JP7194659B2 - 溶液の塗布装置および錠剤印刷装置 - Google Patents

Description

本発明の実施形態は、溶液の塗布装置および錠剤印刷装置に関する。

溶液の塗布装置は、錠剤への印刷、液晶の表示装置や半導体装置の製造などに用いられている。例えば、錠剤の塗布装置では、複数のノズルから溶液を吐出するインクジェット方式の塗布ヘッドを備え、搬送機構によって搬送される錠剤に対し、ノズルより複数の液滴を順次着弾させて塗布を行なう。

溶液の塗布装置においては、種々の原因によって、吐出不良が発生することがある。例えば、溶液中に混入した気泡や異物がノズルを塞ぐことにより、吐出不良が発生する。錠剤の印刷装置においては、塗布対象物である錠剤が粉体の材料を圧縮して形成されている場合、錠剤の搬送過程において、錠剤の表面が削れ、これにより発生した粉体が、ノズルを塞ぐことがある。

溶液の吐出不良が発生すると、塗布対象物に対して所望の塗布量で溶液を塗布することができなくなる。このため、不均一な膜が形成されたり、印刷された文字が判読できなくなったりして、品質の低下をまねく。

そこで、吐出不良を検出するため、塗布ヘッドのノズルから溶液を吐出させ、飛翔中の各液滴をカメラで撮像し、その撮像画像から吐出不良を検出する装置がある。

特開２０１４－０１９１４０号公報

しかしながら、ノズルから吐出される溶液は、ちょっとした風圧などの影響を受け、飛飛翔曲がりが発生することがある。飛翔曲がりが発生すると、吐出された液滴とカメラの焦点位置とがずれ、鮮明な画像が得られない。鮮明な画像が得られないと、画像を用いた判定を正確に行なうことが困難となり、誤判定が生じてしまう。

本発明は、品質が良好な塗布または印刷を行なうことができる、溶液の塗布装置および錠剤印刷装置を提供することである。

本発明の実施形態に係る溶液の塗布装置は、
搬送される印刷対象物に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する溶液の塗布装置であって、
複数のノズルを有し、前記ノズルの吐出口から前記溶液を吐出する印刷ヘッドと、
紫外線領域の波長を有し、前記吐出口を含む領域に対して光を照射する光源と、
前記印刷ヘッドに前記溶液が供給された状態で、前記光源から前記光の照射を受けた前記吐出口の少なくとも１つ含む領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像し、得られた画像から、吐出不良ノズルの有無を判断する制御装置と、
を有することを特徴とする。

本発明の実施形態に係る溶液の塗布装置は、
搬送される印刷対象物に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する溶液の塗布装置であって、
複数のノズルを有し、前記ノズルの吐出口から前記溶液を吐出する印刷ヘッドと、
紫外線領域の波長を有し、前記吐出口を含む領域に対して光を照射する光源と、
前記印刷ヘッドをワイピングするワイプ機構と、
前記ワイプ機構によってワイピングされた後の前記印刷ヘッドの前記吐出口が形成された面を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像し、得られた画像から、前記印刷ヘッドの前記吐出口が形成された面の傷の有無を判断する制御装置と、
を有することを特徴とする。

本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、
錠剤に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する錠剤印刷装置であって、
前記錠剤を搬送する搬送装置と、
前記錠剤に前記溶液を塗布する上記した溶液の塗布装置と、
を有することを特徴とする。

本発明の実施形態によれば、品質が良好な塗布または印刷を行なうことができる。

実施の一形態に係る錠剤印刷装置の全体構成を示す正面図である。 実施の一形態に係る錠剤印刷装置の全体構成示す平面図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の構成図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である。 実施の一形態に係るヘッド清掃装置と吐出不良検出装置の動作状態図である 実施の一形態に係る錠剤印刷装置が行なう印刷処理の流れを示すフローチャートである。 ワイピング後における、塗布ヘッドの下面図の一例を示す。

（第１の実施形態）
以下、本発明の実施形態として錠剤の印刷装置を例にとり、図面を用いて説明する。

錠剤印刷装置１は、図１および図２に示すように、供給装置１０と、搬送装置２０と、検出装置３０と、第１の撮像装置４０と、印刷装置５０と、第２の撮像装置６０と、回収装置７０と、ヘッド清掃装置８０と、吐出不良検出装置９０と、画像処理装置１００と、制御装置１１０とを備えている。

供給装置１０は、ホッパ１１及びシュータ１２を具備する。ホッパ１１は、多数の錠剤Ｔｂを収容し、その収容された錠剤Ｔｂをシュータ１２に順次供給する。シュータ１２は、供給された錠剤Ｔｂを複数列（図２の例では、二列）に整列させ、搬送装置２０に供給する。この供給装置１０は、制御装置１１０に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１１０により制御される。

搬送装置２０は、搬送ベルト２１、駆動プーリ２２、複数（図１の例では、三つ）の従動プーリ２３、駆動部２４、吸引部２５を具備する。搬送ベルト２１は、無端状に形成されており、駆動プーリ２２及び各従動プーリ２３に架け渡されている。駆動プーリ２２及び各従動プーリ２３は軸を中心として回転可能に設けられており、駆動プーリ２２は駆動部２４に連結されている。駆動部２４は、例えばモータであり、制御装置１１０に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１１０により制御される。この駆動部２４は、ロータリーエンコーダなどの位置検出器２４ａを備えている。位置検出器２４ａは、検出信号を制御装置１１０に送信する。制御装置１１０は、その検出信号に基づいて搬送ベルト２１の位置や速度、移動量などの情報を得ることができる。この搬送装置２０は、駆動部２４による駆動プーリ２２の回転によって、各従動プーリ２３と共に搬送ベルト２１を回転させ、その搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂを、図１及び図２中の矢印Ａ１の方向（搬送方向Ａ１）に搬送する。

