JP2018130492A - 錠剤印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】搬送ベルトの傷みに起因する印刷品質の低下を抑えることができる錠剤印刷装置を提供する。【解決手段】実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤Tを吸引する吸引孔21aを有し、吸引孔21aにより吸引した錠剤Tを搬送する搬送ベルト21と、搬送ベルト21により搬送される錠剤Tに印刷を行う印刷ヘッドと、搬送ベルト21の吸引孔21aの状態を検出する検出部31と、検出部31により検出された吸引孔21aの状態に基づいて、吸引孔21aの異常の有無を判断する異常判断部101とを備える。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、錠剤印刷装置に関する。
錠剤に文字やマークなどの識別情報を印刷するため、インクジェット方式の印刷ヘッドを用いて印刷を行う技術が知られている。この技術を用いる錠剤印刷装置は、搬送ベルトにより錠剤を搬送し、搬送ベルトの上方に配置されたインクジェット方式の印刷ヘッドのノズルから、印刷ヘッド下方を通過する錠剤に向けてインクを吐出し、錠剤に識別情報を印刷する。搬送ベルトは、例えば駆動プーリと従動プーリに架け渡されており、駆動プーリ及び従動プーリの回転によって駆動する。この搬送ベルトには、錠剤を吸引する複数の吸引孔が錠剤の搬送方向に並ぶように形成されている。
通常、前述の搬送ベルトのメンテナンスは必要に応じて又は定期的に行われるが、そのメンテナンスのたびに搬送ベルトの着脱や清掃が実行される。このため、搬送ベルトは傷みやすく、例えば、隣り合う吸引孔の間のベルト部分が破損し、隣り合う吸引孔同士がつながることがある。本発明者は、この異常な吸引孔によって錠剤が吸引されると、吸引力が錠剤の一部分に集中して働く場合があり、このとき、錠剤が傾いた状態で保持され、その状態のまま印刷が行われると、インクの着弾位置がずれてしまい、印刷品質が低下することを見出した。また、異常な吸引孔には、錠剤の欠片などの異物が挟まりやすくなる。異物が吸引孔に挟まると、その吸引孔では錠剤が十分に吸引されず、錠剤の保持が不安定となる。このため、錠剤の位置ずれが発生することがあり、その状態のまま印刷が行われると、インクの着弾位置がずれてしまい、印刷品質が低下する。また、挟まった異物が吸引孔から突出していると、その異物の影響で錠剤が傾いた状態で保持されることがあり、その状態のまま印刷が行われると、インクの着弾位置がずれてしまい、印刷品質が低下することについても見出した。
特開平7−081050号公報
本発明が解決しようとする課題は、搬送ベルトの傷みに起因する印刷品質の低下を抑えることができる錠剤印刷装置を提供することである。
本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤を吸引する吸引孔を有し、吸引孔により吸引した錠剤を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトにより搬送される錠剤に印刷を行う印刷ヘッドと、搬送ベルトの吸引孔の状態を検出する状態検出部と、状態検出部により検出された吸引孔の状態に基づいて、吸引孔の異常の有無を判断する異常判断部とを備える。
本発明の実施形態によれば、搬送ベルトの傷みや異物の付着などに起因する印刷品質の低下を抑えることができる。
実施の一形態に係る錠剤印刷装置の概略構成を示す図である。 実施の一形態に係る錠剤印刷装置の一部を示す平面図である。 実施の一形態に係る検出装置、制御装置及び表示装置を示す図である。 実施の一形態に係る搬送ベルトの吸引孔の状態確認を説明するための第1の説明図である。 実施の一形態に係る搬送ベルトの吸引孔の状態確認を説明するための第2の説明図である。 実施の一形態に係る搬送ベルトの吸引孔の状態確認を説明するための第3の説明図である。 実施の一形態に係る搬送ベルトの吸引孔の状態確認を説明するための第4の説明図である。 実施の一形態に係る錠剤の吸引保持状態の一例を示す図である。 実施の一形態に係る搬送ベルトの吸引孔の状態を表す画像の一例を示す図である。 実施の一形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
<実施形態>
実施の一形態について図面を参照して説明する。
(基本構成)
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る錠剤印刷装置1は、供給装置10と、搬送装置20と、検出装置30と、撮像装置40と、印刷装置50と、乾燥装置60と、検査装置70と、回収装置80と、画像処理装置90と、制御装置100と、表示装置110とを備えている。
供給装置10は、ホッパ11及びシュータ12を具備する。ホッパ11は、多数の錠剤Tを収容し、その収容された錠剤Tをシュータ12に順次供給する。シュータ12は、供給された錠剤Tを複数列(図2の例では、二列)に整列させ、搬送装置20に供給する。この供給装置10は制御装置100に電気的に接続されており、その駆動が制御装置100により制御される。
搬送装置20は、搬送ベルト21、駆動プーリ22、従動プーリ23、駆動部24及び吸引部25を具備する。搬送ベルト21は、無端状に形成されており、駆動プーリ22及び従動プーリ23に架け渡されている。駆動プーリ22及び従動プーリ23は軸を中心として回転可能に設けられており、駆動プーリ22は駆動部24に連結されている。駆動部24は例えばモータであり、制御装置100に電気的に接続されており、その駆動が制御装置100により制御される。この駆動部24は、ロータリーエンコーダなどの位置検出器24aを備えている。位置検出器24aは検出信号を制御装置100に送信する。制御装置100は、その検出信号に基づいて搬送ベルト21の位置や速度、移動量などの情報を得ることができる。この搬送装置20は、駆動部24による駆動プーリ22の回転によって従動プーリ23と共に搬送ベルト21を回転させ、その搬送ベルト21上の錠剤Tを図1及び図2中の矢印A1の方向(搬送方向A1)に搬送する。
