<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1から図7を参照して説明する。
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る錠剤印刷装置1は、錠剤供給部10と、搬送部20と、検出部30と、撮像部40と、印刷部50と、撮像部60と、回収部70と、供給部80と、制御部90とを備えている。検出部30は撮像タイミング検出用であり、撮像部40は錠剤位置検出用であり、撮像部60は印刷状態検査用である。
錠剤供給部10は、ホッパ11及びシュータ12を有している。この錠剤供給部10は、印刷対象となる錠剤Tを搬送部20に供給することが可能に構成されており、搬送部20の一端側に位置付けられている。ホッパ11は、多数の錠剤Tを収容し、収容した錠剤Tをシュータ12に順次供給する。シュータ12は、ホッパ11から供給された錠剤Tを一列に整列させて搬送部20に供給する。錠剤供給部10は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。
搬送部20は、搬送ベルト21、駆動プーリ22、複数(図1の例では、三つ)の従動プーリ23、モータ(駆動部)24、位置検出器25及び吸引チャンバ(吸引部)26を有している。搬送ベルト21は、無端状のベルトであり、駆動プーリ22及び各従動プーリ23に架け渡されている。駆動プーリ22及び各従動プーリ23は装置本体に回転可能に設けられており、駆動プーリ22はモータ24に連結されている。モータ24は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。位置検出器25は、エンコーダなどの機器であり、モータ24に取り付けられている。この位置検出器25は電気的に制御部90に接続されており、検出信号を制御部90に送信する。制御部90は、検出信号に基づいて搬送ベルト21の位置や速度、移動量などの情報を得ることができる。搬送部20は、モータ24による駆動プーリ22の回転によって各従動プーリ23と共に搬送ベルト21を回転させ、搬送ベルト21上の錠剤Tを図1中の矢印H1の方向(搬送方向H1)に搬送する。
搬送ベルト21には、図2に示すように、円形状の吸引孔21aが複数形成されている。これらの吸引孔21aは、それぞれ錠剤Tを吸着する貫通孔であり、一本の搬送経路を形成するように搬送方向H1に沿って一列に並べられている。各吸引孔21aは、吸引チャンバ26(図1参照)に形成された吸引路(図示せず)を介して吸引チャンバ26内に接続されており、吸引チャンバ26により吸引力を得ることが可能になっている。吸引チャンバ26には、ポンプなどの吸気部が吸引管(いずれも図示せず)を介して接続されており、吸気部の作動により吸引チャンバ26の内部は減圧される。吸引管は、吸引チャンバ26の側面(搬送方向H1と平行な面)の略中央に接続されている。また、吸気部は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。吸引チャンバ26の内部が減圧されると、搬送ベルト21の各吸引孔21a上に置かれた錠剤Tは吸引チャンバ26により吸引され、搬送ベルト21上に保持される。
検出部30は、錠剤供給部10が設けられた位置よりも搬送方向H1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト21の上方に設けられている。この検出部30は、レーザ光の投受光によって搬送ベルト21上の錠剤TのX方向(搬送方向H1)の位置を検出し、下流に位置する各装置のトリガーセンサとして機能する。検出部30としては、例えば、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。検出部30は制御部90に電気的に接続されており、制御部90に検出信号を送信する。
撮像部40は、検出部30が設けられた位置よりも搬送方向H1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト21の上方に設けられている。この撮像部40は、前述の錠剤TのX方向の位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部40の直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(錠剤位置検出用の画像)を取得し、取得した画像を制御部90に送信する。撮像部40としては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。撮像部40は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
ここで、前述の検出部30は、搬送ベルト21上の錠剤TのX方向(搬送方向H1)の位置を検出する検出部として機能し、撮像部40は、錠剤位置検出用の画像を撮像することで、搬送ベルト21上の錠剤TのX方向の位置に加え、Y方向(水平面内において搬送方向H1と直交する方向)及びθ方向の位置を検出する(図2参照)。このため、撮像部40は、水平面内において、搬送ベルト21上の錠剤Tの搬送方向H1と直交(交差の一例)する方向の位置を検出する検出部として機能する。
前述のX方向及びY方向の位置とは、例えば、撮像部40の撮像視野の中心(基準位置)に対するXY座標系の位置である。また、θ方向の位置とは、例えば、撮像部40の撮像視野のY方向の中心線に対する錠剤Tの回転度合いを示す位置である。このθ方向の位置は、錠剤Tに割線が設けられている場合や錠剤Tが楕円形や長円形、四角形などに成型されている場合など、錠剤Tが方向性を有する形態である場合に検出される。
印刷部50は、インクジェットヘッド51を有している。インクジェットヘッド51は、撮像部40が設けられた位置よりも搬送方向H1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト21の上方に設けられている。このインクジェットヘッド51は、図2に示すように、複数(例えば数百個から数千個)のノズル51aを有しており、そのノズル51aが一列に並ぶ方向(ノズル列)が水平面内で搬送方向H1と直交(交差の一例)するように設けられている。図3に示すように、インクジェットヘッド51は、各ノズル51aに加え、流入口51bと、インク流路51cと、流出口51dとを有している。各ノズル51aは、インクジェットヘッド51の下面(ノズル面)に形成されており、インク流路51cにつながっている。流入口51bは、インクがインクジェットヘッド51内に流入する開口である。インク流路51cは、流入口51bから流入したインクが流れる内部流路である。流出口51dは、インク流路51cを通過したインクがインクジェットヘッド51外へ流出する開口である。インクジェットヘッド51は、インク流路51cから各ノズル51aに供給されたインクを圧電素子などの駆動によって各ノズル51aから個別に吐出する。インクジェットヘッド51としては、圧電素子、発熱素子又は磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。インクジェットヘッド51は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。
