JP4604942B2 - 静電潜像現像用キャリア、静電潜像現像用現像剤および画像形成方法 - Google Patents
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Description
二成分現像剤は、キャリアが帯電・搬送の機能を有するため制御性が高いことから現在広く用いられている。二成分現像剤はキャリアが現像剤の攪拌・搬送・帯電などの機能を有し、現像剤としての機能は分離されているため制御性が良いなどの特徴があり、現在広く用いられている。
しかし、現像剤(キャリア)の小径化、像担持体の小径化による劣化加速や潜像コントラストの拡大による像担持体上へのキャリアの付着量が増加してしまう為、得られる画像に白抜けが発生し易くなり画質品位が低下する問題がある。
特に、トナー像を転写した後に像担持体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段としては、コスト及び構成の簡素化の点で、像担持体表面に圧接する部分が弾性材料からなるクリーニングブレードが採用される場合が多い。
このような像担持体上のキャリアは、クリーニングブレードに対しブレードエッジ部と像担持体との接触界面に進入した際に、ブレードのエッジ部分の欠けや磨耗等のダメージの発生を招いてしまう。このため、クリーニングブレードが本来クリーニングしなければならないトナー構成成分の除去機能が損なわれ、結果として画像に筋が発生するなどの画像欠陥が生じ、信頼性が低下するという問題がある。特に画像形成装置の長寿命化を目指した場合、像担持体上へのキャリア付着を抑制して、クリーニングブレードへのダメージを抑制し、長期に渡ってクリーニング不良に起因する筋等の画質欠陥を抑制することは大きな課題である。
このように、高速化及び高信頼性に応えるには像担持体上へのキャリア付着を少なくして、クリーニングブレードへのダメージを低減することが求められている。
例えば、コア粒子の形状係数が1.15〜1.70であり、キャリア粒子の形状係数1.05〜1.30であり、且つ、コア粒子の形状係数をキャリアの形状係数よりも大きくしたキャリアが提案されている(特許文献1参照)。この技術では、コア粒子表面の凹部に樹脂層を存在させることでコア粒子とこれを被覆する樹脂層との密着性の向上を図り、経時的にキャリア抵抗を安定化させることができる。しかし、形状係数が大きなコア粒子を用いてキャリアを作製した場合、樹脂層の厚みが不均一となり、特にコア粒子の凸部を被覆する樹脂層の厚みが薄くなる。
キャリアの形状が不定形になると現像機内のストレスがキャリア粒子に不均一に加わるため、よりキャリア粒子が破砕されやすくなり抵抗の低い角の尖った粒子が発生する場合がある。このような場合、抵抗が低く角の尖った粒子はキャリアが付着し易くなり、クリーニングブレードへのダメージを増大してしまう問題が発生する。
それゆえ、長期に渡る使用では、キャリア中に発生した微粉が像担持体上に付着して、クリーニングブレードへダメージを与え、画像に筋や白抜けが発生してしまう。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、長期にわたる使用においても、クリーニングブレードのダメージを抑制し、白抜けや筋のない画像を安定して得ることができる静電潜像用キャリア、並びに、これを用いた静電潜像現像剤及び画像形成方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明者らは、キャリアが破壊されて発生した微粉の形状が、クリーニングブレードに対してダメージを与えにくくする形状であることが重要であると考え、以下の本発明を見出した。
<1>
マンガンフェライト系のコア粒子と該コア粒子を被覆する樹脂層とを含み、前記コア粒子が、平均粒径2.0μm以下の結晶粒からなる多結晶材料を含み、前記コア粒子の表面の露出率が2%以下であることを特徴とする静電潜像現像用キャリアである。
前記結晶粒の粒度分布が下式(1)を満たすことを特徴とする<1>に記載の静電潜像現像用キャリアである。
・式(1) D85/D50<1.5
〔式(1)中、D50は前記結晶粒の粒度分布の小径側から累積が50個数%となる粒径を表し、D85は前記結晶粒の粒度分布の小径側から累積が85個数%となる粒径を表す。〕
平均円形度が0.975〜1.000の範囲内であることを特徴とする<1>または<2>に記載の静電潜像現像用キャリアである。
短軸径20μm以下且つアスペクト比(最大長垂直長/最大長)0.7以下の粒子の存在割合が、5個数%以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電潜像現像用キャリアである。
