JP2013164521A - カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナー - Google Patents

カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナー Download PDF

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Abstract

【課題】 回転撹拌装置を用いたカプセルトナーの製造時における、トナー粒子の壁面への付着、およびトナー粒子同士のブロッキングを抑制することができるカプセルトナーの製造方法、ならびにカプセルトナーを提供する。
【解決手段】 カプセルトナーの製造方法は、樹脂微粒子付着工程と、被膜形成工程とを含む。被膜形成工程では、温度調整された粉体流路202内を流動している樹脂微粒子付着トナー母粒子に、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を噴霧して、樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の樹脂微粒子を膜化させながら、該樹脂微粒子付着トナー母粒子に、冷却媒体を噴霧または噴射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カプセルトナーの製造方法、およびカプセルトナーに関する。
従来から、結着樹脂を含むトナー粒子などの粉体粒子の表面改質処理方法として、スクリュー、ブレード、ロータなどの回転撹拌手段で機械的撹拌力を付与することによって、粉体粒子を粉体流過路内で流動させ、流動状態にある粉体粒子にスプレーノズルから被覆材料を噴霧する方法が知られている。
また、特許文献1には、結着樹脂を含むトナー母粒子表面に樹脂微粒子を均一に固定化して樹脂微粒子固定化トナーを得た後、回転撹拌装置を用いて、樹脂微粒子固定化トナーに、トナー母粒子と樹脂微粒子とを可塑化させる効果のある液体を噴霧しながら樹脂微粒子を展延し、トナー母粒子表面に樹脂微粒子の被膜を形成するカプセルトナーの製造方法が開示されている。
特開2010−145755号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示のカプセルトナーの製造方法では、熱耐久性に関する問題が発生する。熱耐久性に関する問題とは、具体的には、ガラス転移温度の低い結着樹脂を使用した場合、トナー粒子またはトナー母粒子が壁面に付着する、また、トナー粒子同士またはトナー母粒子同士がブロッキングして大粒径のトナー粒子が生成するという問題である。
このような熱耐久性に関する問題が発生すると、トナー粒子について均一な所望の物性を得ることができないことがあり、製品の品質面で大きな問題を引き起こすことがある。特に、粗大粒子は、白抜けという画像欠陥が発生する原因となる。また、カプセルトナーの収率、生産効率などの観点からも大きな問題となる。
本発明の目的は、回転撹拌装置を用いたカプセルトナーの製造時における、トナー粒子の壁面への付着、およびトナー粒子同士のブロッキングを抑制することができるカプセルトナーの製造方法、ならびにカプセルトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る樹脂微粒子付着工程と、
樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、樹脂微粒子付着トナー母粒子を、温度調整された粉体流路内で流動させ、前記樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の前記樹脂微粒子を膜化させながら、該樹脂微粒子付着トナー母粒子に、冷却媒体を噴霧または噴射する被膜形成工程と、を含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
また本発明は、被膜形成工程で、粉体流路内を流動している樹脂微粒子付着トナー母粒子に、前記トナー母粒子および前記樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を噴霧することを特徴とする。
また本発明は、被膜形成工程では、
回転することによって樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、複数の屈曲部を有する粉体流路内を流動させる回転撹拌手段と、
粉体流路内の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、
粉体流路内に前記可塑化液体を噴霧する噴霧手段と、
複数の前記屈曲部にそれぞれ設けられ、粉体流路内に前記冷却媒体を噴霧または噴射する複数の冷却媒体供給手段と、を備える回転撹拌装置を用いることを特徴とする。
また本発明では、冷却媒体供給手段は、さらに、噴霧手段の近傍にも設けられることを特徴とする。
また本発明では、冷却媒体供給手段は、冷却媒体として、液体窒素を噴霧する、または、冷却媒体として、0℃以下の温度の窒素ガスを噴射することを特徴とする。
また本発明は、前記カプセルトナーの製造方法によって得られることを特徴とするカプセルトナーである。
本発明によれば、カプセルトナーの製造方法は、樹脂微粒子付着工程と、被膜形成工程とを含む。
樹脂微粒子付着工程では、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
被膜形成工程では、樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、樹脂微粒子付着トナー母粒子を、温度調整された粉体流路内で流動させ、前記樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の前記樹脂微粒子を膜化させながら、該樹脂微粒子付着トナー母粒子に、冷却媒体を噴霧または噴射する。
カプセルトナー製造時において、局所的に樹脂微粒子付着トナー母粒子が集中し密度が高まる部分に対して冷却媒体を噴霧または噴射することによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路壁面への融着や、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を抑制することができる。このようにして製造されたカプセルトナーは、樹脂被覆層が均一に形成されているので、熱耐久性に優れ、画像欠陥のない良好な画像を形成することができる。
また本発明によれば、被膜形成工程で、粉体流路内を流動している樹脂微粒子付着トナー母粒子に、前記トナー母粒子および前記樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を噴霧するので、樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の樹脂微粒子を充分に膜化することができる。
また本発明によれば、被膜形成工程では、回転することによって樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、複数の屈曲部を有する粉体流路内を流動させる回転撹拌手段と、粉体流路内の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、粉体流路内に可塑化液体を噴霧する噴霧手段と、複数の屈曲部それぞれに設けられ、粉体流路内に冷却媒体を噴霧または噴射する複数の冷却媒体供給手段と、を備える回転撹拌装置を用いる。
カプセルトナー製造時において、局所的に樹脂微粒子付着トナー母粒子が集中し密度が高まる部分、すなわち粉体流路の屈曲部に対して冷却媒体を噴霧または噴射することができるこのような回転撹拌装置を用いることによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路壁面への融着や、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を一層抑制することができる。
また本発明によれば、冷却媒体供給手段は、さらに、噴霧手段の近傍にも設けられる。
冷却媒体供給手段が、噴霧手段の近傍にも設けられることによって、可塑化液体が噴霧されて、粉体流路壁面へ融着しやすくなり、また、凝集しやすくなった樹脂微粒子付着トナー母粒子を、効率的に冷却することができるので、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路壁面への融着や、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集をより一層抑制することができる。
また本発明によれば、冷却媒体供給手段は、冷却媒体として、液体窒素を噴霧する、または、冷却媒体として、0℃以下の温度の窒素ガスを噴射する。窒素ガスは、安全性が高いので、冷却媒体の回収設備を設ける必要がない。したがって、安全、かつコストを抑えてカプセルトナーを製造することができる。
また本発明は、本発明のカプセルトナーは、本発明のカプセルトナーの製造方法によって製造されるので、樹脂被覆層が均一に形成されており、熱耐久性に優れる。したがって、画像欠陥のない良好な画像を形成することができる。
本発明の実施の一形態であるカプセルトナーの製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態であるカプセルトナーの製造方法で用いる回転撹拌装置201の構成を示す正面図である。 図2に示す回転撹拌装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。 粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
