JP2016193043A - 錠剤印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対して印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、搬送装置上に移動機構を極力設けることなく行うことのできる錠剤印刷装置を提供する。
【解決手段】錠剤Tを吸着する吸着部132を備える搬送ベルト13を備え、この吸着部132に錠剤Tを吸引力によって吸着保持して搬送する搬送装置1と、搬送装置1によって搬送される錠剤Tに対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドHと、塗布ヘッドHのメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス部材60と、を備え、メンテナンス部材60は、搬送装置1による吸引力が付与され、塗布ヘッドHから吐出されるインクを吸引する。
【選択図】図3
【解決手段】錠剤Tを吸着する吸着部132を備える搬送ベルト13を備え、この吸着部132に錠剤Tを吸引力によって吸着保持して搬送する搬送装置1と、搬送装置1によって搬送される錠剤Tに対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドHと、塗布ヘッドHのメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス部材60と、を備え、メンテナンス部材60は、搬送装置1による吸引力が付与され、塗布ヘッドHから吐出されるインクを吸引する。
【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、錠剤印刷装置に関する。
錠剤の表面に文字やマークなどを印刷する装置として、インクジェット式の塗布ヘッド(以下、「塗布ヘッド」)を用いる装置が知られている。
このような装置では、ベルトコンベア等の搬送装置を用いて、錠剤を整列状態で連続的に搬送し、搬送中の錠剤が塗布ヘッド下を通過するタイミングに合わせて塗布ヘッドの各ノズルからインクを吐出させて、錠剤の表面に印刷を施している(特許文献1)。
上述のような塗布装置では、異なる大きさや異なる品種の錠剤に印刷を行なうため、印刷対象となる錠剤に応じて印刷幅(搬送方向に直交する方向における印刷領域の長さ)が変化する。そのため、印刷対象に応じて塗布ヘッドを交換しないように、塗布ヘッドは印刷対象となる錠剤の中で最も大きな印刷領域を備える錠剤に合わせて選択されることになる。従って、錠剤によっては、選択された塗布ヘッドのノズル列は、当該錠剤における最大の印刷領域の長さよりも長い状態となる。そして、印刷領域の長さが短い錠剤に対して印刷を行なっている間は、印刷領域から外れたノズルからはインクが長時間吐出されないことになる。
このような場合、インクが長時間吐出されないノズル内のインクは動かない。従って、このようなノズル内のインクは、次第に乾燥し、乾燥するに従ってインクの粘度が徐々に増加する。そのため、錠剤の品種が変わって印刷領域の長さが長くなり、当該ノズルが使用されるときには、インクを吐出させることができないといった不具合を招来する可能性がある。
そのため、実際には錠剤の印刷に使用されないノズル内のインクを移動させるために、メンテナンス処理として、ダミー吐出やパージ処理を行なう必要がある。ここで、ダミー吐出は、各ノズルに対応する圧電素子を駆動させて各ノズルから一斉にインクを吐出させる動作を指す。一方、パージ処理は、塗布ヘッド内に気体やポンプの加圧によってインクを圧送し、各ノズルから一斉にインクを吐出させる動作を指す。
従来、このメンテナンス処理のために、塗布ヘッドを、この塗布ヘッドによる通常の印刷位置とは異なるメンテナンス位置まで移動させるようにしていた。このため、移動のためのロス時間が発生していた。
本発明は、搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対してインクジェット方式の塗布ヘッドを用いて印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、ロス時間を極力なくし、かつ良好に行うことのできる錠剤印刷装置を提供することにある。
実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤を吸着する吸着部を備える搬送ベルトを備え、この吸着部に錠剤を吸引力によって吸着保持して搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送される錠剤に対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドと、塗布ヘッドのメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス部材と、を備え、メンテナンス部材は、搬送装置による吸引力が付与され、塗布ヘッドから吐出されるインクを吸引する。
実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤を保持する凹部、または、錠剤を吸着する吸着部を備える搬送ベルトを備え、この凹部に錠剤を保持して搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送される錠剤に対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドと、塗布ヘッドのメンテナンスを行う際に、搬送ベルトの凹部、または、吸着部に装着して用いる着脱可能なメンテナンス部材とを備える。
本発明によれば、搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対してインクジェット方式の塗布ヘッドを用いて印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、ロス時間を極力なくし、かつ良好に行うことのできる錠剤印刷装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る錠剤印刷装置Sの全体構成を示す正面図である。錠剤印刷装置Sは、印刷対象となる錠剤を搬送する搬送装置Cと、当該搬送装置Cによって搬送される錠剤に対して印刷を行う印刷機構Pとから構成される。
図1は、本発明の実施の形態に係る錠剤印刷装置Sの全体構成を示す正面図である。錠剤印刷装置Sは、印刷対象となる錠剤を搬送する搬送装置Cと、当該搬送装置Cによって搬送される錠剤に対して印刷を行う印刷機構Pとから構成される。
なお、ここで「錠剤」としては、例えば、裸錠(素錠)、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠等を挙げることができる。また以下の説明においては、硬カプセル、軟カプセルいずれで構成されているかを問わず、カプセル錠についても「錠剤」に含めて説明をする。
また、これら「錠剤」は、医薬用、飲食用を念頭に置いて説明を行うが、洗浄用、工業用、芳香用として使用されるものも含んでも良い。
印刷対象とされる錠剤が医薬用、飲食用である場合には、使用するインクは、可食性インクが好適である。具体的には、可食性色素としてアマランス、エリスロシン、ニューコクシン(以上、赤色)、タートラジン、サンセットイエローFCF、β−カロチン、クロシン(以上、黄色)、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン(以上、青色)等を用い、これらをビヒクルに分散または溶解し、必要に応じて色素分散剤(界面活性剤)を配合したものを使用することができる。
また、可食性インクであれば、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。
図1に示すように、錠剤印刷装置Sは、2つの搬送装置C(第1の搬送装置1及び第2の搬送装置2)が上下に配置される構成である。また、第1の搬送装置1及び第2の搬送装置2には、それぞれ印刷機構Pを構成する第1の印刷機構3、第2の印刷機構4が設けられている。すなわち、第1の搬送装置1の上部に第1の印刷機構3が、第2の搬送装置2の上部には第2の印刷機構4がそれぞれ組み合わせられて設けられ、全体として錠剤印刷装置Sが構成されることになる。
なお、本発明の実施の形態においては、第1の搬送装置1と第2の搬送装置2、或いは、第1の印刷機構3と第2の印刷機構4とは、それぞれ基本的な構成をともに同じくする。そこで、以下において搬送装置C及び印刷機構Pの説明を行うに際しては、第1の搬送装置1及び印刷機構3を例に挙げて説明する。
まず第1の搬送装置1は、第1のプーリ11と、第2のプーリ12と、無端状の搬送ベルト13と、吸引チャンバ14と、を備えている。
第1のプーリ11は、図1に示される第1の搬送装置1に円形状に示される2つのプーリのうち、左側のプーリである。本発明の実施の形態においては、この第1のプーリ11が駆動源に接続され、駆動プーリとしての役割を果たす。
第2のプーリ12は、図1に示される2つのプーリのうちの右側のプーリである。第2のプーリ12には特に駆動源は接続されておらず、搬送ベルト13を介して第1のプーリ11が回転するのに合わせて回転する従動プーリである。
なお、本発明の実施の形態では、図1の第1の搬送装置1のうち、左側のプーリを駆動プーリである第1のプーリ11とし、右側のプーリを従動プーリである第2のプーリ12としたが、いずれのプーリを第1と、或いは、第2とし、または、駆動プーリ、従動プーリとするかは装置構成において自由に設定することができる。
搬送ベルト13は、第1のプーリ11と第2のプーリ12とに掛け渡され、端部が設けられない無端状であることから、第1のプーリ11と第2のプーリ12とが回転することで回転する。本発明の実施の形態においては、第1のプーリ11及び第2のプーリ12は、ともに右回転を行うことになる。
従って、第1の搬送装置1では、搬送ベルト13は、上側の水平領域において実線で示す矢印の方向、すなわち、第1のプーリ11から第2のプーリ12に向けて右向きに進む。後述する第1の印刷機構3において、錠剤Tに印刷を行う際には、この搬送ベルト13上に錠剤Tが載置され、第1の印刷機構3等に搬送される。
なお、ここではプーリが2つ設けられていることを前提に説明を行うが、この場合に限らず、搬送ベルト13の移動経路に、プーリが3個以上配置されても良い。
搬送ベルト13の構成について、図2を利用してさらに具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る搬送装置C(特に第1の搬送装置1)の全体構成を示す斜視図である。
図2の搬送ベルト13に示されているように、搬送ベルト13の表面には、印刷対象となる錠剤Tを収めるためのポケット(凹部)131が設けられている。さらに凹部131に収納される錠剤Tを搬送中に確実に保持しておくために、本発明の実施の形態においては、空気を吸引することで凹部131内の錠剤Tを吸着、保持する機構を採用している。そのため、凹部131の底部には、空気を吸引し錠剤Tを吸着するための吸着部が形成されている。従って、搬送ベルト13の表面側には凹部131が形成され、当該凹部131の底部から搬送ベルト13の裏面側に向けて吸着部が形成されていることから、搬送ベルト13には貫通孔が形成されていることになる。なお、吸着部はこのような構成を採用していることから、図2に示す搬送ベルト13では見えないことから図示していない。
搬送ベルト13に形成される凹部131は、無端状に形成される搬送ベルト13の全周にわたって、等間隔で形成される。また図2に示す第1の搬送装置1においては、搬送ベルト13の凹部131は、搬送ベルト13の幅方向中央に1つ(1列)設けられているが、例えば、複数(複数列)設けられていても良い。
なお、ここではその図示を省略しているが、第1のプーリ11と第2のプーリ12は、歯付プーリである。また搬送ベルト13は、歯付ベルトである。より具体的には、搬送ベルト13の裏面において、幅方向の両側に第1のプーリ11、或いは、第2のプーリ12の歯にかみ合う歯が設けられており、吸引チャンバ14に対向する幅方向の中央部分は平坦面に形成されている。このように、第1のプーリ11、或いは、第2のプーリ12の歯に搬送ベルト13の歯がかみ合うことで、第1のプーリ11、或いは、第2のプーリ12の回転に伴って搬送ベルト13が回転する。
また、以下では、凹部131が形成されていることを前提に説明するが、例えば、搬送ベルト13に吸着部だけあいていて、搬送ベルト13上に吸引保持する凹部131が形成されていなくても良い。
吸引チャンバ14は、搬送ベルト13の吸着部に吸引力を付与する。吸引チャンバ14が空気を吸引することによって、吸着部を介して錠剤Tを凹部131内に吸着、保持する。吸引チャンバ14はこのような機能を備えることから、吸引チャンバ14は搬送ベルト13の全周のうち、任意の位置において吸着部に対して吸引力を付与することができるように構成されている。
なお、錠剤印刷装置Sの設置は、水平、垂直、いずれの傾きをもって行われても良いが、例えば本発明の実施の形態においては、搬送装置Cは、錠剤Tの搬送方向が水平となるように設置されている。第1の搬送装置1における搬送ベルト13は上述したように、実線の矢印で示す方向に進行するが、搬送装置C(第1の搬送装置1)がこのように設置されている場合、上述したように、搬送ベルト13は第1のプーリ11から第2のプーリ12へ向けては、水平方向右向きに進む。