中心粒径が30〜60μmの範囲内であり、且つ、粒径20μm以下の粒子数の存在割合が、20個数%以下であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の静電潜像現像用キャリアである。
前記樹脂層の膜厚が0.1〜1.2μmの範囲内であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電潜像現像用キャリアである。
前記コア粒子表面の露出率が2%以下であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電潜像現像用キャリアである。
<1>〜<7>のいずれか1つに記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする静電潜像現像用現像剤である。
像担持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体表面を露光して潜像を形成する潜像形成工程と、トナーとキャリアとを含む現像剤により前記像担持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を定着する定着工程と、前記転写工程を終えた後の前記像担持体表面を、該像担持体表面に当接するクリーニングブレードによりクリーニングするクリーニング工程とを含む画像形成方法において、
前記現像剤が<8>に記載の静電潜像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
プロセススピードが300mm/s以上であることを特徴とする<9>に記載の画像形成方法である。
本発明の静電潜像現像用キャリア(以下、「キャリア」と称す)は、コア粒子と該コア粒子を被覆する樹脂層とを含み、前記コア粒子が、平均粒径2.0μm以下の結晶粒からなる多結晶材料を含むことを特徴とする。
すなわち、コア粒子に含まれる多結晶材料の平均粒径が上述した範囲のように小さいと、キャリアが破壊された場合に、コア粒子部分が小さく細かく割れてしまう傾向にあるため、角の尖った微粉が発生し難くなる。このため、キャリアの破壊により微粉が発生しても、従来のキャリアが破壊された場合と比べると、微粉中に含まれる角の尖った成分が少ないため、従来のようにクリーニングブレードに対してダメージを与えにくくなり、結果として、長期に渡って画像中の白抜けや筋の発生を抑制することができる。
これに加えて、多結晶材料を構成する個々の結晶粒が大きいために、キャリアにストレスが加わった際に、コア粒子の一部分に偏った応力が集中しても応力を均一に分散させることができないため、キャリアが破壊され易くなる。
それゆえ、このような観点からは、多結晶材料に含まれる結晶粒の平均粒径は1.5μm以下であることがより好ましい。但し、平均粒径が小さすぎる場合には、多結晶材料の結晶性が低下して、コア粒子自体の機械的強度が低下し、結果としてキャリアが破壊され易くなる場合もあるため、多結晶材料の平均粒径は、1.0μm以上であることが好ましい。
・式(1) D85/D50<1.5
ここで式(1)中、D50は前記結晶粒の粒度分布の小径側から累積が50個数%となる粒径を表し、D85は前記結晶粒の粒度分布の小径側から累積が85個数%となる粒径を表す。
粒度分布が広くなると、例え平均粒径が小さくても、個々の結晶粒の中には粗大なものも存在することになるため、キャリアが破壊された場合に、コア粒子部分が割れる際に、場合によっては大きく粗く割れてしまう可能性が高くなり、角の尖った微粉が発生し易くなるためである。また、粗大結晶粒子が存在する場合、外的応力を分散させる効果が小さくなるだけでなく、コア粒子内部に比較的大きな空包を有してしまう場合がありコア粒子自体の強度が弱くなってしまう場合がある。
このような観点からD85/D50は1.3以下であることがこのましく、単分散に近いほど好ましい。
平均粒度及び粒度分布は集束イオンビーム加工観察装置(FB−2100、日立ハイテクノロジー社製)によりサンプルを白金蒸着し、印加電位40kV、150nAの条件下で切削し、電流値にて切削エネルギーを調整しコア粒子の断面を作製し観察を実施した。
コア粒子断面の画像は、加速電圧5kv、5000倍にて撮影した。次に撮像された画像中に観察される個々の結晶粒の長径を定規にて測定し、これを実寸長さに換算した。尚、測定および画像処理は15個のコア粒子の断面について実施した。
