しかしながら、これらの手術システムはいずれも、2本の処置具の操作部を操作者(例えば手術の執刀医である医者)が2本の手でそれぞれ握ってしまうと、軟性内視鏡の操作部を同時に操作できない。このため、例えば頻繁に軟性内視鏡の先端についたカメラの位置を変えながら手術を行うためには、軟性内視鏡の操作を行う別の操作者1名が必要になるという問題点があった。
従来の軟性内視鏡は、先端部を含む挿入部の屈曲2自由度(つまり、上下・左右)を、操作者が左手でもつ操作部に設けられた2つのダイヤルを回転させることにより、また挿入部の軸周りのねじり1自由度を、操作部自体をねじることにより、また挿入部の進退1自由度を、操作者が右手で挿入部を進退させることにより操作が行われる。このため、合計4自由度を有する軟性内視鏡の操作には操作者の両手が必要になり、2本の処置具と同時に操作することが不可能となっていた。これら操作者はいずれも医師である必要があるため、2名を要する場合は医療コスト増となってしまうという問題点があった。
また、軟性内視鏡は一般に高価であり、手術システム専用の内視鏡を新たに購入することは医療コスト増となってしまうため、医療機関が所有している一般の軟性内視鏡をそのまま手術システムにも使えることが望ましい。
また、特に特許文献4には、前後方向に沿って配置されたレール部と、保持部をこのレール部に沿って移動させる水平移動部とを備えた駆動部が開示されるが、長尺のレール部を備えれば手術システムが大型となり、手術システムの設置場所の確保が容易ではないという課題がある。
本発明は、上記状況に鑑みて案出され、一般の内視鏡をそのまま用いることができ、内視鏡の挿入部における動作4軸の全てを、処置具2本の操作と併せて同時に1人で行うことができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
本発明は、軟性部を有する内視鏡の操作部を固定可能なホルダと、前記ホルダに設けられ、前記操作部の2つのダイヤルにそれぞれ嵌合して回転させる第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータと、前記ホルダを回転自在に支持して前記軟性部を軸まわりに回転させる第3のアクチュエータと、前記軟性部を把持して前記軟性部の軸方向に進退運動させる第4のアクチュエータと、を備え、前記軟性部を把持する機構として、前記第4のアクチュエータにより進退運動する外枠部品と、前記外枠部品に対して前記軟性部の軸周りに回動自由に固定され、前記軟性部に着脱可能に固定される内筒部品とを更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、内視鏡の操作部がホルダに固定されると、内視鏡に設けられた2つのダイヤルが、第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータとによりそれぞれが回転動作可能となる。また、ホルダは、第3のアクチュエータにより回転動作可能となる。これにより、ホルダに固定された内視鏡は、軟性部が軸回りに回転動作可能となる。さらに、軟性部を把持する第4のアクチュエータにより、軟性部が進退動作される。その結果、ホルダに操作部を固定した内視鏡は、先端部を含む挿入部の屈曲2自由度(上下・左右)と、挿入部の軸周りのねじり1自由度と、挿入部の進退1自由度と、の合計4自由度が可能となる。
また、本発明は、前記軟性部を把持する機構として、前記第4のアクチュエータにより進退運動する外枠部品と、前記外枠部品に対して前記軟性部の軸周りに回動自由に固定され、前記軟性部に着脱可能に固定される内筒部品とを更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、外枠部品と軟性部を脱着可能に接続する把持部が、軟性部をその軸方向には固定し、その軸まわりにはフリーに回転するように構成される。これにより、軟性部は、進退動作が可能となるとともに、ねじり動作が阻害されない。
また、本発明は、前記操作部の2つのダイヤルのうち一方のダイヤルと前記第1のアクチュエータとの間、前記操作部の2つのダイヤルのうち他方のダイヤルと前記第2のアクチュエータとの間にそれぞれ挿入され、前記ダイヤルに密着して被せられる2つのアタッチメントを更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、ダイヤルに密着して被せられ、カップリングに密着して挿入できるような形状をもつアタッチメントを設けることにより、異なる内視鏡であってもアタッチメントだけを変更すれば同一のホルダが使用可能となる。
また、本発明は、前記ホルダは、前記軟性部の先端側が挿入される部位に対する送気、送水、吸引のうち少なくとも2つの処理の実行を指示する複数のボタンを、それぞれ押下するボタン押圧部を更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、内視鏡の操作部に設けられた送水、送気、吸引などを操作するボタン等がロボットのホルダ内にあっても、これらそれぞれのボタンがボタン押圧部により任意に操作可能となる。
