以下、本開示によるチューブ容器の一実施の形態について、図1乃至図8を用いて説明する。図1乃至図8は、本開示の一実施の形態によるチューブ容器を示す図である。なお、図1乃至図8において、内容物を充填した後の底部シールがなされていない空の状態のチューブ容器10を示している。また、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれチューブ容器10を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示すように、本実施の形態によるチューブ容器10は、ラミネート成形チューブである胴部チューブ50と、胴部チューブ50の一端51に接合された封緘開封装置30とを備えている。
ここでは、まず、チューブ容器10の封緘開封装置30について説明する。この封緘開封装置30は、内容物の改ざん防止を図るとともに、チューブ容器10を容易に開封するためのものである。
図1および図2に示すように、封緘開封装置30は、胴部チューブ50の一端51に接合される頭部部材40と、頭部部材40に装着されるキャップ20Aとを備えている。このうち、頭部部材40は、注出口11aを含み、第1ねじ14が設けられた口部11と、口部11の下方に設けられた肩部12と、を有している。
口部11は、第1ねじ14が設けられ、全体として略円筒形状を有する筒状部13と、筒状部13の上方に設けられた天板15と、筒状部13の下方に設けられた台座部17とを含んでいる。上述した注出口11aは天板15に形成されており、口部11から後述する封緘部材41が取り外された後に、チューブ容器10に充填された内容物を注出口11aから注出することができるようになっている。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良く、多条ねじ式のキャップに対応する形状であっても良い。また、本実施の形態においては、注出口11aの口径R(図2参照)は、3.0mm以上7.5mm以下となっている。
また、図1および図2に示すように、肩部12は、口部11側から胴部チューブ50側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。この肩部12は、水平断面が円形状の形状をもっている。
図1、図3A、図4および図5に示すように、この肩部12の上面に、第1係合部18が設けられている。第1係合部18は、後述するピルファープルーフバンド80の第2係合部82とともにラチェット機構を構成するものである。この第1係合部18は、キャップ本体20を開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた際に、ピルファープルーフバンド80の第2係合部82と係合することにより、後述する複数のつなぎ部81(図1参照)のうち少なくとも1つを破断させるように構成されている。
本実施の形態では、第1係合部18および後述する第2係合部82は、それぞれ複数設けられている。これにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた際に、第1係合部18が、第2係合部82に係合しやすくなっている。図3Aに示すように、第1係合部18は、羽根体から構成されており、本実施の形態では、4つの羽根体が設けられている。各々の羽根体は、肩部12の上面から上方に突出するとともに、上方から見た場合に、時計回り方向に突出している。これにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた場合に、第1係合部18と後述するピルファープルーフバンド80の第2係合部82とが干渉する。このため、後述する複数のつなぎ部81に対して回転力が加わるようになっている。この結果、つなぎ部81が破断して、ピルファープルーフバンド80がキャップ本体20から分離されるように構成されている。一方、キャップ20Aを閉栓方向(図3Aにおける時計回り方向)に回転させた場合には、第1係合部18およびピルファープルーフバンド80の第2係合部82が弾性的に変形し、当該第2係合部82が第1係合部18を乗り越えるように構成されている。これにより、複数のつなぎ部81に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転できるようになっている。すなわち、キャップ20Aは、所定の方向(開栓方向)に回転した場合には、ピルファープルーフバンド80の第2係合部82を頭部部材40の肩部12の第1係合部18に係合させることにより、つなぎ部81に回転力を加える。一方、キャップ20Aは、所定の方向とは逆方向(閉栓方向)に回転した場合には、つなぎ部81に回転力を加えることはない。このように、キャップ20Aと頭部部材40とは、ラチェット式に係合している。
この第1係合部18の高さH1(図1参照)は、2.0mm以上2.5mm以下であることが好ましい。ここで、後述するように、キャップ20Aを開栓方向に回転させた場合、キャップ20Aは口部11に対して上昇する。これに対して、第1係合部18の高さH1が2.0mm以上であることにより、キャップ20Aが口部11に対して上昇した場合であっても、後述するピルファープルーフバンド80の第2係合部82が、第1係合部18に確実に干渉することができる。このため、つなぎ部81を確実に破断させることができ、ピルファープルーフバンド80をキャップ本体20から分離することができる。また、第1係合部18の高さH1が2.5mm以下であることにより、使用する樹脂量を低減することができる。
また、頭部部材40の肩部12の上面に、周方向に沿って延び、第2係合部82の周方向の移動を案内する案内部19が設けられている。この案内部19は複数設けられており、図3Aに示すように、本実施の形態では、4つの案内部19が設けられている。各々の案内部19は、それぞれ肩部12の上面から上方に突出するとともに、上方から見た場合に円弧形状をもっている。また、案内部19は、キャップ20Aが頭部部材40に装着させた際に、後述するピルファープルーフバンド80の第2係合部82よりも径方向内方に位置するように構成されている。これにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、当該第2係合部82が、案内部19に沿って、案内部19の径方向外方を移動するようになっている。このように、第2係合部82が、案内部19に沿って所定の位置を移動することにより、第2係合部82が第1係合部18と係合できなくなる不具合を抑制することができる。