ここで、図2に示すように、搬送ベルト21の表面には、円形状の吸引孔21aが複数形成されている。これらの吸引孔21aは、それぞれ錠剤Tを吸着する貫通孔であり、二本の搬送経路を形成するように搬送方向A1に沿って平行に二列に並べられている。各吸引孔21aは、吸引部25に接続されており、その吸引部25により吸引力を得ることが可能になっている。吸引部25は、搬送ベルト21の各吸引孔21aに置かれた錠剤Tに吸引力を与える(作用させる)ための吸引チャンバである。この吸引部25には、ポンプなどの吸気装置が吸引管(いずれも図示せず)を介して接続されており、吸気装置の作動によって吸引部25の内部は減圧される。また、吸気装置は制御装置100に電気的に接続されており、その駆動が制御装置100により制御される。
検出装置30は、複数の検出部31(図2の例では、二つ)を具備する。検出部31は、供給装置10より搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に並べられ、錠剤Tの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト21の上方に設けられている。これらの検出部31は、レーザ光の投受光によって搬送ベルト21上の錠剤Tを検出する。検出部31としては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。また、レーザ光のビーム形状としては、スポットやラインなど各種の形状を用いることが可能である。各検出部31は制御装置100に電気的に接続されており、制御装置100に検出信号を送信する。なお、検出部31は、ベルト21の吸引孔21aの上方に設置されており(ここが基準の位置)、搬送ベルト21にレーザ光を当て、搬送ベルト21により反射された反射光を検出する。
撮像装置40は、複数の撮像部41(図2の例では、二つ)を具備する。撮像部41は、検出装置30より搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に並べられ、錠剤Tの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト21の上方に設けられている。撮像部41の撮像視野は、搬送ベルト21により搬送される錠剤Tが少なくとも1つ入る大きさに設定されている。撮像部41は、例えば、錠剤Tが直下に到達したタイミングで錠剤Tの撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(印刷用の画像)を取得し、取得した画像を画像処理装置90に送信する。撮像部41としては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部41は画像処理装置90を介して制御装置100に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置100により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
印刷装置50は、インクジェット方式の複数の印刷ヘッド51(図2の例では、二つ)を具備する。印刷ヘッド51は、撮像装置40より搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に並べられ、錠剤Tの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト21の上方に設けられている。印刷ヘッド51は、複数のノズル51a(図2参照)を具備し、それらのノズル51aから個別にインク(液体の一例)を吐出する。この印刷ヘッド51は、ノズル51aが並ぶノズル整列方向が水平面内で搬送方向A1と交差するように(例えば直交するように)設けられている。印刷ヘッド51としては、圧電素子、発熱素子又は磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。各印刷ヘッド51は制御装置100に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置100により制御される。
乾燥装置60は、二列の搬送経路に共通の乾燥装置であり、印刷装置50より搬送方向A1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト21の上方に設けられている。この乾燥装置60は、搬送ベルト21上の個々の錠剤Tに塗布されたインクを乾燥させる。乾燥装置60としては、放射熱により乾燥対象を乾燥させるヒータ、あるいは、温風や熱風により乾燥対象を乾燥させる送風機など各種の乾燥装置を用いることが可能である。乾燥装置60は制御装置100に電気的に接続されており、その駆動が制御装置100により制御される。
検査装置70は、撮像装置40と同じように、複数の撮像部71(図2の例では、二つ)を具備する。撮像部71は、乾燥装置60より搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に並べられ、錠剤Tの搬送経路ごとに一つずつ搬送ベルト21の上方に設けられている。撮像部71の撮像視野は、搬送ベルト21により搬送される錠剤Tが少なくとも1つ入る大きさに設定されている。撮像部71は、錠剤Tが直下に到達したタイミングで錠剤Tの撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(印刷検査用の画像)を取得し、取得した画像を画像処理装置90に送信する。撮像部71としては、CCDやCMOSなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部71は画像処理装置90を介して制御装置100に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置100により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