また、本発明は、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、前記第3のアクチュエータ及び前記第4のアクチュエータ、の各々の動作に対応したそれぞれのアクチュエータ操作ボタンを有するフットスイッチを更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、一般の内視鏡の動作である4自由度を、両手を使わないフットスイッチで行うことができる。これにより、2本の電動処置具の操作部から手を離さずに、電動処置具の操作と独立して内視鏡の動作を同時に行うことが可能となる。
また、本発明は、概円柱形のレバーを有し、前記レバーの上下移動により前記第1のアクチュエータを回転させる指令を出力し、前記レバーの左右移動により前記第2のアクチュエータを回転させる指令を出力し、前記レバーの軸周りの回転により第3のアクチュエータを回転させる指令を出力し、前記レバーが回動可能に固定されて前後直線移動が可能な支持体の前後運動により前記第4のアクチュエータを進退させる指令を出力するアクチュエータ操作部を更に備える、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、レバーを把持して上下左右に倒す操作が、能動屈曲部の上下左右の屈曲動作に対応する。レバーはその軸周りに回転することができ、ホルダの回転を操作することができる。レバーを含む操作部は直線前後運動ができ、軟性部をその軸方向に移動する押し引きアームを操作することができる。この操作部は、内視鏡の能動屈曲部の動作とレバーの状態が直感的に一致するため、操作がしやすい。
また、本発明は、少なくとも1つの処置具と、その処置具を操作するための概円柱形のレバーを備えたジョイスティック型操作部とを更に備え、前記レバーの一部にはさらに小型ジョイスティックが搭載され、前記小型ジョイスティックは、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、前記第3のアクチュエータ及び前記第4のアクチュエータをそれぞれ動作させる指令を出力する、内視鏡システムを提供する。
この構成の内視鏡システムによれば、小型ジョイスティックが、電動処置具の操作部のレバーを左右の手で握ったときに、それぞれ親指を伸ばすと触れることができる位置に配置される。小型ジョイスティックは、それぞれ前後左右に倒すことができる。例えば、操作方向を内視鏡のねじり、前後押し引き、左右の屈曲、上下の屈曲というように割り当てることで、内視鏡の全ての軸を操作することができる。このようにすることで、電動処置具の操作部を握った手を放さないまま、内視鏡も操作が可能になるというメリットがある。
また、本発明は、動力側ワイヤが張架され、一方が回転駆動されて他方が従動回転する第1動力側プーリ及び第2動力側プーリと、周回直線部の動力側ワイヤ一側部に固定され、前記周回直線部に軸方向が沿う第1動力側棒材と、周回直線部の動力側ワイヤ他側部に固定され、前記周回直線部に軸方向が沿う第2動力側棒材と、可動側ワイヤが張架される第1可動側プーリ及び第2可動側プーリと、前記可動側ワイヤの第2可動側プーリ端に固定される可動部材と、周回直線部の可動側ワイヤ一側部に固定され、前記第1動力側棒材に軸方向で当接する第1可動側棒材と、周回直線部の可動側ワイヤ他側部に固定され、前記第2動力側棒材に軸方向で当接する第2可動側棒材と、を備える、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、可動部における可動側ワイヤの一対のワイヤ端を閉じて第1可動側プーリを設け、ワイヤ経路を閉鎖経路とする。可動側ワイヤの第1可動側プーリ付近に2本の棒(第1可動側棒材と第2可動側棒材)を固定しこの棒のうち1本を押すと、第1可動側プーリを介して反対側の可動側ワイヤが牽引され、可動部材に動力を伝達することができる。
また、本発明は、前記第1可動側棒材及び前記第2可動側棒材が、前記可動側ワイヤに固設された係合突起である、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、第1可動側棒材及び第2可動側棒材を、可動側ワイヤに固設された係合突起とすることにより、構成部材を減らし、可動部の小型化が図れる。逆に可動部のみに棒を持たせ、動力部に係合突起を設ける構成も可能である。
また、本発明は、前記第1可動側プーリに小径の第3可動側プーリが同軸で固定され、前記第3可動側プーリと第4可動側プーリとの間に可動側副ワイヤが張架され、前記第1可動側棒材及び前記第2動力側棒材が、周回直線部の可動側副ワイヤ一側部と可動側副ワイヤ他側部とに固定される、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、上記のいずれの構成も、必要な牽引ストロークの分だけ棒の長さが必要であり、接続部全体の長さはこのストロークに規定されてしまう。大小2つの径を一体化したプーリを用いることで、これを短くすることができる。この構成ではプーリ(第4可動側プーリ)を一つ追加している。