図1及び図2に戻り、撮像部60は、印刷部50が設けられた位置よりも搬送方向H1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト21の上方に設けられている。この撮像部60は、前述の錠剤TのX方向の位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部60の直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(印刷状態検査用の画像)を取得し、取得した画像を制御部90に送信する。撮像部60としては、例えば、前述の撮像部40と同様、CCDやCMOSなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。撮像部60は制御部90に電気的に接続されており、その駆動が制御部90により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
回収部70は、撮像部60が設けられた位置よりも搬送方向H1の下流側に位置付けられ、搬送部20における搬送方向H1の下流側の端部に設けられている。この回収部70は、搬送部20による保持が解除されて落下する錠剤Tを良品と不良品とに分けて回収するように構成されている。なお、搬送部20は、搬送ベルト21上の個々の錠剤Tが所定の位置、例えば、搬送部20における搬送方向H1の下流側の端部に到達した場合に錠剤Tの保持を解除する。
供給部80は、図3に示すように、インク供給部81と、液体供給部82とを有している。この供給部80は、インク供給部81によりインクジェットヘッド51にインクを供給し、液体供給部82によりインク供給部81の一部を介して液体(例えば洗浄液)をインクジェットヘッド51に供給する。
インク供給部81は、インクボトル81aと、インク加圧配管81bと、インク供給配管81cと、インク排出配管81dとを有している。
インクボトル81aは、インクを収容するインクタンク(容器)である。インクは消費期限を有しており、例えば、インクボトル81aの開封後、すなわちインクボトル81a内のインクが空気に触れてから24時間後が消費期限である。
インク加圧配管81bは、インクボトル81aの内部に気体(例えばエア)を供給することが可能に接続されている。インク加圧配管81bの一端は、インクボトル81aの上面から内部に侵入し、インクボトル81a内の液面に接触しない位置まで伸びている。また、インク加圧配管81bの他端は二本に分岐している。この分岐した二本の配管の一方にはインク加圧弁81eが設けられており、他方の配管には大気開放弁81fが設けられている。また、インク加圧配管81bにおけるインクボトル81a側の一端と分岐点(インク加圧配管81bが分岐した箇所)との間には、逆流防止弁81gが設けられている。インク加圧弁81eや大気開放弁81f、逆流防止弁81gはそれぞれ電気的に制御部90に接続されており、それらの駆動(開閉)は制御部90により制御される。
インク供給配管81cは、インクボトル81aからインクジェットヘッド51にインクを供給することが可能にインクボトル81aとインクジェットヘッド51とを接続する。インク供給配管81cの一端は、インクボトル81aの上面から内部に侵入し、インクボトル81aの底面付近まで伸びている。また、インク供給配管81cの他端はインクジェットヘッド51の流入口51bにつながっている。
インク排出配管81dは、インクジェットヘッド51から排液設備(不図示)にインクを排出することが可能にインクジェットヘッド51と排液設備とを接続する。インク排出配管81dの一端はインクジェットヘッド51の流出口51dにつながっており、その他端は排液設備につながっている。インク排出配管81dにはインク排出弁81hが設けられている。インク排出弁81hは電気的に制御部90に接続されており、その駆動(開閉)は制御部90により制御される。
ここで、インク加圧弁81e、逆流防止弁81g及びインク排出弁81hが開状態になると(その他のすべての弁は閉状態)、気体(例えばエア)がインク加圧配管81bを介してインクボトル81a内に供給され、インクボトル81a内のインクに圧が加わり、インクボトル81a内のインクがインクボトル81aからインク供給配管81cに流れる。なお、弁が開状態であるとは弁が開いて流体が流れる状態であり、弁が閉状態であるとは弁が閉じて流体が流れない状態である。
液体供給部82は、液体ボトル82aと、液体加圧配管82bと、液体供給配管82cとを有している。
液体ボトル82aは、液体(例えば洗浄液)を収容する液体タンク(容器)である。液体としては、例えば、インクを洗い流すことができる洗浄液が用いられる。
液体加圧配管82bは、液体ボトル82aの内部に気体(例えばエア)を供給することが可能に接続されている。液体加圧配管82bの一端は、液体ボトル82aの上面から内部に侵入し、液体ボトル82a内の液面に接触しない位置まで伸びている。また、液体加圧配管82bの他端は二本に分岐している。この分岐した二本の配管の一方には液体加圧弁82dが設けられており、他方の配管には大気開放弁82eが設けられている。液体加圧弁82dや大気開放弁82eはそれぞれ電気的に制御部90に接続されており、それらの駆動(開閉)は制御部90により制御される。
液体供給配管82cは、液体ボトル82aからインクボトル81aに液体を供給することが可能に液体ボトル82aとインク加圧配管81bの途中とを接続する。液体供給配管82cの一端は、液体ボトル82aの上面から内部に侵入し、液体ボトル82aの底面付近まで伸びている。また、液体供給配管82cの他端は、インク加圧配管81bの途中であって、加圧用の気体が流れる方向において逆流防止弁81gよりも下流側に接続されている。液体供給配管82cには液体供給弁82fが設けられている。液体供給弁82fは電気的に制御部90に接続されており、その駆動(開閉)は制御部90により制御される。
ここで、液体加圧弁82d、液体供給弁82f及びインク排出弁81hが開状態になると(その他のすべての弁は閉状態)、気体(例えばエア)が液体加圧配管82bを介して液体ボトル82a内に供給され、液体ボトル82a内の液体に圧が加わり、液体ボトル82a内の液体が液体ボトル82aから液体供給配管82cに流れる。
図1に戻り、制御部90は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータ(不図示)と、処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部90aとを有している。この制御部90には、画像処理部91と、入力部92と、期限検出部93と、報知部94とが電気的に接続されている。制御部90は、各種情報及び各種プログラムに基づいて錠剤供給部10や搬送部20、撮像部40、印刷部50、撮像部60、供給部80、画像処理部91、報知部94などを制御する。また、制御部90は、位置検出器25や検出部30、期限検出部93から送信される検出信号、入力部92から送信される入力信号などを受信する。
画像処理部91は、撮像部40により撮像された錠剤位置検出用の画像及び撮像部60によって撮像された印刷状態検査用の画像を取り込み、公知の画像処理技術を用いて画像を処理する。例えば、画像処理部91は、撮像部40から得られた錠剤位置検出用の画像を処理し、錠剤TのX方向、Y方向及びθ方向の位置(図2参照)を取得する。また、画像処理部91は、撮像部60から得られた印刷状態検査用の画像を処理し、錠剤Tに印刷された印刷パターン(例えば文字やマーク)の印刷位置や形状、サイズを取得する。そして、画像処理部91は、前述のように取得した各錠剤TのX方向、Y方向及びθ方向の位置情報、さらに、各錠剤T上の印刷パターンの印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報を制御部90に送信する。