回収装置80は、検査装置70より搬送方向A1の下流側に位置付けられ、搬送装置20における搬送方向A1の下流側の端部に設けられている。この回収装置80は、搬送装置20による保持が解除されて落下する錠剤Tを順次受けて回収することが可能に構成されている。なお、搬送装置20は、搬送ベルト21上の個々の錠剤Tが所望の位置、例えば、搬送装置20における搬送方向A1の下流側の端部に到達した場合に錠剤Tの保持を解除する。
画像処理装置90は、撮像装置40又は検査装置70によって撮像された印刷用の画像や印刷検査用の画像を取り込み、公知の画像処理技術を用いて画像を処理する。画像処理装置90は、印刷処理が行われる前の錠剤Tの印刷用の画像を撮像装置40から取り込み、錠剤TのX方向(搬送方向A1)、Y方向及びθ方向の位置を検出する。X方向及びY方向の位置とは、例えば、撮像視野の中心に対するXY座標系の位置であり、その撮像視野の中心に対して錠剤Tがどの程度ずれているかを示す。また、θ方向の位置とは、例えば、撮像視野のY方向の中心線に対する錠剤Tの回転度合いを示す位置であり、その中心線に対して錠剤Tが水平面内でどの程度回転しているかを示す。このθ方向の位置は、錠剤Tに割り線が設けられている場合や錠剤Tが楕円形や長円形、四角形などに成型されている場合など、錠剤Tが方向性を有する形態の場合に検出される。また、画像処理装置90は、前述の印刷ヘッド51による印刷を終えた錠剤Tの印刷検査用の画像を検査装置70から取り込み、錠剤Tに印刷された印刷パターン(例えば、文字やマーク)の印刷位置を検出する。
前述の画像処理装置90は、前述のように検出した各錠剤TのX方向、Y方向及びθ方向の位置情報、各錠剤T上の印刷パターンの印刷位置情報を制御装置100に送信する。なお、画像処理装置90が各位置情報を送信する際には、それらの位置情報に各撮像部41又は各撮像部71の識別情報を付加して送信する。これにより、制御装置100は、送信された位置情報が、どの撮像部41、71に対応する位置情報であるかを把握することができる。
制御装置100は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも図示せず)を備えている。この制御装置100は、各種情報や各種プログラムに基づいて供給装置10、搬送装置20、撮像装置40、印刷装置50、乾燥装置60、検査装置70及び画像処理装置90を制御する。また、制御装置100は、検出装置30や位置検出器24aから送信される検出信号などを受信する。
この制御装置100は、画像処理装置90から送信される錠剤TのX方向、Y方向及びθ方向の位置情報に基づいて、X方向、Y方向及びθ方向の位置が検出された錠剤Tに対する印刷条件を設定する。記憶部には、印刷パターン(例えば、文字やマーク)及びその印刷パターンの錠剤T上での印刷位置などを含む印刷データ、さらに、搬送ベルト21の移動速度データなどが記憶されている。また、制御装置100は、画像処理装置90から送信された錠剤Tの印刷パターンの印刷位置情報に基づいて、印刷パターンが錠剤Tに正常に印刷されたか否かを判断する。これは、正しい印刷パターンを予め制御装置100に記憶させておき、この正しい印刷パターンと実際の印刷後の錠剤T上の印刷パターンとを比較して行われる。
表示装置110は、各種の画像を表示する表示部として機能する。この表示装置110としては、液晶ディスプレイなどを用いることが可能である。表示装置110は、制御装置100に電気的に接続されており、その駆動が制御装置100によって制御される。
(搬送ベルトの位置及び吸引孔の異常確認)
図3に示すように、制御装置100は、異常判断部101を備えている。この異常判断部101は、搬送ベルト21上に錠剤Tを供給せずに搬送ベルト21を所定の一定速度で動かす空運転において、搬送ベルト21のY方向の位置及び各吸引孔21aに係る異常の有無を判断する。また、検出装置30の各検出部31は、前述の空運転中、搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態(例えば、吸引孔21aにおける搬送方向A1の大きさや隣り合う吸引孔21a同士の間隔)を検出する状態検出部としてそれぞれ機能する。このため、異常判断部101は、各検出部31により検出された各吸引孔21aの状態に基づき、搬送ベルト21のY方向の位置及び各吸引孔21aに係る異常の有無を判断する。
ここで、搬送ベルト21は、メンテナンス後、図4に示すように、検出部31が空運転において波形(矩形波)S1を検出するよう、すなわち、搬送ベルト21の一周分の波形S1における時間T1及び時間T2が所定の許容範囲(例えば、±0.1秒)以内となるように取り付けられる。例えば、搬送ベルト21の各吸引孔21aの列が表示装置110により表示され、作業者は、その表示装置110により表示された各吸引孔21aの列が表示装置110の表示画面上の所定ライン(所定位置)L1に合うように搬送ベルト21を取り付ける。この所定ラインは、運転中に搬送ベルト21の各吸引孔21aの中央が検出部31による検出位置を通るように設定されている。
