JP2010191115A - トナーおよびトナーの製造方法、現像剤、現像装置ならびに画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トナーは、少なくとも樹脂を含むコア部分と、コア部分に含まれる樹脂のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂を少なくとも含むシェル部分とを有する。トナーはコア部分の表面まで貫通した孔がシェル部分に複数形成されたカプセル型である。トナーはコア部分の露出率が10〜30%の範囲である。トナーは、コア部分の露出面の正射影円相当径がトナー粒径の5〜20%の範囲内にある。トナーは、コア部分の露出面の正射影円相当径の分布の変動係数CVが40%未満である。
【選択図】 図1
Description
また本発明は、前記トナーとキャリアとから成る2成分現像剤であることを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係るトナーの製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。本発明のトナーの製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子を調製する樹脂微粒子調製工程S2と、トナー母粒子に樹脂微粒子を被覆する被覆工程S3とを含む。
トナー母粒子作製工程S1では、樹脂層によって被覆されるべきコア部分となるトナー母粒子を作製する。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む粒子であり、その作製方法は特に限定されることなく、公知の方法によって行うことができる。トナー母粒子の作製方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法を説明する。
粉砕法によるトナー母粒子の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
前述のように、トナー母粒子は、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂としては、特に限定されることなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応により得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
樹脂微粒子調製工程S2では、乾燥した樹脂微粒子を調製する。乾燥にはどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法で乾燥樹脂微粒子を得られる。樹脂微粒子は、後の被覆工程S3において、トナー母粒子を膜化するシェル剤として用いられる。トナー母粒子表面を膜化することにより、たとえばトナー母粒子に含まれる離型剤などの低融点成分の溶融による、保存中のトナー凝集の発生を防止できる。また、たとえば樹脂微粒子を分散させた液体を噴霧してトナー母粒子を被覆した場合、樹脂微粒子の形状がトナー母粒子表面に残るので、表面が平滑なトナーに比べクリーニング性に優れるトナーを得られる。
まず、粒度分布の揃ったワックス微粒子を調製する。
<トナーの製造装置>
被覆工程S3では、たとえば図2に示すトナーの製造装置201を用い、トナー母粒子作製工程S1で作製したトナー母粒子に樹脂微粒子調製工程S2で調製した微粒子混合物を付着させ、前記装置内での循環と撹拌の相乗効果による衝撃力でトナー母粒子に樹脂膜を形成する。図2は、本発明の実施形態であるトナーの製造に用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。トナーの製造装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。回転撹拌手段204と、粉体流路202とは循環手段を構成する。図3は、図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200−A200からみた概略断面図である。
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210、211が形成される。開口部210は、撹拌部208の回転軸方向片側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸方向片側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、トナー母粒子、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202は、トナー母粒子および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるよう設けられる。
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向片側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される貫通孔221に挿通されるよう設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