ここで、図２に示すように、搬送ベルト２１の表面Ｍ１には、円形状の吸引孔２１ａが複数形成されている。これらの吸引孔２１ａは、それぞれ錠剤Ｔｂを吸着する貫通孔であり、二本の搬送経路を形成するように、搬送方向Ａ１に沿って平行に二列に並べられている。各吸引孔２１ａは、吸引部２５に接続されており、その吸引部２５により吸引力を得ることが可能になっている。吸引部２５は、各吸引孔２１ａにより搬送ベルト２１の表面Ｍ１上の錠剤Ｔｂを吸引して保持する。このような搬送ベルト２１の表面Ｍ１には、錠剤Ｔｂが供給装置１０によって載置される。

検出装置３０は、複数の検出部３１（図２の例では、二つ）を具備する。検出部３１は、供給装置１０より搬送方向Ａ１の下流側であって、水平面内において搬送方向Ａ１に交差する方向（例えば直交する方向）に並べられ、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト２１の上方に設けられている。これらの検出部３１は、レーザ光の投受光によって搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂを検出する。検出部３１としては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。また、レーザ光のビーム形状としては、スポットやラインなど各種の形状を用いることが可能である。各検出部３１は制御装置１１０に電気的に接続されており、制御装置１１０に検出信号を送信する。

第１の撮像装置４０は、複数の撮像部４１（図２の例では、二つ）を具備し、搬送ベルト２１上に供給された錠剤Ｔｂの破損（例えば、欠け）や汚れなどの不具合、及び錠剤Ｔｂの位置を検出する検出装置として機能する。撮像部４１は、検出装置３０より搬送方向Ａ１の下流側であって、水平面内において搬送方向Ａ１に交差する方向（例えば直交する方向）に並べられ、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト２１の上方に設けられている。撮像部４１の撮像視野は、搬送ベルト２１により搬送される錠剤Ｔｂが少なくとも１つ入る大きさに設定されている。撮像部４１は、例えば、錠剤Ｔｂが直下に到達したタイミングで撮像を行ない、錠剤Ｔｂの上面を含む画像（錠剤位置検出用の画像）を取得し、取得した画像を画像処理装置１００に送信する。錠剤Ｔｂが撮像部４１の直下に到達するタイミングは、検出装置３０による錠剤Ｔｂの検出を契機として、前述した位置検出器２４ａによって算出することができる。撮像部４１としては、ＣＣＤやＣＭＯＳなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部４１は画像処理装置１００を介して制御装置１１０に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置１１０により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。

印刷装置５０は、印刷ヘッド５１を有していて、第１の撮像装置４０が設けられた位置よりも搬送方向Ａ１の下流側に位置付けられ、搬送ベルト２１の上方に設けられている。印刷ヘッド５１は、複数のノズル５２およびその吐出口５２ａ（図１１参照）を有し、それらの吐出口５２ａから個別にインクを吐出する。この印刷ヘッド５１は、ノズル５２の吐出口５２ａが一列に並ぶ列方向が、水平面内において搬送方向Ａ１と交差するように（例えば直交するように）設けられている。印刷ヘッド５１としては、圧電素子、発熱素子又は磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。印刷ヘッド５１は、昇降機構５３により、搬送ベルト２１に対して接離する方向に昇降動できるようになっている。印刷ヘッド５１の昇降動は、印刷ヘッド５１のヘッドメンテナンス時などに行なわれるが、詳細は後述する。この印刷装置５０は制御装置１１０に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置１１０により制御される。

第２の撮像装置６０は、複数の撮像部６１（図２の例では、二つ）を具備し、搬送ベルト２１上で印刷された錠剤Ｔｂの印刷状態を検出する印刷検査装置として機能する。撮像部６１は、印刷装置５０より搬送方向Ａ１の下流側であって、水平面内において搬送方向Ａ１に交差する方向（例えば直交する方向）に並べられ、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト２１の上方に設けられている。撮像部６１の撮像視野は、搬送ベルト２１により搬送される錠剤Ｔｂが少なくとも１つ入る大きさに設定されている。撮像部６１は、錠剤Ｔｂが直下に到達したタイミングで撮像を行ない、錠剤Ｔｂの上面を含む画像（印刷状態検査用の画像）を取得し、取得した画像を画像処理装置１００に送信する。錠剤Ｔｂが撮像部６１の直下に到達するタイミングは、検出装置３０による錠剤Ｔｂの検出を契機として、前述した位置検出器２４ａによって算出することができる。撮像部６１としては、ＣＣＤやＣＭＯＳなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部６１は画像処理装置１００を介して制御装置１１０に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置１１０により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。

回収装置７０は、第２の撮像装置６０より搬送方向Ａ１の下流側に位置付けられ、搬送装置２０における搬送方向Ａ１の下流側の端部に設けられている。この回収装置７０は、搬送装置２０による保持が解除されることで落下する錠剤Ｔｂを順次受けて回収することが可能に構成されている。なお、搬送装置２０は、搬送ベルト２１上の個々の錠剤Ｔｂが所望の位置、例えば、搬送装置２０における搬送方向Ａ１の下流側の端部に到達した場合に錠剤Ｔｂの保持を解除する。