なお、時間T1は、波形S1の立下りから立上りまでの時間であり、吸引孔21aの大きさに応じて変化する。また、時間T2は、波形S1の立上りから立下りまでの時間であり、隣り合う吸引孔21a同士の間隔に応じて変化する(以降の波形も同様)。また、波形S1が図4のような波形となるとき(正常なとき)は、「1.吸引孔21aが形成されている箇所において、ある一定の深さ以上の測定値が検出される時間が所定の時間(T1)となるとき」であり、かつ、「2.搬送ベルト21の表面高さの測定値が検出される時間が所定の時間(T2)であるとき」である。ここで言う「ある一定の深さ」とは、例えば、搬送ベルト21の厚みの半分の深さであり、検出部31によってこの一定の深さ以上の測定値が検出される間は、搬送ベルト21上に孔が形成されていると判断することができる。
検出部31は、搬送ベルト21のY方向の位置と搬送ベルト21の各吸引孔21aが正常である場合、図4に示すような波形S1を検出する。一方、搬送ベルト21のY方向の位置が異常である場合には、図5に示すような波形S1aを検出する(図5では、搬送ベルト21が図5中の上方向にずれている)。また、検出部31は、搬送ベルト21のY方向の位置が正常であり、搬送ベルト21の吸引孔21aが異常である場合には、図6又は図7に示すような波形S2、S3を検出する。
ここで、検出部31は、搬送ベルト21にレーザ光を当て、搬送ベルト21により反射された反射光を検出するものである。このため、検出部31により検出された検出信号、すなわち反射光の強度変化を示す波形(例えば、波形S1〜S4)が得られる。この波形に対応する時間長さが前述の時間T1や時間T2である。なお、搬送ベルト21の速度は一定であるため、ベルト速度×時間T1は吸引孔21aの大きさ、ベルト速度×時間T2は、隣り合う吸引孔21a同士の間隔となる。このため、前述のような波形S1、S2、S3を検出することは、吸引孔21aにおける搬送方向A1の大きさや隣り合う吸引孔21a同士の間隔を検出することになる。
異常判断部101は、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全体的に(例えば、全体の80%以上)所定の許容範囲以内であるか否かを判断する。搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全体的に所定の許容範囲(又は所定時間)以内であると判断した場合には、搬送ベルト21のY方向の位置は正常であると判定する(図4参照)。一方、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全体的に所定の許容範囲以内でないと判断した場合には、搬送ベルト21のY方向の位置は異常であると判定する(図5参照)。なお、所定の許容範囲(又は所定時間)は予め設定されている(以下も同様)。
時間T1、T2は、搬送ベルト21に形成された吸引孔21aの中心を通る線の位置を基準として測定される。すなわち、図4のような円形の吸引孔21aの場合には、時間T1は吸引孔21aの直径であり、時間T2は隣り合う吸引孔21a同士の間隔となり、搬送速度から時間T1、T2を計算することができる。図5に示すように、搬送ベルト21の取り付け位置が基準からずれている場合には、時間T1が基準よりも短くなり、時間T2が長くなる。これによって搬送ベルト21が基準からずれているか否か判断することができ、このずれ量が許容範囲内であるか否かによって、搬送ベルト21の取り付け位置が正常か異常かを判断することができる。
表示装置110は、異常判断部101により搬送ベルト21のY方向の位置が異常であると判定されると、その旨の異常を知らせる画像を表示する。なお、表示装置110により作業者に異常を通知すること以外にも、音声やビープ音などの音、あるいは、点滅光などの光を出力する出力装置により作業者に異常を通知することも可能である。作業者は、表示装置110により表示された搬送ベルト21のY方向の位置異常通知を目視し、搬送ベルト21のY方向の位置異常が発生したことを把握することができる。これにより、作業者は、位置異常発生に応じて、搬送ベルト21のY方向の位置を修正して正確に取り付けることが可能となる。
また、異常判断部101は、搬送ベルト21のY方向の位置が正常であることを前提に、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全て所定の許容範囲(又は所定時間)以内であるか否かを判断する。搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全て所定の許容範囲以内であると判断した場合には、搬送ベルト21の各吸引孔21aが正常であると判定する(図4参照)。一方、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1や時間T2が所定の許容範囲以内でないと判断した場合には、搬送ベルト21の吸引孔21aの異常が有ると判定する(図6及び図7参照)。このとき、異常判断部101は、位置検出器24aからの検出信号(位置情報)に基づき、異常な吸引孔21aの位置を把握することが可能である。
例えば、図6に示すように、立下りから立上りまでの時間T1が所定の許容範囲の上限値より長い場合には、隣り合う吸引孔21a同士がつながっていると判定することが可能である。また、図7に示すように、立上りから立下りまでの時間T2が所定の許容範囲の上限値より長い、あるいは、立下りから立上りまでの時間T1が所定の許容範囲の下限値より短い場合には、錠剤の欠片などの異物Taが異常な形状の吸引孔21aに挟まっていると判定することが可能である。なお、図8に示すように、異常な形状(隣り合う吸引孔21a同士が繋がって形成される形状)の吸引孔21aに錠剤Tが吸引されると、吸引力が錠剤Tの一部分に集中して働くことがある。この場合、錠剤Tは傾いた状態で保持されることがあり、その状態のまま印刷が行われると、印刷ヘッド51から吐出されるインクの着弾位置がずれてしまい、印刷品質が低下してしまう。