制御部90は、画像処理部91から送信された錠剤TのX方向、Y方向及びθ方向の位置情報に基づいて、その位置情報に対応する錠剤Tに対して印刷条件を設定する。なお、記憶部90aには、文字やマークなどの印刷パターン及びその印刷パターンの錠剤T上での印刷位置などを含む印刷データ、搬送ベルト21の移動速度データなどが記憶されている。例えば、制御部90は、錠剤TのY方向の位置情報や印刷パターンに基づいて、インクジェットヘッド51において対象の錠剤Tの印刷に使用するノズル51aの範囲(使用ノズル範囲)を決定し、また、錠剤TのX方向の位置情報に基づいて、錠剤Tに対して印刷を開始するタイミングを決定し、印刷条件を設定する。また、錠剤Tが方向性を有する形態である場合、制御部90は、錠剤Tのθ方向の位置情報に基づいて、錠剤Tのθ方向の位置に対応させて印刷条件を設定する。
また、制御部90は、画像処理部91から送信された錠剤Tの印刷パターンの印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報に基づいて、印刷パターンが所定形状及び所定サイズで錠剤Tの所定位置に印刷されたか否か、すなわち印刷パターンが錠剤Tに正常に印刷されたか否かを判断する(印刷状態検査)。例えば、制御部90は、印刷パターンの形状及びサイズ判断において、印刷に使用した印刷パターンを検査用の印刷パターンとして制御部90の記憶部90aに登録しておき、その検査用の印刷パターンと実際の印刷後の錠剤T上の印刷パターン(錠剤Tに印刷された印刷パターン)とを比較する。
入力部92は、作業者(例えばオペレータやメンテナンス作業者)による入力操作を受け付ける。入力部92としては、例えば、スイッチやボタン、キーボード、マウスなどが用いられる。例えば、消費期限がインクボトル81aの開封から所定時間後(例えば24時間後)である場合には、作業者がインクボトル81aを開封すると、その開封日時を確認し、入力部92を入力操作して開封日時を入力する。制御部90は、入力された開封日時に基づき、開封日時から所定時間後の日時を消費期限として設定し、その消費期限を示す消費期限データ(消費期限情報)を記憶部90aに保存する。あるいは、消費期限がインクの製造年月日から所定時間後(例えば168時間後)である場合には、作業者がインクボトル81aに貼られたシールに記載されている製造年月日を視認し、入力部92を入力操作して製造年月日を入力する。制御部90は、入力された製造年月日から所定時間後の日時を消費期限として設定し、消費期限データを記憶部90aに保存する。なお、製造年月日などの情報を記憶するRFタグがインクボトル81aに貼られている場合には、入力部92として、RFタグから情報を読み取るリーダが用いられる。制御部90は、読み取られた製造年月日から所定時間後の日時を消費期限として設定し、消費期限データを記憶部90aに保存する。
期限検出部93は、記憶部90aに記憶された消費期限データに基づき、インクが消費期限を迎えたこと(インクの消費期限が訪れたこと)を検出する。例えば、期限検出部93は、タイマーなどを用いて、現在時刻が消費期限である日時になると、インクが消費期限を迎えたことを検出する。この検出信号は制御部90に入力される。
報知部94は、期限検出部93によりインクが消費期限を迎えたことが検出されると、制御部90による制御に応じ、作業者に対してインクが消費期限を迎えたこと、すなわちインクボトル81aの交換(消費期限切れのインクを収容するインクボトル81aから、新品のインクを有するインクボトル81aへの交換)が必要であることを示す警告を報知する。報知部94としては、例えば、ランプやスピーカ、ディスプレイなどが用いられる。ランプは点灯又は点滅し、スピーカは音や音声を出力し、ディスプレイは画像を表示するが、これらのランプやスピーカ、ディスプレイなどを組み合わせて警告を報知することも可能である。
(インク充填工程及び印刷工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1が行うインク充填工程及び印刷工程(インク充填処理及び印刷処理)について説明する。印刷に要する印刷データなどの各種情報は、制御部90の記憶部90aに予め記憶されている。
印刷工程の前段階として、作業者は錠剤印刷装置1のインク供給部81の所定位置にインクボトル81aを装着し、入力部92を入力操作する(例えばインク充填開始ボタンを押下する)。これに応じ、制御部90は、搬送部20に隣接する待機位置に設けられている受け皿(図示せず)を、リニアガイドやボールネジ機構などの移動機構(図示せず)によりインクジェットヘッド51の下方に移動させ、インクジェットヘッド51にインクを充填するインク充填動作(インク充填工程)をインク供給部81に実行させる。なお、インクボトル81aの装着時には、作業者が前述のように入力部92を入力操作することで、消費期限データが記憶部90aに記憶される。
インク充填工程では、すべての弁が閉状態で、図4に示すように、インク加圧弁81eが開状態にされ(ステップS1)、インク排出弁81hが開状態にされ(ステップS2)、逆流防止弁81gが開状態にされる(ステップS3)。気体の一例であるエアがインク加圧配管81bを介してインクボトル81a内に供給され、インクボトル81a内のインクに圧が加わり、インクボトル81a内のインクはインク供給配管81cを流れ、インクジェットヘッド51の流入口51bに流入する。流入したインクはインクジェットヘッド51のインク流路51cを流れ、インクジェットヘッド51の流出口51dから流出し、インク排出配管81dを流れる。インク流路51cを流れるインクの一部は、各ノズル51a内に流れ込んで充填される。なお、各ノズル51aからは、充填されたインクが染みだしてくるため、前述のように受け皿をインクジェットヘッド51の下方に移動させておき、ノズル51aの下方において受け皿上で、染み出してくるインクを受ける。インク加圧弁81eを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば2~7秒程度)が経過すると(ステップS4)、つまり、インクがインク供給配管81c及びインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aに充填されたタイミングで、インク加圧弁81eが閉状態にされ(ステップS5)、大気開放弁81fが開状態にされる(ステップS6)。インク加圧弁81eを閉とするタイミングは、例えば予め設定された所定時間(例えば2~7秒程度)が経過したことによって閉とするタイミングである。この所定時間(インク加圧時間)は、インクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aにインクが充填される時間として適切な時間を実験などで予め求めておき、設定される。大気開放弁81fを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば3~10秒程度)が経過すると(ステップS7)、大気開放弁81fが閉状態にされ(ステップS8)、逆流防止弁81gが閉状態にされる(ステップS9)。
このようにして、インクジェットヘッド51内に新品のインクが充填される。このインク充填動作後、インクボトル81a内の液面高さはセンサ(図示せず)により検知され、インクジェットヘッド51のノズル面の高さとインクボトル81a内の液面高さは、水頭差によりインクジェットヘッド51の各ノズル51aにインクが留まり各ノズル51aからインクが流れ出ないようにインクボトル81aの高さ位置が調整される。インクボトル81aは、リニアガイドやボールネジ機構などの昇降機構(図示せず)により上下方向に昇降するように構成されており、昇降機構は制御部90により制御される。
前述のインク充填工程が完了すると、作業者は錠剤印刷装置1による錠剤印刷を開始する。作業者が入力部92を入力操作すると(例えば製造開始ボタンを押下すると)、搬送ベルト21が駆動され、その搬送ベルト21は、モータ24による駆動プーリ22及び従動プーリ23の回転に伴い、搬送方向H1に回転する。そして、搬送ベルト21が回転している状態で、ホッパ11から錠剤Tがシュータ12に順次供給され、シュータ12により一列に並べられて搬送ベルト21上に一定間隔ではなくランダムに供給される。錠剤Tは搬送ベルト21上に一列に並んで所定の移動速度で搬送されていく。
