第一実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
術者によって使用される同電動内視鏡システムの内視鏡と操作装置を示す図である。
同内視鏡の挿入部を示す図である。
同内視鏡の湾曲部の一部を断面図として示す図である。
図4に示す領域Eにおける同湾曲部の節輪の拡大図である。
図4および図5のC1-C1線に沿う同湾曲部の断面図である。
図4のC2-C2線に沿う同湾曲部(第二湾曲部)の断面図である。
同内視鏡の連結部の斜視図である。
同連結部の一部の斜視図である。
同連結部の断面図である。
同連結部の円筒部材および軸受部の斜視図である。
同電動内視鏡システムの駆動装置に装着前の第一着脱部を示す図である。
同駆動装置に装着前の第一上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
同駆動装置に装着された同第一上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
同電動内視鏡システムの駆動装置の機能ブロック図である。
同第一上下湾曲ワイヤ着脱部が装着された第一上下湾曲ワイヤ駆動部を示す図である。
同電動内視鏡システムの操作装置の斜視図である。
背面から見た同操作装置の斜視図である。
同操作装置の側面図である。
第二鉗子口固定具を取り付けた同操作装置の斜視図である。
同電動内視鏡システムの制御装置の機能ブロック図である。
同制御装置のメインコントローラの機能ブロック図である。
同操作装置の変形例の斜視図である。
同第二鉗子口固定具が異なる位置に取り付けられた同操作装置の斜視図である。
図24に示す同操作装置の使用例を示す図である。
第二実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの駆動装置の機能ブロック図である。
同電動内視鏡システムにおける湾曲部の湾曲モードの遷移図である。
同電動内視鏡システムにおける操作装置の切替スイッチを示す図である。
協調湾曲制御モードで制御される同湾曲部を示す図である。
第三実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの駆動装置に装着前の第一着脱部を示す図である。
同駆動装置に装着前の第一上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
同駆動装置に装着された同第一上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
同駆動装置の機能ブロック図である。
同第一上下湾曲ワイヤ着脱部が装着された第一上下湾曲ワイヤ駆動部を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける湾曲部の使用例を示す図である。
第四実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムにおける円筒部材および軸受部の斜視図である。
同円筒部材および同軸受部の分解斜視図である。
同電動内視鏡システムを用いた処置を示す図である。
同電動内視鏡システムの連結部の変形例を示す図である。
第五実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの体内軟性部の断面図である。
同電動内視鏡システムの体外軟性部の断面図である。
束ねられた二本のワイヤシースを示す図である。
湾曲する同体内軟性部や同体外軟性部の断面図である。
大腸に挿入された同電動内視鏡システムの挿入部を示す図である。
留め具の変形例を示す図である。
二本のワイヤシースの変形例を示す図である。
第六実施形態に係る電動内視鏡システムを含む課金システムの全体図である。
同電動内視鏡システムにおける課金のための処理の手順を示すフローチャートである。
同電動内視鏡システムにおける課金のための処理の手順を示すフローチャートである。
第七実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムにおける3次元画像を表示するための処理の手順を示すフローチャートである。
同電動内視鏡システムにおける内視鏡と表示装置との位置関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける内視鏡と表示装置との位置関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する3次元画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する3次元画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける術者と内視鏡と表示装置との位置関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける術者と内視鏡と表示装置との位置関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける術者と内視鏡と表示装置との位置関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける第一の方向と第二の方向との関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける第一の方向と第二の方向との関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける第一の方向と第二の方向との関係を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける表示装置が表示する画像の例を示す図である。
第八実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの平面図である。
同電動内視鏡システムの制御装置の制御フローチャートである。
第九実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの駆動装置の機能ブロック図である。
同電動内視鏡システムにおける湾曲する湾曲部に作用する復元力を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける湾曲する湾曲部に作用する他の摩擦力を示す図である。
同電動内視鏡システムにおける湾曲部の湾曲角度と復元力との関係を示すグラフである。
同電動内視鏡システムの制御装置の制御フローチャートである。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
同制御装置により制御される湾曲部を示す図である。
第十実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの操作装置の斜視図である。
タッチパッドが第一モードに設定された同操作装置の側面図である。
タッチパッドが第二モードに設定された同操作装置の側面図である。
同操作装置の変形例を示す斜視図である。
第十一実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
同電動内視鏡システムの操作装置の斜視図である。
第十二実施形態に係る電動内視鏡システムの全体図である。
背面から見た同操作装置の斜視図である。
体外軟性部に取り付けられた同操作装置の斜視図である。
同電動内視鏡システムの使用方法を説明する図である。
同操作装置の取付アダプタの異なる取付態様を示す図である。
同操作装置の変形例を示す図である。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る電動内視鏡システム1000について、図1から図25を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000の全体図である。
[電動内視鏡システム1000]
電動内視鏡システム1000は、図1に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000は、内視鏡100と、駆動装置200と、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。
内視鏡100は、患者Pの管腔内に挿入して患部を観察および処置する装置である。内視鏡100は、駆動装置200と着脱自在である。内視鏡100の内部には内部経路101が形成されている。以降の説明において、内視鏡100において、患者Pの管腔内に挿入される側を「先端側(A1)」、駆動装置200に装着される側を「基端側(A2)」という。
駆動装置200は、内視鏡100および操作装置300と着脱自在に接続される。駆動装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するモータを駆動して内視鏡100を電動駆動する。また、駆動装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するポンプ等を駆動して内視鏡100に送気吸引を実施させる。
操作装置300は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200と着脱自在に接続される。操作装置300は、有線通信ではなく無線通信により駆動装置200と通信可能であってもよい。術者Sは、操作装置300を操作することにより、内視鏡100を電動駆動できる。
処置具400は、内視鏡100の内部経路101を挿通して患者Pの管腔内に挿入して患部を処置する装置である。図1においては、処置具400は、延長チャンネルチューブ130を経由して内視鏡100の内部経路101に挿入されている。処置具400は、延長チャンネルチューブ130を経由せず、鉗子口126から内視鏡100の内部経路101に直接挿入されてもよい。
映像制御装置500は、内視鏡100と着脱自在に接続されており、内視鏡100から撮像画像を取得する。映像制御装置500は、内視鏡100から取得した撮像画像や操作者に対する情報提供を目的とするGUI画像やCG画像を表示装置900に表示させる。
駆動装置200と映像制御装置500とは、電動内視鏡システム1000を制御する制御装置600を構成する。制御装置600は、ビデオプリンタなどの周辺機器をさらに備えてもよい。駆動装置200と映像制御装置500とは、一体の装置であってもよい。
制御装置600は、病院内ネットワークに接続可能であり、サーバから電子カルテなどの情報を取得できる。また、制御装置600は、インターネットにも接続可能であり、インターネットを経由して内視鏡100のメンテナンス等を実施できる。
表示装置900は、LCDなどの画像を表示可能な装置である。表示装置900は、表示ケーブル901を経由して映像制御装置500に接続されている。
図2は、術者Sによって使用される内視鏡100と操作装置300を示す図である。
術者Sは、例えば、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、患者Pの肛門から管腔内に挿入させた内視鏡100を右手Rで操作しながら、操作装置300を左手Lで操作する。内視鏡100と操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100と操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
[内視鏡100]
内視鏡100は、図1に示すように、挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150と、湾曲ワイヤ160(図6参照)と、内蔵物170(図6参照)と、を備える。挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150と、は先端側から順に接続されている。連結部120は、延長チャンネルチューブ130を接続できる。
図3は、内視鏡100の挿入部110を示す図である。
内視鏡100の内部には、挿入部110の先端から着脱部150の基端まで内視鏡100の長手方向Aに沿って延びる内部経路101が形成されている。湾曲ワイヤ160および内蔵物170は、内部経路101に挿入されている。
内蔵物170は、チャンネルチューブ171と、送気吸引チューブ172(図10参照)と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174と、を有する。
[挿入部110]
挿入部110は、管腔内に挿入可能な細長な長尺部材である。挿入部110は、先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119と、を有する。先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119と、は先端側から順に接続されている。
先端部111は、図3に示すように、開口部111aと、照明部111bと、撮像部111cと、を有する。開口部111aは、チャンネルチューブ171と連通する開口である。図3に示すように、チャンネルチューブ171を挿通する処置具400の先端に設けられた把持鉗子などの処置部410が開口部111aから突没する。
照明部111bは、照明光を導光するライトガイド174と接続されており、撮像対象を照明する照明光を出射する。撮像部111cは、CMOS等の撮像素子を備えており、撮像対象を撮像する。撮像信号は、撮像ケーブル173を経由して映像制御装置500に送られる。
図4は、湾曲部112の一部を断面図として示す図である。
湾曲部112は、湾曲部112の先端側の第一湾曲部113と、湾曲部112の基端側の第二湾曲部114と、アウターシース118(図3参照)と、を有する。第一湾曲部113と第二湾曲部114とは異なる方向に湾曲可能である。
第一湾曲部(先端側湾曲部)113は、複数の節輪(湾曲駒ともいう)115と、複数の節輪115の先端に連結された第一先端部116と、を有する。複数の節輪115および第一先端部116は、アウターシース118の内部において長手方向Aに連結されている。なお、第一湾曲部113が有する節輪115の形状および数は、図4に示す節輪115の形状および数に限定されない。
図5は、図4に示す領域Eにおける節輪115の拡大図である。
節輪115は、金属で形成された短筒状の部材である。複数の節輪115は、隣り合う節輪115の内部空間が連続する空間となるように連結されている。
節輪115は、先端側の第一節輪115aと、基端側の第二節輪115bと、を有する。第一節輪115aと第二節輪115bとは、第一回動ピン115pによって、長手方向Aに対して垂直な上下方向(「UD方向」ともいう)に延びる回転軸を中心に回動可能に連結されている。
隣り合う節輪115においては、先端側の節輪115における第二節輪115bと、基端側の節輪115における第一節輪115aとが、第二回動ピン115qによって、長手方向AおよびUD方向に対して垂直な左右方向(「LR方向」ともいう)に延びる回転軸を中心に回動可能に連結されている。
第一節輪115aと第二節輪115bとが第一回動ピン115pと第二回動ピン115qによって交互に連結されており、湾曲部112は所望の方向に湾曲自在である。
図6は、図4および図5のC1-C1線に沿う湾曲部112の断面図である。
第二節輪115bの内周面には、上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、が形成されている。上ワイヤガイド115uと下ワイヤガイド115dとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されている。第一節輪115aの内周面には、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rと、が形成されている。左ワイヤガイド115lと右ワイヤガイド115rとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されている。
上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rとには、湾曲ワイヤ160が挿通する貫通孔が長手方向Aに沿って形成されている。
第二湾曲部(基端側湾曲部)114は、複数の節輪(湾曲駒ともいう)115と、複数の節輪115の先端に連結された第二先端部117と、を有する。複数の節輪115および第二先端部117は、アウターシース118の内部において長手方向Aに連結されている。第二先端部117は、第一湾曲部113の基端の節輪115と連結されている。第二湾曲部114の基端の節輪115は、体内軟性部119の先端に取り付けられている。
第一湾曲部113の長手方向Aの長さは、第二湾曲部114の長手方向Aの長さより短い。同じ湾曲角度でも、湾曲長の長手方向Aの長さが短ければ短いほど先端精度は高くなる。第一湾曲部113の長手方向Aの長さを、既存の一般的な内視鏡の湾曲部よりも短くすることで、先端部111をより精確に動かすことができる。そのため、湾曲部112の先端側をより精密に湾曲操作できる。第一湾曲部113の長手方向Aの長さと第二湾曲部114の長手方向Aの長さの比は、例えば2:3~1:4である。なお、第二湾曲部114が有する節輪115の形状および数は、図4に示す節輪115の形状および数に限定されない。
湾曲ワイヤ160は、湾曲部112を曲げるワイヤである。湾曲ワイヤ160は、第一湾曲部113を曲げる第一湾曲ワイヤ161と、第二湾曲部114を曲げる第二湾曲ワイヤ162と、を有する。第一湾曲ワイヤ161および第二湾曲ワイヤ162は、内部経路101を通って着脱部150まで延びている。
第一湾曲ワイヤ161は、図4および図6に示すように、第一上湾曲ワイヤ161uと、第一下湾曲ワイヤ161dと、第一左湾曲ワイヤ161lと、第一右湾曲ワイヤ161rと、4本の第一ワイヤシース161sと、を有する。
第一上湾曲ワイヤ161uと、第一下湾曲ワイヤ161dと、第一左湾曲ワイヤ161lと、第一右湾曲ワイヤ161rとは、図4および図7に示すように、それぞれ第一ワイヤシース161sを挿通している。第一ワイヤシース161sの先端は、第二先端部117に取り付けられている。第一ワイヤシース161sは、着脱部150まで延びている。
第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dは、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤである。第一上湾曲ワイヤ161uは、上ワイヤガイド115uを挿通している。第一下湾曲ワイヤ161dは、下ワイヤガイド115dを挿通している。
第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dの先端は、図4に示すように、第一湾曲部113の先端の第一先端部116に固定されている。第一先端部116に固定された第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されている。
第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161rは、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤである。第一左湾曲ワイヤ161lは、左ワイヤガイド115lを挿通している。第一右湾曲ワイヤ161rは、右ワイヤガイド115rを挿通している。
第一左湾曲ワイヤ161lと第一右湾曲ワイヤ161rの先端は、図4に示すように、第一湾曲部113の第一先端部116に固定されている。第一先端部116に固定された第一左湾曲ワイヤ161lと第一右湾曲ワイヤ161rの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されている。
第一湾曲部113は、第一湾曲ワイヤ161(第一上湾曲ワイヤ161u,第一下湾曲ワイヤ161d,第一左湾曲ワイヤ161l,第一右湾曲ワイヤ161r)をそれぞれ牽引または弛緩することによって、所望の方向に湾曲自在である。
図7は、図4のC2-C2線に沿う第二湾曲部114の断面図である。
第二湾曲ワイヤ162は、図4および図7に示すように、第二上湾曲ワイヤ162uと、第二下湾曲ワイヤ162dと、第二左湾曲ワイヤ162lと、第二右湾曲ワイヤ162rと、4本の第二ワイヤシース162sと、を有する。
第二上湾曲ワイヤ162uと、第二下湾曲ワイヤ162dと、第二左湾曲ワイヤ162lと、第二右湾曲ワイヤ162rとは、図4に示すように、それぞれ第二ワイヤシース162sを挿通している。第二ワイヤシース162sの先端は、第二湾曲部114の基端の節輪115に取り付けられている。第二ワイヤシース162sは、着脱部150まで延びている。
第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162dは、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤである。図7に示すように、第二湾曲部114においては、第二上湾曲ワイヤ162uが、上ワイヤガイド115uを挿通している。また、第二湾曲部114においては、第二下湾曲ワイヤ162dが、下ワイヤガイド115dを挿通している。
第二上湾曲ワイヤ162uと第二下湾曲ワイヤ162dの先端は、図4に示すように、第二湾曲部114の先端の第二先端部117に固定されている。第二先端部117に固定された第二上湾曲ワイヤ162uと第二下湾曲ワイヤ162dの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されている。
第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162rは、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤである。図7に示すように、第二湾曲部114においては、第二左湾曲ワイヤ162lが、左ワイヤガイド115lを挿通している。また、第二湾曲部114においては、第二右湾曲ワイヤ162rが、右ワイヤガイド115rを挿通している。
第二左湾曲ワイヤ162lと第二右湾曲ワイヤ162rの先端は、図4に示すように、第二湾曲部114の先端の第二先端部117に固定されている。第二先端部117に固定された第二左湾曲ワイヤ162lと第二右湾曲ワイヤ162rの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されている。
第二湾曲部114は、第二湾曲ワイヤ162(第二上湾曲ワイヤ162u,第二下湾曲ワイヤ162d,第二左湾曲ワイヤ162l,第二右湾曲ワイヤ162r)をそれぞれ牽引または弛緩することによって、所望の方向に湾曲自在である。
図6および図7に示すように、湾曲部112の内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
体内軟性部119は、長尺で可撓性を有する管状部材である。体内軟性部119に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
[連結部120]
図8は、連結部120の斜視図である。図9は、連結部120の一部の斜視図である。図10は連結部120の断面図である。
連結部120は、挿入部110の体内軟性部119と体外軟性部140とを連結する部材である。連結部120は、円筒部材121と、連結部本体122と、シール部123と、軸受部124と、カバー部材125と、鉗子口126と、三又分岐チューブ127と、を備える。
円筒部材121は、円筒状に形成されている。図10に示すように、円筒部材121の内部空間は、体内軟性部119の内部空間と連通しており、内部経路101の一部を形成する。円筒部材121の内部空間には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174と、が挿通している。円筒部材121の外周面には、磁気リング121sが周方向に沿って取り付けられている。
連結部本体122は、略円筒状に形成されている。図10に示すように、連結部本体122は、先端部122aと基端部121bとを有する。先端部122aの先端開口には、円筒部材121の基端部121bが挿入されている。基端部122bには、体外軟性部140の先端部140aが接着剤や熱融着などにより接合されている。連結部本体122の内部空間は、体外軟性部140の内部空間と連通しており、内部経路101の一部を形成する。
シール部123は、ハウジング123hと、リング123rと、を有する。ハウジング123hの内側は、円筒部材121の外周に固定されている。ハウジング123hの外側は、カバー部材125の先端部125aの内周面にリング123rを経由して接触している。
図11は、円筒部材121および軸受部124の斜視図である。
軸受部124は、連結部本体122と円筒部材121とを、長手方向Aに延びる回転軸を中心に回動可能に連結する。具体的には、軸受部124は、連結部本体122に固定されている。軸受部124は、円筒部材121を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回動可能に支持する。
連結部本体122は、磁気リング121sの回転を検出する図示しない磁気センサを有しており、連結部本体122に対する円筒部材121の回転角度を検出できる。検出された回転角度は、図示しない伝送ケーブルを経由して制御装置600に送信される。
体内軟性部119の基端部119bは、ハウジング123hの外側に固定されている。そのため、体内軟性部119とハウジング123hと円筒部材121とは、一体となって連結部本体122に対して回転する。
カバー部材125は、連結部本体122の外周を覆う部材である。カバー部材125は、体外軟性部140が通過する第一開口125bと、鉗子口126が通過する第二開口125cと、を有する。第一開口125bと体外軟性部140との間の隙間はシール部材により密閉される。第二開口125cと鉗子口126との間の隙間は、シール部材により密閉される。
鉗子口126は、処置具400を挿入する挿入口である。鉗子口126は、円筒状に形成されており、カバー部材125に取り付けられている。鉗子口126の基端部126bは、カバー部材125の第二開口125cから突出している。鉗子口126の基端部126bには延長チャンネルチューブ130(図1参照)が接続可能である。
三又分岐チューブ127は、チャンネルチューブ171の基端部171bと、鉗子口126の先端部126aと、送気吸引チューブ172の先端部172aと、を接続する。チャンネルチューブ171と送気吸引チューブ172とは、三又分岐チューブ127を経由して接続される。また、鉗子口126とチャンネルチューブ171とは、三又分岐チューブ127を経由して接続される。術者Sは、鉗子口126の基端部126bから処置具400を挿入して、チャンネルチューブ171に処置具400を挿通させることができる。
体内軟性部119と体外軟性部140とは、連結部120により、長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転可能に連結される。そのため、図2に示すように、術者Sが挿入部110の体内軟性部119を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転させた場合、駆動装置200付近まで延びる体外軟性部140を回転させることなく、体内軟性部119のみを回転させることができる。そのため、術者Sは体内軟性部119を回転操作しやすい。
一方、体内軟性部119と体外軟性部140とは、相対回転する際に摩擦力が発生するため、所定以上の力が加えられない限り相対回転しない。術者Sが挿入部110の体内軟性部119を回転させない限り、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しないように上記摩擦力は調整されている。そのため、例えば術者Sが処置具400を操作するために右手Rを体内軟性部119から離した場合であっても、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しない。
また、術者Sが挿入部110の体内軟性部119を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転させた場合、体内軟性部119と連動して回転しない部分である連結部本体122に取り付けられた鉗子口126は回転しない。処置具400が挿入される鉗子口126の位置が変わらないため、術者Sは処置具400を操作しやすい。
連結部本体122の内部に円筒部材121の基端部121bが挿入されている。よって、円筒部材121および連結部本体122を挿通する湾曲ワイヤ160等は、主に円筒部材121の内部空間を通過し、円筒部材121に対して相対回転する連結部本体122と接触しにくい。そのため、円筒部材121と連結部本体122とが相対回転した場合であっても、湾曲ワイヤ160等は長い内部経路101全体でねじれるため、ねじれの応力が集中しづらい。
[体外軟性部140]
体外軟性部140は、長尺な管状部材である。体外軟性部140の内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174と、送気吸引チューブ172(図10参照)とが挿通している。
[着脱部150]
着脱部150は、図1に示すように、駆動装置200に装着される第一着脱部1501と、映像制御装置500に装着される第二着脱部1502と、を備える。なお、第一着脱部1501と第二着脱部1502とは、一体の着脱部であってもよい。
体外軟性部140の内部に形成された内部経路101は、第一着脱部1501と第二着脱部1502に分岐する。湾曲ワイヤ160および送気吸引チューブ172は、第一着脱部1501を挿通する。撮像ケーブル173およびライトガイド174は、第二着脱部1502を挿通する。
図12は、駆動装置200に装着前の第一着脱部1501を示す図である。
第一着脱部1501は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151と、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152と、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153と、第二左右湾曲ワイヤ着脱部154と、を有する。
第一上下湾曲ワイヤ着脱部151は、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ着脱部152は、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
第二上下湾曲ワイヤ着脱部153は、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
第二左右湾曲ワイヤ着脱部154は、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ着脱部152、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153および第二左右湾曲ワイヤ着脱部154は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151と同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
図13は、駆動装置200に装着前の第一上下湾曲ワイヤ着脱部151を示す図である。図14は、駆動装置200に装着された第一上下湾曲ワイヤ着脱部151を示す図である。第一上下湾曲ワイヤ着脱部151は、支持部材155と、回転ドラム156と、張力センサ159と、を有する。
支持部材155は、回転ドラム156を支持する。支持部材155は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151の基端側に露出する着脱検知用ドグ155aと、複数のベンドプーリ155pと、を有する。
ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する第一上湾曲ワイヤ161uの搬送方向を変更して、第一上湾曲ワイヤ161uを回転ドラム156まで案内する。また、ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する第一下湾曲ワイヤ161dの搬送方向を変更して、第一下湾曲ワイヤ161dを回転ドラム156まで案内する。
回転ドラム156は、長手方向Aに沿って延びるドラム回転軸156rを中心に回動可能に支持部材155に支持されている。回転ドラム156は、巻取プーリ156aと、カップリング部156cと、を有する。
巻取プーリ156aは、ドラム回転軸156rを中心に回動することにより第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dを牽引または送出する。先端側から基端側に向かって見て巻取プーリ156aが時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは巻取プーリ156aに巻き付けられて牽引され、第一下湾曲ワイヤ161dは巻取プーリ156aから送り出される。逆に、巻取プーリ156aが反時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは巻取プーリ156aから送り出され、第一下湾曲ワイヤ161dは巻取プーリ156aに巻き付けられて牽引される。
第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dは、巻取プーリ156aに巻き付けられる部分が他の部分と比較して径が太い。そのため、第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dが、巻取プーリ156aと支持部材155との間に挟み込まることを好適に防止できる。また、第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dの牽引または弛緩に伴う伸びを好適に防止できる。
第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dは、挿入部110を通過する部分のワイヤの径よりも、体外軟性部140を通過する部分のワイヤの径が太くてもよい。これによって、体内に挿入される挿入部110を細くすることができる。また、体外を通過する部分のワイヤの径を太くすることによって、第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dの伸びが抑えられて、湾曲部112に対する湾曲操作における制御性が向上する。
カップリング部156cは、ドラム回転軸156rを中心に回動する円板部材である。カップリング部156cは、巻取プーリ156aの基端に固定されており、巻取プーリ156aと一体に回動する。カップリング部156cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151の基端側に露出している。カップリング部156cの基端側の面には、二個の嵌合凸部156dが形成されている。二個の嵌合凸部156dは、ドラム回転軸156rを挟んで両側に形成されている。
張力センサ159は、第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dの張力を検出する。張力センサ159の検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
[駆動装置200]
図15は、駆動装置200の機能ブロック図である。
駆動装置200は、アダプタ210と、操作受信部220と、送気吸引駆動部230と、ワイヤ駆動部250と、駆動コントローラ260と、を備える。
アダプタ210は、図12に示すように、第一アダプタ211と、第二アダプタ212と、を有する。第一アダプタ211は、操作ケーブル301が着脱可能に接続されるアダプタである。第二アダプタ212は、内視鏡100の第一着脱部1501が着脱可能に接続されるアダプタである。
操作受信部220は、操作ケーブル301を経由して操作装置300から操作入力を受信する。操作装置300と駆動装置200とが有線通信ではなく無線通信により通信を行う場合、操作受信部220は公知の無線受信用モジュールを有する。
送気吸引駆動部230は、内視鏡100の内部経路101に挿入された送気吸引チューブ172と接続される。送気吸引駆動部230は、ポンプ等を備えており、送気吸引チューブ172に空気を送気する。また、送気吸引駆動部230は、送気吸引チューブ172から空気を吸引する。
ワイヤ駆動部250は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153および第二左右湾曲ワイヤ着脱部154とカップリングして湾曲ワイヤ160を駆動する。
ワイヤ駆動部250は、図12に示すように、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251と、第一左右湾曲ワイヤ駆動部252と、第二上下湾曲ワイヤ駆動部253と、第二左右湾曲ワイヤ駆動部254と、を有する。
第一上下湾曲ワイヤ駆動部251は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151とカップリングして、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)を駆動する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ駆動部252は、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152とカップリングして、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)を駆動する機構である。
第二上下湾曲ワイヤ駆動部253は、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153とカップリングして、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動する機構である。
第二左右湾曲ワイヤ駆動部254は、第二左右湾曲ワイヤ着脱部154とカップリングして、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ駆動部252、第二上下湾曲ワイヤ駆動部253および第二左右湾曲ワイヤ駆動部254は、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251と同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
第一上下湾曲ワイヤ駆動部251は、図13に示すように、支持部材255と、湾曲ワイヤ駆動部256Aと、係合部材258と、着脱センサ259と、を有する。
湾曲ワイヤ駆動部256Aは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151の回転ドラム156とカップリングして、第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dを駆動する。湾曲ワイヤ駆動部256Aは、シャフト256aと、モータ部256bと、被カップリング部256cと、トルクセンサ256eと、嵌合検知センサ256fと、弾性部材256sと、を有する。
シャフト256aは、シャフト回転軸256rを中心に回動可能かつ長手方向Aに進退可能に支持部材255に支持されている。内視鏡100の第一着脱部1501が駆動装置200に装着されたとき、シャフト回転軸256rは、ドラム回転軸156rと一致する。
モータ部256bは、DCモータなどのモータと、モータを駆動するモータドライバと、モータエンコーダと、を有する。モータは、シャフト256aをシャフト回転軸256rを中心に回転させる。モータドライバは、駆動コントローラ260によって制御される。
被カップリング部256cは、シャフト回転軸256rを中心に回動する円板部材である。被カップリング部256cは、シャフト256aの先端に固定されており、シャフト256aと一体に回動する。図13に示すように、被カップリング部256cは、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251の先端側に露出している。被カップリング部256cの先端側の面には、二個の嵌合凹部256dが形成されている。二個の嵌合凹部256dは、シャフト回転軸256rを挟んで両側に形成されている。
図14に示すように、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとが嵌合して、カップリング部156cと被カップリング部256cとがカップリングする。その結果、モータ部256bによるシャフト256aの回転が回転ドラム156に伝達される。先端側から基端側に向かって見てシャフト256aが時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは牽引され、第一下湾曲ワイヤ161dは送り出される。逆に、第一シャフト256aが反時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは送出され、第一下湾曲ワイヤ161dは牽引される。
トルクセンサ256eは、シャフト256aのシャフト回転軸256rを中心とした回転トルクを検出する。トルクセンサ256eの検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
嵌合検知センサ256fは、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。図14に示すように、被カップリング部256cは、カップリング部156cに押し込まれることにより、シャフト256aとともに基端側(A2)に移動する。嵌合検知センサ256fは、シャフト256aに設けられた嵌合検知用ドグ256gの近接を検出することにより、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。嵌合検知センサ256fの検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
弾性部材256sは、例えば圧縮バネであり、先端部が被カップリング部256c、基端部が支持部材255に接触している。弾性部材256sは、被カップリング部256cを先端側(A1)に付勢する。図14に示すように、カップリング部156cが脱着されると、被カップリング部256cは、シャフト256aとともに基端側(A2)に移動する。その結果、嵌合検知センサ256fは、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとの嵌合を検出しない。
着脱センサ259は、図14に示すように、着脱検知用ドグ155aとの係合および非係合を検出することにより、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151の第一上下湾曲ワイヤ駆動部251への着脱を検出する。着脱センサ259の検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
図16は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151が装着された第一上下湾曲ワイヤ駆動部251を示す図である。図16において、着脱センサ259は第一上下湾曲ワイヤ着脱部151が第一上下湾曲ワイヤ駆動部251に装着されたことを検出している。
図16に示すように、カップリング部156cと被カップリング部256cとが接触しているが、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとが嵌合していない場合、嵌合検知センサ256fは嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとの嵌合を検出しない。この場合、駆動コントローラ260は、嵌合凹部256dと嵌合凸部156dとが嵌合可能な位置まで被カップリング部256cを回転させる。その結果、被カップリング部256cが弾性部材256sにより基端側(A2)に移動することにより嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとが嵌合する。嵌合検知センサ256fは、嵌合凸部156dと嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。
駆動コントローラ260は、駆動装置200の全体を制御する。駆動コントローラ260は、操作受信部220が受信した操作入力を取得する。駆動コントローラ260は、取得した操作入力に基づいて、送気吸引駆動部230およびワイヤ駆動部250を制御する。なお、駆動コントローラ260は、画像処理や画像認識処理等の他の処理を実施してもよい。
駆動コントローラ260は、プロセッサと、メモリと、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部と、入出力制御部と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。駆動コントローラ260の機能は、プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。駆動コントローラ260の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
駆動コントローラ260は、複数の湾曲ワイヤ160を駆動する複数のモータを高精度に制御するため、高い演算性能を備えていることが望ましい。
なお、駆動コントローラ260は、プロセッサ、メモリ、記憶部、および入出力制御部以外の構成をさらに有してもよい。例えば、駆動コントローラ260は、画像処理や画像認識処理の一部もしくは全部を行う画像演算部をさらに有してもよい。画像演算部をさらに有することで、駆動コントローラ260は、特定の画像処理や画像認識処理を高速に実行できる。画像演算部は通信回線で接続される別体のハードウェア装置に搭載されていてもよい。
[操作装置300]
図17は、操作装置300の斜視図である。図18は、背面311から見た操作装置300の斜視図である。図19は、操作装置300の側面図である。
操作装置300は、内視鏡100を駆動するための操作が入力される装置である。入力された操作入力は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200に送信される。
操作装置300は、操作部本体310と、第一アングルノブ320と、第二アングルノブ330と、切替スイッチ340と、送気ボタン350と、吸引ボタン351と、各種ボタン352と、を備える。
操作部本体310は、術者Sが左手Lで保持可能な略円筒形状に形成されている。図18に示すように、操作部本体310には、術者Sの左手Lの掌を沿わせることができる背面311が形成されている。操作部本体310の長手方向の端部には、操作ケーブル301が接続されている。
第一アングルノブ320および第二アングルノブ330は、操作部本体310に回動自在に取り付けられている。第一アングルノブ320および第二アングルノブ330は、背面311と反対側の正面312に取り付けられている。第一アングルノブ320と第二アングルノブ330とは、同じ回転軸300rを中心に回転する。第一アングルノブ320および第二アングルノブ330に入力された回転操作は、駆動装置200に送信される。
以降の説明において、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転軸300rの方向を「前後方向」と定義し、操作部本体310に対して第一アングルノブ320および第二アングルノブ330が取り付けられた向きを「前方FR」と定義する。その反対向きを「後方RR」と定義する。また、操作部本体310の長手方向を「上下方向」と定義し、操作部本体310に対して操作ケーブル301が取り付けられた向きを「下方LWR」と定義する。その反対向きを「上方UPR」と定義する。後方RRに向かって右向きを「右方RH」と定義する。その反対向きを「左方LH」と定義する。右方RHまたは左方LHに向かう方向を「左右方向」と定義する。
本実施形態において、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転軸300rの方向(前後方向)は、操作部本体310の背面311に対して略垂直な方向である。
切替スイッチ340は、操作部本体310の上方UPRに取り付けられており、図18に示すように左手Lの親指によって操作される。切替スイッチ340は、内視鏡100の湾曲部112の湾曲モードを切り替える。切替スイッチ340は、レバースイッチ341と、押ボタンスイッチ342と、を有する。切替スイッチ340のレバースイッチ341が上方UPRに倒されると、湾曲モードは「第一湾曲部制御モード(先端側湾曲部制御モード)M1」になる。切替スイッチ340のレバースイッチ341が下方LWRに倒されると、湾曲モードは「第二湾曲部制御モード(基端側湾曲部制御モード)M2」になる。なお、湾曲モードは押ボタンスイッチ342によって選択されてもよい。選択された湾曲モードは、駆動装置200に送信される。
送気ボタン350は、操作部本体310の上方UPRに取り付けられており、図18に示すように左手Lの人差し指や中指によって操作される。送気ボタン350が押し込まれると、内視鏡100の先端部111の開口部111aから送気が実施される。送気ボタン350の操作は、駆動装置200に送信される。
吸引ボタン351は、操作部本体310の上方UPRに取り付けられており、図18に示すように左手Lの人差し指や中指によって操作される。吸引ボタン351が押し込まれると、内視鏡100の先端部111の開口部111aから吸引が実施される。吸引ボタン351の操作は、駆動装置200に送信される。
駆動装置200の駆動コントローラ260は、操作装置300が送信した操作入力を取得して、送気吸引駆動部230およびワイヤ駆動部250を制御する。
湾曲モードが第一湾曲部制御モードM1であるとき、駆動コントローラ260は、第一アングルノブ320の回転操作に基づいて、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251を制御して、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)を駆動する。また、駆動コントローラ260は、第二アングルノブ330の回転操作に基づいて、第一左右湾曲ワイヤ駆動部252を制御して、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)を駆動する。
湾曲モードが第二湾曲部制御モードM2であるとき、駆動コントローラ260は、第一アングルノブ320の回転操作に基づいて、第二上下湾曲ワイヤ駆動部253を制御して、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動する。また、駆動コントローラ260は、第二アングルノブ330の回転操作に基づいて、第二左右湾曲ワイヤ駆動部254を制御して、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動する。
レバースイッチ341が上方UPRに倒されると、湾曲モードは先端側の第一湾曲部113が湾曲する「第一湾曲部制御モードM1」になる。一方、レバースイッチ341が下方LWRに倒されると、湾曲モードは基端側の第二湾曲部114が湾曲する「第二湾曲部制御モードM2」になる。そのため、術者Sは直感的に湾曲モードを切り替えることができる。
操作装置300の上方UPRを内視鏡100の長手方向Aの先端側(A1)と対応付けた場合、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転方向と、内視鏡100の先端の湾曲部112の湾曲方向は一致する。また、レバースイッチ341を上方UPRに倒すことに対応して先端側(A1)の第一湾曲部113が湾曲する操作形態は、対応関係が一致しており直感的な操作を促す。同様に、下方LWR方向にレバースイッチ341を倒すことに対応して基端側(A2)の第二湾曲部114が湾曲する操作形態も、操作者にとって直感的な対応関係となっており、操作性がよい。
操作装置300は、内視鏡100の湾曲部112を駆動する駆動機構を備えていなため、小型で軽量である。また、第一アングルノブ320、第二アングルノブ330、送気ボタン350、吸引ボタン351、および各種ボタン352は、術者Sが左手Lのみで十分に操作できる位置に配置されている。そのため、術者Sは、図2に示すように、左手Lのみで操作装置300を握って操作しやすい。
図20は、第二鉗子口固定具360を取り付けた操作装置300の斜視図である。
第二鉗子口固定具360は、操作装置300に取り付けることができる。第二鉗子口固定具360は、スナップフィットや接着シート、磁石などにより操作装置300に取り付けられる。第二鉗子口固定具360は、略円筒形状に形成された第二鉗子口361を有する。
第二鉗子口361は、内部空間と連通する第一開口362と第二開口363とを有する。第二開口363には延長チャンネルチューブ130が接続される。第二開口363は、延長チャンネルチューブ130を経由して連結部120の鉗子口126に接続可能である。術者Sは、第二鉗子口361の第一開口362から処置具400を挿入して、延長チャンネルチューブ130および鉗子口126を経由して、チャンネルチューブ171に処置具400を挿通させることができる。
図20に示す第二鉗子口固定具360は、従来の軟性内視鏡の操作部における鉗子口と同等の位置に取り付けられている。そのため、術者Sは従来の軟性内視鏡の操作部と同様の操作感により操作装置300および処置具400を操作できる。
第二鉗子口固定具360は操作装置300のいずれの場所に取り付けてもよい。術者Sにとって処置具400を操作しやすい位置に第二鉗子口固定具360は取り付けられる。二以上の第二鉗子口固定具360が操作装置300に取り付けられてもよい。
[映像制御装置500]
図21は、映像制御装置500の機能ブロック図である。
映像制御装置500は、電動内視鏡システム1000を制御する。映像制御装置500は、第三アダプタ510と、撮像処理部520と、光源部530と、メインコントローラ560と、を備える。
第三アダプタ510は、内視鏡100の第二着脱部1502が着脱可能に接続されるアダプタである。
撮像処理部520は、撮像ケーブル173を経由して先端部111の撮像部111cから取得された撮像信号を撮像画像に変換する。
光源部530は、撮像対象に照射される照明光を発生させる。光源部530が発生させた照明光は、ライトガイド174を経由して先端部111の照明部111bに導かれる。
図22は、メインコントローラ560の機能ブロック図である。
メインコントローラ560は、プロセッサ561とメモリ562等を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。メインコントローラ560の機能はプログラムをプロセッサ561が実行することにより実現される。メインコントローラ560の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
メインコントローラ560は、プロセッサ561と、プログラムを読み込み可能なメモリ562と、記憶部563と、入出力制御部564と、を有する。
記憶部563は、上述したプログラムや必要なデータを記憶する不揮発性の記録媒体である。記憶部563は、例えばROMやハードディスク等で構成される。記憶部563に記録されたプログラムは、メモリ562に読み込まれ、プロセッサ561によって実行される。
入出力制御部564は、撮像処理部520、光源部530、駆動装置200、表示装置900、入力装置(不図示)、およびネットワーク機器(不図示)と接続されている。入出力制御部564は、プロセッサ561の制御に基づき、接続される機器に対するデータの送受信や制御信号の送受信を実施する。
メインコントローラ560は、撮像処理部520が取得した撮像画像に対して画像処理を実施できる。メインコントローラ560は、術者Sに対する情報提供を目的とするGUI画像やCG画像を生成できる。メインコントローラ560は、撮像画像やGUI画像やCG画像を表示装置900に表示させることができる。
メインコントローラ560は、病院内ネットワークに接続されており、サーバから電子カルテなどの情報を取得できる。また、メインコントローラ560は、インターネットにも接続可能であり、インターネットを経由して内視鏡100のメンテナンス等を実施できる。
メインコントローラ560は、一体となったハードウェア装置に限られない。例えば、メインコントローラ560は、一部が別体のハードウェア装置として分離した上で、分離したハードウェア装置を通信回線で接続することで構成してもよい。例えば、メインコントローラ560は、分離された記憶部563を通信回線で接続するクラウドシステムであってもよい。
メインコントローラ560は、図22に示すプロセッサ561、メモリ562、記憶部563、および入出力制御部564以外の構成をさらに有してもよい。例えば、メインコントローラ560は、プロセッサ561が行っていた画像処理や画像認識処理の一部もしくは全部を行う画像演算部をさらに有してもよい。画像演算部をさらに有することで、メインコントローラ560は、特定の画像処理や画像認識処理を高速に実行できる。画像演算部は通信回線で接続される別体のハードウェア装置に搭載されていてもよい。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000によれば、内視鏡100を用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100と操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100と操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
術者Sが挿入部110の体内軟性部119を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転させた場合、体内軟性部119のみを回転させることができる。そのため、術者Sは体内軟性部119を回転操作しやすい。一方、術者Sが挿入部110の体内軟性部119を回転させない限り、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しない。そのため、例えば術者Sが処置具400を操作するために右手Rを体内軟性部119から離した場合であっても、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しない。
湾曲部112を駆動する駆動機構は、操作装置300ではなく駆動装置200に設けられている。そのため、操作装置300は小型化しやすく、術者Sは操作装置300を片手で操作しやすい。
術者Sは、切替スイッチ340により湾曲モードを切り替えることで、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが二段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有する湾曲部112を、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330のみにより操作できる。操作装置300は、第一湾曲部113を操作するアングルノブ等と第二湾曲部114を操作するアングルノブ等とを別々に有さなくてもよい。そのため、操作装置300は小型化しやすく、術者Sは操作装置300を片手で操作しやすい。
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例1-1)
上記実施形態において、術者Sは内視鏡100を右手Rで操作しながら、操作装置300を左手Lで操作する。しかしながら、電動内視鏡システム1000の使用態様はこれに限定されない。術者Sは、内視鏡100を左手Lで操作しながら、操作装置300を右手Rで操作してもよい。この場合、操作装置300は右手Rで操作しやすいものに最適化されたものとなる。
(変形例1-2)
上記実施形態において、湾曲部112は第一湾曲部113と第二湾曲部114とが二段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有する。しかしながら、湾曲部112の態様はこれに限定されない。湾曲部112は、第一湾曲部113を有さず、第二湾曲部114のみを有していてもよい。湾曲部112は、第三湾曲部をさらに有し、三段階に湾曲可能であってもよい。
(変形例1-3)
上記実施形態において、操作ケーブル301は操作部本体310の長手方向の端部に取り付けられている。しかしながら、操作部本体310における操作ケーブル301の接続位置はこれに限定されない。図23は、操作装置300の変形例である操作装置300Aの斜視図である。操作装置300Aは、操作部本体310Aと、第一アングルノブ320と、第二アングルノブ330と、切替スイッチ340と、送気ボタン350と、吸引ボタン351と、各種ボタン352と、を備える。
操作部本体310Aは、上記実施形態の操作装置300の操作部本体310と比較して、操作ケーブル301が接続される位置が異なっている。操作部本体310Aは、操作ケーブル301が接続される操作ケーブル接続部313を有する。
操作ケーブル接続部313は、操作部本体310Aの上方UPRであって、切替スイッチ340の近傍に設けられている。操作ケーブル接続部313は、操作部本体310Aの背面311から左方LHに延出している。操作ケーブル接続部313は、操作部本体310Aの左方LHの側面から左方LHに延出していてもよい。
操作ケーブル接続部313は、従来の軟性内視鏡の操作部におけるユニバーサルケーブルが接続される位置と同等の位置に設けられている。そのため、術者Sは、従来の軟性内視鏡の操作部と同様に、左手Lの親指と人差し指とで操作ケーブル接続部313を挟み込むことにより、操作装置300Aを安定して保持できる。
操作装置300Aが無線通信により駆動装置200と通信し、操作装置300Aに操作ケーブル301が接続されなくてもよい。通信の無線化により、左手Lはより自由に操作装置300を保持できる。なお、通信が無線化された場合であっても、左手Lの親指と人差し指の間に操作装置300をひっかけて保持しやすくするために、操作ケーブル301が接続されていない操作ケーブル接続部313が操作部本体310Aに設けられていてもよい。術者Sは、左手Lの親指と人差し指とで操作ケーブル接続部313を挟み込むことにより、操作装置300Aを安定して保持できる。
(変形例1-4)
上記実施形態において、第二鉗子口固定具360は従来の軟性内視鏡の操作部における鉗子口と同等の位置に取り付けられている。しかしながら、第二鉗子口固定具360の取付位置はこれに限定されない。図24は、第二鉗子口固定具360が異なる位置に取り付けられた操作装置300の斜視図である。図24に示す第二鉗子口固定具360は、操作部本体310の背面311に取り付けられている。図24に例示する第二鉗子口固定具360の第一開口362は、操作部本体310の吸引ボタン351付近に配置されている。
図25は、図24に示す操作装置300の使用例を示す図である。
術者Sは、第一開口362から処置具400を挿入して、延長チャンネルチューブ130および鉗子口126を経由して、チャンネルチューブ171に処置具400を挿通させる。術者Sは、操作装置300を左手Lで保持し、第一開口362から挿入されている処置具400を、左手Lの人差し指と中指とで把持できる。術者Sは、左手Lの親指により第一アングルノブ320および第二アングルノブ330を回転操作しながら、左手Lの人差し指と中指とにより処置具400を進退操作することができる。術者Sは、左手Lの人差し指と中指以外の指で処置具400を把持してもよい。