表示装置110は、異常判断部101により搬送ベルト21の吸引孔21aが異常であると判断されると、その旨の異常を知らせる画像を表示する。なお、前述と同じように、表示装置110により作業者に異常を通知すること以外にも、音声やビープ音などの音、あるいは、点滅光などの光を出力する出力装置により作業者に異常を通知することも可能である。作業者は、表示装置110により表示された搬送ベルト21の吸引孔21aの異常通知を目視し、搬送ベルト21の吸引孔21aの異常が発生したことを把握することができる。これにより、作業者は、吸引孔21aの異常発生に応じて、搬送ベルト21の交換や清掃を行うことが可能となるので、搬送ベルト21の傷みに起因する印刷品質の低下を抑えることができる。
ここで、吸引孔21aの異常を通知する場合には、異常判断部101により異常な吸引孔21aの位置を把握し、その異常な吸引孔21aや正常な吸引孔21aの状態を示す画像を撮像装置40又は検査装置70により撮像し、図9に示すように、その画像G1、G2を表示装置110により表示することも可能である。このとき、異常判断部101は、位置検出器24aからの検出信号に基づき、異常な吸引孔21aの位置を把握する。吸引孔21aは1〜2mm程度と非常に小さいため、目視が困難であるが、表示装置110により異常な吸引孔21aを表示することで、作業者は、表示装置110により表示された異常な吸引孔21aを目視して容易に確認することができる。
(印刷工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1が行う印刷工程(印刷処理)について図10を参照して説明する(図1も適宜参照)。なお、印刷を実行するまでの間には、印刷に要する印刷データなどの各種情報が制御装置100の記憶部に記憶されており、また、供給装置10のホッパ11には印刷対象の錠剤Tが多数投入されている。
図10に示すように、ステップS1において、供給装置10から搬送装置20に対する錠剤Tの供給が停止している状態で、搬送装置20の搬送ベルト21が駆動される。この搬送ベルト21は、駆動部24による駆動プーリ22及び従動プーリ23の回転に伴い、搬送方向A1に回転する。
ステップS2において、搬送ベルト21が動いている状態の空運転で、検出装置30の各検出部31により搬送ベルト21の各吸引孔21aが連続的に検出され、搬送ベルト21の一周分の矩形波が取得され、その後、搬送ベルト21の運転が止められる。
ステップS3において、前述のステップS2で取得された矩形波に基づいて、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全体的に(例えば、全体の80%以上)所定の許容範囲内であるか否か、すなわち搬送ベルト21のY方向の位置が正常であるか否かが判断される。
前述のステップS3において、搬送ベルト21のY方向の位置が正常であると判断されると(YES)、ステップS4において、前述のステップS2で取得された矩形波に基づいて、搬送ベルト21の一周分の波形における時間T1及び時間T2が全て所定の許容範囲内であるか否か、すなわち搬送ベルト21の各吸引孔21aが正常であるか否かが判断される。
前述のステップS4において、搬送ベルト21の各吸引孔21aが正常であると判断されると(YES)、ステップS5において、印刷が許可され、錠剤Tの供給が開始されて印刷動作が実行される。
一方、前述のステップS3において、搬送ベルト21のY方向の位置が異常であると判断されると(NO)、ステップS6において、印刷が禁止され、搬送ベルト21のY方向の位置異常が作業者に通知される。このとき、例えば、搬送ベルト21のY方向の位置異常を通知する画像が表示装置110により表示される。これにより、作業者は、表示された画像を見て搬送ベルト21のY方向の位置異常を認識し、搬送ベルト21のY方向の位置を修正することができる。
また、前述のステップS4において、搬送ベルト21の吸引孔21aが異常であると判断されると(NO)、ステップS6において、印刷が禁止され、搬送ベルト21の吸引孔21aの異常が作業者に通知される。このとき、例えば、搬送ベルト21の吸引孔21aの異常を通知する画像が表示装置110により表示される。これにより、作業者は、表示された画像を見て搬送ベルト21の吸引孔21aの異常を認識し、搬送ベルト21の交換や清掃を行うことができる。
(印刷動作)
前述のステップS5の印刷実行時には、搬送ベルト21が駆動され、その搬送ベルト21は、駆動部24による駆動プーリ22及び従動プーリ23の回転に伴い、搬送方向A1に回転する。そして、搬送ベルト21が回転している状態で、供給装置10から錠剤Tが搬送ベルト21上に一定間隔ではなくランダムに順次供給される。錠剤Tは搬送ベルト21上に二列に並んで所定の移動速度で搬送されていく。
搬送ベルト21上の錠剤Tは、検出装置30によって検出される。これにより、錠剤Tの位置情報(搬送方向A1の位置)が取得され、制御装置100に入力される。この錠剤Tの位置情報は、制御装置100の記憶部に保存されて後処理で用いられる。次に、搬送ベルト21上の錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで撮像装置40によって撮像され、撮像された画像が画像処理装置90に送信される。撮像装置40から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tの位置ずれ情報(例えば、X方向、Y方向及びθ方向での錠剤Tの位置ずれ)が画像処理装置90により生成され、制御装置100の記憶部に保存される。この錠剤Tの位置ずれ情報に基づき、錠剤Tに対する印刷条件(インクの吐出位置や吐出速度など)が制御装置100により設定され、制御装置100の記憶部に保存される。