また、本発明は、前記第1可動側プーリに小径の第3可動側プーリが同軸で固定され、前記第3可動側プーリに張架された可動側副ワイヤの一端が前記第1可動側棒材に固定されるとともに、前記可動側副ワイヤの他端が前記第2可動側棒材に固定される、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、この構成では追加プーリ(第4可動側プーリ)が不要となる。
また、本発明は、モータを収容した動力側ケースと、前記動力側ケースの外部に板面が表出して前記モータにより回転駆動される動力側円板と、可動部材を可動する可動側ワイヤが収容された可動側ケースと、前記可動側ケースの外部に板面が表出して前記可動側ワイヤが張架される可動側円板と、前記動力側円板と前記可動側円板のそれぞれの前記板面に設けられ、前記動力側円板と前記可動側円板を同軸で相対回転不能に係合する凹部及び凸部と、を備え、前記動力側ケース及び前記可動側ケースは、前記板面と平行な方向で着脱自在に構成され、前記動力側ケース及び前記可動側ケースの一方には、着脱時に前記動力側円板または前記可動側円板の一方を前記凸部と干渉しない退避位置に回転中心に沿う方向で移動する退避機構が設けられる、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、可動部、動力部それぞれの接続端に設けたプーリを兼ねる円板の面同士が着脱可能となる。動力側円板と可動側円板とは、凹部及び凸部により同軸で相対回転不能に係合する。動力側ケース及び可動側ケースは、動力側円板と可動側円板の板面と平行な方向で着脱自在となる。この際、板面から突出する凸部の突出方向は、ケース着脱方向と直交方向となるが、退避手段により凸部を備える円板が回転中心に沿う方向で移動されて、退避位置となることにより、係合相手となる凹部を備えた円板との干渉が回避される。これにより、複数本のワイヤが同時に1つの動作で脱着可能となる。また、着脱時の分離、結合方向が、直線運動の直線に直交する方向となるので、機構がその直線方向に大型化することを抑制できる。
また、本発明は、前記退避機構が、前記動力側ケースと前記可動側ケースの接近時に押下され、前記動力側円板または前記可動側円板の一方を退避位置に移動するツメを備える、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、ケース結合時に、ツメが押下されることにより、退避機構が作動され、凸部を備えた円板が退避位置へ移動される。これにより、結合時における円板同士の干渉を、機構のみにより確実に回避することができる。
また、本発明は、前記退避機構が、同軸の中空孔を有する伝達軸と、前記中空孔に挿入されて軸方向に移動自在となり、軸端に前記動力側円板が同軸で固定される可動軸と、前記可動軸と前記動力側円板との間に設けられ、前記可動軸と前記動力側円板との相対回転を規制する規制ピンと、前記動力側円板を突出する方向に付勢する付勢部材と、前記ツメと前記可動軸とを連結して前記ツメの押下に従動させて前記動力側円板を前記付勢部材の付勢力に抗して前記退避位置へ移動させる連結部材と、を備える、動力伝達機構を提供する。
この構成の動力伝達機構によれば、ケース結合時のケース移動により、ツメが押下される。押下されたツメは、連結部材を介して可動軸を伝達軸の中空孔へ引き込み、凸部の設けられた円板を退避位置に移動させる。ケース同士の結合が完了すれば、ツメの押下が解除され、可動軸が付勢部材の付勢力により再び中空孔から進出する。可動軸が進出することにより、凸部の設けられた円板は、相手ケースの円板に押圧される。この状態では、凹部と凸部とは、未嵌合となる。モータが駆動されて円板が回転することにより、凹部と凸部が付勢部材の付勢力により嵌合し、動力側円板と可動側円板とが回転伝達可能に接続される。従って、動力伝達機構によれば、複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能である。
本発明に係る内視鏡システムによれば、内視鏡の動作4軸全てを、処置具2本の操作と同時に1人で行うことができる。
[実施の形態1]
以下、本発明に係る実施の形態1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの使用状況を患者と共に表した外観斜視図である。
実施の形態1の内視鏡システム100は、一般の内視鏡11をそのまま用いることができ、内視鏡11の先端部を含む挿入部の動作4軸全てを、処置具2本の操作と同時に1人で同時に行うことができるようにしたものである。この内視鏡システム100は、一般の内視鏡11(例えば軟性部25を有する内視鏡11)の操作部13(図2参照)を固定可能なホルダ15を備え、ホルダ15には内視鏡11の操作部13の2つのダイヤル17、ダイヤル19にそれぞれ嵌合して回転動作可能な(つまり、回転動作させる)2つの第1のアクチュエータ21及び第2のアクチュエータ23(図4参照)を備える。また、内視鏡システム100は、ホルダ15を回転自在に支持して、ホルダ15を内視鏡11の軟性部25の軸まわりに回転可能な(つまり、回転動作させる)第3のアクチュエータ27(図5参照)を備え、内視鏡11の軟性部25を把持してその軸方向に進退運動可能な(つまり、進退運動動作させる)第4のアクチュエータ29(図5参照)を備えている。