図２において、搬送方向A１をX方向、このX方向に直交する方向（図２で上方向）をY方向とすると、ヘッド清掃装置８０と吐出不良検出装置９０は、搬送ベルト２１におけるＹ方向のマイナス側（－側）において、吐出不良検出装置９０の方が、ヘッド清掃装置８０よりも搬送ベルト２１に近い状態で列状に設けられる。そして、列状に配列されたヘッド清掃装置８０と吐出不良検出装置９０との延長線上に、一対の印刷ヘッド５１が位置する位置関係とされる。

図３に示すように、ヘッド清掃装置８０は、ワイプ機構８１、液受け部８２、ボールねじ８３、スライダー８４、モータ８５を具備する。ワイプ機構８１と液受け部８２は、スライダー８４に固定され、ボールねじ８３がモータ８５によって回転駆動されることにより、待機位置と清掃位置とに移動することが可能とされる。ここで清掃位置とは、搬送ベルト２１の上面と、昇降機構５３によって上昇した各印刷ヘッド５１の下面と、の間の位置である。

ワイプ機構８１としては、ブレードや布、ブラシなどのワイプ機構、あるいは、そのワイプ機構に、空気を吸引する吸引機構を組み合わせたバキュームワイプ機構などを用いることが可能である。

ヘッド清掃装置８０は、ヘッドメンテナンス時、ヘッド清掃位置に移動し、二列の搬送経路の上方に個別に位置する各印刷ヘッド５１の下面（ノズル面）を清掃して吐出口５２ａや吐出口５２ａ周辺などから粉やインクを除去する（ヘッドメンテナンス）。ヘッド清掃装置８０は制御装置１１０に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１１０により制御される。

吐出不良検出装置９０は、図３に示すように、撮像部９１と、光源９２を具備する。撮像部９１と光源９２は、いずれもワイプ機構８１と一体となって、スライダー８４に固定支持される。従って、撮像部９１と光源９２は、ワイプ機構８１の移動に追従して、移動することができるように構成される。

撮像部９１は、後述するように、印刷ヘッド５０の下方を通過しながら、印刷ヘッド５１に形成されたノズル５２の吐出口５２ａを含む領域を撮像する。撮像部９１の撮像視野は、吐出口５２ａが少なくとも１つ入る大きさであれば良く、全てのノズル５２の吐出口５２ａを一度に撮像できる視野を有していても良い。本実施形態の撮像部９１は、一度に複数の吐出口５２ａを撮像可能とされる。撮像部９１は、撮像した画像（吐出不良検出用の画像）を画像処理装置１００に送信する。撮像部９１としては、ＣＣＤやＣＭＯＳなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。撮像部９１は画像処理装置１００を介して制御装置１１０に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置１１０により制御される。光源９２は、撮像用の照明であり、各印刷ヘッド５１の下面（ノズル面）に向けて光を照射する。光源９２も、制御装置１１０により制御される。

本実施形態において、印刷ヘッド５１に供給される溶液は、紫外線領域の波長の光の照射を受けると、励起され、光を発する蛍光物質を含むインクである。生体への投与を行なう錠剤への印刷においては、可食性であり、食品添加物に使用されているインクを使用することができる。例えば、アスコルビン酸（ビタミンＣ）、リボフラビン（ビタミンＢ２）、アシッドレッド（通称：赤色１０６号）、キナ抽出物などがあり、その他、紫外線領域の波長の光の照射によって光を発する蛍光物質を含むものであればよい。インクは単一の物質である必要はなく、蛍光物質を１種類以上含み、後述の撮像部９１で撮像検出可能な程度に蛍光物質を含んでいれば、複数のインクを混合したものでもよい。

一方、光源９２は、紫外線領域（波長域１００～４００ｎｍ）の波長を有する光を発する光源が用いられる。なお、光源９２は、紫外線領域の波長を有していればよく、ブラックライトや、ＵＶランプなどの各種光源が使用可能である。

図１に戻り、画像処理装置１００は、第１の撮像装置４０により撮像された錠剤位置検出用の画像、第２の撮像装置６０によって撮像された印刷状態検査用の画像、吐出不良検出装置９０で撮像された吐出不良検出用の画像をそれぞれ取り込み、公知の画像処理技術を用いて画像を処理する。

例えば、画像処理装置１００は、第１の撮像装置４０から得られた錠剤位置検出用の画像を処理し、錠剤Ｔｂの破損や汚れなどの不具合を検出し、また、錠剤ＴｂのＸ方向（搬送方向Ａ１）、Ｙ方向及びθ方向の位置情報を検出する（図２参照）。Ｘ方向及びＹ方向の位置とは、例えば、撮像部４１の撮像視野の中心に対するＸＹ座標系の位置である。また、θ方向の位置とは、例えば、撮像部４１の撮像視野のＹ方向の中心線に対する錠剤Ｔｂの回転度合いを示す位置である。このθ方向の位置は、錠剤Ｔｂに割線が設けられている場合や錠剤Ｔｂが楕円形や長円形、四角形などに成型されている場合など、錠剤Ｔｂが方向性を有する形態の場合に検出される。

また、画像処理装置１００は、第２の撮像装置６０から得られた、前述の印刷装置５０による印刷を終えた錠剤Ｔｂの印刷状態検査用の画像を処理し、錠剤Ｔｂに印刷された印刷パターン（例えば、文字やマーク）の印刷位置を検出する（印刷位置情報）。

