JP2016161630A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

トナー及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016161630A
JP2016161630A JP2015038032A JP2015038032A JP2016161630A JP 2016161630 A JP2016161630 A JP 2016161630A JP 2015038032 A JP2015038032 A JP 2015038032A JP 2015038032 A JP2015038032 A JP 2015038032A JP 2016161630 A JP2016161630 A JP 2016161630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
thermoplastic
particles
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015038032A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6330696B2 (ja
Inventor
良太郎 駒田
Ryotaro Komada
良太郎 駒田
昌己 辻廣
Masaki Tsujihiro
昌己 辻廣
潤 日置
Jun Hioki
潤 日置
英陽 堀
Hideharu Hori
英陽 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2015038032A priority Critical patent/JP6330696B2/ja
Priority to US15/047,832 priority patent/US9740127B2/en
Publication of JP2016161630A publication Critical patent/JP2016161630A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6330696B2 publication Critical patent/JP6330696B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/093Encapsulated toner particles
    • G03G9/09307Encapsulated toner particles specified by the shell material
    • G03G9/09314Macromolecular compounds
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/093Encapsulated toner particles
    • G03G9/09307Encapsulated toner particles specified by the shell material
    • G03G9/09314Macromolecular compounds
    • G03G9/09321Macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/093Encapsulated toner particles
    • G03G9/09307Encapsulated toner particles specified by the shell material
    • G03G9/09314Macromolecular compounds
    • G03G9/09328Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れるトナー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】トナーが、トナーコア10と、トナーコア10の表面に形成されたシェル層20とを有するトナー粒子を、複数含む。シェル層20が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分22と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分21とを含む。熱可塑性部分21の少なくとも一部は、凹凸を有する膜状の形態を有し、トナーコア10の表面に形成されている。熱硬化性部分22の少なくとも一部は熱可塑性部分21上に形成されている。熱硬化性部分22のうち、熱可塑性部分21上の部分は、熱可塑性部分21の形態に沿った膜状の形態を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー及びその製造方法に関し、特にカプセルトナー及びその製造方法に関する。
カプセルトナーに含まれるトナー粒子は、コア(以下、トナーコアと記載する)と、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを有する。例えば特許文献1に記載されるカプセルトナーでは、トナー粒子が、軟化温度40℃以上150℃以下のトナーコアを有する。
特開2004−138985号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れるトナーを提供することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れるトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るトナーは、コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有するトナー粒子を、複数含む。前記シェル層が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含む。前記熱可塑性部分の少なくとも一部は、凹凸を有する膜状の形態を有し、前記コアの表面に形成されている。前記熱硬化性部分の少なくとも一部は前記熱可塑性部分上に形成されている。前記熱硬化性部分のうち、前記熱可塑性部分上の部分は、前記熱可塑性部分の前記形態に沿った膜状の形態を有する。
本発明に係るトナーの製造方法は、本発明に係るトナーを製造する方法であり、前記コアの準備と、熱可塑性粒子の準備と、熱可塑性粒子の付着と、中間粒子の噴霧とを含む。前記熱可塑性粒子の準備では、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性粒子を準備する。前記熱可塑性粒子の付着では、機械的な力により前記コアの表面に前記熱可塑性粒子を付着させて、前記コア及び前記熱可塑性粒子を有する中間粒子を得る。前記中間粒子の噴霧では、前記中間粒子を気流中で流動させながら、非水溶性熱硬化性樹脂を合成するための材料を前記中間粒子に噴霧することにより、前記コアの表面に前記シェル層を形成する。