ここで、平均粒径は、上述したように個々の結晶粒の長径を測定し、粒度分布の小径側から50個数%の粒子の粒径(D50)として求めた。また、D85/D50は、粒度分布の小径側から85個数%の粒径(D85)と平均粒径(D50)との比を表したものである。
なお、コア粒子の断面に観察される個々の結晶粒は、必ずしもその中心部の断面として現れるものではないため、断面画像より得られた粒度分布(以下、「生粒度分布」と称す)には、結晶粒の中心部以外に端の部分の断面に起因する測定結果も含まれることになる。
このため、上述のD50およびD85の値は、結晶粒の端の部分の断面に起因する測定結果を生粒度分布から近似的に除外するために、生粒度分布の小径側から50個数%までの値を除いて得られた粒度分布を用いて求めた。
平均円形度が0.975未満の場合、即ちキャリア粒子の形状が不定形な傾向にある場合には、現像機内でキャリアに加わるストレスが、キャリア粒子内で不均一に加わり歪を生じ、発生する微分量が多くなる。このため、破壊された場合に発生する微分中に角の尖った成分の割合が少なくても、発生する微分量が多くなれば、これに比例して角の尖った微分も多くなるため、クリーニングブレードへダメージを与えやすくなる。
また、キャリア粒子の形状が不定形になると、トナーに対してもストレスが高くなり現像部での磁気ブラシ構造が変化し、キャリアの破壊により発生した微粉が像担持体上へと移着しやすくなる。
・式(2) 円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(A×π) 1/2 ]/PM
(上式において、Aはキャリア粒子の投影面積、PMはキャリア粒子の周囲長を表す。)
測定に用いたサンプルは、エチレングリコール水溶液30mlにキャリア粒子200mgを添加、攪拌し、上澄み水溶液を除去して得られた残渣を用いた。
また、測定はHPFモード(高分解能モード)、希釈倍率10倍で行った。また、データの解析に当たっては、測定ノイズ除去の目的で、個数粒径解析範囲を3〜80μmの範囲、円形度解析範囲を0.85〜1.0の範囲で実施した。
短軸径20μm以下且つアスペクト比0.7以下の粒子は、角が尖った針状の形状であるため、その長軸方向からクリーニングブレードと像担持体との当接部(ニップ部)に突入すると、粒子の先端に圧力が集中する為に、クリーニングブレードに対しブレードエッジ部と像担持体の接触界面に進入しすり抜けを起こし、ブレードエッジ欠けや磨耗等のダメージを与えてしまう。
加えて、短軸径20μm以下且つアスペクト比0.7以下の粒子は、この粒子の短軸方向から加わるストレスに弱く、比較的低ストレスで破砕されるため、微粉の発生源となりやすい。
このため、上述したような針状形状の粒子が5個数%を超えて含まれると、クリーニングブレードに対してダメージを与えやすくなるため、長期に渡って画像中の白抜けや筋の発生を抑制することが困難になる場合がある。
中心粒径が30μm未満の場合は、キャリア粒子1個当りの磁力が小さくなる為、現像スリーブ上での磁気ブラシの磁気的拘束力が低下し像担持体へのキャリア付着が増加してしまう場合がある。
一方、中心粒径が60μmを越える場合は、現像機内でのトナーに対する衝突エネルギーが増大するため、低温定着用のトナーと組み合わせ時にはトナー表面で添加剤が埋没し磁気ブラシ構造が変化するため、像担持体上へのキャリア付着を促進する場合がある。また、磁気ブラシの穂立ちが粗くなり細線或いは精密な静電潜像の再現が損なわれる場合がある。
また、粒径20μm以下の粒子数の存在割合が20個数%を超える場合は中心粒径が小さい場合と同様に、像担持体キャリア付着が促進されてしまう。
なお、キャリアの中心粒径および粒径20μm以下の粒子数の割合は、FPIA−3000(シスメックス社製)を用いて、円形度の測定と同様の条件で測定して得られた5000個以上のキャリア粒子の撮像データーに対して画像解析を行い、統計処理することによって求めた。
樹脂層の膜厚が0.1μm未満の場合、キャリア強度が低下して破壊され易くなると共に、コア粒子表面を十分に被覆できないのみならず、コア粒子表面から樹脂層が剥離しやすくなったり、長期使用による樹脂層の磨耗によりキャリアの電気抵抗特性が変化しやすくなる場合がある。加えて、樹脂層に抵抗調整剤や帯電制御剤のような粒子を添加した場合、樹脂層の強度も低下してしまう可能性がある。
この様に樹脂層が薄い場合には、長期にわたる使用によるキャリア破壊が起こりやすく、微粉量が増加するため、キャリア抵抗が徐々に低下しキャリア付着が経時ともに悪化し、画像に白抜けや筋が発生し易くなる場合がある。
・式(3)
樹脂層の膜厚=[キャリア粒子1個当たりの樹脂層材料量/キャリア粒子1個当たりの表面積]÷樹脂層材料の平均比重=[{4/(3π)}・(D/2)3 ・ρD ・WC ]/[4π(D/2)3]÷ρC=(1/6)・(D・ρD ・WC /ρC )