さらに、画像処理装置１００は、吐出不良検出装置９０の撮像部９１から得られた、吐出不良検出用の画像を処理し、吐出口５２ａの有無、つまり、吐出口５２ａが画像として検出（認識）できたか否か、を検出する（吐出不良情報）。なお、吐出口５２ａの有無を検出する、と記載したが、本実施形態では、詳細は後述するが、正確にいうと、ノズル５２において、その吐出口５２ａまで充填されたインクの有無を検出するものである（以下同様）。

吐出口５２ａの有無の検出は、例えば、次のように行なわれる。撮像部９１が撮像した吐出不良検出用の画像において、少なくとも１つの吐出口５２ａを含む領域を切り出し、その領域の輝度（蛍光量あるいは蛍光強度）が、予め設定された閾値以上の輝度であるかを判定して行なわれる。例えば、輝度が閾値以上であれば、吐出口５２ａが検出されたと判定し、閾値以下であれば、吐出口５２ａが検出されないと判定する。

また別の例として、撮像部９１によって撮像され、取得した吐出不良検出用の画像を閾値を用いて画素ごとに２値化して、閾値以上の画素を黒、閾値以下を白として、黒画素と白画素に分類する。そして、この２値化した画像から、吐出口５２ａを含む領域である黒の合計面積を算出し、その合計面積が予め設定した閾値より大きければ、吐出口５２ａが検出されたと判定し、閾値より小さければ、吐出口５２ａが検出されないと判定するようにしても良い。つまり、撮像部９１によって撮像され、取得した画像を用いた判定手段は問わない。

画像処理装置１００は、各錠剤Ｔｂの不具合情報、各錠剤ＴｂのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報、各錠剤Ｔｂ上の印刷パターンの印刷位置情報、さらに印刷ヘッド５１の吐出不良情報を制御装置１１０に送信する。なお、画像処理装置１００が各情報を送信する際には、それらの情報に各撮像部４１、６１、９１の識別情報を付加して送信する。これにより、制御装置１１０は、送信された情報が、各撮像部４１、６１、９１のうちいずれの撮像部に対応する情報であるかを把握することができる。

制御装置１１０は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部（いずれも図示せず）を備えている。この制御装置１１０は、各種情報や各種プログラムに基づいて供給装置１０、搬送装置２０、検出装置３０、第１の撮像装置４０、印刷装置５０、第２の撮像装置６０、ヘッド清掃装置８０、吐出不良検出装置９０、画像処理装置１００を制御する。また、制御装置１１０は、検出装置３０や位置検出器２４ａから送信される検出信号などを受信する。

この制御装置１１０は、画像処理装置１００から送信された錠剤Ｔｂの不具合情報に基づいて、錠剤Ｔｂの破損や汚れなどの不具合が錠剤Ｔｂにあるか否かを判断する。これは、正しい錠剤画像を予め制御装置１１０に記憶させておき、この正しい錠剤画像と実際の錠剤画像とを比較して行なわれる。制御装置１１０は、不具合が錠剤Ｔｂにあると判断した場合、その錠剤Ｔｂに対する印刷を禁止し、その錠剤Ｔｂを回収装置７０以外の回収容器（不図示）により回収する。一方、不具合が錠剤Ｔｂにないと判断した場合には、その錠剤Ｔｂに対する印刷を許可する。

また、制御装置１１０は、画像処理装置１００から送信された錠剤ＴｂのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報に基づいて、Ｘ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置が検出された錠剤Ｔｂに対する印刷条件を設定する。なお、記憶部には、文字や記号などの印刷パターン及びその印刷パターンの錠剤Ｔｂ上での印刷位置などを含む印刷データ、搬送ベルト２１の移動速度データなどが記憶されている。例えば、制御装置１１０は、錠剤ＴｂのＹ方向の位置情報に基づいて、印刷ヘッド５１において今回の印刷に用いるノズルの使用範囲を決定し、錠剤ＴｂのＸ方向の位置情報に基づいて、錠剤Ｔｂに対して印刷を開始するタイミングを決定する。また、制御装置１１０は、錠剤Ｔｂのθ方向の位置情報に基づいて、錠剤Ｔｂのθ方向の位置に対応させて印刷条件を設定する。一例として、印刷パターンの向きを０度から１７９度の範囲で１度ずつ回転させた１８０通りの印刷データを制御装置１１０の記憶部に登録しておき、それらの印刷データの中から、検出されたθ方向の位置に適合する角度の印刷データを選択して印刷条件を設定する。

さらに、制御装置１１０は、画像処理装置１００から送信された錠剤Ｔｂの印刷パターンの印刷位置情報に基づいて、印刷パターン（例えば、文字やマーク）が錠剤Ｔｂに正常に印刷されたか否かを判断する。これは、正しい印刷パターンを予め制御装置１１０に記憶させておき、この正しい印刷パターンと実際の印刷後の錠剤Ｔｂ上の印刷パターンとを比較して行なわれる。制御装置１１０は、印刷パターンが錠剤Ｔｂに正常に印刷されたと判断した場合、その検査に合格した錠剤Ｔｂを回収装置７０により回収する。一方、印刷パターンが錠剤Ｔｂに正常に印刷されなかったと判断した場合には、その検査に不合格の錠剤Ｔｂを回収装置８０以外の回収容器（不図示）により回収する。