本発明によれば、耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れるトナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一部(詳しくは、トナーコアの表面近傍)を拡大して示す図である。 本発明の実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてシェル層の表面を撮影した写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、多数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、トナーをキャリアと混合して2成分現像剤を調製してもよい。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、コア(トナーコア)と、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを有する。シェル層の表面に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。以下、外添剤を付着させる前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。また、シェル層を形成するための材料を、シェル材料と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、帯電したトナーを静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、付着したトナーを転写ベルトに転写した後、さらに転写ベルト上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(1)及び(2)を有する。
(1)トナーが、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層とを有するトナー粒子を複数含む。
(2)シェル層が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含む。熱可塑性部分の少なくとも一部は、凹凸を有する膜状の形態を有し、トナーコアの表面に形成されている。また、熱硬化性部分の少なくとも一部は熱可塑性部分上に形成されている。熱硬化性部分のうち、熱可塑性部分上の部分は、熱可塑性部分の形態に沿った膜状の形態を有する。なお、熱硬化性部分及び熱可塑性部分はそれぞれ、樹脂に加えて、樹脂中に分散された添加剤を含有していてもよい。
以下、図1及び図2を参照して、構成(1)及び(2)を有するトナーに含まれるトナー粒子の一例について説明する。図1は、トナー粒子の一部(詳しくは、トナーコアの表面近傍)を拡大して示す図である。図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてシェル層の表面を撮影した写真である。
図1に示すように、トナー粒子は、トナーコア10と、トナーコア10の表面に形成されたシェル層20とを有する。シェル層20は、熱可塑性部分21と、熱硬化性部分22とを有する。熱可塑性部分21は、凹凸を有する膜状の形態を有し、トナーコア10の表面に形成されている。熱可塑性部分21の表面は、粒状感を有する。また、熱硬化性部分22のうち、熱可塑性部分21上の部分は、熱可塑性部分21の形態に沿った膜状の形態を有する。熱硬化性部分22のうち、熱可塑性部分21上の部分は、図2に示すように、熱可塑性部分21に対応する粒状感を有する。トナーコア10の表面において熱可塑性部分21がない領域では、トナーコア10の表面に直接的に熱硬化性部分22が形成されている。熱可塑性部分21は、部分的にトナーコア10に埋め込まれている。例えば機械的な衝撃力によって熱可塑性部分21をトナーコア10に付着させることで、熱可塑性部分21の底部(トナーコア10に近い部分)をトナーコア10に埋め込むことができる。熱可塑性部分21は、例えば、トナーコア10の表面で樹脂粒子が溶け広がった形態を有する。また、熱硬化性部分22は、例えば塗膜である。
構成(1)は、トナーの耐熱保存性を向上させるために有益である。詳しくは、トナーコアがシェル層で覆われることで、トナーの耐熱保存性が向上すると考えられる。
構成(2)は、トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率を向上させるために有益である。以下、構成(2)によって奏される作用及び効果について説明する。
構成(2)を有するトナーでは、シェル層が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含む。こうしたシェル層の構成により、トナーの耐熱保存性及び定着性の両立が図られる。詳しくは、熱可塑性樹脂がトナーの定着性(特に、低温定着性)を改善し、熱硬化性樹脂がトナーの耐熱保存性を改善すると考えられる。また、シェル層に熱可塑性樹脂を含ませることで、熱硬化性樹脂を含むシェル層を、トナーコアの表面に均一に形成し易くなる。
シェル層が水溶性樹脂を多く含む場合、トナー粒子が吸水し易くなる。トナー粒子が水分子を吸収すると、トナー粒子の表面の電気伝導度が高くなり、トナー粒子の電荷保持性が低くなる傾向がある。そして、トナー粒子の電荷保持性が低くなると、トナーの帯電量が低下して、トナーを用いて高画質の画像を形成することが困難になると考えられる。
カールソン法による転写工程では、トナーが感光体に付着してから転写ベルトに転写(一次転写)されるまでの時間が0.1秒以上1.0秒以下であることが多い。トナーの帯電量が低下すると、電界によりトナーが移動しにくくなり、転写効率が低下する傾向がある。また、トナーの二次転写(転写ベルトから記録媒体への転写)でも、同様に転写効率が低下する傾向がある。
構成(2)を有するトナーでは、シェル層が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含む。こうしたシェル層の構成により、シェル層に含まれる水溶性樹脂の量を少なくすることが可能になる。このため、トナーが構成(2)を有することで、トナー粒子の吸水(ひいては、上述の電荷減衰等)を抑制するとともに、転写効率を向上させることが可能になると考えられる。トナー粒子の吸水(ひいては、上述の電荷減衰等)を抑制するためには、シェル層が水溶性樹脂を含まないことがより好ましい。
また、シェル層の劣化等に起因してシェル層から樹脂粒子が脱離すると、脱離した樹脂粒子がキャリアを汚染し、トナーの帯電量を低下させる傾向がある。また、シェル層の剥がれが生じると、トナーが感光体ドラムの表面に付着し易くなる。
構成(2)を有するトナーでは、熱可塑性部分の少なくとも一部が、凹凸を有する膜状の形態を有し、トナーコアの表面に形成されている。また、熱硬化性部分の少なくとも一部は熱可塑性部分上に形成されている。熱硬化性部分のうち、熱可塑性部分上の部分は、熱可塑性部分の形態に沿った膜状の形態を有する。熱硬化性部分が熱可塑性部分の凹部に入り込むことで、シェル層から樹脂粒子が脱離しにくくなり、トナーの耐ドラム付着性が向上すると考えられる。
シェル層からの樹脂脱離を抑制するためには、トナーコアの表面が部分的に熱可塑性部分に覆われておらず、シェル層の熱硬化性部分がトナーコアの表面(熱可塑性部分に覆われていない部分)にも熱可塑性部分の表面にも形成されていることが好ましい。また、シェル層からの樹脂脱離を抑制しつつトナーの耐熱保存性を向上させるためには、シェル層の熱可塑性部分よりもシェル層の熱硬化性部分のほうが、トナーコアの表面積に対する被覆面積率が高いことが好ましい。トナーの耐熱保存性を向上させるためには、シェル層の熱可塑性部分が、トナーコアの表面積のうち50%以上の面積を覆い、シェル層の熱硬化性部分が、トナーコアの表面積のうち80%以上の面積を直接的又は間接的に覆っていることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、構成(1)及び(2)の両方を有するトナー粒子(以下、本実施形態のトナー粒子と記載する)を含む。本実施形態のトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れると考えられる(後述する表2参照)。なお、トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率を向上させるためには、トナーが、80個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが好ましく、90個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがより好ましく、100個数%の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがさらに好ましい。