図1は、本発明の実施の一形態であるカプセルトナーの製造方法を示すフローチャートである。図2,3は、本実施形態のカプセルトナーの製造方法で用いる回転撹拌装置201の構成を示す図であり、詳しくは、図2は、本実施形態であるカプセルトナーの製造方法で用いる回転撹拌装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示す回転撹拌装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。
粉体流路202内において、樹脂微粒子付着トナー母粒子は、回転撹拌手段204の回転によって回転撹拌手段204の外周部に集められ、循環管209へと押し出される。循環管209には、複数の屈曲部2a〜2cがあり、樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動方向が変わることと、回転撹拌手段204から追い出された樹脂微粒子付着トナー母粒子が一カ所に集まることとから、循環管209には、局所的に樹脂微粒子付着トナー母粒子の密度が高く部分がある。
樹脂微粒子付着トナー母粒子の密度が高くなると、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士が衝突しやすくなり、その密度の高い部分で局所的に温度が上昇するので、樹脂微粒子付着トナー母粒子が粉体流路の壁面に融着したり、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集が発生しやすくなる。
特に、トナー母粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移温度が低い場合には、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202壁面への溶着が一層発生しやすくなり、衝突によって樹脂微粒子付着トナー母粒子の変形も起こりやすくなる。
粉体流路壁面の樹脂微粒子付着トナー母粒子が融着した部分には、さらに他の樹脂微粒子付着トナー母粒子が融着しやすくなる。このようにして発生した粗大粉や、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集により発生した粗大粉が、後の工程でも取り除かれず製品(カプセルトナー)に混入する可能性があり、画像欠陥として問題となることがある。
特に粉体流路内を流動する樹脂微粒子付着トナー母粒子の量を増やすと、粉体流路202壁面の単位面積あたりに衝突する樹脂微粒子付着トナー母粒子の数が多くなり、樹脂微粒子付着トナー母粒子の密度が高くなることから、粗大粉がさらに発生しやすくなる。
本実施形態のカプセルトナーの製造方法では、粉体流路202内を流動している樹脂微粒子付着トナー母粒子に冷却媒体を噴霧または噴射することによって、粉体流路202を局所的に冷却することができる。そのため、回転撹拌装置201全体を過度に冷却することなく、粉体流路202内における、樹脂微粒子付着トナー母粒子の密度が高い部分を冷却媒体で冷却することができるので、粉体流路202の壁面への樹脂微粒子付着トナー母粒子の融着、および樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を効果的に抑制することができる。
また、粉体流路202の温度を、樹脂微粒子が膜化するために必要な温度に保つことができるので、樹脂微粒子をトナー母粒子表面で均一に膜化することができる。その結果、トナー母粒子の表面に、膜厚の均一な樹脂被覆層を形成することができるので、熱耐久性に優れたカプセルトナーを得ることができるとともに、カプセルトナー同士の凝集が抑えられることから、粗大粉の発生量が減少し、画像欠陥を防止することができる。
以下では、(1)トナー母粒子、(2)樹脂微粒子、(3)回転撹拌装置201、(4)本実施形態のカプセルトナーの製造方法について詳細に記載する。
(1)トナー母粒子
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む粒子である。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができる。たとえば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ポリエステルは透明性に優れ、凝集粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用の結着樹脂に好適である。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
多価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。またポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
結着樹脂は、ガラス転移温度が30〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が30℃未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生し易くなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移温度が80℃を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。また、同様の観点から、結着樹脂は、軟化温度が60〜150℃であることが好ましく、70〜140℃であることがより好ましい。
また、結着樹脂は、前記のブロッキング防止の観点から、トナー母粒子100重量部に対して、好ましくは60〜100重量部、より好ましくは80〜95重量部、トナー母粒子中に含まれていることが好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して2重量部〜20重量部、さらに好ましくは3重量部〜10重量部である。
着色剤は、合成樹脂用添加剤を混練物中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また合成樹脂用添加剤の2種以上を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、合成樹脂用添加剤の2種以上に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
(電荷制御剤)
トナー母粒子には、結着樹脂および着色剤に加えて電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜3重量部である。
(離型剤)
トナー母粒子には、さらに離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。
誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜10重量部、特に好ましくは1.0重量部〜8.0重量部である。
トナー母粒子は、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましい。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。またこの範囲まで小粒径化することによって、少ない付着量でも高い画像濃度が得られ、トナー消費量を削減できる効果も生じる。トナー母粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、トナー母粒子の粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー母粒子の体積平均粒径が8μmを超えると、トナー母粒子の粒径が大きく、形成画像の層厚が高くなり著しく粒状性を感じる画像となり、高精細な画像を得ることができないので望ましくない。またトナー母粒子の粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
(2)樹脂微粒子
樹脂微粒子は、樹脂からなる粒子である。樹脂微粒子をトナー母粒子表面への膜化材料として用いることによって、たとえば、保存中にトナー母粒子に含まれる離型剤などの低融点成分の溶融によるトナーの凝集の発生を防止することができる。
樹脂微粒子の原料としては、たとえば、トナー材料に用いられる樹脂を用いることができる。たとえば、ポリエステル、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体などを用いることができる。樹脂微粒子としては、上記例示した樹脂の中でも、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体を含むことが好ましく、スチレン−ブチルアクリレート共重合体がより好ましい。アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体は、軽量で高い強度を有し、さらに透明性も高く、安価で、粒子径の揃った材料を得やすいなど、多くの利点を有する。
樹脂微粒子の原料である樹脂としては、トナー母粒子の結着樹脂と同じ種類であってもよく、違う種類の樹脂であってもよいけれども、トナーの表面改質を行う点において、違う種類の樹脂が用いられることが好ましい。樹脂微粒子として用いられる樹脂として、違う種類の樹脂が用いられる場合、樹脂微粒子として用いられる樹脂の軟化点が、トナー母粒子の結着樹脂の軟化点よりも高いものを用いることが好ましい。これによって、保存中にトナー同士がブロッキングすることが防止され、保存安定性を向上させることができる。また樹脂微粒子として用いられる軟化温度は、トナーが使用される画像形成装置にもよるけれども、50〜150℃であることが好ましく、60〜140℃であることがより好ましい。このような温度範囲の樹脂を用いることによって、保存安定性と定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。
また、本発明においては、カプセルトナーの融着などをより抑制し得ることがあるため、樹脂微粒子のガラス転移温度は、40〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