また、制御装置１１０は、画像処理装置１００から送信された吐出不良情報に基づいて、吐出不良のノズル（吐出不良ノズル）の有無を判断する。具体的には、画像処理装置１００から送信された吐出不良情報において、印刷ヘッド５１が有する全てのノズル５２の吐出口５２ａが検出された場合には、インクが充填されていないノズル５１は「無し」と判断する。これに対し、印刷ヘッド５１において、吐出口５２ａが検出されないノズル５２が１つでも存在した場合、または、予め定めた特定の吐出口５２ａ、あるいは予め定めた特定領域内の吐出口５２ａが検出されないと判定された場合には、インクが充填されていないノズル、つまり吐出不良ノズルは「有り」と判断する。このように、吐出不良ノズルが存在するか否かの判断（検査）は、印刷ヘッド５１が有する全ノズルを対象として行なってもよいし、錠剤Ｔｂの印刷に使用するノズルのみを検査対象としてもよい。制御装置１１０は、吐出不良ノズル有りと判断した場合には、ヘッド清掃装置８０に対し、清掃の指示を行なう。
（印刷工程）
次に、錠剤印刷装置１が行なう印刷工程（印刷処理）について、図１０のフローチャートを参照して説明する（図１も適宜参照）。なお、印刷を実行するまでの間には、印刷に要する印刷データなどの各種情報が制御装置１１０の記憶部に記憶されており、また、供給装置１０のホッパ１１には印刷対象の錠剤Ｔｂが多数投入されている。

図１０に示すように、錠剤印刷装置１の電源をＯＮにすると、ステップＳ１において、インクが印刷ヘッド５１に供給される。

ステップＳ２において、ヘッドメンテナンスとして、ヘッド清掃装置８０によって印刷ヘッド５１の清掃が行なわれる。

ここで、印刷ヘッド５１の清掃について、図４～図９を用いて説明する。

まず、印刷ヘッド５１の清掃を開始する場合には、図４に示すように、昇降機構５３（図１参照）は、印刷ヘッド５１を退避位置Ｔ１まで上昇させる。次に、図５において、ヘッド清掃装置８０が、吐出不良検出装置９０を伴って、待機位置から左方向に移動し、清掃位置（清掃開始位置）まで移動する。なお、ヘッド清掃装置８０等の移動は、制御装置１１０によってモータ８５が駆動制御されることで実行される。ヘッド清掃装置８０が清掃開始位置に位置したとき、液受け部８２は、一対の印刷ヘッド５１の下方に位置付けられる。次に、図６に示すように、昇降機構５３が、印刷ヘッド５１を、ワイプ機構８１が印刷ヘッド５１に当接する高さレベル程度（メンテ位置Ｔ２）に下降させる。そして、印刷ヘッド５１がメンテ位置Ｔ２に位置付けられた状態で、印刷ヘッド５１の全てのノズル５２から液受け部８２に向けて、インクを吐出させる（ダミー吐出）。これにより、ノズル５２の吐出口５２ａに付着した粉はインクと共に排除され、液受け部８２に貯留される。なお、液受け部８２に貯留されたインクは、配管（不図示）を介して排出される。ダミー吐出が終了すると、図７に示すように、ワイプ機構８１を右方向に移動させて待機位置に戻す。このワイプ機構８１が清掃開始位置から待機位置まで移動する間、印刷ヘッド５１のノズル５２からインクを染みださせ、吐出口５２ａやその周辺に付着した粉をインクと共にワイプ機構８１により拭き取ることで除去する（ワイピング）。このようにヘッド清掃装置８０による印刷ヘッド５１の清掃方法としては、ダミー吐出やワイピングなどを組み合わせて清掃を行なうことが可能である。なお、ダミー吐出、ワイピングの双方を行なって、吐出口５２ａ及びその吐出口５２ａ周辺の両方を清掃することが望ましいが、どちらか一方だけを行なうようにしても良い。

なお、図９に示すように、印刷ヘッド５１の清掃が終了すると、昇降機構５３が、印刷ヘッド５１を下降させて、印刷位置Ｔ３に戻す。

ステップＳ３において、制御装置１１０は、吐出不良検出装置９０からの吐出不良情報に基づいて、印刷ヘッド５１が有するノズル５２の中に、吐出不良ノズルが存在するか否かが判断される。

ヘッド清掃装置８０によって印刷ヘッド５１のワイピングが行なわれる際、吐出不良検出装置９０も、ヘッド清掃装置８０に追従し、一体となって印刷ヘッド５１の下方を移動する。この時、撮像部９１は、ワイプ機構８１のワイピング動作に追従して、印刷ヘッド５１の下面を撮像する。つまり、撮像部９１は、ワイピングのために移動するワイプ機構８１に追従して移動し、その間に、光源９２から紫外線領域の波長を有する光を各印刷ヘッド５１の下面（ノズル面）に向けて照射し、この照射状態で、印刷ヘッド５１の下を走査しながら、複数回に分けて、全吐出口、あるいは吐出不良検出の対象とする吐出口を撮像し、取得した画像を吐出不良検出用の画像として、画像処理装置１００に送信する。

先に述べたように、本実施形態で用いられるインクは、紫外線領域の波長の光の照射を受けると、励起され、光を発する蛍光物質を含むインクである。そして、光源９２からは、紫外線領域（波長域１００～４００ｎｍ）の波長を有する光が発せられる。このため、インクがノズル５２の吐出口５２ａまで充填された吐出良好なノズル（吐出良好ノズル）に関しては、その吐出口５２ａに存在するインクからの輝度が、画像処理装置１００で充分に認識できる程度の輝度であるため、ノズル５２に存在するインクを介して吐出口５２ａの存在を認識することができる。これに対して、吐出不良のノズル（吐出不良ノズル）に関しては、インクがノズル５２の吐出口５２ａまで充填されていないために、インクからの蛍光がないか、微量であり、画像処理装置１００では認識できない。この点に関しては、発明者らによって、確認された。