なお、構成(2)において、シェル層は、非水溶性熱可塑性樹脂でも非水溶性熱硬化性樹脂でもない樹脂を含んでいてもよい。ただし、トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率を向上させるためには、シェル層に含まれる樹脂のうち、80質量%以上の樹脂が非水溶性熱可塑性樹脂又は非水溶性熱硬化性樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂が非水溶性熱可塑性樹脂又は非水溶性熱硬化性樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂が非水溶性熱可塑性樹脂又は非水溶性熱硬化性樹脂であることがさらに好ましい。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)を割愛してもよい。なお、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含んでもよい。
(結着樹脂)
トナーコアの大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(測定方法:JIS K−0070)及び酸価(測定方法:JIS K−0070)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、酸基、メチル基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基を有する樹脂が好ましく、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂がより好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、シェル材料の硬化開始温度以下であることが好ましい。こうしたTgを有する結着樹脂を用いる場合には、高速定着時においてもトナーの定着性が劣化しにくいと考えられる。ガラス転移点(Tg)は、後述する実施例で示す方法又はその代替方法により測定できる。
結着樹脂の軟化点(Tm)は100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。結着樹脂のTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)であることで、高速定着時においてもトナーの定着性が劣化しにくくなる。また、結着樹脂のTmが100℃以下(より好ましくは95℃以下)である場合には、水系媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する際に、シェル層の硬化反応中にトナーコアが部分的に軟化し易くなるため、トナーコアが表面張力により丸みを帯び易くなる。なお、軟化点(Tm)は、後述する実施例で示す方法又はその代替方法により測定できる。また、異なるTmを有する複数種の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。結着樹脂が熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル系樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、もしくはウレタン樹脂のような単独重合体、又はこれらの単独重合体と同一のモノマーを含む共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)が好ましい。トナーコア中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、スチレン−アクリル系樹脂又はポリエステル樹脂が特に好ましい。
以下、結着樹脂として用いることのできるスチレン−アクリル系樹脂について説明する。スチレン−アクリル系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体である。
スチレン−アクリル系樹脂を調製するためのスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが好ましい。
スチレン−アクリル系樹脂を調製するためのアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
スチレン−アクリル系樹脂を調製する際に、ヒドロキシル基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレン−アクリル系樹脂にヒドロキシル基を導入できる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレン−アクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレン−アクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル系樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂である場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、スチレン−アクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレン−アクリル系樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレン−アクリル系樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ジオール類又はビスフェノール類のような2価アルコールを使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルのようなビスフェノール類を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコールを好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)のような2価カルボン酸を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素数1以上6以下のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
トナーコアの結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMnとMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含んでいてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含んでいてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含ませることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含ませる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト等)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。1種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するため、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
本実施形態に係るトナーは、前述の構成(2)を有する。シェル層は、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含む。