被覆材料として樹脂微粒子を用いることによって、たとえば、樹脂微粒子を分散させた液体によってトナー母粒子に液体を噴霧し、被覆したとき、樹脂微粒子の形状がトナー母粒子表面に残り、平滑な表面を有するトナーに比べて、クリーニング性に優れるトナーを得ることができる。このような樹脂微粒子は、たとえば、樹脂微粒子原料をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することによって得ることができる。またモノマーの重合によって得ることもできる。
本発明においては、カプセルトナー同士の融着などを充分に抑制することができるため、樹脂微粒子は、トナー母粒子100重量部に対し、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部使用される。
樹脂微粒子の体積平均粒径は、トナー母粒子の平均粒径よりも充分に小さいことが必要であり、さらに樹脂微粒子の体積平均粒径は、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。また樹脂微粒子の体積平均粒径は、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が0.05μm以上1μm以下であることによって、好適な大きさの突起部が被覆層表面に形成される。これによってクリーニング時にトナーがクリーニングブレードに引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
(3)回転撹拌装置
図2,3に示すように、回転撹拌装置201は、粉体流路202と、噴霧手段203と、冷却媒体供給手段1と、回転撹拌手段204と、温度調整用ジャケット224と、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。
(粉体流路)
粉体流路202は、回転撹拌室208と、循環管209とから構成される。
回転撹拌室208は、内部空間を有する略円柱形状の容器状部材である。回転撹拌室208には、開口部210、211が形成される。
開口部210は、回転撹拌室208の軸線方向一方側の面208aにおける略中央部において、回転撹拌室208の軸線方向一方側の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。
開口部211は、回転撹拌室208の前記軸線方向一方側の面208aに垂直な側面208bにおいて、回転撹拌室208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。
循環管209は、第1屈曲部2a、第2屈曲部2b、第3屈曲部2cという複数の屈曲部2a〜2cを有し、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。複数の屈曲部は、樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動方向における開口部211に近い側から順に、第1屈曲部2a、第2屈曲部2b、第3屈曲部2cと設けられ、第1〜第3屈曲部2a〜2cでは、循環管209が、垂直に折り曲がっている。
これによって回転撹拌室208の内部空間と循環管209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、前混合工程S3においてはトナー母粒子、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202の循環管209には、後述する粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。
循環管209は、回転撹拌室208の外側から回転軸付近へと接続されており、粉体流路202内を流動するトナー母粒子、樹脂微粒子、樹脂微粒子付着トナー母粒子などの粒子、ならびに気体は回転軸218付近へと戻る。
回転撹拌室208へと戻った該粒子および気体は再度、回転撹拌手段204の作用により循環管209へと流れ込む。
(回転撹拌手段)
回転撹拌手段204は、回転軸218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。
回転軸218は、回転軸218を駆動する部分である図示しない回転軸部において、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転軸218は、回転撹拌室208の軸線に一致する軸線を有しかつ回転撹拌室208の軸線方向他方側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される貫通孔221に挿通されるように設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。
回転盤219は、その軸線が回転軸218の軸線に一致するように回転軸218に支持され、回転軸218の回転に伴って回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
(粉体投入部および粉体回収部)
図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。粉体投入部206には、トナー母粒子および樹脂微粒子、または樹脂微粒子付着トナー母粒子を供給する粉体供給手段301、および後述する吸熱剤を供給する吸熱剤供給手段401と、粉体供給手段301および吸熱剤供給手段401と、粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。
粉体供給手段301から供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子、または樹脂微粒子付着トナー母粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子、または樹脂微粒子付着トナーは、回転撹拌手段204による撹拌によって、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213によって供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子および樹脂微粒子が粉体流路202に供給されない。
粉体回収部207には、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217によって回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また電磁弁217によって回収管216内の流路が閉鎖されている状態において、粉体流路202を流過するトナー粒子は回収されない。
(噴霧手段)
噴霧手段203は、前混合工程S3では用いられず、被膜形成工程S4でのみ用いられる。
噴霧手段203は、可塑化液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、可塑化液体とキャリアガスとを混合し、得られる混合物を粉体流路202内に存在する樹脂微粒子付着トナー母粒子に向けて噴霧し、可塑化液体の液滴を樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する二流体ノズル203aとを備える。
図3にて示すように、噴霧手段203は、粉体流路202の循環管209における、第1屈曲部2aの壁面に形成される開口に挿通されて設けられる。
トナー母粒子および樹脂微粒子を溶解せず軟化させる効果のある液体、すなわち、可塑化液体としては、特に限定されないけれども、噴霧後に除去される必要があるので、蒸発し易い液体であることが好ましい。
このような液体としては、低級アルコールが好ましい。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。可塑化液体が低級アルコールであると、被覆材料である樹脂微粒子を変形、膜化させることが容易となる。また可塑化液体を除去するときの乾燥時間を短縮することができ、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を抑制することができる。
可塑化液体の粘度は、5cP以下であることが好ましい。可塑化液体の粘度は、25℃において測定される。可塑化液体の粘度は、たとえば、コーンプレート型回転式粘度計によって測定することができる。
5cP以下の粘度の可塑化液体を用いることによって、噴霧手段203による噴霧液滴径が粗大化することなく、微細な噴霧が可能となる。これによって均一な液滴径の液体の噴霧が可能となる。また樹脂微粒子付着トナー母粒子と液滴との衝突時に、さらに液滴の微細化を促進することができる。これによって、トナー母粒子および樹脂微粒子表面を均一に濡らし、馴染ませて、衝突エネルギーとの相乗効果で樹脂微粒子を軟化、均一性に優れた被覆トナーを得ることができる。
キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。
本実施の形態では、噴霧手段203の二流体ノズル203aは、粉体流路202において樹脂微粒子付着トナーが流動する方向である粉体流動方向に対して平行に設けられることが好ましい。これによって、噴霧手段203からの液体噴霧方向が、粉体流動方向と同方向になる。液体噴霧方向とは、二流体ノズルの軸線の方向である。
噴霧手段203からの液体噴霧方向と、粉体流動方向との成す角度(以下「噴霧角度」という)θは、0°以上45°以下であることが好ましい。噴霧角度θがこのような範囲内であると、可塑化液体の液滴が粉体流路202の壁面で反跳することが防止され、カプセルトナーの収率を向上させることができる。
噴霧角度θが45°を超えると、可塑化液体の液滴が粉体流路202の壁面で反跳し易くなり、可塑化液体が滞留し易くなるので、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集が発生して収率が悪化する。