ワイピング後における、塗布ヘッドの下面図の一例を図１１に示す。図１１において符号Ｎが付された吐出口からは、蛍光が発せられないから暗くなる。なお、図１１においては、暗い部分は白く、明るい部分は黒く表現してある。従って、撮像部９１によって撮像された画像においては、ノズルにインクが充填されている吐出良好ノズルにおいては、図１１の吐出口５２ａのように、インク由来の蛍光が撮像されることになる。一方、インクが未充填のノズルや異物が詰まったノズルなどの吐出不良ノズルにおいては、図１１に示す吐出不良ノズルＮのように、ノズルの吐出口５２ａの部分に蛍光が撮像されず、欠けることになる。撮像部９１によって撮像された吐出口５２ａを含む領域の画像が画像処理装置１００によって処理され、ノズルの吐出不良情報が生成される。このステップＳ３は、制御装置１１０において、印刷ヘッド５１に対する清掃の必要性の有無を判断するものでもある。吐出不良ノズル有り（ＮＧ）と判断された場合には、再びステップＳ２を繰り返し、印刷ヘッド５１の清掃を行なう。

ステップＳ３において、吐出不良ノズル無しと判断されると（ＯＫ）、ステップＳ４において、生産開始、つまり錠剤Ｔｂへの印刷が開始される。具体的には、搬送ベルト２１が回転している状態で、供給装置１０から錠剤Ｔｂが搬送ベルト２１上に順次供給される。錠剤Ｔｂは搬送ベルト２１上に二列に並んで所定の移動速度で搬送されていき、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂに対する印刷が開始されることになる。

搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂは、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに検出部３１によって検出され、その検出部３１による検出信号がトリガ信号として制御装置１１０に入力される。その後、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂは、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに撮像部４１によって撮像される。前述のトリガ信号に基づくタイミング、すなわち錠剤Ｔｂが撮像部４１の下方に到達したタイミングで錠剤Ｔｂの上面が撮像部４１により撮像され、その撮像された画像が画像処理装置１００に送信される。

そして、撮像部４１から送信された印刷前検査用の画像に基づき、個々の錠剤Ｔｂの不具合情報が画像処理装置１００により生成され、制御装置１１０に送信される。その錠剤Ｔｂの不具合情報に基づき、錠剤Ｔｂの不具合の有無が制御装置１１０により判断される。不具合が錠剤Ｔｂにあると判断されると、その錠剤Ｔｂに対する印刷が禁止される。また、撮像部４１から送信された錠剤位置検出用の画像に基づき、錠剤Ｔｂの位置情報（例えば、錠剤ＴｂのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報）が画像処理装置１００により生成され、制御装置１１０に送信される。その錠剤Ｔｂの位置情報に基づき、錠剤Ｔｂに対する印刷条件が制御装置１１０により設定される。

その後、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔｂは、前述のトリガ信号に基づくタイミング、すなわち錠剤Ｔｂが印刷ヘッド５１の下方に到達したタイミングで、前述の印刷条件に基づいて印刷装置５０により印刷が実行される。印刷装置５０の各印刷ヘッド５１において、各吐出口５１ａからインクが適宜吐出され、その錠剤Ｔｂの上面に文字やマークなどの印刷パターンが印刷される。

錠剤Ｔｂは、第２の撮像装置６０により検査される。すなわち、錠剤Ｔｂは、錠剤Ｔｂの搬送経路ごとに撮像部６１によって撮像され、その撮像された画像が画像処理装置１００に送信される。撮像部６１から送信された印刷状態検査用の画像に基づき、印刷パターンの印刷位置情報が画像処理装置１００により生成され、制御装置１１０に送信される。その印刷パターンの検査情報に基づき、錠剤Ｔｂに対する印刷良否が制御装置１１０により判断される。

その後、印刷良否の判断が完了した錠剤Ｔｂは、搬送ベルト２１の下流側の端部に位置すると、搬送ベルト２１に保持された状態から解放され、搬送ベルト２１から落下して回収装置７０により回収される。このとき、前述の不具合がなく、印刷パターンの印刷位置に問題のなかった錠剤Ｔｂは、そのまま落下して回収装置７０により回収されるが、不具合があった錠剤Ｔｂや印刷パターンの印刷位置が不良であった錠剤Ｔｂは、搬送途中でエアの吹き付けにより排除される。なお、エアの吹き付けにより排除された錠剤Ｔｂは、例えば、回収装置７０の隣に設けられた他の回収容器（不図示）によって回収される。また、不具合があった錠剤Ｔｂや印刷パターンの検査が不合格であった錠剤Ｔｂが多発した場合（例えば、欠けのある錠剤Ｔｂや印刷パターンの検査が不合格であった錠剤Ｔｂが連続して１０個検出された場合）には、制御装置１１０は錠剤印刷装置１に不具合が発生したと判断し、新たな錠剤Ｔｂの搬送ベルト２１への供給を停止し、この時点で搬送ベルト２１上に存在する錠剤Ｔｂを回収して錠剤印刷装置１を停止させる。このとき、搬送ベルト２１上に残存している錠剤Ｔｂは、回収装置７０の隣に設けられた他の回収容器（不図示）に回収する。これによって、良品が回収される回収装置７０内に、未印刷の錠剤Ｔｂが混入するのを防止することができる。なお、このように回収された錠剤Ｔｂのうち、欠け等の破損がなく、かつ未印刷の錠剤Ｔｂは、錠剤印刷装置１に再投入することができる。