また、上述した第1係合部18は、案内部19に連結している。具体的には、上述した第1係合部18は、案内部19から径方向外方に突出している。これにより、案内部19に移動を案内された第2係合部82が、第1係合部18に確実に係合できるようになっている。また、上述した第1係合部18が案内部19に連結していることにより、第1係合部18の剛性を高くすることができる。このため、キャップ20Aを開栓方向に回転させ、第1係合部18と、後述するピルファープルーフバンド80の第2係合部82とを干渉させた場合に、第1係合部18が、径方向内方へ弾性的に変形することを抑制することができる。この結果、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、当該第2係合部82が第1係合部18を乗り越えてしまうことを抑制することができる。なお、第1係合部18および案内部19は、頭部部材40を例えば圧縮成形例法により成形する際に、一体成形される。
また、頭部部材40は、口部11に連結され、注出口11aを塞ぐ封緘部材41を更に有している。このように、頭部部材40が注出口11aを塞ぐ封緘部材41を有していることにより、チューブ容器10の初期密封性を確保するとともに、内容物の改ざん防止を図ることができるようになっている。
封緘部材41は、天部42と、天部42から下方に延びるとともに、薄肉部43を有する垂下部44とを含んでいる。このうち天部42は、平板状であり、平面視略円形状を有している。また、天部42上面に、キャップ20Aの後述する第3係合部21と係合する第4係合部45が設けられている。
この第4係合部45は、後述する第3係合部21とともにラチェット機構を構成するものである。図3B乃至図5に示すように、第4係合部45は、天部42の上面から突出する4つのリブ体から構成されている。図3Bに示すように、リブ体は、上方から見た場合に、径方向に沿って延びる第1面45aと、第1面45aから径方向に直交する方向に沿って延びる第2面45bと、第1面45aと第2面45bとの間に延在し、天部42の外周縁に沿って延びる第3面45cとを含んでいる。第4係合部45が径方向に沿って延びる第1面45aを含むことにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に回転させた場合に、第1面45aとキャップ20Aの後述する第3係合部21の羽根体21bとが干渉する。これにより、封緘部材41に対して回転力が加わるようになっている。このため、薄肉部43が破断して、図5に示すように、封緘部材41が口部11から分離され、注出口11aが開口するように構成されている。一方、キャップ20Aを閉栓方向(図3Bにおける時計回り方向)に回転させた場合には、第4係合部45が弾性的に変形し、キャップ20Aの後述する第3係合部21の羽根体21bが、第4係合部45の第2面45bを乗り越えるように構成されている。これにより、封緘部材41に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転できるようになっている。すなわち、キャップ20Aは、所定の方向(開栓方向)に回転した場合には、頭部部材40の封緘部材41を回転させる。一方、キャップ20Aは、所定の方向とは逆方向(閉栓方向)に回転した場合には、封緘部材41を回転させることがない。このように、キャップ20Aと封緘部材41とは、ラチェット式に係合している。
また、図1、図2および図6に示すように、封緘部材41に、第5係合部46が設けられている。この第5係合部46は、後述する第6係合部26と係合することにより、薄肉部43が破断して口部11から分離された封緘部材41とキャップ20Aとを一体化させる役割を果たす。すなわち、封緘部材41が口部11から分離されたとき、封緘部材41はキャップ20Aの内部に保持され、キャップ20Aから脱落しないようになっている。本実施の形態では、この第5係合部46は、封緘部材41の天部42から径方向外方に突出する突起である。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際には、突起を弾性変形させることにより、キャップ20Aを頭部部材40に容易に装着することができる。
この第5係合部46は、天部42の全周にわたり形成されていることが好ましい。これにより、第5係合部46が後述する第6係合部26と確実に係合することができる。なお、第5係合部46は、天部42において円周方向に沿って互いに離間して形成された複数の突起から構成されていても良い。
また、図6に示すように、第5係合部46の上面に、径方向外方に向かうにつれて下方に傾斜するテーパー部46aが形成されている。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際に、キャップ20Aの後述する第3筒25の第6係合部26が、第5係合部46を乗り越えやすくなっている。
図1および図2に示すように、封緘部材41の垂下部44は、全体として略円筒形状を有している。この垂下部44の厚みは、例えば、1.0mm以上1.5mm以下程度とすることができる。また、垂下部44は、上述したように、薄肉部43を有している。薄肉部43は、垂下部44よりも厚みが薄い部分であり、薄肉部43が破断することにより、封緘部材41が口部11から分離するように構成されている(図5参照)。
図1、図2および図6に示すように、薄肉部43は、径方向外方から薄肉に形成されている。すなわち、薄肉部43は、垂下部44の外面から径方向内方に窪む凹部により構成されている。この薄肉部43は、口部11の天板15と垂下部44との間において、全周にわたり形成されている。これにより、薄肉部43が、容易に破断するように構成されている。この薄肉部43の厚みは、0.2mm以上0.3mm以下であることが好ましい。薄肉部43の厚みが0.2mm以上であることにより、薄肉部43の成形性を向上させることができる。また、薄肉部43の厚みが0.3mm以下であることにより、薄肉部43が破断されない不具合を抑制することができる。
上述した頭部部材40は、後述するように、例えば圧縮成形法により成形される。また、頭部部材40は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)や中密度ポリエチレン(MDPE)等の樹脂材料から作製される。この場合、頭部部材40は、バリア性をもつ添加剤を含んでいても良い。これにより、チューブ容器10のバリア性を向上させることができる。バリア性をもつ添加剤としては、鉄(Fe)等が挙げられる。
次に、キャップ20Aについて説明する。
図1および図2に示すように、キャップ20Aは、第3係合部21が設けられた天板22と、天板22から下方に延び、第1ねじ14に螺合する第2ねじ(内ねじ)23が設けられた第1筒24と、天板22から下方に延びるとともに第1筒24の径方向外方に設けられ、外面にローレットKが設けられた第2筒28と、を有するキャップ本体20と、キャップ本体20の第2筒28の下端部に複数のつなぎ部81を介して連結されたピルファープルーフバンド80と、を有している。