また、二流体ノズル203aによる噴霧の拡がり角度φは、20°以上90°以下であることが好ましい。拡がり角度φがこの範囲から外れると、樹脂微粒子付着トナー母粒子に対する可塑化液体の均一な噴霧が困難となるおそれがある。
(冷却媒体供給手段)
冷却媒体供給手段1は、被膜形成工程S4のみ、または前混合工程S3および被膜形成工程S4で用いられ、冷却媒体を粉体流路202内に供給する。
冷却媒体供給手段1は、循環管209の曲率が大きい部分に壁面を貫通して設けられる。具体的には、冷却媒体供給手段1は、粉体流路202の循環管209における、第1〜第3屈曲部2a〜2cそれぞれの壁面に形成された開口に挿通して設けられる。
第1〜第3屈曲部2a〜2cは、カプセルトナー製造時において、局所的に樹脂微粒子付着トナー母粒子が集中し密度が高まる部分であり、樹脂微粒子付着トナー母粒子が、粉体流路202の壁面へ融着しやすくなっており、また、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士が互いに凝集しやすくなっている。
第1屈曲部2aには噴霧手段203が設けられている。可塑化液体の噴霧によって、樹脂微粒子付着トナー母粒子が粉体流路202の壁面により融着しやすくなり、また、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士がより凝集しやすくなる傾向があるが、可塑化液体の噴霧角度θを0°以上45°以下とすることによって、可塑化液体の粉体流路202内への滞留を抑えて、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202の壁面への融着、および樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を抑制することができる。上記理由から、可塑化液体は、粉体流路202の直線個所にて噴霧されることがより好ましい。
そのため、第1〜第3屈曲部2a〜2cそれぞれに冷却媒体供給手段1を設けることによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202の壁面への融着や、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を一層抑制することができる。
冷却媒体供給手段1は、第1冷却媒体供給手段1Aと、第2冷却媒体供給手段1Bと、第3冷却媒体供給手段1Cとからなり、第1冷却媒体供給手段1Aは、第1屈曲部2aに設けられ、第2冷却媒体供給手段1Bは、第2屈曲部2bに設けられ、第3冷却媒体供給手段1Cは、第3屈曲部2cに設けられる。
冷却媒体供給手段1は、それぞれ、冷却媒体を送出可能な図示しない冷却媒体供給部と、冷却媒体供給部に流路を有する図示しない供給管を介して接続され、冷却媒体供給部から送出された冷却媒体を粉体流路202内に向けて噴霧または噴射させる冷却媒体供給ノズル1a〜1cと、備える。
冷却媒体供給部は、それぞれ、冷却媒体を収容する図示しない冷却媒体収容タンク、および図示しない加圧ポンプを備え、加圧ポンプからの圧力で、冷却媒体収容タンク内の冷却媒体を、供給管および冷却媒体供給ノズル1a〜1cを介して粉体流路202内に供給する。加圧ポンプの圧力を調整することによって、単位時間あたりの冷却媒体の供給量を調整することができる。
なお、冷却媒体供給手段1は、内部に冷却媒体を含み、それ自体の温度が低いので、樹脂微粒子付着トナー母粒子が接触したとしても、その樹脂微粒子付着トナー母粒子が冷却媒体供給手段1表面に融着することはなく、また、冷却媒体供給手段1表面に付着した樹脂微粒子付着トナー母粒子に他の樹脂微粒子付着トナー母粒子が付着して凝集することもない。
冷却媒体は、20℃以下に冷却されていることが好ましく、0℃以下に冷却されていることがより好ましい。冷却媒体としては、液体窒素および固体二酸化炭素(ドライアイス)が挙げられる。このうち、液体窒素が、安価であり安全面からも好ましく、液体窒素そのものを液滴化して、冷却媒体供給手段1それぞれから噴霧することができる。また、冷却媒体としては、液体窒素などによって冷却されたガス、および、液体窒素を蒸発させた、温度が0℃以下の窒素ガスを用いることもでき、これらのガスを冷却媒体供給手段1それぞれから噴射することができる。
冷却媒体供給手段1からは、ガス状態の冷却媒体、または液体状態の冷却媒体を噴射または噴霧することがハンドリングの点から望ましく、特に、ガス状態の冷却媒体を噴射することによって、冷却媒体が効率よく粉体流路202内を移動するので、粉体流路202内を速やかに冷却することができる。そのため、熱耐久性に優れるカプセルトナーをより安定して製造することができる。
しかしながら、粉体流路202内の温度によってすばやくガス化されるような個体状態または液体状態の冷却媒体であれば、ガスとともに、ガスの流動効果によって冷却媒体供給手段1から噴射することも可能である。
冷却媒体は、粉体流路202でガス化し、キャリアガスおよびガス化した可塑化液体と同様の経路を通り、ガス排出部222から系外へ排出されることが好ましい。その際、冷却媒体が二酸化炭素または窒素であれば、火災の恐れも無く、特段の回収設備を要せず好適に使用することが可能である。
冷却媒体供給手段1は、冷却媒体を噴霧または噴射する方向が、樹脂微粒子付着トナーの粉体流動方向に対して平行であることが好ましい。冷却媒体を噴霧または噴射する方向とは、冷却媒体供給ノズル1a〜1cの軸線の方向である。
(温度調整用ジャケット)
温度調整用ジャケット224は、前混合工程S3および被膜形成工程S4で用いられ、回転撹拌手段204および粉体流路202内の温度を調整する。
温度調整手段である温度調整用ジャケット224は、粉体流路202の壁面の少なくとも一部に設けられる。
温度調整用ジャケット224は、その内部に形成される流路225に水などの媒体を流すことによって、粉体流路202の壁面の温度を一定に調整し、前混合工程S3ではトナー母粒子の該壁面への付着を抑制し、被膜形成工程S4では樹脂微粒子付着トナー母粒子の該壁面への付着を抑制する。また、回転撹拌手段204および粉体流路202内の温度も調整される。
温度調整用ジャケット224は、トナー母粒子または樹脂微粒子付着トナー母粒子が付着し易い粉体流路202の部分の外側に設けられることが好ましい。本実施の形態において温度調整用ジャケット224は、少なくとも粉体流路202における循環管209全体、回転撹拌室208および回転撹拌室壁面内部に設けられる。
噴霧手段203よりも、樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動方向下流の循環管209内部では、噴霧された液体が乾燥せずに残存している状態にあり、温度が適正でないと乾燥速度が遅くなり液体が滞留し易くなり、これに樹脂微粒子付着トナー母粒子が接触すると、粉体流路202の壁面に樹脂微粒子付着トナー母粒子が付着し易くなる。これが樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集発生源になりうる。
開口部210付近の壁面では、循環管209を流過して開口部210から回転撹拌室208に流入する樹脂微粒子付着トナーと、回転撹拌手段204による撹拌で回転撹拌室208内を流動する樹脂微粒子付着トナーとが衝突し易い。これによって、衝突した樹脂微粒子付着トナーが開口部210付近に付着し易い。したがってこのような部分に温度調整用ジャケット224を設けられることによって、粉体流路202の壁面に対するトナー母粒子などの付着を一層確実に防止することができる。
(4)カプセルトナーの製造方法
前述のように、本実施形態のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子調製工程S2と、前混合工程S3と、被膜形成工程S4と、外添工程S5と、ふるい処理工程S6とを含む。
(トナー母粒子作製工程S1)
トナー母粒子作製工程S1では、樹脂微粒子で被覆されるべきトナー母粒子を作製する。その作製方法は特に限定されることなく、公知の方法によって得ることができる。たとえば、粉砕法などの乾式法、並びに懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法および溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、粉砕法によるトナー母粒子の作製方法を記載する。
粉砕法によるトナー母粒子の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー組成物を混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後、必要に応じて分級などの粒度調整を行うことでトナー母粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級には、遠心力による分級および風力による分級によって過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
(樹脂微粒子調製工程S2)
樹脂微粒子調製工程S2では、乾燥された樹脂微粒子を調製する。
樹脂微粒子は、たとえば、樹脂微粒子原料である樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することによって得ることができる。また樹脂のモノマー成分の重合によって得ることもできる。
樹脂微粒子の乾燥方法はどのような方法を用いてもよく、たとえば、熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法を用いて乾燥樹脂微粒子を得ることができる。
(前混合工程S3)
前混合工程S3では、たとえば、図2に示す回転撹拌装置201を用い、装置の循環および撹拌による衝撃力によって樹脂微粒子の2次凝集物を解砕し、解砕した樹脂微粒子をトナー母粒子表面に付着および固定化して樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