第1の搬送装置1は上述したような構成を採用しているが、図1に示すように、第1の搬送装置1の上部には、第1のプーリ11から第2のプーリ12に向けて進む搬送ベルト13の表面に対向する位置に第1の印刷機構3が設けられている。
第1の印刷機構3は、錠剤Tに印刷を行うプリンタ31と、プリンタ31よりも搬送ベルト13の進行方向上流側に設けられる錠剤Tの位置(正確には、錠剤Tが収納された凹部131における相対位置)を検出する位置検出装置32と、プリンタ31よりも搬送ベルト13の進行方向下流側に設けられる錠剤Tに対して行われた印刷の状態を確認する印刷状態確認装置33とから構成される。
プリンタ31は、錠剤Tの表面に印刷を行う。ここでのプリンタ31は、例えば、インクジェット方式の塗布ヘッド(図3において符号Hで示す。)を好適に使用することができる。但し、インクジェット方式の塗布ヘッドHの駆動素子については、圧電素子に限らず、発熱素子や磁歪素子であっても良い。また、使用されるインクは、上述したような可食性インクである。
位置検出装置32は、搬送ベルト13の表面に形成される凹部131内に適切に錠剤Tが収納されているか、その位置を検出する装置である。位置検出装置32は、錠剤Tを撮影する撮影装置321と、撮影の対象となる錠剤Tを照らすための照明322とから構成される。撮影装置321は錠剤Tを撮影し、その撮影画像を取り込んで図1に示す制御部5に送信する。すなわち制御部5は、第1の印刷機構3(位置検出装置32)の構成の一部を担う。制御部5では、当該位置(検出結果)に基づいて適切な印刷(位置ずれが生じていたら、そのずれを補正して印刷)を行うべく、プリンタ31を駆動させ、或いは、印刷を行わない、といった判断を行う。
印刷状態確認装置33は、プリンタ31によって錠剤Tの表面にされた印刷の状態を確認する装置である。印刷状態確認装置33は、錠剤Tにおける印刷状態を撮影する撮影装置331と、撮影の対象となる錠剤Tを照らすための照明332とから構成される。撮影装置331は錠剤Tを撮影し、その撮影画像を取り込んで制御部5に送信する。従って、ここでも制御部5は印刷機構3(印刷状態確認装置33)の構成の一部を担う。制御部5では、撮影された画像を基に印刷状態を検出し、印刷の適否を判断する。印刷不良と判断した錠剤Tについては、後述するように、不良品回収ボックスへと移す処理を行う。
さらに、第1の搬送装置1の第1のプーリ11の左側には、錠剤供給装置15が設けられている。この錠剤供給装置15内には多数の錠剤Tが収容されており、搬送ベルト13の凹部131に錠剤Tを1つずつ供給可能に構成される。
また、第2のプーリ12から第1のプーリ11へと搬送ベルト13が進む領域(図1中に符号E、F間に位置する、搬送ベルト13における下側の水平部分に対向する領域)には、印刷が終了した錠剤Tのインクを乾燥させるための乾燥装置16が設けられている。すなわち、乾燥装置16は、搬送ベルト13と対向する位置に設けられており、例えば、錠剤Tに熱風を吹き付けることで、錠剤Tに印刷されたインクを乾燥させる。
乾燥装置16は、ここでは搬送ベルト13が第2のプーリ12の回転に伴って反転し、第2のプーリ12から離間する位置Eから第1のプーリ11に向けて、第2の搬送装置2における第1のプーリ21の動きを阻害しない位置までの間に設けられている。
但し、乾燥装置16の設置位置は、この位置、領域に限らず、例えば、第1の印刷機構3による印刷が終了した直後から第1の搬送装置1によって搬送され、錠剤Tが第2の搬送装置2へと受け渡されるまでの全領域、或いは、適切な位置に設けられていれば足りる。または、乾燥装置は必ずしも設けられていなくても良い。
ところで、図1に示すように、錠剤印刷装置Sは、その上部に第1の搬送装置1が配置され、その下部に第2の搬送装置2が配置されている。第2の搬送装置2は、第1の搬送装置1の上部に設けられている第1の印刷機構3を利用して錠剤Tの表面に印刷した後、その上部に設けられている第2の印刷機構4を利用して錠剤Tの裏面に印刷を行うために錠剤Tを搬送する装置である。
第2の搬送装置2の基本的な構成は、上述した通り、第1の搬送装置1と基本的に同様である。すなわち、第2の搬送装置2は、駆動源である第1のプーリ21と、従動プーリとしての第2のプーリ22と、無端状の搬送ベルト23と、吸引チャンバ24と、を備えている。
このうち、搬送ベルト23は、第1のプーリ21と第2のプーリ22とが回転することで、錠剤Tを搬送する。また、搬送ベルト23の表面には、錠剤Tを収納するポケット(凹部)と、ベルト面に錠剤Tを吸着する吸着部を備える。
また、吸引チャンバ24は、搬送ベルト23の吸着部に吸引力を付与する。吸引チャンバ24が空気を吸引することによって、図示しない吸着部を介して錠剤Tを凹部231内に吸着、保持する。吸引チャンバ24はこのような機能を備えることから、吸引チャンバ24は搬送ベルト23の全周のうち、任意の位置において吸着部に対して吸引力を付与することができるように構成されている。
但し、第2の搬送装置2において、第1のプーリ21は、図1において右側に示されているプーリであり、第2のプーリ22は、左側のプーリを示している。これら第1のプーリ21及び第2のプーリ22は、左回りに回転することから、搬送ベルト23は、上側の水平部分において、実線で示す矢印の方向、すなわち、第1のプーリ21から第2のプーリ22に向けて左向きに進むことになる。
第2の搬送装置2は上述したような構成を採用しているが、図1に示すように、第2の搬送装置2の上部には、第1のプーリ21から第2のプーリ22に向けて進む搬送ベルト23の表面に対向する位置に第2の印刷機構4が設けられている。
第2の印刷機構4は、錠剤Tに印刷を行うプリンタ41と、プリンタ41よりも搬送ベルト23の進行方向上流側に設けられる位置検出装置42と、プリンタ41よりも搬送ベルト23の進行方向下流側に設けられる印刷状態確認装置43とから構成される。ここで、位置検出装置42は、錠剤Tを撮影する撮影装置421と、撮影の対象となる錠剤Tを照らすための照明422とから構成される。一方印刷状態確認装置43は、錠剤Tにおける印刷状態を撮影する撮影装置431と、撮影の対象となる錠剤Tを照らすための照明432とから構成される。
なお、ここでのプリンタ41、位置検出装置42、及び印刷状態確認装置43の役割、働きは、上述した第1の印刷機構3の各構成要素と同様である。
また、搬送ベルト23が第2のプーリ22から第1のプーリ21へと進む領域(図1中における符号I、J間の領域)には、印刷が終了した錠剤Tのインクを乾燥させるための乾燥装置25が設けられている。当該乾燥装置25の配置位置については、上述した乾燥装置16の配置位置と同様、錠剤印刷装置Sを構成する他の機構に干渉せず、錠剤Tに印刷されたインクを乾燥させることができるのであれば、いずれの位置に配置されても良い。
第2の搬送装置2における乾燥装置25の下流側の位置には、表面、及び裏面に対する印刷が終了した錠剤Tを、印刷の適否に応じて回収するボックスが設けられている。印刷状態確認装置33及び印刷状態確認装置43からの確認結果に基づいて、制御部5が錠剤Tごとに印刷の適否を判断する。印刷状態が適切な場合には、錠剤Tは搬送ベルト23から良品回収ボックス26へと送られる。一方、印刷状態が不適切な場合には、錠剤Tは搬送ベルト23から不良品回収ボックス27へと送られる。
ここでは、例えば、制御部5では印刷状態が不適切な場合のみ判断を行い、不良品とされた錠剤Tについては、例えば、搬送ベルト23から良品回収ボックス26へと落下する途中で当該錠剤Tに対して空気を吹き付けることによって、不良品回収ボックス27へと収納することとしても良い。
なお、プリンタ31、41の塗布ヘッドHは、不図示のZ軸移動装置によって上下方向(Z軸方向)に移動可能に支持されている。これにより、塗布ヘッドHは、ノズル形成面H2(図4参照)と、搬送される錠剤Tの上面との間の距離(対向間隔)が、予め設定された距離、例えば、1mm〜3mm程度の距離となるように調整可能とされている。
この調整は、錠剤Tの情報を基に、自動的に行なうことが可能である。錠剤Tの情報は、例えば、オペレータがキーボード等の入力手段を操作して入力される錠剤Tの厚みである。この場合、搬送ベルト13の凹部131の底面の高さは設計値から既知であるので、制御部5は、凹部131の底面の高さに、入力された錠剤Tの厚みの値と、設定された対向間隔の値とを加算した高さ位置にノズル形成面H2が位置するように、Z軸移動装置を制御する。
或いは、搬送ベルト13による錠剤Tの搬送経路上に、錠剤Tの上面の高さを測定するための測定装置を備えている場合には、制御部5は、この測定装置による測定値に、設定された対向間隔の値を加算した高さ位置にノズル形成面H2が位置するように、Z軸移動装置を制御する。この場合、錠剤Tの上面が曲面であるときには、塗布ヘッドHの高さの調整を、錠剤Tの上面の中で最も高い高さを基準として行なう、または、上面の高さの平均を基準として行なう等、いくつかのやり方が考えられるが、これは、錠剤Tの上面に印刷するパターンの大きさや位置等に応じて適宜選択すれば良い。
次に、図1を用いて錠剤印刷装置Sを利用した錠剤Tへの印刷処理について、順を追って説明する。
まず、錠剤供給装置15に収納されている錠剤Tが、右向きに回転する第1の搬送装置1の第1のプーリ11に向けて供給される。錠剤供給装置15から供給された錠剤Tは、搬送ベルト13の各凹部131内に1つずつ順次収納される。
このような位置で錠剤供給装置15から錠剤Tが供給されることから、吸引チャンバ14からは吸着部に対して吸引力が付与されており、凹部131に収納された錠剤Tは落下することなく凹部131内に吸着、保持される。
錠剤Tは、吸引チャンバ14によって搬送ベルト13の凹部131内に収納されたまま搬送され、第1の搬送装置1の上部に設けられている第1の印刷機構3によって、その表面に予め設定されている文字や図形等が印刷される。
具体的には、まず、位置検出装置32によって、凹部131内に収納される錠剤Tの位置を確認する。撮影装置321によって撮影された凹部131や錠剤Tの位置は、制御部5に送信され、印刷の可否が判断される。
なお、ここで印刷の対象となる錠剤Tに割線が設けられていたり、外形が三角形や四角形であったりして、印刷に先立って向きを判別する必要がある場合には、位置に加えて、錠剤Tの向きを検出するようにしても良い。
もし印刷不可と判断された場合には、印刷を行わず、そのまま第1の印刷機構3の下を通過する等の処理が行われる。一方錠剤Tの位置が印刷可能な位置に収納されている場合には、錠剤Tは、そのまま搬送ベルト13によって、プリンタ31の下へと搬送される。
プリンタ31では、搬送されてきた錠剤Tの表面に印刷を行う。印刷が終了すると、そのまま錠剤Tは搬送されて、次に印刷状態確認装置33の下へと移動する。
印刷状態確認装置33は、搬送されてきた錠剤Tを撮影し、その撮影画像を制御部5へと送信する。制御部5では、印刷状態確認装置33より送られてきた情報を基に、印刷状態の適否を判断する。
この後、錠剤Tは搬送ベルト13の凹部131内に収納された状態のまま、第2のプーリ12によって反転されて、第1の搬送装置1の上部から下部へと移動する。
図1に示すように、搬送ベルト13が第2のプーリ12から第1のプーリ11へと図1において左向きに移動する間には、乾燥装置16が設けられている。錠剤Tにおける印刷面は、乾燥装置16に対向する位置にあることから、錠剤Tの表面に付着しているインクは乾燥装置16によって乾燥する。
さらに、乾燥装置16の下流側において、搬送ベルト13が第2の搬送装置2の搬送ベルト23と対向する。第2の搬送装置2における第1のプーリ21及び第2のプーリ22は、左回りに回転している。従って、これらのプーリに掛け渡されている搬送ベルト23は、左向きに回転する。すなわち、搬送ベルト23は、上側の水平領域において、図1において左向きに移動する。
従って、第1の搬送装置1の搬送ベルト13が第2の搬送装置2の搬送ベルト23と出会う領域においては、両者ともに同じ方向、すなわち、図1において左向きに進んでいることになる。
ここで搬送ベルト13と搬送ベルト23との搬送速度が同じであれば、両者の相対的な速度は「0」となる。従って、第1の搬送装置1から第2の搬送装置2に対して錠剤Tの受け渡しを行う場合、それぞれの搬送ベルトの搬送速度を同期させて両者の凹部の位置を合わせることによって、スムーズに錠剤Tの受け渡しを行うことができる。
本発明の実施の形態においては、第1の搬送装置1の第1のプーリ11と第2の搬送装置2の第1のプーリ21とは、互いにその軸線が鉛直方向で一致するように位置合わせがなされている。従って、第1の搬送装置1の第1のプーリ11に搬送ベルト13が接触する位置Fであって、第2の搬送装置2の第1のプーリ21から搬送ベルト23が離間する位置(図1に符号Kを付した位置)において錠剤Tの受け渡しが行われる。
但し、第1の搬送装置1の第1のプーリ11と第2の搬送装置2の第1のプーリ21との位置関係については、本発明の実施の形態におけるような位置関係に固定されるわけではなく、両者の位置がずれていても良い。
第1の搬送装置1から第2の搬送装置2へと受け渡された錠剤Tは、搬送ベルト23を上部から見た場合、印刷機構3において印刷された表面は凹部231の底部を向き、その裏面が見える状態で凹部231内に収納される。