シェル層の熱可塑性部分を構成する非水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、もしくはポリエステル樹脂のような単独重合体、又はこれらの単独重合体と同一のモノマーを含む共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル系共重合体、シリコーン−アクリル系グラフト共重合体、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体等)を好適に使用できる。トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率を向上させるためには、シェル層の熱可塑性部分が、非水溶性熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含むことが特に好ましい。
シェル層の熱硬化性部分を構成する非水溶性熱硬化性樹脂としては、例えば、架橋アクリル系樹脂、架橋ビニル系樹脂、架橋ウレタン樹脂、架橋ポリエステル樹脂、もしくはエポキシ樹脂のような単独重合体、又はこれらの単独重合体と同一のモノマーを含む共重合体が好ましい。
熱可塑性部分の非水溶性熱可塑性樹脂と熱硬化性部分の非水溶性熱硬化性樹脂との少なくとも一方を合成するためのアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸アリールエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸フェニルが好ましい。
熱可塑性部分の非水溶性熱可塑性樹脂と熱硬化性部分の非水溶性熱硬化性樹脂との少なくとも一方を合成するためのスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが好ましい。
樹脂の架橋密度を高めるために硬化剤を使用してもよい。例えば、トナーの耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率を向上させるためには、シェル層の熱硬化性部分が、非水溶性熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を含むことが特に好ましい。エポキシ樹脂は、エポキシ基を有するエポキシ化合物(より好ましくは、脂環式エポキシ化合物)とその硬化剤とを反応させて三次元的に架橋させることで、合成できる。
また、熱可塑性モノマー(より具体的には、アクリル系モノマー又はスチレン系モノマー等)に硬化剤を添加することによって、熱硬化性樹脂を得ることができる。硬化剤としては、芳香族ジビニル化合物(より具体的には、ジビニルベンゼン又はジビニルナフタレン等)、二重結合を2個有するカルボン酸エステル(より具体的には、エチレングリコールジアクリレート等)、ジビニル化合物(より具体的には、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、又はジビニルスルホン等)、又は3個以上のビニル基を有する化合物を好適に使用できる。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子を好適に使用できる。1種の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーと現像剤用キャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。現像剤用キャリアとしては、例えば、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを有する磁性キャリアを好適に使用できる。磁性キャリアを作製するためには、キャリアコアを磁性材料で形成してもよいし、樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。トナー飛散を抑制し、高品質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの含有量は、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
[トナーの製造方法]
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法の一例について説明する。まず、トナーコアを準備する。続けて、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性粒子を準備する。続けて、機械的な力によりトナーコアの表面に熱可塑性粒子を付着させて、トナーコア及び熱可塑性粒子を有する中間粒子を得る。続けて、得られた中間粒子を気流中で流動させながら、非水溶性熱硬化性樹脂を合成するための材料を中間粒子に噴霧することにより、トナーコアの表面にシェル層を形成する。
以下、より具体的な例に基づいて、本実施形態に係るトナーの製造方法についてさらに説明する。
(トナーコアの準備)
好適なトナーコアを容易に得るためには、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを製造することが好ましく、粉砕法によりトナーコアを製造することがより好ましい。
以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
以下、凝集法の一例について説明する。まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を水系媒体中で凝集させて、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子を得る。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。その結果、トナーコアの分散液が得られる。その後、トナーコアの分散液から、不要な物質(分散剤等)を除去することで、トナーコアが得られる。
(シェル層の形成)
熱可塑性粒子の作製方法の一例について説明する。まず、熱可塑性モノマー(例えば、アクリル系モノマー及び/又はスチレン系モノマー)を溶液に溶かす。続けて、溶液中で熱可塑性モノマーを重合反応させて、樹脂粒子のサスペンションを得る。続けて、得られた樹脂粒子のサスペンションをフリーズドライ処理する。その結果、熱可塑性粒子が得られる。
次に、得られた熱可塑性粒子を、トナーコアの表面に付着させる。表面改質装置(例えば、株式会社奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステムNHS−1」)を用いることで、機械的な力によりトナーコアの表面に熱可塑性粒子を付着させることができる。詳しくは、表面改質装置の流路内に気流を生じさせて、トナーコア及び樹脂粒子を気流中に分散させる。トナーコア及び樹脂粒子はそれぞれ気流に従って流動する。そして、流路内を所定の回転速度(例えば、2000rpm以上10000rpm以下から選ばれる速度)で攪拌しながら、流路内にトナーコア及び樹脂粒子を所定の時間(例えば、5分間以上1時間以下から選ばれる時間)滞留させる。流路内でトナーコア及び樹脂粒子を攪拌することで、衝撃力によりトナーコアの表面に熱可塑性粒子が付着する。その結果、中間粒子が得られる。
続けて、得られた中間粒子を気流中で流動させながら、非水溶性熱硬化性樹脂を合成するための材料(例えば、エポキシ化合物及びその硬化剤)を中間粒子に噴霧する。そして、流路内を所定の回転速度(例えば、2000rpm以上10000rpm以下から選ばれる速度)で攪拌しながら、流路内にトナーコア及び樹脂粒子を所定の時間(例えば、5分間以上1時間以下から選ばれる時間)滞留させる。攪拌により発熱して流路内の温度は上昇する。温度の上昇により、トナーコアの表面で、樹脂粒子が溶け広がるとともに、噴霧した材料が樹脂化すると考えられる。その結果、トナーコアの表面にシェル層が形成され、トナー母粒子が得られる。