搬送ベルト21上の錠剤Tは検出部30によって検出される。これにより、錠剤TのX方向の位置情報が取得され、制御部90に入力される。この錠剤TのX方向の位置情報は、制御部90の記憶部に保存されて後処理で用いられる。次に、搬送ベルト21上の錠剤Tが前述の錠剤TのX方向の位置情報に基づくタイミングで撮像部40によって撮像され、撮像された画像が画像処理部91に送信される。撮像部40から送信された画像に基づき、錠剤Tの位置情報(例えばX方向、Y方向及びθ方向の位置情報)が画像処理部91により生成され、制御部90の記憶部90aに保存される。この錠剤Tの位置情報などの情報に基づき、使用ノズル範囲の決定処理が制御部90により実行され、使用ノズル範囲を含む印刷条件が制御部90の記憶部90aに設定される。
撮像部40の下方を通過した搬送ベルト21上の錠剤Tは、前述の錠剤TのX方向の位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tがインクジェットヘッド51の直下に到達したタイミングで、前述の印刷条件に基づいてインクジェットヘッド51により印刷される。インクジェットヘッド51では、各ノズル51aからインクが適宜吐出され、錠剤Tの上面である被印刷面に文字(例えばアルファベット、片仮名、番号)やマーク(例えば記号、図形)などが印刷され、識別情報を示す印刷パターンが印刷される。この錠剤Tに塗布されたインクは急速に乾燥する。なお、気体あるいは熱による乾燥を行う乾燥部(図示せず)によりインクを乾燥させるようにしても良い。
その後、識別情報を示す印刷パターンが印刷された錠剤Tは、前述の錠剤TのX方向の位置情報に基づくタイミングで撮像部60によって撮像され、撮像された画像が画像処理部91に送信される。撮像部60から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tごとの印刷パターンの印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報が画像処理部91により生成され、制御部90の記憶部に保存される。その印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報に基づき、錠剤Tに対する印刷良否が制御部90により判断され(印刷状態検査)、錠剤Tごとの印刷良否の結果を示す印刷良否結果情報が制御部90の記憶部90aに保存される。
例えば、印刷状態検査では、錠剤Tに印刷された印刷パターンが所定形状及び所定サイズで錠剤Tの所定位置に印刷されたか否か、すなわち印刷パターンが錠剤Tに正常に印刷されたか否かが判断され、印刷の良否が決定される。この印刷状態検査では、印刷に使用した印刷パターンが用いられ、その印刷パターンの所定印刷位置や所定形状、所定サイズと、制御部90の記憶部に保存された印刷パターンの印刷位置情報や形状情報、サイズ情報が比較され、印刷パターンが錠剤Tに正常に印刷されたか否かが判断される。
検査後の錠剤Tは、搬送ベルト21の移動に伴って搬送ベルト21の下流側の端部に位置すると、搬送ベルト21に保持された状態から解放され、搬送ベルト21から落下して回収部70により回収される。このとき、検査が合格であった錠剤Tは、そのまま落下して回収部70により回収されるが、検査が不合格であった錠剤(印刷不良の錠剤など)Tは、搬送ベルト21から落下する途中でエアの吹き付けにより排除される。なお、エアの吹き付けにより排除された錠剤Tは、例えば、回収部70の隣に設けられた他の回収容器(図示せず)によって回収される。
(インク排出工程及び洗浄工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1が行うインク排出工程及び洗浄工程(インク排出処理及び洗浄処理)について説明する。液体ボトル82a内の液体は洗浄液である。排出や洗浄に要するデータなどの各種情報は、制御部90の記憶部90aに予め記憶されている。
期限検出部93が、インクボトル81a内のインクが消費期限を迎えたことを検出すると、制御部90は、錠剤印刷装置1の印刷処理自体を停止し(例えば、ホッパ11による錠剤Tの供給を禁止し(供給が全く行われない)、また、インクジェットヘッド51による錠剤Tへの印刷を禁止し(印刷が全く行われない))、インクボトル81aの交換が必要であることを示す警告を報知する報知動作を報知部94に実行させる。これに応じ、報知部94は作業者に警告を報知する。また、制御部90は、前述の受け皿を前述の移動機構によりインクジェットヘッド51の下方に移動させ、インクジェットヘッド51のインク流路51cやインク供給配管81cなどに充填されているインク、すなわち、消費期限を迎えたインク(消費期限切れインク)を排出するインク排出動作(インク排出工程)をインク供給部81に実行させる。
インク排出工程では、すべての弁が閉状態で、図5に示すように、インク加圧弁81eが開状態にされ(ステップS11)、インク排出弁81hが開状態にされ(ステップS12)、逆流防止弁81gが開状態にされる(ステップS13)。気体の一例であるエアがインク加圧配管81bを介してインクボトル81a内に供給され、インクボトル81a内のインク(消費期限切れインク)に圧が加わり、インクボトル81a内やインク供給配管81c内、インクジェットヘッド51のインク流路51c内のインクは流れ出し、インク排出配管81dを介して排出される。エアはインクを押し流しながらインク供給配管81cを流れ、インクジェットヘッド51のインク流路51c及びインク排出配管81dを流れていく。インク流路51cを流れるエアの一部は、各ノズル51a内のインクを押し出し、各ノズル51aを通過する。各ノズル51aから押し出されたインクは、インクジェットヘッド51の下方に位置する受け皿によって受け取られる。インク加圧弁81eを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば20~40秒程度)が経過すると(ステップS14)、つまり、インクがインクボトル81a、インク供給配管81c及びインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aから無くなったタイミングで、インク加圧弁81eが閉状態にされ(ステップS15)、大気開放弁81fが開状態にされる(ステップS16)。インク加圧弁81eを閉とするタイミングは、例えば予め設定された所定時間(例えば20~40秒程度)が経過したことによって閉とするタイミングである。この所定時間(インク加圧時間)は、インクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aからインクが無くなる時間として適切な時間を実験などで予め求めておき、設定される。なお、インク排出工程でのインク加圧時間は、インク充填工程でのインク加圧時間よりも長く設定されている。大気開放弁81fを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば3~10秒程度)が経過すると(ステップS17)、大気開放弁81fが閉状態にされ(ステップS18)、逆流防止弁81gが閉状態にされる(ステップS19)。