第2の搬送装置2においては、錠剤Tの裏面に印刷が行われる。印刷の流れはこれまで説明したのと同様であり、位置検出装置42において錠剤Tの位置を確認し、プリンタ41で印刷を行った後、印刷状態確認装置43からの情報に基づいて印刷状態の確認が行われる。
印刷が終了した錠剤Tは、搬送ベルト23における下側の水平領域において、乾燥装置25によるインクの乾燥が行われる。この場合、錠剤Tは、印刷機構4において印刷された錠剤Tの裏面は乾燥装置25と対向する向きになっており、第2のプーリ22から第1のプーリ21に向けて搬送ベルト23が移動する間にインクの乾燥処理が行われる。
乾燥が終了した錠剤は、回収ボックスに収納されて回収される。つまり、印刷状態確認装置33、および、印刷状態確認装置43からの確認結果に基づいて適切に印刷がなされたと制御部5によって判断された錠剤Tについては、良品回収ボックス26へと収納される。一方、印刷が不適切であると制御部5によって判断された錠剤Tについては、不良品回収ボックス27へと回収される。
以上で錠剤Tに対する印刷処理が終了する。
本発明の実施の形態においては、メンテナンス処理は、搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材を利用して行われる。
ここでメンテナンス処理として、例えば、ダミー吐出とパージ処理、及び、ワイピング処理が考えられる。このうちダミー吐出は、圧電素子の駆動によって、塗布ヘッドの全てのノズルからインクを所定時間連続して吐出させるものである。
一方、パージ処理は、塗布ヘッドHのノズルH1の詰まりを防止するためにインクをノズルから所定時間だけ押し出す処理である。これは印刷時のノズルからのインクの吐出、或いは、ダミー吐出とは異なり、圧電素子の駆動による吐出ではなく、加圧用の気体やポンプ等を利用して強制的にインクをノズルH1から押し出し、インク内に生じた気泡やごみ等をノズルから排出するものである。そのため、ノズルから吐出されるインクの量は、ダミー吐出に比べてパージ処理の方が多くなる。
吐出されるインクの量が多いということは、パージ処理が終了した後にノズル形成面H2をクリーニングする必要が出てくることにつながる。つまりノズルから吐出されるインクが多く、吐出後そのままの状態にしておくと、例えば、いわゆる液だれといわれる現象等が起きたり、塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着したインクが次第に固まってくる等、その後の印刷処理に支障を来す状態を生じかねない。そのため、パージ処理が終了した後には、塗布ヘッドHのノズル形成面H2に存在するインクを掻き取る、或いは、拭うといった処理が必要となる。これがワイピング処理である。
メンテナンス処理としては上述した3つの種類が考えられるが、まず、ダミー吐出、パージ処理を行う際に利用するメンテナンス部材の様々な形態を順に説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材60を示す平面図である。また、図4は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材60について、図3に示す平面図をV−V線において切断して示す断面図である。
図3に示す平面図では、搬送ベルト13の一部が示されており、搬送ベルト13には、錠剤Tを収納する凹部131が設けられている。上述したようにメンテナンス処理の最中は、錠剤Tを搬送ベルト13から下ろすため実際には凹部131内には収納されていないが、図3を含む、以下の図面においては理解の便宜上、必要に応じて錠剤Tを点線で示している。
また、図3以下、メンテナンス部材の説明を行う際に利用する各図には、右向きの太い矢印が示されている。これは、搬送ベルト13が図面左側から右側に向けて進行することを示している。従って、図1における錠剤印刷装置Sの全体図で言えば、第1の搬送装置1における符号Gから符号Dの間における搬送ベルト13を用いてメンテナンス部材を示している。
従って例えば、図3において言えば、塗布ヘッドHとメンテナンス部材60との位置関係から、搬送ベルト13が矢印の方向に移動することで、塗布ヘッドHの直下をメンテナンス部材60が通過することになる。このメンテナンス部材60が塗布ヘッドHの直下を通過する際に塗布ヘッドHのメンテナンスが行われる。
図3においては、凹部131と凹部131との間に塗布ヘッドHが示されている。塗布ヘッドHのノズルH1は、図3における平面図では見ることができないので、破線で示している。
一方、凹部131と凹部131の間には、メンテナンス部材60が設けられている。なお、図3に示すメンテナンス部材60は、一組の凹部131と凹部131の間にのみ、すなわち、搬送ベルト13上に1カ所にのみ設けられている。但し、メンテナンス部材60は、搬送ベルト13上に1箇所に限らず、1カ所以上設けても良い。
図3に示すメンテナンス部材60は、搬送ベルト13の表面から上部が突出し、下部が搬送ベルト13に埋め込まれている、塗布ヘッドHのノズルH1から吐出されたインクを受ける受け部材601と、この受け部材601における搬送ベルト13内にて固定されている底部に対向するように、スリット141を介し吸引チャンバ14に接続される吸引部602とを有して構成される。
この受け部材601は、搬送ベルト13の幅方向を長辺とし、搬送ベルト13の幅方向に直交する方向、すなわち、搬送ベルト13の進行方向を短辺とする平面視で長方形状の直方体となっている。また、メンテナンス部材60の役割から受け部材601の長辺方向の長さは、塗布ヘッドHのノズルH1の配列長さよりも長い。一方、短辺方向の長さは、ノズルH1の搬送方向における長さよりも長く形成されている。
具体的には、例えば、図3に示す場合には、ノズルが1列であることから、ノズルH1の直径よりも長く形成されている。また、ノズル列が搬送方向に2列以上ある場合は、列数分の長さよりも長く形成されている。
さらには、メンテナンス部材60は、塗布ヘッドHの下に位置したときに、全てのノズルH1がメンテナンス部材60に対向するように搬送ベルト13に対して設けられている。メンテナンス部材60の受け部材601は、例えば、吸水性のあるスポンジや布、珪藻土から構成された部材から選択することができる。
但し、バージ処理に比べて吐出量の少ないダミー吐出の場合にあっては、受け部材601が必ずしも吸水性を有していなくても良い。この場合、受け部材601を、吸水性のない部材、或いは、紙等の吸水性の低い部材から選択することができる。
また、受け部材601の形状は、図3に示すような形状に限られるわけではなく、自由にその形状を設定することができる。例えば、受け部材601の上面の形状を、搬送ベルト13の搬送方向下流側に行くほど低くなる傾斜面に形成したり、搬送ベルト13の進行方向に沿った断面形状が円弧状となるかまぼこ形に形成したりしても良い。
特にこのような形状を採用すると、メンテナンス部材60の上面に付着したインクが傾斜面に沿っても流れ易くなって、インクがメンテナンス部材60の上面に沿って広がり、インクの表面積が広くなる。このようにインクの表面積が広くなると、インクの乾燥が促進されて、メンテナンス部材60に付着したインクが搬送ベルト13の搬送移動時に飛び散ることを防止することができる。
なお、上述した傾斜面の場合、効果が得られる角度範囲は、20度〜60度が好ましく、25度〜45度がなお好ましい。
図4の断面図では、ノズルH1が搬送ベルト13の表面に対向するように、搬送ベルト13の表面の上方に塗布ヘッドHが位置している。搬送ベルト13の表面には凹部131が設けられており、この凹部131内に錠剤Tが収納される。ここでは上述したように、錠剤Tは点線で示されており、凹部131内での収納の状態が示される。また、凹部131には、錠剤Tを吸引、保持するための吸着部132が形成されている。
なお、錠剤Tが凹部131内にどのように収納されるかは、凹部131と錠剤Tとの大きさの関係等によって決まってくることから、必ずしも図4に示すような状態で収納されるわけではない。
図4では第1のプーリ11と第2のプーリ12の表示は省略されているが、搬送ベルト13は、第1のプーリ11と第2のプーリ12とが回転することによって図4の矢印に示す方向に移動する。搬送ベルト13の下部には、吸引チャンバ14が示されており、吸引チャンバ14と搬送ベルト13との間には、錠剤Tを空気で吸引するためのスリット141が示されている。従って、吸引チャンバ14が吸着部132を介して空気を吸引することで、錠剤Tは凹部131内に吸着、保持される。
メンテナンス部材60は、その断面を見ると、図4に示されているように、搬送ベルト13の表面(搬送ベルト13の面であって、塗布ヘッドHに対向する面)から受け部材601の一部が突出しており、残りの部分は搬送ベルト13の内部に埋まり固定されている。
また、この搬送ベルト13の受け部材601底部には、吸引部602が面している。吸引部602は、メンテナンス部材60を搬送ベルト13に吸着するためだけではなく、メンテナンス部材60を構成する受け部材601が、吸水性を有する場合には、このメンテナンス部材60が例えばダミー吐出によって塗布ヘッドHから吐出されたインクを吸収した後に、その吸収したインクを吸引するためにも利用される。
さらに、メンテナンス部材60における受け部材601が、搬送ベルト13の表面から突出する高さは、印刷位置に位置付けられる塗布ヘッドHのノズル形成面H2の高さよりも低い高さに設定されている。これは、錠剤Tに対して印刷を行うに当たって、印刷対象となる錠剤Tに合わせて塗布ヘッドHの高さを調整することになるが、印刷対象となる種々の錠剤Tのうち一番厚みが薄い錠剤Tに合わせてその高さを合わせたときでも、ノズル形成面H2にぶつからないようにするためである。
なお、錠剤Tの厚みが変わるタイミングについて、厚みの異なる錠剤が混在して供給されるわけではないため、今回の品種の錠剤のロットに対する印刷処理が終了して、別の品種の錠剤のロットに切り替えたときである。
当該メンテナンス部材60を用いてダミー吐出を行う場合には、搬送ベルト13が設定された搬送速度で搬送されている状態で、メンテナンス部材60が塗布ヘッドHの下を通過するタイミングに合わせて行なっても良く、或いは、メンテナンス部材60を塗布ヘッドHの下に停止させた状態で行なっても良い。
また、ダミー吐出を行う際の塗布ヘッドのノズル形成面H2とメンテナンス部材60(受け部材601)の上面との距離については、特に塗布ヘッドHに高さ方向の位置を調整する機構(Z軸移動機構)を備えている場合には、塗布ヘッドHのノズル形成面H2がメンテナンス部材60の上面に近接するように(例えば、1mm程度の間隔となるように)、その高さを調整すると良い。
この間隔は、上述した錠剤Tに印刷するときの対向間隔よりも狭い間隔となる。従ってこのような間隔で塗布ヘッドHをメンテナンス部材60に対向させるので、ノズルH1から吐出されたインクがメンテナンス部材60に付着する前に周囲に舞い散ることが防止できるので、搬送ベルト13表面がインクによって汚損されることが防止できる。
なおここで、吸引チャンバ14を利用するのは、あくまでもメンテナンス部材60に液滴等が残らないように(きれいにするために)負圧を利用するためである。そのため、吸引チャンバ14の負圧を利用して塗布ヘッドHからインクを吸い出す、ということではない。また、例えば、メンテナンス部材60をその弾性力を利用して搬送ベルト13に固定する場合や、吸引チャンバ14による吸引を行わない場合には、吸引部602を設けなくても良い。
次に、メンテナンス部材の別の形態について説明する。以下説明するメンテナンス部材の別の形態は、上述したメンテナンス部材60に対して、メンテナンス処理においてインクを積極的に吸引するための開口を設けた点で相違する。
図5は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図3のV−V線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。また、図6は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図3のW−W線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。
図5における断面図では、図4で示されているような吸引チャンバ14の図示を省略している。但しその図示を省略しているだけで構造的には図4の断面図と同様の構造を備えている。
図5では、搬送ベルト13に設けられている2つの凹部131の中間にメンテナンス部材61が設けられている。図5において示されているメンテナンス部材61は、搬送ベルト13の表面に開口611を設けている。メンテナンス部材61は、さらに吸引チャンバ14につながる吸引部612を備えている。
このようにメンテナンス部材61は、吸引チャンバ14へとつながっていることから、当該開口611には、例えば網目状の蓋613がはめ込まれている。網目状の蓋613としては、例えば、金属メッシュ等の部材を選択することができる。当該蓋613は、インクが通過可能とされている。
このように、開口611に網目状の蓋613を設けることで、開口611のみの場合に比べて開口面積が小さくなるので、吸引チャンバ14からの吸引力が同じであれば、蓋613の網目状の個々の開口に作用する吸引力を、蓋613の無い開口611に作用する吸引力よりも大きくすることができ、ノズルH1から吐出されたインクより確実に吸引することができる。しかも、ノズルH1から吐出されて蓋613を通過したインクが、開口611の底部に達する前に失速して舞い上がろうとしたとしても、開口611の上端には網目状の蓋613が設けられているので、舞い上がったインクをこの蓋613によって捕捉することが可能となり、舞い上がったインクの飛散を抑制することができる。