続けて、得られたトナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する。その後、必要に応じて、トナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。これにより、トナー粒子を多数有するトナーが完成する。なお、上記トナーの製造方法の内容及び順序はそれぞれ、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。また、シェル材料は、一度に溶媒に添加されてもよいし、複数回に分けて溶媒に添加されてもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。トナーコアを形成するための材料(以下、トナーコア材料と記載する)及びシェル材料はそれぞれ、前述の化合物(樹脂を合成するためのモノマー等)に限られない。例えば、必要に応じて、前述の化合物の誘導体をトナーコア材料又はシェル材料として使用してもよいし、モノマーに代えてプレポリマーを使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーA−1〜A−3、B−1〜B−4、C、D、及びE(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。
以下、トナーA−1〜A−3、B−1〜B−4、C、D、及びEの製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、複数の粒子を含む粉体(例えば、トナーコア、樹脂粒子、トナー母粒子、外添剤、又はトナー)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、一次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)である。また、個数平均粒子径の測定値は、何ら規定していなければ、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子を撮影して測定した値である。また、体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いて測定した値である。また、Tg(ガラス転移点)及びTm(軟化点)の測定方法はそれぞれ、何ら規定していなければ、次に示すとおりである。
<Tgの測定方法>
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、トナーコアの結着樹脂、又はシェル層の形成に用いられる樹脂粒子)の吸熱曲線を測定することにより、吸熱曲線における比熱の変化点から試料のTgを求めた。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、結着樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。続けて、得られたS字カーブから試料のTmを読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値(mm)をS1とし、低温側のベースラインのストローク値(mm)をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、測定試料(結着樹脂)のTmに相当する。
[トナーA−1の製造方法]
(トナーコアの作製)
低粘度ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃)150gと、カルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)55gと、着色剤(DIC株式会社製「KET BLUE 111」、フタロシアニンブルー)40gとを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転速度2400rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、シリンダ温度100℃以上130℃以下の条件で、溶融混練した。続けて、得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕品を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕品を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6μmのトナーコアが得られた。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内にイオン交換水875mLと、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムル(登録商標)WX」、成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、固形分濃度:26質量%)75mLとを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に上げた。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけてフラスコ内に滴下した。第1の液は、スチレン17mLと、アクリル酸ブチル3mLとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。
続けて、温度80℃、回転速度100rpmの条件で、フラスコ内容物を2時間攪拌し、フラスコ内容物を重合させて、樹脂粒子のサスペンションを得た。続けて、得られたサスペンションをフリーズドライ処理することにより、樹脂粒子(粉体)を得た。以下、得られた樹脂粒子を、樹脂粒子Aと記載する。樹脂粒子Aに関して、個数平均粒子径は100nmであり、Tgは71℃であった。
上記のようにして得られた樹脂粒子Aを、表面改質装置を用いてトナーコアの表面に付着させた。表面改質装置としては、株式会社奈良機械製作所製の「ハイブリダイゼーションシステムNHS−1」(動力:5.5kW、仕込量:200g/バッチ、ローター径:230mm)の容器上部に流体ノズルを取り付けた装置を用いた。この表面改質装置は、高速気流中に試料を分散させながら、衝撃力を主体とした力を用いて乾式で試料(母粒子)の表面を微粒子(子粒子)で表面改質又は複合化する装置である。微粒子(子粒子)は、試料(母粒子)の表面に固定化される。
具体的には、上記表面改質装置の流路内に気流を生じさせて、前述の手順で作製した200gのトナーコアと、前述の手順で作製した2gの樹脂粒子Aとを、室温(25℃)の気流中に分散させた。そして、上記表面改質装置を用いて、流路内を回転速度6000rpmで攪拌しながら、流路内にトナーコア及び樹脂粒子Aを10分間滞留させた。
続けて、上記回転速度6000rpmでの攪拌を続けながら、流体ノズルを用いて二官能脂環式エポキシ化合物(株式会社ダイセル製「セロキサイド(登録商標)2021P」、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)2gを気流中に噴霧し、さらに5分間滞留させた。続けて、上記回転速度6000rpmでの攪拌を続けながら、エポキシ樹脂硬化剤(三菱化学株式会社製「jERキュア(登録商標)LV11」)0.5gを気流中に噴霧し、さらに10分間滞留させた。以下、このときの滞留時間を、硬化剤添加後の滞留時間と記載する。以下、二官能脂環式エポキシ化合物の添加(噴霧)からエポキシ樹脂硬化剤添加後の滞留が完了するまでの工程を、硬化剤添加工程と記載する。
上記工程により、トナーコアの表面にシェル層が形成され、トナー母粒子が得られた。攪拌により発熱して流路内の温度が約45℃まで上昇していた。