図1に戻って、前混合工程S3は、第1温度調整工程S3aと、第1粉体投入工程S3bと、樹脂微粒子解砕工程S3cと、樹脂微粒子付着工程S3dと、第1粉体回収工程S3eとを含む。
第1温度調整工程S3aでは、温度調整用ジャケット224により粉体流路202の温度を一定に調整し、前混合工程S3における粉体流路202内の温度を調整する。第1温度調整工程S3aを行うことによって、樹脂微粒子の解砕の妨げとなる樹脂微粒子の軟化を引き起こす急激な温度上昇を抑制できる。
粉体流路202内の温度は、樹脂微粒子のガラス転移温度以下に設定することが好ましく、トナー母粒子の結着樹脂のガラス転移温度以下に設定することがより好ましく、粉体流路202内の温度を55℃以下に調整することがさらに好ましい。このような温度に調整するためには、ジャケットの温度を10℃以下に設定する。
しかしながら、製造条件によっては樹脂微粒子およびトナー母粒子の混合によって、粉体流路202内の温度が、第1温度調整工程S3aで調整した温度よりも上昇してしまうことがある。特に製造スケールを大きくした場合や、処理量を増やす場合には、このような問題に直面する傾向にある。
粉体流路202内で発生する熱は、温度調整用ジャケット224を通じて回転撹拌装置201外に排出されるが、処理量が多くなる場合はこの排熱が間に合わず粉体流路202の温度が上昇してしまう。結果として、樹脂微粒子が解砕される前に、樹脂微粒子が軟化し、トナー母粒子へ固定化されて、トナー母粒子への樹脂微粒子の被覆均一性が低下する。
また、相変化により気体となる吸熱剤を、後の第1粉体投入工程S3bで、樹脂微粒子およびトナー母粒子とともに追加で投入することによっても温度上昇を遅らせることが可能である。吸熱剤としては、常温常圧で気体となり、排気部より排出され最終製品に残らないものを用いる。
吸熱剤は、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させないものが望ましく、それ自体低温であることがより望ましく、具体的に、液体窒素、ドライアイスおよび液体窒素により冷却した空気などが挙げられる。
吸熱剤は、製造工程や所望の物性に影響を与えない限り、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
吸熱剤を添加することによって、トナー母粒子および樹脂微粒子が回転撹拌手段204および粉体流路202の壁面との衝突によって蓄熱して軟化し、回転撹拌手段204および粉体流路202の壁面に固着する不具合を防止することができる。
これらの手段によって、樹脂微粒子を充分に解砕でき、解砕後はトナー母粒子および樹脂微粒子の撹拌による温度上昇を利用して樹脂微粒子をトナー母粒子表面に付着および固定化することができるので、トナー母粒子の露出のない均一性の高い被膜形成が可能となる。
第1粉体投入工程S3bでは、回転撹拌手段204の回転軸218が回転する状態で、粉体投入部206からトナー母粒子および樹脂微粒子を粉体流路202に供給する。このとき吸熱剤も同時に添加することができる。
吸熱剤の粉体流路202内への投入方法としては、樹脂微粒子と、トナー母粒子と、吸熱剤とを予め混合して投入してもよく、樹脂微粒子と、トナー母粒子と、吸熱剤とを個別に投入してもよい。ここで、個別に加えた場合、粉体流路202内でより均一に冷却することができるため好ましい。この場合、所望の樹脂微粒子の解砕性を得ることができる限り、吸熱剤を一度に加えてもよく、連続的に加えてもよく、逐次的に加えてもよい。
吸熱剤が、トナー母粒子および樹脂微粒子と同時に添加されることによって、吸熱剤が、樹脂微粒子がトナー母粒子に付着する時の粉体流路202内の温度がピークに達する前に供給されることになるので、樹脂微粒子が軟化するより前に樹脂微粒子を冷却することができ、樹脂微粒子を効率良く解砕することができる。なお、「ピーク」とは、前混合工程S3における粉体流路202内の最高温度を意味する。
さらに、このときに、冷却媒体供給手段1によって、冷却媒体が供給され始めてもよい。
吸熱剤は、粉体流路202に添加された後、気体となって回転撹拌装置201から排出される。これによって、粉体流路202内の温度が上昇する。
樹脂微粒子の解砕が進むまでは、吸熱剤の添加によって、吸熱剤によって低温で維持され、樹脂微粒子付着工程S3dで、粉体流路202内の温度が、トナー母粒子の結着樹脂のガラス転移温度を超えることによって、樹脂微粒子がトナー母粒子に固着されやすくなる。
粉体流路202に供給されたトナー母粒子および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の循環管209を矢符214方向に流過する。前混合工程S3では、回転撹拌手段204の最外周の周速は、50m/sec以上に設定される。
樹脂微粒子解砕工程S3cでは、粉体流路202の回転撹拌室208において、樹脂微粒子の2次凝集物は、1次粒子径の約1〜10倍の粒子径まで解砕される。
樹脂微粒子はトナー母粒子と混合する前においては凝集状態にあり、樹脂微粒子の凝集物を解砕しないままトナー母粒子および樹脂微粒子に可塑化液体を噴霧し、樹脂微粒子の膜化を図ると、凝集した樹脂微粒子がトナー母粒子表面に付着して固定化されるので、膜厚の不均一な樹脂被覆層が形成される。
前混合工程S3を行う、すなわち可塑化液体を噴霧する前に樹脂微粒子の解砕処理を行うことによって、凝集が解砕された状態で樹脂微粒子をトナー母粒子表面へ固定化でき、この状態で樹脂微粒子の膜化処理を行うことができるので、膜厚が均一で、トナー母粒子の露出のない均一性の高い樹脂被覆層を形成することができる。
樹脂微粒子付着工程S3dでは、解砕された樹脂微粒子を、トナー母粒子表面に付着させて、固定化させる。トナー母粒子表面に樹脂微粒子が固定化されて樹脂微粒子付着トナー母粒子が得られ、樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動速度が安定すると、第1粉体回収工程S3eを行う。
第1粉体回収工程S3eでは、回転撹拌手段204の回転を停止させて、粉体回収部207から樹脂微粒子付着トナー母粒子を回収する。
回転撹拌手段204の回転数などを適宜調整することにより、樹脂微粒子付着工程S3dで、より均一に固定化された樹脂微粒子付着トナー母粒子を製造することもできる。
回転撹拌手段204の回転速度は、最外周における周速が50m/sec以上に設定される。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分である。
最外周における周速が50m/sec以上であると、トナー母粒子および樹脂微粒子を孤立流動させることと、トナー母粒子および樹脂微粒子の、粉体流路202の壁面に対する衝突頻度を低減することとを同時に達成することができる。最外周における周速が50m/sec未満であると、トナー母粒子および樹脂微粒子を孤立流動させることができないためトナー母粒子に膜厚の均一な樹脂被覆層を形成することができなくなる。
(被膜形成工程S4)
被膜形成工程S4では、たとえば、前述の回転撹拌装置201を用い、流動状態にある前混合工程で得られた樹脂微粒子付着トナーに噴霧手段203でトナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化する効果のある液体を噴霧することによって、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を展延し、樹脂微粒子の被膜を形成する。
図1に戻って、被膜形成工程S4は、第2温度調整工程S4aと、第2粉体投入工程S4bと、噴霧工程S4cと、膜化工程S4dと、乾燥工程S4eと、第2粉体回収工程S4fとを含む。
第2温度調整工程S4aでは、温度調整用ジャケット224により粉体流路202の壁面の温度を一定に調整する。
被膜形成工程S4で温度調整を行うことによって、流動状態にある樹脂微粒子付着トナー母粒子が回転撹拌手段204および粉体流路202の壁面との衝突によって蓄熱して軟化し、回転撹拌手段204および粉体流路202の壁面に固着する不具合を防止することができる。したがって、固着した樹脂微粒子付着トナー母粒子を核として他の樹脂微粒子付着トナー母粒子が凝集成長することを抑制でき、凝集によって樹脂微粒子付着トナー母粒子が流動するための流路が狭くなることを防止できるので、カプセルトナーの収率を向上させることができる。
さらに粉体流路202内に冷却媒体が供給されることによりこれらの凝集防止効果は大きくなりカプセルトナーの品質およびカプセルトナーの収率を向上させることができる。
粉体流路202内の温度は、樹脂微粒子付着トナー母粒子の流過によって、粉体流路202内のどの部分においてもほぼ均一となる。第2温度調整工程S4aにおいて、粉体流路202内の温度を、70℃以下にするのが好ましく、より好ましくは40〜70℃に調整することが好ましい。これによって、樹脂微粒子の展延処理が充分に行われるので、より一層の被膜の均一化が図れる。さらに、トナー母粒子の結着樹脂のガラス転移温度以上にすることによって固定化の促進が図られることから処理時間が短縮化される。さらに、樹脂微粒子のガラス転移温度に近づけてやれば処理時間が短縮化される。
しかしながら、粉体流路202内の温度が60℃を超えたまま長時間が経過すると、粉体流路202内で樹脂微粒子付着トナー母粒子が軟化し過ぎ、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集が発生するおそれがある。また粉体流路202内の温度が40℃未満であると、分散液の乾燥速度が遅くなり生産性が低下するおそれがある。
本実施形態において、前混合工程S3で前記工程開始時点から上昇して安定した粉体流路202内の温度である前混合安定温度は、被膜形成工程S4で前記工程開始時点から上昇して安定した粉体流路202内の温度である被膜形成安定温度以下である。これによって、前混合工程S3において、樹脂微粒子がトナー母粒子表面に露出が少ない状態で固定化される。また被膜形成工程S4において、樹脂微粒子の展延処理が安定的に行われ、表面に凹凸が少なく膜厚の均一な被膜形成が可能となる。