従って上述したような状態を維持することができれば、蓋613は特に網目状であることに限定されることはなく、例えばスリット状であっても良い。また、網目状であるばあいであっても、例えば、平坦な形状に限らず、傾斜していたり、湾曲していたりしても良い。
図5、或いは、図6に示すように、メンテナンス部材61が塗布ヘッドHの直下に来た際に、ダミー吐出が行われる。このダミー吐出は、搬送ベルト13が設定された搬送速度で搬送されている状態で、メンテナンス部材61が塗布ヘッドHの下を通過するタイミングに合わせて行なっても良い。或いは、ダミー吐出はメンテナンス部材61を塗布ヘッドHの下に停止させた状態で行なっても良い。
図5及び図6において細い実線で示される矢印は、インクが吐出される方向を示している。塗布ヘッドHから吐出されたインクは、蓋613、開口611、及び、吸引部612を介して吸引チャンバ14内に吸引される。
図7は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図4のV−V線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。
図7に示すメンテナンス部材62は、錠剤Tを載置するための凹部131に収納可能に構成した点で、上述した2つの実施の形態と相違する。そのためメンテナンス部材62は、錠剤Tが収納される凹部131に、錠剤Tと同様に収納されている。従って、メンテナンス部材62の形状は、当該凹部131内に収納することが可能な大きさに形成される。
メンテナンス部材62は、錠剤Tと略同じ大きさであることから、仮に錠剤の印刷処理時に併せてメンテナンス処理も行うこととした場合、錠剤Tに一定の割合でメンテナンス部材62を混ぜて搬送させることによって、印刷処理とは別にメンテナンス処理の時間を取る必要がなくなることから、印刷処理のさらなる効率化を図ることができる。
なお、ダミー吐出は、塗布ヘッドHに設けられているノズルH1の全てからインクを吐出することで行う。つまり今回の錠剤Tに対する印刷では用いられないが、凹部131に収納可能な(印刷予定の)最大サイズの錠剤Tに対する印刷処理の際にのみ用いられるノズルH1からも、ダミー吐出でインクを吐出させる。そのため、メンテナンス部材62は、搬送ベルト13の凹部131に収納可能な最大サイズの錠剤Tと同等、或いはそれ以上の大きさに形成されている。
この場合には、例えば、錠剤Tを供給する錠剤供給装置15の他に、メンテナンス部材62を選択的に供給するメンテナンス部材供給装置7(図1参照)を搬送ベルト13における錠剤Tの搬送経路上に設けても良い。当該メンテナンス部材供給装置7は、錠剤供給装置15よりも、錠剤Tの搬送方向において、上流側に配置されていても良いし、下流側に配置されていても良い。
錠剤Tに混ぜるメンテナンス部材62は最低1つあれば良い。従ってここで説明する例では、搬送ベルト13に設けられる全ての凹部131に対して1つだけ収納されている。
また、錠剤Tとメンテナンス部材62の供給の割合については事前にその割合を設定することができ、制御部5からの錠剤供給装置15とメンテナンス部材供給装置7への指示に基づき、錠剤T及びメンテナンス部材62が凹部131に供給される。
すなわち、搬送ベルト13と駆動させるプーリ11に付随するロータリーエンコーダの出力値と、搬送ベルト13上の凹部131の配置間隔と数から、各凹部131の位置を制御部5が把握することが可能である。従って、予め、その数は問わないが、メンテナンス部材62を供給する凹部131を決めておき、ダミー吐出を実施するときには、制御部5は、メンテナンス用の凹部131には錠剤Tを供給しないように錠剤供給装置15を制御する。一方メンテナンス部材供給装置7からは、メンテナンス用の凹部131が通過するタイミングに合わせてメンテナンス部材62を供給するように制御するということができる。
なお、上述したように、メンテナンス部材62が最大サイズの錠剤T以上の大きさに形成されている場合には、当該メンテナンス部材62が凹部131に入り難いことが考えられる。そこでメンテナンス部材62がこのような大きさを備えている場合、メンテナンス部材供給装置7から凹部131にメンテナンス部材62を供給するときには、印刷時の搬送速度よりも搬送ベルト13の搬送速度を遅くするようにしても良い。
また、搬送速度を落としたときに、錠剤Tが塗布ヘッドHに下を通過してこの錠剤Tに印刷が施されると、速度変化から文字や記号がいびつになり、その印刷は不良となることが考えられる。従って、メンテナンス部材供給装置7と塗布ヘッドHとの配置間隔を、凹部131の配置間隔の整数倍とはならないように設定すると良い。或いは、メンテナンス部材62の供給のために搬送速度を遅くしている間は、錠剤Tに対する印刷を中断させておいても良い。
なお、ここでは錠剤Tにメンテナンス部材62を混ぜて搬送してメンテナンス処理を行う場合を例に挙げて説明したが、例えば搬送ベルト13から錠剤Tを下し、メンテナンス部咲き62のみが搬送される状態でも、上述した場合と同様にしてメンテナンス部材62に対してダミー吐出を行なえばよい。
さらには、本発明の実施の形態における錠剤印刷装置Sにおいては、第1の搬送装置1と第2の搬送装置2が設けられているので、1つのメンテナンス部材62について、印刷装置3の塗布ヘッドHのダミー吐出に用いたあと、第2の搬送装置2に受け渡し、印刷機構4の塗布ヘッドHのダミー吐出に用いることもできる。
なお、ダミー吐出用に利用されたメンテナンス部材62は、専用の回収ボックスに排出しても良いし、不良品回収ボックス27に排出しても良い。
また、メンテナンス部材62は、1回のダミー吐出の度に排出しても良いが、複数回のダミー吐出を受けた後で排出するようにしても良い。但し、複数回使用する場合、ダミー吐出を行なわない周回のときは、制御部5は塗布ヘッドHの下を素通りさせるように塗布ヘッドHの駆動を制御する、或いは、別に錠剤Tと同じように文字やマークを印刷しても、構わない。
また、メンテナンス部材62の形や色を、錠剤Tと判別可能な形や色にしておき、錠剤Tの位置を検出する位置検出装置32の撮影装置321による撮像画像に基づいて、ダミー部材を判別し、制御部5において印刷を行なうか否かを判別するようにしても良い。
なお、例えば、メンテナンス部材供給装置7を設けず、錠剤Tを搬送装置Cに供給する錠剤供給装置15を利用することもできる。すなわち、錠剤Tとメンテナンス部材62とが錠剤供給装置15に混ぜて収容されている。ここで錠剤Tと混ぜて有用されるメンテナンス部材62は、錠剤Tではないことの判別が可能である。
混ぜて収容されている錠剤Tとメンテナンス部材62は、それぞれ錠剤供給装置15から供給されて凹部131に収納される。錠剤Tとメンテナンス部材62は、搬送ベルト13によって搬送されてくるが、両者が混ぜられている割合でランダムに搬送される。そこで、例えば、位置検出装置32を構成する撮影装置321による撮像画像を利用してメンテナンス部材62が供給されたことを検知し、当該検知結果に基づいてメンテナンス部材62が塗布ヘッドHの直下に位置した時に、ダミー吐出を行ってメンテナンスすることがで-きる。
図8は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例を示す平面図である。
図8に示すメンテナンス部材63は、搬送ベルト13の幅方向端部領域に設けられている。搬送ベルト13の中央部には、所定の間隔で凹部131が設けられている。従って、搬送ベルト13の表面にメンテナンス部材を設けることは、図3に示されているように、隣接する凹部131の間に設けることが考えられる。その他の方法としては、ここで説明するように、図8に示す領域にメンテナンス部材63を設けることが考えられる。
但し、図8に示す位置にメンテナンス部材63を設ける場合、塗布ヘッドHの向きとメンテナンス部材63の向きとが90度異なっている。すなわち、印刷処理が行われる際には、塗布ヘッドHは図8に実線で示すように、その長辺方向が搬送ベルト13による錠剤Tの搬送方向(図8に示す矢印方向)に直交するように位置している。一方、メンテナンス部材63は、その長辺方向が錠剤Tの搬送方向と平行となるように設けられている。従ってメンテナンス処理を行う場合には塗布ヘッドHの向きを移動させる必要がある。
メンテナンス処理を行う場合には、まず、搬送ベルト13を停止させる。但しただ搬送ベルト13を停止させるわけではなく、後述するようにメンテナンス部材63を、旋回して移動させた塗布ヘッドHに対向する位置に位置づけるように搬送ベルト13を停止させる。すなわち、塗布ヘッドHを旋回させて移動させた際に、その直下にメンテナンス部材63が位置するように搬送ベルト13を停止させる。
その後、塗布ヘッドHを図8に示す回転軸0を中心に旋回させる。図8に示す位置にメンテナンス部材63を停止させた場合には、塗布ヘッドHを図8において右向きに旋回させる。なお、ここでは塗布ヘッドHを右旋回させているが、塗布ヘッドHの長辺方向が錠剤Tの搬送方向と平行となるように塗布ヘッドHを回転させるのであれば、メンテナンス部材63の停止位置との関係で、塗布ヘッドHを旋回させる向きについては問わない。
このような回転を行うことで、メンテナンス部材63の直上に塗布ヘッドHのノズルH1を位置させることができる。この位置は、図8において、メンテナンス部材63の領域に重なるように塗布ヘッドHを二点鎖線で示している。塗布ヘッドHをこのように1つの回転軸0を中心に移動させることで、簡易な構成の移動機構のみで確実なメンテナンス処理を行うことができる。
なお、図8においてはメンテナンス部材63を平面方向にのみ示していることから、メンテナンス部材63の直下、すなわち、搬送ベルト13の内部の状態は示されていないが、例えば、図4の断面図に示すように、メンテナンス部材63の底部には吸引部が設けられていても良い。また、メンテナンス部材63におけるインクを受ける領域は、例えば、ダミー吐出されたインクを受け止める部材で形成されている。当該部材は、例えば、吸水性のあるスポンジや布、珪藻土等や反対に吸水性のない部材、或いは、紙等の吸水性の低い部材も選択することができる。
また、ここではメンテナンス部材63が設けられている領域に合わせて塗布ヘッドHを回転させてダミー吐出を行う例を説明した。但し、必ずしも塗布ヘッドHを回転させる必要がない場合も考えられる。この場合には、例えば、塗布ヘッドHを両矢印に示す、搬送ベルト13の幅方向に移動させ、ノズルH1の全てに対して一度にダミー吐出をさせるのではなく、メンテナンス部材63の短辺方向の長さに合わせて、メンテナンス部材63の領域に対向して位置するノズルH1についてのみダミー吐出を行わせることもできる。この場合、メンテナンス部材63の短辺方向の長さによって一度にダミー吐出できるノズルH1の数が限定されることになるためダミー吐出は複数回に亘って行われることになる。
さらに本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図9を用いて説明する。
図9は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図3のV−V線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。
図9には、ワイピング処理を行うためのメンテナンス部材64が示されている。メンテナンス部材64は、塗布ヘッドHのノズルH1に付着しているインクを掻き取る、いわゆる、ワイピングを行うためのブレード部640と、受け領域641と吸引部642を有する。搬送ベルト13上に設けられたブレード部640が塗布ヘッドHの直下を図9の矢印に示されている方向に向けて通過する際に、塗布ヘッドHのノズル形成面H2に摺るように接することで、塗布ヘッドHに付着しているインクを掻き取る。
そこで、搬送ベルト13の表面からのブレード部640の高さは、搬送ベルト13の表面からの塗布ヘッドHまでの高さを考慮して設定される。つまり、ブレード部640は、塗布ヘッドHが錠剤Tに対して印刷処理を行なう高さ位置に配置されているときには、塗布ヘッドHに接触することのない高さに設定されている。そしてワイピング処理を行なうときに、塗布ヘッドHがワイピング処理を行なう高さ位置に下降したときに、前述したように接する位置関係となる。なお、塗布ヘッドHは、不図示のZ軸移動機構によって上下動可能に支持される。また、ブレード部640の搬送ベルト13の幅方向については、塗布ヘッドHの長辺方向の長さをカバーできる長さに形成されている。
なお、塗布ヘッドHのメンテナンスを行う場合に、搬送ベルト13がブレード部640を搬送する速度は、印刷時の搬送速度(200mm/s〜800mm/s程度)に比べて充分遅い、5mm/s〜10mm/s程度に設定される。
図9に示すブレード部640は、略三角形の形状に示しているが、インクを掻き取ることのできる形状であれば、特にこの形状に限定されることはない。また、図9においては、ブレード部640は搬送ベルト13と同じハッチングを付しているが、ブレード部640を構成する素材については、例えば、搬送ベルト13と同じ素材で構成されていても良い。また、ブレード部640の素材と搬送ベルト13の素材とを異なるようにしても良く、ブレード部640の素材としては、例えば、ゴム、シリコン、ポリアセタール等を使用することができる。