このうち、キャップ本体20の天板22は、平板状であり、平面視略円形状を有している。また、天板22に設けられた第3係合部21は、天板22の内面のうち、略中央部から下方に突出している。この第3係合部21は、キャップ20Aを開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に回転させた際に、頭部部材40の第4係合部45と係合することにより頭部部材40の封緘部材41を回転させて薄肉部43を破断させるように構成されている。
上述したように、この第3係合部21は、上述した第4係合部45とともにラチェット機構を構成するものである。図3Bに示すように、第3係合部21は、円筒形状の本体部21aと、本体部21aから径方向外方に突出する羽根体21bとを含んでいる。本実施の形態においては、4本の羽根体21bが設けられている。この羽根体21bは、上方から見た場合に、径方向に沿って延びる第4面21cと、第4面21cから本体部21aに向かって時計回り方向に延びる第5面21dとを含んでいる。このうち、羽根体21bの第4面21cは、円周方向において、封緘部材41の第4係合部45の第1面45aと対向している。羽根体21bが、径方向に沿って延び、第4係合部45の第1面45aと対向する第4面21cを含むことにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に回転させた場合に、上述したように、羽根体21bの第4面21cと、封緘部材41の第4係合部45の第1面45aとが干渉する。これにより、封緘部材41に対して回転力が加わるようになっている。一方、キャップ20Aを閉栓方向(図3Bにおける時計回り方向)に回転させた場合には、第4係合部45が弾性的に変形し、羽根体21bの第5面21dが、第4係合部45の第2面45bを乗り越えるように構成されている。これにより、封緘部材41に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転できるようになっている。
図1および図2に示すように、キャップ本体20の第1筒24は、全体として略円筒形状を有している。この第1筒24は、頭部部材40の口部11の台座部17と、肩部12とに接触している。これにより、チューブ容器10を開封させた後においても、頭部部材40にキャップ20Aを装着することにより、チューブ容器10の密封性を保つことができるようになっている。なお、第1筒24が、頭部部材40の口部11の台座部17と、肩部12とに接触することなく、第1筒24と、台座部17および肩部12との間に、それぞれ隙間が形成されていても良い。
次に、キャップ本体20の第2筒28について説明する。上述したように、キャップ本体20の第2筒28には、外面にローレットKが設けられている。このローレットKは、使用者がキャップ20Aを開栓する際に、使用者の指掛かり性を向上させる役割を果たす。また、キャップ本体20の第2筒28は、全体として略円筒形状を有している。キャップ本体20が、第1筒24の径方向外方に設けられた第2筒28を有していることにより、キャップ本体20の外径を大きくすることができる。このため、使用者がチューブ容器10を開封する際に、キャップ本体20を握りやすくすることができる。また、キャップ本体20の外径を大きくすることにより、チューブ容器10に内容物を充填することにより作製された商品において、倒立性(キャップ本体20を下にした時の自立性)を向上させることができる。このため、店頭における展示陳列時および使用場所での不使用時には、チューブ容器10を倒立させて置くことができる。
また、キャップ本体20は、天板22から下方に延びるとともに第1筒24の径方向内方に設けられた第3筒25を更に有している。
キャップ本体20の第3筒25は、全体として略円筒形状を有している。図1、図2および図6に示すように、この第3筒25に、上述した頭部部材40の第5係合部46と係合する第6係合部26が設けられている。この場合、第6係合部26は、後述するようにキャップ20Aを開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に回転させた場合に、第5係合部46に対して下方から係合するように設けられている。この第6係合部26は、第5係合部46と係合することにより、薄肉部43が破断して口部11から分離された封緘部材41を保持する役割を果たす。すなわち、この第6係合部26が第5係合部46に係合することにより、チューブ容器10からキャップ20Aを取り外す際に、薄肉部43が破断して口部11から分離された封緘部材41がキャップ20Aと一体化し、キャップ20Aとともにチューブ容器10から取り外されるようになっている。本実施の形態では、この第6係合部26は、第3筒25から径方向内方に突出する突起である。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際には、突起を弾性変形させることにより、第6係合部26が第5係合部46を乗り越え、キャップ20Aを頭部部材40に容易に装着することができる。
この第6係合部26は、第3筒25の内面において全周にわたり形成されていることが好ましい。これにより、第6係合部26が上述した第5係合部46と確実に係合することができる。なお、第6係合部26は、第3筒25の内面において円周方向に沿って互いに離間して形成された複数の突起から構成されていても良い。
また、図6に示すように、第6係合部26の下面に、径方向外方に向かうにつれて下方に傾斜するテーパー部26aが形成されている。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際に、第6係合部26が、封緘部材41の第5係合部46を乗り越えやすくなっている。
さらに、本実施の形態では、第6係合部26は、キャップ20Aが頭部部材40に装着された時点で、第5係合部46に対して下方から接触するように構成されている。ここで、後述するように、キャップ20Aを開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に回転させた際に、キャップ20Aは口部11に対して上昇する。このため、第6係合部26が第5係合部46に対して下方から接触していることにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、第6係合部26が封緘部材41に対して上方への力を加えることができる。また、この場合、薄肉部43の厚みは、垂下部44の厚みよりも薄くなっている。これにより、第6係合部26が封緘部材41に対して上方への力を加えることにより、薄肉部43が上方へ引き延ばされ、薄肉部43の厚みが更に薄くなる。このため、薄肉部43が破断されやすくなる。