コア粒子表面の露出率が2%以下である場合、所望のキャリア強度を得ることができるだけでなく、現像機内のストレスによって、コア粒子から樹脂層が剥離するのを抑制することが容易である。
一方、コア粒子の露出率が2%を超える場合、十分なキャリア強度を得るとが出来ない場合がある。また、現像スリーブ上の磁気ブラシ内で導通が増えるため磁気ブラシ抵抗の低下を招きキャリア付着を悪化させる場合がある。また、樹脂層の厚みが薄い場合同様、コア粒子の露出率の増加は、樹脂層の剥離個所が増加することを意味しており、キャリアの信頼性の低下を招いてしまう場合がある。
測定された各元素のピーク強度は分析領域内の存在量に原子毎に比例する。本発明においては、例えば、コア粒子が酸化鉄系材料からなる場合、(樹脂層で被覆されていない)コア粒子表面の鉄原子由来のピーク強度に対して、キャリア表面鉄原子由来のピーク強度比率をとることにより、キャリア表面のコア露出量を概算している。なお、鉄原子由来のピークとしては鉄元素のFe2P3/2スペクトルのピーク強度を利用した。
コア粒子としては、フェライトやマグネタイトなどの、キャリア用のコア粒子材料として用いられる公知の多結晶材料が用いられる。コア粒子はこれら多結晶材料のみからなるものであってもよいが、フェノール樹脂等の重合により硬化する樹脂中に粉砕した多結晶材料を分散させた磁性体分散型樹脂粒子をコア粒子として用いることもできる。
なお、キャリアの強度を十分なものとするためにはコア粒子としてフェライト系粒子を用いることが好ましく、この場合、フェライト系粒子としては、Li、Mg、Ca、Mn、Ni、Cu、Zn、Srから選ばれた1種以上の元素の酸化物とFe2O3とを主成分として形成された粒子が好ましく、さらには、Li、Mg、Mn、Srから選ばれた1種以上の元素の酸化物とFe2O3とを主成分とした粒子がより好ましい。
なお本発明においては、コア粒子としてマンガンフェライト系のコア粒子を用いる。
また、コア粒子に用いられる多結晶材料を構成する結晶粒の平均粒径や粒度分布は、使用する材料に応じて焼成温度等を調整することにより容易に制御でき、例えば、同一組成であれば、一般的には焼成温度をより低温にすることによって平均粒径を小さく、また粒度分布を狭くする方向に制御できる。
樹脂層に用いられる樹脂(マトリックス樹脂)は、キャリア用の樹脂層材料として用いられているものであれば公知の樹脂が利用でき、二種類以上の樹脂をブレンドして用いても良い。樹脂層を構成する樹脂としては大別すると、トナーに帯電性を付与するための帯電付与樹脂と、トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂とが挙げられる。
ここで、トナーに負帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、およびエポキシ樹脂等があげられ、さらにポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等があげられる。
また、トナーに正帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等があげられる。
熱可塑性樹脂の場合、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
一方、樹脂微粒子の粒径が1.5μmを超える場合は、樹脂層から樹脂微粒子が脱離し易くなり、帯電付与の機能が発揮できない場合がある。また、粒径如何によっては樹脂層の強度を低下させてしまう場合がある。
本発明のキャリアの製造方法は特に限定されず、従来公知のキャリア製造方法が利用できる。
ここで、樹脂層をコア粒子表面に形成する代表的な方法としては、樹脂層形成用溶液(溶剤中に、樹脂層を形成するマトリックス樹脂の他に、必要に応じて用いられる導電性微粉末や帯電制御樹脂微粒子等を適宜含む溶液)を用い、例えば、コア粒子を樹脂層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂層形成用溶液をコア粒子の表面に噴霧するスプレー法、コア粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でコア粒子と樹脂層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられるが、特に溶液を用いたものに限定されるものではない。例えば、キャリアの作製に用いるコア粒子の種類によっては、コア粒子と樹脂粉末とを共に加熱混合するパウダーコート法などを適宜に採用することもできる。