生産開始から一定時間、例えば１時間経過すると、生産中ヘッドメンテナンスＳ５として、ヘッド清掃装置８０による印刷装置５０の清掃が行なわれる。すなわち、ステップＳ２と同様に、印刷ヘッド５１および、吐出口５２ａをダミー吐出やワイピングによって清掃する。

ステップＳ６において、吐出不良検出装置９０を用いた吐出不良ノズルの有無検査が行なわれる。ステップＳ６の工程は、ステップＳ３と同様に行なわれ、吐出不良ノズルの有無が判断される。吐出不良あり（ＮＧ）と判断されると、再びステップＳ５に戻り、ヘッド清掃装置８０による印刷装置５０の清掃が行なわれる。

ステップＳ６で、吐出不良なしと判断されると（ＯＫ）、生産が再開される（ステップＳ７）。生産の工程は、ステップＳ４と同様である。

ステップＳ８において、指定した数の錠剤すべてに印刷が終了したと判断されると（ＹＥＳ）、生産が終了する。一方、印刷錠剤が指定数に達しない場合（ＮＯ）は、ステップＳ９において生産が継続される。以後、すべての錠剤に印刷が完了するまで、ステップＳ５～ステップＳ９が繰り返されることとなる。

ここで、前述の錠剤としては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、例えば、裸錠（素錠）や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠があり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。

以上、本実施形態では、錠剤の印刷装置を例にあげて説明した。本実施形態によれば、溶液の塗布装置に蛍光物質を含むインクを供給することにより、インクが充填された吐出良好（吐出に問題のない）ノズルからは、紫外線領域の波長を有する光源の照射によって、インクを介して高い輝度の光が発せられる。一方、吐出不良ノズルでは、紫外線領域の波長を有する光源の照射をしても、低輝度あるいは、非発光となる。従って、吐出良好ノズルと吐出不良ノズルでは、高いコントラストが生じ、吐出不良ノズルか否かを高感度に検出することが可能であり、塗布ヘッドの吐出不良を正確に判定することができる。蛍光を利用すると、自然光では検出できなかったノズル（吐出口）の画像がインクを介してきわめて鮮明に得られる。

また、本実施形態では、ノズルから吐出されて飛翔中のインクを撮像するのではなく、印刷ヘッドの吐出口を含む領域を撮像するため、飛翔曲がりによって焦点位置がずれることがなく、より正確に吐出不良ノズルの情報を得ることができる。

さらに、本実施形態においては、インクを吐出せずに、吐出不良ノズルを検出することも可能であり、インクの浪費を抑えることも可能である。
（第２の実施形態）
次に、第２の実施形態について、説明する。本実施形態の内部構成は、上記した第１の実施形態の図１および図２と同様である。本実施形態では、印刷ヘッド５１の吐出口５２ａが形成された面（下面）に生じた傷を検出する。

錠剤印刷装置において、搬送ベルトに錠剤を供給する際、錠剤は立姿勢になったり、あるいは錠剤同士が重なったりすることがある。この異常姿勢の錠剤がそのまま印刷装置５０に搬送されると、錠剤が印刷ヘッド５１の下面とぶつかる、あるいは擦れることがある。このとき、印刷ヘッド５１に傷が生じることがある。印刷ヘッド５１の下面、特に吐出口５２ａのある領域近くに傷が生じた場合、インクの吐出方向が乱れ、正しい印刷パターンを印刷できなくなることがある。

印刷ヘッド５１の吐出口５２ａが形成された面に傷が生じている場合、印刷ヘッド５１の各吐出口５２ａからインクを染みださせ、吐出口５２ａやその周辺に付着した粉をインクと共にワイプ機構８１により拭き取ることで除去する（ワイピング）際に、インクが傷に入り込む。このインクは、前述した蛍光インクであるため、光源９２による光を照射すると、印刷ヘッド５１に生じた傷を鮮明に検出することができる。

撮像部９１は、光源９２の照射を受けた印刷ヘッド５１の吐出口５２ａが形成された面を撮像し、撮像した画像（傷検出用の画像）を画像処理装置１００に送信する。画像処理装置１００は、傷検出用の画像から、傷の有無に関する傷判定情報を生成し、制御装置１１０に送信する。制御装置１１０は、傷ありと判断した場合、複数のノズルのうち、錠剤印刷に使用するノズルを変更する。あるいは、オペレーターに印刷ヘッド５１自体の交換を促す。

傷の有無の傷判定情報は、例えば、次のようにして得ることができる。撮像部９１が撮像した傷検出用の画像において、少なくとも１つの吐出口５２ａを含む領域を切り出し、その領域の輝度（蛍光量あるいは蛍光強度）が、予め設定された複数の閾値と比較して判定が行なわれる。切り出した画像には、吐出口と傷がともに検出され得る画像Ａ、傷だけが検出され得る画像Ｂ、吐出口の画像だけが検出され得る画像Ｃ、吐出口と傷のいずれも検出されない画像Ｄとが混在すると見込まれる。そこで、輝度が閾値ａを超えれば画像Ａ、輝度が閾値ａと閾値ｂ（＜ａ）との間であれば画像Ｂ、輝度が閾値ｂと閾値ｃ（＜ｂ）との間であれば画像Ｃ、輝度が閾値ｃ未満であれば画像Ｄに相当する画像であると判定できる。画像Cは、吐出良好ノズルに相当する。また、画像Aは、ノズルは吐出良好であるが、印刷ヘッド５１に傷が有るため、前述の通り、印刷ヘッド５１を交換するか、複数のノズルのうち、錠剤印刷に使用するノズルを変更することが好ましい。