第2粉体投入工程S4bでは、回転撹拌手段204の回転軸218が回転する状態で、粉体投入部206から樹脂微粒子付着トナー母粒子を粉体流路202に供給する。
粉体流路202における粉体の流動速度が安定すると、噴霧工程S4cで、噴霧手段203からの可塑化液体の噴霧を開始する。また、前混合工程S3で、冷却媒体の供給を行わなかった場合には、噴霧工程S4cで、冷却媒体の供給を開始する。樹脂微粒子付着トナーには、粉体流路202の循環管209を流過している状態で噴霧手段203から前記液体が噴霧され、樹脂微粒子付着トナー表面にガス化した液体が展延する。
これによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子が可塑化する。さらに、膜化工程S4dでは、回転撹拌手段204の撹拌によって、樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力が付与され、樹脂微粒子が軟化し、連続した膜となる。これによって、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層が形成される。
被膜形成工程S4において、または前混合工程S3において冷却媒体の供給が開始された場合には、前混合工程S3および被膜形成工程S4において、粉体流路202内の空気、およびガス化した冷却媒体は、粉体流路202外へ排出されている。
噴霧手段203から可塑化液体の噴霧を終了した後、乾燥工程S4eを行う。
乾燥工程S4eでは、粉体表面に残存する可塑化液体を蒸発させ、貫通孔221を通して系外へ排出する。一定時間の乾燥工程を経て、第2粉体回収工程S4fとして、回転撹拌手段204の回転を停止させて、粉体回収部207からカプセルトナーを回収する。
被膜形成工程S4において、回転撹拌手段204の最外周204aにおける周速は50m/sec以上である。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速が50m/sec以上であるので、樹脂微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることと、機内の液体濃度を一定に保つことができ樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を低減することとを同時に達成することができる。
噴霧手段203で噴霧する可塑化液体の濃度は、機外への排出部において濃度センサで3%以下程度であることが好ましい。噴霧手段203による液体の噴霧速度がこのような範囲であると、可塑化液体の乾燥速度を充分に大きくすることができるので、未乾燥の可塑化液体が残存している樹脂微粒子付着トナー母粒子が他の樹脂微粒子付着トナー母粒子に付着することを防止することができ、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止することができる。
噴霧手段203による可塑化液体の噴霧速度は、濃度センサで0.1%以上3.0%以下であることがさらに好ましい。噴霧速度がこのような範囲であると、生産性を低下させることなく、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止することができる。
なお、ガス化した可塑化液体は、ガス排出部222から系外へ排出されることが好ましい。機内でガス化した可塑化液体を系外へ排出することにより、可塑化液体の乾燥速度を速め、未乾燥の可塑化液体が残存している樹脂微粒子付着トナー母粒子が他の樹脂微粒子付着トナー母粒子に付着することを防止することができ、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止することができる。
本実施形態では、前混合工程S3および被膜形成工程S4を行う処理装置として、同一の装置を用いている。これによって、設備投資が安価で済むとともに、設置場所の省スペース化が図れる。
回転撹拌装置201としては、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、本実施の形態において、温度調整用ジャケット224は粉体流路202と撹拌部壁面の全面に設けられる構成であるけれども、これに限定されることなく、粉体流路202または撹拌部壁面の一部に設けられてもよい。粉体流路202と撹拌部壁面の全面に温度調整用ジャケット224が設けられると、トナー母粒子の粉体流路202の壁面への付着を一層確実に防止することができる。
またこのような回転撹拌装置201は、市販品の撹拌装置と噴霧手段とを組合せて得ることもできる。粉体流路および回転撹拌手段を備える市販の撹拌装置としては、たとえば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。このような撹拌装置内に液体噴霧ユニットを取り付けることによって、この撹拌装置を本発明のトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置として用いることができる。
本発明の他の実施形態においては、第1回転撹拌装置および第2回転撹拌装置の2台の回転撹拌装置を用いてカプセルトナーを製造してもよい。たとえば、前混合工程S3を行う装置として第1回転撹拌装置を用い、被膜形成工程S4を行う装置として第2回転撹拌装置を用いる。この場合、第1回転撹拌装置と第2回転撹拌装置とは、構造の同じ装置でもよいし、構造の異なる装置でもよい。これによって、複数のカプセルトナーを製造するとき、カプセルトナーを製造するための被膜形成工程S4を第2回転撹拌装置で行いつつ、前記工程S3と同時に、前記工程S3が行われているカプセルトナーとは異なるカプセルトナーを製造するための前混合工程S3を第1回転撹拌装置で行うという連続並行処理を行うことができる。
連続並行処理を行うと、複数のトナーを製造する場合に連続並行処理を行わない場合と比べて単位時間当たりのカプセルトナーの生産性を向上させることができる。具体的に、後述の本実施例の構成でカプセルトナーを製造する場合においては、連続並行処理を行うと連続並行処理を行わない場合に比べてカプセルトナーの生産性を約20%向上させることができる。
さらに他の実施形態においては、第1粉体回収工程S3eおよび第2粉体投入工程S4bを行わなくてもよい。すなわち、樹脂微粒子付着工程S3dの後、回転撹拌手段204を停止させ、樹脂微粒子付着トナーを粉体流路202内に残したまま、第2温度調整工程S4aを行い、粉体流路202内が所定の温度に達した時点で回転撹拌手段204を回転させて噴霧工程S4c以降の工程を行う。回転撹拌手段204を停止させた状態で第2温度調整工程S4aを行うことで、樹脂微粒子付着トナー表面の樹脂微粒子が温度調整中に膜化することを防止できるので、第1粉体回収工程S3eおよび第2粉体投入工程S4bを行う実施形態と同様に良好な被膜を形成することができる。
このようにして得られる本発明のカプセルトナーは、熱耐久性に優れたカプセルトナーである。そのため、熱耐久性に優れるカプセルトナーを含む高品質な現像剤を得ることができる。さらに、前記現像剤を用いて画像形成能に優れた現像装置および画像形成装置も得ることができる。
(外添工程S5)
上記のようにして得られたカプセルトナー粒子は、そのままカプセルトナーとして用いてもよく、また、外添剤を外添させてから、外添剤固定カプセルトナーとして用いてもよい。
外添工程S5では、カプセルトナー粒子と、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善、および感光体表面の磨耗特性制御などの機能を担う外添剤とを混合することによって、カプセルトナー粒子に外添剤を外添させる。
外添剤としては、特に限定されるものではなく、この分野で常用されるものを用いることが可能である。たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などの無機微粉末を挙げることができる。これらの無機微粉末は、カプセルトナーの疎水化、およびカプセルトナーの帯電性コントロールなどの目的から、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましい。上記外添剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
外添剤の添加量は、カプセルトナー粒子に必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体ドラムの摩耗に対する影響、およびカプセルトナーの環境特性などを考慮して、カプセルトナー粒子100重量部に対し1〜10重量部であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。
外添剤の1次粒径は、10nm〜500nmが好ましい。上記範囲内の粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮され易くなる。
(ふるい処理工程S6)
ステップS6のふるい処理工程では、外添剤固定カプセルトナーを、ふるいにかける。これによって、不具合を起こすレベルの粗大粒子を除去することができるので、画像欠陥を改良することができる。
ふるいの、必要な目開きのサイズは、不具合を起こすレベルの粗大粒子をどの程度含んでいるかによって異なるが、たとえば、メッシュサイズ♯270(目開き75μm)♯500(目開き25μm)、♯795(目開き16μm)などのふるいを用いることができる。
なお、実際のカプセルトナー中にはほんのわずかしか凝集粒子が含まれていないが、画像欠陥を減らそうとして、特に目開きの細かいものを利用すると、収率は大きく減少してしまうという問題がある。
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。実施例および比較例における液体の粘度、結着樹脂およびトナー母粒子の結着樹脂のガラス転移温度、結着樹脂の軟化温度、離型剤の融点、トナー母粒子の体積平均粒径は、以下のようにして測定する。