その後、搬送ベルト21上の個々の錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが印刷装置50の下方に到達したタイミングで、前述の印刷条件に基づいて印刷装置50により印刷が実行される。印刷装置50の各印刷ヘッド51において、各ノズル51aからインクが適宜吐出され、その錠剤Tの上面に文字(例えばアルファベット、片仮名、番号)やマーク(例えば記号、図形)などの識別情報が印刷される。この錠剤Tに塗布されたインクは乾燥装置60によって乾燥する。なお、インクが急速に乾燥するタイプであれば、乾燥装置60を不要とすることも可能である。
インクが乾燥した錠剤Tは、検査装置70により検査される。すなわち、インクが乾燥した錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで検査装置70によって撮像され、撮像された画像が画像処理装置90に送信される。検査装置70から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tごとの印刷パターンの印刷位置を示す印刷位置情報が画像処理装置90により生成され、制御装置100の記憶部に保存される。その印刷位置情報に基づき、錠剤Tに対する印刷良否が制御装置100により判断され、錠剤Tごとの印刷良否の結果を示す印刷良否結果情報が制御装置100の記憶部に保存される。例えば、印刷パターンが錠剤Tの所定位置に印刷されているか否かが判断される。
検査後の錠剤Tは、搬送ベルト21の移動に伴って搬送ベルト21の下流側の端部に位置すると、搬送ベルト21に保持された状態から解放され、搬送ベルト21から落下して回収装置80により回収される。このとき、検査が合格であった錠剤Tは、そのまま落下して回収装置80により回収されるが、検査が不合格であった錠剤Tは、搬送ベルト21から落下する途中でエアの吹き付けにより排除される。なお、エアの吹き付けにより排除された錠剤Tは、例えば、回収装置80の隣に設けられた他の回収容器(不図示)によって回収される。
このような印刷工程では、搬送ベルト21のY方向の位置又は吸引孔21aが異常である場合には、それら搬送ベルト21のY方向の位置又は吸引孔21aが異常であることが制御装置100により把握され、印刷が禁止される。これにより、搬送ベルト21のY方向の位置又は吸引孔21aが異常である状態で印刷を行うことが抑制されるので、印刷品質の低下を抑えることができる。また、その搬送ベルト21のY方向の位置や吸引孔21aの異常が作業者に通知される。これにより、作業者は搬送ベルト21のY方向の位置異常を認識し、搬送ベルト21のY方向の位置を正常な位置に修正することができる。あるいは、作業者は搬送ベルト21の吸引孔21aの異常を認識し、搬送ベルト21の交換や清掃を行うことができる。
なお、錠剤印刷装置1においては、様々な品種の錠剤Tに対して印刷が行われる場合がある。錠剤Tの品種を変更する際には、錠剤印刷装置1の全体が清掃されるが、品種変更前の錠剤Tの欠片が吸引孔21aに挟まったままになることがある。錠剤Tの品種変更後に、品種変更前の錠剤Tの欠片が吸引孔21aに挟まった状態であると、その挟まった状態の欠片の成分が品種変更後の錠剤Tに付着することがある。この場合には、品種変更後の錠剤Tの正規成分に影響を与えることがあるため、品種変更前の錠剤Tの欠片が搬送ベルト21の吸引孔21aに挟まった状態であることは問題となる。そこで、前述のように作業者に搬送ベルト21の吸引孔21aの異常を通知するによって、作業者は吸引孔21aの異常を認識することが可能であるので、搬送ベルト21の交換や清掃を行い、品種変更前の錠剤Tの欠片が搬送ベルト21の吸引孔21aに挟まった状態を回避することができる。
以上説明したように、実施の一形態によれば、搬送ベルト21の吸引孔21aの状態(例えば、吸引孔21aにおける搬送方向A1の大きさや隣り合う吸引孔21a同士の間隔)が検出され、検出された吸引孔21aの状態に基づいて、吸引孔21aの異常(例えば、隣り合う吸引孔21aの連結や異物の挟まり)の有無が判断される。これにより、吸引孔21aが異常である場合には、作業者に異常発生を通知したり、錠剤Tへの印刷動作を禁止したりすることが可能となり、傷んだ搬送ベルト21を用いて印刷動作を行うことが抑制されるので、搬送ベルト21の傷みに起因する印刷品質の低下を抑えることができる。
なお、搬送ベルトの着脱や清掃などのメンテナンス時に、作業者は搬送ベルトの傷み具合(劣化具合)を把握するため、目視や手触りで搬送ベルトの傷み具合を確認することも考えられる。しかしながら、この傷み具合の確認では、吸引孔の異常などを見つけることが難しく、搬送ベルトの傷みを見逃すことがある。そして、そのまま傷んだ搬送ベルトが用いられると、印刷品質が低下する。また、作業者は、搬送ベルトによる錠剤の搬送中、錠剤の位置ずれや錠剤の落下などが発生したら、あるいは、錠剤の不良率がある程度上昇したら、搬送ベルトが傷んでいると判断することもあるが、この場合、錠剤の位置ずれや落下、不良率の上昇などの問題発生前後において、印刷品質は低下する傾向にあった。
この点、上記実施の位置形態によれば、搬送ベルト21を用いて錠剤Tへ印刷を行うことがなくなるので、確実に搬送ベルト21の傷みや異物に起因する印刷品質の低下を抑えることができる。
<他の実施形態>