(洗浄工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子をイオン交換水に分散させて、トナー母粒子の分散液を得た。続けて、得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを3回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子(粉体)が得られた。
(外添工程)
続けて、得られたトナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーA−1が得られた。
[トナーA−2の製造方法]
トナーA−2の製造方法は、樹脂粒子Aの代わりに樹脂粒子Bを用いた以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。樹脂粒子Bの作製方法は、アニオン界面活性剤の使用量を75mLから25mLに変更した以外は、樹脂粒子Aの作製方法と同じであった。樹脂粒子Bに関して、個数平均粒子径は250nmであり、Tgは68℃であった。
[トナーA−3の製造方法]
トナーA−3の製造方法は、樹脂粒子Aの代わりに樹脂粒子Cを用いた以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。樹脂粒子Cの作製方法は、第1の液として、スチレン17mLとアクリル酸ブチル3mLとの混合液の代わりに、スチレン100mLを使用した以外は、樹脂粒子Aの作製方法と同じであった。樹脂粒子Cに関して、個数平均粒子径は102nmであり、Tgは103℃であった。
[トナーB−1の製造方法]
トナーB−1の製造方法は、硬化剤添加後の滞留時間を10分間から30分間に変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーB−2の製造方法]
トナーB−2の製造方法は、エポキシ樹脂硬化剤の使用量を0.5gから1.5gに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーB−3の製造方法]
トナーB−3の製造方法は、樹脂粒子Aの使用量を2gから4gに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーB−4の製造方法]
トナーB−4の製造方法は、二官能脂環式エポキシ化合物の使用量を2gから3gに変更し、エポキシ樹脂硬化剤の使用量を0.5gから1.5gに変更した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーCの製造方法]
トナーCの製造方法は、硬化剤添加工程を省略した以外は、トナーA−1の製造方法と同じであった。
[トナーDの製造方法]
トナーDの製造方法では、トナーA−1の製造方法で使用したトナーコアと、樹脂粒子Aの作製途中で得られた樹脂粒子のサスペンションとを用いた。トナーDの製造方法では、樹脂粒子のサスペンションを得た後にフリーズドライ処理を行わなかった。使用した樹脂粒子のサスペンションに関して、個数平均粒子径は89nmであり、Tgは72℃であった。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。続けて、フラスコ内に、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)0.35mLと、上記樹脂粒子のサスペンション15mLとを添加した。そして、フラスコ内でメチロールメラミンを溶解させて、シェル材料の水溶液を得た。
続けて、得られたシェル材料の水溶液に、上記トナーコア300gを添加し、フラスコ内容物を回転速度200rpmで1時間攪拌した。その後、フラスコ内に、イオン交換水300mLを添加した。続けて、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内の温度を70℃まで上げた。
続けて、温度70℃、回転速度100rpmの条件で、フラスコ内容物を2時間攪拌した。続けて、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が常温になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
その後、トナーA−1の製造方法と同様の、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程を経て、トナーDを得た。ただし、トナー母粒子の洗浄では、分散とろ過とを5回繰り返した。
[トナーEの製造方法]
トナーEの製造方法は、樹脂粒子のサスペンション15mLの代わりに、アクリルアミド樹脂の水溶液(DIC株式会社製「BECKAMINE(登録商標)A−1」、固形分濃度11質量%)27mLを使用した以外は、トナーDの製造方法と同じであった。
[評価方法]
各試料(トナーA−1〜A−3、B−1〜B−4、C、D、及びE)の評価方法は、以下の通りである。
(耐熱保存性)
試料(トナー)2gを容量20mLのポリ容器に入れて、その容器を、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。これにより、容器内に評価用トナーが得られた。
続けて、100メッシュ(目開き150μm)の質量既知の篩上に評価用トナーを載せた。そして、評価用トナーを載せた篩の質量を測定することにより、篩上の評価用トナーの質量を求めた。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の振動強度で、篩を30秒間振動させ、評価用トナーを篩別した。篩別後に、残留トナーを含む篩の質量を測定することで、篩上に残留したトナーの質量(g)を測定した。そして、次の式に基づいて試料(トナー)の凝集度(質量%)を算出した。
凝集度(質量%)=100×篩上の残留トナーの質量/篩別前のトナーの質量
凝集度が50質量%以下であれば○(良い)と評価し、凝集度が50質量%を超えれば×(良くない)と評価した。
(電荷減衰特性)
試料(トナー)の電荷減衰定数は、静電気拡散率測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−D100」)を用いて、「JIS C 61340−2−1」に準拠した方法で測定した。以下に、トナーの電荷減衰定数の測定方法を詳述する。
測定セルに試料(トナー)を入れた。測定セルは、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された金属製のセルであった。スライドガラスを用いて試料を上から押し込み、セルの凹部に試料を充填した。セルの表面においてスライドガラスを往復移動させることによって、セルから溢れた試料を除去した。試料の充填量は0.04g以上0.06g以下であった。
続けて、試料が充填された測定セルを、温度32℃、湿度80%RHの環境下で12時間静置した。続けて、接地させた測定セルを静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電によって試料にイオンを供給して、試料を帯電させた。帯電時間は0.5秒間であった。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、試料の表面電位を連続的に測定した。測定された表面電位と、式「V=V0exp(−α√t)」とに基づいて、電荷減衰定数(電荷減衰速度)αを算出した。式中、Vは表面電位[V]、V0は初期表面電位[V]、tは減衰時間[秒]をそれぞれ示す。
電荷減衰定数が0.010以下であれば○(良い)と評価し、電荷減衰定数が0.010超0.100以下であれば△(普通)と評価し、電荷減衰定数が0.100を超えれば×(悪い)と評価した。
(転写効率、耐ドラム付着性)