さらに、ブレード部640に接する搬送ベルト13の表面において、搬送方向下流側には、ノズルH1から掻き取ったインクを受ける受け領域641が形成されている。搬送ベルト13が図9に示す矢印の方向、すなわち錠剤Tの搬送方向に移動すると、ブレード部640が塗布ヘッドHの直下を通過する際にノズル形成面H2に付着したインクを掻き取る。掻き取られたインクはブレード部640の搬送方向下流側に流れる。流れたインクは、受け領域641に貯まることになる。
貯まったインクは、例えば、ダミー吐出で吐出されるくらいの量であれば、搬送ベルト13を回転させ、乾燥装置16が設けられている領域を通過させる際に乾燥させてしまうことが考えられる。従って、掻き取ったインクの量が乾燥装置16によって乾燥させることができるような量であれば、特に受け領域641に掻き取ったインクを乾燥させるといった機能を備えている必要はない。
一方、パージ処理の後のワイピング処理ではダミー吐出に比べて多量のインクが掻き取られることになる。このような場合には乾燥装置16の前を通過させたとしても乾燥しきれない可能性がある。すると次第に乾燥されないインクが搬送ベルト13の駆動中に受け領域641からはみ出して、錠剤印刷装置Sの周囲、或いは装置のその他の部分にまで飛び散るような事態を招来しかねない。
そこで、受け領域641を、例えば撥水性若しくは疎水性、または、親水性の機能を発揮するように形成する。受け領域641をこれら各性質を備える素材で形成するとともに、受け領域641に貯まったインクを吸引する吸引部642を受け領域641につなげて設ける。吸引部642は、吸引チャンバ14に接続させる。なお吸引部642については必ずしも設けなくても良いことから、図9においては破線で示している。
このような構成を採用することによって、受け領域641において貯まったインクが受け領域641の外へはみ出したり、掻き取ったインクが固まったりしないうちに吸引チャンバ14で吸引してしまうことが可能となる。
なお、ここでは受け領域641を形成する素材として上述した各機能を備える素材を利用した場合を説明したが、例えば、これまで説明してきたメンテナンス部材60ないしメンテナンス部材63を応用して、例えば、受け領域641を多孔質部材等で形成することも当然可能である。
図10は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図3のV−V線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。
図10に示すメンテナンス部材65は、ワイピング処理を行うものである。但し、メンテナンス部材64のようにインクを掻き取るのではなく、拭き取ることで塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着したインクを除去する。
メンテナンス部材64は、インクを掻き取るものである。一方で、図10に示すメンテナンス部材65は、例えば吸水性に優れる素材で形成することによって塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着しているインクを拭取るものである。
従って、図10において破線で示されているように、メンテナンス部材65の場合は塗布ヘッドHと直接接触することが可能な高さ、具体的には、塗布ヘッドHのノズル形成面H2とメンテナンス部材65の上端面の高さが同一、或いは、メンテナンス部材65の上面の方が若干高くなるように形成される。この場合も、前述のメンテナンス部材64のブレード部640と同様に、塗布ヘッドHが印刷処理を行なう高さ位置に位置付けられている状態では、メンテナンス部材65は塗布ヘッドHに接触せず、塗布ヘッドHがメンテナンス処理を行なう高さ位置に位置付けられたときに前記位置関係になるものである。もちろん、メンテナンス部材65の搬送ベルト13の幅方向の長さは、塗布ヘッドHの長辺方向の長さをカバーできる長さに形成されている。
なお、図10には示していないが、例えばさらにメンテナンス部材65につなげて吸引部を設けることで、よりインクを効率よく、かつ、確実に除去することができるようになる。
また、図9に示すメンテナンス部材64と図10に示すメンテナンス部材65とは、それぞれ、ダミー吐出やパージ処理のメンテナンス部材として兼用させることもできる。メンテナンス部材64は、右側の傾斜面がノズルH1の直下に位置するように停止させれば、吐出されたインクが右側の傾斜面を伝って受け領域641に流れるので、吸引部642で吸引することが可能である。そしてメンテナンス部材65をノズルH1の直下に位置するように停止させれば、自身の吸水性でインクを受けることができる。メンテナンス部材65を兼用する場合には、メンテナンス部材65を吸引チャンバ14に接続すると、より吸水性が上がって好ましい。
図11は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例を示す平面図である。また、図12は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図11のX−X線と同じ位置で搬送ベルト13を切断し、拡大して示した断面図である。さらに図13は、本発明の第1の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例について、図11のY−Y線と同じ位置で搬送ベルト13を切断して示した断面図である。
図11に示すメンテナンス部材66は、搬送ベルト13自体を加工して形成したものであり、ノズル形成面H2に付着したインクを吸引チャンバ14の吸引力を利用して吸引除去するものである。そのため、メンテナンス部材66は、搬送ベルト13の表面から突出して設けられた平面視長方形状のノズル部660と、吸引チャンバ14に連通し、ノズル部660の上面にスリット状の開口部を備えた吸引部661が設けられている。
但し、図12に示す断面図に明らかなように、メンテナンス部材66の高さでは塗布ヘッドHの高さを基準とするとその位置が低すぎ、到底塗布ヘッドHのインクを吸引することができない。一方で、付着しているインクを吸引するためにメンテナンス部材66の高さを塗布ヘッドHの高さに合わせて高くすると、今度は印刷処理をするために搬送ベルト13を駆動させた場合に、錠剤印刷装置Sの他の箇所に接触する等の弊害が出かねない。従って、メンテナンス部材66の高さを得るとしても限度がある。
そこで、メンテナンス部材66の高さは、例えば図12の断面図に示す高さとし、塗布ヘッドHとの間の距離dについては、メンテナンス部材66が吸引を行うことができる高さにまで塗布ヘッドHが下降することで解決を図っている。
すなわち、メンテナンス部材66の高さは、印刷が予定されている錠剤Tの中で、最も厚さが薄い錠剤Tに対して高さが設定された塗布ヘッドHのノズル形成面H2よりも低い高さに設定されている。具体的には、例えば、最も厚さの薄い錠剤Tが凹部131に収容されたとき、錠剤Tの上面が搬送ベルト13の上面から1mm突出し、印刷処理に当たってこの錠剤Tの上面に対してノズル形成面H2が1mmの間隔を成すように、塗布ヘッドHの高さが設定される場合を例に挙げて説明する。この場合、メンテナンス部材66の高さは、搬送ベルト13の上面から2mmの高さよりも低い高さに設定すれば良い。但し、実際には、錠剤Tが搬送される際の搬送ベルト13の駆動中のうねりなどを考慮して、1mm以下程度に設定するのが好ましい。
すなわち、図12、および、図13の断面図に示すように、メンテナンス処理を行う際にはメンテナンス部材66に向けて塗布ヘッドHが下降することでメンテナンス部材66との間の距離を縮め、両者が接近することでより効率的にインクを吸引することができるようにしている。図12および図13に示す断面図では、塗布ヘッドHがメンテナンス部材66との間に距離dが得られる高さまで下降した際の塗布ヘッドHの位置を二点鎖線で示している。従って、塗布ヘッドHの下降距離は、メンテナンス部材66の高さとの関係で決定される。
このように、メンテナンス部材66の高さに合わせて塗布ヘッドHが下降するので、効率的、かつ、確実にインクを吸引してクリーニングすることができる。
なお、ここではメンテナンス部材66の高さに合わせて塗布ヘッドHが下降することで両者を接近させてメンテナンス処理を行うこととしたが、例えば、搬送ベルト13自体を上方へと移動させることでメンテナンス部材66と塗布ヘッドHとの距離dを縮めることとしても良い。或いは、両者がそれぞれ互いに接近するように、塗布ヘッドHは下降し、メンテナンス部材66は上昇するように制御しても良い。
また、ワイピング処理を行う場合には、搬送ベルト13を一旦停止させる。ここでワイピング処理の前に一旦搬送ベルト13を止めるのは、搬送ベルト13の速度を調整するためである。
さらに、メンテナンス部材66は、パージ処理、ダミー吐出のいずれのメンテナンス処理においてもメンテナンス部材として兼用できる。上述したように、メンテナンス部材66は、スリット状の吸引部661を備えているので、その吸引部661を塗布ヘッドHのノズルH1列の直下に位置付けた状態でパージ処理やダミー吐出を行なうことで、吐出されたインクを吸引部661で受けることができる。
これまで図9ないし図13を用いて説明したワイピング処理の場合には、予めワイピング処理を行うためのメンテナンス部材の位置を把握することができる。従って、制御部5において把握されるその位置情報に基づいて、塗布ヘッドHの所定距離上流側から下流側に向けて、予め設定されている速度で、搬送ベルト13を移動させるようにすれば良い。
また、これまで説明してきた、ダミー吐出のためのメンテナンス部材、パージ処理のためのメンテナンス部材、ワイピングのためのメンテナンス部材は、個々に搬送ベルト13上に設けておく。また、これらの配置は、互いに近接するように配置しても、或いは、分散させて配置してもどちらでも良い。さらには、後述するように、例えば、搬送方向下流側から処理を行なう順、具体的には、パージ処理、ワイピング処理、ダミー吐出の順で配置するようにしても良い。
以上でメンテナンス部材の構成を説明したので、次に、プリンタ31、41のメンテナンス処理について説明する。なお上述したように、第1の搬送装置1と第2の搬送装置2、或いは、印刷機構3と印刷機構4とは、それぞれ基本的な構成が同じである。従って、印刷機構3のプリンタ31と印刷機構4のプリンタ41のメンテナンス処理についても同じである。従ってメンテナンス処理の説明に際しては、以下印刷機構3のプリンタ31を例に挙げて説明する。
また、メンテナンス処理については、図14に示すように、搬送ベルト13上に、搬送方向の下流側から順に、図3〜図8に符号60、61、63で示すようなパージ処理用のメンテナンス部材M1、図9〜図13に符号64〜66で示すようなワイピング処理用のメンテナンス部材M2、図3〜図8に符号60、61、63で示すようなダミー吐出用のメンテナンス部材M3を配置した例を用いて説明する。
この例では、搬送ベルト13に設けられている複数の凹部131のうち、隣り合う2つの凹部131の中間にメンテナンス部材M1が配置され、その一つ上流側の凹部131と凹部131の中間にメンテナンス部材M2が配置され、さらにその一つ上流側の凹部131と凹部131の中間にメンテナンス部材M3が配置される。つまり、メンテナンス部材M1〜M3は、凹部131と同じピッチで、凹部131に対して搬送方向に半ピッチ位置ずれした状態で配置される。
なお、図14は、メンテナンス部材M1よりも1つ下流側の凹部131と凹部131の中間に塗布ヘッドHが位置している状態を示している。
図15は、本発明の実施の形態に係るメンテナンス処理の流れを示すフローチャートである。図15のフローチャートでは、錠剤Tに印刷が開始されるところから示されている(ST1)。すなわち、プリンタ31を構成する塗布ヘッドから錠剤Tに対してインクの塗布が開始される。印刷処理は、搬送ベルト13の凹部131内に収容される錠剤Tにプリンタ31を使用して行われ、その流れは上述した通りである。
塗布ヘッドH(図3参照)に対するメンテナンス処理のうちダミー吐出は、錠剤Tに対する印刷処理が開始されてから、例えば、搬送ベルト13が所定の回数周回した後に行われる(ST2)。本発明の実施の形態においては、制御部5が、搬送ベルト13が予め設定された回数分だけ周回したか否か、すなわち、所定の個数の錠剤Tに対して印刷が行われたか否かを判断することによって、印刷処理からメンテナンス処理へ移行するか否かを判断している。
なお、ここでは搬送ベルト13が予め設定された回数周回したか否か判断してメンテナンス処理への移行を図っているが、例えば、所定の時間を設定しておき、当該所定の時間が経過した後にメンテナンス処理へ移行することとしても良い。
また、図3に示す塗布ヘッドHのノズルH1からの液だれ等をセンサや撮影装置等を利用して検知してメンテナンス処理を行うようにしても良い。さらには、塗布ヘッドHの下流に設けられている印刷状態確認装置33の撮影装置331からの情報を利用しても良い。
なお、印刷状態確認装置33を利用する場合、錠剤Tに印刷された文字や記号にかすれや滲み等の印刷不良があるか否か、或いは、文字や記号の周辺にインクの飛び散り等の印刷不良があるか無いかを判別することで、メンテナンス処理の要否を判別することができる。
