯電量減衰率を下記式(4)から求めた。なお、トナーの帯電量減衰率が低いほど、帯電安定性が良好であることを示す。
トナー帯電量減衰率=100×(Q−Qini)/Qini …(4)
帯電安定性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。トナー帯電量減衰率が10%未満である。
△:実使用上問題なし。トナー帯電量減衰率が10%以上20%未満である。
×:不良。トナー帯電量減衰率が20%以上である。
〔クリーニング性〕
市販複写機(商品名:MX-4000、シャープ株式会社製)において、クリーニング手段のクリーニングブレードが感光体ドラムに当接する圧力であるクリーニングブレード圧を、初期線圧で25gf/cm(2.45×10−1N/cm)となるように調整した。この複写機に前記2成分現像剤を充填し、温度25℃、相対湿度50%の常温常湿環境中で印字率5%のテキストチャートを記録媒体10000(10K)枚に形成し、クリーニング性の確認を行った。
クリーニング性は、10K枚印字後の画像を目視で確認することによって、画像部と非画像部との境界部の鮮明度、感光体ドラムの回転方向へのトナー漏れによって形成される黒すじの有無を目視で確認した。
クリーニング性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。黒すじを全く確認できず、文字を明確に判別できる。
△:実使用上問題なし。文字を判別できるが、黒すじが薄く確認できる。
×:実使用不可。黒すじがはっきりと確認できる。
実施例1〜3および比較例1,2のトナーの作製条件および評価結果を表1に示す。
Figure 2012108393
表1の結果から、実施例1〜3のトナーは、結果が良好であることが分かる。
比較例1のトナーは、噴霧液体を噴霧しなかったので、針状無機微粒子をトナー母粒子表面に強固に固着することができず、帯電安定性が低下した。比較例2のトナーは、トナー母粒子が球形化されたので、クリーニング性が低下した。
201 固定化装置
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部

Claims (4)

  1. 針状無機微粒子を含む無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得る付着工程と、
    前記トナー母粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で前記無機微粒子付着トナー母粒子に噴霧することによって、前記針状無機微粒子の一部分を前記トナー母粒子の表面に埋没させて固定化させる固定化工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記付着工程では、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子と、トナー母粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記針状無機微粒子および前記球形無機微粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得ることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記付着工程の前工程として、前記針状無機微粒子と、前記針状無機微粒子の短軸径よりも小さい平均一次粒子径を有する球形無機微粒子とを混合して、前記針状無機微粒子の表面に前記球形無機微粒子を付着させた混合粒子を得る粒子混合工程を含み、
    前記付着工程では、前記トナー母粒子と、前記混合粒子とを撹拌下で混合し、前記トナー母粒子の表面に前記混合粒子を付着させて無機微粒子付着トナー母粒子を得ることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法によって製造されることを特徴とするトナー。
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