このようにして、インクボトル81aやインクジェットヘッド51内のインク(消費期限切れインク)が排出される。なお、インクボトル81a、インクジェットヘッド51、インク供給配管81c及びインク排出配管81dの個々の内部はインクが付着している状態である。しかしながら、通常、インクの消費期限にはマージン(余裕)があり、例えば、消費期限がインクボトル81aの開封から24時間後と規定されている場合でも、実際には25時間後である。このため、インクボトル81a、インクジェットヘッド51、インク供給配管81c及びインク排出配管81dの個々の内部にインクが付着している状態であっても、その直後(数十分以内)であれば、インクジェットヘッド51に対する同一種類の新しいインク充填が実行されても問題は無い。また、インクの消費期限にマージンがない場合には、消費期限を所定時間(例えば30分程度)短く設定する、例えば、消費期限が開封日時から24時間後であれば、消費期限を開封日時から23時間半後に設定することで、インクボトル81a、インクジェットヘッド51、インク供給配管81c及びインク排出配管81dの個々の内部にインクが付着している状態であっても、その直後(数十分以内)であれば、インクジェットヘッド51に対する同一種類の新しいインク充填が実行されても問題は無い。つまり、「消費期限」とは実際に消費されることが必要とされる使用期限(有効期限)と一致する時間のみならず、錠剤印刷装置1において消費期限として設定することによって使用期限を予告するための時間、使用期限を管理することのできる所定時間を含むものとする。
したがって、前述の報知部94による警告の報知後、作業者が、錠剤印刷装置1の近くなどにいて警告に気づくと、入力部92を入力操作して(例えば警告解除ボタンを押下して)、報知部94による警告の報知を停止させる。次に、作業者は、インクボトル81aの交換を行い、入力部92を入力操作して(例えばインク充填開始ボタンを押下して)、インク供給部81にインク充填工程(図4参照)を実行させる。一方、前述の報知部94による警告の報知後、作業者が、警告に気づかずにインクボトル81aの交換が行われないことがある。このため、制御部90は、インク排出工程が完了してから、例えば、報知部94が警告を報知してから所定時間内(例えば50分以内)に入力部92が入力操作を受け付けたか否かを判断する。報知部94が警告を報知してから所定時間内に入力部92が入力操作(例えば警告解除ボタンの押下)を受け付けたと判断した場合には、前述のように作業者が警告に気づき、報知部94による警告の報知を止めてインクボトル81aの交換を実施したと認識する。一方、報知部94が警告を報知してから所定時間内に入力部92が入力操作を受け付けていないと判断した場合には、作業者が報知部94による警告の報知を止めずインクボトル81aの交換を実施していないと認識し、後述する洗浄工程を実行する。なお、インクボトル81aの交換を実施したと認識した場合には、この洗浄工程は実行されない。
洗浄工程では、すべての弁が閉状態で、図6に示すように、液体加圧弁82dが開状態にされ(ステップS21)、液体供給弁82fが開状態にされ(ステップS22)、インク排出弁81hが所定時間(例えば1~5秒程度)の間隔で開状態及び閉状態に交互に所定時間(例えば10~40秒程度)切り替えられ(ステップS23)、最後に開状態にされる(ステップS24)。気体の一例であるエアが液体加圧配管82bを介して液体ボトル82a内に供給され、液体ボトル82a内の洗浄液に圧が加わり、液体ボトル82a内の洗浄液は液体供給配管82cを流れ、液体供給配管82cにつながるインク加圧配管81bからインクボトル81aに流入する。また、インクボトル81a内の洗浄液に圧が加わり、インクボトル81a内の洗浄液はインク供給配管81cを流れ、インクジェットヘッド51の流入口51bに流入する。流入した洗浄液はインクジェットヘッド51のインク流路51cを流れ、インクジェットヘッド51の流出口51dから流出し、インク排出配管81dを流れる。インク流路51cを流れる洗浄液の一部は、各ノズル51a内に流れ込んで充填される。なお、各ノズル51aからは、充填された洗浄液が染みだしてくるため、前述のように受け皿をインクジェットヘッド51の下方に移動させておき、ノズル51aの下方において受け皿上で、染み出してくる洗浄液を受ける。インク排出弁81hが、予め設定された所定時間(例えば10~40秒程度)だけ開閉を繰り返してから開状態となると、液体加圧弁82dが閉状態にされ(ステップS25)、液体供給弁82fが閉状態にされ(ステップS26)、大気開放弁82eが開状態にされる(ステップS27)。液体加圧弁82dを閉とするタイミングは、例えば予め設定された所定時間(例えば10~40秒程度)が経過したことによって閉とするタイミングである。この所定時間(洗浄液加圧時間)は、所定量の洗浄液がインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aを通過する時間として適切な時間を実験などで予め求めておき、設定される。
次いで、インク加圧弁81eが開状態にされ(ステップS28)、逆流防止弁81gが開状態にされる(ステップS29)。気体の一例であるエアがインク加圧配管81bを介してインクボトル81a内に供給され、インクボトル81a内の洗浄液に圧が加わり、インクボトル81a内やインク供給配管81c内、インクジェットヘッド51のインク流路51c内の洗浄液は流れ出し、インク排出配管81dを介して排出される。エアは洗浄液を押し流しながらインク供給配管81cを流れ、インクジェットヘッド51のインク流路51c及びインク排出配管81dを流れていく。インク流路51cを流れるエアの一部は、各ノズル51a内の洗浄液を押し出し、各ノズル51aを通過する。各ノズル51aから押し出された洗浄液は、インクジェットヘッド51の下方に位置する受け皿によって受け取られる。インク加圧弁81eを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば30秒程度)が経過すると(ステップS30)、つまり、洗浄液がインクボトル81a、インク供給配管81c及びインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aから無くなったタイミングで、インク加圧弁81eが閉状態にされ(ステップS31)、大気開放弁82eが閉状態にされ(ステップS32)、大気開放弁81fが開状態にされる(ステップS33)。インク加圧弁81eを閉とするタイミングは、例えば予め設定された所定時間(例えば100~120秒程度)が経過したことによって閉とするタイミングである。この所定時間(インク加圧時間)は、洗浄液がインクボトル81a、インク供給配管81c及びインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aから無くなる時間として適切な時間を実験などで予め求めておき、設定される。大気開放弁81fを開状態としてから、予め設定された所定時間(例えば5~10秒程度)が経過すると(ステップS34)、大気開放弁81fが閉状態にされ(ステップS35)、逆流防止弁81gが閉状態にされる(ステップS36)。
このようにして、液体ボトル82a内の洗浄液は、液体ボトル82aからインクボトル81aに液体供給配管82cを介して流れ、インクボトル81aからインクジェットヘッド51にインク供給配管81cを介して流れ、インクジェットヘッド51内を通過してインク排出配管81dを流れる。これにより、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部が洗浄液により洗浄されて清潔にされる。洗浄工程は予め定めた量の洗浄液(例えば液体ボトル82aに貯留される洗浄液すべて)を使いきるまで行われ、洗浄に用いられた洗浄液はすべてインク排出配管81dから排液設備、あるいはノズル51aから受け皿へ排出される。つまり、インクジェットヘッド51やその前後の流路には、洗浄液が存在しない状態となる。その後、数十分から数時間以上が経過し、作業者が警告を認識し、前述のように、入力部92を入力操作して(例えば警告解除ボタンを押下して)、報知部94による警告の報知を停止させる。そして、作業者は、インクボトル81aの交換を行い、入力部92を入力操作して(例えばインク充填開始ボタンを押下して)、インク供給部81にインク充填動作(図4参照)を実行させる。