ここで、文字や記号にかすれや滲みがあるか否かは、印刷状態確認装置33によって検出された文字や記号の画像情報と基準画像として予め設定された文字や記号の画像情報とを比較し、そのマッチング率が予め設定した閾値を超えるか否かによって判別することができる。また、文字や記号の周辺にインクの飛び散りがあるか無いかは、印刷状態確認装置33によって検出された錠剤Tの画像情報と、位置検出装置33によって得られた印刷前の錠剤Tの画像情報とを比較し、印刷パターン以外に、ドットパターン等が存在するか否かによって判別することができる。そして、例えば、印刷不良が生じた錠剤が、予め設定した個数、例えば、5〜10個程度、連続して検出されたらメンテナンス処理を行なう。
制御部5が、搬送ベルト13が未だ設定された周回を行っていないと判断した場合には(ST2のNO)、このまま錠剤Tに対する印刷処理が継続する。一方、搬送ベルト13が所定の回数、周回したと制御部5が判断した場合には(ST2のYES)、印刷処理から塗布ヘッドHのメンテナンス処理へと移行する(ST3)。
メンテナンス処理が開始されるに当たり、制御部5は、まず、搬送ベルト13上に錠剤Tが残っているかを確認する(ST4)。なお、制御部5が搬送ベルト13上に錠剤Tがあるか否かを判断する前には、制御部5は錠剤供給装置15による錠剤Tの供給を停止させる。
制御部5は、錠剤Tが残っているか否かを、例えば、位置検出装置32を用いて検知する。具体的には、位置検出装置32では、錠剤供給装置15からの錠剤Tの供給が停止された後、設定された回数、または、設定秒間続けて錠剤Tを検出しない場合には、錠剤Tが搬送ベルト13上に無いとを判定する。そしてこの後、位置検出装置32の位置から回収ボックスの位置まで錠剤Tが搬送されるのに要する時間が経過したときに、搬送ベルト13上に錠剤Tが残っていないと判断することができる。
また、例えば、回収ボックスへの排出位置の手前に、錠剤Tの有無を検出するセンサを設けておくこともできる。この場合、当該センサが錠剤が無いことを、前述の設定回数または設定秒数検知しなかったときに、搬送ベルト13上に錠剤Tが残っていないと判断するように構成することも可能である。
さらに、錠剤供給装置15が搬送ベルト13に錠剤Tを供給する位置から、搬送ベルト23上の錠剤Tが良品回収ボックス26、或いは、不良品回収ボックス27に排出される位置までの、錠剤Tの搬送経路の距離を予め求めて設定しておき、錠剤供給装置15からの錠剤Tの供給を停止させた後の搬送ベルト13の駆動量が、この搬送経路の距離分の駆動量に達した時点で、搬送ベルト13上に錠剤Tが残っていないと判断するように構成することも可能である。
ここで錠剤Tを搬送ベルト13から下ろすのは、以下の理由からである。すなわち、メンテナンス処理のうち、ダミー吐出については、錠剤Tの印刷処理中でも行な得ことができる。そのため、メンテナンス処理としてダミー吐出のみを行なわせるだけなら、錠剤Tを下す必要は必ずしもない。一方、パージ処理では、ノズルH1から数秒間インクを排出させる必要があることから、搬送ベルト13を停止させることになる。また、ワイピング処理では、ワイピング部材が塗布ヘッドの下を、例えば、10mm/s程度の速度で通過するように搬送ベルトを移動させ、ワイピング部材が塗布ヘッドの下を通過し終えたら搬送ベルトを停止させる。
このように、特にパージ処理、ワイピング処理の際には、搬送ベルト13の速度を遅くする必要がある。ここで錠剤印刷装置Sを用いた実際の印刷処理では、搬送ベルト13の搬送速度を、200mm/s〜800mm/s程度に設定している。従って、上述したメンテナンス処理が終了した後、錠剤Tに印刷を行なうためには、搬送ベルト13を元の速度である200mm/s〜800mm/sで送る。
ここでメンテナンス処理の際に搬送ベルト13に錠剤Tを乗せたままの場合、塗布ヘッドHの近くに位置している錠剤Tは、搬送ベルト13の搬送速度が印刷時の搬送速度に達する前に塗布ヘッドHの下を通過してしまう可能性がある。塗布ヘッドHは、印刷時の搬送速度で正しく印刷できるように塗布条件が設定されているので、印刷時の搬送速度よりも遅い速度で塗布ヘッドHの下を通過した錠剤Tに対して印刷を行なった場合、文字や記号がいびつな形で印刷されてしまい、その錠剤Tは印刷不良、ということになる。このようなことを避けるために、メンテナンス処理時には搬送ベルト13から錠剤Tを下すこととしている。
なお、ここではメンテナンス処理開始の処理ステップの後に制御部5が搬送ベルト上の錠剤の有無の判定を行うことを前提として説明を進める。但し、この処理の流れに限定されず、例えば、搬送ベルト13上の錠剤Tが無いと判定された後に、メンテナンス処理の処理ステップを開始するようにしても良い。この場合、所定回数周回した時点で、錠剤Tの供給を停止させ、搬送ベルト13上の錠剤Tが無くなったことを確認したら、一旦搬送ベルト13を停止させた後、メンテナンス処理を開始する。
制御部5によって、搬送ベルト13上に錠剤Tが存在すると判断された場合には(ST4のYES)、搬送ベルト13上に存在する錠剤Tに対しての印刷を完了させる。なお、搬送ベルト13上に存在する錠剤Tに対して印刷を行わずに、印刷を行なわなかった錠剤T専用に設けた回収ボックスや、良品回収ボックス26、或いは、不良品回収ボックス27へと搬送して回収するようにしても良い。このような処理を行って、錠剤Tを搬送ベルト13から全て下ろす(ST5)。
一方、制御部5によって、搬送ベルト13上に錠剤Tが存在しないと判断された場合には(ST4のNO)、パージ処理を行うか否かの確認を行う(ST6)。
また、制御部5は、搬送ベルト13上に錠剤Tが存在しないと判断したときには、搬送ベルト13に設けられたメンテナンス部材M1〜M3と塗布ヘッドHとが、図14に示した位置関係で停止するように、第1のプーリ11の駆動源(不図示)を制御する。
パージ処理は、上述したように、ダミー吐出に比べればメンテナンスの処理時間が長く、吐出されるインクの量も多い。そのため、メンテナンス処理の頻度としては、ダミー吐出の方が多く、パージ処理の方が少なくなる。
そこで通常はメンテナンス処理としてダミー吐出が行われ、例えば、ダミー吐出が複数回行われた後に1回、パージ処理を行う、といった処理がなされる。従って、制御部5は、パージ処理を行うか否かの判断を行うに当たっては、例えば、今回の判断を行うまでの間に行われたダミー吐出の回数を参照する。そして、制御部5は、ダミー吐出の回数が設定回数以下の場合には、パージ処理を行わないと判断(ST6のNO)し、ダミー吐出の回数が設定回数を超えた場合には、パージ処理を行うと判断する(ST6のYES)。
制御部5がパージ処理を行わないと判断した場合には(ST6のNO)、メンテナンス処理としてのダミー吐出が開始される(ST7)。
このダミー吐出では、図14に示した状態から、メンテナンス部材M3を塗布ヘッドHの真下に位置付けるように搬送ベルト13を駆動させる。そして、この状態で、塗布ヘッドHの全てのノズルの圧電素子を予め設定された周波数で予め設定された回数駆動させ、全てのノズルからダミー吐出を行なわせる。
制御部5は必要なダミー吐出が終了したか否かを確認し(ST8)、ダミー吐出が終了していない場合には(ST8のNO)、引き続きダミー吐出のメンテナンス処理を継続する。
一方ダミー吐出が終了したことを確認した場合には(ST8のYES)、ダミー吐出を行ったことを記憶する。この記憶された情報は次回メンテナンス処理を開始する際に、パージ処理を行うか否かを判断する際に利用される。当該情報の例としては、例えば、回数やダミー吐出を行った日時といった情報を挙げることができるが、いずれの情報を記憶し、利用しても良い。
ダミー吐出が終了したら、制御部5は印刷処理を終了するか否かを判断する(ST9)。メンテナンス処理が終了した後、そのまま印刷処理も終了する場合には(ST9のYES)、錠剤印刷装置Sにおける処理は終了する。
一方、メンテナンス処理が終了した後、印刷処理を再開する場合には(ST9のNO)、さらにステップST1に戻って錠剤の印刷が開始される。
ステップST6に戻り、上述したように、例えば所定の回数ダミー吐出が行われている場合には、制御部5は、パージ処理を行うとの判断を行う(ST6のYES)。そして制御部5は、塗布ヘッドH(プリンタ31)や搬送ベルト13の駆動部に対してパージ処理を開始する旨の指示を出す(ST10)。
このパージ処理では、図14に示した状態から、メンテナンス部材M1を塗布ヘッドHの真下に位置付けるように搬送ベルト13を駆動させる。そして、この状態で、塗布ヘッドHの全てのノズルから予め設定された時間だけ強制的インクを排出させる。
なお、パージ処理の際には、例えば、図3、図4を示して説明したメンテナンス部材60、図5、図6を示して説明したメンテナンス部材61、図8を示して説明したメンテナンス部材63を利用することができる。
すなわち、パージ処理における塗布ヘッドHから塗布されるインクの量は、ダミー吐出と比較して非常に多い。従ってこの点に十分配慮してメンテナンス部材を選択する必要がある。
例えば、吸引チャンバ14に直接つながるように設けられるメンテナンス部材61については、塗布ヘッドHから塗布される多量のインクを受けるのに適している。一方、メンテナンス部材60やメンテナンス部材63の場合であっても、多量のインクを吸収することのできる部材を選択して用いることによって、ダミー吐出だけではなくパージ処理にも利用することができる。
制御部5は、パージ処理が終了したか否かの判断を随時行い、必要なパージ処理が終了していなければそのまま処理を続行する(ST11のNO)。パージ処理が終了した場合には(ST11のYES)、次にパージ処理を行うことによって塗布ヘッドHのノズルH1に付着したインクを除去するためのワイピング処理を開始する(ST12)。
ワイピング処理では、前工程である、パージ処理が完了した状態から、搬送ベルト13を駆動させ、メンテナンス部材M2を塗布ヘッドHに対して搬送方向下流側に位置付けるように移動させる。そして、この状態で、塗布ヘッドHを、ワイピング処理を行なう高さまで下降させる。次いで、搬送ベルト13をワイピング処理を行なう速度で下流側へ向けて移動させ、メンテナンス部材M2でワイピング処理を行なう。
制御部5は、ワイピング処理が終了したか否か確認を行う(ST13)。ワイピング処理が終了していない場合には、引き続き継続してワイピング処理を行う。一方ワイピング処理が終了したことを確認した場合には(ST13のYES)、再度ダミー吐出が行われる(ST7)。これは、ワイピング処理の後は、吸引の影響でノズルH1内のインクの表面の位置が、例えば、ノズルH1の開口部よりも奥に引っ込んだ状態となってしまっていることが考えられる。このようなインクの液面状態を、ノズルh1の開口部付近に戻すために、ダミー吐出を行なう。
ダミー吐出に関しては、上述と同様に、メンテナンス部材M3を塗布ヘッドHの真下に位置付けた状態で行なうが、この位置付けに際しては、搬送ベルト13をワイピング処理を行なう速度で移動させたまま行なっても良い。また、ダミー吐出は、塗布ヘッドHを、ワイピング処理を行なう高さ位置に位置付けたままで行なっても良く、錠剤Tに対して印刷を行なう高さ位置に位置付けた状態で行なうようにしても良い。
その上で、ダミー吐出が終了したか否かが確認され(ST8)、ダミー吐出が終了した場合には、これでメンテナンス処理が終了したことになるので、次に印刷処理を終了するのか否かを確認する(ST9)。
再度印刷処理が開始される場合には(ST9のNO)、ステップST1に戻り印刷処理が開始される。一方、印刷処理を終了する場合には(ST9のYES)、錠剤印刷装置Sにおける印刷処理を終了させる。
以上様々なメンテナンス部材を例に挙げて説明をしてきた通り、搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対して印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、搬送装置上に移動機構を極力設けることなく行うことのできる錠剤印刷装置を提供することが可能となる。
すなわち、搬送ベルト上にメンテナンス部材を設けたことから、塗布ヘッドを搬送ベルトから外れた位置まで移動させる、例えば、ガイド部材とボールねじ機構などの駆動装置を備える移動機構を極力なくすことが可能となる。そのため、搬送ベルト上を搬送される錠剤に移動機構などから発生したゴミが付着することが防止できる。従って、錠剤の印刷を衛生的に行なうことができる。しかも、錠剤印刷装置における機構が減ることになるため、印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスも簡易、かつ、確実に行うことができる。
これらのことにより、搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対してインクジェット方式の塗布ヘッドを用いて印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、ロス時間を極力なくし、かつ良好に行うことが可能となる。
なお、上述したフローチャートでは、ダミー吐出が行われる際には、搬送ベルト13は停止する。但し、ダミー吐出は、印刷処理中に行なっても良い。具体的には、図3〜図6に示した各メンテナンス部材を用い、搬送ベルト13が所定の回数周回する毎に、メンテナンス部材にダミー吐出を行なう。そして、ダミー吐出の回数が設定回数に達したら、錠剤Tの供給を停止させる。そして、搬送ベルト13上の錠剤Tが無くなったことを確認したら、搬送ベルト13を停止させ、その後、パージ処理を開始させる。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