[トナー母粒子の結着樹脂および樹脂微粒子のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料(トナー母粒子の結着樹脂および樹脂微粒子)1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求める。
[トナー母粒子の結着樹脂および樹脂微粒子の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えて試料(トナー母粒子の結着樹脂および樹脂微粒子)1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とする。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料(離型剤)1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで昇温させ、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定する。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求める。
[トナー母粒子の体積平均粒径]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料(トナー母粒子)20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)によって超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製する。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求める。
[樹脂微粒子の体積平均粒径]
レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いて測定を行った。測定試料(樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)の水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入・撹拌後、装置に注入し、2回測定を行い、平均を求める。測定条件は、測定時間:30秒、粒子屈折率:1.4、粒子形状:非球形、溶媒:水、溶媒屈折率:1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒径側からの累積体積が50%になる粒径を粒子の体積平均粒子径(μm)として算出する。
(実施例1)
[トナー母粒子作製工程S1]
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度52℃、軟化温度129℃) 87.5%(100重量部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(5.7重量部)
・離型剤(カルナウバワックス、融点82℃) 6.0%(6.9重量部)
・帯電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)
1.5%(1.7重量部)
以上の各構成成分を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて前混合した後、二軸押出混練機(商品名:PCM65、株式会社池貝製)にて溶融混練した。この溶融混練物をカッティングミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した後、ジェットミル(商品名:ミクロンジェットMJT−1、ホソカワミクロン株式会社製)にて微粉砕し、さらに風力分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)で分級し、体積平均粒径6.5μmであり、ガラス転移温度が55℃のトナー母粒子を作製した。
[樹脂微粒子調製工程S2]
樹脂微粒子として、体積平均粒径が0.1μmであるスチレン−ブチルアクリレート共重合体微粒子A(ガラス転移温度78℃、軟化温度133℃)を用意した。樹脂微粒子は、スチレンとアクリル酸ブチルとを重合したものを凍結乾燥して得た。また噴霧する液体としてエタノールを用意した。
[前混合工程S3]
図2に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−3型、株式会社奈良機械製作所製)を用いた。
前記装置において、噴霧角度θが平行(0°)になるように、液体噴霧ユニット(噴霧手段)の二流体ノズルの取付け角度を設定した。また、冷却媒体供給ノズルの軸線方向が、流動方向と平行となるように、冷却媒体供給手段を設けた。
液体噴霧ユニットとしては、定量送液が可能となるよう、送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)と二流体ノズルを接続したものを使用した。送液ポンプを運転することで可塑化液体の噴霧を開始できる。
温度調整用ジャケットは、図3に示す装置と同様に粉体流路の壁面の全面に設けた。温度調整用ジャケットの温度調整用制御装置としてチラーを用い、第1温度調整工程S3aで、投入材料(トナー母粒子、樹脂微粒子)を投入する前の無負荷時における循環水の温度を10℃に設定した。
この装置において、樹脂微粒子解砕工程S3cおよび樹脂微粒子付着工程S3dで、ハイブリダイゼーションシステムの回転撹拌手段の最外周における周速を70m/secとした。
また、前混合工程S3および被膜形成工程S4の前準備として、前記装置を密閉した状態で、排出部の流量計を用い、粉体流路内にガスを供給する複数の手段の流量をそれぞれ設定した。3つの冷却媒体供給手段からは、窒素ガス(冷却媒体)をそれぞれ毎分2L噴射するよう調節し、回転軸部からは、装置内に流すエア流量を毎分14Lに調節し、二流体ノズルからは、エアの流量を毎分5Lに調節し、排出部から、粉体流路内のガスを毎分25Lで排出するように設定した。
この後、排出部の流量バルブを絞り、排出部から、粉体流路内のガスを毎分15Lで排出するよう調整した。この排出バルブの設定状態で前混合工程S3および被膜形成工程S4を行った。
窒素ガスの温度は、冷却媒体供給ノズルの先端で−20℃前後であり、0℃を下回っていた。窒素ガスの噴射は、被膜形成工程S4まで継続させた。
以下のような投入材料を用意した。トナー母粒子作製工程S1および樹脂微粒子調製工程S2で作製したトナー母粒子および樹脂微粒子を用意し、投入前に予め混合した。
<投入材料>
・トナー母粒子 800g(100重量部)
・樹脂微粒子(スチレン−ブチルアクリレート共重合体) 80g(10重量部)
上記投入材料を、回転撹拌手段が回転している装置に投入し、窒素ガスの噴射を開始した(第1粉体投入工程S3b)。投入に当たっては1分間に300gとなる速度で投入した。
10分間撹拌混合することによって、樹脂微粒子付着トナー微粒子を得た(樹脂微粒子解砕工程S3cおよび樹脂微粒子付着工程S3d)。その樹脂微粒子付着トナー微粒子を粉体流路内で流動させたまま、被膜形成工程S4を行った。
[被膜形成工程S4]
ハイブリダイゼーションシステムの回転撹拌手段の最外周における周速を100m/secまで上昇させ、第2温度調整工程S4aで、温度調整用ジャケットの循環水の温度を30℃に設定した。
樹脂微粒子付着トナー母粒子を撹拌し、流動させた状態で、液体噴霧ユニットからエタノール(可塑化液体)の噴霧を行った(噴霧工程S4c)。
そこから温度調整用ジャケットを流れる循環水の温度を昇温させて、粉体流路内の温度がおおよそ60℃付近になるよう調節した。このとき貫通孔および液体ガス排出部を通じて排出されたエタノールの排出濃度は、噴霧液体の噴霧開始から徐々に上昇した。この状態で安定した際の濃度を約1.0Vol%となるよう調節した。なお、液体ガス排出速度および噴霧手段による可塑化液体の噴霧速度は、市販のガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を用いて観察した。
この状態で30分間の撹拌を行い、膜化工程S4dを実施した。
膜化工程S4d終了後に送液ポンプを操作することによりエタノールの供給を止め、粉体流路内のガスを排出しながら10分間の運転を続けることでエタノールを乾燥させ、乾燥工程S4eを実施した。
その後、第2粉体回収工程S4fとして、カプセルトナー粒子を回収した。
[外添工程S5]
回転撹拌手段としてマルチパーパスミキサ(日本コークス工業社製)に、上記のようにして作製したカプセルトナー粒子200重量部と、疎水性シリカ粒子(外添剤、株式会社アエロジル社製、1次粒径12nm、HMDS処理)2.0重量部とを投入し、4000rpmで2分間混合した。その後、疎水性シリカ粒子(株式会社アエロジル社製、1次粒径210nm、HMDS処理)1重量部を加え、4000rpmで2分間混合することによって、外添剤固定カプセルトナーを得た。
[ふるい処理工程S6]
外添剤固定カプセルトナーを複数用意し、ふるいにかけメッシュパス品を回収することによって、実施例1のカプセルトナーを得た。
メッシュサイズ別に♯270(目開き75μm)、♯500(目開き25μm)、♯795(目開き16μm)の複数のふるいを用意した。100gの外添剤固定カプセルトナーをふるいのメッシュ上に投入し、振動フルイ(SW−20AT、筒井理化学機械社製)により5分間ふるいにかけ、メッシュパス品を回収しその重量を測定した。
(実施例2)
前混合工程S3で、投入材料を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2のカプセルトナーを得た。
<投入材料>
・トナー母粒子 800g(100重量部)
・樹脂微粒子(スチレン−ブチルアクリレート共重合体) 60g(10重量部)
・ドライアイス(吸熱剤) 40g(5重量部)
なお、回収工程で、袋内に回収されたカプセルトナーを観察したところ、吸熱剤が残ったカプセルトナー粒子、および目に見えるレベルの凝集物は確認されなかった。
(実施例3)