このような工程によれば、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部からインク(消費期限切れインク)が排出され、それらの内部は洗浄液によって洗浄されて清潔にされる。これにより、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部にはインクが無くなる。このため、報知部94による警告後、インクジェットヘッド51が長時間(例えば数十分から数時間以上)放置されても、従来のようにインクボトル81a内やインク供給配管81c内、インクジェットヘッド51内などのインクが固まることは無く、固まったインクを取り除くために洗浄作業を行う必要が無くなる。また、洗浄負荷によってインクジェットヘッド51の寿命が短くなることも抑制されるので、インクジェットヘッド51を交換する交換作業の頻度を抑えることができる。したがって、インクジェットヘッド51内などでインクが固まった場合に行う超音波洗浄などの特別な洗浄作業を省略し、また、インクジェットヘッド51を交換する交換作業の頻度を抑えることが可能となるので、生産停止時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
また、洗浄工程において、エアによる加圧によってインクジェットヘッド51の各ノズル51aから洗浄液がポタポタと染みだすことになるが、この洗浄液を染みださせる動作だけでなく、前述のステップS23において、インク排出弁81hの開閉を繰り返す動作を行うことで、洗浄液に対する加圧力に強弱をつけることができ、各ノズル51aをよりしっかりと洗浄することができる。
また、液体供給配管82cは、インク供給配管81cではなくインク加圧配管81bに接続されている。これにより、液体供給配管82cがインク供給配管81cに接続されている場合に比べ、インクボトル81a及びインク供給配管81cの個々の内部からインクを排出することが可能であり、インクボトル81a内やインク供給配管81c内のインクが固まることを防止することができる。また、新たなインクをインクジェットヘッド51内のインク流路51cに供給する前に洗浄液を充填してインク流路51cから排出することによって、インクジェットヘッド51内のインク流路51cの隅部に残留した洗浄液が、次に充填されたインクの濡れ広がりを促進させる。これによって、インク供給配管81cにつながるインクジェットヘッド51内に気体(気泡)が混入することを抑制することができる。
ここで、例えば図7に示すように、インク供給配管81cの途中に液体供給配管82cが接続され、インクジェットヘッド51に対してインクボトル81aと液体ボトル82aとが並列に接続されている場合、インク供給配管81cの途中に切替用の弁、すなわち液体供給弁82fを設ける必要がある。インク供給配管81cにおいて、インク供給配管81cに液体供給配管82cが接続されている箇所と、インクボトル81a側の端部との間に、液体ボトル82aからの洗浄液が十分に流れず、十分に洗浄することができない。また、一部の洗浄液がこの部分に流れることにより、すべての洗浄液をインクジェットヘッド51へ送ることができず、洗浄効率が悪くなってしまう。さらに、液体供給配管82cにおいて、液体供給弁82fと、インク供給配管81cに液体供給配管82cが接続されている箇所との間にインクボトル81aからのインクが溜まり、この部分でインクが固まってしまう。このようにインクが一定部分に滞留することによってインクが固まると、その後洗浄液を何度も供給して洗浄しなければならなくなったり、洗浄液を洗浄能力のより高いものに変更しなければならなくなったりする。
この図7のような例と比較すると、第1の実施形態によれば、液体ボトル82aからの洗浄液を一旦インクボトル81aに供給し、インクボトル81aをバッファタンクとして利用することで、インク供給配管81cを確実に、また効率よく洗浄することができる。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、期限検出部93が、インクが消費期限を迎えたにもかかわらず、所定時間が経過しても作業者による作業が行われなかった場合、液体供給部82は、インクジェットヘッド51のインク流路51cに液体(例えば洗浄液)を供給する供給動作を実行する。これにより、インクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aは液体によって洗浄されて清潔にされ、インクジェットヘッド51内にはインクが無くなる。インクジェットヘッド51が長時間放置されても、従来のように、インクジェットヘッド51内のインクが固まることが無くなるため、その固まったインクを取り除くためインクジェットヘッド51を洗浄する洗浄作業が不要となる。したがって、インクジェットヘッド51内のインクが固まった場合に行う超音波洗浄などの特別な洗浄作業を省略し、また、交換作業の頻度を抑えることが可能となるので、生産停止時間を短縮し、生産性を上げることができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(二種類の洗浄液の供給)について説明し、その他の説明は省略する。ただし、相違点以外も適宜説明することがある。
図8に示すように、第2の実施形態に係る液体供給部82は、第1の実施形態に係る第1の液体ボトル82a、第1の液体加圧配管82b及び第1の液体供給配管82c(第1の液体加圧弁82d、第1の大気開放弁82e及び第1の液体供給弁82f)に加え、第2の液体ボトル82g、第2の液体加圧配管82h及び第2の液体供給配管82i(第2の液体加圧弁82j、第2の大気開放弁82k及び第2の液体供給弁82m)を有している。なお、第1の液体ボトル82aは第1の液体を収容する。第1の液体は、洗浄用の液体として機能し、エタノールの含有量が全体の約60%であり、インクよりも乾燥しやすい液体である。第1の液体としては、例えば、第1の洗浄液が用いられる。
第2の液体ボトル82gは、第2の液体を収容する液体タンク(容器)である。第2の液体は、第1の液体とは成分が異なる液体である。第2の液体は、各ノズル51aの乾燥防止用の液体として機能し、エタノールの含有量が全体の10%であり、インクよりも乾燥しやすく第1の液体よりも乾燥し難い液体である。第2の液体としては、例えば、第2の洗浄液が用いられる。なお、第1の液体は第2の液体よりも、エタノールの含有率が高く、例えば顔料を含むインクを洗浄する能力の高い液体である。
第2の液体加圧配管82h、第2の液体ボトル82gの内部に気体(例えばエア)を供給することが可能に接続されている。第2の液体加圧配管82hの一端は、第2の液体ボトル82gの上面の上面から内部に侵入し、第2の液体ボトル82g内の液面に接触しない位置まで伸びている。また、第2の液体加圧配管82hの他端は二本に分岐している。この分岐した二本の配管の一方には第2の液体加圧弁82jが設けられており、他方の配管には第2の大気開放弁82kが設けられている。第2の液体加圧弁82jや第2の大気開放弁82kはそれぞれ電気的に制御部90に接続されており、それらの駆動(開閉)は制御部90により制御される。
第2の液体供給配管82iは、第2の液体ボトル82gからインクボトル81aに第2の液体を供給することが可能に第2の液体ボトル82gと第1の液体供給配管82cの途中とを接続する。第2の液体供給配管82iの一端は、第2の液体ボトル82gの上面から内部に侵入し、第2の液体ボトル82gの底面付近まで伸びている。また、第2の液体供給配管82iの他端は、液体供給配管82cの途中であって、第2の液体が流れる方向において液体供給弁82fよりも下流側に接続されている。第2の液体供給配管82iには第2の液体供給弁82mが設けられている。第2の液体供給弁82mは電気的に制御部90に接続されており、その駆動(開閉)は制御部90により制御される。