現像剤用キャリア(TASKalfa5550ci用キャリア)100質量部と、トナー10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。調製された2成分現像剤を用いて画像を形成して、転写効率及び耐ドラム付着性を評価した。評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa5550ci」)を用いた。上述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像器に投入し、評価機のトナーコンテナに試料(補給用トナー)を投入した。
転写効率の評価では、上記評価機を用いて、温度32℃、湿度80%RHの環境下で、印字率5%の連続印刷を1万枚の記録媒体(A4サイズの印刷用紙)に対して行った。その後、消費トナーの質量と回収トナーの質量とをそれぞれ測定して、下記式に基づいて転写効率を算出した。なお、消費トナーは、トナーコンテナにセットされた試料(トナー)のうち、トナーコンテナから排出されたトナーである。また、回収トナーは、消費トナーのうち、記録媒体に転写されなかったトナーである。
転写効率(質量%)=100×(消費トナーの質量−回収トナーの質量)/消費トナーの質量
転写効率が90質量%以上であれば○(良い)と評価し、転写効率が80質量%以上90質量%未満であれば△(普通)と評価し、転写効率が80質量%未満であれば×(悪い)と評価した。
耐ドラム付着性の評価では、上記評価機を用いて、温度32℃、湿度80%RHの環境下で、印字率5%の連続印刷を1万枚の記録媒体(A4サイズの印刷用紙)に行った。その後、トナー載り量0.5mg/cm2の条件で、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、90g/m2)に未定着のソリッド画像を形成した。そして、評価用紙上のソリッド画像を目視で観察した。
ソリッド画像にダッシュマークが観察されなければ○(良い)と評価し、ソリッド画像にダッシュマークが観察されれば×(良くない)と評価した。なお、ダッシュマークは、トナーが感光体ドラムの表面に付着することに起因して生じ得る画像欠陥である。
[評価結果]
以下、トナーA−1〜A−3、B−1〜B−4、C、D、及びEの各々の評価結果について説明する。表2に、トナーA−1〜A−3、B−1〜B−4、C、D、及びEの各々の耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率の評価結果を示す。耐ドラム付着性の評価結果に関する表2中の「300枚」は、300枚印刷した時点でダッシュマークが観察されたことを示している。
表2に示されるように、トナーA−1〜A−3及びB−1〜B−4(実施例1〜7に係るトナー)はそれぞれ、耐熱保存性、電荷減衰特性、耐ドラム付着性、及び転写効率に優れていた。実施例1〜7に係るトナーはそれぞれ、前述の構成(1)及び(2)を有していた。実施例1〜7に係るトナーはいずれも、図2に示される形態と同様の形態を有していた。
本発明に係るトナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナーコア
20 シェル層
21 熱可塑性部分
22 熱硬化性部分

Claims (7)

  1. コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを有するトナー粒子を、複数含み、
    前記シェル層が、実質的に非水溶性熱硬化性樹脂から構成される熱硬化性部分と、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性部分とを含み、
    前記熱可塑性部分の少なくとも一部は、凹凸を有する膜状の形態を有し、前記コアの表面に形成されており、
    前記熱硬化性部分の少なくとも一部は前記熱可塑性部分上に形成され、前記熱硬化性部分のうち、前記熱可塑性部分上の部分は、前記熱可塑性部分の前記形態に沿った膜状の形態を有する、トナー。
  2. 前記シェル層の前記熱可塑性部分は、部分的に前記コアに埋め込まれている、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シェル層の前記熱硬化性部分の表面は、粒状感を有する、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記熱硬化性部分は、前記非水溶性熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記熱可塑性部分は、前記非水溶性熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記シェル層は水溶性樹脂を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナーを製造する方法であって、
    前記コアを準備することと、
    実質的に非水溶性熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性粒子を準備することと、
    機械的な力により前記コアの表面に前記熱可塑性粒子を付着させて、前記コア及び前記熱可塑性粒子を有する中間粒子を得ることと、
    前記中間粒子を気流中で流動させながら、非水溶性熱硬化性樹脂を合成するための材料を前記中間粒子に噴霧することにより、前記コアの表面に前記シェル層を形成することと、
    を含む、トナーの製造方法。
JP2015038032A 2015-02-27 2015-02-27 トナーの製造方法 Expired - Fee Related JP6330696B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015038032A JP6330696B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 トナーの製造方法
US15/047,832 US9740127B2 (en) 2015-02-27 2016-02-19 Toner

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015038032A JP6330696B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 トナーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016161630A true JP2016161630A (ja) 2016-09-05
JP6330696B2 JP6330696B2 (ja) 2018-05-30

Family

ID=56798243

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015038032A Expired - Fee Related JP6330696B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 トナーの製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9740127B2 (ja)
JP (1) JP6330696B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017156542A (ja) * 2016-03-02 2017-09-07 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02880A (ja) * 1988-01-29 1990-01-05 Minolta Camera Co Ltd 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JPH08129271A (ja) * 1994-11-01 1996-05-21 Tomoegawa Paper Co Ltd 電子写真用トナーおよびその製造方法