これまで第1の実施の形態において説明してきたメンテナンス部材は、いずれも搬送ベルト13に直接設けられていたものである。一方、第2の実施の形態において説明するメンテナンス部材は、搬送ベルト13に設けられている凹部131を利用して搬送ベルト13に装着することで、塗布ヘッドHのクリーニング等のメンテナンスを行うものである。
図16は、本発明の第2の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材を示す断面図である。図16にはその右側に錠剤Tが収納される凹部133が示され、左側にメンテナンス部材70が当該凹部133に装着された例が示されている。
この凹部133は、凹部131と同様に、錠剤Tを吸着、保持するためのものである。そのため凹部133には吸引チャンバ14に接続する吸着部132が接続されている。また、図16は断面図であって凹部133の平面を示してはいないが、凹部133の形状は、平面視搬送ベルト13の搬送方向上流側が円弧形状で、下流側が角形に形成されている。
このように、凹部133の平面視の形状が、下流側で広く形成されていると、この凹部133に装着されたメンテナンス部材70の回転ずれを防止することができる。また、左右、或いは、上下非対称の形状とすることで、メンテナンス部材70の向きが一義的に決められ、取り付け方向の取り違えを防止する効果も得られる。この他、錠剤供給装置15から凹部133に供給される錠剤Tを受け入れやすいという利点もある。
さらに、第2の実施の形態における凹部133において特徴的なのが、凹部133を構成する側壁面に窪み134が形成されていることである。
この窪み134は、メンテナンス部材70に形成される突部701が嵌め合わされることによって、搬送ベルト13に対してメンテナンス部材70を固定するために用いられる。
図16に示す断面図においては、凹部133の両側に窪み134が形成されている様子が示されている。図16に示す窪み134は、凹部133の側壁面の底部付近に全周に渡って設けられている。但し、この他、窪み134は、例えば凹部133の側壁面において対向する位置に設けられても良い。また、ある特定の側壁面にのみ窪み134が形成されていても良い。すなわち、メンテナンス部材70が備える突部701と嵌め合わせることが可能となるように窪み134が形成されていれば、突部701の形状との関係でどのような形状に形成されていても良い。
メンテナンス部材70は、搬送ベルト13の凹部133に嵌め込むために、上述したように突部701が形成されている。搬送ベルト13が、例えばゴム等の弾性を有する素材で形成されている場合には、凹部133の窪み134に対してメンテナンス部材70の突部701を嵌め込むことによって、窪み134と突部701とが嵌め合わされる。この状態で両者は固定される。従ってこのようにメンテナンス部材70が凹部133に装着されることで、メンテナンス処理の際に搬送ベルト13が移動したとしても外れることはない。
一方で搬送ベルト13は弾性を有していることから、メンテナンス処理が終了した後にメンテナンス部材70を搬送ベルト13から外すことも容易である。つまり、搬送ベルト13に対してメンテナンス部材70は、着脱可能に形成されている。しかも上述したように、向きが決まっていることから着脱に迷うこともない。
なお、ここでは搬送ベルト13が弾性を備えていることを前提に説明をしたが、例えば、メンテナンス部材70の突部701が弾性を備えていても良く、或いは、搬送ベルト13と突部701の両者が弾性を備えていても良い。
メンテナンス部材70は、突部701の上方に塗布ヘッドHから吐出されるインクを受ける受け部材702を備えている。メンテナンス部材70は、これまで説明してきたメンテナンス処理の形態であるダミー吐出、或いは、パージ処理のいずれに対しても利用することができる。そのため、受け部材702は、例えば、塗布ヘッドHから塗布されたインクを吸収する部材で構成されている。また、受け部材702は、搬送ベルト13の幅方向に、塗布ヘッドHの長辺方向の長さ以上の長さを備えている。そのため塗布ヘッドHに備えられている全てのノズルH1からの吐出に対応することができる。
さらに、メンテナンス部材70を貫通し、受け部材702が接する位置まで吸引部703が形成されている。この吸引部703は、吸引チャンバ14と接続されており、吸引チャンバ14が空気を吸引することによって、受け部材702で受けたインクを吸引することができる。
次に、この吸引チャンバ14を直接利用するメンテナンス部材について説明する。すなわち、ここで説明するメンテナンス部材71は、例えばダミー吐出やパージ処理が行われた際に、塗布ヘッドHから塗布されたインクを吸引することでクリーニングするときに用いられる。
図17は、本発明の第2の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例を示す平面図である。また、図18は、本発明の第2の実施の形態において搬送ベルトに設けられるメンテナンス部材の別の例について、図17のZ−Z線と同じ位置で搬送ベルトを切断し、拡大して示した断面図である。
メンテナンス部材71は、吸引チャンバ14によって付与される吸引力を利用して、塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着しているインクを吸引することでクリーニングを行うメンテナンス部材である。従って、塗布ヘッドHに設けられている全てのノズルH1を含む、塗布ヘッドHの幅方向の全領域において付着したインクを吸引することができるように、メンテナンス部材71は搬送ベルト13の幅方向いっぱいに渡って位置するように形成されている。
また、図18に示す断面図にも明らかなように、吸引の対象となる塗布ヘッドHとの高さ方向の位置関係を考慮して、メンテナンス部材71の搬送ベルト13の表面からの高さが決定されている。
メンテナンス部材71は、突部711を備えており、搬送ベルト13に設けられる凹部133に形成される窪み134と嵌め合わせることができる。窪み134と突部711とが嵌め合わされることによって、メンテナンス部材71は、搬送ベルト13に固定される。メンテナンス部材71が搬送ベルト13に固定されることによって、メンテナンス処理の最中に搬送ベルト13が移動してもメンテナンス部材71が動くことがなくなることから、塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着したインクに対して十分に対向する位置を取ることができるため、確実にインクを吸引することができる。
さらに、メンテナンス部材71を貫通するように吸引部712が形成されている。この吸引部712は、吸引チャンバ14と接続されており、吸引チャンバ14が空気を吸引することによって、メンテナンス部材71で受けたインクを吸引することができる。
なお、図18に示す窪み134は、上述したように、例えば、凹部133の側壁面の底部付近に全周に渡って設けられている。このように、例えば凹部133が円形で、窪み134が円環状に形成されている場合、凹部133に嵌め込まれて固定されたメンテナンス部材71が回転ずれすることが考えられる。このような場合には、メンテナンス部材71側には回り止め用のピンを設け、搬送ベルト13の表面にはこのピンが差し込まれる孔を設け、当該ピンを孔に差し込むことによって、メンテナンス部材71の回転ずれを防止することができる構造を採用しても良い。
さらに、この吸引チャンバ14を利用するメンテナンス部材について説明する。メンテナンス部材72は、ダミー吐出、パージ処理、及び、パージ処理後のワイピング処理のいずれに対しても用いることができる、一体型のメンテナンス部材である。
図19は、本発明の第2の実施の形態において搬送ベルト13に設けられるメンテナンス部材の別の例を示す断面図である。メンテナンス部材72は、これまで第2の実施の形態として説明してきたように、搬送ベルト13に設けられている凹部131に嵌め合わせることによって装着するものであるが、複数の凹部131を利用している点で相違する。但し図19に示すように、搬送ベルト13に設けられる凹部131は第1の実施の形態において示したものであって、特に窪み134は設けられていない。
これは、図19に示すメンテナンス部材72は、複数の凹部131に嵌め合わせて使用されることから、特に窪み134とメンテナンス部材側に設けられる突部とを嵌め合わせなくてもメンテナンス部材72は搬送ベルト13に固定されると考えられるからである。但し、当然のことながら、搬送ベルト13の凹部133の窪み134に嵌め合わせるようにメンテナンス部材72に突部を設け、これら両者の関係をもってメンテナンス部材72を搬送ベルト13に固定することとしても良い。
メンテナンス部材72には、ダミー吐出、パージ処理、及び、ワイピング処理というそれぞれのメンテナンス処理に合わせて利用されるメンテナンス部材が一体化して形成されている。図19に示すメンテナンス部材72では、中央に吸引チャンバ14を利用した吸引によってワイピング処理を行うワイピング部材721が設けられている。
このようにワイピング部材721は、ワイピング処理に当たって吸引チャンバ14の吸引力を利用することから、吸引部7211がワイピング部材721を貫通するように設けられている。
また、図19においてワイピング部材721の両側には、それぞれダミー吐出されるインクを受けるダミー吐出用受け部材722とパージ処理で吐出されるインクを受けるパージ処理用受け部材723とが設けられている。
図19に示すダミー吐出用受け部材722とパージ処理用受け部材723とは、いずれも略同じ構成を採用しており、インクを受ける受け部7221,7231、吸引チャンバ14による吸引を利用するための吸引部7222,7232がそれぞれ設けられている。
ここで上述したように、図19に示されている矢印は、搬送ベルト13が錠剤Tを搬送する方向である。従って、図19においても搬送ベルト13及びメンテナンス部材72は、図示しない塗布ヘッドHに向けて左側から右側へと矢印の方向へと移動する。従って、メンテナンス部材72において、ワイピング部材721の右側に、すなわち、メンテナンス部材72の進行方向下流側にパージ処理用受け部材723が設けられている。
これは、図15のフローチャートに示されている通り、ワイピング処理はパージ処理が終了した後に行われるためである。つまり、塗布ヘッドHに対してまずパージ処理用受け部材723が対向してパージ処理が行われ、その後、ワイピング部材721がパージ処理で塗布ヘッドHのノズル形成面H2に付着したインクを吸引する。このようにワイピング部材721がインクを吸引した後は、ダミー吐出用受け部材722上でダミー吐出を行なう。
なお、メンテナンス部材72が、メンテナンス処理の最中に、例えば、塗布ヘッドHに向けて右側から左側へと移動する場合には、ワイピング部材721とパージ処理用受け部材723との位置関係は上述した位置関係とは逆の順序で配置することができる。この場合、搬送ベルト13をこれまでとは反対向きに移動させる必要があることから、第1のプーリ11を左回りにも回転駆動できるように構成しておく。
また、上述したように、ワイピング処理を行う場合には、ワイピング部材を取り付ける凹部131の位置が予め決められていれば上述した通りであるが、取り付け位置が事前に決まっていない場合には、塗布ヘッドHの所定距離上流側に、例えば、ワイピング部材721を検出するセンサを設けておき、このセンサがワイピング部材721を検出した時点から、搬送ベルト13を予め設定された速度で移動させつつワイピング処理を行なう。
さらに、図15のフローチャートを利用して説明した通り、ワイピング処理、すなわち、メンテナンス処理が終了した後、印刷処理を再開する場合、搬送ベルト13上にメンテナンス部材が装着されたままだと搬送ベルト13が移動すること、すなわち、錠剤Tを搬送することができないことがある。従って、このような場合には、メンテナンス処理が終了したらメンテナンス部材を取り外す必要がある。
そこでメンテナンス部材の取り外し忘れを防止するべく、図1の錠剤印刷装置Sに示されているように、メンテナンス部材が取り外されたか否か、すなわち、メンテナンス部材の取り外し忘れを検出するセンサ8を設けて確認するようにしても良い。当該センサ8は、搬送ベルト13の上方で、メンテナンス部材の装着位置に対応する位置に固定されている。センサ8がメンテナンス部材を検出したときには、制御部5がその検出信号を受けて第1の搬送装置1、第2の搬送装置2を停止させる。
以上説明したようなメンテナンス部材72を使用してメンテナンス処理を行うこととすれば、メンテナンス処理の種類によってメンテナンス部材を取り替える必要がなくなり、メンテナンス処理に掛かる時間を削減することが可能となる。
そして、第2の実施の形態において説明した、印刷対象物となる錠剤の搬送を行う搬送ベルトに着脱可能なメンテナンス部材を使用することで生産性の低下を招かず、しかも印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを簡易、かつ、確実に行うことのできる錠剤印刷装置を提供することができる。そして、これらのことにより、搬送ベルトによって搬送されてくる錠剤に対してインクジェット方式の塗布ヘッドを用いて印刷を行う塗布ヘッドのメンテナンスを、ロス時間を極力なくし、かつ良好に行うことが可能となる。