内視鏡システム100は、2本の電動処置具31及びそれらの操作部(処置具操作部33)、内視鏡11及びそれを保持して操作するホルダ15及び押し引きアーム35、それらの操作部(フットスイッチ37)、支持部39からなる。内視鏡11はベッド41に横たわる患者43の口や肛門から体内に挿入される。電動処置具31は内視鏡11に設けられている図示しない鉗子チャンネル或いは図示しない外付けチューブに挿通されており、内視鏡11とともに患者43の体内に挿入される。
図2は、一般の内視鏡の斜視図である。
一般の内視鏡11は、図2に示すように、操作部13と軟性部25、能動屈曲部45からなる。能動屈曲部45は上下、左右への屈曲2自由度を持ち、それら2自由度は操作部13に設けられた2つのダイヤル17、ダイヤル19をそれぞれその軸周り(矢印A方向)に回転させることにより操作される。軟性部25はトルク伝達性の高い材料を使用しているため、軟性部25或いは能動屈曲部45の軸周りの回転1自由度は操作部13をその長軸まわり(矢印B方向)にねじることで実現される。また、能動屈曲部45の進退1自由度は、軟性部25を患者43に向かって押し引き(矢印C方向に移動)することで実現される。
図3は、ホルダにおける内視鏡の格納状況を表す分解斜視図である。
ホルダ15は、一般の内視鏡11の操作部13を矢印D方向に押入れすることによりその内部に格納して固定できるようになっている。
以上により、内視鏡システム100では、内視鏡11の操作部13がホルダ15に固定されると、内視鏡11に設けられた2つのダイヤル17、ダイヤル19が、第1のアクチュエータ21と、第2のアクチュエータ23(図4参照)とによりそれぞれが回転動作可能となる。また、ホルダ15は、第3のアクチュエータ27(図5参照)により回転動作可能となる。ホルダ15に固定された内視鏡11は、軟性部25が軸回りに回転動作可能となる。さらに、軟性部25を把持する第4のアクチュエータ29(図5参照)により、軟性部25が進退動作される。その結果、ホルダ15に操作部13を固定した内視鏡11は、図2に示した先端部47の屈曲2自由度(上下・左右)と、先端部47を含む挿入部の軸周りのねじり1自由度と、先端部47を含む挿入部の進退1自由度と、の合計4自由度が可能となる。
図4は、操作部のダイヤルとホルダにおけるカップリングとの分解斜視図である。
一般の内視鏡11の能動屈曲部45の屈曲2自由度に対応する2つのダイヤル17、ダイヤル19は同軸上に配置されているため、図4に示すように、これらダイヤル17、ダイヤル19にそれぞれ嵌合するカップリング49、カップリング51を同軸上に配置し、別々のアクチュエータとベルト53、ベルト55等でそれぞれ接続して回転させることにより屈曲動作が可能となる。
内視鏡システム100は、操作部13の2つのダイヤル17、ダイヤル19と、第1のアクチュエータ21、第2のアクチュエータ23との間にそれぞれ挿入され、ダイヤル17、ダイヤル19に密着して被せられるアタッチメント57、アタッチメント59を備える。ダイヤル17、ダイヤル19に密着して被せられ、カップリング49、カップリング51に密着して挿入できるような形状をもつアタッチメント57、アタッチメント59を設けることにより、異なる内視鏡11であってもアタッチメント57、アタッチメント59だけを変更すれば同一のホルダ15が使用可能であり好適である。これらアタッチメント57、アタッチメント59はダイヤル17、ダイヤル19と同一形状であるため、緊急時にロボットから内視鏡11を取り外し手動で操作する際に、アタッチメント57、アタッチメント59を付けたままでもダイヤル17、ダイヤル19の操作性を損なわない。
図5は、軟性部が把持部に支持されてホルダが支持部に支持された内視鏡の斜視図である。
軟性部25を把持する機構は、第4のアクチュエータ29により進退運動する外枠部品61と、外枠部品61に対して軟性部25の軸周りに回動自由に固定され、軟性部25に着脱可能に固定される内筒部品63とを含む把持機構65である。
内視鏡11の軟性部25の軸周り(矢印E方向)のねじり動作は、ホルダ15の全体を支持部39に対して回転することにより可能となる。内視鏡11の軟性部25の進退1自由度は、軟性部25の一部を把持してその軸方向に移動する押し引きアーム35を設けることにより、矢印C方向の進退動作が可能となる。この際、押し引きアーム35と軟性部25を脱着可能に接続する把持部は、軟性部25のねじり動作を阻害しないよう、軟性部25をその軸方向には固定し、その軸まわりにはフリーに回転するように構成される。
図6は、フットスイッチの斜視図である。
以上の構成により、一般の内視鏡11の先端部を含む挿入部の動作4自由度全ての動作を行うロボットが実現可能である。このロボットの操作は電気信号により行うことが可能であるので、例えば両手を使わないフットスイッチ37で行うことができる。
内視鏡システム100は、第1のアクチュエータ21、第2のアクチュエータ23、第3のアクチュエータ27及び第4のアクチュエータ29の各々の動作に対応したアクチュエータ操作ボタン67を有するフットスイッチ37を備える。フットスイッチ37を使用することにより、2本の電動処置具31の操作部13から手を離さずに、電動処置具31の操作と独立して同時に行うことが可能となる。フットスイッチ37は、例えば能動屈曲部45の2自由度を十字型スイッチ69で、軟性部25の進退1自由度をアクセル型スイッチ71で、ねじり1自由度を左右ボタン73、左右ボタン75などで構成することができる。