処置具400を左手Lで操作できる位置に配置するように第二鉗子口固定具360を操作装置300に取り付ければ、術者Sは左手Lで処置具400を操作できる。そのため、術者Sは、処置具400を操作するために右手Rを内視鏡100から離す必要がない。術者Sは、操作装置300や処置具400を操作する際において、内視鏡100の挿入部110を右手Rで支持した状態を維持することができる。第二鉗子口固定具360は、術者Sの左手Lの大きさに合わせて、術者Sにとって最適な位置に取り付けることができる。
(変形例1-5)
上記実施形態において、電動内視鏡システム1000は、スマートシューター(登録商標)などの公知の内視鏡装着器具をさらに備えてもよい。術者は、内視鏡装着器具を用いることによって、術者Sは右手Rで挿入部110を保持したままで処置具400の進退操作を行うことができる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係る電動内視鏡システム1000Bについて、図26から図30を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図26は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Bの全体図である。
[電動内視鏡システム1000B]
電動内視鏡システム1000Bは、図26に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Bは、内視鏡100と、駆動装置200Bと、操作装置300Bと、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。駆動装置200Bと映像制御装置500とは、電動内視鏡システム1000Bを制御する制御装置600Bを構成する。
[駆動装置200B]
図27は、駆動装置200Bの機能ブロック図である。
駆動装置200Bは、アダプタ210と、操作受信部220と、送気吸引駆動部230と、ワイヤ駆動部250と、駆動コントローラ260Bと、を備える。
図28は、湾曲モードの遷移図である。
駆動コントローラ260Bは、第一実施形態の駆動コントローラ260と同様の構成であり、制御する湾曲部112の湾曲モードのみが異なっている。駆動コントローラ260Bが制御する湾曲部112の湾曲モードは、「第一湾曲部制御モード(先端側湾曲部制御モード)M1」と、「第二湾曲部制御モード(基端側湾曲部制御モード)M2」に加えて、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが協調して制御される「協調制御モードM3」をさらに有する。協調制御モードM3における湾曲モードは、湾曲部112が一つの湾曲部として湾曲する「疑似単湾曲制御モードM4(第一モード)」と、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが協調して湾曲する「協調湾曲制御モードM5(第二モード)」と、「疑似単湾曲移行モードM6(第三モード)」と、にさらに分類される。
湾曲モードが疑似単湾曲制御モードM4であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを同時に制御する。駆動コントローラ260Bは、第一湾曲ワイヤ161と第二湾曲ワイヤ162とを駆動して、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを長手方向Aに対して同方向に曲げる。駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113および第二湾曲部114を有して二段階に湾曲する湾曲部112を、疑似的に一つの湾曲部として扱う。湾曲部112は、湾曲部が多段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有さない既存の軟性内視鏡における湾曲部の湾曲形状(以降、「単湾曲形状」という)となるように制御される。
湾曲モードが協調湾曲制御モードM5であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを同時に制御する。駆動コントローラ260Bは、第一湾曲ワイヤ161と第二湾曲ワイヤ162とを駆動して、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを長手方向Aに対して互いに反対方向に曲げる。
具体的には、湾曲モードが疑似単湾曲制御モードM4または協調湾曲制御モードM5であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一アングルノブ320の回転操作に基づいて、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251および第二上下湾曲ワイヤ駆動部253を制御して、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)および第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動する。また、駆動コントローラ260Bは、第二アングルノブ330の回転操作に基づいて、第一左右湾曲ワイヤ駆動部252および第二左右湾曲ワイヤ駆動部254を制御して、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)および第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動する。
湾曲モードが疑似単湾曲移行モードM6であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113と第二湾曲部114の少なくとも一方を制御する。駆動コントローラ260Bは、第一湾曲ワイヤ161と第二湾曲ワイヤ162の少なくとも一方を駆動して、湾曲部112を単湾曲形状に移行させる。
湾曲モードが疑似単湾曲移行モードM6であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113の湾曲率を基準として第二湾曲部114を駆動制御することで、第一湾曲部113と第二湾曲部114の湾曲率を略一致させてもよい。逆に、駆動コントローラ260Bは、第二湾曲部114の湾曲率を基準として第一湾曲部113を駆動制御することで、第一湾曲部113と第二湾曲部114の湾曲率を略一致させてもよい。第二湾曲部114の湾曲率を基準として第一湾曲部113を駆動制御することで、先端の移動量が少なく済み、できるだけ安全に湾曲率を一致させることができる。すなわち、第一湾曲部113と第二湾曲部114の湾曲形状を一致させることができる。第一湾曲部113の湾曲率を基準とするか、第二湾曲部114の湾曲率を基準とするかは、直前の湾曲モードに基づいて決定してもよい。例えば、疑似短湾曲移行モードM6の直前の湾曲モードが第一湾曲部制御モード(先端側湾曲部制御モード)M1の場合、第一湾曲部113の湾曲率を基準として第二湾曲部114を駆動制御する。
湾曲モードが他の湾曲モードから疑似単湾曲制御モードM4に遷移するとき、湾曲部112が単湾曲形状でなく多段湾曲形状である場合がある。多段湾曲形状とは、例えば、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが長手方向Aに対して異なる方向に湾曲している湾曲形状や、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが同じ方向に湾曲している場合であっても、それぞれの湾曲率が異なる湾曲形状である。その場合、駆動コントローラ260Bは、湾曲モードを疑似単湾曲移行モードM6に遷移し、湾曲部112を単湾曲形状に移行させる。
湾曲モードが他の湾曲モードから疑似単湾曲制御モードM4に遷移するとき、湾曲部112が既に単湾曲形状である場合、駆動コントローラ260Bは、湾曲モードを疑似単湾曲移行モードM6を経由せずに疑似単湾曲制御モードM4に遷移させる。
湾曲モードが疑似単湾曲移行モードM6であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転操作を無効化する。駆動コントローラ260Bは、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転操作によらず、湾曲部112を単湾曲形状に移行させる。
なお、湾曲モードが疑似単湾曲移行モードM6であるとき、駆動コントローラ260Bは、第一アングルノブ320または第二アングルノブ330の回転操作を無効化せず、回転操作が行われているときのみ、第一湾曲部113と第二湾曲部114の少なくとも一方を動作させて単湾曲形状に移行させるようにしてもよい。
駆動コントローラ260Bは、湾曲部112の形状を単湾曲形状に移行させたあと、湾曲モードを疑似単湾曲移行モードM6から疑似単湾曲制御モードM4に遷移させる。駆動コントローラ260Bは、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330の回転操作を有効化する。
[操作装置300B]
操作装置300Bは、操作部本体310と、第一アングルノブ320と、第二アングルノブ330と、切替スイッチ340Bと、送気ボタン350と、吸引ボタン351と、各種ボタン352と、を備える。図26に示す操作装置300Bには、第二鉗子口固定具360が取り付けられている。
図29は、切替スイッチ340Bを示す図である。
切替スイッチ340Bは、第一実施形態の切替スイッチ340と同様に、操作部本体310の上方UPRに取り付けられており、左手Lの親指によって操作される。切替スイッチ340Bは、内視鏡100の湾曲部112の湾曲モードを切り替える。切替スイッチ340Bは、レバースイッチ341Bと、押ボタンスイッチ342Bと、を有する。
レバースイッチ341Bは、図29に示すように、上方位置(第一位置)L1、下方位置(第二位置)L2および中央位置(第三位置)L3の三つの位置に移動させることができる。押ボタンスイッチ342Bは、標準位置B1および標準位置B1から押し込まれた押下位置B2の二つの位置に移動させることができる。押ボタンスイッチ342Bはロック機構を有しており、押下位置B2に移動した押ボタンスイッチ342Bは次に押下されるまで押下位置B2に保持される。
レバースイッチ341Bが上方UPRに倒されて上方位置L1に移動すると、湾曲モードは第一湾曲部制御モードM1になる。レバースイッチ341Bが下方LWRに倒されて下方位置L2に移動すると、湾曲モードは第二湾曲部制御モードM2になる。レバースイッチ341Bが中央位置L3に配置されると、湾曲モードは協調制御モードM3になる。協調制御モードM3において押ボタンスイッチ342Bが標準位置B1に配置されている場合、湾曲モードは疑似単湾曲制御モードM4となる。協調制御モードM3において押ボタンスイッチ342Bが押下位置B2に配置されている場合、湾曲モードは協調湾曲制御モードM5となる。選択された湾曲モードは、駆動装置200Bの駆動コントローラ260Bに送信される。
中央位置(第三位置)L3は、上方位置(第一位置)L1と下方位置(第二位置)L2の一方から他方にレバースイッチ341Bが移動する経路上に位置する。そのため、術者Sが湾曲モードを第一湾曲部制御モードM1と第二湾曲部制御モードM2の一方から他方に切り換えるとき、湾曲モードは必ず協調制御モードM3を経由する。
レバースイッチ341を上方位置L1に移動させることに対応して先端側(A1)の第一湾曲部113が湾曲する第一湾曲部制御モードM1となる。また、レバースイッチ341を下方位置L3に移動させることに対応して基端側(A2)の第二湾曲部114が湾曲する第二湾曲部制御モードM2となる。また、レバースイッチ341を中央位置L3に移動させることに対応して協調制御モードM3となる。第一湾曲部113と第二湾曲部114とが湾曲する協調制御モードM3に設定する中央位置L3が、上方位置L1と下方位置L2との間にあるため、操作者はレバースイッチ341を直感的に操作しやすい。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Bの使用方法について説明する。具体的には、大腸内の管壁に形成された患部を電動内視鏡システム1000Bを用いて観察および処置する手技について説明する。
術者Sは、内視鏡100の挿入部110を先端から患者Pの肛門から大腸内に挿入する。図2に示すように、術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110を移動させて、先端部111を患部に近付ける。また、術者Sは、操作装置300Bの第一アングルノブ320および第二アングルノブ330を左手Lで操作して湾曲部112を必要に応じて曲げる。
術者Sは、例えば挿入部110を大腸内に挿入する場合、湾曲部112の湾曲モードを疑似単湾曲制御モードM4に設定する。駆動コントローラ260Bは、湾曲部112を一つの湾曲部として湾曲させる。術者Sは、湾曲部112を既存の内視鏡のように動かせることで、大腸をフッキングして短縮化するといったことができる。そのため、術者Sは、湾曲部が多段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有さない既存の軟性内視鏡と同様に操作装置300Bを操作して、挿入部110を大腸内に挿入できる。
既存の単湾曲の内視鏡では、患部を視野にとらえたあと、患部に近づくために湾曲部の自由度を用いて、患部に近づく。その後、さらに治療行為(処置)を行うために、湾曲部を操作する。しかし、患部に近づくための自由度と、近づいた後に処置を行うための自由度が同じ湾曲部によって操作されるため、処置時に複雑な協調動作が必要であった。本実施形態の電動内視鏡システム1000Bでは、術者Sは、例えば患部に撮像部111cを近づけたい場合、湾曲部112の湾曲モードを第二湾曲部制御モードM2に設定する。駆動コントローラ260Bは、第二湾曲部114のみを湾曲させる。湾曲部112は、基端側のみが湾曲するため、先端側の第一湾曲部113の可動範囲を狭めることなく患部に近づくことができる。その後、第一湾曲制御モードM1に切り替えると、第二湾曲部114の形状を保ったまま、第一湾曲部113を操作できる。そのため、術者Sは、患部に近づいたまま処置行為が実現でき、操作を容易にすることができる。
図30は、協調湾曲制御モードM5で制御される湾曲部112を示す図である。
術者Sは、例えば横方向に視野方向を移動したい場合、湾曲部112の湾曲モードを協調湾曲制御モードM5に設定する。駆動コントローラ260Bは、図30に示すように第一湾曲部113と第二湾曲部114とを長手方向Aに対して互いに反対方向に湾曲させる。つまり、第二湾曲部114が長手方向Aに対して角度αだけ湾曲する場合、第一湾曲部113は長手方向Aに対して角度-αだけ湾曲する。その結果、撮像部111cの視野方向が略一定に維持される。術者Sは、撮像部111cの視野方向を略一定に維持した状態で先端部111の位置を変更しやすい。
術者Sは、例えば処置具400により患部周辺を切開する場合、湾曲部112の湾曲モードを第一湾曲部制御モードM1に設定する。駆動コントローラ260Bは、第一湾曲部113のみを湾曲させる。湾曲部112は、先端側のみが湾曲するため回転半径が小さい。そのため、術者Sは、先端部111の開口部111aから突出させた処置具400の処置部410を湾曲部112の湾曲に伴って所望の位置に高精度に移動させやすく、患部等を処置しやすい。
術者Sは、例えば手技完了後に挿入部110を大腸内から抜去する場合、湾曲部112の湾曲モードを疑似単湾曲制御モードM4に設定する。湾曲部112が単湾曲形状でなく多段湾曲形状である場合、駆動コントローラ260Bは、湾曲モードを疑似単湾曲移行モードM6を経由して疑似単湾曲制御モードM4に遷移させる。その結果、術者Sは、湾曲モードを疑似単湾曲制御モードM4に設定したあと、湾曲部112を単湾曲形状としてスムーズに扱うことができる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Bによれば、内視鏡100を用いた観察や処置をより効率的に実施できる。駆動コントローラ260Bは複数の湾曲モードにより湾曲部112を駆動できるため、内視鏡100を用いた手技における様々なシーンにおいて、術者Sはシーンごとに好適に湾曲部112を制御できる。そのため、術者Sの手技の負担を軽減し、また手技時間を短縮できる。
術者Sは、切替スイッチ340Bにより湾曲モードを切り替えることで、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが二段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有する湾曲部112を、第一アングルノブ320および第二アングルノブ330のみにより操作できる。操作装置300Bは、第一湾曲部113を操作するアングルノブ等と第二湾曲部114を操作するアングルノブ等とを別々に有さなくてもよい。そのため、操作装置300Bは小型化しやすく、術者Sは操作装置300Bを片手で操作しやすい。
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例2-1)
上記実施形態において湾曲モードが協調湾曲制御モードM5であるとき、駆動コントローラ260Bは第一湾曲部113と第二湾曲部114とを長手方向Aに対して反対方向に曲げる。しかしながら、協調湾曲制御モードM5において制御される湾曲部112の駆動態様はこれに限定されない。例えば、駆動コントローラ260Bは、湾曲部112の先端の姿勢を保つように、第一湾曲部113および第二湾曲部114を曲げてもよい。第一湾曲部113および第二湾曲部114が長手方向Aに対して湾曲する角度は、湾曲部112の先端の姿勢に基づいて駆動コントローラ260Bによって算出される。例えば、駆動コントローラ260Bは、湾曲部112の先端の位置できるだけ保つように、第一湾曲部113および第二湾曲部114を曲げる場合、逆運動学により第一湾曲部113および第二湾曲部114が湾曲する角度等を算出する。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係る電動内視鏡システム1000Cについて、図31から図37を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図31は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Cの全体図である。
[電動内視鏡システム1000C]
電動内視鏡システム1000Cは、図31に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Cは、内視鏡100Cと、駆動装置200Cと、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。駆動装置200Cと映像制御装置500とは、電動内視鏡システム1000Cを制御する制御装置600Cを構成する。
[内視鏡100C]
内視鏡100Cは、挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150Cと、湾曲ワイヤ160と、内蔵物170と、を備える。挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150Cと、は先端側から順に接続されている。
[着脱部150C]
着脱部150Cは、図31に示すように、駆動装置200Cに装着される第一着脱部1503と、映像制御装置500に装着される第二着脱部1502と、を備える。なお、第一着脱部1503と第二着脱部1502とは、一体の着脱部であってもよい。
体外軟性部140の内部に形成された内部経路101は、第一着脱部1503と第二着脱部1502に分岐する。湾曲ワイヤ160および送気吸引チューブ172は、第一着脱部1503を挿通する。撮像ケーブル173およびライトガイド174は、第二着脱部1502を挿通する。
図32は、駆動装置200Cに装着前の第一着脱部1503を示す図である。
第一着脱部1503は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cと、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152Cと、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153Cと、第二左右湾曲ワイヤ着脱部154Cと、を有する。
第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cは、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)を駆動装置200Cに着脱自在に連結する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ着脱部152Cは、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)を駆動装置200Cに着脱自在に連結する機構である。
第二上下湾曲ワイヤ着脱部153Cは、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動装置200Cに着脱自在に連結する機構である。
第二左右湾曲ワイヤ着脱部154Cは、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動装置200Cに着脱自在に連結する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ着脱部152C、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153Cおよび第二左右湾曲ワイヤ着脱部154Cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cと同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
図33は、駆動装置200Cに装着前の第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cを示す図である。図34は、駆動装置200Cに装着された第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cを示す図である。第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cは、支持部材155と、第一回転ドラム156と、第二回転ドラム157と、連結部材158と、張力センサ159と、を有する。
支持部材155は、第一回転ドラム156、第二回転ドラム157、および連結部材158を支持する。支持部材155は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの基端側に露出する着脱検知用ドグ155aと、複数のベンドプーリ155pと、を有する。
ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する第一上湾曲ワイヤ161uの搬送方向を変更して、第一上湾曲ワイヤ161uを第一回転ドラム156まで案内する。また、ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する第一下湾曲ワイヤ161dの搬送方向を変更して、第一下湾曲ワイヤ161dを第二回転ドラム157まで案内する。
第一回転ドラム156は、長手方向Aに沿って延びる第一ドラム回転軸156rを中心に回動可能に支持部材155に支持されている。第一回転ドラム156は、第一巻取プーリ156aと、第一ギア156bと、第一カップリング部156cと、を有する。
第一巻取プーリ156aは、第一ドラム回転軸156rを中心に回動することにより第一上湾曲ワイヤ(第一湾曲ワイヤ)161uを牽引または送出する。先端側から基端側に向かって見て第一巻取プーリ156aが時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは第一巻取プーリ156aに巻き付けられて牽引される。逆に、第一巻取プーリ156aが反時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは第一巻取プーリ156aから送り出される。この構成によって、第一上湾曲ワイヤ161uの進退量が多くても、牽引された部分はコンパクトに格納されて場所を取らない。
第一ギア156bは、第一ドラム回転軸156rを中心に回動する平歯車である。第一ギア156bは、第一巻取プーリ156aに固定されており、第一巻取プーリ156aと一体に回動する。
第一カップリング部156cは、第一ドラム回転軸156rを中心に回動する円板部材である。第一カップリング部156cは、第一巻取プーリ156aの基端に固定されており、第一巻取プーリ156aと一体に回動する。第一カップリング部156cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの基端側に露出している。第一カップリング部156cの基端側の面には、二個の第一嵌合凸部156dが形成されている。二個の第一嵌合凸部156dは、第一ドラム回転軸156rを挟んで両側に形成されている。
第二回転ドラム157は、長手方向Aに沿って延びる第二ドラム回転軸157rを中心に回動可能に支持部材155に支持されている。第二回転ドラム157は、第二巻取プーリ157aと、第二ギア157bと、第二カップリング部157cと、を有する。
第二巻取プーリ157aは、第二ドラム回転軸157rを中心に回動することにより第一下湾曲ワイヤ(第二湾曲ワイヤ)161dを牽引または送出する。先端側から基端側に向かって見て第二巻取プーリ157aが反時計回りに回転することにより、第一下湾曲ワイヤ161dは第二巻取プーリ157aに巻き付けられて牽引される。逆に、第二巻取プーリ157aが時計回りに回転することにより、第一下湾曲ワイヤ161dは第二巻取プーリ157aから送り出される。
第二ギア157bは、第二ドラム回転軸157rを中心に回動する平歯車である。第二ギア157bは、第二巻取プーリ157aに固定されており、第二巻取プーリ157aと一体に回動する。
第二カップリング部157cは、第二ドラム回転軸157rを中心に回動する円板部材である。第二カップリング部157cは、第二巻取プーリ157aの基端に固定されており、第二巻取プーリ157aと一体に回動する。第二カップリング部157cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの基端側に露出している。第二カップリング部157cの基端側の面には、二個の第二嵌合凸部157dが形成されている。二個の第二嵌合凸部157dは、第二ドラム回転軸157rを挟んで両側に形成されている。
連結部材(切替機構)158は、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とを連結する部材である。連結部材158は、円柱部材158aと、リンクギア158bと、弾性部材158cと、を有する。
円柱部材158aは、長手方向Aに沿って延びる第三回転軸158rを中心に回動可能、かつ、長手方向Aに沿って進退可能に支持部材155に支持されている。第三回転軸158rは、第一ドラム回転軸156rおよび第二ドラム回転軸157rと平行である。円柱部材158aの基端は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの基端側に露出している。
リンクギア158bは、第三回転軸158rを中心に回動する平歯車である。リンクギア158bは、円柱部材158aに固定されており、円柱部材158aと一体に回動する。
弾性部材158cは、例えばバネであり、円柱部材158aおよびリンクギア158bを基端側に付勢する。弾性部材158cに付勢された円柱部材158aおよびリンクギア158bは、進退移動可能範囲における基端位置(第一位置)に配置される。図34に示すように、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが駆動装置200Cに装着されると、円柱部材158aの基端が駆動装置200Cと接触することにより、弾性部材158cの反発力に抗して、円柱部材158aが基端側の位置(第二位置)に押し込まれる。
図33に示すように、リンクギア158bが第一位置に配置されているとき、リンクギア158bは、第一ギア156bおよび第二ギア157bと噛み合う。その結果、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とは連動して回転し、第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dは一本のワイヤがループしているように連動して牽引または送出される(ループ状態)。
図34に示すように、リンクギア158bが第二位置に配置されているとき、リンクギア158bは、第一ギア156bおよび第二ギア157bに噛み合わない。その結果、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とは連動して回転せず、第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dはそれぞれが独立して牽引または送出される(拮抗状態)。
第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが駆動装置200Cに装着されていない状態では、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とは連動して回転する。具体的には、先端側から基端側に向かって見てリンクギア158bが反時計回りに回転する場合、第一回転ドラム156は時計回りに回転して、第二回転ドラム157も時計回りに回転する。先端側から基端側に向かって見てリンクギア158bが時計回りに回転する場合、第一回転ドラム156は反時計回りに回転して、第二回転ドラム157も反時計回りに回転する。これにより、湾曲部112が外力によって湾曲した場合であっても、第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dはたるまず、回転ドラム(第一回転ドラム156と第二回転ドラム157)の回転と湾曲部112のUD方向への湾曲との関係を維持することができる。
例えば、何らかの外力によって湾曲部112が湾曲して、第一上湾曲ワイヤ161uが先端側に牽引されて第一回転ドラム156が反時計回りに回転した場合であっても、第二回転ドラム157が連動して反時計回りに回転し、湾曲部112の湾曲により緩んだ第一下湾曲ワイヤ161dを巻き取る。その結果、湾曲ワイヤ160の緩みが発生しない。
[駆動装置200C]
図35は、駆動装置200Cの機能ブロック図である。
駆動装置200Cは、アダプタ210Cと、操作受信部220と、送気吸引駆動部230と、ワイヤ駆動部250Cと、駆動コントローラ260Cと、を備える。
アダプタ210Cは、図32に示すように、第一アダプタ211と、第二アダプタ212Cと、を有する。第一アダプタ211は、操作ケーブル301が着脱可能に接続されるアダプタである。第二アダプタ212Cは、内視鏡100Cの第一着脱部1503が着脱可能に接続されるアダプタである。
ワイヤ駆動部250Cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151C、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152C、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153Cおよび第二左右湾曲ワイヤ着脱部154Cとカップリングして湾曲ワイヤ160を駆動する。