ここで、第2の液体加圧弁82j、第2の液体供給弁82m及びインク排出弁81hが開状態にされると(その他の弁はすべて閉状態)、気体(例えばエア)が第2の液体加圧配管82hを介して第2の液体ボトル82g内に供給され、第2の液体ボトル82g内の第2の液体に圧が加わり、第2の液体ボトル82g内の第2の液体が第2の液体ボトル82gから第2の液体供給配管82iに流れる。第2の液体ボトル82gからの第2の液体は、第2の液体供給配管82iを流れ、インク加圧配管81bを介してインクボトル81aに供給される。その後、インクボトル81aからインク供給配管81cを介してインクジェットヘッド51、インク排出配管81dに流れていくこととなる。
(インク排出工程及び二回の洗浄工程)
次に、前述の液体供給部82が行うインク排出工程及び二回の洗浄工程(インク排出処理及び二回の洗浄処理)について説明する。排出や洗浄に要するデータなどの各種情報は、制御部90の記憶部90aに予め記憶されている。第1の液体は第1の洗浄液であり、第2の液体は第2の洗浄液である。
インク排出工程及び一回目の洗浄工程は第1の実施形態に係るインク排出工程(図5参照)及び洗浄工程(図6参照)と同じであり、そのインク排出工程及び一回目の洗浄工程に引き続き、二回目の洗浄工程が実行される。二回目の洗浄工程では、一回目の洗浄工程に係るステップS28以降のステップが不要であり、インク供給配管81c及びインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aに第2の洗浄液を充填したまま処理を終了する。したがって、二回目の洗浄工程では、インクジェットヘッド51やインクボトル81a、インク供給配管81cの個々の内部に第2の洗浄液が充填された状態で、洗浄動作が終了する。つまり、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部は第1の洗浄液により洗浄され、その後、それらの内部に第2の洗浄液が充填される。なお、二回目の洗浄工程後には、インク充填後と同様、インクボトル81a内の液面高さがセンサ(図示せず)により検知され、インクジェットヘッド51のノズル面の高さとインクボトル81a内の液面高さは、水頭差によりインクジェットヘッド51の各ノズル51aに第2の洗浄液が留まり各ノズル51aから第2の洗浄液が流れ出ないようにインクボトル81aの高さ位置が調整される。
二回の洗浄工程によって、インクジェットヘッド51、インクボトル81a、インク供給配管81c及びインク排出配管81dの個々の内部が第1の洗浄液により洗浄されて清潔にされ、その後、それらの内部に第2の洗浄液が充填される。この第2の洗浄液の充填状態は、作業者が警報に気づくまで維持される。つまり、第1の実施形態のように洗浄液を排出することなく、インクジェットヘッド51およびその前後の流路が洗浄液で満たされた状態となる。第1の実施形態と同様、数十分から数時間以上が経過し、作業者が警告を認識すると、前述のように、入力部92を入力操作して、報知部94による警告の報知を停止させる。そして、作業者は、入力部92を入力操作して、インク供給部81に液体排出動作を実行させて洗浄液の排出を行ってから、インクボトル81aの交換を行い、入力部92を入力操作して、インク供給部81にインク充填動作(図4参照)を実行させる。液体排出動作(液体排出工程)は、インクボトル81aがインクではなく第2の洗浄液を収容していること以外、インク排出動作(インク排出工程)と同じである。
このような工程によれば、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部からインク(消費期限切れインク)が排出され、それらの内部は第1の洗浄液により洗浄されて清潔にされ、さらに、それらの内部に第2の洗浄液が充填される。これにより、インクボトル81a、インク供給配管81c、インクジェットヘッド51及びインク排出配管81dの個々の内部にはインクが無くなる。このため、報知部94による警告後、インクジェットヘッド51が長時間(例えば数十分から数時間以上)放置されても、従来のようにインクボトル81a内やインク供給配管81c内、インクジェットヘッド51内などのインクが固まることは無く、固まったインクを取り除くために洗浄作業を行う必要が無くなる。したがって、インクジェットヘッド51内などでインクが固まった場合に行う超音波洗浄などの特別な洗浄作業を省略し、また、インクジェットヘッド51を交換する交換作業の頻度を抑えることが可能となるので、生産停止時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
また、第2の洗浄液は、第1の洗浄液よりも乾燥し難い液体であり、この第2の洗浄液がインクジェットヘッド51に充填されてから、インクジェットヘッド51が放置される。このため、インクジェットヘッド51が長時間放置されても、各ノズル51aの個々の開口(オリフィス)付近は第2の洗浄液によりウェット状態(湿潤状態)に維持される。これにより、インクボトル81aの交換後に印刷を開始する場合、インクジェットヘッド51のインク吐出が安定するまでの時間を短くすることが可能となるので、生産性を確実に向上させることができる。
また、インクジェットヘッド51内やインク供給配管81c内には第2の洗浄液が充填されており、その充填状態は液体排出工程が実行されるまで維持される。前述のように液体排出工程を実行してからインク充填工程を実行するが、液体排出工程後でもインクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aはウェット状態(完全に乾燥していない状態)であるため、インクジェットヘッド51やインク供給配管81cなどの角部また細部にスムーズに、例えば気泡が混入することなくインクが充填される。これにより、インクジェットヘッド51のインク不吐出を抑制し、また、インクジェットヘッド51のインク吐出が安定するまでの時間を短くすることが可能になるので、生産性を確実に向上させることができる。
なお、二回目の洗浄工程後、制御部90は、入力部92が入力操作(例えば警告解除ボタンの押下)を受け付けたと判断するまで、第2の洗浄液を吐出する吐出動作を所定時間毎(例えば30分毎)にインクジェットヘッド51に実行させる。これにより、インクジェットヘッド51のノズル面、すなわち各ノズル51aの個々の開口付近がウェット状態に確実に維持される。ノズル51aの開口付近が第2の洗浄液によって濡れている状態で新たなインクを供給すると、乾燥状態と比較し、詰まりが発生しにくい状態とすることができる。したがって、インクボトル81aの交換後に印刷を開始する場合、インクジェットヘッド51のインク吐出が安定するまでの時間を短くすることが可能となるので、生産性を確実に向上させることができる。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、インクジェットヘッド51のインク流路51c内に数種類の液体を順次換えて種類ごとに供給し、例えば、第1の液体を供給し、次にその第1の液体よりも乾燥し難い第2の液体を供給する供給動作を実行する。これにより、インクジェットヘッド51のインク流路51cや各ノズル51aは第1の液体によって洗浄されて清潔にされ、インク流路51cや各ノズル51aには第2の液体が充填され、インクジェットヘッド51内にはインクが無くなる。インクジェットヘッド51が長時間放置されても、従来のように、インクジェットヘッド51内のインクが固まることが無くなるため、その固まったインクを取り除くためインクジェットヘッド51を洗浄する洗浄作業が不要となる。したがって、インクジェットヘッド51内のインクが固まった場合に行う超音波洗浄などの特別な洗浄作業を省略し、また、交換作業の頻度を抑えることが可能となるので、生産停止時間を短縮し、生産性を上げることができる。