また、樹脂層を形成するための樹脂層形成用溶液に使用する溶剤としては、マトリックス樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などを使用することができる。
次に本発明の静電潜像現像用現像剤(以下、「現像剤」と称す場合がある)は、本発明のキャリアと、トナーとを含むものである。
ここで、トナーとキャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜20:100程度の範囲であることが好ましく、3:100〜15:100程度の範囲がより好ましい。
なお、トナーの体積平均粒径は、LS−Particle−Size−Analyzer(COULTER社)を用い、体積粒度分布に対し小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径として求めたものである。
本発明に用いられるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーであってもよく、磁性材料を含有しない非磁性トナーであってもよい。
前記単分散球形シリカの平均粒径が80nm未満であると、トナーと像担持体(感光体)との非静電的付着力を低減させることが困難になる場合がある。特に、現像器内のストレスにより、単分散球形シリカがトナー母粒子に埋没しやすくなり、現像性、転写性向上効果が低減しやすくなる場合がある。
一方、300nmを超えると、トナー母粒子からシリカ粒子が離脱しやすくなり、非静電的付着力の低減に寄与できなくなると同時に、脱落したシリカ粒子がその他の部材に移行しやすくなり、帯電阻害、画質欠陥等の二次障害を引き起こしやすくなる場合がある。当該単分散球形シリカの平均粒径は、100〜200nmであることがより好ましい。
本発明の画像形成方法は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる公知の電子写真方式の画像形成方法において、本発明の現像剤を利用するものであれば特に限定されないが、具体的には、以下のプロセスからなる画像形成方法であることが好適である。
すなわち、本発明の画像形成方法は、像担持体(感光体)表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体表面を露光して潜像を形成する潜像形成工程と、本発明の現像剤により前記像担持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を定着する定着工程と、前記転写工程を終えた後の前記像担持体表面を、該像担持体表面に当接するクリーニングブレードによりクリーニングするクリーニング工程とを含むものであることが好ましい。
MnO:30部と、Fe2O3:70部とを十分混合し、これら原料混合物を湿式ボールミルで10時間混合、粉砕後、ロータリーキルンを用いて、900℃で1時間保持し、仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を湿式ボールミルで8時間粉砕し、酸化物スラリーを得た。
得られたスラリー100部に対して、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩アニオン)を1部、ポリビニルアルコールを0.3部添加し、次いでスプレードライヤーにて造粒、乾燥をした後、電気炉で温度1350℃、酸素濃度0.3%の条件で5時間保持し本焼成を行った。得られたフェライト粒子を磁力選鉱した後、目開き20μmの篩により分級処理することにより、コア粒子Aを得た。
得られたコア粒子Aの結晶粒の平均粒径は1.8μm、D85/D50は1.6であった。また、コア粒子A1の平均粒径は34μmであった。
原料混合物を湿式ボールミルで混合する時間を5時間とし、本焼成温度を1200℃とした以外はコア粒子A1を作製した場合と同様にしてコア粒子A1を得た。
得られたコア粒子A1の結晶粒の平均粒径は1.1μm、D85/D50は1.55であった。また、コア粒子A1の平均粒径は36μmであった。
MnO:15部と、Fe2O3:85部とした以外はコア粒子A1を作製した場合と同様にしてコア粒子A3を得た。
得られたコア粒子A3の結晶粒の平均粒径は1.4μm、D85/D50は1.31であった。また、コア粒子A3の平均粒径は34μmであった。
原料混合物を湿式ボールミルで混合する時間を10時間とする以外はコア粒子A2を作製した場合と同様にしてコア粒子A4を得た。 得られたコア粒子A4の結晶粒の平均粒径は1.2μm、D85/D50は1.28であった。また、コア粒子A4の平均粒径は36μmであった。