ワイヤ駆動部250Cは、図32に示すように、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cと、第一左右湾曲ワイヤ駆動部252Cと、第二上下湾曲ワイヤ駆動部253Cと、第二左右湾曲ワイヤ駆動部254Cと、を有する。
第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cは、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cとカップリングして、第一湾曲部113をUD方向に曲げるワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161d)を駆動する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ駆動部252Cは、第一左右湾曲ワイヤ着脱部152Cとカップリングして、第一湾曲部113をLR方向に曲げるワイヤ(第一左湾曲ワイヤ161lおよび第一右湾曲ワイヤ161r)を駆動する機構である。
第二上下湾曲ワイヤ駆動部253Cは、第二上下湾曲ワイヤ着脱部153Cとカップリングして、第二湾曲部114をUD方向に曲げるワイヤ(第二上湾曲ワイヤ162uおよび第二下湾曲ワイヤ162d)を駆動する機構である。
第二左右湾曲ワイヤ駆動部254Cは、第二左右湾曲ワイヤ着脱部154Cとカップリングして、第二湾曲部114をLR方向に曲げるワイヤ(第二左湾曲ワイヤ162lおよび第二右湾曲ワイヤ162r)を駆動する機構である。
第一左右湾曲ワイヤ駆動部252C、第二上下湾曲ワイヤ駆動部253Cおよび第二左右湾曲ワイヤ駆動部254Cは、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cと同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cは、図33に示すように、支持部材255と、第一上湾曲ワイヤ駆動部256と、第一下湾曲ワイヤ駆動部257と、係合部材258と、着脱センサ259と、を有する。
第一上湾曲ワイヤ駆動部256は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの第一回転ドラム156とカップリングして、第一上湾曲ワイヤ161uを駆動する。第一上湾曲ワイヤ駆動部256は、第一シャフト256aと、第一モータ部256bと、第一被カップリング部256cと、第一トルクセンサ256eと、第一嵌合検知センサ256fと、第一弾性部材256sと、を有する。
第一シャフト256aは、第一シャフト回転軸256rを中心に回動可能かつ長手方向Aに進退可能に支持部材255に支持されている。内視鏡100Cの第一着脱部1503が駆動装置200Cに装着されたとき、第一シャフト回転軸256rは、第一ドラム回転軸156rと一致する。
第一モータ部256bは、DCモータなどの第一モータと、第一モータを駆動する第一モータドライバと、第一モータエンコーダと、を有する。第一モータは、第一シャフト256aを第一シャフト回転軸256rを中心に回転させる。第一モータドライバは、駆動コントローラ260Cによって制御される。
第一被カップリング部256cは、第一シャフト回転軸256rを中心に回動する円板部材である。第一被カップリング部256cは、第一シャフト256aの先端に固定されており、第一シャフト256aと一体に回動する。図32に示すように、第一被カップリング部256cは、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cの先端側に露出している。第一被カップリング部256cの先端側の面には、二個の第一嵌合凹部256dが形成されている。二個の第一嵌合凹部256dは、第一シャフト回転軸256rを挟んで両側に形成されている。
図34に示すように、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとが嵌合して、第一カップリング部156cと第一被カップリング部256cとがカップリングする。その結果、第一モータ部256bによる第一シャフト256aの回転が第一回転ドラム156に伝達される。先端側から基端側に向かって見て第一シャフト256aが時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは牽引される。逆に、第一シャフト256aが反時計回りに回転することにより、第一上湾曲ワイヤ161uは送出される。
第一トルクセンサ256eは、第一シャフト256aの第一シャフト回転軸256rを中心とした回転トルクを検出する。第一トルクセンサ256eの検出結果は、駆動コントローラ260Cによって取得される。
第一嵌合検知センサ256fは、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。図34に示すように、第一被カップリング部256cは、第一カップリング部156cに押し込まれることにより、第一シャフト256aとともに基端側(A2)に移動する。第一嵌合検知センサ256fは、第一シャフト256aに設けられた第一嵌合検知用ドグ256gの近接を検出することにより、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。第一嵌合検知センサ256fの検出結果は、駆動コントローラ260Cによって取得される。
第一弾性部材256sは、例えば圧縮バネであり、先端部が第一被カップリング部256c、基端部が支持部材255に接触している。第一弾性部材256sは、第一被カップリング部256cを先端側(A1)に付勢する。図33に示すように、第一カップリング部156cが脱着されると、第一被カップリング部256cは、第一シャフト256aとともに基端側(A2)に移動する。その結果、第一嵌合検知センサ256fは、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとの嵌合を検出しない。
第一下湾曲ワイヤ駆動部257は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの第二回転ドラム157とカップリングして、第一下湾曲ワイヤ161dを駆動する。第一下湾曲ワイヤ駆動部257は、第二シャフト257aと、第二モータ部257bと、第二被カップリング部257cと、第二トルクセンサ257eと、第二嵌合検知センサ257fと、第二弾性部材257sと、を有する。
第二シャフト257aは、第二シャフト回転軸257rを中心に回動可能かつ長手方向Aに進退可能に支持部材255に支持されている。内視鏡100Cの第一着脱部1501が駆動装置200Cに装着されたとき、第二シャフト回転軸257rは、第二ドラム回転軸157rと一致する。
第二モータ部257bは、DCモータなどの第二モータと、第二モータを駆動する第二モータドライバと、第二モータエンコーダと、を有する。第二モータは、第二シャフト257aを第二シャフト回転軸257rを中心に回転させる。モータドライバは、駆動コントローラ260Cによって制御される。
第二被カップリング部257cは、第二シャフト回転軸257rを中心に回動する円板部材である。第二被カップリング部257cは、第二シャフト257aの先端に固定されており、第二シャフト257aと一体に回動する。図32に示すように、第二被カップリング部257cは、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cの先端側に露出している。第二被カップリング部257cの先端側の面には、二個の第二嵌合凹部257dが形成されている。二個の第二嵌合凹部257dは、第二シャフト回転軸257rを挟んで両側に形成されている。
図34に示すように、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとが嵌合して、第二カップリング部157cと第二被カップリング部257cとがカップリングする。その結果、第二モータ部257bによる第二シャフト257aの回転が第二回転ドラム157に伝達される。先端側から基端側に向かって見て第二シャフト257aが反時計回りに回転することにより、第一下湾曲ワイヤ161dは牽引される。逆に、第二シャフト257aが時計回りに回転することにより、第一下湾曲ワイヤ161dは送出される。
第二トルクセンサ257eは、第二シャフト257aの第二シャフト回転軸257rを中心とした回転トルクを検出する。第二トルクセンサ257eの検出結果は、駆動コントローラ260Cによって取得される。
第二嵌合検知センサ257fは、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとの嵌合を検出する。図34に示すように、第二被カップリング部257cは、第二カップリング部157cに押し込まれることにより、第二シャフト257aとともに基端側(A2)に移動する。第二嵌合検知センサ257fは、第二シャフト257aに設けられた第二嵌合検知用ドグ257gの近接を検出することにより、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとの嵌合を検出する。第二嵌合検知センサ257fの検出結果は、駆動コントローラ260Cによって取得される。
第二弾性部材257sは、例えば圧縮バネであり、先端部が第二被カップリング部257c、基端部が支持部材255に接触している。第二弾性部材257sは、第二被カップリング部257cを先端側(A1)に付勢する。図33に示すように、第二カップリング部157cが脱着されると、第二被カップリング部257cは、第二シャフト257aとともに基端側(A2)に移動する。その結果、第二嵌合検知センサ257fは、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとの嵌合を検出しない。
係合部材258は、図33に示すように、第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cの先端側に露出する円柱部材である。図34に示すように、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが駆動装置200Cに装着されると、係合部材258は円柱部材158aの基端と接触することにより、弾性部材158cの反発力に抗して、円柱部材158aを第二位置に押し込む。その結果、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157はそれぞれが独立して回転できる。
着脱センサ259は、図34に示すように、着脱検知用ドグ155aとの係合および非係合を検出することにより、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cの第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cへの着脱を検出する。着脱センサ259の検出結果は、駆動コントローラ260Cによって取得される。
図36は、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが装着された第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cを示す図である。図36において、着脱センサ259は第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cに装着されたことを検出している。
図36に示すように、第一カップリング部156cと第一被カップリング部256cとが接触しているが、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとが嵌合していない場合、第一嵌合検知センサ256fは第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとの嵌合を検出しない。この場合、駆動コントローラ260Cは、第一嵌合凹部256dと第一嵌合凸部156dとが嵌合可能な位置まで第一被カップリング部256cを回転させる。その結果、第一被カップリング部256cが第一弾性部材256sにより先端側(A1)に移動することにより第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとが嵌合する。第一嵌合検知センサ256fは、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとの嵌合を検出する。
上記に示す嵌合動作では、駆動コントローラ260Cは、第一被カップリング部256cを先端側から基端側に向かって見て時計回りに回転させることが好ましい。第一嵌合凸部156dと第一被カップリング部256cとの間の接触摩擦によって第一カップリング部156cが回転した場合にも、第一上湾曲ワイヤ161uを牽引する方向に第一巻取プーリ156aが回転するため、第一上湾曲ワイヤ161uのゆるみが発生しない。
図36に示すように、第二カップリング部157cと第二被カップリング部257cとが接触しているが、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとが嵌合していない場合についても、駆動コントローラ260Cは、第二被カップリング部257cを回転させることにより第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとを嵌合させることができる。
上記に示す嵌合動作では、駆動コントローラ260Cは、第二被カップリング部257cを先端側から基端側に向かって見て反時計回りに回転させることが好ましい。第二嵌合凸部157dと第二被カップリング部257cとの間の接触摩擦によって第二カップリング部157cが回転した場合にも、第一下湾曲ワイヤ161dを牽引する方向に第二巻取プーリ157aが回転するため、第一下湾曲ワイヤ161dのゆるみが発生しない。
駆動コントローラ260Cは、第一トルクセンサ256eおよび第二トルクセンサ257eの値を比較する。第一トルクセンサ256eの値の方が大きい場合には、駆動コントローラ260Cは、第一上湾曲ワイヤ161uを送出し第一下湾曲ワイヤ161dを牽引するように第一モータ部256bおよび第二モータ部257bを回転させる。
逆に第二トルクセンサ257eの値の方が大きい場合には、駆動コントローラ260Cは、第一上湾曲ワイヤ161uを牽引し第一下湾曲ワイヤ161dを送出するように第一モータ部256bおよび第二モータ部257bを回転させる。
駆動コントローラ260Cは、第一トルクセンサ256eおよび第二トルクセンサ257eの値が等しくなったら、第一モータ部256bおよび第二モータ部257bを停止させる。その結果、対抗するワイヤ(第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161d)の張力が等しくなり、挿入部110を直線形状にできる。
駆動コントローラ260Cは、第一トルクセンサ256eおよび第二トルクセンサ257eの値を参照する。参照した値があらかじめ定めたトルクセンサ値より低い場合には、駆動コントローラ260Cは第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dを牽引するように第一モータ部256bおよび第二モータ部257bを回転させる。
逆に参照した値があらかじめ定めたトルクセンサ値より高い場合には、駆動コントローラ260Cは第一上湾曲ワイヤ161uおよび第一下湾曲ワイヤ161dを送出するように第一モータ部256bおよび第二モータ部257bを回転させる。
第一トルクセンサ256eおよび第二トルクセンサ257eの値があらかじめ定めたトルクセンサ値と等しくなったら、駆動コントローラ260Cは第一モータ部256bおよび第二モータ部257b停止させる。その結果、ワイヤ張力をあらかじめ定めた値に調整することができる。
上記の仕組みにより、第一上下湾曲ワイヤ着脱部151Cが第一上下湾曲ワイヤ駆動部251Cに装着されると、第一上湾曲ワイヤ駆動部256が第一上湾曲ワイヤ161uを独立して駆動でき、第一下湾曲ワイヤ駆動部257が第一下湾曲ワイヤ161dを独立して駆動できる。そのため、内視鏡100Cの湾曲部112から駆動装置200Cまでの距離が従来の軟性内視鏡と比較して長い場合であっても、ワイヤ牽引時にワイヤが伸びることで発生する送出時のたるみが生じにくく、湾曲部112の湾曲操作を高精度に制御できる。
駆動コントローラ260Cは、駆動装置200Cの全体を制御する。駆動コントローラ260Cは、操作受信部220が受信した操作入力を取得する。駆動コントローラ260Cは、取得した操作入力に基づいて、送気吸引駆動部230およびワイヤ駆動部250Cを制御する。
駆動コントローラ260Cは、プロセッサと、メモリと、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部と、入出力制御部と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。駆動コントローラ260Cの機能は、プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。駆動コントローラ260Cの少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
駆動コントローラ260Cは、複数の湾曲ワイヤ160を駆動する複数のモータを高精度に制御するため、高い演算性能を備えていることが望ましい。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Cの使用方法について説明する。具体的には、大腸内の管壁に形成された患部を電動内視鏡システム1000Cを用いて観察および処置する手技について説明する。
術者Sは、内視鏡100Cの挿入部110を先端から患者Pの肛門から大腸内に挿入する。図2に示すように、術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110を移動させて、先端部111を患部に近付ける。
図37は、電動内視鏡システム1000Cの湾曲部112の使用例を示す図である。
術者Sは、湾曲モードを第二湾曲部制御モードM2に設定する。術者Sは、第一アングルノブ320を操作して、第二上湾曲ワイヤ162uを牽引して、第二下湾曲ワイヤ162dを送出する。また、術者Sは、第二アングルノブ330を操作して、第二左湾曲ワイヤ162lを牽引して、第二右湾曲ワイヤ162rを送出する。その結果、図37に示すように、第二湾曲部114は大きく湾曲して、いわゆる「Jターン」形状となる。
電動内視鏡システム1000Cは、湾曲部112をUD方向に曲げる一対の湾曲ワイヤを独立して駆動し、一方を牽引して他方を送出できる。また、電動内視鏡システム1000Cは、湾曲部112をLR方向に曲げる一対の湾曲ワイヤを独立して駆動し、一方を牽引して他方をたるみが生じないように送出できる。そのため、第一実施形態の電動内視鏡システム1000と比較して、電動内視鏡システム1000Cは湾曲部112を正確に遅れなく曲げることができる。
第二湾曲部114を湾曲させ、図37に示すように、対向する大腸の管壁IWに第二湾曲部114をともに接触させると空気を抜いても第二湾曲部114は、対向する大腸の管壁IWと接触することにより空間を確保できる。。この状態で、術者Sは、固定された第二湾曲部114の先端に位置する第一湾曲部113を独立して動かすことができるため、第二湾曲部114で空間を確保しながら、第一湾曲部113を操作して処置具400の処置部410を操作できるため患部を処置しやすい。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Cによれば、内視鏡100Cを用いた観察や処置をより効率的に実施できる。湾曲部112を駆動する駆動機構は、操作装置300ではなく駆動装置200Cに設けられている。そのため、湾曲ワイヤ160のそれぞれに対して専用の湾曲ワイヤ駆動部を設けることができる。駆動コントローラ260Cは、湾曲ワイヤ160を独立して駆動できるため、湾曲部112の湾曲操作を高精度に制御できる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Cによれば、内視鏡100Cの着脱部150Cが駆動装置200Cに装着されていない状態では、UD方向やLD方向に対応する一対の湾曲ワイヤはループ状態となり、例えば何らかの外力によって湾曲部112が湾曲して、いずれかの湾曲ワイヤ160が先端側に牽引された場合であっても、湾曲ワイヤ160の緩みが発生しない。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Cによれば、内視鏡100Cの着脱部150Cが駆動装置200Cに装着された状態では、別途の操作を必要とせず、UD方向やLD方向に対応する一対の湾曲ワイヤはそれぞれが独立して牽引または送出される状態(拮抗状態)となる。
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例3-1)
上記実施形態において、連結部材158は、リンクギア158bにより第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とを連結する。しなしながら、連結部材158の態様はこれに限定されない。例えば、リンクギア158bと第一回転ドラム156は常に接続していて、リンクギア158bと第二回転ドラム157が接続したり、外れたりしてもよい。また、例えば連結部材158はベルトにより第一回転ドラム156と第二回転ドラム157とを連結し、接続したときはベルトのテンションを張るアイドラプーリが外れて、第一回転ドラム156と第二回転ドラム157の連結ができなくなるようにしてもよい。
(変形例3-2)
上記実施形態において、電動内視鏡システム1000Cの駆動装置200Cの駆動対象は、内視鏡100Cである。しなしながら、駆動装置200Cの駆動対象はこれに限定されない。駆動装置200Cの駆動対象は、マニピュレータ等の医療機器であってもよい。
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態に係る電動内視鏡システム1000Dについて、図38から図42を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図38は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Dの全体図である。
[電動内視鏡システム1000D]
電動内視鏡システム1000Dは、図38に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Dは、内視鏡100Dと、駆動装置200と、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。なお、図38に示す操作装置300には、第二鉗子口固定具360が取り付けられていない。
[内視鏡100D]
内視鏡100Dは、図38に示すように、挿入部110と、連結部120Dと、体外軟性部140と、着脱部150と、湾曲ワイヤ160と、内蔵物170と、を備える。挿入部110と、連結部120Dと、体外軟性部140と、着脱部150と、は先端側から順に接続されている。連結部120Dは、延長チャンネルチューブ130を接続できる。
[連結部120D]
連結部120Dは、挿入部110の体内軟性部119と体外軟性部140とを連結する部材である。連結部120Dは、円筒部材121と、連結部本体122と、シール部123と、軸受部124Dと、カバー部材125と、鉗子口126と、三又分岐チューブ127と、を備える。
図39は、円筒部材121および軸受部124Dの斜視図である。
軸受部124Dは、連結部本体122と円筒部材121とを、長手方向Aに延びる回転軸を中心に回動可能に連結する。具体的には、軸受部124Dは、連結部本体122に固定されている。軸受部124Dは、円筒部材121を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回動可能に支持する
図40は、円筒部材121および軸受部124Dの分解斜視図である。
軸受部124Dは、第一軸受部材124aと、第一ビス124cと、第二軸受部材124dと、第二ビス124fと、を有する。
第一軸受部材124aは、円筒形状に形成されている。第一軸受部材124aの内周面は、円筒部材121の外周面に嵌合している。第一軸受部材124aには、周方向Cに沿って延びる第一溝124bが形成されている。第一溝124bは、第一軸受部材124aを径方向Rに貫通する溝である。第一溝124bの周方向Cの長さは、円周の約3/4の長さである。
第一ビス124cは、円筒部材121の外周面に取り付けられたビスであり、第一溝124bを貫通している。第一軸受部材124aは、第一ビス124cによって周方向Cへの回転角度が制限される。第一ビス124cが第一溝124bの中間位置に配置される第一軸受部材124aの位置を「第一基準位置」とする。第一軸受部材124aは、第一基準位置を基準として周方向Cに±135度まで回転可能である。
第二軸受部材124dは、円筒形状に形成されている。第二軸受部材124dの外周面は、連結部本体122に固定されている。第二軸受部材124dの内周面は、第一軸受部材124aの外周面に嵌合している。第二軸受部材124dには、周方向Cに沿って延びる第二溝124eが形成されている。第二溝124eは、第二軸受部材124dを径方向Rに貫通する溝である。第二溝124eの周方向Cの長さは、円周の約3/4の長さである。
第二ビス124fは、第一軸受部材124aの外周面に取り付けられたビスであり、第二溝124eを貫通している。第二ビス124fは、第一基準位置に配置された第一軸受部材124aにおいて、第一ビス124cに対して長手方向Aの中心軸Oを挟んで反対側に配置される。第二軸受部材124dは、第二ビス124fによって周方向Cへの回転角度が制限される。第二ビス124fが第二溝124eの中間位置に配置される第二軸受部材124dの位置を「第二基準位置」とする。第二軸受部材124dは、第二基準位置を基準として周方向Cに±135度まで回転可能である。
第一軸受部材124aが第一基準位置、第二軸受部材124dが第二基準位置にある軸受部124Dの位置を「基準位置」とする。軸受部124Dは、基準位置を基準として周方向Cに±270度まで回転可能である。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Dの使用方法について説明する。具体的には、大腸内の管壁に形成された患部を電動内視鏡システム1000Dを用いて観察および処置する手技について説明する。
図41は、電動内視鏡システム1000Dを用いた処置を示す図である。
術者Sは、内視鏡100Dの挿入部110を先端から患者Pの肛門から大腸内に挿入する。術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110を移動させて、先端部111を患部に近付ける。また、術者Sは、操作装置300の第一アングルノブ320および第二アングルノブ330を左手Lで操作して湾曲部112を必要に応じて曲げる。
補助者ASは、延長チャンネルチューブ130の基端部を把持する。補助者ASは、基端開口から処置具400を挿入して、延長チャンネルチューブ130および鉗子口126を経由して、チャンネルチューブ171に処置具400を挿通させる。補助者ASは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、処置具400を操作する。
操作装置300と処置具400を挿入する鉗子口126や延長チャンネルチューブ130が分離されているため、術者Sは内視鏡100Dの挿入部110の操作に専念でき、補助者ASは処置具400の操作に専念できる。術者Sと補助者ASは、密な協調動作を行わずとも、挿入部110および処置具400を操作できる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Dによれば、内視鏡100Dを用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100Dと操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100Dと操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
術者Sが挿入部110の体内軟性部119を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転させた場合、体内軟性部119のみを回転させることができる。そのため、術者Sは体内軟性部119を回転操作しやすい。また、内視鏡100Dと操作装置300とが分離しているため、体内軟性部119の回転(捻り)操作に応じて操作装置300を協調して操作する必要がない。そのため、術者Sは、筋骨格的に無理な体勢を強いられず、疲労しにくい。
一方、術者Sが挿入部110の体内軟性部119を回転させない限り、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しない。そのため、例えば術者Sが処置具400を操作するために右手Rを体内軟性部119から離した場合であっても、体内軟性部119は体外軟性部140に対して回転しない。
軸受部124Dは、基準位置を基準として周方向Cに±270度までに回転が制限される。そのため、軸受部124Dが、円筒部材121および体内軟性部119に対して制限なく回転して、内蔵物170が大きくねじれてしまうことを防止できる。
処置具400を挿入する鉗子口126は、図8に示すように、連結部120Dにおいてカバー部材125に設けられている。体内軟性部119が長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転した場合であっても、鉗子口126は回転しない。そのため、術者Sが体内軟性部119を回転させた場合であっても、補助者ASは、処置具400を安定して操作できる。
操作装置300と処置具400を挿入する延長チャンネルチューブ130が分離されている。そのため、延長チャンネルチューブ130は、術後に廃棄できる消耗品(ディスポーザブル品)として扱うことができる。延長チャンネルチューブ130を消耗品として扱えば、電動内視鏡システム1000Dにおいて術着に洗浄が必要な箇所を減らすことができる。
以上、本発明の第四実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例4-1)
上記実施形態において、体内軟性部119と体外軟性部140とを連結する連結部120Dは、内視鏡100Dの一部に設けられている。しなしながら、連結部120Dの態様はこれに限定されない。図42は、連結部120Dの変形例である連結部120DAを示す図である。連結部(保持回転部、外部連結部)120DAは、体内軟性部119と体外軟性部140の連結部を保持する。連結部120DAは、体内軟性部119と体外軟性部140との連結部を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転自在に支持する。そのため、術者Sが挿入部110の体内軟性部119を長手方向Aに延びる回転軸を中心に回転させた場合、体内軟性部119と体外軟性部140が連動して回転することを許す。また、連結部120DAは摩擦を有するため、挿入部から手を離しても、長手方向Aに延びる回転軸回りに回転した位置は保持される。アーム129は容易に固定と自由な動きを切り替えられるため、体内への挿入の進行状況に応じてアーム129の位置を変えることができる。
連結部120DAは、体内軟性部119および体外軟性部140長手方向Aに進退可能な電動ユニットを有していてもよい。術者Sは、体内軟性部119を右手Rで直接操作しなくても、体内軟性部119を電動制御により進退させることができる。
(変形例4―2)