なお、キャップ20Aを頭部部材40に装着した際に、第6係合部26と上述した第5係合部46との間に、上下方向において隙間が形成されていても良い。上述したように、キャップ20Aを開栓方向に回転させることにより、キャップ20Aが口部11に対して上昇する。このため、第6係合部26と第5係合部46との間に、上下方向において隙間が形成されていた場合であっても、第6係合部26が、第5係合部46と係合することができ、薄肉部43が破断して口部11から分離された封緘部材41を保持することができる。この際、第6係合部26は、薄肉部43が破断した後に第5係合部46と係合するように構成されていても良い。この場合、第6係合部26が、口部11から分離された封緘部材41をより確実に保持することができる。また、第6係合部26は、薄肉部43が破断する前に第5係合部46と係合するように構成されていても良い。この場合、第6係合部26が上述したように薄肉部43を上方へ引き延ばすことにより、薄肉部43が破断されやすくなる。
また、第3筒25の下端部には、頭部部材40の口部11の天板15に接触するコンタクトリング27が設けられている。これにより、チューブ容器10を開封させた後においても、頭部部材40にキャップ本体20を装着することにより、チューブ容器10の密封性を保つことができるようになっている。
次に、ピルファープルーフバンド80について説明する。
図1に示すように、ピルファープルーフバンド80は、第2筒28の下端部に、複数のつなぎ部81を介して連結されている。この複数のつなぎ部81のうち、少なくとも1つは、破断可能になっている。また、図3Aに示すように、ピルファープルーフバンド80の内面に、上述した頭部部材40の第1係合部18と係合する第2係合部82が設けられている。
この第2係合部82は、上述したように、第1係合部18とともにラチェット機構を構成するものである。また、上述したように、本実施の形態では、第2係合部82は、複数設けられている。図3Aに示すように、第2係合部82は、ピルファープルーフバンド80の内面から突出する羽根体から構成されており、本実施の形態では、6つの羽根体が設けられている。各々の羽根体は、上方から見た場合に、反時計回り方向に突出している。これにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた場合に、上述したように、第1係合部18とピルファープルーフバンド80の第2係合部82とが干渉する。これにより、複数のつなぎ部81に対して回転力が加わり、つなぎ部81が破断して、ピルファープルーフバンド80がキャップ本体20から分離されるように構成されている。一方、キャップ20Aを閉栓方向(図3Aにおける時計回り方向)に回転させた場合には、第1係合部18およびピルファープルーフバンド80の第2係合部82が弾性的に変形し、当該第2係合部82が第1係合部18を乗り越えるように構成されている。これにより、複数のつなぎ部81に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転できるようになっている。
この第2係合部82の高さH2(図2参照)は、2.0mm以上2.5mm以下であることが好ましい。ここで、後述するように、キャップ20Aを開栓方向に回転させた場合、キャップ20Aは口部11に対して上昇する。これに対して、第2係合部82の高さH2が2.0mm以上であることにより、キャップ20Aが口部11に対して上昇した場合であっても、ピルファープルーフバンド80の第2係合部82が、第1係合部18に確実に干渉することができる。このため、つなぎ部81を確実に破断させることができ、ピルファープルーフバンド80をキャップ本体20から分離することができる。また、第2係合部82の高さH2が2.5mm以下であることにより、使用する樹脂量を低減することができる。
また、ピルファープルーフバンド80は、周方向に分割された複数のバンド体80aを有している。この場合、周方向で互いに隣接するバンド体80aは、破断可能な連結部材83によって互いに連結されている。本実施の形態においては、ピルファープルーフバンド80は、2つのバンド体80aを有しており、これらのバンド体80aは、2つの連結部材83によって互いに連結されている。この場合、ピルファープルーフバンド80は、キャップ本体20を開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた際に、第2係合部82が、第1係合部18と係合することにより、連結部材83を破断させるように構成されていても良い。
また、このバンド体80aには、上端から切り欠かれた切り欠き部84が形成されている。これにより、バンド体80aがキャップ本体20から取り外された際に、バンド体80aを切り欠き部84から折り曲げやすくすることができ、バンド体80aの廃棄を容易にすることができる。
また、ピルファープルーフバンド80の上端に、複数の台座85が形成されている。この台座85は、ピルファープルーフバンド80の上端から上方へ突出するように形成されており、台座85には、上述したつなぎ部81が連結されている。また、台座85が形成された部分においては、台座85が形成されていない部分よりも、ピルファープルーフバンド80とキャップ本体20との間の距離が短くなっている。このように、ピルファープルーフバンド80とキャップ本体20との間の距離を短くする台座85を形成することにより、キャップ20Aを形成する際に、図示しない金型内において、射出樹脂が、キャップ本体20に対応する部分から、ピルファープルーフバンド80に対応する部分に流れやすくすることができる。このため、キャップ20Aの成形性を向上させることができる。また、台座85を形成することにより、台座85に連結されたつなぎ部81の上下方向に沿った長さを短くすることができる。これにより、初期開封前におけるつなぎ部81の破断を抑制することができる。
キャップ本体20が、このようなピルファープルーフバンド80を備えていることにより、つなぎ部81が破断されているかどうかを確認することにより、あるいは、連結部材83が破断されているかどうかを確認することにより、キャップ本体20の不正な開封が生じていたかどうかを容易に判断することができる。
ところで、上述したキャップ20Aは、合成樹脂材料を射出成形することにより一体に製作することができる。この場合の材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等を用いることができる。なお、上述したキャップ20Aは、合成樹脂材料を圧縮成形することにより一体に製作されても良い。