前混合工程S3で、窒素ガス(冷却媒体)の噴射を行わず、被膜形成工程S4でのみ、窒素ガス(冷却媒体)の噴射を行ったこと以外は実施例1と同様にして実施例3のカプセルトナーを得た。窒素ガスの噴射は、被膜形成工程S4での可塑化液体の噴霧と同時に開始した。
前混合工程S3では、粉体流路内のガスの排出量は、毎分10Lであった。
(比較例1)
冷却媒体の噴射を一切行わないこと以外は実施例1と同様にして比較例1のカプセルトナーを得た。
(比較例2)
冷却媒体の噴射を一切行わないこと以外は実施例2と同様にして比較例2のカプセルトナーを得た。
実施例および比較例のカプセルトナーの製造条件を表1にまとめた。
Figure 2013164521
〈2成分現像剤の作製〉
以上のようにして得られた実施例および比較例のカプセルトナーと、体積平均粒子径50μmのフェライトコアキャリアとを、トナー濃度が7%になるように混合し、2成分現像剤を作製した。
<<トナー品質評価>>
〈循環管内への非付着性〉
実施例および比較例のカプセルトナー製造後の上記ハイブリダイゼーションシステムの循環管内部について、カプセルトナー粒子などの粒子の付着の程度を目視で確認し、循環管内への非付着性を評価した。
循環管内への非付着性の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。粒子が付着してはいるが、融着はしていない。
△:問題なし。粒子が融着してはいるが、凝集成長はしていない。
×:不良。粒子が凝集成長している。
〈非凝集性〉
実施例および比較例のカプセルトナーの非凝集性を評価するため、まず、メッシュサイズ♯270のふるいを用いて、ふるい処理工程S6を行った実施例および比較例のカプセルトナーを含む2成分現像剤、メッシュサイズ♯500のふるいを用いて、ふるい処理工程S6を行った実施例および比較例のカプセルトナーを含む2成分現像剤、およびメッシュサイズ♯795のふるいを用いて、ふるい処理工程S6を行った実施例および比較例のカプセルトナーを含む2成分現像剤について、以下のようにしてその画像形成能力を評価した。
市販複写機(商品名:MX―2300G、シャープ株式会社製)に、上記2成分現像剤をそれぞれ充填し、現像電圧を制御することで分光測色濃度計(商品名:X−Rite Model939:エックスライト社製)による画像濃度がID:1.2になるよう調整した上で現像し、2cm×10cmの帯画像を得た。帯画像の白点の数を目視により数え、非凝集性を評価した。
画像形成能力の評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好。帯画像に白点が確認されない。
○:やや不良。帯画像に白点が1点確認される。
△:不良。白点が2点以上確認されるが、帯画像全面には確認されない。
×:実使用不可。白点が、帯画像の全面にわたって確認される。
上記の画像形成能力の評価が◎または○となる2成分現像剤に含まれるカプセルトナーの製造に用いたふるいのうち、メッシュサイズが最小(目開きが最大)のふるいの目開き、および該2成分現像剤の画像形成能力の評価結果を表2に記入した。メッシュサイズ♯795のふるいを用いて製造したカプセルトナーを含む2成分現像剤であっても、画像形成能力の評価結果が◎または○とならない場合、メッシュサイズ♯795の目開きを記載し、該2成分現像剤の画像形成能力の評価結果を記載した。
〈ふるい回収率〉
メッシュサイズ♯270、♯500、♯795のふるいをそれぞれ用いて、ふるい処理工程S6を行った実施例および比較例のカプセルトナーのふるい回収率を、下記式(1)を用いて求めた。
ふるい回収率(%)={(メッシュパス品重量)/(ふるい投入重量)}×100
…(1)
ふるい回収率の評価基準は以下の通りである。
◎:優秀。ふるい回収率が90%以上である。
○:良好。ふるい回収率が80%以上90%未満である。
△:悪い。ふるい回収率が70%以上80%未満である。
×:最悪。ふるい回収率が70%未満である。
〈熱耐久性〉
実施例および比較例のカプセルトナーについて、高温保存後の凝集物の有無によって被膜均一性を評価し、熱耐久性を評価した。この評価には、非凝集性の評価試験で表2に記入した目開きのふるいを用いてふるい処理工程S6を行った実施例および比較例のカプセルトナーを用いた。
カプセルトナー20gをポリ容器に密閉し、50℃で48時間放置した後、カプセルトナーを取り出し、まず目視でカプセルトナーの凝集状態を観察した。
その後、230メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存するカプセルトナーの重量を測定し、この重量のカプセルトナー全重量に対する割合である残存量を、下記式(2)によって求め、下記の基準で評価した。残存量の値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、保存性が良好、すなわち被覆均一性に優れることを示す。
残存量(%)=(残存したカプセルトナーの重量/カプセルトナー全重量)×100
…(2)
熱耐久性の評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好。目視で凝集が確認されない。残存量が1%以下である。
○:良好。目視で凝集が確認されない。残存量が1%を超えて3%未満である。
△:実使用上問題なし。目視で凝集が少量確認される。残存量が3%以上20%未満である。
×:不良。凝集が多量に確認される。残存量が20%以上である。
[総合評価]
画像形成能力の評価結果が◎、○または△となる2成分現像剤に含まれるカプセルトナーのうち、メッシュサイズが最小のふるいを用いて製造されたカプセルトナーのふるい回収率の評価結果、または、カプセルトナーの熱耐久性の評価結果のいずれか悪い方の評価結果を総合評価の指標とした。
画像形成能力の評価結果が◎、○または△となる2成分現像剤に含まれるカプセルトナーを製造するときに用いたふるいのメッシュサイズのうち、最小のメッシュサイズは、実施例1,2が♯270、実施例3が♯500、比較例1,2が♯795であった。
評価結果を表2に示す。
Figure 2013164521
実施例では、熱耐久性などが良好で、画像欠陥のない画像を形成できるカプセルトナーが得られた。
実施例2の結果から、吸熱剤を用いることによって、収率をさらに向上することができることがわかる。
A200 切断面線
201 回転撹拌装置
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
204a 回転撹拌手段204の最外周
206 粉体投入部
207 粉体回収部
208 回転撹拌室
208a 回転撹拌室208の軸線方向一方側の面
208b 面208aに垂直な側面
208c 回転撹拌室208の軸線方向他方側の面
209 循環管
210 開口部
211 開口部
212 供給管
213 電磁弁
214 矢符
215 回収タンク
216 回収管
217 電磁弁
218 回転軸
219 回転盤
220 撹拌羽根
221 貫通孔
222 ガス排出部
224 温度調整用ジャケット
225 流路
301 粉体供給手段
401 吸熱剤供給手段
φ 拡がり角度
θ 粉体流動方向との成す角度

Claims (6)

  1. 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、樹脂微粒子とを撹拌混合し、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る樹脂微粒子付着工程と、
    樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、樹脂微粒子付着トナー母粒子を、温度調整された粉体流路内で流動させ、前記樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の前記樹脂微粒子を膜化させながら、該樹脂微粒子付着トナー母粒子に、冷却媒体を噴霧または噴射する被膜形成工程と、を含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
  2. 被膜形成工程で、粉体流路内を流動している樹脂微粒子付着トナー母粒子に、前記トナー母粒子および前記樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を噴霧することを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナーの製造方法。
  3. 被膜形成工程では、
    回転することによって樹脂微粒子付着トナー母粒子に衝撃力を付与して、複数の屈曲部を有する粉体流路内を流動させる回転撹拌手段と、
    粉体流路内の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、
    粉体流路内に前記可塑化液体を噴霧する噴霧手段と、
    複数の前記屈曲部にそれぞれ設けられ、粉体流路内に前記冷却媒体を噴霧または噴射する複数の冷却媒体供給手段と、を備える回転撹拌装置を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセルトナーの製造方法。
  4. 冷却媒体供給手段は、さらに、噴霧手段の近傍にも設けられることを特徴とする請求項3に記載のカプセルトナーの製造方法。
  5. 冷却媒体供給手段は、冷却媒体として、液体窒素を噴霧する、または、冷却媒体として、0℃以下の温度の窒素ガスを噴射することを特徴とする請求項3または4に記載のカプセルトナーの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のカプセルトナーの製造方法によって得られることを特徴とするカプセルトナー。
JP2012027855A 2012-02-10 2012-02-10 カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナー Pending JP2013164521A (ja)

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