噴霧手段203は、粉体流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられ、粉体流過部209において、トナー母粒子および樹脂微粒子の流動方向における開口部211に最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、液体とキャリアガスとを混合し得られる混合物を粉体流路202内に存在するトナー母粒子に向けて噴射し、液体の液滴をトナー母粒子に噴霧する二流体ノズルとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。二流体ノズルは、液管と空気管の一部が連結し中心がずれない構造を持ち、前記液体を一定速度で噴霧し粉体流路内で一定濃度に保つ。前記循環手段と温度調整手段との相乗効果で樹脂微粒子を可塑化し均質な膜質と粒度のトナーを得ることが出来る。さらに、ノズルの液および圧縮エアの噴出域にトナー母粒子および樹脂微粒子の付着防止用の凸型キャップを配置することにより、この効果が向上して高い収率で製造することが出来る。
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これにより後述の噴霧工程S3cおよび膜化工程S3dにおいては、トナー母粒子、樹脂微粒子および液体にかかる温度のばらつきが少なくなり、トナー母粒子および樹脂微粒子の安定な流動状態を保つことが可能となる。本実施形態において、温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。
温度調整工程S3aでは、回転撹拌手段204を回転させながら、粉体流路202内および回転撹拌手段204をこれらの外側に配設した温度調整用ジャケットに媒体を通じて所定の温度に調整する。これにより粉体流路202内の温度を、後述する樹脂微粒子付着工程で投入されるトナー母粒子および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御できる。
樹脂微粒子付着工程S3bでは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206からトナー母粒子および樹脂微粒子とワックス微粒子を含む前述の微粒子混合物とを粉体流路202に供給する。粉体流路202に供給されたトナー母粒子および微粒子混合物は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。これにより、微粒子混合物がトナー母粒子表面に付着する。
噴霧工程S3cでは、流動状態にあるトナー母粒子および樹脂微粒子に、それらの粒子を溶解せずに可塑化する効果のある液体を、前述の噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧する。
ステップS3dの膜化工程では、トナー母粒子に付着した微粒子混合物が軟化し膜化するまで、所定の温度で回転撹拌手段204の撹拌を続けトナー母粒子および微粒子混合物を流動させ、シェル部分となる被覆層を形成する。
回収工程S3eでは、噴霧手段203からの液体の噴霧と回転撹拌手段204の回転を停止し、粉体回収部207から樹脂層被覆トナーを装置外に排出し回収する。
孔あけ工程S3fでは、被覆層中の孔あけ用ワックス微粒子を取り除きトナーを完成させる。コアやシェル剤を溶解しない疎水性の強い溶剤でカプセル化トナーを洗浄し、表層ワックス成分のみを溶かし出す。トナー粒子から溶媒を取り除くことで、シェル層からコア層を貫通する複数の均一な孔を形成できる。
本発明の実施形態であるトナーは、上記の実施形態であるトナーの製造方法で製造される。実施形態のトナーの製造方法によって得られるトナーは、樹脂微粒子の被覆量が均一であるため、個々のトナー粒子間における帯電特性などのトナー特性が均一となる。したがってこのようなトナーを画像形成に用いると、高精細で、濃度むらのない、画質の良好な画像が得られる。
本発明の実施形態である現像剤は、上記の実施形態であるトナーを含む。これにより、トナー特性が均一である現像剤とすることができるので、良好な現像性を維持可能な現像剤が得られる。本実施形態の現像剤は、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用できる。
図5は、本発明の実施形態である画像形成装置100の構成を示す。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100は、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体またはメモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じ、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
カプセルトナーのSEM写真を5000倍にて撮影し、映像解析ソフト「A像くん」で、トナー1粒子の正射影における全面積と孔あき面積を求めた。色々な視野から撮影した20検体の平均値を求め、シェルのコア表面被覆率とした。
上記のSEM写真で孔を粒子として扱い、映像解析ソフト「A像くん」を用いて粒度分布を算出した。
上記のSEM写真より映像解析ソフト「A像くん」を用いて算出したSF1値でトナーおよび孔の形状を評価した。
SF1={(最大長)2×π}/{(面積)×4}×100 …(1)
トナー粒子のSEM写真を倍率5000倍で撮影して,トナー粒子表面の孔を映像解析ソフト「A像くん」にてトナー粒子同様に解析し,孔の「最大長」と「面積」とを測定し平均値を算出する。算出した平均値を上記の式(1)に代入し,孔形状のSF1とする。
〔トナー母粒子の作製〕
ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度55℃、軟化温度130℃) 87.5%(100部)
C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(5.7部)