次に、チューブ容器10の胴部チューブ50について説明する。図1、図2、図4および図5に示す胴部チューブ50は、全体として略円筒形状を有している。この胴部チューブ50は、ラミネート成形された積層体シート53(図7A及び図7B参照)から構成されており、この積層体シート53を円筒状に丸め、対向する端部同士を例えばヒートシールにより接合して得られたものである。このため、胴部チューブ50には、その長手方向に沿って積層体シート53の繋ぎ目52(図1参照)が形成されている。この胴部チューブ50の厚みは、例えば200μm以上550μm以下としても良い。
次に、積層体シート53の層構成について説明する。図7Aは、胴部チューブ50を構成する積層体シート53の層構成の一例を示し、図7Bは、胴部チューブ50を構成する積層体シート53の層構成の他の例を示している。
図7Aに示すように、積層体シート53は、内面から外面に向かって順に配置された、第1シーラント層54と、第1接着層55aと、バリア層56と、第2接着層55bと、基材層57と、第3接着層55cと、第2シーラント層58とを有している。この場合、例えば基材層57の内面側に、裏面印刷によって印刷層が設けられていても良い。
また、図7Bに示すように、積層体シート53は、内面から外面に向かって順に配置された、第1シーラント層54と、第1接着層55aと、バリア層56と、第2接着層55bと、基材層57と、第3接着層55cと、第2シーラント層58と、熱融着性樹脂の溶融押出層59とを有している。この場合、例えば熱融着性樹脂の溶融押出層59の外面側に、表面印刷によって印刷層が設けられていても良い。熱融着性樹脂の溶融押出層59の外面側に印刷層を形成することにより、記載内容の変更などを容易に行うことができる。
以下、積層体シート53の各層について説明する。
第1シーラント層
第1シーラント層54は、積層体シート53同士を接着させるための層であり、第1シーラント層54を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料であれば良い。第1シーラント層54には例えばポリオレフィンのフィルムを用いることができる。より具体的には、第1シーラント層54としては、例えば、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル、飽和ポリエステル、ポリビニルアルコール等その他の樹脂の1種ないしそれ以上からなるフィルムを使用することができる。
本実施の形態において、上記のヒートシール性フィルムとしては、例えば、上記の樹脂の1種ないし2種以上を主成分とし、これに、所望の添加剤を任意に添加して樹脂組成物を調製し、次いで、上記で調製した樹脂組成物を使用し、例えば、Tダイ法、インフレーション法、その他の成形法を用いてフィルムないしシートを成形することができる。
なお、本実施の形態において、第1シーラント層54の厚みは、100μm以上250μm以下であることが好ましい。また、上述した第1シーラント層54の材料として、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤等を任意に添加したものを使用しても良い。
バリア層
バリア層56は、例えば、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性素材、太陽光等に対する遮光性素材、あるいは、内容物に対する保香性等を付与するための層である。バリア層56としては、例えば、アルミニウム箔、スズ、鉛、銅、鉄、ニッケル、またはこれらの合金等あるいは、アルミニウム等の蒸着薄膜を有する樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。バリア層56としてアルミニウム箔を使用する場合、バリア層56の厚みは、5μm以上20μm以下程度とすることができる。
また、バリア層56としてアルミニウム等の蒸着薄膜を有する樹脂のフィルムないしシートを使用する場合、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)等を利用して、樹脂のフィルムの上に、アルミニウム等の金属の蒸着薄膜を形成した樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
バリア層56として、アルミニウムの蒸着薄膜を有する樹脂のフィルム等を使用する場合、バリア層56の厚みは、通常、50Å以上3000Å以下程度であることが好ましく、特に、100Å以上2000Å以下程度であることが好ましい。また、上記のアルミニウムの蒸着薄膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、その他を使用することができる。上記の樹脂のフィルムの表面は、予め、蒸着膜の密着性を高めるために、例えば、蒸着プライマー等をコーティングすることができ、その他、所要の前処理を任意に施すことは可能である。
基材層
基材層57は、例えば、第1シーラント層54や第2シーラント層58を支持するとともに積層体シート53全体の強度を高めるための層である。基材層57を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靱な樹脂のフィルムないしシート、その他を使用することができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、押し出し低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのフィルムを用いることができる。
また、上述した樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。中でも、本実施の形態において、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが、印刷適正の面で優れるので好ましい。
なお、本実施の形態において、基材層57の厚みは、10μm以上25μm以下であることが好ましい。
第2シーラント層
第2シーラント層58は、積層体シート53同士を接着させるための層であり、第2シーラント層58を構成する材料としては、例えば上述した第1シーラント層54と同様の材料を用いることができる。
なお、本実施の形態において、第2シーラント層58の厚みは、100μm以上250μm以下であることが好ましい。
接着層
第1接着層55a、第2接着層55b、第3接着層55cといった接着層は、第1シーラント層54、基材層57、第2シーラント層58などを接着するための層である。この接着層は、接着する層を構成する樹脂によって適宜選択することができる。
例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等のアンカーコート剤、ラミネート用接着剤等を任意に使用することができる。