上記実施形態において、処置具400は補助者ASによって操作される。第一実施形態では、処置具400は術者Sによって操作される。しかしながら、処置具400の操作態様はこれに限定されない。処置具400は、処置具400を電動により進退する処置具進退装置によって補助的に操作されてもよい。処置具進退装置は、処置具400を進退させることができる公知の進退装置から適宜選択した装置である。処置具進退装置を用いることで、術者Sや補助者ASの負担を低減でき、また、処置具400を正確に進退操作できる。
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態に係る電動内視鏡システム1000Eについて、図43から図48を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図43は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Eの全体図である。
[電動内視鏡システム1000E]
電動内視鏡システム1000Eは、図43に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Eは、内視鏡100Eと、駆動装置200と、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。
[内視鏡100E]
内視鏡100Eは、図43に示すように、挿入部110Eと、連結部120と、体外軟性部140Eと、着脱部150と、湾曲ワイヤ160と、内蔵物170と、を備える。挿入部110Eと、連結部120と、体外軟性部140Eと、着脱部150と、は先端側から順に接続されている。
[挿入部110E]
挿入部110Eは、管腔内に挿入可能な細長な長尺部材である。挿入部110Eは、先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119Eと、を有する。先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119Eと、は先端側から順に接続されている。
図44は、体内軟性部119Eの断面図である。
体内軟性部119Eは、長尺で可撓性を有する管状部材である。体内軟性部119Eに形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
[体外軟性部140E]
図45は、体外軟性部140Eの断面図である。
体外軟性部140Eは、長尺な管状部材である。体外軟性部140Eの内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、送気吸引チューブ172と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eに形成された内部経路101を挿通する湾曲ワイヤ160は、第一湾曲部113を曲げる第一湾曲ワイヤ161と、第二湾曲部114を曲げる第二湾曲ワイヤ162である。
第一上湾曲ワイヤ161uが挿通する第一ワイヤシース161sと、第一下湾曲ワイヤ161dが挿通する第一ワイヤシース161sとは、留め具163によって少なくとも一か所において束ねられている。そのため、第一上湾曲ワイヤ161uと第一下湾曲ワイヤ161dは、図6に示すに、第一湾曲部113においては中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されているが、体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eにおいては隣り合って配置される。
第一左湾曲ワイヤ161lが挿通する第一ワイヤシース161sと、第一右湾曲ワイヤ161rが挿通する第一ワイヤシース161sとは、留め具163によって少なくとも一か所において束ねられている。そのため、第一左湾曲ワイヤ161lと第一右湾曲ワイヤ161rは、図6に示すに、第一湾曲部113においては中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されているが、体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eにおいては隣り合って配置される。
第二上湾曲ワイヤ162uが挿通する第二ワイヤシース162sと、第二下湾曲ワイヤ162dが挿通する第二ワイヤシース162sとは、留め具163によって少なくとも一か所において束ねられている。そのため、第二上湾曲ワイヤ162uと第二下湾曲ワイヤ162dは、図7に示すに、第二湾曲部114においては中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されているが、体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eにおいては隣り合って配置される。
第二左湾曲ワイヤ162lが挿通する第二ワイヤシース162sと、第二右湾曲ワイヤ162rが挿通する第二ワイヤシース162sとは、留め具163によって少なくとも一か所において束ねられている。そのため、第二左湾曲ワイヤ162lと第二右湾曲ワイヤ162rは、図7に示すに、第二湾曲部114においては中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されているが、体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eにおいては隣り合って配置される。
以降の説明において、第一ワイヤシース161sおよび第二ワイヤシース162sを、特に区別しない場合、「ワイヤシース160s」という。
図46は、束ねられた二本のワイヤシース160sを示す図である。
二本のワイヤシース160sは、複数の留め具163によって束ねられている。二本のワイヤシース160sを束ねる留め具163は、所定の間隔Pで先端側(A1)から基端側(A2)に配列している。
留め具163は、リング状に形成されており、二本のワイヤシース160sの周方向Cに沿って配置されている。二本のワイヤシース160sは、留め具163を挿通している。そのため、留め具163は、二本のワイヤシース160sを、長手方向Aに垂直な方向に離れないように束ねる。
留め具163は、対となった二本のワイヤシース160s(対シース)の一方にカシメ固定やロウ付けや熱収縮などにより固定されている。一方、留め具163は、対となった二本のワイヤシース160s(対シース)の他方に固定されていない。そのため、ワイヤシース160s(対シース)の他方は、留め具163に対して、長手方向Aに進退可能、かつ、周方向Cに回転可能である。
図47は、湾曲する体内軟性部119Eや体外軟性部140Eの断面図である。
体内軟性部119Eや体外軟性部140Eが湾曲した場合、留め具163で束ねられた対となった二本のワイヤシース160s(対シース)は、近似した湾曲形状となる。対となった二本のワイヤシース160s(対シース)を挿通する二本の湾曲ワイヤ160の湾曲形状も近似する。
対シースの一方は留め具163に固定されているが、対シースの他方は留め具163に固定されていない。そのため、体内軟性部119Eや体外軟性部140Eが湾曲した際に対シースの内外輪差が生じる場合であっても、対シースの他方が留め具163に対して移動するため、ワイヤシース160sにねじれや変形が生じない。
対シースを挿通する二本のワイヤは、湾曲部112をUD方向もしくはLR方向に曲げる対向する一対の湾曲ワイヤ160(対向ワイヤ)である。そのため、対向ワイヤが挿入部110Eから駆動装置200まで長く延びる体内軟性部119Eおよび体外軟性部140Eを挿通する場合であっても、対向ワイヤの湾曲形状が近似する。その結果、駆動コントローラ260は、対向ワイヤの張力(張力差や張力比など)を推定しやすく、湾曲部112を正確に湾曲させやすい。
図48は、大腸に挿入された挿入部110Eを示す図である。
特に体内軟性部119Eを挿通する対シースは、想定される湾曲形状に合わせた間隔Pで留め具163により束ねられていることが望ましい。大腸に挿入された体内軟性部119Eは、大きい角度(α1)で湾曲する大湾曲領域RB1と、大湾曲領域RB1と比較して小さい角度(α2)で湾曲する小湾曲領域RB2と、を通過する。
患部を処置する際に大湾曲領域RB1に配置されると想定される対シースは、狭い間隔Pで留め具163により束ねられていることが望ましい。大湾曲領域RB1において、対シースが大きく湾曲することを規制でき、対向ワイヤの伝送効率の低下を防止できる。大湾曲領域RB1において対シースが広い間隔Pで留め具163により束ねられている場合、対向ワイヤのそれぞれが異なる湾曲形状となりやすい。一方、大湾曲領域RB1において対シースが狭い間隔Pで留め具163により束ねられている場合、対向ワイヤのそれぞれの湾曲形状が近似し、対向ワイヤの張力を推定しやすい。
患部を処置する際に小湾曲領域RB2に配置されると想定される対シースは、より広い間隔Pで留め具163により束ねられていることが望ましい。小湾曲領域RB2においては対シースが大きく湾曲することが想定されていないため、間隔Pをより広くすることで留め具163自体による対向ワイヤの伝送に対する影響を低下させることが望ましい。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Eによれば、内視鏡100Eを用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100Eと操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100Eと操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
駆動装置200が操作装置300と分離されたことに伴い、内視鏡100Eの挿入部110Eから駆動装置200までの湾曲ワイヤ160の経路が長くなる場合もあるが、駆動コントローラ260は、対向ワイヤの張力(張力差や張力比など)を推定しやすく、湾曲部112を正確に湾曲させやすい。
以上、本発明の第五実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例5-1)
上記実施形態において、湾曲部112は第一湾曲部113と第二湾曲部114とが二段階に湾曲する湾曲機能(多段湾曲機能)を有する。しかしながら、湾曲部112の態様はこれに限定されない。湾曲部112は、第一湾曲部113を有さず、第二湾曲部114のみを有していてもよい。湾曲部112は、第三湾曲部をさらに有し、三段階に湾曲可能であってもよい。
(変形例5-2)
上記実施形態において、対シースの一方は留め具163に固定されているが、対シースの他方は留め具163に固定されていない。しかしながら、対シースの固定態様はこれに限定されない。対シースの両方が留め具163に固定されていてもよい。また、対シースの両方が留め具163に固定されていなくてもよい。
(変形例5-3)
上記実施形態において、体内軟性部119Eと体外軟性部140Eを挿通するワイヤシース160sが留め具163によって束ねられている。しかしながら、ワイヤシース160sを束ねる態様はこれに限定されない。体内軟性部119Eと体外軟性部140Eを挿通するワイヤシース160sの一部だけが留め具163によって束ねられていてもよい。
(変形例5-4)
上記実施形態において、対シースはリング状の留め具163によって束ねられている。しかしながら、留め具163の態様はこれに限定されない。図49は、留め具163の変形例である留め具163Bを示す図である。留め具(第三ワイヤシース)163Bは、留め具163と比較して長手方向Aに長く、シース状に形成されている。
(変形例5-5)
上記実施形態において、二本のワイヤシース160s(対シース)は、分離しており、留め具163によって束ねられている。しかしながら、二本のワイヤシース160s(対シース)の態様はこれに限定されない。図50は、二本のワイヤシース160s(対シース)の変形例である対シース161Bを示す図である。対シース161Bは、二本のワイヤシース160sが一体成形されている。
(第六実施形態)
電動内視鏡システムが協調湾曲制御モードM5などの機能を備える場合、原価が高くなりやすく、したがって電動内視鏡システムの価格が高くなりやすい。そのため、ユーザ(病院)がこの電動内視鏡システムの導入をためらう可能性がある。
本発明の第六実施形態は、協調湾曲制御モードM5などの機能が必要であるときのみ、その機能を使用可能にし、その機能を使用可能にしたときに課金するなどの課金のための情報を生成する電動内視鏡システムを提供する。これにより、ユーザが電動内視鏡システムを導入するときのコストを低減することができる。以下では、課金の対象である機能を追加機能と呼ぶ。
第六実施形態に係る電動内視鏡システムを含む課金システム2000について、図51を参照して説明する。図51は、本実施形態に係る課金システム2000の全体図である。
[課金システム2000]
課金システム2000は、図51に示すように、課金サーバSV1と、病院サーバSV2と、電動内視鏡群2100と、を有する。
[課金サーバSV1]
課金サーバSV1は、課金のための情報を管理する。課金サーバSV1は、プロセッサと、メモリと、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部と、入出力制御部と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。課金サーバSV1の機能は、プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。課金サーバSV1の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
課金サーバSV1および病院サーバSV2は、外部ネットワークNW1および内部ネットワークNW2を経由して互いに通信を実施する。例えば、外部ネットワークNW1はインターネットである。例えば、内部ネットワークNW2は、病院内に構築されたLAN(Local Area Network)である。課金サーバSV1は、外部ネットワークNW1および内部ネットワークNW2を経由して電動内視鏡群2100と通信を実施し、追加機能の使用に関する情報を受信する。課金サーバSV1は、受信された情報に基づいて課金のための処理を実行する。
[病院サーバSV2]
病院サーバSV2は、病院内システムに含まれ、電子カルテなどを管理する。病院サーバSV2は、プロセッサと、メモリと、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部と、入出力制御部と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。病院サーバSV2の機能は、プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。病院サーバSV2の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
[電動内視鏡群2100]
電動内視鏡群2100は、複数の電動内視鏡システムを有する。例えば、電動内視鏡群2100は、制御装置600aおよび内視鏡100aを含む電動内視鏡システムと、制御装置600bおよび内視鏡100bを含む電動内視鏡システムと、制御装置600cおよび内視鏡100cを含む電動内視鏡システムと、内視鏡100dとを有する。制御装置600aおよび内視鏡100aは処置室RM100において使用され、制御装置600bおよび内視鏡100bは処置室RM101において使用され、制御装置600cおよび内視鏡100cは処置室RM102において使用されている。内視鏡100dは使用されていない。
制御装置600a、制御装置600b、および制御装置600cは、図26に示す制御装置600Bと同様の構成を有する。内視鏡100a、内視鏡100b、および内視鏡100cは、図1に示す内視鏡100と同様の構成を有する。内視鏡100aは制御装置600aに接続されている。内視鏡100aを制御装置600bまたは制御装置600cに接続することも可能である。内視鏡100bは制御装置600bに接続されている。内視鏡100bを制御装置600aまたは制御装置600cに接続することも可能である。内視鏡100cは制御装置600cに接続されている。内視鏡100cを制御装置600aまたは制御装置600bに接続することも可能である。内視鏡100dが使用される場合、内視鏡100dは、制御装置600a、制御装置600b、および制御装置600cのいずれか一つに接続される。各電動内視鏡システムにおいて、制御装置および内視鏡以外の構成は図示されていない。
以下では、電動内視鏡群2100に含まれる電動内視鏡システムの一つとして、図26に示す電動内視鏡システム1000Bを使用する。以下では、制御装置600a、制御装置600b、および制御装置600cの代わりに制御装置600Bを使用する。
病院サーバSV2および電動内視鏡群2100が接続する病院内ネットワークは図示されていない。病院内ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ(PC)などは図示されていない。
課金システム2000の機能を説明する。第六実施形態は、以下の例に限らない。
駆動装置200Bが有する駆動コントローラ260Bは、切替スイッチ340Bの状態を検出し、その状態を示す状態情報を、制御装置600Bが有する映像制御装置500のプロセッサ561に送信する。プロセッサ561は、状態情報を駆動コントローラ260Bから受信し、状態情報に基づいて湾曲部112の湾曲モードを検出する。湾曲モードが、追加機能を使用するモードである場合、プロセッサ561は、追加機能の使用を示す使用状況情報を生成する。使用状況情報は、課金のために使用される課金情報である。
電動内視鏡システム1000Bは、基本機能および追加機能を含む二つ以上の機能を有する。例えば、基本機能を使用するモードは、疑似単湾曲制御モードM4である。例えば、追加機能を使用するモードは、第一湾曲部制御モードM1、第二湾曲部制御モードM2、協調湾曲制御モードM5、および疑似単湾曲移行モードM6の少なくとも一つである。基本機能および追加機能にどのようなモードが含まれるかは設定により組み換え可能であり、メーカが各機能に含まれるモードを自由に設定できる。基本機能は課金対象ではなく、追加機能は課金対象である。
プロセッサ561は、課金サーバSV1と通信可能に接続される。プロセッサ561は、生成された使用状況情報を、制御装置600Bが有する映像制御装置500の入出力制御部564に出力する。入出力制御部564は、通信回路を有し、内部ネットワークNW2と接続される。入出力制御部564は、内部ネットワークNW2および外部ネットワークNW1を経由して課金サーバSV1と通信を実施し、使用状況情報を課金サーバSV1に送信する。課金サーバSV1は、使用状況情報を入出力制御部564から受信し、使用状況情報に基づいて課金のための処理を実行する。
プロセッサ561は、使用状況情報を含むシステムログを、制御装置600Bが有する映像制御装置500のメモリ562に記録してもよい。例えば、電動内視鏡システム1000Bのメンテナンスが実施されるとき、メンテナンスの作業者がメモリ562からシステムログを取得してもよい。この場合、入出力制御部564は使用状況情報を課金サーバSV1に送信する必要はない。
課金額を追加機能の単純な使用回数または使用時間に応じて決定するシステムでは、術者Sは、追加機能の使用回数または使用時間を減らすために手技を急ぐ可能性がある。以下の例では、一つの症例の観察または処置のために追加機能が二回以上使用される場合であっても、課金額は一回の使用に対する課金額と同じである。そのため、術者Sが課金額を減らすために手技を急ぐ可能性は低下する。各症例は患者と関連付けられている。症例の処置は、手術を含んでもよい。
一日に多数の症例の観察または処置が実施される可能性がある。また、追加機能が必要な症例と追加機能が不要な症例とがあり、追加機能の使用状況を正確に記録する必要がある。一つの症例の観察または処置が実施されている間に、術者Sが電動内視鏡システム1000Bの電源をオンとオフとで切り替える可能性がある。あるいは、一つの症例の観察または処置が実施されている間に、術者Sが内視鏡100を取り外し、内視鏡100を再度装着する可能性があるがプロセッサ561は、これらの事象に左右されず、症例の変化を検出し、症例ごとの使用状況情報を生成する機能を有する。
プロセッサ561は、症例識別子を生成する。一つの症例識別子が一つの症例に割り当てられる。症例識別子は、複数の症例間で重複しない。プロセッサ561は、症例識別子と使用状況情報とを互いに関連付け、症例識別子および使用状況情報をメモリ562に記録する。
プロセッサ561は、病院サーバSV2と通信可能に接続される。入出力制御部564は、内部ネットワークNW2を経由して病院サーバSV2と通信を実施し、症例を識別する所定の識別子を受信する。あるいは、入出力制御部564は、図示していない入力装置(例えば、キーボード)に入力された所定の識別子を取得する。所定の識別子は、病院において用意された患者ID、日付ID、または検査オーダーIDなどである。入出力制御部564は、所定の識別子をプロセッサ561に出力する。プロセッサ561は、所定の識別子に基づいて症例識別子を生成することにより、症例識別子を取得する。
プロセッサ561は、病院から提供された識別子の変化を検出することにより、症例の変化を検出することができる。二つ以上の識別子を組み合わせることにより、プロセッサ561は症例の変化を正確に検出することができる。例えば、上記のIDに加えて、各内視鏡100に付与された内視鏡IDが使用されてもよい。同一の患者に対して二つ以上の異なる内視鏡100が使用される場合がある。例えば、上部消化管検査に使用される内視鏡100と、下部消化管検査に使用される内視鏡100とは互いに異なる。患者IDが変化せずに内視鏡IDが変化した場合、プロセッサ561は症例の変化を検出することができる。病院から提供された識別子の使用期間が設定され、使用期間が経過した識別子は無効になってもよい。
例えば、一つの症例の観察または処置が実施された後、内視鏡100の洗浄が実施される。その洗浄の履歴が記録されるシステムにおいて、その履歴と対応する識別子が使用されてもよい。
病院から提供された識別子に加えて内視鏡IDなどを使用する、あるいは病院から提供された識別子の使用期間を設定することにより、病院から提供された識別子の不正な使用を抑制することができる。
課金方法は、電動内視鏡システム1000Bの提供者とユーザとによって結ばれた契約の種類に基づいて決定される。プロセッサ561は、観察または処置が実施されている間に内部ネットワークNW2を経由する通信の実施を抑制する。
例えば、契約の種類は、包括契約、都度払い契約、および永年契約を含む。包括契約では、追加機能を使用するか否かにかかわらず、契約期間内の料金は固定されている。都度払い契約では、一つの症例に対して追加機能が使用された場合に、追加機能の使用に対する課金額が発生する。包括契約または都度払い契約の契約期間が終了した場合、ユーザは追加機能を使用することができない。永年契約では、追加機能が使用されても課金額は発生しない。契約の種類を示す契約情報がメモリ562に記録される。
永年契約を結んだユーザは、ドングルを映像制御装置500に装着してもよい。プロセッサ561は、入出力制御部564を経由してドングルを検出し、契約の種類が永年契約であると判断してもよい。永年契約では、使用状況情報がシステムログに記録されてもよい。
上述した電動内視鏡システム1000Bは、ユーザによる内視鏡100の使用状況に応じた課金情報を出力する。プロセッサ561は、内視鏡100が使用される症例と対応する症例識別子を取得する。プロセッサ561は、課金対象である機能が使用されている状態を検出する。症例識別子に関連付けられた課金情報が生成されている場合には、プロセッサ561は症例識別子に関連付けられた新たな課金情報を生成しない。課金対象である機能が使用されている状態が検出され、かつ症例識別子に関連付けられた課金情報が生成されていない場合には、プロセッサ561は症例識別子に関連付けられた課金情報を新規に生成して出力する。
図52および図53を参照し、課金のための処理を説明する。図52および図53は、プロセッサ561が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
電動内視鏡システム1000Bが起動したとき、プロセッサ561は、図52に示す処理を開始する。プロセッサ561は、メモリ562に記録されている契約情報を参照し、契約の種類を確認する(ステップS100)。プロセッサ561は、入出力制御部564に病院サーバSV2と通信を実施させ、契約情報を病院サーバSV2から受信させてもよい。
ステップS100において契約の種類が都度払い契約である場合、ステップS105が実行される。ステップS100において契約の種類が包括契約または永年契約である場合、図52に示す処理が終了する。
ステップS100において契約の種類が都度払い契約である場合、プロセッサ561は、入出力制御部564に病院サーバSV2と通信を実施させ、病院から提供された所定の識別子Aを病院サーバSV2から受信させる。プロセッサ561は、入出力制御部564によって受信された識別子Aを入出力制御部564から取得する(ステップS105)。
ステップS100において契約の種類が都度払い契約である場合、表示装置900は、使用許諾を術者Sに確認させるための画面を表示してもよい。術者Sが追加機能の使用を許可した場合、ステップS105が実行されてもよい。術者Sが追加機能の使用を許可しない場合、基本機能のみが使用されてもよい。
ステップS105において識別子Aが取得された後、プロセッサ561は、識別子Aをハッシュ関数h(x)に適用することによりハッシュ値h(A)を算出する。ハッシュ関数として非可逆変換関数を用いることにより、病院側の固有の情報を識別子Aとして使ったとしても、情報が保護される。プロセッサ561は、メモリ562に記録されているハッシュ値Xhを参照し、ハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じであるか否かを判断する。二つ以上のハッシュ値Xhがメモリ562に記録されている場合、プロセッサ561は、各ハッシュ値Xhに対してこの判断を実行する(ステップS110)。
追加機能が使用されたとき、後述するステップS120においてハッシュ値Xhがメモリ562に記録される。プロセッサ561は、ステップS110を実行することにより、過去にメモリ562に記録されたハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じであるか否かを判断する。ハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じである場合、プロセッサ561は、過去の症例と同じ症例が扱われていると判断することができる。この場合、課金に必要な情報がメモリ562に既に記録されている。そのため、プロセッサ561は、課金に必要な情報をメモリ562に再度記録する必要はない。一方、ハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じでない場合、プロセッサ561は、過去の症例と異なる症例が扱われていると判断することができる。この場合、課金に必要な情報はメモリ562に記録されていない。そのため、追加機能が使用されたとき、プロセッサ561は、後述するステップS120において、課金に必要な情報をメモリ562に記録する。
ステップS110において一つのハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じである場合、図52に示す処理が終了する。ステップS110において全てのハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と異なる場合、ステップS115が実行される。
ステップS110において全てのハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と異なる場合、プロセッサ561は、駆動コントローラ260Bから受信された状態情報に基づいて湾曲部112の湾曲モードを検出する。プロセッサ561は、検出された湾曲モードに基づいて、追加機能が使用されたか否かを判断する(ステップS115)。
ステップS115において追加機能が使用されている場合、ステップS120が実行される。ステップS115において追加機能が使用されていない場合、ステップS125が実行される。
ステップS115において追加機能が使用されている場合、プロセッサ561は、使用回数Nを1増加する。また、プロセッサ561は、識別子Aのハッシュ値h(A)を新たなハッシュ値Xhとして扱う。プロセッサ561は、使用回数Nおよびハッシュ値Xhを互いに関連付け、使用回数Nおよびハッシュ値Xhの組み合わせ[N,Xh]をメモリ562に記録する(ステップS120)。
使用回数Nは、使用状況情報であり、追加機能が使用された回数を示す。使用回数Nの初期値は0である。ハッシュ値Xhは、識別子Aと対応する症例識別子である。プロセッサ561は、病院サーバSV2から出力された識別子A(ID)と対応するハッシュ値Xhを算出することにより症例識別子を取得する。症例識別子はハッシュ値に限らない。識別子Aと対応するハッシュ値Xhは、ステップS110が実行されたときにメモリ562に記録されている全てのハッシュ値Xhと異なる。プロセッサ561は、メモリ562に記録されている症例識別子と異なる新しい症例識別子を含む組み合わせ[N,Xh]をメモリ562に記録する。組み合わせ[N,Xh]は、識別子Aと対応する症例に対して追加機能が使用されたことを示す。組み合わせ[N,Xh]は、課金情報として機能する。ステップS120において組み合わせ[N,Xh]がメモリ562に記録されたとき、図52に示す処理が終了する。
ステップS115において追加機能が使用されていない場合、プロセッサ561は、一つの症例に対する観察または処置が終了したか否かを判断する(ステップS125)。
ステップS125において一つの症例に対する観察または処置が終了した場合、図52に示す処理が終了する。ステップS125において一つの症例に対する観察または処置が終了していない場合、ステップS115が実行される。
一つの症例に対する観察または処置の間に追加機能が全く使用されない場合、ステップS120が実行されずに図52に示す処理が終了する。
一つの症例に対して最初に追加機能が使用されたとき、プロセッサ561は、ステップS120において組み合わせ[N,Xh]をメモリ562に記録する。一つの症例に対して追加機能が二回以上使用される場合、組み合わせ[N,Xh]は更新されない。
例えば、一つの症例に対して追加機能が使用された後、術者Sが電動内視鏡システム1000Bの電源をオフにし、その後、電動内視鏡システム1000Bの電源を再度オンにする場合がある。電源がオンになった後、プロセッサ561は、図52に示す処理を再度実行する。電源の状態変化の間に症例が変化しなければ、プロセッサ561は、ステップS110において一つのハッシュ値Xhがハッシュ値h(A)と同じであると判断する。この場合、組み合わせ[N,Xh]は更新されないため、追加機能の使用回数は増加せず、プロセッサ561は症例ごとの使用状況情報を生成することができる。
症例識別子に関連付けられた組み合わせ[N,Xh]が生成されたとき、プロセッサ561は、生成された組み合わせ[N,Xh]をメモリ562に記録する。症例識別子に関連付けられた組み合わせ[N,Xh]がメモリ562に記録されている場合には、プロセッサ561は症例識別子に関連付けられた新たな組み合わせ[N,Xh]を生成しない。追加機能が使用されている状態が検出され、かつ症例識別子に関連付けられた組み合わせ[N,Xh]がメモリ562に記録されていない場合には、プロセッサ561は症例識別子に関連付けられた組み合わせ[N,Xh]を新規に生成する。
プロセッサ561は、基本機能のみが使用されている状態を検出してもよい。その状態が検出され、かつ症例識別子に関連付けられた組み合わせ[N,Xh]がメモリ562に記録されている場合には、プロセッサ561は症例識別子に関連付けられた新たな組み合わせ[N,Xh]を生成する必要はない。