分級処理を行わなかった以外はコア粒子A3を作製した場合と同様にしてコア粒子A5を得た。
得られたコア粒子A5の結晶粒の平均粒径は1.4μm、D85/D50は1.31であった。また、コア粒子A5の平均粒径は37μmであった。
市販のフェライト粒子(パウダーテック社製、商品名EF−35B、平均粒径 34μm)をコア粒子B1として用いた。コア粒子B1の結晶粒の平均粒径は2.4μm、D85/D50は1.60であった。
・トルエン:13部
・スチレン−メタクリル酸共重合体(モノマー成分比:スチレン:メタクリル酸=40:60、重量平均分子量Mw45000):1.8部
・カーボンブラック(Regal330;キャボット社製):0.2部
上記成分を60分間スターラーにて撹拌/分散し、樹脂層形成用溶液を得た。
樹脂層形成原料溶液と、コア粒子A1〜A5およびB1とを表1に示すように組み合わせて真空脱気型二ーダに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら、減圧して脱気、乾燥させた。更に原料溶液12を加え60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら、減圧して脱気、乾燥させ目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアA1〜A5およびB1を作製した。
得られたキャリアA1〜A5およびB1の平均円形度、中心粒径、粒径20μm以下の粒子数の存在割合、樹脂層の膜厚、コア粒子表面の露出率、分級処理の有無を、コア粒子を構成する結晶粒の平均粒径およびD85/D50と共に表2に示す。
−樹脂微粒子分散液の調整−
・スチレン:370部
・n−ブチルアクリレート:30部
・アクリル酸:8部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
上記化合物を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
続いて、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径が150nmであり、ガラス転移温度がTgが58℃、重量平均分子量Mwが12000の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液を得た。
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):6部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後アルティマイザーにて分散処理して平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤を調整した。
・パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃):100部
・カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が520nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
・上記樹脂微粒子分散液:234部
・上記着色剤分散液:30部
・上記離型剤分散液:40部
・ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S):0.5部
・イオン交換水:600部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。
温度50℃で30分保持した後、フラスコ内に生成した凝集粒子の体積平均粒径を測定したところ4.8μmであった。更に加熱用オイルバスの温度を上げて温度56℃で1時間保持した後、凝集粒子の体積平均粒径を測定したところ5.7μmとなった。
その後、この凝集粒子を含む分散液に26部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃に保ち30分間保持した。続いて、この凝集粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して、分散液のpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー粒子を得た。
キャリアA1〜A5およびB1各々100部に対して、外添剤が添加されたトナー9部を混合することで現像剤A1〜A5およびB1を得た。