<他の実施形態>
前述の説明においては、前述の各実施形態のいずれかの錠剤印刷装置1(錠剤印刷方法)を用いて錠剤Tに印刷を行っている。これは、前述の各実施形態のいずれかの錠剤印刷装置1(錠剤印刷方法)を用いて錠剤Tに印刷を行って、印刷済の錠剤Tを製造すると言い換えることも可能である。
また、前述の説明においては、制御部90はRFタグの情報を読み取って製造年月日から消費期限を設定して記憶部90aに保存するとしたが、これに限らず、バーコードリーダ、カメラ等によって読み取るようにしてもよい。あるいは作業者による手入力で消費期限を設定してもよい。
また、前述の説明においては、期限検出部93が消費期限である日時になると消費期限を迎えたことを検出するとともに検出信号を制御部90に入力するとしたが、これに限らない。例えば、消費期限よりも予め設定した時間だけ前に検出信号を制御部90に入力するようにし、消費期限をまもなく迎える予告を行うことができるよう設定してもよい。
また、前述の説明においては、制御部90が、報知部94が警告を報知してから所定時間内(例えば50分以内)に入力部92が入力操作を受け付けたか否かを判断し、報知部94が警告を報知してから所定時間内に入力部92が入力操作を受け付けていないと判断した場合に洗浄工程を実行することを例示したが、これに限るものではなく、その判断を行わず、消費期限を迎えたことによって印刷処理を停止して禁止するとともに、インク排出工程から洗浄工程に自動的に処理を移行し、インク排出工程に引き続き洗浄工程を実行するようにしてもよい。
また、前述の説明においては、インク排出工程を実行してから洗浄工程を実行することを例示したが、これに限るものではなく、それらの工程を完全に分ける必要はなく、例えば、インク排出工程と洗浄工程を一つの工程とし、インクが存在するインクジェットヘッド51に洗浄液を供給し、インクジェットヘッド51から洗浄液と共にインクを排出するようにしてもよい。ただし、インクが存在するインクジェットヘッド51に洗浄液を供給した場合には、インクと洗浄液が混ざり合うため、インク排出工程を実行してから洗浄工程を実行する場合に比べ、最終的にインクジェットヘッド51の洗浄が完了するまでの時間が長くなる。このため、インク排出工程を実行してから洗浄工程を実行することが望ましい。
また、前述の説明においては、第1の実施形態のように、洗浄工程において、インクジェットヘッド51やインクボトル81a、インク供給配管81cの個々の内部に洗浄液を通過させて洗浄することを例示したが、これに限るものではない。第1の実施形態に係る洗浄工程において、第2の実施形態に係る二回目の洗浄工程のように、インクジェットヘッド51やインクボトル81a、インク供給配管81cの個々の内部に洗浄液を充填した状態で、洗浄を終了するようにしてもよい。また、洗浄液などの液体を充填した状態で洗浄を終了する場合には、液体ボトル82aとして、消費期限を迎えていないインクを収容する予備ボトル(最初に用いるインクボトル81aよりも消費期限が数時間から十数時間以上先になる予備ボトル)を用いるようにしてもよい。つまり、第1の実施形態に係る洗浄工程において、消費期限を迎えていないインクによる洗浄が行われ、消費期限を迎えていないインクがインクジェットヘッド51内などに充填される。このインク充填に引き続き、印刷を開始することが可能になるため、生産停止時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
また、前述の説明においては、第2の実施形態のように、第2の液体ボトル82gとして、第2の液体の一例である第2の洗浄液を収容する液体ボトルを用いているが、これに限るものではなく、例えば、前述の予備ボトルを用いるようにしてもよい。インク排出工程及び一回目の洗浄工程後、二回目の洗浄工程に代えて、消費期限を迎えていないインクがインクジェットヘッド51内に充填される。このインク充填に引き続き、印刷を開始することが可能になるため、生産停止時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
また、前述の説明においては、第2の実施形態のように、液体ボトル82a、82gごとに液体加圧弁82d、82j及び大気開放弁82e、82kを設けることを例示したが、これに限るものではなく、複数の液体ボトル82a、82gに共通に一つの液体加圧弁82d及び一つの大気開放弁82eを設けるようにしてもよい。
また、前述の説明においては、インク排出工程において、インクが排出された(無くなった)か否かを、予め設定した所定時間によって判断するとしたが、これに限らず、例えばインク排出配管81dにセンサを設け、液体を検出しなくなったことによってインクの排出が完了したと判断するようにしてもよい。また、このセンサはインクが排出されたか否かを検知する手段としてだけでなく、インクや洗浄液が充填されたか否か、洗浄液が排出されたか否かを検知する手段として用いることもできる。
また、前述の説明においては、図6に示す洗浄工程のステップS23でのみ、インク排出弁81hの開閉の切替えを繰り返し行うとしたが、これに限らず、例えば、ステップS23やステップS30での洗浄液の排出中ずっと、インク排出弁81hの開閉の切替えを繰り返し行うようにしてもよい。
また、前述の説明においては、錠剤Tを一列で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、その列数は二列や三列又は四列以上であってもよく、特に限定されるものではなく、搬送ベルト21の本数も二本以上であってもよく、特に限定されるものではない。また、インクジェットヘッド51の個数も二個以上であってもよく、特に限定されるものではない。
また、前述の説明においては、インクジェットヘッド51として、ノズル51aが一列に並ぶ印刷ヘッドを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル51aが複数列に並ぶ印刷ヘッドを用いるようにしてもよい。また、水平面内において搬送方向H1と直交する方向にインクジェットヘッド51を複数並べて用いるようにしてもよい。
また、前述の説明においては、インクジェットヘッド51をノズル51aが並ぶ方向が水平面内において搬送方向H1と直交する方向になるように設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル51aが並ぶ方向が水平面内において搬送方向H1と交差する方向になるように設けるようにしてもよい。
また、前述の説明においては、錠剤Tの片面を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、搬送部20、検出部30、撮像部40、印刷部50及び撮像部60を一つのユニットし、そのユニットを上下に重ねて配置して、上側の搬送部20で印刷した錠剤Tを反転して下側の搬送部20に受け渡し、錠剤Tの両面を印刷するようにしてもよい。
また、前述の説明においては、錠剤Tが搬送ベルト21上に一定間隔ではなくランダムに供給されるとしたが、これに限らず、一定間隔で供給されてもよい。また、前述の説明においては、搬送ベルト21上に形成された吸引孔21aによって錠剤Tが吸引保持されるとしたが、これに限らず、ポケットなどに収容保持され搬送されるようにしてもよく、あるいは、搬送ベルト21上に自重により保持され搬送されるようにしてもよい。
ここで、前述の錠剤としては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、裸錠(素錠)や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。