図52に示す例では、契約の種類が包括契約または永年契約である場合、使用回数Nはメモリ562に記録されない。電動内視鏡システム1000Bの提供者が包括契約または永年契約における追加機能の使用状況を知るために、包括契約または永年契約における追加機能の使用回数がメモリ562に記録されてもよい。この場合、追加機能の使用に対する課金額は発生しない。
図53は、一つの症例に対する観察または処置が終了した場合に実行される処理を示す。例えば、図52に示す処理が終了した後、図53に示す処理が実行される。
プロセッサ561は、追加機能が使用されたか否かを示すモード使用情報を生成する。追加機能が使用された場合、モード使用情報はさらに、使用された追加機能の種類を示す。プロセッサ561は、入出力制御部564に病院サーバSV2と通信を実施させ、内視鏡100から取得された画像データおよびモード使用情報を病院サーバSV2に送信させる(ステップS200)。プロセッサ561は、入出力制御部564に、モード使用情報を観察または診断のレポートと一緒に病院サーバSV2に送信させてもよい。
病院サーバSV2は、画像データおよびモード使用情報を入出力制御部564から受信する。例えば、病院サーバSV2は、モード使用情報を図示していない表示装置に表示する。病院の関係者は、追加機能の使用状況を確認することができる。
ステップS200において画像データおよびモード使用情報が送信された後、プロセッサ561は、メモリ562に記録されている組み合わせ[N,Xh]に基づいて使用状況情報を生成する。使用状況情報は、追加機能が使用されたことを示す。使用状況情報は、使用回数Nを示す情報であってもよい。プロセッサ561は、入出力制御部564に課金サーバSV1と通信を実施させ、システムメンテナンス情報および使用状況情報を課金サーバSV1に送信させる(ステップS205)。
使用回数Nが0である場合、プロセッサ561は、使用状況情報を課金サーバSV1に送信する必要はない。使用回数Nが0である場合、プロセッサ561は、追加機能が使用されていないことを示す使用状況情報を課金サーバSV1に送信してもよい。
課金サーバSV1は、システムメンテナンス情報および使用状況情報を入出力制御部564から受信する。課金サーバSV1は、使用状況情報に基づいて課金のための処理を実行する。例えば、契約の種類が都度払い契約である場合、課金サーバSV1は、追加機能の使用状況に基づいて課金額を算出する。M個(Mは1以上の整数)の症例に対して追加機能が使用された場合、課金サーバSV1は、M回の追加機能の使用に応じた課金額を算出する。
プロセッサ561は、症例識別子と対応する症例の観察または処置が継続している間は課金情報を課金サーバSV1(外部サーバ)へ送信(出力)しなくてもよい。症例識別子と対応する症例の観察または処置が終了したタイミングで、プロセッサ561は課金情報を課金サーバSV1に送信(出力)してもよい。
メンテナンスの作業者がメモリ562からシステムログを取得するシステムでは、プロセッサ561は、図53に示す処理を実行する必要はない。
一つの症例に対して追加機能が使用されるたびに、プロセッサ561は使用回数を1ずつ加算してもよい。プロセッサ561は、症例ごとの使用回数を示す使用状況情報を生成してもよい。
追加機能が使用された場合、プロセッサ561は、追加機能が使用された時間を算出してもよい。プロセッサ561は、その時間を示す使用状況情報を生成してもよい。例えば、プロセッサ561は、症例識別子と対応する症例の観察または処置において追加機能が使用された累積時間を算出する。累積時間は、一つの症例の観察または処置において追加機能が使用された各時間の合計である。例えば、互いに異なる第1の期間および第2の期間において追加機能が使用された場合、プロセッサ561は、第1の期間の長さおよび第2の期間の長さを合計することにより累積時間を算出する。プロセッサ561は、累積時間に関する情報を使用状況情報とともに出力する。
追加機能を使用するモードは、湾曲制御に関するモードに限らない。追加機能を使用するモードは、人工知能(AI)を使用する診断モードであってもよい。追加機能を使用するモードは、ナビゲーションモードであってもよい。
上記の例では、プロセッサ561は、症例ごとに追加機能の使用を示す情報を生成する。プロセッサ561は、症例にかかわらず、追加機能の使用を示す情報を生成してもよい。
上記の例では、プロセッサ561が図52および図53に示す処理を実行する。制御装置600Bが有する駆動装置200Bの駆動コントローラ260Bが図52および図53に示す処理を実行してもよい。
プロセッサ561または駆動コントローラ260Bがプログラムを読み込み、かつ読み込まれたプログラムを実行してもよい。そのプログラムは、例えばフラッシュメモリのような「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」により提供されてもよい。そのプログラムは、そのプログラムを保持するコンピュータから、伝送媒体を経由して、あるいは伝送媒体中の伝送波により制御装置600Bに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、情報を伝送する機能を有する媒体である。情報を伝送する機能を有する媒体は、インターネット等のネットワーク(通信網)および電話回線等の通信回線(通信線)を含む。上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上述したプログラムは、差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。前述した機能は、コンピュータに既に記録されているプログラムと差分プログラムとの組合せによって実現されてもよい。
第六実施形態に係る電動内視鏡システム1000Bにおいて、病院は、難しい手技などが必要な場合に追加機能を使用することができ、電動内視鏡システム1000Bを導入するときのコストを低減することができる。例えば、そのコストは、従来の内視鏡システムを導入するときのコストと同等であってもよい。
病院は、追加機能を使用することにより、時間がかかる手技の時間を短縮することができる。例えば、症例数が多い日に病院は追加機能を使用してもよい。これにより、病院は、症例数の変動に柔軟に対応することができ、病院の経営効率が改善する。
一つの症例の観察または処置のために追加機能が二回以上使用される場合であっても、課金額は使用回数に応じて増加しない。図52に示す処理において、所定の識別子が取得される。その識別子は図52に示す処理に使用されるが、その処理が終了した後にメモリ562はその識別子を保持する必要はない。電動内視鏡システム1000Bは病院から提供される各種IDのリストを保持する必要がないため、個人情報が保護される。病院から提供された識別子と内視鏡ID等とを組み合わせることにより、追加機能の使用状況を正確に検出することができる。
また、本実施形態においては、過去に蓄積された使用状況情報を用いて、電動内視鏡システム1000Bを操作する術者Sに対して有用な情報が提示されてもよい。
術者Sは、電動内視鏡システム1000Bが備える複数の機能から、使用する機能を必要に応じて選択する必要がある。
複数の機能とは、例えば、「第一湾曲部制御モード(先端側湾曲部制御モード)M1」と、「第二湾曲部制御モード(基端側湾曲部制御モード)M2」とに加えて、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが協調して制御される「協調制御モードM3」をさらに有する。協調制御モードM3における湾曲モードは、湾曲部112が一つの湾曲部として湾曲する「疑似単湾曲制御モードM4(第一モード)」と、第一湾曲部113と第二湾曲部114とが協調して湾曲する「協調湾曲制御モードM5(第二モード)」と、「疑似単湾曲移行モードM6(第三モード)」とに分類される湾曲モードである。
病院サーバSV2は、複数の患者の患者情報(電子カルテ)を蓄積している。患者情報には、プロセッサ561によって生成される症例識別子に加えて、生体情報と症例情報とが含まれている。患者情報には、生体情報として、患者の年齢、性別、身長、体重、体型、血圧、および過去の手技歴などが含まれている。患者情報には、症例情報として、病変部の分類結果、病変部の位置、および病変部の大きさなどが含まれている。
病院サーバSV2は、患者情報に含まれる症例識別子に関連付けて、使用状況情報を蓄積している。使用状況情報には、課金のために使用される課金情報だけでなく、症例を担当した術者Sの識別情報、当該症例で行われた手技(医療行為)の種別、当該手技で使用した湾曲モードの種別、および当該湾曲モードを使用した時間を示す情報などが含まれている。
入出力制御部564には、図示していない入力装置(例えば、キーボード)から、症例に携わった術者Sの識別情報と当該症例で行われた手技(医療行為)の種別とが使用状況情報として入力される。
術者Sは、切替スイッチ340を操作して、湾曲モードを選択する。切替スイッチ340は、操作中に、術者Sが操作装置300から手を放すことなく内視鏡に関する湾曲モードを明示的に選択可能な選択手段である。表示装置900には、新たに選択された湾曲モードを使用するか否かを確認するための情報が提示され、術者Sは、各種ボタン352などを使用することにより、承認を示す情報を入力する。これによって、内視鏡に関する湾曲モードが、切替スイッチ340の操作を通して新たに選択された湾曲モードに切り替わる。これにより湾曲モードの選択が2段階になるため、誤使用および誤課金を防ぐことができる。
駆動装置200Bが有する駆動コントローラ260Bは、切替スイッチ340Bの状態を検出し、その状態を示す状態情報(湾曲モードの情報)を、制御装置600Bが有する映像制御装置500のプロセッサ561に送信する。プロセッサ561は、状態情報を駆動コントローラ260Bから受信し、状態情報に基づいて湾曲部112の湾曲モードを検出し、湾曲を制御する。プロセッサ561は、使用した湾曲モードを示す使用状況情報を生成する。
プロセッサ561は、病院サーバSV2と通信可能に接続されているため、症例識別子と使用状況情報とを互いに関連付けて、病院サーバSV2に送信する。病院サーバSV2は、症例識別子と使用状況情報とを入出力制御部564から受信し、蓄積されている患者情報に対して、症例識別子と使用状況情報とを関連付けて蓄積する。
蓄積した使用状況情報を術者Sが閲覧する場合、図示していない入力装置から、術者Sが閲覧したい症例の症例識別子が入出力制御部564に入力される。
病院サーバSV2は、入出力制御部564に入力された症例識別子を受信する。病院サーバSV2は、蓄積されている複数の患者情報から、症例識別子に基づいて、使用状況情報を特定する。つまり、病院サーバSV2は、入出力制御部564に入力された症例識別子と同じ症例識別子と関連付けられた使用状況情報を特定する。病院サーバSV2は、特定した使用状況情報を入出力制御部564に送信する。
表示装置900は、入出力制御部564が受信した使用状況情報を表示する。
本実施形態においては、術者Sが、自身の行った手技を振り返ることができる有用な情報を術者Sに対して提供することができる。
これに加えて、症例で使用した湾曲モードの種別と当該湾曲モードを使用した時間とが対応付けられて蓄積され、いずれの湾曲モードをどのタイミングでどの程度の時間使ったのかを示す情報が、有用な情報として提示されてもよい。これにより、術者Sは、手技を振り返ることができ、さらなる手技の向上を図ることができる。また、手技の振り返りのためだけでなく、万が一事故があった際の調査に有効である。
一般に、看護師等のスタッフは、術中に、手技の流れおよび使用された薬剤などを記録している。本実施形態においては、術者Sがスタッフと連携することなく使用する湾曲モードの使用状況を示す情報を自動で蓄積できるため、看護師およびスタッフによる記録の手間が削減できる。
以上説明したように、電動内視鏡システムにより生成される使用状況情報を有効に活用することにより、手技の効率化、成績向上への貢献、およびコストの平準化等に寄与することができる。
(第七実施形態)
本発明の第七実施形態に係る電動内視鏡システムは、湾曲部112の3次元画像を表示する機能を有する。その3次元画像は、湾曲部112の形状を示すコンピュータグラフィックス(CG)である。3次元画像を表示するために術者Sの視線の方向を決定する必要がある。術者Sの視線の方向は、視点から内視鏡100に向かう方向である。術者Sが湾曲方向を容易に把握できるように視線の方向が決定されることが望ましい。協調湾曲制御モードM5などが使用される場合、3次元画像の表示の方法によっては、術者Sが湾曲方向を把握することが難しい可能性がある。そのため、術者Sの視線の方向を決定し、3次元画像を適切に表示する必要がある。
第七実施形態は、術者Sが湾曲方向を容易に把握するための3次元画像を表示する電動内視鏡システム(手術支援システム)を提供する。
第七実施形態に係る電動内視鏡システム1000Gについて、図54を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
電動内視鏡システム1000Gは、図54に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Gは、内視鏡100と、駆動装置200Bと、操作装置300Bと、処置具400と、映像制御装置500(図1参照)と、カメラ570と、表示装置900(モニタ)と、を備える。
カメラ570が手術室に設置されている。カメラ570は、イメージセンサー(CCDセンサーまたはCMOSセンサーなど)を有する撮像装置である。カメラ570は、術者S、内視鏡100、および表示装置900を含む撮像視野の画像を生成する。カメラ570は、映像制御装置500の入出力制御部564と接続されている。カメラ570は、生成された画像を入出力制御部564に送信する。2台以上のカメラが配置されてもよい。
入出力制御部564は、カメラ570と通信を実施し、画像を受信する。映像制御装置500のプロセッサ561は、入出力制御部564によって受信された画像を入出力制御部564から取得する。プロセッサ561は、画像を処理し、第一の方向および第二の方向を検出する。第一の方向は、内視鏡100(挿入部110)に関する方向である。第二の方向は、表示装置900に関する方向である。第一の方向および第二の方向の各々は、直線方向である。プロセッサ561は、第一の方向および第二の方向に基づいて、湾曲部112の形状を示す3次元画像を表示するための視線の方向を決定する。
駆動装置200Bの駆動コントローラ260Bは、入出力制御部564と通信を実施し、第一湾曲部113のUD方向の湾曲量、第一湾曲部113のLR方向の湾曲量、第二湾曲部114のUD方向の湾曲量、および第二湾曲部114のLR方向の湾曲量を送信する。入出力制御部564は、各湾曲量を受信し、プロセッサ561に出力する。プロセッサ561は、各湾曲量に基づいて、決定された方向に見た内視鏡100の3次元画像(3次元モデル)を生成する。プロセッサ561は、3次元画像を表示装置900に表示する。
図55を参照し、3次元画像を表示するための処理を説明する。図55は、プロセッサ561が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
プロセッサ561は、入出力制御部564にカメラ570と通信を実施させ、画像をカメラ570から受信させる。プロセッサ561は、入出力制御部564によって受信された画像を入出力制御部564から取得する(ステップS300)。
ステップS300において画像が取得された後、プロセッサ561は、画像を処理し、第一の方向および第二の方向を検出する(ステップS305)。具体的には、プロセッサ561は、物体検出または三次元計測の手法を使用することにより内視鏡100の傾きを検出することにより、第一の方向を検出する。また、プロセッサ561は、表示装置900の方向を検出することにより、第二の方向を検出する。
図56および図57は、内視鏡100と表示装置900との位置関係を示す図である。
図56および図57において、第一の方向DR1および第二の方向DR2が示されている。例えば、第一の方向DR1は、内視鏡100が患者Pの管腔内に挿入される方向である。例えば、第二の方向DR2は、術者Sの視線の方向に関する。図56および図57に示す例では、第二の方向DR2は、水平面と平行であり、かつ表示装置900の画面と垂直な方向である。
図56に示す例では、第二の方向DR2は、第一の方向DR1と平行な方向に近い。図57に示す例では、第二の方向DR2は、第一の方向DR1と垂直な方向に近い。
プロセッサ561は、第一の方向および第二の方向を正確に検出する必要はない。プロセッサ561は、図56に示す状態と図57に示す状態とを区別するのに十分な精度で第一の方向および第二の方向を検出する。
ステップS305において第一の方向および第二の方向が検出された後、プロセッサ561は、第一の方向および第二の方向に基づいて、3次元画像を表示するための視線の方向を決定する(ステップS310)。
例えば、3次元画像を表示するための視点は、少なくとも先端部111および湾曲部112が視野に含まれる位置に設定される。図56に示す例では、第二の方向DR2が内視鏡100の挿入方向と平行な方向に近いため、プロセッサ561は、視線の方向を、体内軟性部119側から先端部111側に向かう方向(内視鏡100の長手方向A)に設定する。図57に示す例では、第二の方向DR2が内視鏡100の挿入方向と垂直な方向に近いため、プロセッサ561は、視線の方向を、内視鏡100の長手方向Aと交差する方向に設定する。
プロセッサ561は、第一の方向DR1と第二の方向DR2との間の角度(相対角度)に基づいて、3次元画像における内視鏡100の方向を決定する。図56に示す例では、第一の方向DR1が第二の方向DR2と同じであり、相対角度は0である。そのため、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を基準方向と同じ方向に設定する。基準方向は、相対角度が0であるときに表示される3次元画像における内視鏡100の方向と定義される。
図57に示す例では、第一の方向DR1が第二の方向DR2とほぼ垂直であり、相対角度は約90度である。そのため、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を基準方向から変更する。図57に示す例では、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を90度だけ回転させる。
図56および図57に示す例では、術者Sが表示装置900と正対することが前提である。そのため、術者Sの位置は表示装置900の方向に含まれており、プロセッサ561が術者Sの位置を検出する必要はない。
ステップS310において視線の方向が決定された後、プロセッサ561は、入出力制御部564に駆動コントローラ260Bと通信を実施させ、第一湾曲部113の各湾曲量および第二湾曲部114の各湾曲量を入出力制御部564から取得する(ステップS315)。
ステップS315において第一湾曲部113の各湾曲量および第二湾曲部114の各湾曲量が取得された後、プロセッサ561は、各湾曲量に基づいて、ステップS310において決定された方向に見た内視鏡100の3次元画像を生成する。このとき、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を決定する(ステップS320)。
ステップS320において3次元画像が生成された後、プロセッサ561は、入出力制御部564を経由して3次元画像を表示装置900に出力する。表示装置900は、3次元画像を表示する(ステップS325)。
図58および図59は、表示装置900が表示する3次元画像の例を示す。図58に示す例では、3次元画像IMG1が表示装置900の画面902に表示される。図59に示す例では、3次元画像IMG2が表示装置900の画面902に表示される。3次元画像IMG1および3次元画像IMG2は、術者Sの視線の方向と近い方向に見た湾曲部112の状態を示す。そのため、術者Sが湾曲方向を容易に把握することができる。
プロセッサ561は、図55に示すタイミングと異なるタイミングでステップS315を実行し、第一湾曲部113の各湾曲量および第二湾曲部114の各湾曲量を取得してもよい。例えば、プロセッサ561は、ステップS300、ステップS305、およびステップS310のいずれか一つが実行される前にステップS315を実行してもよい。
駆動装置200Bの駆動コントローラ260Bは、入出力制御部564と通信を実施し、円筒部材121の回転角度を送信してもよい。入出力制御部564は、回転角度を受信し、プロセッサ561に出力してもよい。プロセッサ561は、各湾曲量および回転角度に基づいて内視鏡100の3次元画像を生成してもよい。
上記の例では、プロセッサ561が図55に示す処理を実行する。駆動装置200Bの駆動コントローラ260Bが図55に示す処理を実行してもよい。プロセッサ561または駆動コントローラ260Bがプログラムを読み込み、かつ読み込まれたプログラムを実行してもよい。
上記の例では、1つの表示装置が配置されているが、2つの表示装置が配置されてもよい。例えば、一方の表示装置が内視鏡によって取得された画像を表示し、他方の表示装置が3次元画像を表示しても良い。その場合、3次元画像を表示する表示装置を対象として術者Sの視線の方向を決定することが望ましい。
上記の例では、第一の方向および第二の方向がカメラ570によって検出されるが、カメラを用いずに手動で視線の方向が設定されてもよい。
プロセッサ561がステップS310において視線の方向を決定する他の方法を説明する。以下の方法では、第二の方向は、術者Sの視線の方向に関し、かつ表示装置900と術者Sとの位置関係に応じて異なる。
1台以上のカメラ570が、術者S、内視鏡100、および表示装置900を撮像視野内に捕らえることができる位置に配置されている。あるいは、1台以上のカメラ570が、表示装置900に配置され、術者Sおよび内視鏡100を撮像視野内に捕らえることができる位置に固定されている。
プロセッサ561は、前述した方法と同じ方法を使用することにより、内視鏡100の傾きと対応する第一の方向を検出する。また、プロセッサ561は、物体検出または三次元計測の手法を使用することにより、術者Sから表示装置900に向かう方向を第二の方向として検出する。
図60、図61、および図62は、術者Sと内視鏡100と表示装置900との位置関係を示す図である。
図60、図61、および図62において、第一の方向DR1および第二の方向DR2が示されている。例えば、第一の方向DR1は、内視鏡100が患者Pの管腔内に挿入される方向である。例えば、第二の方向DR2は、表示装置900の位置と術者Sの位置とに基づいて決定される方向に関する。言い換えると、第二の方向DR2は、術者Sの視線の方向に関する。図60、図61、および図62に示す例では、第二の方向DR2は、術者Sの位置から表示装置900の位置に向かう方向である。例えば、術者Sの位置は、術者Sの視点位置である。例えば、表示装置900の位置は、表示装置900の画面の中心位置である。
図60に示す例では、第二の方向DR2は、第一の方向DR1と平行な方向に近い。図61および図62の各々に示す例では、第二の方向DR2は、第一の方向DR1と異なる。
図63、図64、および図65は、第一の方向DR1と第二の方向DR2との関係を示す図である。図63に示す例では、第一の方向DR1と第二の方向DR2とは、同じである。図65に示す角度ANG2は、図64に示す角度ANG1よりも大きい。角度ANG1および角度ANG2は、第一の方向DR1と第二の方向DR2との間の角度(相対角度)を示す。プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の長手方向A(長軸方向)と3次元画像を表示するための視線の方向との間の角度が、第一の方向DR1と第二の方向DR2との間の角度と同じになるようにその視線の方向を決定する。
図63、図64、および図65において、内視鏡100の長手方向Aは、第一の方向DR1と同じであり、かつ3次元画像を表示するための基準方向と同じである。プロセッサ561は、第一の方向DR1と第二の方向DR2との間の相対角度に基づいて、3次元画像における内視鏡100の方向を決定する。図63に示す例では、第一の方向DR1が第二の方向DR2と同じであり、相対角度は0である。そのため、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を基準方向と同じ方向に設定する。基準方向は、相対角度が0であるときに表示される3次元画像における内視鏡100の方向と定義される。
図64および図65に示す例では、第一の方向DR1が第二の方向DR2と異なり、相対角度は0よりも大きい。そのため、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を基準方向から変更する。図64に示す例では、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を角度ANG1だけ回転させる。図65に示す例では、プロセッサ561は、3次元画像における内視鏡100の方向を角度ANG2だけ回転させる。
プロセッサ561は、カメラ570によって生成された画像を処理し、表示装置900の位置と、術者Sの位置とを取得してもよい。プロセッサ561は、表示装置900の位置と術者Sの位置とに基づいて第二の方向DR2を判断してもよい。具体的には、第二の方向DR2は、術者Sの位置から表示装置900の位置へ向かう方向である。
図60に示す画像IMG11、図61に示す画像IMG12、および図62に示す画像IMG13は、表示装置900が表示する3次元画像の例を示す。表示装置900と術者Sとの位置関係に応じて術者Sから表示装置900に向かう方向は異なる。そのため、表示装置900が表示する3次元画像における内視鏡100の方向は異なる。
上記のように、プロセッサ561は、挿入部110の湾曲形状を示す3次元モデルを生成し、生成された3次元モデルを表示装置900に表示する。プロセッサ561は、挿入部110の挿入方向を示す第一の直線に関する第一の情報(第一の方向DR1)を取得し、操作者の視線方向を示す第二の直線に関する第二の情報(第二の方向DR2)を取得する。プロセッサ561は、第一の情報と第二の情報とに基づき、表示装置900に表示される3次元モデルの方向を決定する。
プロセッサ561は、第二の直線と第一の直線との相対角度を算出する。プロセッサ561は、算出された相対角度に基づき、3次元モデルの方向を基準方向から変更する。
プロセッサ561は、第一の情報および第二の情報を、手術室に備えられたカメラ570により生成された画像から取得する。
プロセッサ561は、さらに、表示装置900の位置に関する第一の位置情報と、術者S(操作者)の位置に関する第二の位置情報とを画像から取得する。プロセッサ561は、第一の位置情報および第二の位置情報に基づき、第二の情報を取得する。
プロセッサ561は、湾曲量の現在値と湾曲量の最大値(限界値)とを表示装置900に表示してもよい。例えば、プロセッサ561は、現在値および最大値を表示するための画像(CG)を生成し、その画像を表示装置900に表示する。
図66から図72は、現在値および最大値を表示するための画像の例を示す図である。
図66は、第一の例を示す。メータMT1、メータMT2、メータMT3、およびメータMT4が表示装置900に表示される。各メータは、円状である。メータMT1は、UD方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。メータMT1の針ND1の角度は湾曲量の現在値を示す。メータMT2は、LR方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。メータMT2の針ND2の角度は湾曲量の現在値を示す。メータMT3は、UD方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。メータMT3の針ND3の角度は湾曲量の現在値を示す。メータMT4は、LR方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。メータMT4の針ND4の角度は湾曲量の現在値を示す。針ND1または針ND3が表示される範囲の端部は、UD方向の湾曲量の最大値を示す。針ND2または針ND4が表示される範囲の端部は、LR方向の湾曲量の最大値を示す。
図67は、第二の例を示す。メータMT5およびメータMT6が表示装置900に表示される。メータMT5およびメータMT6は、円状である。メータMT5は、表示バーBR1および表示バーBR2を含む。表示バーBR1は、UD方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。表示バーBR1の角度AG1は湾曲量の現在値を示す。表示バーBR2は、LR方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。表示バーBR2の角度AG2は湾曲量の現在値を示す。メータMT6は、表示バーBR3および表示バーBR4を含む。表示バーBR3は、UD方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。表示バーBR3の角度AG3は湾曲量の現在値を示す。表示バーBR4は、LR方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。表示バーBR4の角度AG4は湾曲量の現在値を示す。表示バーBR1または表示バーBR3が表示される範囲の端部は、UD方向の湾曲量の最大値を示す。表示バーBR2または表示バーBR4が表示される範囲の端部は、LR方向の湾曲量の最大値を示す。
図66または図67に示す例では、湾曲量の現在値および湾曲量の最大値が角度として表示される。そのため、術者Sが湾曲量の現在値および湾曲量の最大値を理解し易い。図67に示す例では、UD方向の湾曲量およびLR方向の湾曲量が一つのメータによって表示される。そのため、図66に示す例と比較して、表示に必要な画面の領域が節約される。
図68は、第三の例を示す。データバーDB1、データバーDB2、データバーDB3、およびデータバーDB4が表示装置900に表示される。各データバーは、棒状である。データバーDB1は、UD方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。データバーDB2は、LR方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。データバーDB3は、UD方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。データバーDB4は、LR方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。データバーDB1またはデータバーDB3が表示される範囲の端部は、UD方向の湾曲量の最大値を示す。データバーDB2またはデータバーDB4が表示される範囲の端部は、LR方向の湾曲量の最大値を示す。
第一湾曲部113および第二湾曲部114は、第一アングルノブ320の回転操作に基づいて、UD方向に湾曲する。したがって、データバーDB1およびデータバーDB3は、第一アングルノブ320の回転操作と関連付けられている。第一湾曲部113および第二湾曲部114は、第二アングルノブ330の回転操作に基づいて、LR方向に湾曲する。したがって、データバーDB2およびデータバーDB4は、第二アングルノブ330の回転操作と関連付けられている。データバーDB1およびデータバーDB2は、画像における左右方向に並べられている。同様に、データバーDB3およびデータバーDB4は、画像における左右方向に並べられている。各データバーが表示される領域の上下方向の長さは、その領域の左右方向の長さよりも長い。各データバーは、画像における上下方向に伸びる。