図7は、操作部のボタンを押下するボタン押圧用アクチュエータが設けられたホルダ内部の斜視図である。
内視鏡11の操作部13には図7に示すように、軟性部25の先端側が挿入される部位(例えば患者の体内)に対する送水、送気、吸引などのうち少なくとも2つの処理の実行を指示する(操作する)ボタン77、ボタン79等が設けられている。これらのボタン77、ボタン79が、ロボット内にあっても操作可能なように、ホルダ15の内部に、それぞれのボタン77を押下するボタン押圧部であるボタン押圧用アクチュエータ81、ボタン押圧用アクチュエータ83等が備えられている。
図8は、ジョイスティック型操作部の斜視図である。
なお、内視鏡11の操作部13としては図6に示したフットスイッチ37のほかに、図8に示すようなジョイスティック型操作部85が考えられる。
アクチュエータ操作部の一例としてのジョイスティック型操作部85は、概円柱形のレバー(例えばスティック87)を備え、スティック87の上下移動により第1のアクチュエータ21を進退させる指令を出力し、スティック87の左右移動により第2のアクチュエータ23を進退させる指令を出力し、スティック87の軸周りの回転により第3のアクチュエータ27を進退させる指令を出力し、スティック87が回動可能に固定されて前後直線移動が可能な支持体89の前後運動により第4のアクチュエータ29を進退させる指令を出力する。
スティック87は、上下左右に倒すことが可能であり、このスティック87を把持して図8の矢印F方向、矢印G方向に倒す操作が、能動屈曲部45の上下左右の屈曲動作に対応する。スティック87はその軸周りに回転することができ(図8の矢印H方向)、ホルダ15の回転を操作することができる。スティック87を含む操作部13は直線前後運動ができ(図8の矢印I方向)、軟性部25をその軸方向に移動する押し引きアーム35を操作することができる。この操作部13は、内視鏡11の能動屈曲部45の動作とスティック87の状態が直感的に一致するため、操作がしやすいというメリットがある。
図9は、小型ジョイスティックを備えたジョイスティック型操作部の斜視図である。
さらに、内視鏡11の操作部の別形態を図9に示す。内視鏡11の操作部として、小型ジョイスティック91、小型ジョイスティック93を、電動処置具31を操作するための2つの処置具操作部33L、処置具操作部33Rのそれぞれのスティック87の上に配置したものである。すなわち、内視鏡システム100は、少なくとも1本の電動処置具31と、その電動処置具31を操作するための概円柱形のスティック87を備えたジョイスティック型操作部85とを備え、スティック87の一部にはさらに小型ジョイスティック91、小型ジョイスティック93が搭載される。小型ジョイスティック91、小型ジョイスティック93は、第1のアクチュエータ21、第2のアクチュエータ23、第3のアクチュエータ27及び第4のアクチュエータ29を動作(具体的には、回転)させる指令を出力する。
小型ジョイスティック91、小型ジョイスティック93は、電動処置具31のスティック87を左右の手で握ったときに、それぞれ親指を伸ばすと触れることができる位置に配置される。小型ジョイスティック91、小型ジョイスティック93はそれぞれ前後左右に倒すことができる。例えば、図9のKの操作方向を内視鏡11のねじり、Lを前後押し引き、Mを左右の屈曲、Nを上下の屈曲というように割り当てることで、内視鏡11の全ての軸を操作することができる。このようにすることで、電動処置具31のスティック87を握った手を放さないまま、内視鏡11も操作が可能になるというメリットがある。
従って、本実施形態に係る内視鏡システム100によれば、内視鏡11の動作4軸全てを、処置具2本の操作と同時に1人で行うことができる。
[実施の形態2の背景技術]
1対のワイヤで1軸の関節を駆動する拮抗駆動は、典型的な例として内視鏡(いわゆる胃カメラ)などの動力伝達機構で用いられる。動力伝達機構は、伝達経路が柔軟に曲がる内視鏡の場合、コイルシースなどのチューブにワイヤを通して使用される。
[実施の形態2が解決しようとする課題]
しかしながら、上記の従来技術の動力伝達機構は、動力源と可動部材とを着脱可能に分断したい場合、複数のワイヤを1つの動作で脱着する事が難しく、また、動力源、可動部材ともにニュートラルの位置になければ脱着できないなどの問題点がある。
実施の形態2の目的は、複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部と可動部のいずれもがニュートラルになくても脱着可能な動力伝達機構を提供することにある。
[実施の形態2の効果]
本発明に係る動力伝達機構によれば複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部と可動部のいずれもがニュートラルになくても脱着可能である。
[実施の形態2]