JP2009014757A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Sharp Corp トナー、その製造方法ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置および画像形成装置
JP2009015175A (ja) * 2007-07-06 2009-01-22 Sharp Corp トナー、その製造方法ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置および画像形成装置
JP2010250130A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Sharp Corp カプセルトナーおよびカプセルトナーの製造方法
JP2011070035A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Sharp Corp 一成分現像剤用トナーの製造方法
JP2013164522A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Sharp Corp カプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法
JP2014026166A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Kyocera Document Solutions Inc 静電潜像現像用トナー

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4072041B2 (ja) 2002-08-23 2008-04-02 トッパン・フォームズ株式会社 薄膜被覆微トナーの製造方法
KR20050048618A (ko) 2002-08-23 2005-05-24 돗빤호무즈가부시기가이샤 박막 피복 토너

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02880A (ja) * 1988-01-29 1990-01-05 Minolta Camera Co Ltd 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JPH08129271A (ja) * 1994-11-01 1996-05-21 Tomoegawa Paper Co Ltd 電子写真用トナーおよびその製造方法
JP2009014757A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Sharp Corp トナー、その製造方法ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置および画像形成装置
JP2009015175A (ja) * 2007-07-06 2009-01-22 Sharp Corp トナー、その製造方法ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置および画像形成装置
JP2010250130A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Sharp Corp カプセルトナーおよびカプセルトナーの製造方法
JP2011070035A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Sharp Corp 一成分現像剤用トナーの製造方法
JP2013164522A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Sharp Corp カプセルトナー、2成分現像剤およびカプセルトナーの製造方法
JP2014026166A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Kyocera Document Solutions Inc 静電潜像現像用トナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP6330696B2 (ja) 2018-05-30
US9740127B2 (en) 2017-08-22
US20160252835A1 (en) 2016-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6369574B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6038108B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6465045B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6380330B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6369567B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6424788B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6390534B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6269459B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6458862B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2017058457A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6418336B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2016156878A (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6409763B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6337839B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6237677B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6330696B2 (ja) トナーの製造方法
JP6387901B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2017125957A (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
US9857712B2 (en) Electrostatic latent image developing toner
JP6493031B2 (ja) 正帯電性トナー
JP2016170328A (ja) トナー
JP6394582B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6332127B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP2019061100A (ja) トナー及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171010

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6330696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees