JP2013164522A - カプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法 - Google Patents

カプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 炭化水素系ワックスを含むことで低温定着を実現できるとともに、ブロッキングおよびキャリア汚染の発生を抑制することができるカプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】 カプセルトナー100は、トナー母粒子101と、樹脂被覆層102とを含む。トナー母粒子101は、結着樹脂、着色剤および炭化水素系の離型剤を含む。樹脂被覆層102は、内側樹脂層103と、外側樹脂層104とを含む。
内側樹脂層103は、トナー母粒子101の表面に設けられ、第1極性樹脂を含み、外側樹脂層104は、内側樹脂層103の表面に設けられ、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、カプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、たとえば帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電および定着の各工程を経ることにより画像が形成される。帯電工程で、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光工程で、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光が照射され、感光体表面に静電潜像が形成される。次に現像工程で、感光体表面の静電潜像が現像装置によって現像剤を用いて現像されて感光体表面にトナー像が形成され、転写工程で、感光体表面のトナー像が転写装置によって転写材上に転写される。その後、定着工程で、定着装置で加熱されることによって、トナー像が転写材上に定着される。また、画像形成動作後に感光体表面上に残留した転写残留トナーは、クリーニング工程で、クリーニング装置により除去されて所定の回収部に回収され、除電工程で、クリーニング後の感光体表面における残留電荷が、次の画像形成に備えるために、除電装置により除電される。
このような画像形成装置において省エネルギー化を達成するために、軟化点の低い結着樹脂を含むトナーを用い、低温定着を行う方法がある。低温定着を行うことで、定着装置に供給する電力を抑えることができる。しかしながら、軟化点の低い結着樹脂を含むトナーは、保存安定性が低下し、トナー凝集が発生する。
軟化点の低い結着樹脂を含むトナー母粒子の表面に対して、トナー母粒子よりもガラス転移点および軟化点が高く耐熱性の高い樹脂などで被覆する表面改質処理を行うことで、トナーの保存安定性を向上させてトナー凝集の発生を抑制する方法がある。
たとえば特許文献1には、表面改質処理の方法として、回転撹拌装置中において、回転撹拌手段を回転させて固体粒子を流動させ、流動状態にある固体粒子に、スプレーノズルから噴霧液体を噴霧して、その噴霧液体に含まれる被覆材料によって固体粒子表面を被覆することで樹脂被覆層を形成するカプセルトナーの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、トナー母粒子表面に樹脂粒子を付着させ、樹脂粒子を付着させたトナー母粒子と、該樹脂粒子を溶解する溶剤とを接触させることによって、トナー母粒子の表面に被覆層を形成するカプセルトナーの製造方法が開示されている。
特公平5−10971号公報 特開平4−211269号公報
より一層低温で定着可能なトナーとするために、トナー原料の1つである離型剤として、融点の低い無極性の炭化水素系ワックスを用いる方法がある。
しかしながら特許文献1および特許文献2に開示のカプセルトナーの製造方法において、炭化水素系ワックスを用いると、得られたカプセルトナーは、現像装置内で撹拌される時に受ける摩擦や圧力により、変形や発熱が起こりやすくなるので、炭化水素系ワックスがカプセルトナーの表面に染み出す。離型剤が染み出すと、カプセルトナー粒子同士、カプセルトナー粒子とキャリアとのブロッキングが発生したり、キャリア汚染が発生するという問題があり、このような問題が発生すると良好な帯電性を得ることができない。
本発明の目的は、炭化水素系ワックスを含むことで低温定着を実現できるとともに、ブロッキングおよびキャリア汚染の発生を抑制することができるカプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、結着樹脂、着色剤および無極性の炭化水素系離型剤を含むトナー母粒子と、
トナー母粒子の表面に設けられる第1樹脂被覆層であって、酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂被覆層と、
第1樹脂被覆層の表面に設けられる第2樹脂被覆層であって、酸価が30mgKOH/g以下であり、極性を有し、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂被覆層と、を含むことを特徴とするカプセルトナーである。
また本発明は、前記第1極性樹脂と前記第2極性樹脂とが、同一のモノマー成分を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記カプセルトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする。
また本発明は、酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂微粒子とトナー母粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子の表面に第1樹脂微粒子を付着させて第1樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る第1付着工程と、
酸価が30mgKOH/g以下であり、極性を有し、前記第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂微粒子と第1樹脂微粒子付着トナー母粒子とを撹拌混合し、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面に第2樹脂微粒子を付着させて第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る第2付着工程と、
トナー母粒子、第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で流動状態にある前記第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する噴霧工程と、
前記第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に含まれる第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子が軟化して膜化するまで撹拌を継続させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
本発明によれば、カプセルトナーは、トナー母粒子と、第1樹脂被覆層と、第2樹脂被覆層とを含む。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および無極性の炭化水素系離型剤を含む。炭化水素系離型剤を含むことによって、低温定着を可能にすることができる。
第1樹脂被覆層は、トナー母粒子の表面に設けられ、極性を有する第1極性樹脂を含む。トナー母粒子に含まれる炭化水素系の離型剤は無極性であり、第1極性樹脂は極性を有する樹脂であることから、炭化水素系の離型剤と第1極性樹脂とは、親和性が低い。そのため、第1極性樹脂を含む第1樹脂被覆層がトナー母粒子の表面に設けられることによって、炭化水素系の離型剤がカプセルトナー表面に染み出すことを抑制することができる。したがって、カプセルトナー粒子同士、カプセルトナー粒子とキャリアとのブロッキングの発生を抑制することができるとともに、離型剤がキャリアに付着するキャリア汚染の発生を抑制することができる。
第2樹脂被覆層は、第1樹脂被覆層の表面に設けられ、極性を有し、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む。
第2極性樹脂は、第1極性樹脂よりも酸価が小さく、第1極性樹脂よりも空気中の水分を吸収しにくい。第1樹脂被覆層の表面に第2樹脂被覆層が形成されることによって、酸価が高いために、すなわち水酸基を多く有するために空気中の水分を吸収しやすい第1極性樹脂が、カプセルトナーの表面に露出することを抑制することができる。そのため、本発明のカプセルトナーは、空気中の水分の吸収を抑制することができ、高湿環境下において良好な帯電特性を実現することが出来る。
また、第1極性樹脂の酸価は50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、第2極性樹脂の酸価は30mgKOH/g以下である。
第1極性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、離型剤の染み出しを充分に抑制できないので、現像時における耐ブロッキング性が低下し、凝集物が発生する。第1極性樹脂の酸価が70mgKOH/gを超えると、定着時に離型剤がカプセルトナーから染み出すことができず、定着性が悪化する。第2極性樹脂の酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿環境下において帯電性能が悪化し、白地かぶりなどの画像不良が発生する。
第1極性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、第2極性樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であることによって、ブロッキングの発生およびキャリア汚染の発生を安定して抑制することができるとともに、定着性の悪化および画像不良の発生を防止することができる。
また本発明によれば、第1極性樹脂と第2極性樹脂とが、同一のモノマー成分を含む。同一のモノマー成分を含むことによって、第1極性樹脂と第2極性樹脂との親和性が高くなるので、第1樹脂被覆層と第2樹脂被覆層との密着性が高くなり、第2樹脂被覆層がカプセルトナー表面から剥離することを抑制することができる。
また本発明によれば、2成分現像剤は、本発明のカプセルトナーと、キャリアとを含むので、ブロッキングおよびキャリア汚染の発生を抑制し、定着性および高湿環境下における帯電特性が良好である。したがって、本発明の2成分現像剤を用いることによって、高画質な画像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、カプセルトナーの製造方法は、第1付着工程と、第2付着工程と、噴霧工程と、膜化工程とを含む。
第1付着工程では、酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂微粒子とトナー母粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子の表面に第1樹脂微粒子を付着させて第1樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
第2付着工程では、酸価が30mgKOH/g以下であり、極性を有し、前記第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂微粒子と第1樹脂微粒子付着トナー母粒子とを撹拌混合し、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面に第2樹脂微粒子を付着させて第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
噴霧工程では、トナー母粒子、第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で流動状態にある前記第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する。
膜化工程では、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に含まれる第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子が軟化して膜化するまで撹拌を継続させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する。
これらの工程を経ることによって、無極性の炭化水素系の離型剤を含むトナー母粒子の表面に、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂被覆層が設けられ、第1樹脂被覆層の表面に、極性を有し、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂被覆層が設けられたカプセルトナーが得られる。このようにして得られたカプセルトナーは、ブロッキングおよびキャリア汚染の発生を抑制し、定着性および高湿環境下における帯電特性が良好であり、高画質な画像を安定して形成することができる。
本発明の第1の実施形態であるカプセルトナー100の構成を示す断面図である。 本実施形態のカプセルトナー100の製造方法を示す工程図である。 4流体ノズル2を備える4流体ノズル噴霧乾燥装置1の構成を模式的に示す図である。 4流体ノズル2のエッジ先端部25周辺の構成を示す断面図である。 カプセルトナーの製造に用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。 図5に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200で切断した断面図である。 粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
1、カプセルトナー
図1は、本発明の第1の実施形態であるカプセルトナー100の構成を示す断面図である。本実施形態のカプセルトナー100は、トナー母粒子101と、樹脂被覆層102とを含む。トナー母粒子101は、結着樹脂、着色剤および炭化水素系の離型剤を含む。炭化水素系の離型剤を含むことによって、低温定着を可能にすることができるので、定着非オフセット域が広くなる。樹脂被覆層102は、第1樹脂被覆層である内側樹脂層103と、第2樹脂被覆層である外側樹脂層104とを含む。
内側樹脂層103は、トナー母粒子101の表面に設けられ、第1極性樹脂を含み、外側樹脂層104は、内側樹脂層103の表面に設けられ、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む。トナー母粒子101に含まれる炭化水素系の離型剤は無極性であり、第1極性樹脂は極性の高い官能基を有する、すなわち極性を有する樹脂であることから、炭化水素系の離型剤と第1極性樹脂とは、親和性が低い。
そのため、第1極性樹脂を含む内側樹脂層103がトナー母粒子101表面に設けられることによって、炭化水素系の離型剤がカプセルトナー100表面に染み出すことを抑制することができる。したがって、本発明のカプセルトナー100は、カプセルトナー粒子同士のブロッキング、およびカプセルトナー粒子とキャリアとのブロッキングの発生を抑制することができるとともに、離型剤がキャリアに付着するキャリア汚染の発生を抑制することができる。
また、第2極性樹脂は、第1極性樹脂よりも酸価が小さく、第1極性樹脂よりも空気中の水分を吸収しにくい。内側樹脂層103の表面に外側樹脂層104が形成されることによって、酸価が高いために、すなわち水酸基を多く有するために水分を吸収しやすい第1極性樹脂が、カプセルトナー100の表面に露出することを抑制することができる。そのため、本発明のカプセルトナー100は、空気中の水分の吸収を抑制することができ、高湿環境下において良好な帯電特性を実現することが出来る。
以下、本発明のカプセルトナー100の構成について詳細に述べる。
(トナー母粒子)
トナー母粒子101は、結着樹脂と着色剤と離型剤とを含む。
結着樹脂としては、特に限定されることなく、公知の結着樹脂を使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に後述する離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
前記結着樹脂の中でも、ポリエステルは、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるため、カラートナー用の結着樹脂に好適である。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、たとえば多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下で、多塩基酸と多価アルコールとを接触させて行い、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによりポリエステルが得られる。
多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が起こる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することで、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変えることができる。また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入でき、変性ポリエステルが得られる。ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中で自己分散性ポリエステルを得ることもできる。またポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
結着樹脂のガラス転移点は、30℃以上80℃以下が好ましい。結着樹脂のガラス転移点が30℃未満であると、画像形成装置内部においてカプセルトナー粒子同士が熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移点が80℃を超えると、記録媒体へのカプセルトナー100の定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエローなどが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドなどが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5重量部以上10重量部以下である。
着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
離型剤としては、無極性の炭化水素系ワックスを用いる。無極性の炭化水素系ワックスとしては、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックスなどが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、結着樹脂100重量部に対して0.2重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上10重量部以下がより好ましく、1.0重量部以上8.0重量部以下がさらに好ましい。
トナー母粒子101には、結着樹脂および着色剤の他に必要応じて電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、有機ベントナイト化合物、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上3重量部以下である。
トナー母粒子101の体積平均粒径は、4μm以上8μm以下が好ましい。トナー母粒子101の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることによって、長期間にわたって高精細な画像を安定して形成できる。また、記録媒体へのカプセルトナー100の付着量が少なくても高い画像濃度が得られるので、トナー消費量を削減できる。
(樹脂被覆層)
トナー母粒子101の表面には樹脂被覆層102が形成されており、樹脂被覆層102は、内側樹脂層103と外側樹脂層104とを含む。
内側樹脂層103は、第1極性樹脂を含む第1樹脂微粒子を用いて形成され、外側樹脂層104は、第2極性樹脂を含む第2樹脂微粒子を用いて形成される。
第1極性樹脂および第2極性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体などが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体は、軽量で高い強度を有し、さらに透明性も高く、安価で粒子径の揃った材料を得やすいなど多くの利点を有する。
第1極性樹脂と第2極性樹脂とは、同一のモノマー成分を含むことが好ましい。同一のモノマー成分を含むことによって、第1極性樹脂と第2極性樹脂との親和性が高くなるので、内側樹脂層103と外側樹脂層104との密着性が高くなり、外側樹脂層104がカプセルトナー100表面から剥離することを抑制することができる。
第1極性樹脂の酸価は、第2極性樹脂の酸価よりも高く、第1極性樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下が好ましい。第1極性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、離型剤の染み出しを充分に抑制できないので、現像時における耐ブロッキング性が低下し、カプセルトナー粒子の凝集物が発生する。
第1極性樹脂の酸価が70mgKOH/gを超えると、定着時に離型剤がカプセルトナー100から染み出すことができず、定着性が悪化する。
第2極性樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であることが好ましい。第2極性樹脂の酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿環境下において帯電性能が悪化し、白地かぶりなどの画像不良が発生する。
第1極性樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上65mgKOH/g以下がより好ましく、第2極性樹脂の酸価は、15mgKOH/g以下がより好ましい。
第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子のガラス転移点は、50℃以上100℃以下が好ましい。
第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子の軟化点は、80℃以上140℃以下が好ましい。第1樹脂および第2樹脂の軟化点が80℃以上140℃以下であることによって、保存安定性および定着性の良好なカプセルトナー100とすることができる。
第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子の体積平均粒径は、トナー母粒子101の平均粒径よりも充分に小さい必要があり、0.05μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であることによって、機械的衝撃力によってトナー母粒子101の表面に均質な樹脂被覆層102を形成することができる。
2、カプセルトナーの製造方法
図2は、本実施形態のカプセルトナー100の製造方法を示す工程図である。本実施形態のカプセルトナー100の製造方法は、トナー母粒子101を作製するトナー母粒子作製工程S1と、乾燥された樹脂微粒子を得る樹脂微粒子調製工程S2と、トナー母粒子101表面に樹脂被覆層102を形成する成膜化工程S3とを含む。
(1)トナー母粒子作製工程S1
トナー母粒子作製工程S1ではトナー母粒子101を作製する。トナー母粒子101の作製方法は特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。トナー母粒子101の作製方法としては、たとえば、混練粉砕法などの乾式法、ならびに懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法および溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、混練粉砕法によってトナー母粒子101を作製する方法を記載する。
粉砕法によるトナー母粒子101の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー母粒子原料を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練することによって溶融混練物を得る。この溶融混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機で粉砕することによって微粉砕物を得る。その後、必要に応じて分級などの粒度調整を行うことによって、トナー母粒子101が得られる。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえばヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としては公知のものを使用でき、たとえば二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。
粉砕機としては、たとえば超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級としては、遠心力および風力による分級によって過粉砕されたトナー母粒子101を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などが挙げられる。
(2)樹脂微粒子調製工程S2
樹脂微粒子調製工程S2では、第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子を調製する。以下では、第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子をまとめて樹脂微粒子と記載する場合もある。樹脂微粒子は、たとえば、樹脂微粒子原料である第1極性樹脂や第2極性樹脂を分散媒体中に分散させた後、ホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化して得られる。また、第1極性樹脂や第2極性樹脂のモノマー成分を分散媒体中で重合させることによっても得られる。
なお、第1極性樹脂や第2極性樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させた状態、および第1極性樹脂や第2極性樹脂のモノマー成分を重合させた状態は、樹脂微粒子が分散媒体中に分散している状態であり、この樹脂微粒子が分散媒体中に分散した樹脂微粒子分散液から、分散媒体を蒸発させるなどして、樹脂微粒子のみを取り出す必要がある。分散媒体としては、樹脂微粒子を溶解させずに分散させる溶剤が用いられ、たとえば水が挙げられる。
このようにして得られる樹脂微粒子は、乾燥されていることが好ましい。樹脂微粒子の乾燥にはどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法で乾燥させる。
以下では、4流体ノズルを用いて、樹脂微粒子分散液から乾燥された樹脂微粒子を得る方法について記載する。
図3は、4流体ノズル2を備える4流体ノズル噴霧乾燥装置1の構成を模式的に示す図である。乾燥された樹脂微粒子は、樹脂微粒子分散液を、4流体ノズル2から噴射させて分散媒体を揮発させることで得られる。
4流体ノズル噴霧乾燥装置1は、4流体ノズル2を用いて樹脂微粒子分散液を噴射し、樹脂微粒子分散液に含まれる分散媒体を揮発させて樹脂微粒子を乾燥させる乾燥室3と、乾燥室3で乾燥させた樹脂微粒子を回収するための樹脂微粒子回収部4とを備える。
乾燥室3の鉛直方向上部には、蓋体が設けられ、蓋体を貫通して4流体ノズル2が設けられる。4流体ノズル2からは、鉛直方向下向きに樹脂微粒子分散液が噴射される。また、蓋体には、4流体ノズル2からの樹脂微粒子分散液の噴射方向(鉛直方向下向き)上流側から噴射方向に沿って流れる熱風(本実施形態では空気)が供給される開口部8が設けられる。
4流体ノズル2からの樹脂微粒子分散液の噴射と同時に、開口部8から熱風が乾燥室3内に供給されることによって、樹脂微粒子の乾燥速度を速くすることができるので、樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子量を増やしても、または4流体ノズル2の液体流路に流過させる樹脂微粒子分散液の流量を多くしても、樹脂微粒子を安定して充分に乾燥させることができ、乾燥された樹脂微粒子の生産効率を向上させることができる。
開口部8から供給される熱風の温度、すなわち、樹脂微粒子分散液の噴射方向上流側における熱風の温度は、100℃以上200℃以下が好ましい。熱風の温度が100℃未満であると、4流体ノズル2の液体流路を流過させる樹脂微粒子分散液の流量を小さくしなければ、樹脂微粒子を充分に乾燥させることが難しくなる。熱風の温度が200℃を超えると、樹脂微粒子が溶融して凝集するおそれがある。
開口部8から供給された熱風は、4流体ノズル2から噴射された樹脂微粒子分散液に接触すると、樹脂微粒子分散液の分散媒体の蒸発エネルギーによって、瞬時にたとえば60℃まで温度が低下する。その後、熱風の温度は、熱風の流れ方向(乾燥室3内では樹脂微粒子分散液の噴射方向と同一方向)上流側から下流側に向かって徐々に低下していく。
乾燥室3の鉛直方向下流側には、乾燥された樹脂微粒子が乾燥室3外に排出される排出口9が設けられる。
樹脂微粒子回収部4は、サイクロン5とバグフィルタ6とを備える。乾燥室3の排出口9とサイクロン5とは、配管10によって連結され、熱風の気流にのって乾燥された樹脂微粒子がサイクロン5まで搬送されて、このサイクロン5で回収される。サイクロン5で回収しきれなかった乾燥された樹脂微粒子は、サイクロン5よりも熱風の流れ方向下流側に設けられるバグフィルタ6で回収される。樹脂微粒子を回収する手段としては、サイクロン5およびバグフィルタ6のどちらか一方が備えられればよいが、両方を設けることで、樹脂微粒子の回収率を向上させることができる。バグフィルタ6の熱風の流れ方向下流側には、装置内の気体を排気するためのブロワ7が設えられ、ブロワ7から熱風および4流体ノズル2の気体流路を流過した空気が4流体ノズル噴霧乾燥装置1外に排出される。
サイクロン5およびバグフィルタ6まで到達した時点での熱風の温度は、たとえば20℃以上70℃以下である。すなわち、樹脂微粒子は、回収される際、樹脂微粒子分散液中の分散媒体の蒸発エネルギーによって、20℃以上70℃以下まで温度が低下した熱風と接触する。これによって、回収された樹脂微粒子が溶融して、凝集することを抑制できる。
なお、樹脂微粒子回収部4付近で、20℃以上70℃以下の温度の空気を新たに供給すると、樹脂微粒子回収部4付近まで流れた熱風と、新たに供給された空気との温度差によって結露が生じ、樹脂微粒子の凝集が発生する。回収時の樹脂微粒子を、樹脂微粒子分散液の分散媒体の蒸発エネルギーで温度が低下した熱風と接触させることによって、樹脂微粒子をより凝集しにくくすることができる。
乾燥室3の樹脂微粒子分散液の噴射方向に対応する長さは、1,000mm以上5,000mm以下が好ましい。乾燥室3の樹脂微粒子分散液の噴射方向に対応する長さが1,000mm未満であると、4流体ノズル2から噴霧された樹脂微粒子分散液が、乾燥室3の鉛直方向下流側の壁面に衝突して溶融し、粗粉が発生するおそれがある。乾燥室3の樹脂微粒子分散液の噴射方向に対応する長さが5,000mmを超えると、4流体ノズル噴霧乾燥装置1が大型化する。
熱風の流量は、10m/分以上30m/分以下が好ましい。熱風の流量が10m/分未満であると、4流体ノズル2から噴霧された微粒子分散液中の分散媒体の揮発速度が遅くなり、蒸発エネルギーによる熱風の温度の低下量が少なくなる。そのため、サイクロン5およびバグフィルタ6まで到達した時点での熱風の温度が前述の温度範囲まで低下しないおそれがあり、回収された樹脂微粒子が溶融および凝集するおそれがある。熱風の流量が30m/分を超えると、サイクロン5およびバグフィルタ6での樹脂微粒子の回収量が低下するおそれがある。
図4は、4流体ノズル2のエッジ先端部25周辺の構成を示す断面図である。
4流体ノズル2は、樹脂微粒子分散液を矢符21の方向に流過させる2つの液体流路20a,20bと、図示しない圧縮空気供給手段から供給された噴射気体である空気(好ましくは常温)を流過させる2つの気体流路22a,22bとを有するスプレードライ用の噴霧ノズルである。
2つの液体流路20a,20bを流過した樹脂微粒子分散液は、それぞれ、鉛直方向に対して傾斜している下向きの液体流動面24a,24bを、4流体ノズル2のエッジ先端部25に向かって流れ落ちる。液体流路20aを流過した樹脂微粒子分散液は、液体流動面24aを流れ落ち、液体流路20bを流過した樹脂微粒子分散液は、液体流動面24bを流れ落ちる。その際、樹脂微粒子分散液は、4流体ノズル2のエッジ先端部25に向かって液体流動面24a,24bに沿ってそれぞれ平行に放出された、気体流路22a,22bを流過した空気によって流れ落ちる速度が加速され、液体流動面24a,24bで薄く引き延ばされる。液体流動面24aを流れ落ちる樹脂微粒子分散液は、矢符23a方向に気体流路22aを流過した空気によって薄く引き延ばされ、液体流動面24bを流れ落ちる樹脂微粒子分散液は、矢符23b方向に気体流路22bを流過した空気によって薄く引き延ばされる。樹脂微粒子分散液の流れ落ちる速度を加速させた空気は、4流体ノズル2のエッジ先端部25で衝突し、それによって衝撃波が発生する。その衝撃波によって、4流体ノズル2のエッジ先端まで到達した樹脂微粒子分散液がミスト化され、微滴となる。
このように、4流体ノズル2を用いることによって、樹脂微粒子分散液が液体流動面24a,24bで薄く引き延ばされ、薄く引き延ばされた樹脂微粒子分散液が、4流体ノズル2のエッジ先端部25で発生した衝撃波でミスト化されるので、樹脂微粒子分散液が微滴となり、非表面積が大きくなり、樹脂微粒子分散液に含まれる樹脂微粒子の乾燥効率が良好で、かつ比較的低温で乾燥させることができる。比較的低温で乾燥できることによって、乾燥時の熱で樹脂微粒子同士が融着し、凝集することを抑制することができる。このような樹脂微粒子は、後の成膜化工程S3において、トナーの製造装置201内に投入されるまでの間にある程度、凝集してしまっても、トナーの製造装置201内で撹拌されることで容易に解砕されやすく、トナー母粒子101表面に均一に付着する。したがって、均一な膜厚の樹脂被覆層102が形成されたカプセルトナー100を得ることができる。
2つの液体流路20a,20bからの樹脂微粒子分散液の合計の流量は、開口部8から放出される熱風の温度および流量、樹脂微粒子分散液中の分散媒体量によって異なるが、0.01L(リットル)/分以上2L/分以下が好ましい。また、2つの気体流路22a,22bからの空気の合計の流量は、10L/分以上10000L/分以下が好ましい。
また、2つの液体流路20a,20bに流過させる樹脂微粒子分散液の合計の流量に対する、2つの気体流路22a,22bに流過させる空気の合計の流量の割合(空気の流量/樹脂微粒子分散液の流量)は、1000以上5000以下が好ましい。
樹脂微粒子分散液の流量に対する空気の流量が上記の割合であることによって、充分に樹脂微粒子分散液を微滴化させることができるので、粒子径の小さい乾燥された樹脂微粒子を得ることができる。このように粒子径の小さい樹脂微粒子は、後の成膜化工程S3において、トナー母粒子101表面に均一に付着するので、トナー母粒子101と樹脂微粒子との撹拌によって発生する衝突熱によるトナー粒子同士の凝集を抑制することができ、トナー粒子同士が凝集した粗粉の発生を安定して抑制することができる。
(3)成膜化工程S3
成膜化工程S3では、トナー母粒子101の表面に樹脂被覆層102を形成する。まず、本工程で用いるトナーの製造装置201について図5〜図7を用いて説明する。
<トナーの製造装置>
図5は、カプセルトナー100の製造に用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。図6は、図5に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200で切断した断面図である。
トナーの製造装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。
(粉体流路)
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210,211が形成される。開口部210は、撹拌部208の回転軸方向片側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸方向片側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、トナー母粒子101、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202は、トナー母粒子101および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるよう設けられる。
(回転撹拌手段)
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向片側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される回転軸部221aに挿通されるよう設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。回転軸部221aには、ガス排出口221bが接続されたガス排出部222が設けられる。
(噴霧手段)
噴霧手段203は、粉体流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられ、粉体流過部209において、トナー母粒子101および樹脂微粒子の流動方向における開口部211に最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、噴霧液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、噴霧液体とキャリアガスとを混合し得られる混合物を粉体流路202内に存在するトナー母粒子101に向けて噴射し、噴霧液体の液滴をトナー母粒子101に噴霧する二流体ノズル203aと、図示しない噴霧量制御手段とを備える。
キャリアガス供給部には、図示しないフロート式の流量計が設けられ、キャリアガスの供給量を測定することができる。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。二流体ノズルは液管と空気管とを含み、2つの管の一部が連結され中心がずれない構造を持っている。二流体ノズルは噴霧液体を一定速度で噴霧し、噴霧液体の濃度は粉体流路内で一定に保たれる。
前記循環手段と、後述する温度調整手段との相乗効果により、樹脂微粒子を可塑化し、膜厚と粒度の均一なカプセルトナー100を得ることができる。さらに、二流体ノズルから噴霧液体および圧縮エアが噴出する領域に、トナー母粒子101および樹脂微粒子の付着防止用凸型キャップを配置することにより、この効果が向上し、高い収率でカプセルトナー100を製造することが出来る。
(温度調整用ジャケット)
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これにより後述の第1付着工程S3bおよび第2付着工程S3cにおいて、樹脂微粒子を充分に解砕することができる。また、膜化工程S3fにおいて、粉体流路202内の温度が高すぎることによる、トナー母粒子101および樹脂微粒子の付着を防止することができるとともに、粉体流路202内の温度が低すぎ、噴霧液体がガス化されずに粉体流路202内部に滞留することを防止することができる。
温度調整用ジャケットは、粉体流路202壁面の、トナー母粒子101が付着しやすい部分に設けられることが好ましく、たとえば、粉体流過部209内壁の、噴霧手段203より流動方向下流の部分に設けられる。
また、温度調整用ジャケットは、撹拌部208壁面の、開口部210付近の部分に設けられる。そのように温度調整用ジャケットを設けることによって、開口部210から撹拌部208に流入するトナー母粒子101と、撹拌部208内を流動するトナー母粒子101との衝突による、開口部210付近へのトナー母粒子101の付着を防ぐことができる。
さらに、温度調整用ジャケットは、粉体流過部209壁面全部および撹拌部208壁面全部に設けられることがより好ましい。そのように温度調整用ジャケットを設けることによって、トナー母粒子101の粉体流路202内壁面への付着を一層確実に防止することができる。
(粉体投入部および粉体回収部)
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図7は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
粉体投入部206は、トナー母粒子101および樹脂微粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給されるトナー母粒子101および樹脂微粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子101および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204による撹拌により、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213により供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子101および樹脂微粒子は粉体流路202に供給されない。
粉体回収部207は、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217により回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また、電磁弁217により回収管216内の流路が閉鎖されている状態においては、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収されない。
上述したようなトナーの製造装置201は、市販品の撹拌装置と噴霧装置とを組合せて得ることもできる。粉体流路および回転撹拌装置を備える市販の撹拌装置としては、たとえば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。このような撹拌装置に噴霧液体を噴霧する噴霧装置を取付けることによって、本実施形態のカプセルトナー100の製造方法に用いるトナーの製造装置201とすることができる。
このようなトナーの製造装置201を用いる成膜化工程S3は、第1温度調整工程S3aと、第1付着工程S3bと、第2付着工程S3cと、第2温度調整工程S3dと、噴霧工程S3eと、膜化工程S3fと、回収工程S3gとを含む。
(3)−1、第1温度調整工程S3a
第1温度調整工程S3aでは、回転撹拌手段204を回転させながら、粉体流路202内および回転撹拌手段204の外側に配設した温度調整用ジャケット内部の空間に冷媒体または温媒体を通すことで、粉体流路202内および回転撹拌手段204の温度を所定の温度に調整する。これによって、粉体流路202内の温度を、後述する第1付着工程S3b、第2付着工程S3cで投入されるトナー母粒子101および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御できるとともに、樹脂微粒子を充分に解砕することができる。
温度調整用ジャケット内部の空間に通す冷媒体または温媒体の温度は、5℃以上20℃以下が好ましい。これによって、第1温度調整工程S3aにおいて、粉体流路202内の温度を5℃以上20℃以下とすることができ、後の第1付着工程S3bおよび第2付着工程S3cにおいて、粉体流路202内の温度を10℃以上樹脂微粒子のガラス転移点以下、たとえば10℃以上55℃以下とすることができる。これによって、後の第1付着工程S3b、第2付着工程S3cにおいて樹脂微粒子を充分に解砕でき、解砕後はトナー母粒子101および樹脂微粒子の撹拌による粉体流路202内温度の上昇を利用して樹脂微粒子をトナー母粒子101表面に付着させることができる。したがって、後の噴霧工程S3eおよび膜化工程S3fにおいて、トナー母粒子101表面に膜厚のより均一な樹脂微粒子層を形成することができる。また、第1付着工程S3b、第2付着工程S3cにおける回転撹拌手段204および粉体流路202内への、トナー母粒子101および樹脂微粒子の付着を防止することができるので、収率をより向上させることができる。
第1温度調整工程S3aの時間は、10分間以上30分間以下である。
(3)−2、第1付着工程S3b
第1付着工程S3bでは、トナー母粒子101の表面に乾燥された第1樹脂微粒子を付着させて第1樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
第1付着工程S3bでは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206からトナー母粒子101および第1樹脂微粒子を粉体流路202に供給する。
第1樹脂微粒子の添加量は、100重量部のトナー母粒子101に対して4重量部以上6重量部以下が好ましい。
粉体流路202に供給されたトナー母粒子101および第1樹脂微粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。これによって、第1樹脂微粒子は1次粒子径の約1〜10倍の粒子径であるサブミクロンレベルまで解砕され、トナー母粒子101表面に均一に付着し、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子が得られる。
トナー母粒子101と乾燥された第1樹脂微粒子とを撹拌混合することによって、比較的小さい撹拌力で、トナー母粒子101を孤立流動させ、トナー母粒子101表面に第1樹脂微粒子を均一に付着させることができる。そのため、トナー母粒子101表面に均一な樹脂被覆層102を形成できるとともに、粗粉の生成を抑制することができる。
第1付着工程S3bにおいて、回転撹拌手段204の最外周の周速度は、50m/sec以上120m/sec以下に設定するのが好ましい。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸部材218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分204aである。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速度を50m/sec以上に設定することによって、トナー母粒子101および第1樹脂微粒子を孤立流動させることができる。回転撹拌手段204の最外周における周速度が50m/sec未満であると、トナー母粒子101および第1樹脂微粒子を孤立流動させることができないため、トナー母粒子101を樹脂被覆層102で均一に被覆できなくなる。
第1付着工程S3bの時間は、2.0分間以上10分間以下が好ましい。
(3)−3、第2付着工程S3c
第2付着工程S3cでは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転し、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子が流動している状態で、粉体投入部206から第2樹脂微粒子を粉体流路202に供給する。
第2樹脂微粒子の添加量は、100重量部のトナー母粒子101に対して4重量部以上6重量部以下が好ましい。
粉体流路202に投入された第2樹脂微粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。これによって、第2樹脂微粒子は1次粒子径の約1〜10倍の粒子径であるサブミクロンレベルまで解砕され、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子表面に均一に付着し、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が得られる。
第2樹脂微粒子付着トナー母粒子は、粉体回収部207から装置外に排出され、ポリエチレン製の保管袋などに回収される。第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を装置外に排出することによって、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に蓄積された熱を放出することができるので、トナー母粒子101が必要以上に球形化されることを抑制することができる。なお、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を、装置外に排出することなく後述の第2温度調整工程S3dを行ってもよい。
(3)−4、第2温度調整工程S3d
第2温度調整工程S3dでは、第1温度調整工程S3aと同様の方法で、粉体流路202内の温度を調整する。温度調整用ジャケット内部の空間に通す冷媒体または温媒体の温度は、5℃以上20℃以下が好ましい。これによって、第2温度調整工程S3dにおいて、粉体流路202内の温度を5℃以上20℃以下とすることができ、後の膜化工程S3fにおいて、粉体流路202内の温度を25℃以上60℃以下とすることができる。これによって、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に含まれる樹脂微粒子を充分に軟化することができるので、トナー母粒子101表面に膜厚のより均一な樹脂微粒子層を形成することができる。また、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が回転撹拌手段204および粉体流路202内壁面へ付着し、凝集することを防止することができるので、カプセルトナー100の収率をより向上させることができる。
粉体流路202内温度が65℃を超えると、粉体流路202内で第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が軟化しすぎ、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集が発生して、粗粉が生成されるおそれがある。また、粉体流路202内温度が25℃未満であると、噴霧液体がガス化する速度が遅くなり、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が回転撹拌手段204および粉体流路202内壁面へ付着して、凝集するおそれがある。膜化工程S3fにおける粉体流路202内の温度は、50℃以上55℃以下がより好ましい。
(3)−5、噴霧工程S3e
噴霧工程S3eでは、トナー母粒子101および樹脂微粒子を溶解せずに可塑化する効果のある液体である噴霧液体を、流動状態にある第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧することによって、トナー母粒子101表面に付着した樹脂微粒子を軟化および膜化させ、トナー母粒子101表面に樹脂被覆層102を形成する。
噴霧工程S3eでは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206から第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を粉体流路202に供給する。その後、1.0分間以上10分間以下、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を流動させ、粉体流路202における第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動速度が安定されてから、噴霧液体の噴霧を開始する。粉体流路202における第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動速度が安定してから噴霧を開始することで、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧液体を均一に噴霧でき、樹脂被覆層102が均一なカプセルトナー100の収率を上げることができる。このとき、噴霧液体の噴霧量は、0.2〜2ml/分が好ましい。
なお第2付着工程S3cで、トナーの製造装置201外に第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を排出しなかった場合には、そのまま引き続き噴霧工程S3eを行うこともできる。
噴霧液体は、送液ポンプによって一定流量で噴霧手段203に送られ、噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧される。噴霧された噴霧液体はガス化し、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子表面にガス化した噴霧液体が展延する。これによりトナー母粒子101および樹脂微粒子が可塑化する。
噴霧液体は、粉体流路202内のガス濃度が一定となるようにガス化され、ガス化した液体はガス排出口221bを通って粉体流路202外へ排出されることが好ましい。ガス化した液体の濃度を一定に保つことにより、濃度が一定に保たれていない場合と比べ噴霧液体の乾燥速度を上げることができる。よって未乾燥の液体の残存する第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が互いに付着することを防ぎ、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を抑制できる。その結果、樹脂被覆層102が均一なカプセルトナー100の収率をより向上できる。
ガス排出部222において濃度センサにより測定される、粉体流路202内のガス化された噴霧液体の濃度は、3vol%以下程度であることが好ましい。噴霧液体濃度が3vol%以下程度であると、液体の乾燥速度を充分に大きくでき、未乾燥の液体の残存する第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が互いに付着することを防ぎ、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を抑制できる。またガス化された液体の濃度は、0.1vol%以上3.0vol%以下であることがさらに好ましい。噴霧液体濃度がこのような範囲内であると、生産性を低下させることなく、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止できる。
噴霧液体としては、トナー母粒子101および樹脂微粒子を溶解せず可塑化させる効果のある極性有機溶媒が使用される。極性有機溶媒としては、特に限定されないが、低級アルコールやアセトニトリルなどの有機溶剤が挙げられる。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。液体がこのような低級アルコールを含むと、噴霧工程S3eにおいて、充分に速く噴霧液体をガス化させることができるので、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を抑制することができ、粗粉の生成を安定して抑制することができる。また、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子の濡れ性を高めることができ、トナー母粒子101表面に付着した樹脂微粒子を容易に変形および膜化させることができる。また低級アルコールは蒸気圧が大きいので、液体を除去する際の乾燥時間をより短縮でき、トナー母粒子101同士の凝集を抑制できる。
噴霧液体の沸点は、65℃以上100℃以下が好ましい。
噴霧工程S3eの時間は、2.0分間以上40分間以下が好ましい。
(3)−6、膜化工程S3f
膜化工程S3fでは、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に含まれる樹脂微粒子が軟化して膜化するまで回転撹拌手段204の撹拌を継続させて、トナー母粒子101表面に樹脂被覆層102を形成する。
膜化工程S3fは、噴霧工程S3eと同時に開始し、同時に終了させる。この場合、膜化工程S3fの時間は噴霧工程S3eと同じになり、2.0分間以上40分間以下が好ましい。
また、膜化工程S3fは、噴霧工程S3eと同時に開始し、噴霧工程S3eよりも後に終了させてもよい。この場合、膜化工程S3fの時間は、3.0分間以上60分間以下が好ましい。
膜化工程S3fにおいて、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子が前記範囲の時間、撹拌混合されることによって、トナー母粒子101の表面において樹脂微粒子を適度に膜化させることができる。
噴霧工程S3eおよび膜化工程S3fにおいて、粉体流路202内の温度は、前記温度調整用ジャケットによって、25℃以上60℃以下に保たれることが好ましい。このような温度範囲の粉体流路202内に、沸点が65℃以上100℃以下である噴霧液体を噴霧することによって、粉体流路202内のガス化された噴霧液体の濃度を1%以上3%以下にすることができる。
噴霧工程S3eおよび膜化工程S3fにおいて、回転撹拌手段の最外周の周速度は、50m/sec以上120m/sec以下であることが好ましい。これによって、第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に充分な機械的衝撃力を与えることができ、樹脂微粒子を充分に膜化させることができる。
(3)−7、回収工程S3g
回収工程S3gでは、表面に樹脂被覆層102が形成されたトナー母粒子101を、粉体回収部207から装置外に排出し、回収する。
回収工程S3gの時間は、1分間以上2分間以下であり、粉体流路202内の温度は、25℃以上60℃以下に調整されることが好ましい。
このようにして得られる、表面に樹脂被覆層102が形成されたトナー母粒子101は、そのままカプセルトナー100として用いてもよく、また、外添剤が添加されてもよい。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。また、これらの外添剤は、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の使用量は、100重量部のカプセルトナー100に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。
3、2成分現像剤
本実施形態のカプセルトナー100の製造方法で製造されたカプセルトナー100は、トナーのみからなる1成分現像剤として使用することもでき、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤としても使用することができる。1成分現像剤として使用する場合、ブレード、ファーブラシなどを用いてトナーを摩擦帯電させ、現像スリーブ上に付着させることによってカプセルトナー100を搬送し、画像形成を行う。2成分現像剤として使用する場合、上記のカプセルトナー100をキャリアとともに用いる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子の表面を被覆物質で被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)と混合する場合、トナーが全現像剤量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるようにすればよい。また、カプセルトナー100によるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
[結着樹脂、トナー母粒子および樹脂微粒子のガラス転移点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点からガラス転移点(Tg)を求めた。
[結着樹脂の軟化点(Tm)]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させた。試料の流出が開始された温度を流出開始温度(Tfb)とし、試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とした。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料(離型剤)1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
[トナー母粒子の体積平均粒径および変動係数]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径および変動係数を求めた。
[樹脂微粒子の体積平均粒径]
レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いて測定を行った。試料の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)の水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入・撹拌後、装置に注入し、2回測定を行い、平均を求めた。測定条件は、測定時間:30秒、粒子屈折率:1.4、粒子形状:非球形、溶媒:水、溶媒屈折率:1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒径側からの累積体積が50%になる粒径を試料の体積平均粒径(μm)として算出した。
[樹脂微粒子の酸価]
樹脂微粒子の酸価は、中和滴定法によって測定した。テトラヒドロフラン(THF)50mlに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
[トナー母粒子の作製]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移点55℃、軟化点130℃) 87.5%(100重量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(5.7重量部)
・離型剤(ポリプロピレン、融点82℃) 6.0%(6.9重量部)
・帯電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)
1.5%(1.7重量部)
以上のトナー原料を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)により前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)により溶融混練して溶融混練物を得た。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕して微粉砕物を得た。この微粉砕物をエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、体積平均粒径が6.7μmであり、変動係数が22であり、ガラス転移点が56℃のトナー母粒子を得た。
〔樹脂微粒子の調製〕
スチレンとアクリル酸とアクリル酸ブチルとを乳化重合することで、樹脂微粒子が水中に分散された樹脂微粒子分散液を得た。この樹脂微粒子分散液中には、樹脂微粒子が10重量%の割合で含まれている。樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒径(1次平均粒径)は、0.1μmである。
4流体ノズルを有するスプレードライヤー(4流体ノズル噴霧乾燥装置、商品名:マイクロミストドライヤ−MDL−050型、藤崎電機株式会社製)を用い、190℃(乾燥ガス入口温度)の熱風を1m/分で開口部から乾燥室(60℃、樹脂微粒子分散液の噴射方向に対応する長さ:3m)に供給しながら、4流体ノズルの2つの液体流路から計0.03L/分で樹脂微粒子分散液を、2つの気体流路から圧縮エアを計120L/分で、流量を調節しながら熱風雰囲気中に噴射して(圧縮エア供給量/樹脂微粒子分散液供給量=4000)、乾燥された樹脂微粒子を得た。
このような樹脂微粒子の作製方法において、スチレンとアクリル酸とアクリル酸ブチルとの添加量をそれぞれ変更することによって、第1樹脂微粒子A〜Gおよび第2樹脂微粒子H〜Jを得た。
第1樹脂微粒子A〜Gおよび第2樹脂微粒子H〜Jの酸価を表1に示す。
なお、第1樹脂微粒子A〜Gおよび第2樹脂微粒子H〜Jは、ガラス転移点が65℃であり、軟化点が110℃であった。
Figure 2013164522
(実施例1)
〔成膜化工程〕
〔第1温度調整工程〕
図5に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に噴霧ユニットを設けた装置を用いた。噴霧ユニットは、送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)を通して噴霧液体(エタノール、沸点:78℃)が二流体ノズル(商品名:HM−6型、扶桑精機株式会社製)に定量送液されるように接続した。二流体ノズルは、噴霧液体の噴霧方向と、粉体の流動方向とのなす角度が0°になるよう取付け角度を設定した。
粉体流路の壁面の全面に温度調整用ジャケットを設け、温度調整用ジャケットの温度調整用制御装置としてはチラーを用いた。また、ガス排出部には、ガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を設けた。
温度調整用ジャケット内部の空間に通す冷却媒の温度を5℃に設定し、後の第1付着工程〜膜化工程で粉体流過部の温度が50℃になるように調整した。
〔第1付着工程、第2付着工程〕
100重量部のトナー母粒子および5重量部の第1樹脂微粒子Aを上記装置に投入し、回転撹拌手段の最外周における周速度を80m/secに設定して10分間撹拌混合することによって、トナー母粒子表面に第1樹脂微粒子Aを付着させて第1樹脂微粒子付着トナー母粒子を得た。
続いて、5重量部の第2樹脂微粒子Hを上記装置に投入し、回転撹拌手段の最外周における周速度を80m/secに設定して10分間撹拌混合することによって、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子表面に第2樹脂微粒子Hを付着させて第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を得た。得られた第2樹脂微粒子付着トナー母粒子は、ポリエチレン製の保管袋に回収した。
回転軸部および二流体ノズルからのエアの供給量はそれぞれ5L/分とし、ガス排出部からのエアの排出量を10L/分とした。
保管袋に回収した第2樹脂微粒子付着トナー母粒子には、後述の噴霧工程において再び前記装置に投入するまでの間、たとえば凝集するなどの状態の悪化はみられなかった。
〔第2温度調整工程〕
温度調整用ジャケット内部の空間に通す冷却媒の温度を15℃に設定し、後の噴霧工程および膜化工程で粉体流過部の温度が55℃になるように調整した。
〔噴霧工程、膜化工程〕
第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を前記装置に投入し、回転撹拌手段の最外周における周速度を100m/secに設定して5分間撹拌した後、噴霧ユニットから噴霧液体であるエタノール(沸点78℃、キシダ化学株式会社製)を噴霧量0.5g/分で30分間噴霧した。回転軸部および二流体ノズルからのエアの供給量をそれぞれ5L/分とし、ガス排出部からのエアの排出量を10L/分とした。ガス排出部から排出された気体中のエタノールの蒸気濃度は、約1.4vol%で安定していた。
噴霧液体の噴霧を停止した後、さらに10分間撹拌することによって、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成した。
〔回収工程〕
粉体回収部から、表面に樹脂被覆層が形成されたカプセルトナー(実施例1のカプセルトナー)を回収した。
(実施例2〜10)
第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子の種類、ならびに添加量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜10のカプセルトナーを得た。
(比較例1〜11)
第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子の種類、ならびに添加量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1〜11のカプセルトナーを得た。
Figure 2013164522
〈2成分現像剤の作製〉
以上のようにして得られた実施例1〜10および比較例1〜11のカプセルトナーと、体積平均粒子径50μmのフェライトコアキャリアとを、トナー濃度が7%になるようにそれぞれ混合した。これによって、実施例1〜10および比較例1〜11のカプセルトナーをそれぞれ含む2成分現像剤を作製した。
<評価>
実施例1〜10および比較例1〜11のカプセルトナーをそれぞれ含む上記2成分現像剤を用いて、以下の評価を行った。
[高湿環境下における白地かぶり]
高温高湿(HH)環境下(温度35℃、湿度80%)において、市販複写機(商品名:MX−5111FN、シャープ株式会社製)に上記2成分現像剤をそれぞれ充填し、感光体上のトナー付着量が0.45mg/cmとなるよう調節して、記録媒体に画像を形成した。画像形成後の記録媒体において、非画像部の白色度を、白度計(Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。この白色度と、上記白度計を用いて予め測定しておいた画像形成前の記録媒体の白色度との差を求め、かぶり濃度とした。
白地かぶりの評価基準は以下のとおりである。
○:良好。かぶり濃度が0以上0.5以下である。
△:実用上問題なし。かぶり濃度が0.6以上1.0以下である。
×:不良。かぶり濃度が1.1以上である。
〔定着性〕
市販複写機(商品名:MX−5111FN、シャープ株式会社製)を改造したものを用い、上記2成分現像剤を用いて定着画像を作製した。まず、記録媒体(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、べた画像部(縦20mm、横50mmの長方形)を含むサンプル画像を未定着画像として形成した。この際、べた画像部のトナーの付着量が0.5mg/cmとなるよう調整した。次に、カラー複合機の定着部を利用した外部定着器を用いて定着画像を作製した。
定着プロセス速度は124mm/secとし、定着ローラの温度を130℃から5℃刻みで上げ、オフセットが起こらない温度幅を求め、その温度幅を定着非オフセット域とした。
オフセットとは、定着時にトナーが記録媒体に定着せずに、該トナーが定着ローラに付着したまま定着ローラが一周した後に記録媒体に付着することと定義する。定着非オフセット域の値を用いて定着性を評価した。
定着性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。定着非オフセット域が35℃以上である。
△:実用上問題なし。定着非オフセット域が25℃以上35℃未満である。
×:不良。定着非オフセット域が25℃未満である。
〔耐ブロッキング性〕
上記2成分現像剤を、2成分現像装置を有する市販複写機(商品名:MX−5111FN、シャープ株式会社製)の現像ユニットに充填し、感光体上に現像されないように調整した。35℃の恒温中で現像装置のみを5時間連続駆動した後、凝集物の発生の有無などを目視で確認した。
耐ブロッキング性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。凝集物が確認されない。
△:実用上問題なし。凝集物は確認されるが、現像ローラ上に現像剤が搬送される。
×:不良。凝集物が確認され、現像ローラ上に現像剤が搬送されない。
(総合評価)
白地かぶり、定着性および耐ブロッキング性の評価結果を用いて総合評価を行った。
総合評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好。白地かぶり、定着性および耐ブロッキング性の評価結果が○である。
○:良好。耐ブロッキング性の評価結果が○であり、白地かぶりおよび定着性の評価結果に×が含まれない。
△:白地かぶり、定着性および耐ブロッキング性の評価結果において、×が1つ含まれる。または、白地かぶりおよび定着性の評価結果が○または△であり、耐ブロッキング性の評価結果が△である。
×:不良。白地かぶり、定着性および耐ブロッキング性の評価結果において、×が2つ以上含まれる。
白地かぶり、定着性、耐ブロッキング性および総合評価結果を表3に示す。
Figure 2013164522
実施例1,3,5,7は、白地かぶり、定着性および耐ブロッキング性の評価結果全てが○であり、総合評価結果が◎となった。
実施例2,4,6,8は、白地かぶりの評価結果が△であった。これは、外側樹脂層の形成に用いた第2樹脂微粒子の酸価が25mgKOH/gとやや高いためである。
実施例9は、定着性の評価結果が△であった。これは、内側樹脂層の形成に用いた第1樹脂微粒子の酸価が70mgKOH/gとやや高く、定着非オフセット域が狭まったためである。
実施例10は、白地かぶりおよび定着性の評価結果が△であった。これは、内側樹脂層の形成に用いた第1樹脂微粒子の酸価が70mgKOH/gとやや高く、外側樹脂層の形成に用いた第2樹脂微粒子の酸価が25mgKOH/gとやや高いためである。
比較例2,3は、耐ブロッキング性の評価結果が△であった。これは、内側樹脂層103の形成に用いた第1樹脂微粒子の酸価が40mgKOH/gと低すぎ、現像時において離型剤の染み出しを充分に抑制できなかったためである。
比較例4,5は、定着性の評価結果が×となった。これは、内側樹脂層の形成に用いた第1樹脂微粒子の酸価が80mgKOH/gと高すぎ、定着時に離型剤が充分に染み出さなかったためである。
比較例1,3,5は、白地かぶりの評価結果が×となった。これは、外側樹脂層の形成に用いた第2樹脂微粒子の酸価が35mgKOH/gと高すぎたため、空気中の水分を吸収して帯電特性が低下したためである。
内側被覆層または外側被覆層のどちらか一方しか形成されていない比較例6,7,9〜11は、総合評価結果が△または×になった。
比較例6は、離型剤の染み出しによって耐ブロッキング性の評価結果が△であった。比較例7は、白地かぶりの評価結果が×であった。
樹脂被覆層が形成されない比較例8は、現像時において離型剤の染み出しを抑制することができず、白地かぶりおよび耐ブロッキング性の評価結果が×であった。
比較例9,11は、白地かぶりおよび定着性の評価結果が×であった。比較例10は、白地かぶりの評価結果が×であり、耐ブロッキング性の評価結果が△であった。
1 4流体ノズル噴霧乾燥装置
2 4流体ノズル
3 乾燥室
4 樹脂微粒子回収部
5 サイクロン
6 バグフィルタ
7 ブロワ
8 開口部
9 排出口
10 配管
20a,20b 液体流路
22a,22b 気体流路
24a,24b 液体流動面
25 エッジ先端部
100 カプセルトナー
101 トナー母粒子
102 樹脂被覆層
103 内側樹脂層
104 外側樹脂層

Claims (4)

  1. 結着樹脂、着色剤および無極性の炭化水素系離型剤を含むトナー母粒子と、
    トナー母粒子の表面に設けられる第1樹脂被覆層であって、酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂被覆層と、
    第1樹脂被覆層の表面に設けられる第2樹脂被覆層であって、酸価が30mgKOH/g以下であり、極性を有し、第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂被覆層と、を含むことを特徴とするカプセルトナー。
  2. 前記第1極性樹脂と前記第2極性樹脂とが、同一のモノマー成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
  3. 請求項1または2に記載のカプセルトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする2成分現像剤。
  4. 酸価が50mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり、極性を有する第1極性樹脂を含む第1樹脂微粒子とトナー母粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子の表面に第1樹脂微粒子を付着させて第1樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る第1付着工程と、
    酸価が30mgKOH/g以下であり、極性を有し、前記第1極性樹脂よりも酸価が小さい第2極性樹脂を含む第2樹脂微粒子と第1樹脂微粒子付着トナー母粒子とを撹拌混合し、第1樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面に第2樹脂微粒子を付着させて第2樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る第2付着工程と、
    トナー母粒子、第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子を可塑化させる液体である噴霧液体を、撹拌下で流動状態にある前記第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する噴霧工程と、
    前記第2樹脂微粒子付着トナー母粒子に含まれる第1樹脂微粒子および第2樹脂微粒子が軟化して膜化するまで撹拌を継続させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
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JP2016161630A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー及びその製造方法
JP2016224340A (ja) * 2015-06-02 2016-12-28 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2017016108A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 キヤノン株式会社 トナー
JP2018002682A (ja) * 2016-07-07 2018-01-11 ポーラ化成工業株式会社 粉末化粧料の製造方法
JP2018004749A (ja) * 2016-06-28 2018-01-11 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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