前述の実施形態においては、空運転中に検出装置30(各検出部31)により搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態を検出し、その状態に基づいて吸引孔21aの異常の有無を判断しているが、これに限るものではない。例えば、空運転中に、搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態を示す画像を撮像装置40(各撮像部41)及び検査装置70(各撮像部71)のどちらか一方又は両方により撮像し、その画像G1、G2(図9参照)を表示装置110により表示するようにしても良い。この場合には、撮像装置40又は検査装置70は状態検出部として機能する。撮像表示処理としては、空運転中の搬送ベルト21の一周分の画像(複数の画像)を連続的に撮像して動画あるいは静止画として表示したり、あるいは、間欠的に撮像して静止画像として表示したりすることが可能である。また、公知の画像処理技術により画像を処理して異常な吸引孔21aや錠剤Tの欠片を認識し、それらを目立つように色分け表示することも可能である。作業者は、表示装置110により表示された各吸引孔21aを視認し、異常な吸引孔21aを見つけることができる。これにより、作業者は吸引孔21aの異常を認識し、搬送ベルト21の交換や清掃を行うことが可能となり、傷んだ搬送ベルト21を用いて印刷動作を行うことが抑制されるので、搬送ベルト21の傷みに起因する印刷品質の低下を抑えることができる。また、作業者が搬送ベルト21を直接目視したり、手で触ったりして搬送ベルト21の傷み具合を確認することに比べ、表示装置110により表示された画像を見て、搬送ベルト21の傷み具合を容易に確認することができる。
また、前述の実施形態においては、空運転中に検出装置30により搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態を検出し、その状態に基づいて搬送ベルト21のY方向の位置異常の有無を判断しているが、これに限るものではない。例えば、空運転中に、撮像装置40及び検査装置70のどちらか一方又は両方によって搬送ベルト21の一周分の画像(複数の画像)を撮像し、撮像した画像を公知の画像処理技術により処理して各吸引孔21aのY方向の位置を検出し、その位置情報に基づいて搬送ベルト21のY方向の位置異常の有無を判断するようにしても良い。このときのY方向の位置とは、例えば、撮像視野の中心に対するXY座標系の位置であり、その撮像視野の中心に対して吸引孔21aがどの程度Y方向にずれているかを示す(例えば、+1mmや−1mm)。なお、撮像処理としては、空運転中の搬送ベルト21の一周分の画像を連続的又は間欠的に撮像することが可能であり、搬送ベルト21が動いている状態で一周分の画像を撮像しても、搬送ベルト21が停止している状態(搬送ベルト21が間欠移動して停止している状態も含む)で撮像しても良い。
また、前述の実施形態においては、空運転中に搬送ベルト21の吸引孔21aの状態を検出し、その状態に基づいて搬送ベルト21の吸引孔21a又はY方向の位置の異常の有無を判断しているが、これに限るものではない。例えば、搬送ベルト21上に錠剤Tを供給しつつ搬送ベルト21を動かす印刷運転中に、搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態を検出又は撮像し、その状態に基づいて搬送ベルト21の吸引孔21a又はY方向の位置の異常の有無を判断したり、あるいは、異常な吸引孔21aを表示したりしても良い。ただし、搬送ベルト21上の錠剤Tが吸引孔21aの異常判断や吸引孔21aの表示を邪魔することがある。このため、検出装置30、撮像装置40及び検査装置70以外の状態検出部を搬送装置20の下方、すなわち、印刷運転中でも搬送ベルト21上に錠剤Tが存在せず、各吸引孔21aを検出又は撮像可能な領域に対向させて設け、その状態検出部により搬送ベルト21の各吸引孔21aの状態を検出したり、あるいは、表示したりすることが望ましい。また、印刷運転中、錠剤Tが直下に存在しないタイミングで撮像装置40又は検査装置70により搬送ベルト21の撮像を行い、錠剤Tが存在しない画像を取得することも可能である。
このとき、搬送ベルト21の吸引孔21aにおける異常の有無を判断する際に、時間T1及び時間T2が所定の許容範囲内にはあるものの、別途予め定めたレベルを超えた時点で、「もうすぐ所定の許容範囲を外れる」と判断し、新たな錠剤Tbの投入をやめるようにしても良い。このように制御することにより、「もうすぐ所定の許容範囲を外れる」と判断された時点で搬送ベルト21上に載っている錠剤Tbだけを印刷し、新たに錠剤Tbが搬送ベルト21に供給されないので、吸引孔21aの異常が発生する前に印刷を中断でき、印刷不良の錠剤Tbを大幅に減らすことができる。
また、前述の実施形態においては、錠剤Tを二列で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、その列数は一列や三列又は四列以上であっても良く、特に限定されるものではない。
また、前述の実施形態においては、搬送ベルト21を一本だけ設けることを例示したが、これに限るものではなく、二本以上設けるようにしても良く、その数は特に限定されるものではない。
また、前述の実施形態においては、搬送ベルト21上に錠剤Tを保持するための穴部として円形の吸引孔21aを例示したが、これに限るものではなく、例えば、長方形や楕円形、スリット状の吸引孔を用いることが可能であり、吸引孔21aの形状は特に限定されるものではない。
また、前述の実施形態においては、錠剤Tの搬送経路ごとに印刷ヘッド51を設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、一つの印刷ヘッド51によって二列以上の錠剤Tに印刷を行うようにしても良い。
また、前述の実施形態においては、検出装置30に基づいて印刷のタイミングを取ることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、撮像装置40に基づいて印刷のタイミングを取るようにしても良い。
また、前述の実施形態においては、インクジェット方式の印刷ヘッド51として、ノズル51aが一列に並ぶ印刷ヘッドを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル51aが複数列に並ぶ印刷ヘッドを用いるようにしても良い。また、錠剤Tの搬送方向A1に沿って印刷ヘッドを複数並べて用いるようにしても良い。