第一アングルノブ320が回転すると、回転軸300rから離れた第一アングルノブ320の外周部分は、上方UPRまたは下方LWRに向かうように回転する。上方UPRと画像における上方向とが互いに関連付けられ、下方LWRと画像における下方向とが互いに関連付けられている。そのため、術者Sが第一アングルノブ320の回転方向とデータバーDB1およびデータバーDB3が伸びる方向とを直感的に把握しやすい。つまり、術者Sが第一アングルノブ320の回転方向と第一湾曲部113および第二湾曲部114の各々のUD方向の湾曲量とを直感的に把握しやすい。
同様に、第二アングルノブ330が回転すると、回転軸300rから離れた第二アングルノブ330の外周部分は、上方UPRまたは下方LWRに向かうように回転する。上方UPRと画像における上方向とが互いに関連付けられ、下方LWRと画像における下方向とが互いに関連付けられている。そのため、術者Sが第二アングルノブ330の回転方向とデータバーDB2およびデータバーDB4が伸びる方向とを直感的に把握しやすい。つまり、術者Sが第二アングルノブ330の回転方向と第一湾曲部113および第二湾曲部114の各々のLR方向の湾曲量とを直感的に把握しやすい。
図72は、第四の例を示す。データバーDB5、データバーDB6、データバーDB7、およびデータバーDB8が表示装置900に表示される。各データバーは、棒状である。データバーDB5は、UD方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。データバーDB6は、LR方向の第一湾曲部113の湾曲量を示す。データバーDB7は、UD方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。データバーDB8は、LR方向の第二湾曲部114の湾曲量を示す。データバーDB5またはデータバーDB7が表示される範囲の端部は、UD方向の湾曲量の最大値を示す。データバーDB6またはデータバーDB8が表示される範囲の端部は、LR方向の湾曲量の最大値を示す。
図68または図72に示す例では、術者Sが各データバーの見方を理解し易く、表示に必要な画面の領域が節約される。図72に示す例では、UD方向の湾曲量が上下方向に伸びるデータバーによって表示され、LR方向の湾曲量が左右方向に伸びるデータバーによって表示される。そのため、図68に示す例と比較して術者Sが湾曲状態を直感的に把握しやすい。
電動内視鏡システム1000G(プロセッサ561)は、湾曲部112の3次元画像を表示する際、術者Sによる操作に基づいて湾曲する部分と対応する画像を強調してもよい。つまり、電動内視鏡システム1000G(プロセッサ561)は、湾曲モードと関連付けられた湾曲部の画像を強調してもよい。
例えば、湾曲モードが「第一湾曲部制御モード(先端側湾曲部制御モード)M1」である場合、第一湾曲部113が湾曲する。そのため、例えばプロセッサ561は、図69に示す画像IMG21を表示装置900に表示する。このとき、プロセッサ561は、第一湾曲部113の色を挿入部110の他の部分(先端部111、第二湾曲部114、および体内軟性部119)の色と異なる色に変更することにより、第一湾曲部113を強調する。
湾曲モードが「第二湾曲部制御モード(基端側湾曲部制御モード)M2」である場合、第二湾曲部114が湾曲する。そのため、例えばプロセッサ561は、図70に示す画像IMG22を表示装置900に表示する。このとき、プロセッサ561は、第二湾曲部114の色を挿入部110の他の部分(先端部111、第一湾曲部113、および体内軟性部119)の色と異なる色に変更することにより、第二湾曲部114を強調する。
湾曲モードが「協調制御モードM3」である場合、第一湾曲部113および第二湾曲部114が湾曲する。そのため、例えばプロセッサ561は、図71に示す画像IMG23を表示装置900に表示する。このとき、プロセッサ561は、第一湾曲部113および第二湾曲部114の色を挿入部110の他の部分(先端部111および体内軟性部119)の色と異なる色に変更することにより、第一湾曲部113および第二湾曲部114を強調する。
第七実施形態に係る電動内視鏡システム1000Gは、術者Sの視線の方向と近い方向に見た湾曲部112の状態を示す3次元画像を表示装置900に表示する。そのため、術者Sが湾曲方向を容易に把握することができる。
電動内視鏡システム1000Gは、湾曲量の現在値および湾曲量の最大値を表示装置900に表示する。そのため、術者Sが湾曲量の現在値および湾曲量の最大値を把握することができる。
電動内視鏡システム1000Gは、湾曲モードと関連付けられた湾曲部の画像を強調する。そのため、電動内視鏡システム1000Gが複数の湾曲部と複数の湾曲モードとを有する場合でも、術者Sは、操作装置300の操作と、その操作に基づいて湾曲する湾曲部との関係を、表示装置900を見たままの状態で把握することができる。
(第八実施形態)
本発明の第八実施形態に係る電動内視鏡システム1000Hについて、図73から図75を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図73は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Hの全体図である。図74は、電動内視鏡システム1000Hの平面図である。
[電動内視鏡システム1000H]
電動内視鏡システム1000Hは、図73に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Hは、内視鏡100Hと、駆動装置200と、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、支持装置700と、観察装置800と、表示装置900と、を備える。
[内視鏡100H]
内視鏡100Hは、図73に示すように、挿入部110Hと、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150Hと、湾曲ワイヤ160と、内蔵物170と、を備える。挿入部110Hと、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150Hと、は先端側から順に接続されている。
[挿入部110H]
挿入部110Hは、第一実施形態の挿入部110と比較して、長手方向Aに沿って磁気コイル(不図示)が内蔵されていることのみが異なっている。磁気コイルは、例えば挿入部110Hの内部経路101における内周面に沿って螺旋状に取り付けられている。
[着脱部150H]
着脱部150Hは、図73に示すように、駆動装置200に装着される第一着脱部1501と、映像制御装置500に装着される第二着脱部1502とに加えて、着脱位置姿勢センサ1504と、を備える。
着脱位置姿勢センサ1504は、接続されている体外軟性部140の基端部の位置姿勢を検出するセンサである。着脱位置姿勢センサ1504は、例えば制御装置600に対する体外軟性部140の基端部の位置や体外軟性部140の基端部の姿勢などを検出する。着脱位置姿勢センサ1504の検出結果は、メインコントローラ560によって取得される。
[支持装置700]
支持装置700は、内視鏡100Hを移動可能に支持する装置である。支持装置700は、ベース710と、アーム720と、内視鏡支持部730と、を有する。
ベース710は、長尺部材であり床面に設置される。ベース710は、手術台Tより高い位置まで延びている。アーム720は、長尺部材であり、一方の端部がベース710の先端に連結されている。アーム720は、例えば二自由度の関節によりベース710に連結されており、他方の端部が内視鏡100Hの長手方向Aおよび鉛直方向(ベース710が延びる方向)に移動可能である。
内視鏡支持部730は、内視鏡100Hの体外軟性部140を支持する支持部本体731と、内視鏡位置姿勢センサ732と、を有する。支持部本体731は、アーム720の他方の端部に、アーム720の長手軸を回転軸として回動可能に連結されている。支持部本体731は、略円筒形状であり、体外軟性部140の外周部に着脱可能に取り付けられる。本実施形態においては、内視鏡支持部730は、体外軟性部140の先端付近に取り付けられている。
内視鏡位置姿勢センサ732は、支持している体外軟性部140の位置姿勢を検出するセンサである。内視鏡位置姿勢センサ732は、例えば制御装置600に対する体外軟性部140の先端付近の位置や体外軟性部140の先端付近の姿勢などを検出する。内視鏡位置姿勢センサ732の検出結果は、伝送ケーブル701を経由してメインコントローラ560によって取得される。なお、メインコントローラ560は、アーム720の各関節値をエンコーダにより取得してその値を基に運動学を計算して位置姿勢を算出してもよいし、カメラ570により位置姿勢を計算してもよい。
アーム720は、所定以上の力が加えられない限りベース710に対して移動しない。また、内視鏡支持部730は、所定以上の力が加えられない限りアーム720に対して回転しない。そのため、例えば術者Sが処置具400を操作するために右手Rを体内軟性部119から離した場合であっても、支持装置700に支持された体外軟性部140の位置および姿勢は変わらない。
[観察装置800]
観察装置800は、磁界を利用し内視鏡100Hの挿入形状を観察する装置である。観察装置800は、内視鏡100Hの挿入部110Hに内蔵された磁気コイルから発生する磁気をアンテナにより受信する。観察装置800は、図74に示すように、挿入部110Hにおいて体内に挿入された体内部分が観察装置800の受信範囲に入るように配置されているため、挿入部110Hにおいて体内に挿入された体内部分から発生する磁気を受信できる。
観察装置800は、受信した磁気から挿入部110Hの内部経路101において体内に挿入された体内部分の形状(第一推測形状)SS1を推測する。観察装置800は、形状SS1を3次元グラフィクス画像として作成し、表示装置900に表示する。なお、観察装置800は、X線撮影などの他の方法により内視鏡100Hの形状SS1を観察する装置であってもよい。観察装置800の観察結果は、メインコントローラ560によっても取得される。
取得された挿入部110Hの形状および体外軟性部140の形状は、例えば湾曲動作の高精度化のために使用される。一般的に軟性部基端側のワイヤ張力Tinと先端側のワイヤ張力Toutの比は、軟性部経路の湾曲角度の総和θおよび、ワイヤ・シース間の摩擦係数μによって、Tout/Tin=exp(-μθ)と表される。例えば、左記の関係を用いてワイヤの牽引張力や牽引量を補正することで湾曲動作の高精度化が実現できる。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Hの使用方法について説明する。具体的には、大腸内の管壁に形成された患部を電動内視鏡システム1000Hを用いて観察および処置する手技について説明する。
以降、図75に示す制御装置600のメインコントローラ560の制御フローチャートに沿って説明を行う。制御装置600が起動されると、メインコントローラ560は初期化を実施した後に制御を開始する(ステップS800)。次に、メインコントローラ560(主としてプロセッサ561)はステップS810を実行する。
術者Sは、内視鏡100Hの挿入部110Hを先端から患者Pの肛門から大腸内に挿入する。術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110Hを移動させて、先端部111を患部に近付ける。また、術者Sは、操作装置300の第一アングルノブ320および第二アングルノブ330を左手Lで操作して湾曲部112を必要に応じて曲げる。
ステップS810において、メインコントローラ560は、挿入部110Hにおいて体内に挿入された体内部分の形状SS1を観察装置800から取得する。さらに、内部経路101のうち体内に挿入された体内部分の形状SS1と、挿入部110Hと体外軟性部140等の内部経路101の全長とから、内部経路101のうち体外に位置する体外部分の長さSS2Lを取得する。次に、メインコントローラ560はステップS820を実行する。
ステップS820において、メインコントローラ560は、体外軟性部140の基端部の位置姿勢を着脱位置姿勢センサ1504から取得する。次に、メインコントローラ560はステップS830を実行する。
ステップS830において、メインコントローラ560は、体外軟性部140の先端付近の位置姿勢を内視鏡位置姿勢センサ732から取得する。次に、メインコントローラ560はステップS840を実行する。
ステップS840において、メインコントローラ560は、着脱位置姿勢センサ1504と内視鏡位置姿勢センサ732から取得した位置姿勢と、長さSS2Lと、軟性部(挿入部110Hおよび体外軟性部140)の剛性とに基づいて内部経路101のうち体外に位置する体外部分の形状(第二推測形状)SS2を推測する。メインコントローラ560は、体外軟性部140の基端部の位置姿勢と、体外軟性部140の先端付近の位置姿勢と、長さSS2L(すなわち形状SS2の長さ)と、軟性部(挿入部110Hおよび体外軟性部140)の剛性とから、体外軟性部140の他の部分の位置姿勢を推測することで、形状SS2を推測する。次に、メインコントローラ560はステップS850を実行する。
ステップS850において、メインコントローラ560は、推定した内部経路101の体外部分の形状(第一推測形状、体内形状情報)SS1および内部経路101の体外部分の形状(第二推測形状、体外形状情報)SS2から、湾曲ワイヤ160の経路(推測経路)SRを作成もしくは更新する。
メインコントローラ560は、次にステップS860を実行する。ステップS860において、メインコントローラ560が制御を終了するかを判定する。制御を終了しない場合、メインコントローラ560は、再度ステップS810を実施する。制御を終了する場合、メインコントローラ560は、次にステップS870を実施して制御を終了する。
作成もしくは更新された湾曲ワイヤ160の推測経路SRは、駆動コントローラ260によって取得される。駆動コントローラ260は、操作装置300から取得した操作入力に基づいて、ワイヤ駆動部250を制御して湾曲部112を操作するとき、推測経路SRに基づく湾曲ワイヤ160の伝送効率等を算出し、湾曲ワイヤ160の実際の牽引量や送出量を算出する。その結果、駆動コントローラ260は、より正確に湾曲部112を操作できる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Hによれば、内視鏡100Hを用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100Hと操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100Hと操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
駆動装置200が操作装置300と分離されたことに伴い、内視鏡100Hの挿入部110Hから駆動装置200までの湾曲ワイヤ160の経路が長くなる場合もあるが、駆動コントローラ260は、推測経路SRに基づく湾曲ワイヤ160の伝送効率等を算出することにより、湾曲部112を正確に湾曲させやすい。
体外軟性部140が長くなる場合、観察装置800の観察結果のみでは湾曲ワイヤ160の経路推測経路SRを作成することは難しい。電動内視鏡システム1000Hは、観察装置800が観察した内部経路101の体内部分の形状SS1に加えて、着脱位置姿勢センサ1504と内視鏡位置姿勢センサ732から取得した位置姿勢に基づいて推測した内部経路101の体外部分の形状SS2をさらに用いる。その結果、電動内視鏡システム1000Hは、より正確な経路推測経路SRを作成できる。
以上、本発明の第八実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例8-1)
上記実施形態において、内視鏡支持部730は内視鏡100Hの体外軟性部140を支持する。しかしながら、内視鏡支持部730の態様はこれに限定されない。内視鏡支持部730は、内視鏡100Hの体内軟性部119を支持して、体内軟性部119の位置や姿勢を検出してもよい。また、内視鏡支持部730は、内視鏡100Hの連結部120を支持して、連結部120の位置や姿勢を検出してもよい。
あるいは、軟性部(挿入部110Hおよび体外軟性部140)が体外でとぐろをまかないように軟性部長さをできるだけ短く適切に設定することで、内視鏡着脱部位置と肛門位置との相対位置関係と、体外部分の長さSS2Lと、軟性部(挿入部110Hおよび体外軟性部140)の剛性から、体外での湾曲形状を推測し、その湾曲角度の総和から、ワイヤ張力の減衰を計算し制御パラメータを設定してもよい。内視鏡着脱部位置と肛門位置との相対関係位置は、駆動装置200に設置したカメラから、肛門あるいは肛門付近に設置したマーカを撮影して推測してもよい。
(変形例8-2)
上記実施形態において、メインコントローラ560は、着脱位置姿勢センサ1504と内視鏡位置姿勢センサ732から取得した位置姿勢に基づいて内部経路101の体外部分の形状SS2を推測する。しかしながら、内部経路101の体外部分の形状推測の方法はこれに限定されない。メインコントローラ560は、着脱位置姿勢センサ1504と内視鏡位置姿勢センサ732のいずれかの出力のみに基づいて形状SS2を推測してもよい。また、メインコントローラ560は、着脱位置姿勢センサ1504と内視鏡位置姿勢センサ732から取得した位置に加え、体外軟性部140の長さも考慮して形状SS2を推測することで、より精度の高い推測が可能である。また、メインコントローラ560は、体外軟性部140の湾曲角度の総和やロール回転量に基づいて、形状SS2を推測してもよい。
(変形例8-3)
メインコントローラ560は、カメラ570から取得した体外軟性部140等の画像から内部経路101の体外部分の形状SS2を推測してもよい。体外軟性部140の先端と基端にマーカーを取り付けておけば、メインコントローラ560は、より高い精度で内部経路101の体外部分の形状SS2を推測できる。
(第九実施形態)
本発明の第九実施形態に係る電動内視鏡システム1000Iについて、図76から図81を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図76は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Iの全体図である。
[電動内視鏡システム1000I]
電動内視鏡システム1000Iは、図76に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Iは、内視鏡100Cと、駆動装置200Iと、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。駆動装置200Iと映像制御装置500とは、電動内視鏡システム1000Iを制御する制御装置600Iを構成する。
[駆動装置200I]
図77は、駆動装置200Iの機能ブロック図である。
駆動装置200Iは、アダプタ210Cと、操作受信部220と、送気吸引駆動部230と、ワイヤ駆動部250Cと、駆動コントローラ260Iと、を備える。
駆動装置200Iは、第三実施形態の駆動装置200Cと同様に、湾曲部112をUD方向に曲げる一対の湾曲ワイヤを独立して駆動できる。また、電動内視鏡システム1000Iは、湾曲部112をLR方向に曲げる一対の湾曲ワイヤ160を独立して駆動できる。
[駆動コントローラ260I]
駆動コントローラ260Iは、駆動装置200Iの全体を制御する。駆動コントローラ260Iは、第三実施形態の駆動コントローラ260Cと比較して、ワイヤ駆動部250Cの制御方法が異なる。駆動コントローラ260Iは、湾曲部112の湾曲形状に基づいてワイヤ駆動部250Cの駆動モードを切り替える。駆動コントローラ260Iは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを、第一駆動モードと第二駆動モードのいずれかに切り換えることができる。
[復元力F1と摩擦力F2]
湾曲する湾曲部112には、アウターシース118を形成するゴムなどによる湾曲部112を直線状態に戻そうとする復元力F1と、復元力F1に抗して形状を維持しようとする摩擦力F2と、が作用する。
図78は、湾曲する湾曲部112に作用する復元力F1を示す図である。
復元力F1は、アウターシース118を形成するゴムなどの弾性部材の反発力F11や収縮力F12、および内蔵物170の曲げ反力F13などである。
図79は、湾曲する湾曲部112に作用する摩擦力F2を示す図である。
摩擦力F2は、節輪115と節輪115との間の摩擦力F21、湾曲ワイヤ160とワイヤガイド(上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115r)との間の摩擦力F22などである。
図80は、湾曲部112の湾曲角度θと復元力F1との関係を示すグラフである。
湾曲角度θは、直線状態の湾曲部112における長手方向Aの中心軸Oから測定した湾曲部112の湾曲角度である。湾曲角度θが大きいほど、復元力F1は大きい。一方、湾曲角度θが小さいほど、復元力F1は小さい。湾曲角度θが所定角度より小さくなると、復元力F1が摩擦力F2よりも小さくなる。
復元力F1が摩擦力F2より大きく(復元力F1>摩擦力F2)なる湾曲部112の湾曲形状を「第一形状」とする。復元力F1が摩擦力F2以下(復元力F1≦摩擦力F2)となる湾曲部112の湾曲形状を「第二形状」とする。
[第一駆動モード]
駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが増加するように湾曲部112を湾曲させている場合、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを、第一駆動モードに切り換える。また、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第一形状であるときは、第一駆動モードに切り替える。第一駆動モードにおいて駆動コントローラ260Iは、湾曲部112をUD方向もしくはLR方向に曲げる対向する一対の湾曲ワイヤ160(対向ワイヤ)のうち内径側の湾曲ワイヤ160を位置制御し、外径側の湾曲ワイヤ160を張力制御する。
対向ワイヤのうち内径側の湾曲ワイヤ160とは、湾曲した湾曲部112において曲率中心から見て内側に位置する湾曲ワイヤ160である。対向ワイヤのうち外径側の湾曲ワイヤ160とは、湾曲した湾曲部112において曲率中心から見て外側に位置する湾曲ワイヤ160である。
位置制御は、湾曲部112を湾曲させて移動させる目標位置に基づいて湾曲ワイヤ160の牽引量または送出量を制御する制御方法である。
張力制御は、湾曲ワイヤ160の張力を規定の設定値にあわせるように湾曲ワイヤ160の牽引量または送出量を制御する制御方法である。
ワイヤ駆動部250Cの駆動モードが第一駆動モードである場合、駆動コントローラ260Iは内径側の湾曲ワイヤ160を位置制御することで、復元力F1に抗して湾曲角度θを正確に制御する。一方、駆動コントローラ260Iは外径側の湾曲ワイヤ160を張力制御することで、湾曲ワイヤ160の張力を規定の設定値に維持する。
ワイヤ駆動部250Cの駆動モードが第一駆動モードである場合、駆動コントローラ260Iは内径側の湾曲ワイヤ160を位置制御するため、湾曲角度θが大きくなる方向に対する外部からの反力には強く対抗できる。そのため、駆動コントローラ260Iは、例えば、狭い大腸の内部であっても湾曲部112を大きく湾曲させやすい。
[第二駆動モード]
駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第二形状であるときは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを、第二駆動モードに切り換える。第二駆動モードにおいて駆動コントローラ260Iは、湾曲部112をUD方向もしくはLR方向に曲げる対向する一対の湾曲ワイヤ160(対向ワイヤ)のうち内径側の湾曲ワイヤ160を張力制御し、外径側の湾曲ワイヤ160を位置制御する。
湾曲部112の湾曲形状が第二形状である場合、駆動コントローラ260Iは外径側の湾曲ワイヤ160を位置制御することで、摩擦力F2より小さい復元力F1を補助して湾曲制御の動作速度の低下を防止する。一方、駆動コントローラ260Iは内径側の湾曲ワイヤ160を張力制御することで、湾曲ワイヤ160の張力を規定の設定値に維持する。
湾曲部112の湾曲形状が第一形状から第二形状に変わるときなどに、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第一駆動モードから第二駆動モードに切り替えることで、駆動コントローラ260Iは復元力F1の低下による湾曲動作の動作速度の低下を防止して、スムーズに湾曲動作を制御できる。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Iの使用方法について説明する。以降、図81に示す制御装置600Iの駆動コントローラ260Iの制御フローチャートに沿って説明を行う。制御装置600Iが起動されると、駆動コントローラ260Iは初期化を実施した後に制御を開始する(ステップS900)。駆動コントローラ260Iは初期化において、湾曲部112が直線状態において湾曲ワイヤ160のたるみがなくなるように、湾曲ワイヤ160の調整を実施する。次に、駆動コントローラ260I(主としてプロセッサ)はステップS910を実行する。
ステップS910において、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θを算出する。駆動コントローラ260Iは、湾曲ワイヤ160の操作履歴や湾曲ワイヤ160の張力等のフィードバック情報に基づき湾曲角度θを算出する。駆動コントローラ260Iは、第8実施形態に示す観察装置800により湾曲角度θを推測してもよい。次に、駆動コントローラ260IはステップS920を実行する。
ステップS920において、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θに基づいて、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを、第一駆動モードと第二駆動モードのいずれかに切り換える。次に、駆動コントローラ260IはステップS930を実行する。
ステップS930において、駆動コントローラ260Iは、操作装置300からの操作入力を取得する。駆動コントローラ260Iは、操作装置300からの操作入力を取得した場合、ステップS940を実行する。
ステップS940において、駆動コントローラ260Iは、駆動モードに基づいてワイヤ駆動部250Cを制御して湾曲ワイヤ160を駆動して湾曲部112を湾曲させる。
駆動コントローラ260Iは、次にステップS950を実行する。ステップS950において、駆動コントローラ260Iが制御を終了するかを判定する。制御を終了しない場合、駆動コントローラ260Iは、再度ステップS910を実施する。制御を終了する場合、駆動コントローラ260Iは、次にステップS960を実施して制御を終了する。
上述の駆動コントローラ260Iの制御フローチャートの一部は、メインコントローラ560によって実施されてもよい。
図82から図87は、制御される湾曲部112を示す図である。
図82に示すように、ワイヤ駆動部250Cは、湾曲角度θが増加するように湾曲部を湾曲させている場合、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第一駆動モードとし、牽引する側のワイヤを位置制御し、送出する側のワイヤを張力制御する。
図83に示すように、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第一形状であるときは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第一駆動モードとし、牽引する側のワイヤを張力制御し、送出する側のワイヤを位置制御する。
図84に示すように、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第二形状であるときは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第二駆動モードとし、牽引する側のワイヤを位置制御、送出する側のワイヤを張力制御する。
図85に示すように、駆動コントローラ260Iは、直線状態となった湾曲部112を反対側に湾曲させる場合、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第一駆動モードとし、牽引する側のワイヤを位置制御、送出する側のワイヤを張力制御する。
図84に示す状態から図85に示す状態に連続して湾曲部112が湾曲する場合、牽引する側のワイヤが位置制御され、送出する側のワイヤが張力制御される。そのため、駆動コントローラ260Iは湾曲動作の動作速度の低下を防止して、スムーズに湾曲動作を制御できる。
図86に示すように、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第一形状であるときは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第一駆動モードとし、牽引する側のワイヤを張力制御し、送出する側のワイヤを位置制御する。
図87に示すように、駆動コントローラ260Iは、湾曲角度θが減少するように湾曲部112を湾曲させている場合であって、湾曲部112の湾曲形状が第二形状であるときは、ワイヤ駆動部250Cの駆動モードを第二駆動モードとし、牽引する側のワイヤを位置制御、送出する側のワイヤを張力制御する。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Iによれば、内視鏡100Cを用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100Cと操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100Cと操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
駆動装置200Iが操作装置300と分離されたことに伴い、内視鏡100Cの挿入部110から駆動装置200Iまでの湾曲ワイヤ160の経路が長くなる場合もあるが、駆動コントローラ260Iは、対向ワイヤの一方を位置制御し、他方を張力制御することにより、湾曲部112を正確に湾曲させやすい。例えば、対向ワイヤの両方を位置制御する場合、対向ワイヤの経路の差によって対向ワイヤの一方にたるみが発生する可能性がある。しかし、駆動コントローラ260Iは、対向ワイヤの他方を張力制御するため、上述のようなたるみが発生しない。
駆動コントローラ260Iは、復元力F1と摩擦力F2のうち湾曲部112の形状制御に支配的な一方の力を、湾曲部112の湾曲形状(湾曲角度θ)により判断できる。駆動コントローラ260Iは、上記の判断に基づいてワイヤ駆動部250Cの駆動モードを切り替える。そのため、駆動コントローラ260Iは、湾曲部112の湾曲動作をスムーズに制御できる。
本実施形態において、張力制御における目標張力は、システム起動時の初期張力を基本とし、初期張力は長いシースの摩擦力をわずかに超える程度で、湾曲ワイヤ160がたるまない程度の低い張力として設定してもよい。すなわち、張力制御における目標張力は、位置制御時に発生する牽引張力よりも低く設定されていてもよい。
以上、本発明の第九実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例9-1)
上記実施形態において、湾曲部112の形状は、湾曲角度θのみに基づいて、復元力F1が摩擦力F2より大きくなる「第一形状」と、復元力F1が摩擦力F2以下となる「第二形状」に判別する。しかしながら、第一形状と第二形状との判別態様はこれに限定されない。湾曲部112の形状は、湾曲角度θに加えて、全ての湾曲ワイヤ160の牽引状態に基づいて判別されてもよい。例えば、第一湾曲部113と第二湾曲部114が同方向に湾曲している場合は、一方のみが湾曲している場合と比較して、湾曲角度θに対する復元力F1は大きくなる。この場合、駆動コントローラ260Iは、第一形状と第二形状とを判断する基準となる湾曲角度θの閾値を変更してもよい。