離型剤(カルナウバワックス、融点82℃) 6.0%(6.9部)
帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)
1.5%(1.7部)
スチレンとアクリル酸ブチルとを重合したものを凍結乾燥し、体積平均粒径0.15μmのスチレン−ブチルアクリレート共重合体微粒子(ガラス転移温度72℃、軟化温度120℃)を樹脂微粒子として得た。
ポリエチレンワックス(離型剤、商品名:HNP−10、日本精鑞株式会社製)、融点85℃) 180部
エアロール(界面活性剤、商品名:エアロールCT−1p、東邦化学工業株式会社製) 2.4部
イオン交換水 360部
上記の樹脂微粒子とワックス微粒子を8:2の比率でヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)に投入し、2000rpmで3分間混合してシェル混合物微粒子とした。
図2に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に二流体ノズルを取付けた装置によって、トナー母粒子およびシェル混合物微粒子を撹拌、流動させ、そこへエタノールを噴霧した。液体噴霧ユニットとしては、定量送液が可能となるよう、送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)と二流体ノズルを接続したものを使用できる。液体の噴霧速度および液体ガス排出速度は、市販のガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を用いて観察できる。
回収したカプセル化トナー100重量部と600重量部のn-ヘキサンとを1Lビーカーに投入し、マグネチックスターラーで5分間攪拌後、ろ紙でトナーを濾し取り乾燥させ実施例1のトナーを得た。
シェル剤用樹脂微粒子をガラス転移点67℃のものを用いた以外は実施例1と同様にして実施例2のトナーを得た。
シェル剤用樹脂微粒子をガラス転移点76℃のものを用いた以外は実施例1と同様にして実施例3のトナーを得た。
シェル混合物微粒子の調製でシェル剤とワックス微粒子の比率を7:3に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナーを得た。
シェル混合物微粒子の調製でシェル剤とワックス微粒子の比率を9:1に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子の調製で分散剤のエアロールを3.0部に変更して、粒度分布0.32μm、CV値31%のワックス微粒子を得た。このワックス微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして実施例6のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子の調製で分散剤のエアロールを1.2部に変更して、粒度分布1.43μm、CV値37%のワックス微粒子を得た。このワックス微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして実施例7のトナーを得た。
シェル混合物微粒子の調製でヘンシェルミキサを用いず、樹脂微粒子とワックス微粒子をビニール袋に入れて手で攪拌しただけのものを用いた以外は実施例1と同様にして実施例8のトナーを得た。
溶融混練物の粉砕物を衝撃式球形化装置(商品名:ファカルティF−400型、ホソカワミクロン株式会社製)用いて球形化処理した以外は実施例1と同様にして実施例9のトナーを得た。
トナーのカプセル化で粉体流過部および撹拌部の温度を50℃に設定した以外は実施例1と同様にして、実施例10のトナーを得た。
実施例9と同様にして衝撃式球形化装置によりトナーを球形化処理した後、トナーのカプセル化で粉体流過部および撹拌部の温度を58℃に設定した以外は実施例1と同様にして、実施例11のトナーを得た。
シェル剤用樹脂微粒子をガラス転移点65℃のものを用いた以外は実施例1と同様にして比較例1のトナーを得た。
シェル剤用樹脂微粒子をガラス転移点78℃のものを用いた以外は実施例1と同様にして比較例2のトナーを得た。
トナーのカプセル化でシェル混合物微粒子を8重量部に変更した以外は,実施例8と同様にして実施例14のトナーを得た。
トナーのカプセル化でシェル混合物微粒子を8重量部に変更した以外は,実施例10と同様にして実施例15のトナーを得た。
トナーのカプセル化でシェル混合物微粒子を8重量部に変更した以外は実施例4と同様にして比較例1のトナーを得た。
トナーのカプセル化でシェル混合物微粒子を12重量部に変更した以外は実施例5と同様にして比較例2のトナーを得た。
シェル混合微粒子の調製で、ヘンシェルミキサによる混合時間を1分間に変更した以外は実施例7と同様にして比較例3のトナーを得た。
トナーのカプセル化でエタノール噴霧停止後の攪拌時間を5分間に変更した以外は実施例10と同様にして比較例4のトナーを得た。
シェル混合物微粒子の調製でシェル剤用樹脂微粒子とワックス微粒子の比率を75:25に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5のトナーを得た。
シェル混合物微粒子の調製でシェル剤用樹脂微粒子とワックス微粒子の比率を95:5に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例6のトナーを得た。