次に、本発明に係る実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図10(A)は、対向する円板の板面同士を着脱自在とする動力伝達機構の構成図(平面図)である。図10(B)は、対向する円板の板面同士を着脱自在とする動力伝達機構の構成図(側面図)である。
動力伝達機構300は、モータMを収容した動力側ケース145(図11参照)と、可動側ケース147(図11参照)の外部に板面が表出してモータMにより回転駆動される動力側円板149と、可動部材115を可動する可動側ワイヤ109が収容された可動側ケース147と、可動側ケース147の外部に板面が表出して可動側ワイヤ109が張架される可動側円板151と、動力側円板149と可動側円板151のそれぞれの板面に設けられ動力側円板149と可動側円板151を同軸で相対回転不能に係合する凹部153及び凸部155と、を備える。動力側ケース145及び可動側ケース147は、板面と平行な方向で着脱自在に構成される。動力側ケース145及び可動側ケース147の一方には、着脱時に動力側円板149または可動側円板151の一方を凸部155と干渉しない退避位置に回転中心に沿う方向で移動する退避機構157(図12参照)が設けられている。
この動力伝達機構300では、可動部125、動力部127それぞれの接続端に設けたプーリを兼ねる円板の面同士が着脱可能となる。動力側円板149と可動側円板151とは、凹部153及び凸部155により同軸で相対回転不能に係合する。動力側ケース145及び可動側ケース147は、動力側円板149と可動側円板151の板面と平行な方向で着脱自在となる。この際、板面から突出する凸部155の突出方向は、ケース着脱方向と直交方向となるが、退避手段により凸部155を備える円板が回転中心に沿う方向で移動されて、退避位置となることにより、係合相手となる凹部153を備えた円板との干渉が回避される。これにより、複数本のワイヤが同時に1つの動作で脱着可能となる。また、着脱時の分離、結合方向が、直線運動の直線に直交する方向となるので、機構がその直線方向に大型化することを抑制できる。
図11は、図10の動力伝達機構を備える動力側ケースと可動側ケースの分解斜視図である。
動力伝達機構300は、退避機構157が、動力側ケース145と可動側ケース147の接近時に押下されて動力側円板149または可動側円板151の一方を退避位置に移動するツメ159を備える。
ケースにはスリット161が入っており、挿入するとお互いのケース面の相対距離が固定される。挿入するときに、図中のツメ159が可動側ケース147によって押され、それにより動力部127の円板が沈み込む。最後まで押し込むと、ツメ159が戻って円板がもとの位置までばねにより浮き上がり、可動部125の円板に密着される。円板の回転角によりピンが穴に入る位置が限られるが、これは接続後にモータMを適当に動かすことではめる。ピンが穴に入るまでは、動力側の円板は沈み込んだままである。すなわち複数の円板があるときは、個々の円板がばねにより個別に沈み込むことができ、ツメ159を押すと全部の円板が沈み込む構成となっている。外すときは、このツメ159と連動するボタンがケースに設けられており、それを押しながら抜去する。
この動力伝達機構300では、ケース結合時に、ツメ159が押下されることにより、退避機構157が作動され、凸部155を備えた円板が退避位置へ移動される。これにより、結合時における円板同士の干渉を、機構のみにより確実に回避することができる。
図12は、図11の動力側ケースに設けられる退避機構157の構成図である。
動力伝達機構300は、退避機構157が、同軸の中空孔163を有する伝達軸165と、中空孔163に挿入されて軸方向に移動自在となり軸端に動力側円板149が同軸で固定される可動軸167と、可動軸167と動力側円板149との間に設けられて可動軸167と動力側円板149との相対回転を規制する規制ピン169と、動力側円板149を突出する方向に付勢する付勢部材171と、ツメ159と可動軸167とを連結してツメ159の押下に従動させて動力側円板149を付勢部材171の付勢力に抗して退避位置へ移動させる連結部材173と、ツメ159を突出方向に付勢する付勢部材175と、を備える。
伝達軸165は、ケースにベアリング177を介して固定されており、上下移動せず、回転する。伝達軸165の下端にプーリがあり、モータMからベルト179を通じて動力が伝達される。伝達軸165は中空であり、円板から伸びる可動軸167が貫通しており、適当な段差を設けて付勢部材171により伝達軸165から上方向の力を受ける。
伝達軸165の上端の中心以外に穴が設けられており、そこに円板から下方に伸びる細いピン(規制ピン169)がゆるく嵌合し、円板は上下運動ができつつ、伝達軸165から回転力を受けることができるようになっている。円板の下端はツメ159から伸びる板を貫通して膨らんでおり、この板により下方に押されることが可能であり、またこの板が不動であっても円板が上から押されると下方に移動し、またばねで戻ることができる。またこの板によって上方向に抜けてしまうのを防いでいる。ツメ159の下方はケースを貫通して円板下方まで伸びる板がついており、ツメ159はばねによりケースから上方向の力を受け、ケース下方にある膨らみにより抜け防止している。ツメ159を押すと、複数ある場合はすべての円板が下方に移動する。