接着層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-ビニルアルコール、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂等を好適に使用することができる。
なお、本実施の形態において、接着層の厚さは、0.2μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、第1シーラント層54、バリア層56、基材層57、第2シーラント層58などを積層する方法としては、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネ-ション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他の任意の方法で行うことができる。また、上述したラミネートを行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。
熱融着性樹脂の溶融押出層
熱融着性樹脂の溶融押出層59は、例えば印刷層を形成するための層である。この熱融着性樹脂の溶融押出層59の材料としては、加熱により溶融して相互に融着することができ、押し出し成形が可能であるヒートシール性を有する樹脂を使用して構成することが好ましい。中でも、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等により、印刷層を形成し得るヒートシール性を有する樹脂を使用することが望ましいものである。
具体的には、熱融着性樹脂の溶融押出層59の材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状(直鎖状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を、不飽和カルボン酸を使用して酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他の樹脂を使用することができる。
なお、本実施の形態において、熱融着性樹脂の溶融押出層59の厚みは、20μm以上30μm以下であることが好ましい。
印刷層
また、上述したように基材層57上や、溶融押出層59上に、絵柄等の印刷が施された印刷層が形成されていても良い。印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。このようなインキビヒクルとしては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他の印刷方式であってもよい。
また、積層体シート53には、必要に応じて中間層が設けられていても良い。中間層は、積層体シート53の厚さを調整するために設けられる。中間層にはオレフィン樹脂を用いることができる。より具体的には、中間層としては、低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のポリエチレンフィルムが用いられることが好ましい。これらのポリエチレンフィルムは透明であっても良く、例えば乳白ポリエチレンフィルムのように着色されていても良い。中間層として、乳白ポリエチレンフィルムが用いられることで積層体シート53の光沢性を際立たせることができる。中間層の厚さは例えば50μm以上200μmであることが好ましい。
また、本実施の形態において、胴部チューブ50とチューブ容器10の頭部部材40との接合は、後述するように、頭部部材40を圧縮成形法で成形する際に、熱溶着により行われる。しかしながら、これに限定されることはなく、チューブ容器10の頭部部材40を射出成形法により成形する際に、胴部チューブ50と頭部部材40との接合が行われても良い。
次に、図8(a)-(d)を参照して、圧縮成形法を用いて上述したチューブ容器10を製造する方法について説明する。
まず、胴部チューブ50を準備する。この際、まず、図8(a)に示すように、積層体シート53を準備する。この場合、例えば、第1シーラント層54、第1接着層55a、バリア層56、第2接着層55b、基材層57、第3接着層55c、第2シーラント層58を互いに積層したシート材料を作製し、このシート材料を適宜所定の大きさにカットすることにより、積層体シート53を得る。
次に、図8(b)に示すように、積層体シート53を丸め、対向する端部同士を例えばヒートシールにより接合することにより円筒状に製筒し、胴部チューブ50を作製する。
次いで、圧縮成形により、胴部チューブ50の一端51に接合された頭部部材40を形成する。この際、まず、図8(c)に示すように、この円筒状の積層体シート53(胴部チューブ50)をマンドレル72に巻き付け、マンドレル72の一端に、頭部部材40の圧縮成形用の金型71を装着する。すなわち、予め筒状に成形された積層体シート53(胴部チューブ50)を、先端部が頭部部材40を圧縮成形するためのコアとなっているマンドレル72に差し込んだ状態で、頭部部材40を成形する金型71のキャビティ内に所定の位置まで進入させる。
続いて、金型71内に、図示しない樹脂供給装置から溶融した樹脂を供給することにより、頭部部材40を圧縮成形する。この場合、金型71内に胴部チューブ50の一端51を挿入することによって、肩部12に第1係合部18および案内部19が設けられた頭部部材40(図4等参照)が成形されると同時に、頭部部材40に胴部チューブ50が一体的に融着される。頭部部材40に用いられる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)や中密度ポリエチレン(MDPE)等の樹脂材料を用いることができる。また、頭部部材40は、バリア性をもつ添加剤を含んでいても良い。これにより、チューブ容器10のバリア性を向上させることができる。
その後、金型71およびマンドレル72から、一体化された頭部部材40および胴部チューブ50を取り出すことにより、胴部チューブ50の一端51に接合された頭部部材40が得られる(図8(d)参照)。
また、胴部チューブ50の一端51に接合された頭部部材40を作製することと並行して、キャップ20Aを準備する。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりキャップ20Aを作製する。