シェル剤用樹脂微粒子を用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例7のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子を用いず、孔あけ工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして比較例8のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子の調製でクレアミックスの回転速度を10000rpmに変更した以外は、実施例6と同様にして比較例9のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子の調製で界面活性剤のエアロールを1.0部に変更してクレアミックスの回転速度を10000rpmに変更した以外は、実施例7と同様にして比較例10のトナーを得た。
孔あけワックス微粒子の調製でクレアミックスの回転速度を6000rpmに変更した以外は、実施例6と同様にして比較例11のトナーを得た。
市販複写機(商品名:MX−2300G、シャープ株式会社製)を改造したものを用いて定着画像を作製した。まず、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、べた画像部(縦20mm、横50mmの長方形)を含むサンプル画像を未定着画像として形成した。この際、べた画像部のトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cm2となるよう調整した。次に、カラー複合機の定着部を利用した外部定着器を用いて定着画像を作製した。定着プロセス速度は220mm/秒とし、定着ローラの温度を110℃から5℃刻みで上げ、低温オフセットも高温オフセットも起こらない温度域を測定し、その温度幅を定着非オフセット域とした。評価基準は次の通りである。
○:定着非オフセット域が60℃以上
△:定着非オフセット域が50℃以上60℃未満
×:定着非オフセット域が50℃未満
○:定着非オフセット域の下限が130℃未満
△:定着非オフセット域の下限が130℃以上145℃未満
×:定着非オフセット域の下限が145℃以上
(判定)
◎:いずれの評価も○
○:片方の評価が○だが、もう一方は△
△:いずれの評価も△
×:どちらか一方が×
実施例および比較例のトナーを用い、高温保存後の凝集物の有無により保存安定性を評価した。トナー20gをポリ容器に密閉し、50℃で48時間放置した後、トナーを取り出し230メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存するトナーの重量を測定し、この重量のトナー全重量に対する割合を残存量とし、下記の基準で評価した。数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、保存性が良好であることを示す。
○:トナー残存量が1.5%未満
△:トナー残存量が1.5%以上3%未満
×:トナー残存量が3%以上
上記の定着性の判定と保存安定性の評価に基づき、本発明のトナーおよび製造方法の総合評価を行った。総合評価基準は以下のとおりである。
◎(最良):定着性が◎であり、保存安定性が○である
○(良):定着性も保存安定性も×以外であり、かつ、少なくともどちらかが◎または○である
△(可):いずれも△である
×(不良):どちらかが×である
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部
218 回転軸部材
220 撹拌羽根
Claims (9)
- 少なくとも樹脂を含むコア部分と、コア部分に含まれる樹脂のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂を少なくとも含むシェル部分とを有し、コア部分の表面まで貫通した孔がシェル部分に複数形成されたカプセル型のトナーであって、
コア部分の露出率が10〜30%の範囲であり、
コア部分の露出面の正射影円相当径がトナー粒径の5〜20%の範囲内にあり、正射影円相当径の分布の変動係数CVが40%未満であることを特徴とするトナー。 - コア部分に含まれる樹脂のガラス転移温度と、シェル部分に含まれる樹脂のガラス転移温度との差が10℃以上20℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 電子顕微鏡で観察したときのコア部分の露出面の形状係数SF1が130未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 電子顕微鏡で観察したときのトナーの形状係数SF1が120より大きく140未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーの製造方法であって、
パラフィン樹脂粒子を混合したシェル材料を用いてコア部分の表面にシェル部分を形成した後に、パラフィン樹脂粒子のみが可溶な疎水性溶媒にてパラフィン樹脂粒子を溶出除去し、コア部分の表面まで貫通した孔をシェル部分に複数形成する工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーとキャリアとから成る2成分現像剤であることを特徴とする請求項6に記載の現像剤。
- 請求項6または7に記載の現像剤を用いて、像担持体に形成される潜像を現像してトナー像を形成することを特徴とする現像装置。
- 潜像が形成される像担持体と、像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、請求項8に記載の現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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