第２の実施形態によれば、印刷ヘッドに生じた傷を、第１の実施形態での吐出良好ノズルの検出と同様な要領で、インクからの蛍光を介して検出することで、インクの吐出方向の乱れを防ぎ、印刷不良の錠剤を減らすことができる。また、上述の吐出不良ノズルの検出と共に、傷の検出も行なうことも可能である。

なお、この傷の検出は、単独で実行しても良いし、ステップＳ３での吐出不良のノズルが存在するか否かの判断と一緒に行なうようにしても構わない。

また、本発明の各実施形態は、いずれも錠剤の印刷装置に適用した例で説明したが、インクジェット式の装置であれば、印刷対象物は問わない。インクジェット方式の装置であれば、例えば、液晶の表示装置や半導体装置の製造などでも実施可能である。その場合、充填するインクは、紫外線領域の波長を有する光の照射によって、可視光領域の光を発するものであれば、可食性に限らず、種々の蛍光物質を含むインクが使用可能である。

また、図１０におけるステップＳ３では、ヘッド清掃装置８０によるワイピング動作時に、吐出不良検出装置９０を用いた、吐出不良検出用の画像の取得も行なうようにした。しかしながら、ワイピング動作が終了した後に、印刷ヘッド５１を退避位置Ｔ１に位置付けて、再度図５の状態とし、印刷ヘッド５１を退避位置Ｔ１に維持した状態で吐出不良検出装置９０を右方向に移動させながら、撮像部９１が印刷ヘッド５１の下面の画像を取得するようにしても構わない。さらに、ヘッド清掃装置８０と吐出不良検出装置９０とが、個別に移動できるように構成しても構わない。

以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

１ 錠剤印刷装置
１０ 供給装置
２０ 搬送装置
２１ 搬送ベルト
３０ 検出装置
４０ 第１の撮像装置
５０ 印刷装置
５１ 印刷ヘッド
５２ ノズル
５２ａ 吐出口
５３ 昇降機構
６０ 第２の撮像装置
７０ 回収装置
８０ ヘッド清掃装置
８１ ワイプ機構
８２ 液受け部
８３ ボールねじ
８４ スライダー
８５ モータ
９０ 吐出不良検出装置
９１ 撮像部
９２ 光源
１００ 画像処理装置
１１０ 制御装置
Ｔｂ 錠剤
Ａ１ 矢印（搬送方向）
Ｍ１ 表面
Ｎ 不良ノズル

Claims (9)

1. 搬送される印刷対象物に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する溶液の塗布装置であって、
   複数のノズルを有し、前記ノズルの吐出口から前記溶液を吐出する印刷ヘッドと、
   紫外線領域の波長を有し、前記吐出口を含む領域に対して光を照射する光源と、
   前記印刷ヘッドに前記溶液が供給された状態で、前記光源から前記光の照射を受けた前記吐出口の少なくとも１つ含む領域を撮像する撮像部と、
   前記撮像部が撮像し、得られた画像から、吐出不良ノズルの有無を判断する制御装置と、
   を有することを特徴とする溶液の塗布装置。
2. 前記印刷ヘッドをワイピングするワイプ機構を有し、
   前記撮像部は、前記ワイプ機構と一体に、固定されて設けられることを特徴とする請求項１記載の溶液の塗布装置。
3. 前記ワイプ機構は、前記印刷対象物の搬送方向に直交する方向に移動することを特徴とする請求項２記載の溶液の塗布装置。
4. 前記ワイプ機構と一体に設けられ、前記印刷ヘッドから吐出される溶液を受ける液受け部をさらに有し、
   前記ワイプ機構がワイピングを行っていない待機位置にあるときにおいて、前記印刷ヘッドに近い方から前記撮像部、前記ワイプ機構、前記液受け部の順に並ぶように設けられることを特徴とする請求項３記載の溶液の塗布装置。
5. 前記撮像部は、前記ワイプ機構によるワイピングに追従しながら、前記吐出口を撮像することを特徴とする請求項２乃至請求項４のいずれか一項記載の溶液の塗布装置。
6. 前記制御装置は、前記吐出不良ノズルが有ると判断した場合、前記ワイプ機構にワイピングを行わせる請求項２乃至請求項５のいずれか一項記載の溶液の塗布装置。
7. 前記制御装置はさらに、前記画像から前記印刷ヘッドの前記吐出口が形成された面の、傷の有無を検出する請求項１乃至請求項６いずれか一項記載の溶液の塗布装置。
8. 搬送される印刷対象物に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する溶液の塗布装置であって、
   複数のノズルを有し、前記ノズルの吐出口から前記溶液を吐出する印刷ヘッドと、
   紫外線領域の波長を有し、前記吐出口を含む領域に対して光を照射する光源と、
   前記印刷ヘッドをワイピングするワイプ機構と、
   前記ワイプ機構によってワイピングされた後の前記印刷ヘッドの前記吐出口が形成された面を撮像する撮像部と、
   前記撮像部が撮像し、得られた画像から、前記印刷ヘッドの前記吐出口が形成された面の傷の有無を判断する制御装置と、
   を有することを特徴とする溶液の塗布装置。
9. 錠剤に対して、紫外線領域の波長の光の照射を受けると光を発する蛍光物質を含む溶液を塗布する錠剤印刷装置であって、
   前記錠剤を搬送する搬送装置と、
   前記錠剤に前記溶液を塗布する請求項１乃至請求項８のいずれか一項記載の溶液の塗布装置と、
   を有することを特徴とする錠剤印刷装置。

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