次に、キャップ20Aを頭部部材40に装着する。この場合、キャップ20Aを頭部部材40の口部11に螺着させる。この際、使用者は、キャップ20Aを、閉栓方向(図3Aおよび図3Bにおける時計回り方向)に回転させる。ここで、図3Aに示すように、第1係合部18を構成する羽根体は、上方から見た場合に、時計回り方向に突出している。また、第2係合部82を構成する羽根体は、上方から見た場合に、反時計回り方向に突出している。これにより、キャップ20Aを閉栓方向に回転させた場合には、第1係合部18およびピルファープルーフバンド80の第2係合部82が弾性的に変形し、当該第2係合部82が第1係合部18を乗り越えながら、キャップ20Aが回転する。このため、ピルファープルーフバンド80をキャップ本体20に連結するつなぎ部81に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転し、頭部部材40に装着される。
また、図3Bに示すように、キャップ20Aの第3係合部21の羽根体21bの第5面21dは、第4面21cから本体部21aに向かって時計回り方向に延びている。これにより、キャップ20Aを閉栓方向(図3Bにおける時計回り方向)に回転させた場合には、羽根体21bの第5面21dが、第4係合部45の第2面45bを乗り越えながら、キャップ20Aが回転する。このため、封緘部材41に対して回転力を加えることなく、キャップ20Aが回転し、頭部部材40に装着される。
また、図1、図2および図6に示すように、頭部部材40の第5係合部46は、封緘部材41の天部42から径方向外方に突出する突起であり、キャップ20Aの第6係合部26は、第3筒25から径方向内方に突出する突起である。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際に、これらの突起が弾性変形して、第6係合部26が、第5係合部46を乗り越える。
また、図6に示すように、頭部部材40の第5係合部46の上面に、径方向外方に向かうにつれて下方に傾斜するテーパー部46aが形成されており、キャップ20Aの第6係合部26の下面に、径方向外方に向かうにつれて下方に傾斜するテーパー部26aが形成されている。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際に、第6係合部26が、第5係合部46を乗り越えやすくなっており、キャップ20Aが頭部部材40に容易に装着される。この際、第6係合部26は、キャップ20Aが頭部部材40に装着された時点で、第5係合部46に対して下方から接触する。
このようにして、キャップ20Aが頭部部材40の口部11に螺着され、図1に示すチューブ容器10が得られる。
その後、チューブ容器10の胴部チューブ50内に底部側から内容物を充填し、胴部チューブ50の底部をシールすることにより、商品としての内容物入りチューブ容器10が得られる。
ところで、使用者がチューブ容器10を使用する際には、使用者はキャップ20Aを開栓方向(図3Aおよび図3Bにおける反時計回り方向)に回転させる。この際、頭部部材40の肩部12の上面に、周方向に沿って延び、第2係合部82の周方向の移動を案内する案内部19が設けられている。これにより、第2係合部82が、案内部19に沿って所定の位置を移動し、頭部部材40の第1係合部18が、キャップ20Aのピルファープルーフバンド80の第2係合部82に係合する。ここで、図3Aに示すように、第1係合部18を構成する羽根体は、上方から見た場合に、時計回り方向に突出している。また、第2係合部82を構成する羽根体は、上方から見た場合に、反時計回り方向に突出している。これにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させた場合には、第1係合部18およびピルファープルーフバンド80の第2係合部82が干渉する。このため、ピルファープルーフバンド80をキャップ本体20に連結するつなぎ部81に対して回転力が加わり、つなぎ部81がねじ切られ、つなぎ部81が破断される。なお、この場合、ピルファープルーフバンド80の複数のバンド体80aを連結する連結部材83が破断されても良い。
また、第1係合部18は、案内部19に連結しているため、キャップ20Aを開栓方向に回転させ、第1係合部18とピルファープルーフバンド80の第2係合部82とを干渉させた場合に、第1係合部18が、径方向内方へ弾性的に変形することを抑制することができる。このため、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、第2係合部82が第1係合部18を乗り越えてしまうことを抑制することができる。
さらに、この際、キャップ20Aの第3係合部21が、頭部部材40の第4係合部45に係合する。ここで、図3Bに示すように、第3係合部21の羽根体21bは、径方向に沿って延び、第4係合部45の第1面45aと対向する第4面21cを含んでいる。これにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させた場合に、羽根体21bの第4面21cと、第4係合部45の第1面45aとが干渉する。このため、羽根体21bが第4係合部45を開栓方向に押圧し、封緘部材41に対して回転力が加わり、封緘部材41がキャップ20Aと一体となって回転する。そして、封緘部材41が口部11に対して回転することにより、薄肉部43がねじ切られ、薄肉部43が破断される。また、第6係合部26は、キャップ20Aが頭部部材40に装着された時点で第5係合部46に対して下方から係合している。ここで、キャップ20Aを開栓方向に回転させた場合、キャップ20Aは口部11に対して上昇する。このため、第6係合部26が、封緘部材41に対して上方への力を加える。これにより、薄肉部43が上方へ引き延ばされ、薄肉部43の厚みが更に薄くなる。このため、上述したように封緘部材41に対して回転力が加わることで、薄肉部43が容易に破断される。このようにして、封緘部材41が口部11から取り外されて注出口11aが開口する(図5参照)。
次に、キャップ20Aを、開栓方向(図3Bにおける反時計回り方向)に更に回転させる。この場合、キャップ20Aは口部11に対して上昇し、口部11から離れていく。この時、キャップ20Aの第3筒25に設けられた第6係合部26は、封緘部材41の第5係合部46に対して下方から係合している。これにより、薄肉部43が破断することにより口部11から分離された封緘部材41がキャップ20Aと一体化し、キャップ20Aとともに封緘部材41が口部11に対して上昇する。このようにして、口部11からキャップ20Aとともに封緘部材41を取り外すことができる。
このように本実施の形態によれば、頭部部材40の肩部12の上面に、第1係合部18が設けられ、ピルファープルーフバンド80の内面に、第1係合部18と係合する第2係合部82が設けられている。また、第1係合部18は、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、第2係合部82と係合することにより複数のつなぎ部81のうち少なくとも1つを破断させる。これにより、つなぎ部81が破断されているかどうかを確認することにより、キャップ20Aの不正な開封が生じていたかどうかを容易に判断することができる。また、本実施の形態によれば、チューブ容器10を容易に開封することができる。すなわち、本実施の形態によれば、キャップ本体20を口部11から取り外した後に、使用者が、例えばバージンシールをチューブ容器10から取り除く必要がない。このため、余計な手間をかけることなくチューブ容器10を開封することができる。