この動力伝達機構300による脱着時の動作は、可動側ケース147を動力部127に挿入して行くと、まずツメ159が可動側ケース147により押し込まれ、動力側円板149が下方に押し込まれる。続いてさらにケースが挿入されることで可動側円板151が動力側円板149の上方にくるとともに、ツメ159が開放されて動力側円板149がばねにより上向きの力を受け、可動側円板151に密着する。この状態でモータMの駆動によって適当に動力側円板149を回転させると、円板表面のピンと穴とが嵌合し、動力側円板149がさらに上方に押し込まれ、結合が完了する。解放されたツメ159は可動側ケース147に引っかかってケースどうしを結合する。
外すときは、可動側ケース147にあるボタンを押すと、動力部127のツメ159が押し込まれ、ケースどうしの結合が解除され、動力側円板149が下方に押し込まれることで円板表面のピンと穴の嵌合が解除され、可動側ケース147が抜けるようになる。
この動力伝達機構300によれば複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部127と可動部125のいずれもがニュートラルになくても脱着可能である。
[実施の形態3の背景技術]
1対のワイヤで1軸の関節を駆動する拮抗駆動は、典型的な例として内視鏡(いわゆる胃カメラ)などの動力伝達機構で用いられる。動力伝達機構は、伝達経路が柔軟に曲がる内視鏡の場合、コイルシースなどのチューブにワイヤを通して使用される。一端が可動部材に接続されて拮抗駆動をなす一対のワイヤの他端を動力源に脱着可能に接続する構成として、下記の参考文献1〜3に開示のものがある。
参考文献1には結合する一対のワイヤのうち一端に固定された接続部材にワイヤ軸と垂直に設けたスリットに、他端に固定された接続部材を挿入する手段が記載されている。この手段では、あらかじめ動力源、可動部材ともにニュートラルの位置になければ脱着ができない。
参考文献2には結合する一対のワイヤの両端に弾性をもつかぎ状の接続部材を設け、ワイヤ軸と平行に圧入することによりかぎどうしが係合され、さらに片方のかぎを引き上げるレバーにより係合を解除する手法が記載されている。この手段では、結合時にワイヤ軸方向の圧入が必要であること、ワイヤが座屈して押す力を発揮できないことなどの問題がある。
参考文献3では可動側と動力側それぞれに設けられた円盤状のクラッチを圧迫対面させることで動力を伝達する機構において、結合時に可動側のニュートラルからのずれ量を動力部に伝達する手段が記載されている。
(参考文献1)特開2009−142562号公報
(参考文献2)特開2009−225876号公報
(参考文献3)特許第4674214号公報
[実施の形態3が解決しようとする課題]
しかしながら、上記の文献に開示される動力伝達機構は、いずれも複数のワイヤを1つの動作で脱着できない。また、動力源、可動部材がともにニュートラルの位置になければ脱着できない。
実施の形態3の目的は、複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部と可動部のいずれもがニュートラルになくても脱着可能で、かつ自動的にニュートラル位置が合う動力伝達機構を提供することにある。
[実施の形態3の効果]
本発明に係る動力伝達機構によれば複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部と可動部のいずれもがニュートラルになくても脱着可能で、かつ自動的にニュートラル位置を合わせることができる。
[実施の形態3]
次に、本発明に係る実施の形態3について、図面を参照して説明する。
内視鏡の挿入部(可動部)は、患部に応じて様々な径の製品が用意されているが、操作部(動力部)はいずれも同じである。挿入部と操作部を脱着可能にできれば、下記のメリットがある。第1に、洗浄は専用の洗浄機に入れて行うが、現状は挿入部、操作部が一体となっているので、大きな操作部もまとめて洗浄機に入れる必要があり、大きな洗浄機が必要である。脱着可能であれば、挿入部だけを丸めて洗浄機に入れればよいため、小さな洗浄機で済む。第2に、操作部を共通にできれば、複数の内視鏡をもたず、1つの操作部と複数の挿入部を所持すれば済むため、コストが安くなり、保管場所も小さくて済む。第3に、例えば電動の内視鏡ロボットを実現したいと思っても、脱着ができなければコストの高い動力源を挿入部の種類だけ用意する必要があり、現実的ではない。
実施の形態3の動力伝達機構は、一端が可動部材に接続されて拮抗駆動をなす一対のワイヤの他端を動力源に脱着可能に接続する手段であって、着脱が容易な構成を有する。さらに、動力伝達機構は、複数本、典型的には4本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能とすること、動力部及び可動部のいずれもがニュートラルになくても脱着可能で、自動的にニュートラル位置が合うこと、挿入方向にワイヤ軸が平行であること、シンプルな機構であること、を満足する。