また、前述の実施形態においては、搬送ベルト21の全周に亘って吸引部25を形成することを例示したが、これに限るものではなく、吸引部25は搬送ベルト21の全周に亘って形成されている必要はなく、前述のように錠剤Tが供給されてから回収されるまでの間だけ、吸引部25を形成するようにしても良い。
また、前述の実施形態においては、錠剤Tの片面を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、搬送装置20などを上下に重ねて配置して、上側の搬送装置20で印刷した錠剤Tを反転して下側の搬送装置20に受け渡すようにして、錠剤Tの両面を印刷するようにしても良い。
また、前述の実施形態においては、搬送ベルト21の吸引孔21aの異常を認識することで、印刷を禁止し、搬送ベルト21の交換や清掃を行うとしたが、これに限るものではなく、異常が検出された吸引孔21aを特定し、その吸引孔21aに錠剤Tが供給されないように制御したり、あるいは、異常が検出された吸引孔21aに保持された錠剤Tに対してのみ、印刷を行わないように制御したりするようにしても良い。このような制御を行うことで、印刷ヘッド51からインクを無駄に吐出することを抑制することが可能になるので、印刷不良の錠剤Tの発生を低下させることができる。さらに、搬送動作を停止させなくてすむので、効率的な搬送を実現することができる。また、異常が検出された吸引孔21aに保持された錠剤Tに対してのみ印刷を行わないようにすることで、このような意図的に印刷を行わなかった錠剤Tだけを図示しない再利用ボックスに回収して、再度印刷に用いることができる。
ここで、前述の錠剤としては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、裸錠(素錠)や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 錠剤印刷装置
10 供給装置
21 搬送ベルト
31 検出部
41 撮像部
50 印刷装置
51 印刷ヘッド
71 撮像部
101 異常判断部
110 表示装置
T 錠剤
Ta 異物
S1 波形
S1a 波形
S2 波形
S3 波形

Claims (7)

  1. 錠剤を吸引する吸引孔を有し、前記吸引孔により吸引した前記錠剤を搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトにより搬送される前記錠剤に印刷を行う印刷ヘッドと、
    前記搬送ベルトの前記吸引孔の状態を検出する状態検出部と、
    前記状態検出部により検出された前記吸引孔の状態に基づいて、前記吸引孔の異常の有無を判断する異常判断部と、
    を備えることを特徴とする錠剤印刷装置。
  2. 錠剤を吸引する吸引孔を有し、前記吸引孔により吸引した前記錠剤を搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトにより搬送される前記錠剤に印刷を行う印刷ヘッドと、
    前記搬送ベルトの前記吸引孔の状態を検出する状態検出部と、
    前記状態検出部により検出された前記吸引孔の状態を表示する表示部と、
    を備えることを特徴とする錠剤印刷装置。
  3. 前記異常判断部により異常が有ると判断された前記吸引孔の状態を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
  4. 前記吸引孔は、隣り合うように前記搬送ベルトに複数形成されており、
    前記状態検出部は、前記搬送ベルトにレーザ光を当て、前記搬送ベルトにより反射された反射光を検出する検出部であり、
    前記異常判断部は、前記検出部により検出された前記反射光の強度変化に対応する時間長さが所定時間以上であるか否かを判定し、前記時間長さが前記所定時間以上であると判定した場合、前記吸引孔の異常として、隣り合う前記吸引孔同士がつながっている異常が有ると判断することを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
  5. 前記状態検出部は、前記搬送ベルトにレーザ光を当て、前記搬送ベルトにより反射された反射光を検出する検出部であり、
    前記異常判断部は、前記検出部により検出された前記反射光の強度変化に対応する時間長さが所定時間未満であるか否かを判定し、前記時間長さが前記所定時間未満であると判定した場合、前記吸引孔の異常として、前記吸引孔に異物が挟まっている異常が有ると判断することを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
  6. 前記状態検出部は、前記搬送ベルトの前記吸引孔における前記錠剤の搬送方向の大きさを検出し、
    前記異常判断部は、前記状態検出部により検出された前記吸引孔の大きさに基づいて、前記錠剤の搬送方向に水平面内で直交する方向への前記搬送ベルトの位置ずれの有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
  7. 前記異常判断部により前記吸引孔の異常が無いと判断された場合、前記搬送ベルトに前記錠剤を供給する供給装置をさらに備え、
    前記状態検出部は、前記搬送ベルト上の前記錠剤の位置を検出し、
    前記印刷ヘッドは、前記状態検出部により検出された前記錠剤の位置に基づいて前記搬送ベルト上の前記錠剤に印刷を行うことを特徴とする請求項1又は、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の錠剤印刷装置。
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