(変形例9-2)
上記実施形態において、湾曲部112の形状は、湾曲角度θのみに基づいて、復元力F1が摩擦力F2より大きくなる「第一形状」と、復元力F1が摩擦力F2以下となる「第二形状」に判別する。しかしながら、第一形状と第二形状との判別態様はこれに限定されない。湾曲部112の形状は、湾曲角度θに加えて、対向ワイヤの張力によって判別されてもよい。例えば、第一駆動モードのときに位置制御を行っている内径側の湾曲ワイヤ160の張力が外径側の湾曲ワイヤ160の規定の設定値を下回った時に、第二形状へと変化したと判断し第二駆動モードに変更してもよい。
(第十実施形態)
本発明の第十実施形態に係る電動内視鏡システム1000Jについて、図88から図91を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図88は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Jの全体図である。
[電動内視鏡システム1000J]
電動内視鏡システム1000Jは、図88に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Jは、内視鏡100と、駆動装置200と、操作装置300Jと、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。
[操作装置300J]
図89は、操作装置300Jの斜視図である。
操作装置300Jは、内視鏡100を駆動するための操作が入力される装置である。入力された操作入力は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200に送信される。操作装置300Jは、有線通信ではなく無線通信により駆動装置200と通信可能であってもよい。操作装置300Jは、第一実施形態の操作装置300と異なる入力手段を有する。
操作装置300Jは、操作部本体310Jと、タッチパッド380と、を備える。操作装置300Jは、第一アングルノブ320や第二アングルノブ330や切替スイッチ340や送気ボタン350や吸引ボタン351や各種ボタン352を備えていない。なお、図88に示す操作装置300Jには、第二鉗子口固定具360が取り付けられている。
操作部本体310Jは、術者Sが左手Lで保持可能な略円筒形状に形成されている。図88に示すように、操作部本体310Jには、術者Sの左手Lの掌を沿わせることができる背面311が形成させている。操作部本体310Jは、背面311と反対側の正面312から延出するタッチパッド支持部314を有する。操作部本体310Jの長手方向の端部には、操作ケーブル301が接続されている。
以降の説明において、操作部本体310Jに対してタッチパッド支持部314が延出する方向を「前後方向」と定義し、操作部本体310Jに対してタッチパッド支持部314が設けられた向きを「前方FR」と定義する。その反対向きを「後方RR」と定義する。また、操作部本体310Jの長手方向を「上下方向」と定義し、操作部本体310Jに対して操作ケーブル301が取り付けられた向きを「下方LWR」と定義する。その反対向きを「上方UPR」と定義する。後方RRに向かって右向きを「右方RH」と定義する。その反対向きを「左方LH」と定義する。右方RHまたは左方LHに向かう方向を「左右方向」と定義する。
本実施形態において、操作部本体310Jに対してタッチパッド支持部314が延出する方向(前後方向)は、操作部本体310Jの背面311に対して略垂直な方向である。
タッチパッド支持部314は、タッチパッド380を支持する。前方FRから後方RRに向かって見て、タッチパッド支持部314は操作部本体310Jの正面312において左方LHに設けられている。
タッチパッド380は、タッチパッド支持部314の左方LHの側面に設けられている。タッチパッド380は左方LHを向いている。タッチパッド380は、操作部本体310Jを保持する術者Sの左手Lの親指で操作しやすい位置に設けられている。
タッチパッド380は、区分された操作領域を有する。タッチパッド380における操作領域の区分は、モード設定により変更可能である。本実施形態において、タッチパッド380は、第一モードと第二モードのいずれかに設定することができる。
図90は、タッチパッド380が第一モードに設定された操作装置300Jの側面図である。第一モードにおいてタッチパッド380は、第一アングル操作領域R11と、第二アングル操作領域R12と、切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16と、に区分される。
第一アングル操作領域R11と第二アングル操作領域R12は、上下方向に延びる矩形領域である。第一アングル操作領域R11と第二アングル操作領域R12とは、前後方向に並んで配置されている。第一アングル操作領域R11は後方RRに、第二アングル操作領域R12は前方FRに配置されている。
第一アングル操作領域R11は、第一実施形態の第一アングルノブ320に対する操作と同等の操作が入力される領域である。第一アングル操作領域R11に接触させた親指を上方UPRに移動させることにより、前方FRから後方RRに向かって見て第一アングルノブ320を時計回りに回転させた操作と同等の操作が入力される。第一アングル操作領域R11に接触させた親指を下方LWRに移動させることにより、前方FRから後方RRに向かって見て第一アングルノブ320を反時計回りに回転させた操作と同等の操作が入力される。第一アングル操作領域R11に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第二アングル操作領域R12は、第一実施形態の第二アングルノブ330に対する操作と同等の操作が入力される領域である。第二アングル操作領域R12に接触させた親指を上方UPRに移動させることにより、前方FRから後方RRに向かって見て第二アングルノブ330を時計回りに回転させた操作と同等の操作が入力される。第二アングル操作領域R12に接触させた親指を下方LWRに移動させることにより、前方FRから後方RRに向かって見て第二アングルノブ330を反時計回りに回転させた操作と同等の操作が入力される。第二アングル操作領域R12に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
図19と図90に示すように、左方LHから右方RHに向かって見て、第一アングル操作領域R11は、第一実施形態の操作装置300の第一アングルノブ320の位置と同等の位置に配置されている。また、左方LHから右方RHに向かって見て、第二アングル操作領域R12は、第一実施形態の操作装置300の第二アングルノブ330の位置と同等の位置に配置されている。そのため、術者Sは、第一アングルノブ320と第二アングルノブ330を操作するように、第一アングル操作領域R11と第二アングル操作領域R12を操作できる。
切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16とは、第二アングル操作領域R12よりも前方FRに配置されている。切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16とは、上方UPRから下方LWRに順に配列している。
切替操作領域R13は、第一実施形態の切替スイッチ340に対する操作と同等の操作が入力される領域である。切替操作領域R13に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
送気操作領域R14は、第一実施形態の送気ボタン350に対する操作と同等の操作が入力される領域である。送気操作領域R14に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
吸引操作領域R15は、第一実施形態の吸引ボタン351に対する操作と同等の操作が入力される領域である。吸引操作領域R15に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
各種操作領域R16は、第一実施形態の各種ボタン352に対する操作と同等の操作が入力される領域である。各種操作領域R16に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
図91は、タッチパッド380が第二モードに設定された操作装置300Jの側面図である。第二モードにおいてタッチパッド380は、アングル操作領域R10と、切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16と、に区分される。
アングル操作領域R10は、矩形領域である。アングル操作領域R10は、第一実施形態の第一アングルノブ320および第二アングルノブ330に対する操作と同等の操作が入力される領域である。アングル操作領域R10に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
アングル操作領域R10に接触させた親指を上下方向に沿う方向(第一方向)D1に移動させることにより、第一実施形態の第一アングルノブ320に対する操作と同等の操作が入力される。タッチパッド380は、アングル操作領域R10における方向(第一方向)D1に対する入力を、第一湾曲部113や第二湾曲部114をUD方向に曲げる操作に対応付ける。アングル操作領域R10に接触させた親指を方向D1に沿って上方UPRに移動させることにより、第一湾曲部113や第二湾曲部114をUD方向における上方に曲げる操作が入力される。アングル操作領域R10に接触させた親指を方向D1に沿って下方LWRに移動させることにより、第一湾曲部113や第二湾曲部114をUD方向における下方に曲げる操作が入力される。
アングル操作領域R10に接触させた親指を前後方向に沿う方向(第二方向)D2に移動させることにより、第一実施形態の第二アングルノブ330に対する操作と同等の操作が入力される。タッチパッド380は、アングル操作領域R10における方向(第二方向)D2に対する入力を、第一湾曲部113や第二湾曲部114をLR方向に曲げる操作に対応付ける。アングル操作領域R10に接触させた親指を方向D2に沿って前方FR(タッチパッド380の右側)に移動させることにより、第一湾曲部113や第二湾曲部114をLR方向における右方に曲げる操作が入力される。アングル操作領域R10に接触させた親指を方向D2に沿って後方RR(タッチパッド380の左側)に移動させることにより、第一湾曲部113や第二湾曲部114をLR方向における左方に曲げる操作が入力される。
術者Sは、アングル操作領域R10に接触させた親指を方向D1および方向D2に移動させることにより、第一湾曲部113や第二湾曲部114を直感的に湾曲させることができる。なお、方向D1は上下方向と水平な方向に限られず、上下方向から傾いた方向を含んでもよい。また、方向D2は前後方向と水平な方向に限られず、前後方向から傾いた方向を含んでもよい。
切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16とは、アングル操作領域R10よりも下方LWRに配置されている。切替操作領域R13と、送気操作領域R14と、吸引操作領域R15と、各種操作領域R16とは、後方RRから前方FRに順に配列している。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Jによれば、内視鏡100を用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100と操作装置300Jとが分離しているため、術者Sは内視鏡100と操作装置300Jとを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
タッチパッド380には、モード設定を第一モードと第二モードのいずれかに切り換える操作領域が設けられていてもよい。術者Sは、タッチパッド380を操作することでタッチパッド380のモード設定を切り替えることができる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Jによれば、操作装置300Jがボタンやスイッチなどの可動部品を有しておらず、洗浄が容易である。また、操作装置300Jは、部品が少ないため、小型で軽量である。そのため、術者Sは、左手Lのみで操作装置300Jを握って操作しやすい。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Jによれば、既存の内視鏡の操作方法と同等の方法で操作できる第一モードと、UD方向/LR方向に曲げる操作の入力と湾曲部112が曲がる方向との対応関係が一致しており直感的に操作できる第二モードと、を切り替えることができる。例えば、既存の内視鏡の操作方法になれた熟練医や、UD方向/LR方向に曲げる操作を独立して入力したい医師は、モード設定を第一モードとして操作装置300Jを使用できる。また、これから内視鏡操作を学ぶ修練医は、適した操作モードに切り替えて操作装置300Jを使用できる。
例えば表示装置900がタッチパネルを備える場合、術者は内視鏡画像が表示される表示装置900の画面に対してタッチ操作する必要があり、タッチ操作する指により内視鏡画像が見えにくくなる場合がある。一方、電動内視鏡システム1000Jは、操作装置300Jにタッチパッド380が設けられているため、上記のような内視鏡画像が見えにくくなる状況が発生しない。また、術者Sは、表示装置900の画面に表示される内視鏡画像にあわせて、タッチパッド380を移動させ、例えば、方向D1および方向D2と、内視鏡100の内視鏡画像における上下方向および左右方向と、を容易にあわせることができる。また、術者Sは、表示装置900の画面から離間した場所でタッチパッド380を自由な姿勢でタッチ操作できる。これらの理由により、術者Sは、より直感的に操作装置300Jのタッチパッド380を操作できる。
以上、本発明の第十実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例10-1)
上記実施形態において、操作装置300Jは操作を入力するタッチパッド380を有する。しかしながら、操作装置300Jの態様はこれに限定されない。操作装置300Jのタッチパッド380は、液晶パネルなどのディスプレイを備えたタッチパネルであってもよい。タッチパッド380の操作領域(R11~R16)をディスプレイに表示することで、術者Sは操作領域(R11~R16)の位置を把握しやすい。
(変形例10-2)
上記実施形態において、操作装置300Jは可動式のボタンやスイッチを有していない。しかしながら、操作装置300Jの態様はこれに限定されない。図92は、操作装置300Jの変形例である操作装置300JAを示す斜視図である。操作装置300JAは、操作装置300Jに対して、切替スイッチ340と、送気ボタン350と、吸引ボタン351と、各種ボタン352と、をさらに備える。
(第十一実施形態)
本発明の第十一実施形態に係る電動内視鏡システム1000Kについて、図93から図94を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図93は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Kの全体図である。
[電動内視鏡システム1000K]
電動内視鏡システム1000Kは、図93に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Kは、内視鏡100と、駆動装置200と、操作装置300Kと、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。処置具400は、延長チャンネルチューブ130を経由せず、連結部120の鉗子口126から内視鏡100のチャンネルチューブ171に挿入されている。
[操作装置300K]
図94は、操作装置300Kの斜視図である。
操作装置300Kは、内視鏡100を駆動するための操作が入力される装置である。入力された操作入力は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200に送信される。操作装置300Kは、有線通信ではなく無線通信により駆動装置200と通信可能であってもよい。操作装置300Kは、第一実施形態の操作装置300と異なる入力手段を有する。
操作装置300Kは、操作部本体310Kと、第一ジョイスティック321と、第二ジョイスティック322と、第三ジョイスティック323と、第一ボタン350Kと、第二ボタン351Kと、第三ボタン352Kと、を備える。
操作部本体310Kは、ゲームコントローラと類似する形状に形成されている。操作部本体310Kは、本体部315と、右グリップ316と、左グリップ317と、を有する。本体部315は、右グリップ316と左グリップ317との間に配置されている。術者Sは、右手Rで右グリップ316、左手Lで左グリップ317を握ることで操作装置300Kを支持する。
以降の説明において、術者Sが右手Rで右グリップ316、左手Lで左グリップ317を握った際に、術者Sを向く向きを「前方FR」と定義する。その反対向きを「後方RR」と定義する。前方FRまたは後方RRに向かう方向を「前後方向」と定義する。操作部本体310Kに対して右グリップ316が取り付けられた向きを「右方RH」と定義する。操作部本体310Kに対して左グリップ317が取り付けられた向きを「左方LH」と定義する。右方RHまたは左方LHに向かう方向を「左右方向」と定義する。後方RRに向かって上向きを「上方UPR」と定義する。その反対向きを「下方LWR」と定義する。上方UPRまたは下方LWRに向かう方向を「上下方向」と定義する。
本体部315の正面312には、第一ジョイスティック321と、第二ジョイスティック322と、第三ジョイスティック323と、切替スイッチ340Kと、第一ボタン350Kと、第二ボタン351Kと、第三ボタン352Kと、が配置されている。術者Sは、主に親指により、第一ジョイスティック321や第一ボタン350K等を操作する。
第一ジョイスティック321は、第二実施形態の第一湾曲部制御モードM1における操作入力と同様に、第一湾曲部113をUD方向およびLD方向に曲げる操作が入力されるジョイスティックである。術者Sが第一ジョイスティック321を上下方向に移動させることにより、第一湾曲部113をUD方向に曲げる操作が入力される。術者Sが第一ジョイスティック321を左右方向に移動させると、第一湾曲部をLR方向に曲げる操作が入力される。第一ジョイスティック321に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第二ジョイスティック322は、第二実施形態の第二湾曲部制御モードM2における操作入力と同様に、第二湾曲部114をUD方向およびLD方向に曲げる操作が入力されるジョイスティックである。術者Sが第二ジョイスティック322を上下方向に移動させることにより、第二湾曲部114をUD方向に曲げる操作が入力される。術者Sが第二ジョイスティック322を左右方向に移動させると、第二湾曲部114をLR方向に曲げる操作が入力される。第二ジョイスティック322に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第三ジョイスティック323は、第二実施形態の協調制御モードM3における操作入力と同様に、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを協調してUD方向およびLD方向に曲げる操作が入力されるジョイスティックである。術者Sが第三ジョイスティック323を上下方向に移動させることにより、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを協調してUD方向に曲げる操作が入力される。術者Sが第三ジョイスティック323を左右方向に移動させると、第一湾曲部113と第二湾曲部114とを協調してLR方向に曲げる操作が入力される。第三ジョイスティック323に入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第一ボタン350Kは、第一実施形態の送気ボタン350に対する操作と同等の操作が入力されるボタンである。第一ボタン350Kに入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第二ボタン351Kは、第一実施形態の吸引ボタン351に対する操作と同等の操作が入力されるボタンである。第二ボタン351Kに入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第三ボタン352Kは、第一実施形態の各種ボタン352に対する操作と同等の操作が入力されるボタンである。第三ボタン352Kに入力された操作は、駆動装置200に送信される。
第一ジョイスティック321および第二ジョイスティック322は、術者Sが左手Lで左グリップ317を握った際に左手Lの親指で操作できる位置に配置されている。そのため、術者Sは、内視鏡100の挿入部110を操作するために右手Rを操作装置300Kから離した場合であっても、第一湾曲部113および第二湾曲部114を曲げる操作を入力できる。
第一湾曲部113を操作する第一ジョイスティック321は、第二湾曲部114を操作する第二ジョイスティック322よりも上方UPRであって術者Sにとって遠位側に配置されている。そのため、術者Sは、第一ジョイスティック321と第二ジョイスティック322とを直感的に使い別けることができる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Kによれば、湾曲モードを切り替えることなく、各湾曲モードに相当する操作入力を操作装置300Kに入力することができる。術者Sは、第一ジョイスティック321等に対する操作入力を熟知することにより、湾曲モードを切り替えることなく複雑な操作入力を素早く入力することができる。
以上、本発明の第十一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例11-1)
上記実施形態において、第一ジョイスティック321や第一ボタン350K等に対して割り当てられた操作入力は固定されている。しかしながら、第一ジョイスティック321や第一ボタン350K等に対する操作入力の割り当て態様はこれに限定されない。第一ジョイスティック321や第一ボタン350K等に対する操作入力の割り当て態様は変更可能であってもよい。例えば、術者Sの好みに合わせて、第一ジョイスティック321に第二湾曲部114を曲げる操作が入力され、第二ジョイスティック322に第一湾曲部113を曲げる操作が入力されるように、切替スイッチ340K等により操作入力の割り当てを変更できてもよい。また、術者Sの好みに合わせて、第一ボタン350Kに第一実施形態の吸引ボタン351に対する操作と同等の操作が入力され、第二ボタン351Kに第一実施形態の送気ボタン350に対する操作と同等の操作が入力されるように、切替スイッチ340K等により操作入力の割り当てを変更できてもよい。
(変形例11-2)
上記実施形態において、操作装置300Kはジョイスティックやボタンを備えている。しかしながら、操作装置300Kが備える操作入力部はこれに限定されない。操作装置300Kは、例えばジャイロセンサや加速度センサなどのセンサを操作入力部として備えていてもよい。
(変形例11-3)
操作装置300Kの形状や操作装置300Kが備える操作入力部(ジョイスティックやボタン)の配置は、上記実施形態に限定されない。操作装置300Kは、形状や操作入力部の配置が異なる複数のバリエーションを有してもよい。術者Sは、複数のバリエーションから使用しやすい操作装置300Kを選択して使用できる。
駆動装置200に複数のバリエーションの操作装置300Kが接続される場合、操作装置300Kは、駆動装置200との適合性や安全性が認証された操作装置300Kであることを示すセキュリティ機構を備えることが望ましい。セキュリティ機構は、セキュリティチップなどの公知のセキュリティ機構から適宜選択された機構である。駆動装置200は、セキュリティ機構の有無により、駆動装置200に接続された操作装置300Kが認証済みであるかを判別できる。操作装置300Kがセキュリティ機構を有していれば、駆動装置200との適合性や安全性が認証されていない操作装置300Kが駆動装置200に接続されて使用されることを防止できる。
(第十二実施形態)
本発明の第十二実施形態に係る電動内視鏡システム1000Lについて、図95から図100を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図95は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Lの全体図である。
[電動内視鏡システム1000L]
電動内視鏡システム1000Lは、図95に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000Lは、内視鏡100と、駆動装置200と、操作装置300Lと、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。処置具400は、延長チャンネルチューブ130を経由せず、連結部120の鉗子口126から内視鏡100のチャンネルチューブ171に挿入されている。
[操作装置300L]
操作装置300Lは、内視鏡100を駆動するための操作が入力される装置である。入力された操作入力は、無線通信により駆動装置200に送信される。操作装置300Lは、操作ケーブル301により駆動装置200と接続されていない。
図96は、背面311から見た操作装置300Lの斜視図である。
操作装置300Lは、操作部本体310と、第一アングルノブ320と、第二アングルノブ330と、切替スイッチ340と、送気ボタン350と、吸引ボタン351と、各種ボタン352と、取付アダプタ390と、を備える。
取付アダプタ390は、操作部本体310を体外軟性部140に着脱可能に取り付けるアダプタである。操作装置300Lが体外軟性部140に取り付けられずに術者Sによって保持される場合、取付アダプタ390は操作部本体310から取り外される。取付アダプタ390は、第一取付部391と、第二取付部392と、を有する。
第一取付部391は、例えばネジ391aにより、取付アダプタ390を操作部本体310の背面311に取り付ける。第一取付部391は、粘着テープなどによって取付アダプタ390を操作部本体310の背面311に取り付けてもよい。
図97は、体外軟性部140に取り付けられた操作装置300Lの斜視図である。
第二取付部392は、取付アダプタ390を体外軟性部140に着脱可能に取り付ける。第二取付部392は、体外軟性部140を内周面に保持可能な略円筒状に形成されており、長手軸方向に延びるスリット392bが形成されている。術者Sは、第二取付部392を弾性変形させてスリット392bの隙間を広げて、体外軟性部140を通過させることにより、第二取付部392を体外軟性部140に着脱できる。
図98は、電動内視鏡システム1000Lの使用方法を説明する図である。
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000Lの使用方法について説明する。術者Sは、操作装置300Lを体外軟性部140に取り付ける。術者Sは、左手Lで操作装置300Lを保持するとともに体外軟性部140も同時に保持できる。
術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110を移動させる。また、術者Sは、操作装置300Lの第一アングルノブ320および第二アングルノブ330を左手Lで操作して湾曲部112を必要に応じて曲げる。
術者Sは、図98に示すように、体内軟性部119を右手Rで操作しながら挿入部110を移動させとき、左手Lで体外軟性部140を保持している。そのため、術者Sは体外軟性部140を左手Lで進退させて、右手Rによる体内軟性部119の操作を補助できる。その結果、術者Sは、体内軟性部119を右手Rのみで操作する場合と比較して、体内軟性部119を好適に操作できる。
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000Lによれば、内視鏡100を用いた観察や処置をより効率的に実施できる。内視鏡100と操作装置300Lとが分離しているが、取付アダプタ390により操作装置300Lは内視鏡100に取り付けられる。術者Sは、左手Lにより操作装置300Lと体外軟性部140とを同時に保持できる。また、術者Sは、体外軟性部140を左手Lで進退させて、右手Rによる体内軟性部119の操作を補助できる。また、操作装置300Lは体外軟性部140に装着されているため、術者Sは操作装置300Lから左手Lを離して、左手Lにより他の作業を行える。
以上、本発明の第十二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例12-1)
上記実施形態において、取付アダプタ390は体外軟性部140に着脱可能に取り付けられる。しかしながら、取付アダプタ390の取付態様はこれに限定されない。図99は、操作装置300Lの取付アダプタ390の異なる取付態様を示す図である。例えば取付アダプタ390は、体内軟性部119に着脱可能に取り付けられてもよい。
(変形例12-2)
上記実施形態において、操作部本体310と取付アダプタ390とは別体に形成されている。しかしながら、操作部本体310と取付アダプタ390とは一体に形成されていてもよい。
(変形例12-3)
上記実施形態において、操作装置300Lは第一実施形態の操作装置300に取付アダプタ390が取り付けられたものである。しかしながら、操作装置300Lの態様はこれに限定されない。図100は、操作装置300Lの変形例である操作装置300LAを示す図である。操作装置300LAは、操作部本体310LAと、ジョイスティック320LAと、取付アダプタ390と、を備える。操作部本体310LAは、小型に形成されており、左手Lのみで掴みやすい。ジョイスティック320LAは、操作部本体310LAに設けられており、第一ジョイスティック321や第二ジョイスティック322への操作と同等の操作が入力される。取付アダプタ390は、操作部本体310LAを体外軟性部140に着脱可能に取り付ける。操作装置300LAが小型に形成されているため、術者Sは左手Lにより操作装置300LAと体外軟性部140とを同時に保持した状態においてもジョイスティック320LAを操作しやすい。
操作装置300LAは左手Lで持ちやすいため、術者Sは、左手Lで捻じる力を加えることにより、右手Rによる体内軟性部119の挿入操作を補助しやすい。一方、挿入部110が患部にたどり着いた後、術者Sは、操作装置300LAの代わりに操作装置300Lを用いて操作してもよい。患部を観察および処置する場合、小型の操作装置300LAよりも、多機能な操作装置300Lの方が適している。このように、手技のシーンごとに操作装置を使い別けることで、例えば内視鏡100の挿入性と治療性とを両立することができる。
(変形例12-4)
電動内視鏡システム1000Lは操作装置300L(第一操作装置)とは異なる入力手段を有する第二操作装置を備えてもよい。操作装置300Lと第二操作装置は同時に操作入力が可能である。第二操作装置を設けることで、例えば、修錬医が操作装置300Lを使って操作しているときに、指導医が第二操作装置を用いて操作に介入できる。駆動装置200は、操作装置300Lと、第二操作装置から同時に入力を受け付けることができる。操作装置300Lと第二操作装置は同時に操作入力が可能であるが、同時に操作が入力された場合は駆動装置200は指導医側が優先されるように設定できてもよい。駆動装置200は、操作装置300Lと第二操作装置から操作信号を選択的に受け付けてもよい。上記の操作信号の選択は、駆動装置200の設定により変更可能である。
各実施形態におけるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。