結合部において、動力源から伝達される力が可動部を押す方向のみでよければ、ケース同士のみを係合すればよく、上記課題全てを満足する。一方でワイヤは押すと座屈するため、引く力しか伝達できない。これを解決するため、動力伝達機構では、可動部の一対のワイヤ端を閉じてプーリを設け、ワイヤ経路を閉鎖経路とする。ワイヤのプーリ付近に2本の棒を固定しこの棒のうち1本を押すと、プーリを介して反対側のワイヤが牽引され、動力を伝達することができる。
図14は、2つの閉鎖されたワイヤ経路をワイヤに固定した棒材により結合可能とした動力伝達機構の構成図である。
動力伝達機構200は、動力側ワイヤ95が張架されて一方が回転駆動され他方が従動回転する第1動力側プーリ97及び第2動力側プーリ99と、周回直線部の動力側ワイヤ一側部101に固定され周回直線部に軸方向が沿う第1動力側棒材103と、周回直線部の動力側ワイヤ他側部105に固定され周回直線部に軸方向が沿う第2動力側棒材107と、可動側ワイヤ109が張架される第1可動側プーリ111及び第2可動側プーリ113と、可動側ワイヤ109の第2可動側プーリ端に固定される可動部材115と、周回直線部の可動側ワイヤ一側部117に固定されて第1動力側棒材103に軸方向で当接する第1可動側棒材119と、周回直線部の可動側ワイヤ他側部121に固定されて第2動力側棒材107に軸方向で当接する第2可動側棒材123と、を備える。
第1動力側プーリ97は、モータMまたは内視鏡における操作部のダイヤルにより回転駆動される。
動力伝達機構200では、可動部125における可動側ワイヤ109の一対のワイヤ端を閉じて第1可動側プーリ111を設け、ワイヤ経路を閉鎖経路とする。可動側ワイヤ109の第1可動側プーリ付近に2本の棒(第1可動側棒材119と第2可動側棒材123)を固定しこの棒のうち1本を押すと、第1可動側プーリ111を介して反対側の可動側ワイヤ109が牽引され、可動部材115に動力を伝達することができる。
動力伝達機構200では、可動部125と動力部127の対応する一対の棒は嵌合不要で、接触するのみでよいため、押し当てるだけで係合、離脱が完了する。何対の棒があっても実装が容易である。一方、これらが押す力を発揮するには各プーリ軸を内包するケースが可動部125、動力部127の間で引き離されないように固定する必要があり、これはかぎ状の接続具や袋ねじなどで実現が容易である。すなわち、ケース一対をワンタッチで着脱するだけで、すべてのワイヤの係合、離脱が完了する。
また、動力伝達機構200では、動力部127と可動部125それぞれのニュートラルからの変位量が異なる場合でも、可動部125を動力部127に押し込む動作時に、一対の棒の両方の先端どうしが接触するように自動的になじむ。
また、動力伝達機構200は、挿入方向に対してワイヤ軸を平行に構成できる。
また、動力伝達機構200は、構成部品が棒とプーリであるので、機構を簡単にできる。
以下の図14〜図16に示す構成も上記と同様の効果が得られる。
図14は、一方のワイヤ経路の棒材を係合突起とした動力伝達機構の構成図である。
図14に示す動力伝達機構200Aは、第1可動側棒材119及び第2可動側棒材123が、可動側ワイヤ109に固設された係合突起129である。
この動力伝達機構200Aによれば、第1可動側棒材119及び第2可動側棒材123を、可動側ワイヤ109に固設された係合突起129とすることにより、構成部材を減らし、可動部125の小型化が図れる。逆に可動部125のみに棒を持たせ、動力部127に係合突起129を設ける構成も可能である。
図15は、大小2つの径を一体化したプーリを用いた動力伝達機構の構成図である。
図15に示す動力伝達機構200Bは、第1可動側プーリ111に小径の第3可動側プーリ131が同軸で固定され、第3可動側プーリ131と第4可動側プーリ133との間に可動側副ワイヤ135が張架され、第1可動側棒材119及び第2動力側棒材107が周回直線部の可動側副ワイヤ一側部137と可動側副ワイヤ他側部139とに固定される。
上記のいずれの構成も、必要な牽引ストロークの分だけ棒の長さが必要であり、接続部全体の長さはこのストロークに規定されてしまう。図15に示す動力伝達機構200Bは、大小2つの径を一体化したプーリを用いることで、減速比を持たせて、これを短くすることができる。この構成ではプーリ(第4可動側プーリ133)を一つ追加している。
図16は、図15の追加プーリを不要とした動力伝達機構の構成図である。
図16に示す動力伝達機構200Cは、第1可動側プーリ111に小径の第3可動側プーリ131が同軸で固定され、第3可動側プーリ131に張架された可動側副ワイヤ135の一端が第1可動側棒材119に固定されるとともに、可動側副ワイヤ135の他端が第2可動側棒材123に固定される。
この動力伝達機構200Cによれば、追加プーリ(第4可動側プーリ133)が不要となる。なお、図16中の可動側副ワイヤ143は、無くてもよいが、非結合時に可動部125の棒が遊んでしまうのを防ぐ役割を持つ。
この動力伝達機構200によれば複数本のワイヤを同時に1つの動作で脱着可能で、しかも、動力部127と可動部125のいずれもがニュートラル位置になくても脱着可能で、かつ自動的にニュートラル位置を合わせることができる。