なお、第2の実施の形態においては、搬送ベルトに凹部が設けられていることを前提にメンテナンス部材を利用したメンテナンス処理について説明した。但し、搬送ベルトに凹部が設けられておらず吸着部のみが形成されている場合には、メンテナンス部材は、当該吸着部に装着しても良い。また、上述した説明では、凹部に吸引部が設けられている例を挙げて説明したが、吸引部は必ずしも設ける必要がない。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。
例えば、上述したメンテナンス部材の説明の中で、塗布ヘッドの長さ(塗布ヘッドに形成されたノズル列の長さ)を搬送ベルトの幅と略同じくらいの長さであることを前提にしていた。しかしながら、塗布ヘッドの長さは、印刷対象となる錠剤の大きさがカバーできる長さがあれば充分であり、各図に示されたものに限られない。
また、ノズル列の長さが、搬送ベルトの幅程度、或いは、幅以上に長かったとしても、ダミー吐出等のメンテナンスが最低限必要な範囲は、錠剤の印刷に用いることが想定されているノズルの範囲だけでも構わない。
この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、これまでは第1の搬送装置にメンテナンス部材が設けられることを例に挙げて説明をしてきたが、当然のことながら、第1の搬送装置と第2の搬送装置とは略同様の構成を採用していることから、第2の搬送装置2にも、第1の搬送装置1と同様にメンテナンス部材を設けることができる。
この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
さらに、メンテナンス処理の手順として、これまで図15を用いて説明をしてきたが、例えば、次のような処理の手順を採用しても良い。
印刷状態確認装置33、43が行う錠剤Tの印刷状態の確認で、文字の一部が欠けている(かすれや滲みを含む)、文字以外の部分にインク滴が付着しているなどの印字不良が設定回数、例えば、5〜10回程度連続した場合に、メンテナンス処理に移行する。
メンテナンス処理に移行するときは、まず、錠剤Tの供給を停止させた後、搬送ベルト13上に残っている錠剤Tを回収ボックス(上述したように、専用のボックスでも良品用や不良品用の回収ボックスでも良い)に排出する。このとき、印字不良になる確率が高いことから、錠剤Tに印刷は行なわない。搬送ベルト13上の錠剤Tを下し終えたら、メンテナンス処理を開始する。
このときのメンテナンス処理は、パージ処理、ワイピング処理、ダミー吐出の順で行なう。上述した印字不良は、ノズルH1の詰まり、ノズル形成面H2の汚れ等が原因と考えられ、これらを解消するには、パージ処理やワイピング処理を行うことが有効と考えられるからである。なお、パージ処理をせずに、ワイピング処理とダミー吐出だけを行なうこととしても良い。
メンテナンス処理が完了したら、搬送ベルト13を駆動させ、錠剤Tの供給を開始し、印刷処理を再開する。但し、再開後の印刷状態の検査で、最初から印字不良であったり、再開後、設定時間内に印字不良が上述の設定回数連続して発生したりした場合には、印刷を中止して、オペレータコール等の警報を発する。メンテナンス処理後すぐに印刷不良が発生した場合、メンテナンス処理では回復できない可能性が高いと考えられるためである。なお、この動作を自動的に行なう場合には、図11、図12に示すメンテナンス部材の例で、ワイピング部材をダミー吐出とパージ処理にも兼用可能とした場合である。
さらに加えて、メンテナンス処理が完了後、印刷処理を再開する前に、印字検査を行なうようにしても良い。印字検査は、まず、例えば、搬送ベルト13上の1つの凹部131に錠剤Tを供給する、或いは、メンテナンス用のダミー錠剤(図8に示すメンテナンス部材62)を供給する。そしてこの錠剤Tまたはダミー錠剤の上に検査用のパターンを印刷する。このときの搬送ベルト13の搬送速度は、検査用パターン印字用の搬送速度で、必ずしも、印刷時の搬送速度と同じである必要はない。検査用パターンを印刷したら、その錠剤Tまたはダミー錠剤を印刷状態確認装置33、43の撮影装置331、431の撮像位置に位置付けて、印刷された検査用パターンの適否を判定する。制御部5による判定結果が「適」であれば、印刷処理を再開し、「不適」であれば、オペレータコール等の警報を発するように設定する。さらに、印字検査は、複数個の錠剤Tやダミー錠剤に行なって、全て「適」の場合のみ、印刷処理を再開するようにしても良い。
さらに、本発明の実施の形態における印刷機構Pは、印刷機構3及び印刷機構4の2つを備えている。従って、印字状態の検査結果に基づいてメンテナンス処理を行なう場合、一方の印刷機構の印字状態が不良であっても、他方の印刷機構の印字状態は良好であるケースが考えられる。このような場合に、一方の印刷機構のメンテナンス処理を行なっていると、他方の印刷機構の印刷が行なえなくなるが、この間に他方の印刷機構における塗布ヘッドのノズル内のインクが乾いてしまうことも考えられる。そこで、一方の印刷機構のメンテナンス処理を行なっているときには、他方の印刷機構も併せてメンテナンスを行なう。
1 第1の搬送装置
2 第2の搬送装置
11、21 第1のプーリ
12、22 第2のプーリ
13、23 搬送ベルト
131 凹部
14、24 吸引チャンバ
31、41 プリンタ
H 塗布ヘッド
H1 ノズル
5 制御部
60〜66 メンテナンス部材
70〜72 メンテナンス部材
2 第2の搬送装置
11、21 第1のプーリ
12、22 第2のプーリ
13、23 搬送ベルト
131 凹部
14、24 吸引チャンバ
31、41 プリンタ
H 塗布ヘッド
H1 ノズル
5 制御部
60〜66 メンテナンス部材
70〜72 メンテナンス部材
Claims (18)
- 錠剤を吸着する吸着部を備える搬送ベルトを備え、この吸着部に錠剤を吸引力によって吸着保持して搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記錠剤に対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドと、
前記塗布ヘッドのメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス部材と、を備え、
前記メンテナンス部材は、前記搬送装置による吸引力が付与され、前記塗布ヘッドから吐出されるインクを吸引することを特徴とする錠剤印刷装置。 - 前記錠剤を前記搬送装置へと供給する錠剤供給装置と、
前記錠剤への印刷がされた後に印刷状態を確認する印刷状態確認装置と、
前記印刷状態確認装置による前記錠剤への印刷状態の確認の結果に基づいてメンテナンス処理を実行させる制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。 - 前記メンテナンス部材は、前記搬送ベルト上に設けられ、前記塗布ヘッドから吐出されるインクを受ける受け部材で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の錠剤印刷装置。
- 前記受け部材は、前記インクを受ける面が傾斜を備えていることを特徴とする請求項3に記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材は、前記搬送ベルトに設けられ、前記搬送ベルトに設けられる前記塗布ヘッドから吐出されるインクを受ける開口には、前記インクが通過可能な蓋が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材は、前記錠剤を吸着する前記吸着部上に前記錠剤に代えて載置され搬送されることを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材を供給するメンテナンス部材供給装置を備え、
前記メンテナンス部材供給装置は、前記吸着部上に選択的に前記メンテナンス部材を供給することを特徴とする請求項6に記載の錠剤印刷装置。 - 前記メンテナンス部材は、前記搬送ベルトの幅方向端部領域に設けられ、前記メンテナンスを行う際に、前記錠剤に対する印刷時には前記搬送ベルトによる前記錠剤の搬送方向に直交するようにその長辺方向が位置する前記塗布ヘッドが移動し、前記塗布ヘッドの前記長辺方向が前記錠剤の搬送方向と平行となるように回転することで、前記塗布ヘッドのノズルの直下に前記メンテナンス部材が位置することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材は、前記塗布ヘッドのノズル形成面に付着するインクを除去するワイピング部材から構成されることを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
- 前記ワイピング部材に接し搬送ベルト上であって、前記錠剤の搬送方向下流に、前記ノズルから掻き取った前記インクを受ける受け領域が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の錠剤印刷装置。
- 前記受け領域は、撥水性若しくは疎水性、または、親水性の機能を発揮するように形成されていることを特徴とする請求項10に記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材による前記塗布ヘッドのノズルのメンテナンスが行われる際、前記メンテナンス部材と前記塗布ヘッドとの距離が接近するように、前記塗布ヘッドが前記メンテナンス部材に対して接近することを特徴とする請求項1、請求項6、請求項9に記載の錠剤印刷装置。
- 錠剤を保持する凹部、または、前記錠剤を吸着する吸着部を備える搬送ベルトを備え、この凹部に錠剤を保持して搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記錠剤に対して印刷を行うインクジェット方式の塗布ヘッドと、
前記塗布ヘッドのメンテナンスを行う際に、前記搬送ベルトの前記凹部、または、前記吸着部に装着して用いる着脱可能なメンテナンス部材と、
を備えることを特徴とする錠剤印刷装置。 - 前記搬送ベルトの前記凹部を構成する側壁面には窪みが形成され、
前記メンテナンス部材は、前記凹部に形成される前記窪みに装着し、固定するための突部を備えていることを特徴とする請求項13に記載の錠剤印刷装置。 - 前記突部または前記凹部が弾性を有することにより、前記メンテナンス部材が前記搬送ベルトに固定されることを特徴とする請求項14に記載の錠剤印刷装置。
- 前記メンテナンス部材は、前記突部の上方に前記塗布ヘッドから吐出されるインクを受ける受け部材を備えていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の錠剤印刷装置。
- 前記搬送装置は、さらに吸引チャンバを備え、
前記メンテナンス部材には前記吸引チャンバが接続され、前記塗布ヘッドから吐出されるインクを前記吸引チャンバによって付与される吸引力をもって吸引することを特徴とする請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の錠剤印刷装置。 - 前記メンテナンス部材は、前記塗布ヘッドから吐出されるインクを受ける受け部材と、前記塗布ヘッドのノズル形成面に付着するインクを除去するワイピング部材とから構成されることを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の錠剤印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015074271A JP2016193043A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 錠剤印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015074271A JP2016193043A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 錠剤印刷装置 |
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JP2015074271A Pending JP2016193043A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 錠剤印刷装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018146983A1 (ja) * | 2017-02-12 | 2018-08-16 | フロイント産業株式会社 | 固形製剤印刷方法、及び固形製剤印刷機 |
JP2018130945A (ja) * | 2017-02-12 | 2018-08-23 | フロイント産業株式会社 | 固形製剤印刷方法、及び固形製剤印刷機 |
CN113102299A (zh) * | 2020-01-10 | 2021-07-13 | 株式会社斯库林集团 | 传输处理装置 |
JP7415420B2 (ja) | 2019-10-11 | 2024-01-17 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | インクジェット記録装置 |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015074271A patent/JP2016193043A/ja active Pending
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