製造直後のキャリアについて、下記の耐久性評価を実施する前の短軸径20μm以下且つアスペクト比(最大長垂直長/最大長)0.7以下の粒子の存在割合(Rai)を測定した。
次に、磁束密度120mTの磁石を内包する十点表面粗さ(Rz)20μm、φ20mmスリーブを有する現像機(富士ゼロックス社製、Docu Center Color 400の現像機)に、キャリアのみを200gを投入し、キャリア搬送量を450g/m2、スリーブ回転速度を0.21m/sに設定し、スリーブを10時間連続して回転させ、キャリアにストレスを与えた。
なおスリーブのRzはJIS B 0601:94に準じ、基準長さ25mm、評価長さ12.5mmで行った。なお測定装置は東京精密社製、表面粗さ測定機(サーフコム1400B)を用いた。
このようなストレスが加えられたキャリアについて、短軸径20μm以下且つアスペクト比(最大長垂直長/最大長)0.7以下の粒子の存在割合(Raa)を測定した。また、RaiとRaaとの比(Rai/Raa)を求め、経時での微粉の増加率について求めた。結果を表3に示す。
現像剤A1〜A5およびB1を用いて、Docu Center Color 400改造機(富士ゼロックス社製)により、常温常湿(26℃,55%RH)の環境下で画像面積率5%の画像を、A4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製社製、PPC用紙)に連続100000枚形成するテストを実施し、100000枚後の画像欠陥(筋、白抜け)および感光体上のキャリア付着について評価した。
なお、画像形成テストに用いたDocu Center Color 400改造機は、感光体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを備えたものであり、プロセススピードを切り替えて画像の形成が可能な装置である。
100000枚の連続画像形成テスト後に、幅25cm×10cmのパッチを所有する画像を形成し、パッチ後の非画像部に発生する筋の本数を評価した。結果を表3に示す。なお、表3中に示す評価結果の評価基準は以下の通りである。
◎:未発生
○:1本
△:2〜3本
×:4本以上
100000枚連続画像形成テスト後のクリーニングブレードエッジ部の割れや欠けの発生の有無や程度を光学顕微鏡により観察し、割れや欠けの発生個数をカウントした。結果を表3に示す。なお、表3中に示す評価結果の評価基準は以下の通りである。
◎:未発生
○:割れ欠けが5個以下且つ画質上筋なし
△:割れ欠け10個以下且つ画質上筋 3本以下
×:割れ欠け11個以上且つ画質上筋 4本以以上
100000枚の連続画像形成テスト後に、2cm×2cmのパッチを2個所有する画像を形成した後に、装置を強制停止させ、感光体上の現像部分について粘着テープを押し当て、テープの粘着面を光学顕微鏡により観察することにより、粘着面1cm2当たりに付着しているキャリア(破砕された微粉も含む)の付着個数をカウントした。これを、感光体上の2箇所の現像部分について評価し、その平均値を求めた。結果を表3に示す。なお、表3中に示す評価結果の評価基準は以下の通りである。
◎:3個未満
○:3個〜5個未満
△:5個〜10個まで
×:11個以上
Claims (3)
- マンガンフェライト系のコア粒子と該コア粒子を被覆する樹脂層とを含み、前記コア粒子が、平均粒径2.0μm以下の結晶粒からなる多結晶材料を含み、前記コア粒子の表面の露出率が2%以下であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
- 請求項1に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする静電潜像現像用現像剤。
- 像担持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体表面を露光して潜像を形成する潜像形成工程と、トナーとキャリアとを含む現像剤により前記像担持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を定着する定着工程と、前記転写工程を終えた後の前記像担持体表面を、該像担持体表面に当接するクリーニングブレードによりクリーニングするクリーニング工程とを含む画像形成方法において、
前記現像剤が請求項2に記載の静電潜像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
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