また、本実施の形態によれば、第1係合部18および第2係合部82は、それぞれ複数設けられている。これにより、キャップ20Aを開栓方向(図3Aにおける反時計回り方向)に回転させた際に、第1係合部18が、第2係合部82に係合しやすくなっている。このため、キャップ20Aを開栓した際に、つなぎ部81が破断されない不具合を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、頭部部材40の肩部12の上面に、周方向に沿って延び、第2係合部82の周方向の移動を案内する案内部19が設けられている。これにより、第2係合部82が、案内部19に沿って所定の位置を移動することができ、第2係合部82が第1係合部18と係合できなくなる不具合を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、第1係合部18は、案内部19と連結されている。これにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させ、第1係合部18とピルファープルーフバンド80の第2係合部82とを干渉させた場合に、第1係合部18が、径方向内方へ弾性的に変形することを抑制することができる。これにより、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、第2係合部82が第1係合部18を乗り越えてしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、ピルファープルーフバンド80は、周方向に分割された複数のバンド体80aを含み、周方向で互いに隣接するバンド体80aは、破断可能な連結部材83によって互いに連結されている。これにより、つなぎ部81が破断されているかどうかを確認することにより、あるいは、連結部材83が破断されているかどうかを確認することにより、キャップ20Aの不正な開封が生じていたかどうかを容易に判断することができる。また、複数のバンド体80aが、破断可能な連結部材83によって互いに連結されているため、ピルファープルーフバンド80を廃棄する際に、ピルファープルーフバンド80をキャップ本体20から容易に取り外すことができる。
また、本実施の形態によれば、頭部部材40が、注出口11aを塞ぐ封緘部材41を有している。これにより、チューブ容器10において、初期密封性を確保するとともに、内容物の改ざん防止を図ることができる。また、封緘部材41の天部42上面に、第3係合部21と係合する第4係合部45が設けられ、第3係合部21は、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、第4係合部45と係合することにより封緘部材41を回転させて薄肉部43を破断させる。これにより、チューブ容器10を容易に開封することができる。すなわち、本実施の形態によれば、キャップ20Aを開栓方向に回転させた際に、封緘部材41が口部11から分離される。このため、キャップ本体20を口部11から取り外した後に、使用者が、例えばバージンシールをチューブ容器10から取り除く必要がない。このため、余計な手間をかけることなくチューブ容器10を開封することができる。
また、本実施の形態によれば、封緘部材41に第5係合部46が設けられ、キャップ20Aの第3筒25に、第5係合部46と係合する第6係合部26が設けられている。また、第6係合部26は、第5係合部46と係合することにより、薄肉部43が破断して口部11から分離された封緘部材41を保持する。これにより、チューブ容器10からキャップ20Aを取り外す際に、口部11から分離された封緘部材41をキャップ20Aと一体化させることができる。このため、チューブ容器10からキャップ20Aを取り外した後に、使用者が、口部11から分離された封緘部材41を取り除く必要がない。このため、チューブ容器10の開封作業を簡略化することができる。
また、本実施の形態によれば、第5係合部46は、封緘部材41の天部42から径方向外方に突出する突起である。また、本実施の形態によれば、第6係合部26は、第3筒25から径方向内方に突出する突起である。これにより、キャップ20Aを頭部部材40に装着する際には、これらの突起を弾性変形させることにより、キャップ20Aを頭部部材40に容易に装着することができる。
また、上述した本実施の形態においては、薄肉部43が、径方向外方から薄肉に形成されている例について説明したが、これに限られることはない。例えば、図9に示すように、薄肉部43が、径方向内方から薄肉に形成されていても良い。図示された例において、封緘部材41の垂下部44は、下方に向かうにつれて徐々に径が拡大する拡径部47を含んでいる。そして、拡径部47の外面と薄肉部43の外面とが、略均一な径をもつように形成されている。この場合においても、垂下部44が薄肉部43を有することができる。
また、上述した本実施の形態においては、第5係合部46が、封緘部材41の天部42から径方向外方に突出する突起であり、第6係合部26が、第3筒25から径方向内方に突出する突起である例について説明したが、これに限られることはない。例えば、図示はしないが、第5係合部46が、垂下部44に設けられ、垂下部44の外面から径方向内方に窪む凹部であっても良い。あるいは、第6係合部26が、第3筒25から径方向外方に窪む凹部であっても良い。
さらに、上述した本実施の形態においては、第3係合部21の羽根体21bが、上方から見た場合に、径方向に沿って延びる第4面21cと、第4面21cから本体部21aに向かって時計回り方向に延びる第5面21dとを含んでいる例について説明した。また、第4係合部45のリブ体が、上方から見た場合に、径方向に沿って延びる第1面45aと、第1面45aから径方向に直交する方向に沿って延びる第2面45bと、第1面45aと第2面45bとの間に延在し、天部42の外周縁に沿って延びる第3面45cとを含んでいる例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、第3係合部21と第4係合部45とが、ラチェット機構を構成することができれば、第3係合部21および第4係合部45は、それぞれ任意の形状を有していても良い。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。